JP4111790B2 - 無線通信装置およびハンズフリー通話装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Bluetooth規格などに準拠して近距離無線通信する無線通信装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、自動車の車室内において、ユーザが携帯電話機を把持せずとも、携帯電話機による通話（いわゆる、ハンズフリー通話）を可能とするハンズフリー通話装置が販売などされている。また、最近では、携帯電話機およびハンズフリー通話装置の通信接続を有線ではなく、近距離無線によって行うものもある。
【０００３】
ところで、１台のハンズフリー通話装置と同時にデータ通信可能な携帯電話機の台数は１台であるのが一般的である。従って、ハンズフリー通話装置とユーザの携帯電話機とがデータ通信しているときに、近距離無線通信機能を有した第三者の携帯電話機がハンズフリー通話装置の通信エリアに侵入してきた場合、ユーザがハンズフリー通話中であるにもかかわらず、ハンズフリー通話装置がユーザの携帯電話機とのデータ通信を終了し、第三者の携帯電話機との間でデータ通信を開始してしまうといった問題が生じ得る。
【０００４】
この問題を解決する技術として、ハンズフリー通話装置が、所定の条件が満足された場合にだけ、携帯電話機とデータ通信を開始する技術がある（例えば、特許文献１参照）。この所定の条件として、ＰＩＮ（Personal Identification Number：暗証番号）入力を用いるのが一般的である。具体的に説明すると、ハンズフリー通話装置には、複数のテンキーなどの操作子が設けられ、ユーザが操作子を操作してＰＩＮを入力し、ハンズフリー通話装置は、正当なＰＩＮが入力された時点で、通信エリアに在圏する携帯電話機とだけデータ通信を開始する。すなわち、ハンズフリー通話装置は、ＰＩＮ入力された時に在圏する携帯電話機とだけデータ通信するため、ユーザの意図に反してデータ通信先の携帯電話機が切替わるのが防止されることになる。
【０００５】
【特許文献１】
特開２００２−１７１３３７号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハンズフリー通話装置は、車室内に設置されるものであり、そのサイズに制約があるため、ユーザインターフェースのサイズも制限される。従って、上記のようなＰＩＮ入力のためのテンキーといった複数の操作子をハンズフリー装置に設けるには、各操作子のサイズを小さくする必要がある。しかしながら、操作子のサイズを小さくすると、操作性が悪くなり、ユーザにとってＰＩＮ入力作業が煩雑なものとなる。
【０００７】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが簡単な操作で、所望する通信端末とだけデータ通信させることが可能な無線通信装置およびハンズフリー装置を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項１に記載の発明は、通信端末と近距離無線にてデータ通信する無線通信装置において、前記通信端末までの距離を推定する距離推定手段と、前記距離推定手段によって推定された距離と、しきい値との大小を判別する判別手段と、前記判別手段による判別結果が小である通信端末とデータ通信を開始すると共に、所定時間ごとに、前記距離推定手段及び前記判別手段に基づいて前記距離が最も小さい通信端末を特定し、当該通信端末が現在の通信先と異なる場合には、当該通信端末に通信先を切り替える処理を実行する制御手段とを備えることを特徴とする無線通信装置を提供する。
【０００９】
また、請求項２に記載の発明は、上記無線通信装置において、前記通信端末からの電波の電界強度を測定する電界強度測定手段とを更に備え、前記距離推定手段は、前記電界強度測定手段により測定された電界強度に基づいて距離を推定することを特徴とする。
【００１１】
