JP4113075B2 - 標的核酸の検出方法 - Google Patents
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Description
「臨床DNA診断法」、(1995年7月1日)、古庄敏行、井村裕夫監修、中込弥男、岡田伸太郎、湯浅保人、倉田毅編、金原出版(株)発行、170頁〜177頁
当該溶液の添加量は、バックグラウンドが抑えられ、最も感度良く測定できる量とすればよいが、反応及び洗浄工程で使用される溶液量よりもかなり少量(但し溶液が蒸発しない程度の量)とするのが好ましい。特に1/2〜1/1000、更には1/5程度とするのが、標的核酸と一塩基変異核酸との蛍光強度比を飛躍的に高めることができ(図6参照)、好ましい。
遠心分離の条件は、用いるビーズ、目的物質、バッファの種類によっても異なるが、通常4〜40℃、8,000〜20,000回転、1分〜10分行うのが好ましい。
ビーズとして、上記磁性ビーズを用いる場合には、例えば永久磁石、電磁石等の磁力発生源を検出容器底面に設ければよい。
尚、蛍光物質に照射される励起光としては、キセノン光、ハロゲン光、アルゴンイオンレーザー等が挙げられる。
また、目的の標的核酸及びそれと一塩基以上が異なる変異核酸のそれぞれについて、一方の塩基配列に相補的な標識核酸プローブを各々用いてハイブリダイゼーション反応を行い、上記操作を行って、上清中の蛍光又は発光量を経時的に測定して、標的核酸に対する蛍光又は発光量と変異核酸に対する蛍光又は発光量との差が最大となる温度を求めることにより、両者を区別するための最適温度、すなわちハイブリダイズした標的核酸を遊離することなく変異核酸のみを遊離する最適温度を導くことができる(実施例3参照)。
尚、蛍光又は発光標識プローブとして、標的核酸と、一塩基以上が異なる変異核酸についてそれぞれ異なる蛍光又は発光特性を持つ標識をつけることにより、同一容器中の反応で、試料溶液中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる複数の変異核酸と区別して検出することが可能となる。また、試料溶液中の標的核酸と一塩基以上異なる変異核酸の含有率(比率)も検出することが可能となる。
図2に本発明の標的核酸の検出装置の一例を示す。図中、1は反応・検出部、2はチップラック・上清回収部、3は試薬部、4は分注ヘッド部、5は検出ヘッド部を示す。
同図において、1は、標的核酸の一本鎖(ディネーチャー)化、一本鎖核酸を容器中に偏在させるB/F分離、及び一本鎖核酸と検出核酸プローブとのハイブリダイゼーション(アニーリング)を行う反応を行い、且つハイブリダイズされた標識プローブを検出する反応・検出部であって、反応容器を収納保持するための保持具と、ディネーチャー及びアニーリングの各温度を調節する加温・冷却装置及び磁力制御装置で構成される。
温度制御装置は、ディネーチャーにおいては、反応容器内部でディネーチャー反応を進行させる温度95℃(一般には95℃前後であるが、サンプル核酸の長さが短い場合にはこれより低くてもよい)を保持するようにコントロールでき、アニーリングにおいては、サンプル核酸と標識核酸とのアニーリングが完全に行われるための温度付近まで、一定の速度で徐々に温度上昇するようにコントロールできるものであり、更に検出時の加温において、数℃きざみで温度を上昇させ、検出を行っている時はその温度に保つようコントロールできるものである。また、温度制御装置のタイマー機能により反応時間もコントロールされる。
斯かる磁力制御装置は、反応容器の底部のみに磁性粒子が不動化するように磁力制御するように配置され、反応容器の真下に置くことで容器底面の狭い領域に集めることができる。具体的には反応容器の下部に配置し、反応容器下部の磁力をON、OFFすることにより磁力制御すればよい。
チップラックには、測定を開始する前はそこにディスポチップがささっている。
4は分注ヘッド部であり、X−Z軸或いはX−Y−Z軸方向へ自在に移動な能なアームユニットを有する。当該アームユニットは、チップノズルと、ヘッド部を移動させる機構と、該ヘッド部を移動させることにより該チップノズルにチップを装着・脱着させる機構と、装着されたチップから処理液(試薬及び上清)を吸引・注入する機構、より構成される。
すなわち、図3に示した装置は、プレート保持部の真下に磁石及び加温装置を設置し、ビーズ粒子を容器底面に凝集させ保持する機能と反応溶液を加熱する機能を備えた蛍光検出装置であり、プレート保持部21、磁気回収・加熱部22、光照射部23、光検出部24、制御部25、指令部26、データ表示部27から構成される。
