JP4125525B2 - ２つの独立したチャンネルをｉｒｄを用いて視聴する方法および装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
本願は、２００１年３月１５日に出願された米国仮特許出願第６０／２７５、８９３号から得られる利益を主張する出願の優先権を主張する。本明細書中、同出願の内容を参考のため援用する。
【０００２】
【発明の属する技術分野】
本発明は概して、デジタルテレビ信号およびアナログテレビ信号を受信するＩＲＤ（Ｉｎｔｅｇｒａｔｅｄ Ｒｅｃｅｉｖｅｒ／Ｄｅｃｏｒｄｅｒ）に関し、より詳細には、２つのテレビ受信器上に表示を行うための２つの独立した信号を提供するように構成されたＩＲＤに関する。
【０００３】
【従来の技術】
典型的なＩＲＤは、高解像度の（ＨＤ）モニタ、デジタルテレビ（ＤＴＶ）および標準的なアナログＮＴＳＣ（米国テレビジョン方式審議委員会）テレビに対して適合性を有することができる。ＩＲＤの典型的な受信能力としては、標準的な解像度（ＳＤ）および高解像度の（ＨＤ）衛星ストリーム、標準的なアナログケーブル、ＮＴＳＣ地上ストリームおよびＡＴＳＣ（新型テレビジョンシステム委員会）地上ストリームに対する受信能力を挙げることができる。
【０００４】
ＩＲＤは典型的には、衛星受信および地上受信用途の異なるチューナを用いることにより、ＲＦ（無線周波数）信号を受信する。次いで、復調器によってＲＦ搬送波から信号を抽出し、抽出した信号を復号器へと送る。デジタル信号は、トランスポートストリームとして復号器へと送られる。１つの公知の復号器（例えば、Ｇｅｎｅｖａ、ＳｗｉｔｚｅｒｌａｎｄのＳＴ Ｍｉｃｒｏｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃｓ製の集積回路ＳＴｉ５５１４）を用いて、異なるソースから来る複数のトランスポートストリームを処理することが可能である。例えば、復号器によって、２つの独立したチューナから来る２つの衛星ストリームを処理するか、または、１つの衛星ストリームおよび１つのＡＴＳＣストリームを処理することが可能である。このＳＴｉ５５１４は、３つまでのトランスポートストリームを同時に復号することが可能である。
【０００５】
通常の動作時において、１つのトランスポートストリームを復号し、１つの映像信号および１つの音声信号に分離させて、モニタまたはテレビディスプレイ上での視聴に適したものにする。テレビおよびＩＲＤは同じ部屋に配置されていることが多いため、衛星ＴＶに加入している者は、受信信号を同じ部屋において見ることができる。加入者がテレビを第２の位置で見たいと思った場合、２つの選択肢がある。第１の選択肢としては、ＩＲＤからの出力信号をケーブルを介して第２の位置に送って、視聴用とすることができる。この方法の不利な点は、どちらの視聴位置においても同じチャンネルを見なければならなくなる点である。第２の選択肢としては、第２のＩＲＤを購入して第２の位置に取り付けることである。しかし、この選択肢の場合においても、衛星パラボラアンテナからその第２の位置に同軸ケーブルを引き込まなければならない。
【０００６】
どちらの選択肢も欠点を有するため、異なる位置に配置されている２つのテレビディスプレイで視聴するために、２つの独立した信号を提供するように構成されたＩＲＤを提供することが求められている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、異なる位置に配置されている２つのテレビディスプレイで視聴するために、２つの独立した信号を提供するように構成されたＩＲＤを提供することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明の装置は、ＩＲＤ（Ｉｎｔｅｇｒａｔｅｄ Ｒｅｃｅｉｖｅｒ／Ｄｅｃｏｒｄｅｒ）であって、第１のデジタルテレビ信号と第２のデジタルテレビ信号とを少なくとも受信し、該受信された第１のデジタルテレビ信号と該受信された第２のデジタルテレビ信号とを復調する少なくとも１つのチューナであって、該第１のデジタルテレビ信号は、第１のチャンネルからの番組を視聴するためのものであり、該第２のデジタルテレビ信号は、第２のチャンネルからの番組を視聴するためのものである、少なくとも１つのチューナと、該復調された第１のデジタルテレビ信号と該復調された第２のデジタルテレビ信号とに応答して第１のデジタルテレビトランスポートストリームと第２のデジタルテレビトランスポートストリームとを提供するトランスポート復号器と、該第１のデジタルテレビトランスポートストリームに応答して第１の音声信号と第１の映像信号とを第１の表示デバイスに提供する第１のデジタルテレビ復号器と、該第２のデジタルテレビトランスポートストリームをベースバンドアナログテレビ信号に変換する第２のデジタルテレビ復号器と、該ベースバンドアナログテレビ信号を用いて搬送波信号を変調し、該変調された搬送波信号を送信する局所的な送信器とを備え、これにより上記目的が達成される。
リモートアナログ受信器を備え、該リモートアナログ受信器は、前記変調された搬送波信号から前記ベースバンドアナログテレビ信号を回復させてもよい。
前記変調された搬送波信号から前記ベースバンドアナログテレビ信号を回復させるリモートアナログ受信器と、前記ベースバンドアナログテレビ信号を提供する前記トランスポート復号器と、該ベースバンドアナログテレビ信号を回復させる該リモートアナログ受信器とを少なくとも制御するリモート制御送信器とを備えてもよい。
前記局所的な送信器と前記リモートアナログ受信器と前記リモート制御送信器とは、営業許可を受けた周波数帯域内のＵＨＦ周波数で動作してもよい。
前記局所的な送信器と前記リモートアナログ受信器と前記リモート制御送信器とは、ワイヤレス／ネットワークリンクによって用いられる営業許可を受けていない帯域内の周波数で動作してもよい。
前記トランスポート復号器と前記第２のデジタルテレビ復号器とは、単一の集積回路内に含まれていてもよい。
前記トランスポート復号器と前記第２のデジタルテレビ復号器とは、第１の集積回路内に含まれており、前記第１のデジタルテレビ復号器は、該第１の集積回路と別個の第２の集積回路内に含まれていてもよい。
本発明の方法は、テレビ信号を視聴する方法であって、該方法は、（ａ）第１のデジタルテレビ信号と第２のデジタルテレビ信号とを少なくとも受信し、該受信された第１のデジタルテレビ信号と該受信された第２のデジタルテレビ信号とを第１のデジタルテレビトランスポートストリームと第２のデジタルテレビトランスポートストリームとに復調する工程であって、該第１のデジタルテレビ信号は、第１のチャンネルからの番組を視聴するためのものであり、該第２のデジタルテレビ信号は、第２のチャンネルからの番組を視聴するためのものである、工程と、（ｂ）該第１のデジタルテレビトランスポートストリームを第１の音声信号と第１の映像信号とに復号する工程と、（ｃ）該第２のデジタルテレビトランスポートストリームをベースバンドアナログテレビ信号に復号する工程と、（ｄ）該工程（ｂ）において復号された該第１の映像信号を局所的なディスプレイに表示する工程と、（ｅ）表示のために、該工程（ｃ）において復号された該ベースバンドアナログテレビ信号を送信する工程とを包含し、これにより上記目的が達成される。
（ｆ）前記工程（ｅ）において送信された信号をリモート受信器を用いて受信し、表示のために、該ベースバンドアナログテレビ信号を回復させる工程を包含してもよい。
前記工程（ａ）は、前記第１のデジタルテレビ信号と前記第２のデジタルテレビ信号とを制御することを包含してもよい。
