JP4115775B2 - 表面保護シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面保護シートに関する。本発明の表面保護シートは、たとえば、金属板、塗装板、アルミサッシ、樹脂板、化粧鋼板、塩化ビニルラミネート鋼板、ガラス板等の部材、偏光フィルム、液晶パネル等の光学部材、電子部材等を運搬、加工または養生する際等に、それら部材表面に貼り付け保護する用途等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
表面保護シートは、基材シートの片側に粘着層が設けられており、もう一方の片側にはシートをロール体から巻戻す際の剥離性を確保するための離型層が、通常、設けられている。かかる表面保護シートには保護性能が要求される他、必要な機能として経時保存後の剥離性、剥離後の汚染性等が重視される。特に汚染性は、被着体が光学部材、電子部材、塗装板や鏡面金属板等の場合に重要である。従来、このような用途の表面保護シートの粘着層、離型層は、基材シートに、有機溶剤に溶解した背面処理剤や粘着剤の溶液を、塗布乾燥することにより形成されていた。すなわち、溶剤型表面保護シートが一般的であった。しかし、近年では環境保全の観点や、粘着層や離型層からのアウトガス(有機溶剤ガス)による電子部品の故障低減の観点から、有機溶剤を使用しない表面保護シートの要求が高まりつつある。
【0003】
有機溶剤を使用しない手法の一つとしてポリオレフィン系樹脂からなる基材層と熱可塑性粘着樹脂からなる粘着層とを共押出し法により成形した表面保護シートが提案されている(特開昭61−103975号公報)。しかしながら、当該表面保護シートは、基材層と粘着層のみからなるため、ロール体にした場合に巻戻し性が悪く、巻戻し不可能となる場合がある。
【0004】
そのため、共押出し法で得られる表面保護シートには、さまざまな離型処理法が提案されている。たとえば、特開昭57−139163号公報では、基材層または粘着層に脂肪酸アミドを添加した離型処理法が提案されている。しかしながら、当該離型処理法では脂肪酸アミドが粘着層表面に転写を引き起こし、それが被着体へさらに転写して、汚染を引き起こしたり粘着力が低下するなどの問題があった。また、特開平2−252777号公報において基材層背面を、ロール、布などにより摩擦処理する方法が提案されている。しかしながら、当該離型処理法では均一な摩擦処理が困難なため良好な離型性を得ることができず、巻戻し力を十分に減少させることができない等の問題があった。また基材層の配合によっては離型効果にバラツキが生じることがある。さらには摩擦時に発生した樹脂粉は完全に除去することは不可能で、これが汚染等の原因になる。
【0005】
また金属板や光学部材等の被着体に貼付される表面保護シートは、その背面側に、識別を目的としてインク等により印字が施される場合がある。当該印字は、表面保護シートで保護した被着体を重ね合わせて、運搬等を行なった場合にも消えないことが望まれる(この特性を罫書き性という)。しかしながら、共押出し法によって成膜された表面保護シートは、背面側が運搬時の摩擦等で消失して、印字を識別できない場合があった。また、基材層背面に施して離型性を付与する前記摩擦処理は、ポリエチレン系樹脂のみにしか効果がないことから、背面層はポリエチレン系樹脂に限定されるため、罫書き性は低下した。
【0006】
特開平8−12948号公報では、ポリビニルアルコール溶液により離型層を形成した粘着シートが提案されている。当該粘着シートは罫書き性に問題はない。しかしながら、ポリビニルアルコール単独で形成された離型層は、耐湿性が悪く、加湿下で保存したり屋外に放置した場合には、溶解して印字が消失してしまい、背面層が汚染される場合がある。一方、ポリビニルアルコールを架橋させることにより、耐湿性はある程度向上するが、この場合には有機溶剤または水中にポリビニルアルコールと架橋剤を溶解した溶液を調製した後に、離型層を塗布、乾燥する工程を設けなければならず、生産工程が複雑化したり、有機溶剤等のアウトガスが発生するなどの問題がある。
【0007】
また、共押出し法で得られる表面保護シートにおいて、添加系による離型処理法として、特開平11−43655号公報では、長鎖アルキル系背面処理剤を離型層中に添加されたものが提案されている。しかしながら、良好な巻戻し力が得られるように背面処理剤の添加部数を増やすと、逆に汚染が発生しやすくなる。さらには罫書き性を向上させるためには多量に添加する必要があるが、これもまた汚染が発生しやすい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基材層と粘着層が共押出しによって成膜されている表面保護シートであって、巻回体等からの巻戻し性が良好で、粘着層への離型成分の転写がなく汚染性の問題がなく、しかも罫書き性に優れた表面保護シートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に示す表面保護シートを見出し本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、少なくとも1層の熱可塑性樹脂を含有する基材層と、熱可塑性粘着樹脂を含有する粘着層が共押出しによって成膜されている表面保護シートであって、
