JP4112466B2 - 車載ガスセンサの制御システム - Google Patents
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Description
このような固体高分子膜型燃料電池等の燃料電池を搭載した車両において、従来、車両の発進および燃料電池の起動に先立って、安全性照会、例えば燃料電池の燃料極側に供給される水素が漏洩していないことの検知等を実行する燃料電池車両及びその始動方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、水素を検知する水素センサとしては、例えば白金等の触媒からなるガス検出素子と温度補償素子とを一対備え、水素が白金等の触媒に接触した際の燃焼により発生する熱によってガス検出素子が相対的に高温の状態になったときに、例えば雰囲気温度下等の相対的に低温の状態の温度補償素子との間に生じる電気抵抗の差異に応じて、水素の濃度を検出するガス接触燃焼式の水素センサが知られている。
しかも、上述したようなガス接触燃焼式の水素検出器においては、イグニッションスイッチがオフとされた車両の停止状態において、ガス検出素子および温度補償素子の温度や、これらの各素子の雰囲気の温度が低下することに伴い、各素子の温度が雰囲気の露点温度以下に低下して各素子の表面上に結露が生じる場合がある。特に、上述したような固体高分子膜型燃料電池等の燃料電池においては、固体高分子電解質膜のイオン導電性を保つために、燃料電池に供給される反応ガス(例えば、水素や空気)には加湿装置等によって水(加湿水)が混合されており、さらに、燃料電池の作動時には電気化学反応による反応生成水が生成されるため、燃料電池から排出されるオフガス、特に酸素極側のオフガスは高湿潤のガスとなっている。さらに、上述した固体高分子膜型燃料電池では、通常作動温度が水の蒸気化温度よりも低く、オフガスは多湿度で水分量が多いガスとなって排出されるため、オフガス中の水分が結露しやすくなっており、燃料電池の作動が停止する車両の停止状態であっても、ガス検出素子および温度補償素子の雰囲気に含まれる水分が結露しやすいという問題がある。ここで、ガス接触燃焼式の水素検出器を、特に燃料電池の酸素極側の排出系に備える場合等において、ガス検出素子および温度補償素子の表面上に加湿水、反応生成水等が付着した状態で通電を行うと、素子表面に局所的な温度分布の不均一が発生し、素子破壊や感度低下が生じる虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車載ガスセンサの破損、劣化、検出精度の低下を防止しつつ、車両を速やかに始動させることが可能な車載ガスセンサの制御システムを提供することを目的とする。
すなわち、運転者が携帯無線機を携帯して車両に接近した時点で車載ガスセンサに具備されるヒータが作動を開始するため、車両の停止状態において車載ガスセンサの検出素子および補償素子の表面上に結露が生じている状態であっても、検出素子および補償素子への通電開始に先立って、少なくとも運転者がイグニッションスイッチ等をオン状態に操作して車両を始動させるまでの間に検出素子および補償素子の表面上の結露水を蒸発させることができ、新たな結露の発生を防止することができる。
これにより、検出素子および補償素子の表面上に水が付着した状態で各素子へ通電を行うことに起因して車載ガスセンサの破損、劣化、検出精度の低下等が生じることを防止することができると共に、例えばイグニッションスイッチ等からなる起動スイッチのオン操作に伴い、直ちに各素子への通電を開始することができ、運転者の動作や意志を妨げること無しに円滑に車両を始動させることができる。
さらに、請求項2に記載の本発明の車載ガスセンサの制御システムによれば、車両の停止状態において車載ガスセンサの検出素子および補償素子の表面上に結露が生じている状態であっても、運転者がイグニッションスイッチ等をオン状態に操作して車両を始動させるまでの間に検出素子および補償素子の表面上の結露水を蒸発させることができ、新たな結露の発生を防止することができる。
そして、センサ制御装置2は、車両VHのルーフRに取り付けられた水素センサ1aおよび酸素極側の出口側配管9に取り付けられた水素センサ1bに接続され、例えば、各水素センサ1a,1bから出力される検出信号と、記憶装置3に格納されている所定の判定閾値との比較結果に応じて、車室内の異常状態や燃料電池5の異常状態が発生しているか否かを判定し、異常状態であると判定した際には、警報装置4によって警報等を出力する。ここで、記憶装置3は、車両状態に応じた水素センサ1aの検出値に対する所定の判定閾値のマップや、燃料電池5の作動状態(例えば、極間差圧や作動圧力等)に応じた水素センサ1bの検出値に対する所定の判定閾値のマップ等を記憶している。