前記工程（ａ）は、前記第１のデジタルテレビ信号と前記第２のデジタルテレビ信号とを制御することと、前記局所的なディスプレイにある局所的な位置から該第１のデジタル テレビ信号と該第２のデジタルテレビ信号とを独立して制御することとを包含してもよい。
前記第１のデジタルテレビ信号と前記第２のデジタルテレビ信号とを制御することは、遠隔地にあるＵＨＦ制御信号を前記局所的な位置を送信することを包含し、該局所的な位置から該第１のデジタルテレビ信号と該第２のデジタルテレビ信号とを独立して制御することは、該局所的な位置から赤外線制御信号を送信することを包含してもよい。
前記工程（ａ）は、第１のデジタルテレビ信号と第２のデジタルテレビ信号とを少なくとも受信し、Ｌ帯域１とＬ帯域２とＵＨＦ周波数とＶＨＦ周波数とを含む信号のセットから該受信された第１のデジタルテレビ信号と該受信された第２のデジタルテレビ信号とを復調してもよい。
前記工程（ｄ）は、第１の視聴者によって、前記表示された第１の映像信号を制御することを包含し、前記工程（ｆ）は、第２の視聴者によって、前記表示された信号を制御することを包含し、該第２の視聴者による制御は、該第１の視聴者による制御から独立していてもよい。
【００２６】
上記の一般的な記載および以下の詳細な説明は例示的なものであって本発明を限定するものではないことが理解される。
【００２７】
【発明の実施の形態】
本発明は、以下の詳細な説明を本明細書の図面と共に読めば、最良に理解される。図面中、以下の図が含まれる。
【００２８】
本発明の一実施形態によれば、図１は、１つのＩＲＤ（Ｉｎｔｅｇｒａｔｅｄ Ｒｅｃｅｉｖｅｒ／Ｄｅｃｏｒｄｅｒ）を用いて２つの独立したチャンネルを視聴するためのシステムの模式的ブロック図を示す。このシステム（このシステムを主に参照符号１００で示す）は、ＩＲＤ１１２を含む。このＩＲＤ１１２は、ケーブルまたは地上放送局から来るＵＨＦ／ＶＨＦテレビ信号を受信し、この信号を復号し、そして１つの復号したテレビ信号の映像／音声をディスプレイ１１４上に表示する。ＩＲＤ１１２はまた、衛星パラボラアンテナ１１０を経由して、２つの独立したＬ帯域１の衛星信号および独立したＬ帯域２の衛星信号も受信する。ＩＲＤ１１２は、視聴者によって用いられるリモートＩＲ（赤外線）１１６によって制御される。公知のように、リモートＩＲ１１６は、ＩＲＤ１１２に配置されたＩＲセンサ（図示せず）と直接に見通せる位置にある場合、ＩＲＤ１１２を制御する。図示のように、ＩＲＤ１１２、ディスプレイ１１４およびリモートＩＲ１１６は、第１の視聴位置１０１に配置される。
【００２９】
システム１００は、第２の視聴位置１０２に配置された場合、ＲＦ受信器１１８、ディスプレイ１２０およびリモートＲＦ１２２を含む。以下に説明するように、ＲＦ受信器１１８は、ＩＲＤ１１２からの第２のテレビ信号をＲＦリンクを経由して受信する。ＲＦ受信器１１８は、この第２のテレビ信号を復号し、映像／音声をディスプレイ１２０に提供する。位置１０２にいる視聴者は、リモートＲＦ１２２を介して、ディスプレイ１２０上で視聴したいテレビ信号の選択を操作する。
【００３０】
図１の一実施形態において、ＩＲＤ１１２とＲＦ受信器１１８との間のＲＦリンクと、リモートＲＦ１２２とＩＲＤ１１２との間のＲＦ制御とを、ＵＨＦ周波数（例えば、９００ＭＨｚ）にすることができる。図１の別の実施形態において、ＲＦリンクおよびＲＦ制御を、ワイヤレス／家庭ネットワークリンクによって提供される周波数にすることができる。この周波数は、営業許可を受けていない帯域内に設けることができる。
【００３１】
図２は、本発明の一実施形態によるＩＲＤ１１２の詳細を示すブロック図である。ＩＲＤ１１２は、衛星パラボラアンテナから来る２つのテレビ信号（すなわち、Ｌ帯域１の信号およびＬ帯域２の信号）を受信し、２重四相位相シフトキー（ＱＰＳＫ）チューナ／復調器２１０においてこれらの信号を復調する。２つのトランスポートストリーム（すなわち、標準的な解像度のトランスポートストリーム（ＳＤトランスポート）および高解像度の／標準的な解像度のトランスポートストリーム（ＨＤ／ＳＤトランスポート）を、トリプルトランスポート復号器２１６に送る。ＩＲＤ１１２はまた、チューナ／復調器２１２においてブロードキャストテレビ信号またはケーブル放送テレビ信号も受信する。このチューナ／復調器２１２は、新型テレビジョンシステム委員会（ＡＴＳＣ）によって指定されたトレリスコード化残留側波帯送信規格に適合する。復調されたＡＴＳＣ信号と、復調された衛星信号とは、動画専門家グループ（ＭＰＥＧ）によって指定されたトランスポート規格の一部に適合するトランスポートデータストリームである。最後に、図示のように、ＩＲＤ１１２は、従来のアナログ復調器２１４（例えば、ＮＴＳＣ復調器）を介してアナログテレビ信号を受信する。
【００３２】
ＱＰＳＫチューナ／復調器２１０およびチューナ／復調器２１２に示す生成されたトランスポートストリームを、トリプルトランスポート復号器２１６に付加する。このトリプルトランスポート復号器２１６は、例えば、Ｇｅｎｅｖａ、ＳｗｉｔｚｅｒｌｌａｎｄのＳＴＭｉｃｒｏｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃｓ製の集積回路ＳＴｉ５５１４であってもよい。トリプルトランスポート復号器２１６は、３つのトランスポートストリームを同時に処理して、ＭＰＥＧビットストリームまたはＡＴＳＣビットストリームをそれぞれ生成する。トリプルトランスポート復号器２１６を用いてこれらの３つのビットストリームのうちの１つを内部で復号し、これにより、標準的な解像度のテレビ信号、ＮＴＳＣ映像およびそれに対応する音声信号を提供する。これらの３つのトランスポートストリームのうち別のものを、外部の高解像度の／標準的な解像度のＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０に提供する。ＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０は、例えば、やはりＳＴＭｉｃｒｏｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃｓ製の集積回路ＳＴｉ７０２０であってよい。
【００３３】
標準的な解像度テレビ信号（例えば、ＣＣＩＲ ６５６のテレビ信号）を、アナログ復調器２１４からＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０に提供する。ＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０は、トリプルトランスポート復号器２１６によって提供されたデジタルテレビ信号を復号して、高解像度のまたは標準的な解像度の映像信号とそれに関連する音声信号とを提供する。ＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０はまた、アナログテレビ信号も復号して、出力映像および出力音声信号を提供する。ＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０によって提供されたこれらの映像信号および音声信号は、図１に示す表示デバイス１１４に付加される。
【００３４】
トリプルトランスポート復号器２１６によって提供された標準的な解像度の映像信号および音声信号は、ＲＦ送信器２１８（例えば、例えば９００ＭＨｚの周波数を送信する極超短波（ＵＨＦ）の送信器）に付加される。この信号を、遠隔地にあるディスプレイ１２０に接続された図１に示すＲＦ受信器１１８へとブロードキャストする。
【００３５】