粘着層に対して背面層となる基材層が、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有することを特徴とする表面保護シート、に関する。
【0011】
前記表面保護シートは、基材層が少なくとも2層ある場合には、粘着層に対して背面層となる基材層が、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有するものである。
【0012】
前記表面保護シートにおいて、背面層となる基材層は、熱可塑性樹脂としてエチレン・ビニルアルコール共重合体を20重量%以上含有することが好ましい。また前記表面保護シートにおいて、背面層となる基材層は、熱可塑性樹脂としてエチレン・ビニルアルコール共重合体のみを含有していることが好ましい。
【0013】
また前記表面保護シートは、JIS Z 0237における低速巻戻し力が2[N/20mm]以下であることが好ましい。
【0014】
上記本発明の表面保護シートは、基材層と粘着層が共押出し法によって成膜されており、しかも基材層のなかで、粘着層に対する背面層は、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有しており、良好な巻戻し性を有する。そのため、本発明の表面保護シートは、JIS Z 0237(2000)における低速巻戻し力が2[N/20mm]以下を実現可能である。低速巻戻し力は、小さいほど好ましく、0.1〜1.8[N/20mm]以下であるのが好ましい。
【0015】
前記背面層は、脂肪酸アミドや長鎖アルキル背面処理剤等を有しないために汚染も発生しない。そのため粘着層への離型成分の転写がなく、粘着層の安定性もよい。またエチレン・ビニルアルコール共重合体は水に対して溶解せず、インキ等との親和性も良好であるために罫書き性も良好である。さらにエチレン・ビニルアルコール共重合体は熱可塑性樹脂であるため、Tダイ法やインフレーション法による押出し成形が容易であり、基材層として、共押出し法による成膜が可能であるために工程も簡略化することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。図1、図2は、表面保護シートの断面図であり、基材層1と粘着層2が共押出し法によって成膜されている。基材層1は少なくとも1層を有する。図1では、基材層1が1層の場合であり、この場合には基材層1そのものが、粘着層2に対する背面層になる。図2では、基材層1として、基材層1aと基材層1bの2層を有する場合である。図2では、基材層1aが背面層になる。
【0017】
前記背面層となる基材層(図1の基材層1,図2の基材層1a)は、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有する。エチレン・ビニルアルコール共重合体は、エチレンと酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニルとの共重合体をケン化することによって得ることができる。ケン化度は50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%〜100%である。ケン化度が50%未満では良好な離型性(巻戻し性)を得ることができない。
【0018】
また、良好な離型性を得るためにはエチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン含量は20〜90モル%が好ましく、さらに好ましくは25〜80モル%、特に30〜50モル%が好ましい。エチレン含量が90モル%を超えると良好な離型性が得られない場合があり、20モル%未満では水分の影響により背面層が膨張収縮しやすく、表面保護シートの浮き現象等の原因となりやすい。
【0019】
エチレン・ビニルアルコール共重合体の、具体例としては、たとえば、『ソアノール』(日本合成化学工業社(株)製)、『エバール』((株)クラレ製)、『メルセンH』(東ソー(株)製)、『テクノリンク』(田岡化学工業(株)製)等が入手可能である。これらエチレン・ビニルアルコール共重合体は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0020】
前記エチレン・ビニルアルコール共重合体は、その分子中に含まれる水酸基が他の成分と反応することなく残存した状態で背面層を形成していることが巻戻し性、罫書き性の点から好ましい。特に汚染性低減の点からは背面層を形成する熱可塑性樹脂は、エチレン・ビニルアルコール共重合体のみからなることが好ましい。なお、背面層の熱可塑性樹脂が「エチレン・ビニルアルコール共重合体のみからなる」とは、背面層を形成する熱可塑性樹脂としてエチレン・ビニルアルコール共重合体を単独使用することいい、エチレン・ビニルアルコール共重合体を完全ケン化物のみに限定し、部分ケン化物を除外する意味ではない。また背面層に熱可塑性樹脂以外の他の成分の添加を除外するものではない。
