JP4113796B2 - 押釦スイッチ用部材とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、携帯電話、自動車電話等の移動体通信機器、家庭用電話、FAX装置、電子手帳、計測機器類、車載用スイッチ、リモコン或いは、パソコン用キーボード等に用いられる押釦スイッチの部品である押釦スイッチ用部材とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話、自動車電話等の移動体通信機器、家庭用電話、FAX装置、電子手帳、計測機器類、車載用スイッチ、リモコン或いは、パソコン用キーボード等の電気・電子装置又は、機器等の操作部には、縦横に個々独立した複数のキートップが配置されている押釦スイッチ用部材が用いられているものがある。
【0003】
この押釦スイッチ用部材の指に触れるキートップは、操作時の感触が硬いものが好まれることや摩擦による摩耗を防ぐため、ポリカーボネート樹脂等の硬質樹脂が使用されているものが多い。さらに、このキートップは、耐寒性、耐熱性、耐候性、精密成形性、電気絶縁性に優れているシリコーンゴムからなるベース部材に接着剤を介して所定位置に固着され一体化されていることが多い。
【0004】
また、ベース部材のシリコーンゴムは接着性に乏しいので、ベース部材からキートップが外れた場合においても、電気・電子装置又は機器等からの脱落を防止できるように、キートップの外周底部に、電気・電子装置又は機器等の外装パネルに係止されるフランジ部が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
さらに、近年、前述したような電気・電子装置又は機器等の小型化に伴い、その操作部に用いている押釦スイッチ用部材においても小型化が要望されている。
【0006】
このため、個々独立した複数のキートップからなる押釦スイッチ用部材については、キートップ同士をできるだけ密集させてキートップ同士の間隔を狭くすることで、押釦スイッチ用部材の小型化の要望に応えていた。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−243175(第2図)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のキートップにフランジ部が形成されている押釦スイッチ用部材にあっては、ベース部材に配置される複数のキートップのうち、特定のキートップのフランジ部が隣接する他のキートップ側に設けられる場合、この特定のキートップと他のキートップとの間には、少なくともフランジ部が他のキートップに干渉しないだけの間隔を設ける必要があるため、隣接するキートップ同士を密集させて間隔を狭くするのには限界があった。このため、押釦スイッチ用部材の小型化の要望に応えることが困難な場合があった。
【0009】
そこで、この発明は以上のような従来の技術の問題点を解消するためになされたもので、フランジ部を有するキートップであっても、キートップ同士の間隔を狭くでき、押釦スイッチ用部材の小型化といった要望に応えることができる押釦スイッチ用部材とその製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成するため、請求項1に記載の発明は、外周底部にフランジ部を有する立体形状をした硬質樹脂製のキートップが、弾性樹脂製のベース部材に複数隣接して配置された押釦スイッチ用部材であって、前記押釦スイッチ用部材の完成状態において、隣り合うキートップ同士のうち、特定のキートップの前記フランジ部の少なくとも一部は、他のキートップの平面投影面積内にあり、前記ベース部材には、前記複数のキートップを固着する台座部を有し、前記他のキートップの台座部の高さは、前記特定のキートップの台座部の高さより、高くしており、該他のキートップを押し下げたときに前記特定のキートップに干渉しない高さのクリアランスを設けて重なり合うようにしていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、外周底部にフランジ部を有する立体形状をした硬質樹脂製のキートップを弾性樹脂製のベース部材に複数隣接して配置されている押釦スイッチ用部材の製造方法であって、前記キートップを固着する高低差のある隣り合う複数の台座部を所定の位置に配置した前記ベース部材を成形する成形行程と、前記押釦スイッチ用部材の完成状態の平面視において、少なくとも一つ以上離れて配置されるキートップ同士を一組のキートップ群として同時成形する前記キートップ群の成形工程と、該キートップ群の成形工程後に前記同時成形された前記キートップ同士を接続する接続部を切除して個々独立した前記キートップを形成する切除工程と、該切除行程により前記完成状態の間隔を保ったままの個々独立した前記キートップを、前記ベース部材の前記複数の台座部の所定の位置に固定する固定工程とにより、前記ベース部材の高い台座部に固定された前記キートップを押し下げたときに、低い台座部に固定された前記キートップに干渉しないようにしていることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0015】