図２に示すＩＲＤは、赤外線受信器２２２およびＲＦ受信器２２４も含む。これらの赤外線受信器２２２およびＲＦ受信器２２４は、図１に示すリモートＩＲ１１６およびリモートＲＦ１２２から来る制御コマンドを受信する。これらのコマンドを、トリプルトランスポート復号器２１６の２つのデータ入力ポートに付加する。トリプルトランスポート復号器２１６は、ＱＰＳＫチューナ／復調器２１０、チューナ／復調器２１２、アナログ復調器２１４ならびにＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０の動作を制御する中央処理装置（ＣＰＵ）を含む。
【００３６】
リモートＩＲ１１６を用いて、表示デバイス１１４を見ている視聴者は、ＩＲＤ１１２を制御して、ＩＲＤ１１２による受信が可能な任意のテレビ信号にチューニングさせて表示させる。この際、チューニングおよび表示は、当該テレビ信号が高解像度の信号であるのかそれとも標準的な解像度信号は関係なく行われる。本発明の例示的実施形態において、ディスプレイ１２０を見ている視聴者は、リモートＲＦ１２２を用いて、標準的な解像度のデジタルテレビ番組をＩＲＤ１１２に表示させる。このようなデジタルテレビ番組は、衛星パラボラアンテナ１１０、地上のアンテナ（図示せず）またはデジタルケーブル接続部（図示せず）のいずれかからＩＲＤ１１２によって受信される。これらのテレビ信号は、映像成分および音声成分両方を含む。
【００３７】
図２では図示していないが、アナログ復調器２１４によって提供されるアナログテレビ信号を、ＲＦ送信器２１８によって提供することも可能であることが企図される。しかし、図１に示すディスプレイ１２０が従来のアナログテレビ受信器である場合、当該ディスプレイ１２０は、これらの信号を直接受信することができ、ＩＲＤ１１２を介してこれらの信号を受信しなくてもよい。
【００３８】
トリプルトランスポート復号器２１６が、高解像度のテレビ信号を直接復号して、ＨＤＴＶ信号またはＳＤＴＶ信号のいずれかをＲＦ送信器２１８に提供することも企図される。あるいは、トリプルトランスポート復号器２１６は、トランスポートストリームまたはＭＰＥＧビットストリームもしくはＡＴＳＣビットストリームをＲＦ送信器２１８に提供して、これらのストリームを遠隔地にあるディスプレイ１２０への送信対象とすることもできる。
【００３９】
本発明の別の代替的実施形態も実施可能であることが企図される。１つの別の実施形態において、ＲＦ送信器２１８およびＲＦ受信器１１８の代わりに、赤外線送信器（図示せず）および赤外線受信器（図示せず）を用いる。この別の実施形態において、ＲＦリモート制御デバイスの代わりに、リモートＩＲ１１６によって用いられるプロトコルと異なるプロトコルに従って動作する赤外線リモート制御デバイスを用いることも可能である。
【００４０】
本発明の別の実施形態において、ＲＦ送信器２１８およびＲＦ受信器１１８は、営業許可を受けていない帯域内にある周波数を用いたワイヤレス／家庭ネットワークリンクであり得る。
【００４１】
現在最先端となっているトランスポート復号器チップ（例えば、ＳＴｉ５５１４）は、一体性の強いデバイスであることが理解される。このようなトランスポート復号器チップは、入来するパケット化データを分離させる際に用いられるトランスポート復号器に加えて、ＩＲＤの一般的な動作（例えば、外部の揮発性メモリおよび不揮発性メモリ、標準的な解像度のＭＰＥＧ（動画専門家グループ）音声および映像用の復号器、画面上表示（ＯＳＤ）グラフィック生成器、ならびに他の補助的な周辺機器へのアクセス）を制御する際に用いられる汎用の中央処理装置（ＣＰＵ）も含む。高解像度の画像の復号は困難であるため、高解像度の復号器は典型的には、トランスポート復号器から独立した別個のデバイスとして実施される。このような復号器の一例として、集積回路ＳＴｉ７０２０がある。
【００４２】
標準的なインプリメンテーションにおいて、トランスポート復号器から入来するデータストリームから、映像（ＳＤおよび／またはＨＤ）パケットと音声パケットとを分離させる。この工程は、パケットヘッダ中に設けられたパケット識別（ＰＩＤ））情報を検出することにより行われる。映像情報および音声情報の両方を、先入れ先出し（ＦＩＦＯ）格納バッファ中に一時的に送る。この先入れ先出し（ＦＩＦＯ）格納バッファは、トランスポート復号器に接続されたメモリチップ中に配置される。これらの分離されたストリームは、１種類のデータ（例えば、音声、映像など）のみを含むところから、パケット化基本ストリーム（ＰＥＳ）として知られている。データバスを介して、これらの映像ＰＥＳパケットおよび音声ＰＥＳパケットを、この一時ＦｉＦＯからそのそれぞれの復号器に送る。高解像度の画像を復号する能力が必要となるため、これらの映像パケットおよび音声パケットを、外部の高解像度の映像／音声復号器（例えばＳＴｉ７０２０）へと経路設定する。図２に示す実施形態において、トリプルトランスポート復号器２１６内に配置された標準的な解像度の映像復号器／音声復号器は用いられない。
【００４３】
映像を復号した後、必要に応じてグラフィカルＯＳＤを追加する。例えば、番組ガイド情報または他のテキスト／グラフィックを映像画像上にオーバーレイする。次いで、各個々の画素を表すデジタルデータを、デジタル／アナログ（Ｄ／Ａ）変換器を用いて対応するアナログ電圧に変換し、画像を適切に表示する際にテレビ／モニタによって用いられる同期情報も、アナログ波形に追加する。次いで、これらのアナログ電圧をバッファリングし、テレビ／モニタへと送る。
【００４４】
例示的実施形態において、トリプルトランスポート復号器２１６内に配置された標準的な解像度映像／音声復号器を用いて、第２の独立した映像／音声ストリームを復号する。トリプル復号器内に配置されたＯＳＤ生成を用いることにより、第２の独立したグラフィカルＯＳＤも利用可能となる。この第２の映像／音声ストリームの処理は、処理をトリプル復号器の内部で行う点以外は一次映像／音声ストリームの場合と同様に行われる。トリプル復号器からのアナログ映像／音声出力をＲＦ送信器２１８に付加し、次いで、遠隔地に配置されたＲＦ受信器１１８へと送る。このＲＦ受信器は、ＲＦ送信器からの信号を復調し、ディスプレイ１２０に必要な映像／音声信号を生成する。ＲＦ送信器および受信器にかかるコストは、第２のＩＲＤにかかるコストよりもずっと少なく、またインターフェースがワイヤレスであるため、同軸ケーブルを新しく引き込む必要も無い。
【００４５】
典型的なＩＲＤの制御は、コマンドおよび制御データによって変調された赤外線光を用いて、手動リモート制御を介して行われる。ＩＲＤ方式は、低コスト性および信頼性という利点を有するものの、ＩＲリモートが機能するのは、リモート制御ユニットの見通し線内にＩＲＤが存在する場合のみである。ＲＦを介して動作するハンドヘルド方式のリモート制御を提供することにより、コマンドおよび制御データを壁を通じて部屋間で送信し、これにより、遠隔地にある位置にある独立したチャンネルを用いた視聴を可能にする。
【００４６】
さらに別の実施形態において、図３中にＩＲＤ３００を示す。ＩＲＤ３００は、図２に示すＩＲＤと異なり、チューナ／復調器３１０および３２０から受信した２つの別個の復調済み信号を復号するデュアル復号器３３０を含む。各チューナ／復調器は、地上ステーションまたは衛星ステーションからブロードキャストされた信号ＲＦ1および信号ＲＦ2を受信するようにチューニング可能である。デュアル復号器３３０は、ＲＦ信号から復号された音声／映像信号をＲＦ送信器３４０に送って、ＲＦ3としてさらなる送信対象にするか、または、局所的なディスプレイにおける視聴対象とすることができる。あるいは、デュアル復号器３３０は、ＲＦ2信号から復号された音声／映像信号をＲＦ送信器３４０に送って、ＲＦ3としてさらなる送信対象にするか、または、局所的なディスプレイにおける視聴対象とすることができる。本発明の例示的実施形態において、デュアル復号器３３０は、例えば、Ｂｒｏａｄｃｏｍ製のＢＣＭ７０４１の集積回路であり得る。