【0021】
前記背面層となる基材層は、前記エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有する他、他の熱可塑性樹脂を含有することができる。他の熱可塑性樹脂としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体の分子中に含まれる水酸基との反応性を示さないものが好ましい。
【0022】
エチレン・ビニルアルコール共重合体の分子中に含まれる水酸基との反応性を示さない熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂.ポリスチレン系樹脂等の公知の熱可塑性樹脂があげられる。これら熱可塑性樹脂は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0023】
前記熱可塑性樹脂のなかでも、焼却時やリサイクル性の観点からポリオレフィン系樹脂が好ましい。具体的には、ポリプロピレンまたはプロピレン成分とエチレン成分からなるブロック系、ランダム系等のプロピレン系ポリマー;低密度、高密度、直鎖状低密度ポリエチレン等のエチレン系ポリマー;エチレン−αオレフィン共重合体などのオレフィン系ポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン成分と他モノマーとのオレフィン系ポリマー等を例示できる。これらポリオレフィン系樹脂は1種を単独でまたは2種以上を用いることができる。
【0024】
背面層に上記熱可塑性樹脂を添加する場合には、背面層の離型性を損なわない程度に配合される。背面層に占めるエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は20重量%以上とすることが望ましい。エチレン・ビニルアルコール共重合体の配合量が20重量%未満の場合には離型性が低下したり、オレフィン系樹脂と混合した場合には罫書き性が低下する場合がある。背面層に占めるエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は、30重量%以上、さらには50重量%以上である。
【0025】
また、背面層には、耐湿性向上を日的として、熱処理等を施すことができる。また背面層には、劣化防止等を目的に、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤、帯電防止剤、その他、例えば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の充填剤、顔料、目ヤニ防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤等の適宜な添加剤も配合することができる。
【0026】
基材層1が少なくとも2層からなる場合には、前記背面層(図2の基材層1a)とともに、背面層以外の基材層(図2の基材層1b)を共押出しする。背面層以外の基材層は1層または2層以上の多層構造とすることができる。背面層以外の基材層に用いることができる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂.ポリスチレン系樹脂等の公知の熱可塑性樹脂があげられる。これら熱可塑性樹脂は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0027】
前記熱可塑性樹脂のなかでも、焼却時やリサイクル性の観点からポリオレフィン系樹脂が好ましい。具体的には、ポリプロピレンまたはプロピレン成分とエチレン成分からなるブロック系、ランダム系等のプロピレン系ポリマー;低密度、高密度、直鎖状低密度ポリエチレン等のエチレン系ポリマー;エチレン−αオレフィン共重合体などのオレフィン系ポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン成分と他モノマーとのオレフィン系ポリマー等を例示できる。さらには前述のエチレン・ビニルアルコール共重合体を例示できる。これらポリオレフィン系樹脂は1種を単独でまたは2種以上を用いることができる。なお、基材層には、背面層に適用したものと同様の各種添加剤を配合することができる。基材層1の厚さは特に制限されないが、20〜300μm程度、好ましくは30〜250μm、さらに好ましく40〜200μmが一般的である。図2のように基材層1が少なくとも2層からなる場合には、その背面層(図2の基材層1a)は、0.5〜40μm程度、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは5〜10μmである。
【0028】