そして、本実施形態に係る車載ガスセンサの制御システム20は、例えば図3に示すように、車両側制御装置21と、無線通信により車両側制御装置21と通信接続可能に構成された携帯端末22とを備えて構成されている。
車両側制御装置21は、例えば、動力源として燃料電池5を備える電気自動車等の車両VHに搭載されており、例えば、水素センサ1(1a,1b)と、センサ制御装置2と、記憶装置3と、警報装置4と、電流制御装置31と、蓄電装置32と、送受信制御装置33と、通信装置34と、アンテナ35と、解施錠制御装置36と、ドアロックアクチュエータ37と、イグニッションスイッチ(IGSW)41と、IGSW連動デバイス42とを備えて構成されている。
例えば高圧の水素タンク等を具備する燃料供給装置(図示略)から入口側配管6を介して燃料極に供給された水素などの燃料ガスにより、燃料極の触媒電極上で水素がイオン化され、適度に加湿された固体高分子電解質膜を介して酸素極へと移動すると、その間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。酸素極には、例えば酸素などの酸化剤ガスあるいは空気がエアーコンプレッサ(図示略)から入口側配管7を介して供給されているために、この酸素極において、水素イオン、電子及び酸素が反応して水が生成される。そして、燃料極側、酸素極側共に出口側配管8、9から反応済みのいわゆるオフガスが系外に排出される。
なお、エアーコンプレッサから燃料電池5へ供給される空気の流量や、燃料供給装置から燃料電池5へ供給される燃料ガスの流量は、燃料電池制御装置(図示略)によって制御される。この燃料電池制御装置は、例えば、車両の運転状態や、燃料電池5の燃料極に供給される燃料ガスに含まれる水素の濃度や、燃料電池5の燃料極から排出されるオフガスに含まれる水素の濃度や、燃料電池5の発電状態、例えば各複数の燃料電池セルの端子間電圧や、燃料電池5から電流制御装置31へ取り出される出力電流等に基づき、燃料電池5へ供給される空気や燃料ガスの各流量を制御する。そして、この流量制御によって燃料電池5の発電状態が制御される。このため、燃料電池制御装置には、燃料電池5から取り出される出力電流の電流値を検出する出力電流センサ(図示略)から出力される検出信号が入力されている。また、燃料電池制御装置は、燃料電池5に対する発電指令(例えば、燃料電池の出力指令値等)に基づき、電流制御装置31により燃料電池5から取り出される出力電流の電流値を制御する。
電流制御装置31は、燃料電池5に対する発電指令に応じた燃料電池制御装置の制御により燃料電池5から取り出される出力電流の電流値を制御すると共に、車両の状態(例えば、車両の停止状態や車両走行時の負荷状態等)に応じて蓄電装置32から取り出される電流の電流値を制御する。
そして、電流制御装置31には、停止状態の車両を走行可能状態へと移行させる起動スイッチ、例えばイグニッションスイッチ41のオン状態に連動して電力が供給されるIGSW連動電源系31aと、起動スイッチのオン/オフ状態に関わらず電力が供給される非連動電源系31bとが接続されている。例えば、IGSW連動電源系31aには、イグニッションスイッチ41と、走行用モータやエアーコンプレッサ等からなるIGSW連動デバイス42とが備えられている。
解施錠制御装置36は、車両ドアの施錠および解錠を行うドアロックアクチュエータ37を駆動制御するものであって、車両ドアの施錠又は解錠状態と、送受信制御装置33から出力される指令信号とに基づき、ドアロックアクチュエータ37へ制御信号を出力する。さらに、解施錠制御装置36は、センサ制御装置2に対しては、送受信制御装置33から出力される指令信号を出力する。
例えば、イグニッションスイッチ41のオフ状態(車両の停止状態)であって、車両ドアが施錠されているときに、送受信制御装置33にて車両側識別情報と一致する端末側識別情報を返信する携帯端末22が車両VHに向かい接近中であると判定されると、この送受信制御装置33から解施錠制御装置36へと、車両ドアの解錠を指示する指令信号が出力される。この指令信号は解施錠制御装置36を介してセンサ制御装置2にも入力され、このときセンサ制御装置2は、蓄電装置32から電流制御装置31を介して供給される電力によって水素センサ1(1a,1b)に具備されるヒータ66へ所定の通電電流の供給を開始し、ヒータ66の作動を開始する。
また、例えば図5に示すように、ケース51の厚さ方向の端面には筒状部56が形成され、筒状部56の内部はガス検出室57として形成され、ガス検出室57の内部側面には、内側に向かってフランジ部58が形成され、フランジ部58の内周部分がガス導入部59として開口形成されている。
温度補償素子62は、被検出ガスに対して不活性とされ、例えば検出素子61と同等のコイル62aの表面がアルミナ等の坦体で被覆されて形成されている。