【００４７】
図示のように、マイクロプロセッサ３６０は、チューナ／復調器と、デュアル復号器とＲＦ送信器との動作を制御する。復号されたデータは、メモリ３６２中に格納することができる。視聴者は、ＩＲＤ１１２の場合と同様に、ＩＲ受信器３７０を介してＩＲＤ３００を局所的に制御することができる。第２の位置にいる別の視聴者は、ＲＦ受信器３９０を介してＩＲＤ３００をリモート制御することができる。各受信器は、入力／出力デバイス３８０を介してマイクロプロセッサ３６０に接続される。
【００４８】
本発明の全体をハードウェアとして実施する様式で本発明について説明を行ってきたが、本発明の一部は、ソフトウェアとしても実施可能であり、本発明の全体は、パーソナルコンピュータの文脈においても実施可能であることが企図される。例えば、トランスポートストリームからビットストリームへの復号と、復号対象である１つ以上のビットストリームの選択と、選択されたビットストリームの復号とを全て、ソフトウェアまたは汎用のパーソナルコンピュータとして実施することが可能である。このソフトウェアは、製造物（例えば、磁気ディスクまたは光ディスク、メモリカードまたは変調済みの無線周波数または音声周波数搬送波）として実現可能である。少なくとも２つのテレビ番組を表す信号を受信し得る１つ以上のチューナを有するコンピュータシステムにおいて、例示的なコンピュータソフトウェアを用いることが可能である。コンピュータシステムに結合された第１のモニタおよび第２のモニタ上にこれらの別個の信号に表示し、コンピュータに結合された第１のポインティングデバイスおよび第２のポインティングデバイス（例えばマウス）を用いて、コンピュータシステムを制御することが可能である。コンピュータシステムによって行われる別個のタスクは、マルチスレッド型システムの別個のスレッドであり得る。
【００４９】
本明細書中、本発明について特定の実施形態を参照しながら図示および説明してきたが、本発明は、これらの詳細に限定されるものとして意図されておらず、本発明の範囲およびその特許請求の範囲の均等物内においてかつ本発明の趣旨から逸脱することなく、これらの詳細に様々な改変を為すことが可能である。
【００５０】
ＩＲＤは、２つのチャンネルを独立した様式でかつ同時に視聴することを可能にする。これは、１つのチャンネルのみの受信および表示を行うＩＲＤと比較した場合にユニット用のコストを少し追加するだけで可能である。上記ＩＲＤは、第１のリモート制御デバイスおよび第２のリモート制御デバイスによって制御され、これにより、上記ＩＲＤに対して局所的な表示デバイス上に１つの番組を表示し、上記第２のテレビ信号を変調して、変調した上記第２のテレビ信号を、遠隔地にあるテレビ受信器に送信し、別のディスプレイ上での独立した視聴対象とする。
【００５１】
【発明の効果】
本発明により、異なる位置の２つのテレビディスプレイで視聴するために、２つの独立した信号を提供するように構成されたＩＲＤを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は、本発明の一実施形態による１つのＩＲＤを用いて、２箇所において２つの独立したチャンネルを視聴するためのシステムの模式的ブロック図である。
【図２】 図２は、本発明の一実施形態によるＩＲＤのブロック図である。
【図３】 図３は、本発明の別の実施形態によるＩＲＤのブロック図である。
【符号の説明】
１１２ ＩＲＤ
２１０ ＱＰＳＫチューナ／復調器
２１２ チューナ／復調器
２１４ アナログ復調器
２１６ トリプルトランスポート復号器
２１８ ＲＦ送信器
２２０ ＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器
２２２ 赤外線受信器
２２４ ＲＦ受信器
本願は、２００１年３月１５日に出願された米国仮特許出願第６０／２７５、８９３号から得られる利益を主張する出願の優先権を主張する。本明細書中、同出願の内容を参考のため援用する。
【０００２】
【発明の属する技術分野】
本発明は概して、デジタルテレビ信号およびアナログテレビ信号を受信するＩＲＤ（Ｉｎｔｅｇｒａｔｅｄ Ｒｅｃｅｉｖｅｒ／Ｄｅｃｏｒｄｅｒ）に関し、より詳細には、２つのテレビ受信器上に表示を行うための２つの独立した信号を提供するように構成されたＩＲＤに関する。
【０００３】
【従来の技術】
典型的なＩＲＤは、高解像度の（ＨＤ）モニタ、デジタルテレビ（ＤＴＶ）および標準的なアナログＮＴＳＣ（米国テレビジョン方式審議委員会）テレビに対して適合性を有することができる。ＩＲＤの典型的な受信能力としては、標準的な解像度（ＳＤ）および高解像度の（ＨＤ）衛星ストリーム、標準的なアナログケーブル、ＮＴＳＣ地上ストリームおよびＡＴＳＣ（新型テレビジョンシステム委員会）地上ストリームに対する受信能力を挙げることができる。
【０００４】
ＩＲＤは典型的には、衛星受信および地上受信用途の異なるチューナを用いることにより、ＲＦ（無線周波数）信号を受信する。次いで、復調器によってＲＦ搬送波から信号を抽出し、抽出した信号を復号器へと送る。デジタル信号は、トランスポートストリームとして復号器へと送られる。１つの公知の復号器（例えば、Ｇｅｎｅｖａ、ＳｗｉｔｚｅｒｌａｎｄのＳＴ Ｍｉｃｒｏｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃｓ製の集積回路ＳＴｉ５５１４）を用いて、異なるソースから来る複数のトランスポートストリームを処理することが可能である。例えば、復号器によって、２つの独立したチューナから来る２つの衛星ストリームを処理するか、または、１つの衛星ストリームおよび１つのＡＴＳＣストリームを処理することが可能である。このＳＴｉ５５１４は、３つまでのトランスポートストリームを同時に復号することが可能である。
【０００５】
通常の動作時において、１つのトランスポートストリームを復号し、１つの映像信号および１つの音声信号に分離させて、モニタまたはテレビディスプレイ上での視聴に適したものにする。テレビおよびＩＲＤは同じ部屋に配置されていることが多いため、衛星ＴＶに加入している者は、受信信号を同じ部屋において見ることができる。加入者がテレビを第２の位置で見たいと思った場合、２つの選択肢がある。第１の選択肢としては、ＩＲＤからの出力信号をケーブルを介して第２の位置に送って、視聴用とすることができる。この方法の不利な点は、どちらの視聴位置においても同じチャンネルを見なければならなくなる点である。第２の選択肢としては、第２のＩＲＤを購入して第２の位置に取り付けることである。しかし、この選択肢の場合においても、衛星パラボラアンテナからその第２の位置に同軸ケーブルを引き込まなければならない。
【０００６】