[発明の実施の形態1]
図1乃至図3は、この発明の実施の形態1に係る図であって、図1は押釦スイッチ用部材の平面図であり、図2は押釦スイッチ用部材を示した、図1のA−A線に沿う拡大断面図であり、図3は複数組のキートップ群が一体に成形された状態の平面図である。
【0016】
まず構成を説明すると、図1中符号1は、押釦スイッチ用部材であって、この押釦スイッチ用部材1は、指先に触れる感触と操作感の品質向上を目的として硬質樹脂製からなる立体形状をしたキートップ2が、弾性樹脂製のベース部材3に接着剤7を介して複数隣接して配置されている。
【0017】
また、この実施の形態1では、後述する第1のキートップ群12のキートップ2をキートップ2aとし、第2のキートップ群13のキートップ2をキートップ2bとし、第3のキートップ群14のキートップ2をキートップ2cとしている(図3参照)。
【0018】
そして、キートップ2a,2b,2cは、天面部及び/又は底面部に文字、記号等の装飾4が印刷や塗装等により表示され、底面部は略平面形状に形成されている。
【0019】
さらに、キートップ2a,2b,2cの外周底部の少なくとも一部に、図1及び図2に示すように、フランジ部5が形成されており、押釦スイッチ用部材1の完成状態の平面投影面積において、最外部を形成するキートップ2b,2cのフランジ部5は、電気・電子装置又は機器等の外装パネル(図示せず)の下側に配置できる形状に形成され、その外装パネルに上側から係止される。
【0020】
また、押釦スイッチ用部材1の完成状態において、隣り合うキートップ2a,2b,2c同士のうち、特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5の少なくとも一部は、他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)の平面投影面積内にある。
【0021】
つまり、特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5の少なくとも一部が他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)の底面部の下側に重なり合っている。例えば、図1に示すように、「8」及び「0」の装飾4が表示されたキートップ2aは、このフランジ部5が、隣接する「7」の装飾4が表示されたキートップ2b、「9」の装飾4が表示されたキートップ2b、「*」及び「♯」の装飾4が表示されたキートップ2cの底面部の下側に重なり合っている。
【0022】
また、「7」又は「9」の装飾4が表示されたキートップ2bは、その底面部に、前述したように、「8」及び「0」の装飾4が表示されたキートップ2aのフランジ部5が重なり合っており、さらに、「4」及び「6」の装飾4が表示されたキートップ2c側に形成されたフランジ部5が、このキートップ2cの底面部に重なり合い、「8」及び「0」のキートップ2aと反対側の側面部側に形成されたフランジ部5は、電気・電子装置又は機器等の外装パネルの下側に配置さる。
【0023】
このように、全てのキートップ2a,2b,2cには、隣接するキートップ2a,2b,2cの底面部や、電気・電子装置又は機器等の外装パネルに係止されるフランジ部5を有しているので、ベース部材3からキートップ2の接着が外れた場合においても、電気・電子装置又は、機器等から脱落することがない。
【0024】
ベース部材3は、図2に示すように、接着剤7が接着され複数のキートップ2a,2b,2cが固着される複数の台座部8と、この台座部8同士を繋ぐ基部9と、この台座部8の下側に設けた押釦スイッチの電気接点を押圧するための押子10とを備えた形状をしている。
【0025】
台座部8の接着剤7が塗布される接着面は、この接着面に固着されるキートップ2a,2b,2cの底面部より小さい面積である。さらに、前述した他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)が固着される台座部8の高さを、特定のキートップ(2a又は2b)の高さより高くしている。つまり、キートップ2aが固着される台座部8の高さを最も低く、キートップ2bが固着される台座部8の高さをキートップ2aが固着される台座部8より高く、そして、キートップ2cが固着される台座部8の高さを最も高くしている。
【0026】
また、この台座部8の高さ寸法としては、少なくとも他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)を押し下げたときに、この底面部が、特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5に干渉しないクリアランスLが設けられるような高さに設定されている。