そして、被検出ガスである水素が検出素子61の触媒61bに接触した際に生じる燃焼反応の発熱により高温となった検出素子61と、被検出ガスによる燃焼反応が発生せず検出素子61よりも低温の温度補償素子62との間に電気抵抗値の差が生ずることを利用し、雰囲気温度による電気抵抗値の変化分を相殺して水素濃度を検出することができるようになっている。
また、ガス検出室57にはガス検出室57内の温度および湿度等を検出するセンサ67が取り付けられている。
例えば、センサ制御装置2は、センサ67の検出温度に基づいてヒータ66への通電を制御し、センサ67により検出されるガス検出室57内の温度が、少なくとも露点温度よりも高い所定温度範囲の温度となるように、また、センサ67により検出されるガス検出室57内の相対湿度が、例えば所定湿度範囲の相対湿度や、例えば予め作成されたガス検出室57内の温度状態に応じた相対湿度のマップ等から得られる相対湿度の検索値等となるように、ヒータ66への通電開始および通電停止のタイミングや通電量を制御する。
例えば、センサ制御装置2は、燃料電池5の負荷状態が高負荷状態に変化する場合等において、酸素極側の出口側配管9内を流通するオフガスの流量が増大してオフガスに曝される水素センサ1bのガス検出室57内の温度が低下したり、例えば燃料電池5にて生成されオフガスに含まれる生成水の量が増大してガス検出室57内の相対湿度が増大する虞がある場合には、ヒータ66への通電量を増大させてガス検出室57内の温度を上昇させることでガス検出室57内に結露が発生することを防止する。一方、燃料電池5の負荷状態が低負荷状態に変化する場合等においては、センサ制御装置2は、ヒータ66への通電量を低下させて過剰なエネルギ消費を抑制する。
また、センサ制御装置2は、燃料電池5の作動開始時において、酸素極側の出口側配管9内におけるオフガスの流通開始に先立って、水素センサ1bの各素子61,62と、ヒータ66とに対する通電を開始し、燃料電池5の作動停止時において、酸素極側の出口側配管9内におけるオフガスの流通を停止した後に、水素センサ1bの各素子61,62と、ヒータ66とに対する通電を停止する。
先ず、図7に示すステップS01において、車両側制御装置21は、例えば車両VHを含む所定範囲内に対して呼出信号を発信する。
次に、ステップS02において、車両側制御装置21は、呼出信号に対して携帯端末22から返信される応答信号を受信したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS01に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS03に進む。
ステップS03においては、受信した応答信号に含まれる端末側識別情報と、予め記憶装置3に格納した車両側識別情報とが一致するか否かを判定する。
ステップS03での判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS01に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS04に進む。
ステップS04においては、例えば受信した応答信号の強度等に基づいて、記憶装置3に格納した車両側識別情報と同一の端末側識別情報を有する携帯端末22が車両VHに向かい接近しているか否かを判定する。
ステップS04の判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS07に進む。一方、ステップS04の判定結果が「NO」の場合には、ステップS05に進む。
ステップS05においては、車両ドアが解錠状態であるか否かを判定する。
ステップS05での判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、ステップS05での判定結果が「YES」の場合には、ステップS06に進み、ドアロックアクチュエータ37を駆動制御して車両ドアを施錠して、一連の処理を終了する。
ステップS07においては、車両ドアが施錠状態であるか否かを判定する。
ステップS07の判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。一方、ステップS07の判定結果が「YES」の場合には、ステップS08に進む。
ステップS08においては、蓄電装置32から電流制御装置31を介して供給される電力によって水素センサ1(1a,1b)に具備されるヒータ66への通電を開始する。
そして、ステップS09においては、車両ドアを解錠して、一連の処理を終了する。
このヒータ66の作動開始により、水素センサ1(1a,1b)のガス検出室57内の温度が上昇すると共に、各素子61,62の温度(特に、各素子61,62の表面部の温度)が上昇する。これにより、車両VHの停止状態において各素子61,62の表面上に結露が生じている状態であっても、ガス検出室57内および各素子61,62の温度が上昇することによって結露水が蒸発する。