どちらの選択肢も欠点を有するため、異なる位置に配置されている２つのテレビディスプレイで視聴するために、２つの独立した信号を提供するように構成されたＩＲＤを提供することが求められている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、異なる位置に配置されている２つのテレビディスプレイで視聴するために、２つの独立した信号を提供するように構成されたＩＲＤを提供することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明の装置は、ＩＲＤ（Ｉｎｔｅｇｒａｔｅｄ Ｒｅｃｅｉｖｅｒ／Ｄｅｃｏｒｄｅｒ）であって、第１のデジタルテレビ信号と第２のデジタルテレビ信号とを少なくとも受信し、該受信された第１のデジタルテレビ信号と該受信された第２のデジタルテレビ信号とを復調する少なくとも１つのチューナであって、該第１のデジタルテレビ信号は、第１のチャンネルからの番組を視聴するためのものであり、該第２のデジタルテレビ信号は、第２のチャンネルからの番組を視聴するためのものである、少なくとも１つのチューナと、該復調された第１のデジタルテレビ信号と該復調された第２のデジタルテレビ信号とに応答して第１のデジタルテレビトランスポートストリームと第２のデジタルテレビトランスポートストリームとを提供するトランスポート復号器と、該第１のデジタルテレビトランスポートストリームに応答して第１の音声信号と第１の映像信号とを第１の表示デバイスに提供する第１のデジタルテレビ復号器と、該第２のデジタルテレビトランスポートストリームをベースバンドアナログテレビ信号に変換する第２のデジタルテレビ復号器と、該ベースバンドアナログテレビ信号を用いて搬送波信号を変調し、該変調された搬送波信号を送信する局所的な送信器とを備え、これにより上記目的が達成される。
リモートアナログ受信器を備え、該リモートアナログ受信器は、前記変調された搬送波信号から前記ベースバンドアナログテレビ信号を回復させてもよい。
前記変調された搬送波信号から前記ベースバンドアナログテレビ信号を回復させるリモートアナログ受信器と、前記ベースバンドアナログテレビ信号を提供する前記トランスポート復号器と、該ベースバンドアナログテレビ信号を回復させる該リモートアナログ受信器とを少なくとも制御するリモート制御送信器とを備えてもよい。
前記局所的な送信器と前記リモートアナログ受信器と前記リモート制御送信器とは、営業許可を受けた周波数帯域内のＵＨＦ周波数で動作してもよい。
前記局所的な送信器と前記リモートアナログ受信器と前記リモート制御送信器とは、ワイヤレス／ネットワークリンクによって用いられる営業許可を受けていない帯域内の周波数で動作してもよい。
前記トランスポート復号器と前記第２のデジタルテレビ復号器とは、単一の集積回路内に含まれていてもよい。
前記トランスポート復号器と前記第２のデジタルテレビ復号器とは、第１の集積回路内に含まれており、前記第１のデジタルテレビ復号器は、該第１の集積回路と別個の第２の集積回路内に含まれていてもよい。
本発明の方法は、テレビ信号を視聴する方法であって、該方法は、（ａ）第１のデジタルテレビ信号と第２のデジタルテレビ信号とを少なくとも受信し、該受信された第１のデジタルテレビ信号と該受信された第２のデジタルテレビ信号とを第１のデジタルテレビトランスポートストリームと第２のデジタルテレビトランスポートストリームとに復調する工程であって、該第１のデジタルテレビ信号は、第１のチャンネルからの番組を視聴するためのものであり、該第２のデジタルテレビ信号は、第２のチャンネルからの番組を視聴するためのものである、工程と、（ｂ）該第１のデジタルテレビトランスポートストリームを第１の音声信号と第１の映像信号とに復号する工程と、（ｃ）該第２のデジタルテレビトランスポートストリームをベースバンドアナログテレビ信号に復号する工程と、（ｄ）該工程（ｂ）において復号された該第１の映像信号を局所的なディスプレイに表示する工程と、（ｅ）表示のために、該工程（ｃ）において復号された該ベースバンドアナログテレビ信号を送信する工程とを包含し、これにより上記目的が達成される。
（ｆ）前記工程（ｅ）において送信された信号をリモート受信器を用いて受信し、表示のために、該ベースバンドアナログテレビ信号を回復させる工程を包含してもよい。
前記工程（ａ）は、前記第１のデジタルテレビ信号と前記第２のデジタルテレビ信号とを制御することを包含してもよい。
前記工程（ａ）は、前記第１のデジタルテレビ信号と前記第２のデジタルテレビ信号とを制御することと、前記局所的なディスプレイにある局所的な位置から該第１のデジタル テレビ信号と該第２のデジタルテレビ信号とを独立して制御することとを包含してもよい。
前記第１のデジタルテレビ信号と前記第２のデジタルテレビ信号とを制御することは、遠隔地にあるＵＨＦ制御信号を前記局所的な位置を送信することを包含し、該局所的な位置から該第１のデジタルテレビ信号と該第２のデジタルテレビ信号とを独立して制御することは、該局所的な位置から赤外線制御信号を送信することを包含してもよい。
前記工程（ａ）は、第１のデジタルテレビ信号と第２のデジタルテレビ信号とを少なくとも受信し、Ｌ帯域１とＬ帯域２とＵＨＦ周波数とＶＨＦ周波数とを含む信号のセットから該受信された第１のデジタルテレビ信号と該受信された第２のデジタルテレビ信号とを復調してもよい。
前記工程（ｄ）は、第１の視聴者によって、前記表示された第１の映像信号を制御することを包含し、前記工程（ｆ）は、第２の視聴者によって、前記表示された信号を制御することを包含し、該第２の視聴者による制御は、該第１の視聴者による制御から独立していてもよい。
【００２６】
上記の一般的な記載および以下の詳細な説明は例示的なものであって本発明を限定するものではないことが理解される。
【００２７】
【発明の実施の形態】
本発明は、以下の詳細な説明を本明細書の図面と共に読めば、最良に理解される。図面中、以下の図が含まれる。
【００２８】
本発明の一実施形態によれば、図１は、１つのＩＲＤ（Ｉｎｔｅｇｒａｔｅｄ Ｒｅｃｅｉｖｅｒ／Ｄｅｃｏｒｄｅｒ）を用いて２つの独立したチャンネルを視聴するためのシステムの模式的ブロック図を示す。このシステム（このシステムを主に参照符号１００で示す）は、ＩＲＤ１１２を含む。このＩＲＤ１１２は、ケーブルまたは地上放送局から来るＵＨＦ／ＶＨＦテレビ信号を受信し、この信号を復号し、そして１つの復号したテレビ信号の映像／音声をディスプレイ１１４上に表示する。ＩＲＤ１１２はまた、衛星パラボラアンテナ１１０を経由して、２つの独立したＬ帯域１の衛星信号および独立したＬ帯域２の衛星信号も受信する。ＩＲＤ１１２は、視聴者によって用いられるリモートＩＲ（赤外線）１１６によって制御される。公知のように、リモートＩＲ１１６は、ＩＲＤ１１２に配置されたＩＲセンサ（図示せず）と直接に見通せる位置にある場合、ＩＲＤ１１２を制御する。図示のように、ＩＲＤ１１２、ディスプレイ１１４およびリモートＩＲ１１６は、第１の視聴位置１０１に配置される。
【００２９】
システム１００は、第２の視聴位置１０２に配置された場合、ＲＦ受信器１１８、ディスプレイ１２０およびリモートＲＦ１２２を含む。以下に説明するように、ＲＦ受信器１１８は、ＩＲＤ１１２からの第２のテレビ信号をＲＦリンクを経由して受信する。ＲＦ受信器１１８は、この第２のテレビ信号を復号し、映像／音声をディスプレイ１２０に提供する。位置１０２にいる視聴者は、リモートＲＦ１２２を介して、ディスプレイ１２０上で視聴したいテレビ信号の選択を操作する。
【００３０】
図１の一実施形態において、ＩＲＤ１１２とＲＦ受信器１１８との間のＲＦリンクと、リモートＲＦ１２２とＩＲＤ１１２との間のＲＦ制御とを、ＵＨＦ周波数（例えば、９００ＭＨｚ）にすることができる。図１の別の実施形態において、ＲＦリンクおよびＲＦ制御を、ワイヤレス／家庭ネットワークリンクによって提供される周波数にすることができる。この周波数は、営業許可を受けていない帯域内に設けることができる。
【００３１】