粘着層2には、スチレン系粘着樹脂、ウレタン系粘着樹脂、エステル系粘着樹脂、オレフィン系粘着樹脂などの公知の熱可塑性粘着樹脂を用いることができる。好ましくはスチレンとジエン成分とのブロックポリマーやランダムポリマー、さらにはそれらの水添物等のスチレン系粘着樹脂、オレフィン系粘着樹脂等があげられる。具体的にはスチレン・ブタジエン(SB)、スチレン・イソプレン(SI)、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体(SEB)、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体(SEP)の如きA−B型ジブロックポリマー、スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレン(SIS)、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレン(SEBS)、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体・スチレン(SEPS)の如きA−B−A型トリブロックまたはA−B−A−B型テトラブロック以上のマルチブロックポリマー、スチレン・ブタジエンラバー(SBR)の如きスチレン系ランダム共重合体、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・オレフイン結晶(SEBC)の如きA−B−C型のスチレン・オレフィン結晶系ブロックポリマー等のスチレン系粘着樹脂、オレフィン結晶・エチレン−ブチレン共重合体・オレフィン結晶(CEBC)の如きC−B−C型のオレフィン結晶系ブロックポリマー、エチレン−αオレフィン、エチレン−プロピレン−αオレフィン、プロピレン−αオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系粘着樹脂、さらにはそれらの水添物等などをベースポリマーとするものあげられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
粘着層2の形成に際しては、粘着特性の制御等を目的に、必要に応じて、例えば軟化剤、基材層に用いたようなオレフィン系樹脂、シリコーン系ポリマー、液状アクリル系共重合体、リン酸エステル系化合物、粘着付与剤、老化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、その他に、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の充頃剤や顔料などの添加剤を適宜に配合することができる。
【0030】
前記添加剤のなかでも粘着付与剤の配合は、粘着層2の接着力の向上に有効である。粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体系や脂環式系共重合体等の石油系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、テルぺン系樹脂、テルぺンフェノール系樹脂、重合ロジン等のロジン系樹脂、(アルキル)フェノール系樹脂、キシレン系樹脂またはこれらの水添物などの、一般的に粘着剤に使用されるものを特に制限なく使用できる。これら粘着付与剤は1種を単独でまたは2種以上を用いることができる。剥離性や耐候性などの点から水添系の粘着付与剤が好ましい。なお、粘着付与剤は、オレフィン樹脂とのブレンド物として市販されているものを使用することもできる。
【0031】
粘着付与剤を使用する場合、その配合量は特に制限されないが、凝集力の低下による糊残り問題の発生を回避した接着力の向上などの点より、熱可塑性粘着樹脂100重量部に対して、80重量部以下、さらには60重量部以下、特に50重量部以下とするのが好ましい。配合量が100重量部を超えると高温や屋外暴露時での糊残りが顕著となる。
【0032】
また前記添加剤として軟化剤を配合すると、通例、接着力の向上に有効である。軟化剤としては、例えば、低分子量のジエン系ポリマー、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、エチレンプロピレンゴムやそれらの誘導体があげられる。前記誘導体としては、たとえば、片末端または両末端にOH基やCOOH基を有するものを例示でき、具体的には水添ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンモノオール、水添ポリイソプレンジオール、水添ポリイソプレンモノオールなどがあげられる。特に、被着体に対する接着性の向上を抑制する目的からは、水添ポリブタジエンや水添ポリイソプレン等のジエン系ポリマーの水添物やオレフィン系軟化剤等が好ましい。具体的には(株)クラレ製の商品名「クラプレンLIR−200」等が入手可能である。これら軟化剤は1種を単独でまたは2種以上を用いることができる。
【0033】