そして、携帯端末22を備える操作者が車両VHに乗車し、イグニッションスイッチ41を操作することによって、図8に示す時刻t1のように、イグニッション(IG)がOFF状態からON状態へと変更され、車両VHが始動する時点で、センサ制御装置2は、蓄電装置32から電流制御装置31を介して供給される電力によって水素センサ1(1a,1b)の各素子61,62への通電を開始する。この時点においては、各素子61,62の表面上に水が付着していないことから、例えば各素子61,62の表面上に水が付着した状態で通電を行うことに起因して水素センサ1(1a,1b)の破損、劣化、検出精度の低下等が生じることを防止することができると共に、イグニッションスイッチ41のON操作に伴い、直ちに各素子61,62への通電を開始することができ、運転者の動作や意志を妨げること無しに円滑に車両VHを始動させることができる。
そして、各素子61,62への通電が開始されて水素センサ1(1a,1b)の作動が開始された後に、燃料電池制御装置の制御により燃料電池5へ空気および燃料ガスが供給されて発電が開始され、燃料電池5の出口側配管8、9におけるオフガスの流通が開始される。
これにより、各素子61,62の表面上に水が付着した状態で各素子61,62へ通電を行うことに起因して水素センサ1(1a,1b)の破損、劣化、検出精度の低下等が生じることを防止することができると共に、例えばイグニッションスイッチ41のオン操作に伴い、直ちに各素子61,62への通電を開始することができ、運転者の動作や意志を妨げること無しに円滑に車両VHを始動させることができる。
また、上述した本実施の形態においては、車両ドアの解錠を指示する指令信号が出力されたとき(図8に示す時刻t0)以降においてヒータ66への通電を継続したが、これに限定されず、例えばヒータ66への通電を開始してから所定時間以内にイグニッションスイッチ41のオン操作が行われずに各素子61,62への通電が開始されない場合や、例えばヒータ66への通電開始以後においてセンサ67により検出されるガス検出室57内の温度が少なくとも露点温度よりも高い所定温度範囲の温度である場合や、例えばセンサ67により検出されるガス検出室57内の相対湿度が、所定湿度範囲の相対湿度や、予め作成されたガス検出室57内の温度状態に応じた相対湿度の所定マップ等から得られる相対湿度の検索値以下である場合等において、ヒータ66への通電を停止、あるいは、ヒータ66への通電量を所定通電量まで低下させてもよい。これにより、ヒータ66での消費電力を適切に低減させることができる。
また、上述した実施の形態においては、各素子61,62を接続してなる回路をブリッジ回路としたが、これに限定されず、例えば直列回路等のその他の回路であってもよく、検出素子61の抵抗値R4に関連した状態量として、所定接点間の電圧や電流の検出値がセンサ制御装置2へ出力されてもよい。
また、上述した実施の形態において、ヒータ66は検出素子61と温度補償素子62との間に配置されるとしたが、これに限定されず、例えばガス検出室57内の各素子61,62とガス導入部59との間に配置されてもよい。
2 センサ制御装置(素子通電制御手段)
5 燃料電池
20 車載ガスセンサの制御システム
22 携帯端末(携帯無線装置)
31 電流制御装置(電源)
32 蓄電装置(電源)
33 送受信制御装置(車載無線装置)
34 通信装置(車載無線装置)
41 イグニッションスイッチ(起動スイッチ)
57 ガス検出室
61 検出素子
62 温度補償素子(補償素子)
66 ヒータ
ステップS08 ヒータ通電制御手段
Claims (2)
- 停止状態の車両を走行可能状態へと移行させる起動スイッチのオン/オフ操作とは無関係に車両の所定電気機器へ電力供給を行う電源と、
検査対象ガスが導入されるガス検出室内に配置された検出素子と補償素子との電気抵抗値の差異に基づき検査対象ガスに含まれる被検出ガスのガス濃度を検出する車載ガスセンサと、
前記ガス検出室内に設けられ、少なくとも前記電源からの電力供給により通電可能なヒータと、
呼出信号を発信する車載無線装置と、
前記車載無線装置から発信される前記呼出信号を受信した場合に応答信号を返信する携帯無線装置と、
前記携帯無線装置からの前記応答信号を前記車載無線装置が受信したか否かに応じて前記ヒータへの通電を制御するヒータ通電制御手段と
を備えることを特徴とする車載ガスセンサの制御システム。 - 前記ヒータ通電制御手段による前記ヒータへの通電開始以後における前記起動スイッチのオン/オフ操作に応じて、前記検出素子および前記補償素子への通電を制御する素子通電制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車載ガスセンサの制御システム。
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