図２は、本発明の一実施形態によるＩＲＤ１１２の詳細を示すブロック図である。ＩＲＤ１１２は、衛星パラボラアンテナから来る２つのテレビ信号（すなわち、Ｌ帯域１の信号およびＬ帯域２の信号）を受信し、２重四相位相シフトキー（ＱＰＳＫ）チューナ／復調器２１０においてこれらの信号を復調する。２つのトランスポートストリーム（すなわち、標準的な解像度のトランスポートストリーム（ＳＤトランスポート）および高解像度の／標準的な解像度のトランスポートストリーム（ＨＤ／ＳＤトランスポート）を、トリプルトランスポート復号器２１６に送る。ＩＲＤ１１２はまた、チューナ／復調器２１２においてブロードキャストテレビ信号またはケーブル放送テレビ信号も受信する。このチューナ／復調器２１２は、新型テレビジョンシステム委員会（ＡＴＳＣ）によって指定されたトレリスコード化残留側波帯送信規格に適合する。復調されたＡＴＳＣ信号と、復調された衛星信号とは、動画専門家グループ（ＭＰＥＧ）によって指定されたトランスポート規格の一部に適合するトランスポートデータストリームである。最後に、図示のように、ＩＲＤ１１２は、従来のアナログ復調器２１４（例えば、ＮＴＳＣ復調器）を介してアナログテレビ信号を受信する。
【００３２】
ＱＰＳＫチューナ／復調器２１０およびチューナ／復調器２１２に示す生成されたトランスポートストリームを、トリプルトランスポート復号器２１６に付加する。このトリプルトランスポート復号器２１６は、例えば、Ｇｅｎｅｖａ、ＳｗｉｔｚｅｒｌｌａｎｄのＳＴＭｉｃｒｏｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃｓ製の集積回路ＳＴｉ５５１４であってもよい。トリプルトランスポート復号器２１６は、３つのトランスポートストリームを同時に処理して、ＭＰＥＧビットストリームまたはＡＴＳＣビットストリームをそれぞれ生成する。トリプルトランスポート復号器２１６を用いてこれらの３つのビットストリームのうちの１つを内部で復号し、これにより、標準的な解像度のテレビ信号、ＮＴＳＣ映像およびそれに対応する音声信号を提供する。これらの３つのトランスポートストリームのうち別のものを、外部の高解像度の／標準的な解像度のＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０に提供する。ＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０は、例えば、やはりＳＴＭｉｃｒｏｅｌｅｃｔｒｏｎｉｃｓ製の集積回路ＳＴｉ７０２０であってよい。
【００３３】
標準的な解像度テレビ信号（例えば、ＣＣＩＲ ６５６のテレビ信号）を、アナログ復調器２１４からＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０に提供する。ＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０は、トリプルトランスポート復号器２１６によって提供されたデジタルテレビ信号を復号して、高解像度のまたは標準的な解像度の映像信号とそれに関連する音声信号とを提供する。ＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０はまた、アナログテレビ信号も復号して、出力映像および出力音声信号を提供する。ＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０によって提供されたこれらの映像信号および音声信号は、図１に示す表示デバイス１１４に付加される。
【００３４】
トリプルトランスポート復号器２１６によって提供された標準的な解像度の映像信号および音声信号は、ＲＦ送信器２１８（例えば、例えば９００ＭＨｚの周波数を送信する極超短波（ＵＨＦ）の送信器）に付加される。この信号を、遠隔地にあるディスプレイ１２０に接続された図１に示すＲＦ受信器１１８へとブロードキャストする。
【００３５】
図２に示すＩＲＤは、赤外線受信器２２２およびＲＦ受信器２２４も含む。これらの赤外線受信器２２２およびＲＦ受信器２２４は、図１に示すリモートＩＲ１１６およびリモートＲＦ１２２から来る制御コマンドを受信する。これらのコマンドを、トリプルトランスポート復号器２１６の２つのデータ入力ポートに付加する。トリプルトランスポート復号器２１６は、ＱＰＳＫチューナ／復調器２１０、チューナ／復調器２１２、アナログ復調器２１４ならびにＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器２２０の動作を制御する中央処理装置（ＣＰＵ）を含む。
【００３６】
リモートＩＲ１１６を用いて、表示デバイス１１４を見ている視聴者は、ＩＲＤ１１２を制御して、ＩＲＤ１１２による受信が可能な任意のテレビ信号にチューニングさせて表示させる。この際、チューニングおよび表示は、当該テレビ信号が高解像度の信号であるのかそれとも標準的な解像度信号は関係なく行われる。本発明の例示的実施形態において、ディスプレイ１２０を見ている視聴者は、リモートＲＦ１２２を用いて、標準的な解像度のデジタルテレビ番組をＩＲＤ１１２に表示させる。このようなデジタルテレビ番組は、衛星パラボラアンテナ１１０、地上のアンテナ（図示せず）またはデジタルケーブル接続部（図示せず）のいずれかからＩＲＤ１１２によって受信される。これらのテレビ信号は、映像成分および音声成分両方を含む。
【００３７】
図２では図示していないが、アナログ復調器２１４によって提供されるアナログテレビ信号を、ＲＦ送信器２１８によって提供することも可能であることが企図される。しかし、図１に示すディスプレイ１２０が従来のアナログテレビ受信器である場合、当該ディスプレイ１２０は、これらの信号を直接受信することができ、ＩＲＤ１１２を介してこれらの信号を受信しなくてもよい。
【００３８】
トリプルトランスポート復号器２１６が、高解像度のテレビ信号を直接復号して、ＨＤＴＶ信号またはＳＤＴＶ信号のいずれかをＲＦ送信器２１８に提供することも企図される。あるいは、トリプルトランスポート復号器２１６は、トランスポートストリームまたはＭＰＥＧビットストリームもしくはＡＴＳＣビットストリームをＲＦ送信器２１８に提供して、これらのストリームを遠隔地にあるディスプレイ１２０への送信対象とすることもできる。
【００３９】
本発明の別の代替的実施形態も実施可能であることが企図される。１つの別の実施形態において、ＲＦ送信器２１８およびＲＦ受信器１１８の代わりに、赤外線送信器（図示せず）および赤外線受信器（図示せず）を用いる。この別の実施形態において、ＲＦリモート制御デバイスの代わりに、リモートＩＲ１１６によって用いられるプロトコルと異なるプロトコルに従って動作する赤外線リモート制御デバイスを用いることも可能である。
【００４０】
本発明の別の実施形態において、ＲＦ送信器２１８およびＲＦ受信器１１８は、営業許可を受けていない帯域内にある周波数を用いたワイヤレス／家庭ネットワークリンクであり得る。
【００４１】
現在最先端となっているトランスポート復号器チップ（例えば、ＳＴｉ５５１４）は、一体性の強いデバイスであることが理解される。このようなトランスポート復号器チップは、入来するパケット化データを分離させる際に用いられるトランスポート復号器に加えて、ＩＲＤの一般的な動作（例えば、外部の揮発性メモリおよび不揮発性メモリ、標準的な解像度のＭＰＥＧ（動画専門家グループ）音声および映像用の復号器、画面上表示（ＯＳＤ）グラフィック生成器、ならびに他の補助的な周辺機器へのアクセス）を制御する際に用いられる汎用の中央処理装置（ＣＰＵ）も含む。高解像度の画像の復号は困難であるため、高解像度の復号器は典型的には、トランスポート復号器から独立した別個のデバイスとして実施される。このような復号器の一例として、集積回路ＳＴｉ７０２０がある。
【００４２】