【0027】
これにより、特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5を、隣接する他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)に重ね合わせることができるので、キートップ2a,2b,2c同士の間隔を狭くすることができる。
【0028】
次に、このような押釦スイッチ用部材1を製造する製造方法について説明する。
【0029】
まず、押釦スイッチ用部材1の完成状態の平面視において、少なくとも一つ以上離れて配置されるキートップ2a,2b,2c同士を一組のキートップ群12,13,14として同時成形する成形工程を説明する。
【0030】
キートップ2a,2b,2cの材質は、特に限定されるものではないが、成形性や接着剤7との接着性等を考慮すると、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS系樹脂等の熱可塑性樹脂から選択すればよい。
【0031】
そして、この熱可塑性樹脂を射出成形やトランスファー成形等により、各キートップ2a,2b,2cを所要のキー形状となるように成形する。さらに、図3に示すように、そのキートップ2a,2b,2cは、複数のキートップ2aからなる第1キートップ群12、複数のキートップ2bからなる第2キートップ群13及び複数のキートップ2cからなる第3キートップ群14毎に成形すると共に、各キートップ2a,2b,2c及び各キートップ群12,13,14を接続する接続部11を一体に同時成形している。
【0032】
具体的には、第1キートップ群12は、押釦スイッチ用部材1の完成状態において、「2」及び「5」と、「8」及び「0」とが表示される複数のキートップ2aからなり、第2キートップ群13は、「1」及び「3」と、「7」と、「9」とが表示される複数のキートップ2bからなり、第3キートップ群14は、「4」及び「6」と、「*」及び「♯」とが表示される複数のキートップ2cからなる。また、各キートップ群12,13,14の各キートップ2a,2b,2cの間隔は、押釦スイッチ用部材1の完成状態における間隔と同一としている。
【0033】
そして、このキートップ2a,2b,2cの天面部に、文字、記号等の装飾4を印刷や塗装等により表示する。
【0034】
このように、押釦スイッチ用部材1のキートップ2a,2b,2cを一度に一体に成形できるため、生産コストを削減できると共に、取り扱い性においても向上させることができる。
【0035】
なお、第1キートップ群12、第2キートップ群13及び第3キートップ群14を一体に成形したが、これに限定されず、各キートップ群12,13,14が別個となるように成形してもよい。
【0036】
次いで、この成形工程後、完成状態の間隔を保ったまま、同時成形されたキートップ2a,2b,2c同士を接続する接続部11を切除してフランジ部5を有する立体形状の個々独立したキートップ2a,2b,2cを形成する切除工程を説明する。
【0037】
まず、一体成形された各キートップ群12,13,14をレーザや抜金具等(図示せず)で、図3に示した二点鎖線に沿わせて、キートップ2a,2b,2cの間隔を保った状態で一度に所定形状に打ち抜いてキートップ2a,2b,2cから接続部11等を取り除く。つまり、キートップ2のフランジ部5を残して接続部11を切断して、完成状態の配置寸法を保った状態で個々独立したキートップ2a,2b,2cからなる第1、第2、第3キートップ群12,13,14が製作される。
【0038】
このようにすると、後述する所定の配置に組み合わせる配置工程を容易にできるため、押釦スイッチ用部材1の生産性を向上することができる。
【0039】
次いで、成形工程及び切除工程により完成された個々独立した複数のキートップ2a,2b,2cからなる複数組のキートップ群12,13,14を所定の配置に組み合わせる配置工程及び、複数組のキートップ群12,13,14を、ベース部材3に固定する固定工程を説明する。
【0040】
ベース部材3は、耐寒性、耐熱性、耐候性、精密成形性、電気絶縁性等を考慮するとシリコーンゴムを選択するのが好ましい。
【0041】
そして、このシリコーンゴムの組成物を金型(図示せず)内に挿入し、複数の台座部8、押子10及び、この台座部8同士を繋ぐ基部9を備えた所要の形状に成形される。
【0042】
そして、この台座部8の接着面に、印刷やディスペンス方式等により所定量の接着剤7を塗布する。
【0043】
その後、前述した成形工程及び切除工程により各キートップ群12,13,14のキートップ2a,2b,2cを別個独立にした後、抜金型等から真空圧により引き上げが可能な真空ポンプを備えた吸着治具(図示せず)を用いて、ベース部材3の所定位置に配置して組み付ける。
【0044】