次いで、請求項３に記載の発明は、車室内に設置され、携帯電話機と近距離無線通信する装置であり、当該携帯電話機から放音されるべき受話音声を当該携帯電話機から受信して放音する一方、当該携帯電話機が受音すべき送話音声を受音して当該携帯電話機に送信するハンズフリー通話装置において、前記携帯電話機までの距離を推定する距離推定手段と、前記距離推定手段によって推定された距離と、しきい値との大小を判別する判別手段と、前記判別手段による判別結果が小である携帯電話機と受話音声および送話音声の送受信を開始すると共に、所定時間ごとに、前記距離推定手段及び前記判別手段に基づいて、前記距離が最も小さい携帯電話機を特定し、当該携帯電話機が現在の通信先と異なる場合には、当該携帯電話機に通信先を切り替える処理を実行する制御手段とを備えることを特徴とするハンズフリー通話装置を提供する。
【００１２】
【発明の実施の形態】
＜第１実施形態＞
以下、図面を参照して本発明の第１実施形態について説明する。本実施形態では、自動車の車室内で用いられるハンズフリー通話システムを例示する。
【００１３】
図１は、本実施形態にかかるハンズフリー通話システムの構成を示す概略図である。この図に示すように、ハンズフリー通話システムは、携帯電話機１０とハンズフリー通話装置２０とを備えている。携帯電話機１０は、移動通信網３０を介して他の携帯電話機４０と通話通信するものであり、例えば、スピーカフォンやマイクロフォン、通話通信のための通信部といった、一般的な携帯電話機が備える構成要素の他に、近距離無線通信モジュール１０ａを備えている。近距離無線通信モジュール１０ａは、図示せぬアンテナや送受信信号処理部（ＲＦ部）、送受信信号のデジタル処理部（ベースバンド部）などを備え、Bluetooth規格に準拠してハンズフリー通話装置２０と近距離無線によるデータ通信をする。なお、近距離無線通信モジュール１０ａは、携帯電話機１０の筐体に内蔵されても良く、また、筐体に着脱自在な外部モジュールとして構成されても良い。
【００１４】
ハンズフリー通話装置２０は、自動車の車室内に設置され、携帯電話機１０と近距離無線通信し、ユーザに対してハンズフリー通話を実現可能とするものである。図２は、このハンズフリー通話装置２０の機能的構成を示すブロック図である。この図において、制御部２００は、ＣＰＵを備え、自装置の各部を制御する。近距離無線通信部２０２は、携帯電話機１０が備える近距離無線通信モジュール１０ａと同様に、アンテナやＲＦ部、ベースバンド部などを備え、周囲に半径数ｍ程度の通信エリアＡ（図１参照）を形成し、この通信エリアＡに在圏する携帯電話機１０とBluetooth規格に準拠した近距離無線通信する。ここで、Bluetooth規格によれば、複数の通信端末がピコネットと呼ばれる無線ＬＡＮを形成し、互いにデータ通信する場合、各通信端末のうちの１台がホストとなると共に、他の通信端末がスレーブとなる。そして、ホストを担う通信端末は、周囲に接続可能な通信端末が存在するかを周期的に探索する処理（いわゆる、Inquiry処理）を実行する。本実施形態では、ハンズフリー通話装置２０がホストとなり、携帯電話機１０がスレーブになるものとし、ハンズフリー通話装置２０がInquiry処理を実行するようになっている。
【００１５】
操作部２０８は、ユーザが自装置の電源投入といった基本的な操作をするための操作子の他、テンキーなどを備えている。表示部２１０は、例えば液晶パネルを備え、各種情報を表示する。受音部２１２は、マイクロフォンやＡ／Ｄ変換器などを備え、ユーザの発声（送話音声）を収音し、音声信号に変換した後に制御部２００に出力する。放音部２１４は、スピーカフォンや信号増幅器、Ｄ／Ａ変換器などを備え、制御部２００からの音声信号に従って音声（受話音声）を放音する。
【００１６】
電界強度測定部２０４は、近距離無線通信部２０２が受信した電波（すなわち、携帯電話機１０から放出された電波）の受信電界強度を測定し、制御部２００に出力する。記憶部２０６は、例えばＥＥＰＲＯＭ（Electrically Erasable and Programmable ROM）などのメモリを備え、制御部２００によって実行される制御プログラムの他、各種データを記憶する。ここで、記憶部２０６が記憶するデータの一つとして、電界強度しきい値Ｅｔｈがある。この電界強度しきい値Ｅｔｈは、制御部２００が通信エリアＡ内に在圏する携帯電話機１０と、ＰＩＮの入力無しにデータ通信を開始するか否かを判別する際に用いられるものである。さらに詳述すると、携帯電話機１０から送出された電波の受信電界強度が電界強度しきい値Ｅｔｈより大である場合には、制御部２００は、ＰＩＮ入力が無くとも、この携帯電話機１０とデータ通信を開始させる。ここで、受信電界強度は、ハンズフリー通話装置２０から携帯電話機１０までの距離に反比例して大となると推定される。