なお、軟化剤の分子量は特に制限されず適宣に設定できるが、分子量が小さくなると粘着層2からの被着体への物質移行や重剥離化等の原因となるおそれがあり、一方、分子量が大きくなると接着力の向上効果に乏しくなる傾向があることから、軟化剤の数平均分子量は5000〜10万程度、特に1万〜5万のものが好ましい。
【0034】
軟化剤を使用する場合、その配合量は特に制限されないが、配合量が多くなると、高温や屋外暴露時での糊残りが増加する傾向にあることから、熱可塑性粘着樹脂および軟化剤を含む粘着剤組成物100重量部に対して、60重量部以下、さらには30重量部以下、特に15重量部以下であるのが好ましい。
【0035】
粘着層2の厚さは、特に制限定されず、要求される接着力などに応じて適宜に決定すればよいが、通常1〜50μm程度であり、好ましくは2〜40μm、さらに好ましくは5〜20μmである。
【0036】
なお、粘着層2の表面には、例えば、コロナ放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、プラズマ処理やスパッタエッチング処理などの、粘着性の制御や貼付作業性等を目的とした表面処理を必要に応じて施すこともできる。さらに、粘着層2には必要に応じて、実用に供されるまでの間、セパレータなどを仮着して保護することもできる。
【0037】
表面保護シートの作製は、二層または多層にて、少なくとも1層の基材層1と、粘着層2を、Tダイ法やインフレーション法にて共押出しする方法などの形成方法に準じて行うことができる。共押出し法による表面保護シートの形成方法は生産性やコストの点から好ましい。また、手切れ性や耐スリップ性付与のために表面保護シートの背面層側には、エンボス加工や凹凸加工等を施しても構わない。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何等限定されるものではない。
【0039】
実施例1
エチレン含量が44モル%であるエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業(株)製,ソアノールAT4403)からなる背面層(基材層)形成材と、直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学(株)製,エボリューSP2020)100重量部に対して白色顔料(大日精化工業(株)製,HCM2035W)4重量部を添加した基材層形成材と、スチレン・エチレンブチレン・スチレンポリマー(旭化成社製,タフテックH1221)からなる粘着層形成材を、インフレーション法にてダイス温度240℃にて共押出しして成膜し、背面層10μm/基材層100μm/粘着層10μmの表面保護シートを得た。
【0040】
実施例2
エチレン含量が29モル%であるエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業(株)製,ソアノールDT2903)100重量部に対して低密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製,ノバテック LDLF580)30重量部を添加した背面層形成材と、ポリプロピレン(出光石油化学(株)製,IDEMITSU PPF−704)100重量部に対してポリプロピレン(出光石油化学(株)製,IDEMITSU PP F−7 44)100重量部および直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学(株)製,エボリューSP2040)50重量部を添加した基材層形成材と、プロピレン含量が80重量%であるエチレン・プロピレン・ブテン−1からなる粘着層形成材を、Tダイ法にてダイス温度260℃にて共押出しして成膜し、背面層5μm/基材層40μm/粘着層10μmの表面保護シートを得た。
【0041】
実施例3
エチレン含量が44モル%であるエチレン・ビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業(株)製,ソアノールAT4403)からなる背面層形成材と、低密度ポリエチレン(東ソー(株)製,ペトロセン173)からなる基材層形成材と、密度0.903g/cm3 であるエチレン−αオレフィン共重合体(日本ポリケム(株)製,カーネルKF260)からなる粘着層形成材を、インフレーション法にてダイス温220℃にて共押出しして成膜し、背面層5μm/基材層45μm/粘着層10μmの表面保護シートを得た。
【0042】
比較例1
実施例1において、背面層形成材として、低密度ポリエチレン(東ソー社製,ベトロセン173)を使用したこと以外は、実施例1に準じて、表面保護シートを作製した。
【0043】
比較例2
比較例1で作製した表面保護シートの背面層表面をポリエステル不織布(旭化成社製、エルタス)で摩擦処理して表面保護シートを作製した。
【0044】
比較例3