具体的には、第1キートップ群12の全てのキートップ2aを完成状態の配置寸法を保ったまま、吸着治具で引き上げ固定する。そして、キートップ2aの底面部を、接着剤7を介してベース部材3の所定位置の台座部8に重なり合う位置に移動させ、吸着治具で所定時間圧力をかけてベース部材3とキートップ2aとを一体化する(図1又は図2参照)。
【0045】
さらに、第2キートップ群13の全てのキートップ2bを完成状態の配置寸法を保ったまま、吸着治具で引き上げ固定する。そして、キートップ2bの底面部を、接着剤7を介してベース部材3の所定位置の台座部8に重なり合う位置に移動させると共に、すでにベース部材3に固着されているキートップ2aのフランジ部5の上側に干渉しない高さのクリアランスLを設けて重ね合わせて、吸着治具で所定時間圧力をかけてベース部材3とキートップ2bとを一体化する(図1又は図2参照)。
【0046】
そして、第3キートップ群14の全てのキートップ2cを完成状態の配置寸法を保ったまま、第1、第2キートップ群12,13と同様に、吸着治具で引き上げ、接着剤7を介してベース部材の所定位置の台座部8に重なり合う位置に移動させると共に、すでにベース部材3に固着されているキートップ2a,2bのフランジ部5の上側に干渉しない高さのクリアランスLを設けて重ね合わせて、吸着治具で所定時間圧力をかけてベース部材3とキートップ2cとを一体化する(図1又は図2参照)。
【0047】
これにより、第1キートップ群12、第2キートップ群13及び第3キートップ群14がベース部材3の所定位置に配置され組み立てられ、隣接するキートップ2a,2b,2c同士の間隔が狭い押釦スイッチ用部材1が得られる。
【0048】
なお、台座部8の接着面に直接接着剤7を塗布しているが、これに限定されず、台座部8の接着面の接着性を向上させるために、接着面のシリコーンゴムを改質することや、接着面にプライマー層を形成した後、接着面に接着剤7を塗布してもよい。
【0049】
さらに、各キートップ群12,13,14毎に、ベース部材3の台座部8にキートップ2を固着しているが、吸着治具で各キートップ群12,13,14からなるキートップ2a,2b,2cを所定の順番で完成状態の所定の配置に組み合わせた後に、一度に全てのキートップ2を台座部8に固着することも可能である。
【0050】
また、第1、第2、第3キートップ群12,13,14の三組を組み合わせることで、押釦スイッチ用部材1を構成しているが、押釦スイッチ用部材1を構成することができれば各キートップ群の組数は特に限定されるものではない。
【0051】
このように構成された押釦スイッチ用部材1は、複数のキートップ2a,2b,2cは、外周底部にフランジ部5を有し、押釦スイッチ用部材1の完成状態において、隣り合うキートップ2a,2b,2c同士のうち、特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5の少なくとも一部は、他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)の平面投影面積内にあり、この他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)を押し下げたときに特定のキートップ(2a又は2b)に干渉しない高さのクリアランスLを設けて重なり合うようにしているので、フランジ部5を有するキートップ2a,2b,2cであっても、そのフランジ部5を隣接するキートップ2a,2b,2cの底面部に重ね合わせて組み合わせることで、隣接するキートップ2a,2b,2c同士の間隔を狭くすることができる。この結果、電気・電子装置又は、機器等で使用される押釦スイッチ用部材1の小型化といった要望に応えることができる。また、クリアランスLが設けられているので、キートップ2a,2b,2cを押し下げたときに、隣接するキートップの連動を防ぐことができる。
【0052】
さらに、ベース部材3には、複数のキートップ2a,2b,2cを固着する台座部8を有し、他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)の台座部8の高さは、特定のキートップ(2a又は2b)の台座部8の高さより、高くしているので、容易に特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5を他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)の底面部に干渉しない高さのクリアランスLを設けて重ね合わせることができる。
【0053】