すなわち、受信電界強度が電界強度しきい値Ｅｔｈよりも大であることは、携帯電話機１０がハンズフリー通話装置２０に対して、電界強度しきい値Ｅｔｈによって推定される距離よりも近くに位置していることを意味する。つまり、本実施形態にあっては、携帯電話機１０がハンズフリー通話装置２０に対して所定の距離よりも近くに位置している場合には、ＰＩＮ入力無しでも、ハンズフリー通話装置２０が携帯電話機１０とデータ通信を開始する。この所定の距離としては、ハンズフリー通話を必要とするユーザがドライバー（運転者）であることを考慮し、ハンズフリー通話装置２０本体からドライバーまでの距離よりも小さく設定されることが好ましい。なお、本実施形態において、データ通信とは、ＯＳＩ（Open System Interconnection）基本参照モデルで言うところの物理層を除いた上位層レベルを含む通信を指す。より具体的には、携帯電話機１０への送話信号（ユーザが送話のために発した音声信号）の送信や携帯電話１０からの受話信号（通話相手が発した音声信号）の受信といったアプリケーション層レベルでの通信が含まれる。
【００１７】
次いで、本実施形態に係るハンズフリー通話装置２０の動作について説明する。図３は、ハンズフリー通話装置２０の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、ハンズフリー通話装置２０の制御部２００は、上述したInquiry処理を実行し（ステップＳ１）、自装置の通信エリアＡ内に、データ通信可能な携帯電話機１０が在圏するか否かを判別する（ステップＳ２）。この判別の結果がＮＯであれば、制御部２００は、再度、データ通信可能な携帯電話機１０を探索すべく、処理手順をステップＳ１に戻し、Inquiry処理を実行する。一方、ステップＳ２における判別結果がＹＥＳの場合、制御部２００は、在圏する携帯電話機１０とＰＩＮ入力無しでデータ通信を開始するか否かを判断すべく次の処理を実行する。
【００１８】
すなわち、制御部２００は、携帯電話機１０から放出されている電波の受信電界強度Ｅを電界強度測定部２０４に測定させ（ステップＳ３）、測定された受信電界強度Ｅと、記憶部２０６に記憶されている電界強度しきい値Ｅｔｈとの大小を比較する（ステップＳ４）。この比較の結果、測定電界強度が電界強度しきい値Ｅｔｈよりも大である場合、すなわち、自装置２０から携帯電話機１０までの距離が所定距離以内である場合、制御部２００は、携帯電話機１０とのデータ通信を開始する（ステップＳ５）。
【００１９】
一方、ステップＳ４における比較の結果、受信電界強度が電界強度しきい値EＥｔｈよりも小である場合、すなわち、自装置２０から携帯電話機１０までの距離が所定距離以上離れている場合、制御部２００は、この携帯電話機１０とデータ通信するか否かを、ＰＩＮ（暗証番号）入力によって決定すべく次の処理を実行する。すなわち、制御部２００は、ユーザからのＰＩＮ入力を受け付ける一方で、携帯電話機１０からもＰＩＮを取得する。そして、制御部２００は、双方のＰＩＮが一致している場合にだけ、携帯電話機１０とデータ通信を開始するのである。より具体的に説明すると、制御部２００は、ユーザに対してＰＩＮ入力を促すメッセージを表示部２１０に表示させた後（ステップＳ６）、所定時間の間（例えば、数秒乃至数十秒）ＰＩＮ入力を待ち受ける（ステップＳ７）。次いで、制御部２００は、ステップＳ７においてＰＩＮ入力があったか否かを判別する（ステップＳ８）。この判別結果がＮＯである場合には、制御部２００は、処理手順をステップＳ１に戻し、通信エリアＡに在圏する携帯電話機１０を探査すべく、Inquiry処理を実行する。一方、ステップＳ８における判別結果がＹＥＳである場合、制御部２００は、携帯電話機１０からＰＩＮを取得すべく、携帯電話機１０にＰＩＮの要求を送信し（ステップＳ９）、所定時間、携帯電話機１０からのＰＩＮの送信を待ち受ける（ステップＳ１０）。ここで、携帯電話機１０は、ＰＩＮの要求を受信すると、ＰＩＮ入力を促すメッセージを表示部に表示する。そして、携帯電話機１０は、ユーザによってＰＩＮが入力されたことを検出した場合には、このＰＩＮをハンズフリー通話装置２０に送信する。
【００２０】