プレートを保持するプレート保持部31、水平回転する遠心分離回収・加熱部部32及び当該遠心分離回収・加熱部を回転させる駆動部(図示せず)を備えている。回転速度及び時間は制御部25により制御され、更にこれらの動作シーケンスは指令部26により制御されている。
オリゴ合成により、5’末端にビオチン標識し、変異サイトを含むターゲットDNA(ALDH2遺伝子の一塩基変異サイト※を含む20mer);ALDH2*1型サンプル、ALDH2*2型サンプルを作成した。また、5’末端にFITC標識したALDH2*1型サンプルと相補的配列でALDH2*2型サンプルとは一塩基のみが異なる配列のALDH2*1型検出プローブも同様にオリゴ合成した。標的核酸及び検出プローブの塩基配列を表1に示す。
※:ALDH2遺伝子の一塩基変異は、ゲノムDNA第12染色体、exon12に存在し、アルコール代謝に必要なアセトアルデヒド脱水素酵素の活性有無を決定することで知られている。
実施例1と同様にして、2つの容器を準備して、それぞれに、(1)ALDH2*1型サンプルとALDH2*1型検出プローブ、(2)ALDH2*2型サンプルとALDH2*1型検出プローブを混合した。また、ストレプトアビジンを固定した磁性粒子を混合し、よく攪拌した。
これより、蛍光検出に当たり、標識プローブを磁性粒子から解放させるバッファ量を1/5量とした場合には、一塩基変異サンプルとの蛍光強度比が飛躍的に向上することが明らかとなった。
実施例1と同様にして、ALDH2*1型サンプル、ALDH2*2型サンプル、ALDH2*1型検出プローブ、ALDH2*2型検出プローブを作成し、4つの容器を準備して、それぞれに、(1)ALDH2*1型サンプルとALDH2*1型検出プローブ、(2)ALDH2*2型サンプルとALDH2*1型検出プローブ、(3)ALDH2*1型サンプルとALDH2*2型検出プローブ、(2)ALDH2*2型サンプルとALDH2*2型検出プローブを混合した。4つの容器に、ストレプトアビジンを固定した磁性粒子を混合し、よく撹拌した。
25℃に保ったまま、磁石を容器に近づけ、底部にDNA結合体を含む磁性粒子を収集した。底部に収集後、容器中の上清部をピペッターで吸引し、廃棄することで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブを除去した。容器から磁石を外し、洗浄バッファを容器に分注し、ピペッターで吸引、吐出を繰り返すことで、磁性粒子の撹拌を行った。同様に洗浄を2回繰り返すことで磁性粒子上に結合しなかった余分な検出プローブを除去した。
蛍光量の差がピークとなる温度は、ALDH2*1検出プローブ使用時には60℃、ALDH2*2検出プローブ使用時には58℃であった。
この最大値となる温度は58℃であり、この温度を最適洗浄温度と決定した。
ALDH2遺伝子の3つの遺伝子型を判別を行った実施例を示す。
人など高等生物は、全て遺伝子を必ずペアで持っており、父母から子へ遺伝子が伝えられる時にお互いにどちらか一方が選ばれる。従って、一塩基変異のような2つの対立遺伝子(アリル)がある場合(例えばALDH2*1アリルとALDH2*2アリル)、ALDH2*1/*1のホモ接合体、ALDH2*1/*2のヘテロ接合体、ALDH2*2/*2のホモ接合体という3つの遺伝子型を持つ。
よって、ALDH2*1/*1のホモ接合体は、お酒をいくら飲んでも分解でき、ALDH2*1/*2のヘテロ接合体は、多少のお酒であれば分解できる。しかし、ALDH2*2/*2のホモ接合体はお酒を飲んでも分解できないため下戸である。
各検出プローブにおけるサンプルDNAの、温度変化に対する蛍光量を図11に示す。
サンプルは、フォワードにビオチン標識したプライマを用いてPCR増幅した。このPCR産物を精製後、2つの容器を準備し、それぞれに、(1)サンプルとFITC標識したALDH2*1型検出プローブ、(2)サンプルとFITC標識したALDH2*2型検出プローブを混合した。ストレプトアビジン固定化磁性ビーズを混合し、よく撹拌した。95℃、3分間加熱し、DNAを熱変性した。25℃にゆっくりと下げ、そのまま10分間に保ち、ストレプトアビジン磁性粒子とビオチン標識したターゲットDNAの親和的結合及びターゲットDNAとFITC標識検出プローブのアニーリングを行った(ここでは、相補的なペアも一塩基変異の存在するペアも同量程度二本鎖を形成する)。
また、この型判別の方法について、図12の各プローブにおける検出値からバックグラウンドの値を引き算した結果を図13に示す。より判別が明確になる。