また、押釦スイッチ用部材1の完成状態の平面視において、少なくとも一つ以上離れて配置されるキートップ2a,2b,2c同士を一組のキートップ群12,13,14として同時成形する成形工程と、この成形工程後、完成状態の間隔を保ったまま、同時成形されたキートップ2a,2b,2c同士を接続する接続部11を切除してフランジ部5を有する立体形状の個々独立したキートップ2a,2b,2cを形成する切除工程と、成形工程及び切除工程により完成された個々独立した複数のキートップ2a,2b,2cからなる複数組のキートップ群12,13,14を所定の配置に組み合わせる配置工程と、複数組のキートップ群12,13,14を、ベース部材3に固定する固定工程と、を有するので、キートップ2a,2b,2c同士の間隔及びキートップ2a,2b,2cの高さの制限からくる金型の強度の最小間隔に関係なくキートップ2a,2b,2cを密集させることができる。そして、各キートップ群12,13,14のキートップ2a,2b,2cは、完成状態の配置で成形されているので、配置工程の組み付け作業において、位置決め等を容易に行えるため、押釦スイッチ用部材1の生産性を向上させることができる。
【0054】
[発明の実施の形態2]
図4は、この発明の実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材の平面図であり、図5は、同実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材の拡大横断面図である。
【0055】
この実施の形態2は、実施の形態1のベース部材3に備えた全ての台座部8の高さが同じになるように成形されている。さらに、実施の形態1の他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)に特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5が干渉しないための切欠き部15が形成されている。
【0056】
具体的には、図4及び図5に示すように、他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)の底面部には、隣接する特定のキートップ(2a又は2b)側にこのフランジ部5の平面視形状より大きな切欠き部15が形成されており、この切欠き部15に、隣接する特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5の少なくとも一部が潜入されている。これにより、特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5の少なくとも一部は、他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)の平面投影面積内となっている。
【0057】
切欠き部15は、他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)を押し下げたときに、隣接する特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5が干渉しないだけのクリアランスLが設けられる形状に形成されている。
【0058】
このような押釦スイッチ用部材1を製造する製造方法については、実施の形態1と同様に、押釦スイッチ用部材1の完成状態の平面視において、少なくとも一つ以上離れて配置されるキートップ2a,2b,2c同士を一組のキートップ群12,13,14として同時成形する成形工程と、この成形工程後、完成状態の間隔を保ったまま、同時成形されたキートップ2a,2b,2c同士を接続する接続部11を切除してフランジ部5を有する立体形状の個々独立したキートップ2a,2b,2cを形成する切除工程と、成形工程及び切除工程により完成された個々独立した複数のキートップ2a,2b,2cからなる複数組のキートップ群12,13,14を所定の配置に組み合わせる配置工程と、複数組のキートップ群12,13,14を、ベース部材3に固定する固定工程とで行われる。
【0059】
このように構成された押釦スイッチ用部材1の他のキートップ(2b及び2c、或いは2c)には、特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5の平面視形状より大きな切欠き部15が形成されているので、この切欠き部15に、特定のキートップ(2a又は2b)のフランジ部5を容易に潜入させることができ、ベース部材3の全てのキートップ2a,2b,2cの台座部8の高さを同じにできるため、押釦スイッチ用部材1を薄型化することができる。
【0060】
その他の構成及び作用は、発明の実施の形態1と同様であるので同一の構成には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、押釦スイッチ用部材の完成状態において、隣り合うキートップ同士のうち、特定のキートップのフランジ部の少なくとも一部は、他のキートップの平面投影面積内にあり、ベース部材には、複数のキートップを固着する台座部を有し、他のキートップの台座部の高さは、特定のキートップの台座部の高さより、高くしており、該他のキートップを押し下げたときに特定のキートップに干渉しない高さのクリアランスを設けて重なり合うようにしているので、フランジ部を有するキートップであっても、そのフランジ部を隣接するキートップの底面部に重ね合わせて組み合わせることで、隣接するキートップ同士の間隔を狭くすることができる。この結果、電気・電子装置又は、機器等で使用される押釦スイッチ用部材の小型化といった要望に応えることができる。