ハンズフリー通話装置２０の制御部２００は、ステップＳ１０において、所定時間待ち受けた後、携帯電話機１０からＰＩＮが送信されてきたかを判別し（ステップＳ１１）、この判別結果がＮＯであれば、処理手順をステップＳ１に戻す。一方、ステップＳ１１における判別結果がＹＥＳであれば、受信したＰＩＮと、ステップＳ７において、ユーザによって入力されたＰＩＮとを比較して、双方が一致しているかを判別する（ステップＳ１２）。この判別結果がＮＯであれば、制御部２００は、携帯電話機１０から受信したＰＩＮが間違っている旨を表示部２１０に表示させ（ステップＳ１３）、処理手順をステップＳ１に戻す。一方、ステップＳ１２における判別結果がＹＥＳである場合、制御部２００は、携帯電話機１０とデータ通信を開始する（ステップＳ５）。そして、制御部２００は、それ以降、ユーザに対してハンズフリー通話を提供すべく、所定の処理を実行することになる。
【００２１】
このように、本実施形態にあっては、ハンズフリー通話装置２０から携帯電話機１０までの距離が所定値以下であれば、ハンズフリー通話装置２０が携帯電話機１０とＰＩＮ入力無しにデータ通信を開始するようになっているため、ユーザは、ＰＩＮを入力せずとも、携帯電話機１０をハンズフリー通話装置２０に所定距離以内に近づければ、ハンズフリー通話装置２０を利用することが可能となる。また、車室内にあっては、ドライバーがハンズフリー通話装置２０を利用するのが一般的であるが、本実施形態によれば、ハンズフリー通話装置２０からドライバーまでの距離（より具体的には、ドライバー席までの距離）の範囲内でしきい値となる所定距離が設定されれば、ハンズフリー通話装置２０は、ドライバーが所持する携帯電話機１０とだけデータ通信させることが可能となる。
【００２２】
＜第２実施形態＞
上述した第１実施形態にあっては、ハンズフリー通話装置２０の通信エリアＡ内に、携帯電話機１０が１台だけ在圏する場合を例示した。そこで、本実施形態では、図４に示すように、通信エリアＡ内に、複数台の携帯電話機１０が在圏する場合を例示する。なお、本実施形態にかかるハンズフリー通話装置２０の構成は、第１実施形態におけるハンズフリー通話装置２０と略同様であるため、その説明を省略し、動作についてのみ説明する。
【００２３】
図５は、本実施形態にかかるハンズフリー通話装置２０の処理動作を示すフローチャートである。この図に示すように、第１実施形態における動作と大きく異なる点は、制御部２００が通信エリアＡに携帯電話機１０が在圏するかを判別した後（ステップＴ２）、携帯電話機１０が在圏する場合（ステップＴ２：ＹＥＳ）に、在圏する携帯電話機１０の台数を判別し、その台数に応じた処理を実行する点である。具体的には、制御部２００は、在圏する携帯電話機１０の台数が１台であるかを判別し（ステップＴ３）、この判別結果がＹＥＳであれば、ＰＩＮ入力を必要とせずに、この携帯電話機１０とデータ通信を開始する（ステップＴ４）。ここで、在圏する携帯電話機１０が１台である場合に、ＰＩＮ入力無しでデータ通信を開始させるのは、その携帯電話機１０は、ハンズフリー通話装置２０のユーザが所有するものと推測され、あえて認証処理を実行する必要がないからである。なお、ステップＴ４においてデータ通信を開始する前に、ユーザに対して「今近接している電話機と通信しますか？」といったメッセージを示し、ユーザの確認を得るという処理を追加しても良い。
【００２４】
さて、ステップＴ３の判別結果がＮＯである場合、通信エリアＡ内には、複数の携帯電話機１０が在圏することを意味する。そこで、制御部２００は、これらの携帯電話機１０の中から、データ通信の相手となる携帯電話機１０を特定すべく、次の処理を実行する。すなわち、制御部２００は、各携帯電話機１０について受信電界強度Ｅを電界強度測定部に２０４に測定させ（ステップＴ５）、電界強度しきい値Ｅｔｈよりも大きな受信電界強度Ｅが測定されたかを判別する（ステップＴ６）。この判別結果がＹＥＳであれば、ハンズフリー通話装置２０から所定距離内に携帯電話機１０が位置することを意味するものの、この条件を満たす携帯電話機１０が複数あることもある。そこで、制御部２００は、ステップＴ６の条件を満たす携帯電話機１０のうち、最も受信電界強度Ｅが大となる携帯電話機１０を特定し（ステップＴ７）、この携帯電話機１０とデータ通信を開始する（ステップＴ４）。
【００２５】