標準的なインプリメンテーションにおいて、トランスポート復号器から入来するデータストリームから、映像（ＳＤおよび／またはＨＤ）パケットと音声パケットとを分離させる。この工程は、パケットヘッダ中に設けられたパケット識別（ＰＩＤ））情報を検出することにより行われる。映像情報および音声情報の両方を、先入れ先出し（ＦＩＦＯ）格納バッファ中に一時的に送る。この先入れ先出し（ＦＩＦＯ）格納バッファは、トランスポート復号器に接続されたメモリチップ中に配置される。これらの分離されたストリームは、１種類のデータ（例えば、音声、映像など）のみを含むところから、パケット化基本ストリーム（ＰＥＳ）として知られている。データバスを介して、これらの映像ＰＥＳパケットおよび音声ＰＥＳパケットを、この一時ＦｉＦＯからそのそれぞれの復号器に送る。高解像度の画像を復号する能力が必要となるため、これらの映像パケットおよび音声パケットを、外部の高解像度の映像／音声復号器（例えばＳＴｉ７０２０）へと経路設定する。図２に示す実施形態において、トリプルトランスポート復号器２１６内に配置された標準的な解像度の映像復号器／音声復号器は用いられない。
【００４３】
映像を復号した後、必要に応じてグラフィカルＯＳＤを追加する。例えば、番組ガイド情報または他のテキスト／グラフィックを映像画像上にオーバーレイする。次いで、各個々の画素を表すデジタルデータを、デジタル／アナログ（Ｄ／Ａ）変換器を用いて対応するアナログ電圧に変換し、画像を適切に表示する際にテレビ／モニタによって用いられる同期情報も、アナログ波形に追加する。次いで、これらのアナログ電圧をバッファリングし、テレビ／モニタへと送る。
【００４４】
例示的実施形態において、トリプルトランスポート復号器２１６内に配置された標準的な解像度映像／音声復号器を用いて、第２の独立した映像／音声ストリームを復号する。トリプル復号器内に配置されたＯＳＤ生成を用いることにより、第２の独立したグラフィカルＯＳＤも利用可能となる。この第２の映像／音声ストリームの処理は、処理をトリプル復号器の内部で行う点以外は一次映像／音声ストリームの場合と同様に行われる。トリプル復号器からのアナログ映像／音声出力をＲＦ送信器２１８に付加し、次いで、遠隔地に配置されたＲＦ受信器１１８へと送る。このＲＦ受信器は、ＲＦ送信器からの信号を復調し、ディスプレイ１２０に必要な映像／音声信号を生成する。ＲＦ送信器および受信器にかかるコストは、第２のＩＲＤにかかるコストよりもずっと少なく、またインターフェースがワイヤレスであるため、同軸ケーブルを新しく引き込む必要も無い。
【００４５】
典型的なＩＲＤの制御は、コマンドおよび制御データによって変調された赤外線光を用いて、手動リモート制御を介して行われる。ＩＲＤ方式は、低コスト性および信頼性という利点を有するものの、ＩＲリモートが機能するのは、リモート制御ユニットの見通し線内にＩＲＤが存在する場合のみである。ＲＦを介して動作するハンドヘルド方式のリモート制御を提供することにより、コマンドおよび制御データを壁を通じて部屋間で送信し、これにより、遠隔地にある位置にある独立したチャンネルを用いた視聴を可能にする。
【００４６】
さらに別の実施形態において、図３中にＩＲＤ３００を示す。ＩＲＤ３００は、図２に示すＩＲＤと異なり、チューナ／復調器３１０および３２０から受信した２つの別個の復調済み信号を復号するデュアル復号器３３０を含む。各チューナ／復調器は、地上ステーションまたは衛星ステーションからブロードキャストされた信号ＲＦ1および信号ＲＦ2を受信するようにチューニング可能である。デュアル復号器３３０は、ＲＦ信号から復号された音声／映像信号をＲＦ送信器３４０に送って、ＲＦ3としてさらなる送信対象にするか、または、局所的なディスプレイにおける視聴対象とすることができる。あるいは、デュアル復号器３３０は、ＲＦ2信号から復号された音声／映像信号をＲＦ送信器３４０に送って、ＲＦ3としてさらなる送信対象にするか、または、局所的なディスプレイにおける視聴対象とすることができる。本発明の例示的実施形態において、デュアル復号器３３０は、例えば、Ｂｒｏａｄｃｏｍ製のＢＣＭ７０４１の集積回路であり得る。
【００４７】
図示のように、マイクロプロセッサ３６０は、チューナ／復調器と、デュアル復号器とＲＦ送信器との動作を制御する。復号されたデータは、メモリ３６２中に格納することができる。視聴者は、ＩＲＤ１１２の場合と同様に、ＩＲ受信器３７０を介してＩＲＤ３００を局所的に制御することができる。第２の位置にいる別の視聴者は、ＲＦ受信器３９０を介してＩＲＤ３００をリモート制御することができる。各受信器は、入力／出力デバイス３８０を介してマイクロプロセッサ３６０に接続される。
【００４８】
本発明の全体をハードウェアとして実施する様式で本発明について説明を行ってきたが、本発明の一部は、ソフトウェアとしても実施可能であり、本発明の全体は、パーソナルコンピュータの文脈においても実施可能であることが企図される。例えば、トランスポートストリームからビットストリームへの復号と、復号対象である１つ以上のビットストリームの選択と、選択されたビットストリームの復号とを全て、ソフトウェアまたは汎用のパーソナルコンピュータとして実施することが可能である。このソフトウェアは、製造物（例えば、磁気ディスクまたは光ディスク、メモリカードまたは変調済みの無線周波数または音声周波数搬送波）として実現可能である。少なくとも２つのテレビ番組を表す信号を受信し得る１つ以上のチューナを有するコンピュータシステムにおいて、例示的なコンピュータソフトウェアを用いることが可能である。コンピュータシステムに結合された第１のモニタおよび第２のモニタ上にこれらの別個の信号に表示し、コンピュータに結合された第１のポインティングデバイスおよび第２のポインティングデバイス（例えばマウス）を用いて、コンピュータシステムを制御することが可能である。コンピュータシステムによって行われる別個のタスクは、マルチスレッド型システムの別個のスレッドであり得る。
【００４９】
本明細書中、本発明について特定の実施形態を参照しながら図示および説明してきたが、本発明は、これらの詳細に限定されるものとして意図されておらず、本発明の範囲およびその特許請求の範囲の均等物内においてかつ本発明の趣旨から逸脱することなく、これらの詳細に様々な改変を為すことが可能である。
【００５０】
ＩＲＤは、２つのチャンネルを独立した様式でかつ同時に視聴することを可能にする。これは、１つのチャンネルのみの受信および表示を行うＩＲＤと比較した場合にユニット用のコストを少し追加するだけで可能である。上記ＩＲＤは、第１のリモート制御デバイスおよび第２のリモート制御デバイスによって制御され、これにより、上記ＩＲＤに対して局所的な表示デバイス上に１つの番組を表示し、上記第２のテレビ信号を変調して、変調した上記第２のテレビ信号を、遠隔地にあるテレビ受信器に送信し、別のディスプレイ上での独立した視聴対象とする。
【００５１】
【発明の効果】
本発明により、異なる位置の２つのテレビディスプレイで視聴するために、２つの独立した信号を提供するように構成されたＩＲＤを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は、本発明の一実施形態による１つのＩＲＤを用いて、２箇所において２つの独立したチャンネルを視聴するためのシステムの模式的ブロック図である。
【図２】 図２は、本発明の一実施形態によるＩＲＤのブロック図である。
【図３】 図３は、本発明の別の実施形態によるＩＲＤのブロック図である。
【符号の説明】
１１２ ＩＲＤ
２１０ ＱＰＳＫチューナ／復調器
２１２ チューナ／復調器
２１４ アナログ復調器
２１６ トリプルトランスポート復号器
２１８ ＲＦ送信器
２２０ ＨＤ／ＳＤテレビ信号復号器
２２２ 赤外線受信器
２２４ ＲＦ受信器
Claims (12)
- ＩＲＤ（Ｉｎｔｅｇｒａｔｅｄ Ｒｅｃｅｉｖｅｒ／Ｄｅｃｏｒｄｅｒ）であって、