サンプルは、フォワードにビオチン標識したプライマを用いてPCR増幅した。このPCR産物を精製後、容器にサンプル、Cy3標識したALDH2*1型検出プローブ、及びCy5標識したALDH2*2型検出プローブを混合した。ストレプトアビジン固定化磁性ビーズを混合し、よく撹拌した。
95℃、3分間加熱し、DNAを熱変性した。25℃にゆっくりと下げ、そのまま10分間に保ち、ストレプトアビジン磁性粒子とビオチン標識したターゲットDNAの親和的結合、及びターゲットDNAとCy3及びCy5標識検出プローブのアニーリングを行った。ここでは、相補的なペアも一塩基変異の存在するペアも同量程度二本鎖を形成する。最適洗浄条件である58℃に保ったまま、磁石を容器に近づけ、底部にDNA結合体を含む磁性粒子を収集した。
容器底部への磁性粒子の回収を行い、次いで80℃、3分間の加熱を行った後、その容器を蛍光検出器にセットし、Cy3標識の蛍光量を励起光550nmを照射し、蛍光570nmで検出した。また、Cy5標識の蛍光量について励起光650nmを照射、蛍光670nmで検出した。図14に3つの型における検出結果を示す。
その結果、実施例4〜5と同様に、ALDH2の3つの型の判別が可能であった。
2 チップラック・上清回収部
3 試薬部
4 分注ヘッド部
5 検出ヘッド部
21 プレート保持部
22 磁気回収・加熱部
23 光照射部
24 光検出部
25 制御部
26 指令部
27 データ表示部
23a 光源
23b 集光レンズ
23c 干渉フィルター
24a ディテクター
24b 集光レンズ
24c 干渉フィルター
31 プレート保持部
32 遠心分離回収・加熱部
a 標識プローブ
b 標的核酸
c ビーズ
Claims (5)
- 固相としてビーズを、核酸プローブとして蛍光又は発光標識プローブを用いた核酸ハイブリダイゼーション法により、試料溶液中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して検出する方法において、ハイブリダイゼーション反応終了後、ハイブリダイズしていない標識プローブを洗浄除去し、次いでプローブ放出用溶液を添加し、ハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を容器底面に沈降させた後、反応液の温度を標的核酸の変性温度以上にまで徐々に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させ、上清中の蛍光又は発光量を経時的に測定することを特徴とする標的核酸の検出方法。
- 固相としてビーズを、核酸プローブとして蛍光又は発光標識プローブを用いた核酸ハイブリダイゼーション法により、試料溶液中の標的核酸をそれと一塩基以上が異なる変異核酸と区別して検出する方法において、ハイブリダイゼーション反応終了後、ハイブリダイズした標的核酸を遊離することなく変異核酸のみを遊離する最適温度にて、ハイブリダイズしていない標識プローブ及びハイブリダイズしているが一塩基以上のミスマッチを有する標識プローブを洗浄除去し、次いでプローブ放出用溶液を添加し、ハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を容器底面に沈降させた後、反応溶液の温度を標的核酸の変性温度以上に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させ、上清中の蛍光又は発光量を測定することを特徴とする標的核酸の検出方法。
- プローブ放出用溶液の添加量が、反応及び洗浄工程で使用される溶液量の1/2〜1/1000である請求項1又は2記載の検出方法。
- 標的核酸と一塩基以上が異なる変異核酸を検出するプローブとして、それぞれ異なる蛍光又は発光特性を持つ標識をつけた蛍光又は発光標識プローブを複数用いるものである請求項1〜3のいずれか1記載の検出方法。
- ハイブリダイズした標的核酸は遊離することなく一塩基以上異なる変異核酸のみを遊離する最適温度が、標的核酸及びそれと一塩基以上が異なる変異核酸のそれぞれについて、一方の塩基配列に相補的な標識核酸プローブを各々用いてハイブリダイゼーション反応を行い、ハイブリダイズされ且つビーズに固定化された標的核酸を容器底面に沈降させ、反応液の温度を標的核酸の変性温度付近にまで徐々に上げて標識プローブをビーズから上清に放出させ、上清中の蛍光又は発光量を経時的に測定して、標的核酸に対する蛍光又は発光量と変異核酸に対する蛍光又は発光量との差が最大となる温度として求められるものである請求項2記載の標的核酸の検出方法。
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