また、キートップをベース部材に固定する際に、容易に特定のキートップのフランジ部を他のキートップの底面部に干渉しない高さのクリアランスを設けて重ね合わせることができる。
【0062】
請求項2に記載の発明によれば、キートップを固着する高低差のある隣り合う複数の台座部を所定の位置に配置したベース部材を成形する成形行程と、押釦スイッチ用部材の完成状態の平面視において、少なくとも一つ以上離れて配置されるキートップ同士を一組のキートップ群として同時成形するキートップ群の成形工程と、該キートップ群の成形工程後に同時成形されたキートップ同士を接続する接続部を切除して個々独立したキートップを形成する切除工程と、該切除行程により完成状態の間隔を保ったままの個々独立したキートップを、ベース部材の複数の台座部の所定の位置に固定する固定工程とにより、ベース部材の高い台座部に固定されたキートップを押し下げたときに、低い台座部に固定されたキートップに干渉しないようにしているので、キートップ同士の間隔及びキートップの高さの制限からくる金型の強度の最小間隔に関係なくキートップを密集させることができる。そして、各キートップ群のキートップは、完成状態の配置で成形されているので、配置工程の組み付け作業において、位置決め等を容易に行えるため、押釦スイッチ用部材の生産性を向上させることができる。しかも、ベース部材に設けた隣り合う台座部の高さを変えてあるため、所定のキートップを所定の台座部に固着するだけで、隣接するキートップ同士は互いに干渉しないクリアランスを設けてキートップの一部を重ね合わせた押釦スイッチ用部材が完成できるから、キートップを押し下げたときに、隣接するキートップの連動を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材の平面図である。
【図2】同実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材を示した、図1のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図3】同実施の形態1に係る複数組のキートップ群が一体に成形された状態の平面図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材の平面図である。
【図5】同実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材の拡大横断面図である。
【符号の説明】
1 押釦スイッチ用部材
2,2a,2b,2c キートップ
3 ベース部材
5 フランジ部
8 台座部
11 接続部
12 第1キートップ群(キートップ群)
13 第2キートップ群(キートップ群)
14 第3キートップ群(キートップ群)
15 切欠き部
Claims (2)
- 外周底部にフランジ部を有する立体形状をした硬質樹脂製のキートップが、弾性樹脂製のベース部材に複数隣接して配置された押釦スイッチ用部材であって、前記押釦スイッチ用部材の完成状態において、隣り合うキートップ同士のうち、特定のキートップの前記フランジ部の少なくとも一部は、他のキートップの平面投影面積内にあり、前記ベース部材には、前記複数のキートップを固着する台座部を有し、前記他のキートップの台座部の高さは、前記特定のキートップの台座部の高さより、高くしており、該他のキートップを押し下げたときに前記特定のキートップに干渉しない高さのクリアランスを設けて重なり合うようにしていることを特徴とする押釦スイッチ用部材。
- 外周底部にフランジ部を有する立体形状をした硬質樹脂製のキートップを弾性樹脂製のベース部材に複数隣接して配置されている押釦スイッチ用部材の製造方法であって、前記キートップを固着する高低差のある隣り合う複数の台座部を所定の位置に配置した前記ベース部材を成形する成形行程と、前記押釦スイッチ用部材の完成状態の平面視において、少なくとも一つ以上離れて配置されるキートップ同士を一組のキートップ群として同時成形する前記キートップ群の成形工程と、該キートップ群の成形工程後に前記同時成形された前記キートップ同士を接続する接続部を切除して個々独立した前記キートップを形成する切除工程と、該切除行程により前記完成状態の間隔を保ったままの個々独立した前記キートップを、前記ベース部材の前記複数の台座部の所定の位置に固定する固定工程とにより、前記ベース部材の高い台座部に固定された前記キートップを押し下げたときに、低い台座部に固定された前記キートップに干渉しないようにしていることを特徴とする押釦スイッチ用部材の製造方法。
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