第１のデジタルテレビ信号と第２のデジタルテレビ信号とを少なくとも受信し、該受信された第１のデジタルテレビ信号と該受信された第２のデジタルテレビ信号とを第１のトランスポートストリームと第２のトランスポートストリームとに復調するデュアルチューナであって、該第１のデジタルテレビ信号は、第１のチャンネルからの番組を視聴するためのものであり、該第２のデジタルテレビ信号は、第２のチャンネルからの番組を視聴するためのものである、デュアルチューナと、
該復調された第１のトランスポートストリームと該復調された第２のトランスポートストリームとに応答して、デジタルテレビ音声ビットストリームとデジタルテレビ映像ビットストリームとを提供し、ＮＴＳＣ映像信号とそれに対応するＮＴＳＣ音声信号とを提供するトランスポート復号器であって、少なくとも１つのリモート制御器から選択信号を受信する少なくとも１つのリモート制御受信器を含むトランスポート復号器と、
ａ）デジタルテレビ音声ビットストリームおよびデジタルテレビ映像ビットストリーム、または、ｂ）ベースバンドテレビ信号のうちのいずれかをそれぞれ音声信号と映像信号とに変換するデュアルテレビ復号器と、
該ＮＴＳＣ映像信号とそれに対応する該ＮＴＳＣ音声信号とを用いて搬送波信号を変調し、該変調された搬送波信号を送信する局所的な送信器と
を備え、
該トランスポート復号器は、該受信された選択信号に応答して、該第１のトランスポートストリームおよび該第２のトランスポートストリームのうちの一方を選択し、該選択されたトランスポートストリームを該ＮＴＳＣ映像信号とそれに対応する該ＮＴＳＣ音声信号とに変換し、該第１のトランスポートストリームおよび該第２のトランスポートストリームのうちの一方を選択し、該選択されたトランスポートストリームを該デジタルテレビ音声ビットストリームと該デジタルテレビ映像ビットストリームとに変換する、ＩＲＤ。 - リモートアナログ受信器を備え、該リモートアナログ受信器は、前記変調された搬送波信号から前記ＮＴＳＣ映像信号とそれに対応する前記ＮＴＳＣ音声信号とを回復させる、請求項１に記載のＩＲＤ。
- 前記ＩＲＤは、第１の場所にあり、リモートアナログテレビ受信器は、第２の場所にあり、
該リモートアナログテレビ受信器は、前記変調された搬送波信号から前記ＮＴＳＣ映像信号とそれに対応する前記ＮＴＳＣ音声信号とを回復させ、
該ＩＲＤは、無線周波数（ＲＦ）リモート制御送信器をさらに備え、
該無線周波数（ＲＦ）リモート制御送信器は、該第２の場所から、該ＮＴＳＣ映像信号とそれに対応する該ＮＴＳＣ音声信号とを提供するように前記トランスポート復号器を制御することと、該送信されたＮＴＳＣ映像信号とそれに対応する該ＮＴＳＣ音声信号とを回復させるように前記リモートアナログテレビ受信器を制御することとを少なくとも行う、請求項１に記載のＩＲＤ。 - 前記局所的な送信器と前記リモートアナログテレビ受信器と前記リモート制御送信器とは、営業許可を受けた周波数帯域内のＵＨＦ周波数で動作する、請求項３に記載のＩＲＤ。
- 前記局所的な送信器と前記リモートアナログテレビ受信器と前記リモート制御送信器とは、ワイヤレス／ネットワークリンクによって用いられる営業許可を受けていない帯域内の周波数で動作する、請求項３に記載のＩＲＤ。
- テレビ信号を視聴する方法であって、
該方法は、
（ａ）第１のデジタルテレビ信号と第２のデジタルテレビ信号とをデュアルチューナにおいて少なくとも受信し、該受信された第１のデジタルテレビ信号と該受信された第２のデジタルテレビ信号とを第１のデジタルテレビトランスポートストリームと第２のデジタルテレビトランスポートストリームとに復調する工程であって、該第１のデジタルテレビ信号は、第１のチャンネルからの番組を視聴するためのものであり、該第２のデジタルテレビ信号は、第２のチャンネルからの番組を視聴するためのものである、工程と、
（ｂ）該第１のデジタルテレビトランスポートストリームと該第２のデジタルテレビトランスポートストリームとをトランスポート復号器において受け取り、リモート制御器からの選択信号を該トランスポート復号器において受け取り、デジタルテレビ音声ビットストリームとデジタルテレビ映像ビットストリームとを提供し、ＮＴＳＣ映像信号とそれに対応するＮＴＳＣ音声信号とを提供する工程と、
（ｃ）該デジタルテレビ音声ビットストリームと該デジタルテレビ映像ビットストリームとをデュアルテレビ復号器において受け取り、ｉ）該デジタルテレビ音声ビットストリームおよび該デジタルテレビ映像ビットストリーム、または、ｂ）ベースバンドアナログテレビ信号のうちの選択された一方をコンポーネント映像信号とコンポーネント音声信号とに変換する工程と、
（ｅ）該ＮＴＳＣ映像信号とそれに対応する該ＮＴＳＣ音声信号とを用いて搬送波信号を変調し、表示のために、該変調された搬送波信号をリモートアナログテレビ受信器に送信する工程と
を包含し、
該トランスポート復号器は、該受信された選択信号に応答して、該第１のトランスポートストリームおよび該第２のトランスポートストリームのうちの一方を選択し、該選択されたトランスポートストリームを該ＮＴＳＣ映像信号とそれに対応する該ＮＴＳＣ音声信号とに変換し、該第１のトランスポートストリームおよび該第２のトランスポートストリームのうちの一方を選択し、該選択されたトランスポートストリームを該デジタルテレビ音声ビットストリームと該デジタルテレビ映像ビットストリームとに変換する、方法。 - （ｆ）前記工程（ｅ）において送信された前記搬送波信号を用いて変調された該ＮＴＳＣ映像信号とそれに対応する該ＮＴＳＣ音声信号とをリモートテレビ受信器を用いて受信し、表示のために、該ＮＴＳＣ映像信号を回復させる工程を包含する、請求項６に記載の方法。
- 前記工程（ａ）は、
前記第１のデジタルテレビ信号と前記第２のデジタルテレビ信号とを選択するように前記デュアルチューナを制御することを包含する、請求項６に記載の方法。 - 前記工程（ａ）は、
前記第１のデジタルテレビ信号と前記第２のデジタルテレビ信号とを第１のリモート制御デバイスによって選択するように前記デュアルチューナを制御することと、
局所的なディスプレイにある局所的な位置から該第１のデジタルテレビ信号と該第２のデジタルテレビ信号とを第２のリモート制御デバイスによって選択するように該デュアルチューナを独立して制御することと
を包含する、請求項６に記載の方法。 - 前記第１のデジタルテレビ信号と前記第２のデジタルテレビ信号とを選択するように前記デュアルチューナを制御することは、リモートＵＨＦ制御信号を前記第１のリモート制御デバイスによって前記ＩＲＤに送信することを包含し、
該局所的な位置から該第１のデジタルテレビ信号と該第２のデジタルテレビ信号とを前記第２のリモート制御デバイスによって選択するように該デュアルチューナを独立して制御することは、前記第２のリモート制御デバイスから該局所的な位置にある該ＩＲＤに赤外線制御信号を送信することを包含する、請求項９に記載の方法。 - 前記工程（ａ）は、
第１のデジタルテレビ信号と第２のデジタルテレビ信号とを少なくとも受信し、Ｌ帯域１周波数とＬ帯域２周波数とを含む信号のセットから該受信された第１のデジタルテレビ信号と該受信された第２のデジタルテレビ信号とを復調する、請求項６に記載の方法。 - 前記工程（ｄ）は、第１の視聴者によって、前記表示された第１の映像信号を制御することを包含し、
前記工程（ｆ）は、第２の視聴者によって、前記表示された信号を制御することを包含し、該第２の視聴者による制御は、該第１の視聴者による制御から独立している、請求項７に記載の方法。
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