直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学(株)製,エボリューSP2020)100重量部に対して白色顔料(大日精化工業(株)製,HCM2035W)4重量部を添加した基材層形成材と、スチレン・エチレンブチレン・スチレンポリマー(旭化成社製、タフテックH1221)からなる粘着層形成材を、インフレーション法にてダイス温度240℃にて共押出して成膜し、基材層100μm/粘着層10μmの表面保護シートを得た。この表面保護シートの基材層側にはコロナ処理を施した。次いで、ポリビニルアルコール水溶液((株)クラレ製,ポバールPVA120)を塗布し、乾燥後厚み1μmの背面層を形成した表面保護シートを作製した。
【0045】
比較例4
実施例2において、背面層形成材として、直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製、エボリューSP2040)100重量部に対して長鎖アルキル系背面処理剤(一方社油脂(株)製,ピーロイル1200)2 重量部を添加した背面層形成材を使用したこと以外は、実施例2に準じて、表面保護シートを作製した。
【0046】
比較例5
実施例2において、背面層形成材として、直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製、エボリューSP2040)100重量部に対してエチレンビスステアリルアミド(日本化成(株)製)0.3重量部を添加した背面層形成材を使用したこと以外は、実施例3に準じて、表面保護シートを作製した。
【0047】
実施例および比較例で得られた表面保護シートについて下記評価を行った。結果を表1に示す。
【0048】
(巻戻し力)
表面保護シートのロール品を、50℃で1週間保存した後に、インストロン型引張試験機((株)島津製作所製,オートグラフ)にてJIS Z 0237(2000)に基づいて、引張速度300mm/minで、巻戻すシートとロール面との角度が垂直になるように巻戻しを行い、低速巻戻し力(N/20mm)を測定した。
【0049】
(汚染性)
表面保護シートのロール品を、50℃/95%RHの環境下で1週間保存した後に、ステンレス鏡面板(SUS304)および黒色のポリエステルメラミン塗装板に貼付して、さらに50℃/95%RHの環境下に1週間保存し、それを室温(23℃)にて剥離した。その時、被着体表面の汚染の有無を確認した。
【0050】
(罫書き性)
表面保護シートの背面層に市販の油性インクにてペン書きした。その後に、ポリエステル不織布(旭化成(株)製,エルタス)にて、その表面を10往復摩擦処理を行ない、ペン字の消え具合を確認した。その時、ペン字の消失がない場合を「○」、ある場合を「×」とした。
【0051】
【表1】
Figure 0004115775
表1から、実施例の表面保護シートは、良好な巻戻し性を有し、汚染も発生せず、かつ罫書き性にも優れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面保護シートの一例の断面図である。
【図2】本発明の表面保護シートの一例の断面図である。
【符号の説明】
1 :基材層
1a:背面層となる基材層
2 :粘着層

Claims (7)

  1. 少なくとも2層の熱可塑性樹脂を含有する基材層と、熱可塑性粘着樹脂を含有する粘着層が共押出しによって成膜されている表面保護シートであって、
    粘着層に対して背面層となる基材層が、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有し、かつ前記熱可塑性粘着樹脂を含有する粘着層が、スチレンとジエン成分とのポリマー、エチレン−αオレフィン共重合体、およびエチレン・プロピレン・ブテン−1からなる群より選択されることを特徴とする表面保護シート。
  2. 前記スチレンとジエン成分とのポリマーが、スチレン・エチレンブチレン・スチレンポリマーであることを特徴とする請求項1記載の表面保護シート。
  3. 背面層となる基材層が、熱可塑性樹脂としてエチレン・ビニルアルコール共重合体を20重量%以上含有することを特徴とする請求項1または2記載の表面保護シート。
  4. 背面層となる基材層が、熱可塑性樹脂としてエチレン・ビニルアルコール共重合体のみを含有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の表面保護シート。
  5. 前記エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン含量が、30から50モル%であることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の表面保護シート。
  6. 前記背面層となる基材層の厚さが0.5μmから10μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の表面保護シート。
  7. JIS Z 0237における低速巻戻し力が2[N/20mm]以下であることを特徴とする請求項1からまでのいずれかに記載の表面保護シート。
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