一方、ステップＴ６における判別結果がＮＯであれば、ハンズフリー通話装置２０から所定距離内に位置する携帯電話機１０が存在しないため、制御部２００は、ユーザによって入力されたＰＩＮと一致するＰＩＮを送信してきた携帯電話機１０とデータ通信を開始する。より具体的には、制御部２００は、第１実施形態と同様にして、ユーザによってＰＩＮが入力されると（ステップＴ８乃至Ｔ１０）、通信エリアＡ内に在圏する携帯電話機１０の各々に対してＰＩＮ要求を送信する（ステップＴ１１）。そして、制御部２００は、携帯電話機１０からのＰＩＮの送信を所定時間待ち受けた後（ステップＴ１２）、ステップＴ９の待ち受け中に入力されたＰＩＮと一致するＰＩＮを送信してきた携帯電話機１０とデータ通信を開始する（ステップＴ１４：ＹＥＳ）。
【００２６】
このように、本実施形態によれば、ハンズフリー通話装置２０から所定の距離内に複数の携帯電話機１０が在圏する場合には、ハンズフリー通話装置２０は、受信電界強度Ｅが最も大きい、すなわち、自装置２０に最も近い携帯電話機１０とデータ通信を開始する。従って、ハンズフリー通話装置２０の周囲に携帯電話機１０が複数存在する場合には、ユーザは、ハンズフリー通話装置２０と通信させたい携帯電話機１０を、このハンズフリー通話装置２０に最も近接するように配置させれば、PIN入力無しで、ハンズフリー通話装置２０に携帯電話機１０とデータ通信させることが可能となる。
＜変形例＞
上述した実施形態は、あくまでも例示であり、本発明の範囲内で任意に変形可能である。以下、実施形態の変形例について例示する。
（１）上述した各実施形態において、ハンズフリー通話装置２０が携帯電話機１０とデータ通信している最中に、次のようにして、データ通信相手の携帯電話機１０を切替えるようにしても良い。すなわち、ハンズフリー通話装置２０が携帯電話機１０とデータ通信している間、自装置２０から所定距離内に他の携帯電話機１０’が近接してきた場合には、先の携帯電話機１０とのデータ通信を終了し、携帯電話機１０’とデータ通信を開始するようにするのである。
【００２７】
より具体的には、図６に示すように、ハンズフリー通話装置２０の制御部２００は、携帯電話機１０とデータ通信をしている間、Inquiry処理を間欠的に実行し（ステップＵ１）、通信エリアＡ内に、携帯電話機１０以外に他の携帯電話機１０’が在圏しているかを判別する（ステップＵ２）。この判別結果がＮＯであれば、制御部２００は、切替えの対象となる携帯電話機１０’が存在しないため、処理手順をステップＵ１に戻し、Inquiry処理を繰り返す。一方、ステップＵ２における判別結果がＹＥＳの場合、制御部２００は、在圏する携帯電話機１０’が一台か複数台かを判別する（ステップＵ３）。この判別結果がＹＥＳ、すなわち、１台の携帯電話機１０’だけが在圏する場合、この携帯電話機１０’の受信電界強度Ｅを電界強度測定部２０４に測定させ（ステップＵ４）、受信電界強度Ｅが電界強度しきい値Ｅｔｈより大であるかを判別する（ステップＵ５）。この判別結果がＹＥＳであれば、制御部２００は、携帯電話機１０’が自装置２０から所定距離以内に位置するため、通信中である携帯電話機１０とのデータ通信を終了する一方で、携帯電話機１０’とのデータ通信を開始するといった通信先の切替を実行する（ステップＵ６）。一方、ステップＵ５における判別結果がＮＯである場合、携帯電話機１０’までの距離が所定距離よりも離れているため、制御部２００は、この携帯電話機１０’とのデータ通信を開始せずに、処理手順をステップＵ１に戻す。
【００２８】
さて、ステップＵ３における判別の結果、通信エリアＡ内に、複数の携帯電話機１０’が在圏する場合（ステップＵ３：ＮＯ）、制御部２００は、各携帯電話機１０’の受信電界強度Ｅを電界強度測定部２０４に測定させる（ステップＵ７）。そして、制御部２００は、受信電界強度Ｅが電界強度しきい値Ｅｔｈよりも大となる携帯電話機１０’があるかを判別し（ステップＵ８）。この判別結果がＮＯである場合、すなわち、携帯電話機１０’の各々が所定距離以上離れている場合には、これらの携帯電話機１０’とデータ通信を開始せずに、処理手順をステップＵ１に戻す。一方、ステップＵ８における判別結果がＹＥＳである場合、制御部２００は、受信電界強度Ｅが電界強度しきい値Ethをこえている携帯電話機１０’のうち、受信電界強度Ｅが最も大である携帯電話機１０’を特定し（ステップＵ９）、この携帯電話機１０’とデータ通信を開始すべく、通信先の切替えを実行する（ステップＵ６）。
【００２９】
このように、本変形例によれば、ハンズフリー通話装置２０は、携帯電話機１０と通信中であっても、所定距離以内に近づいた携帯電話機１０’がある場合には、この携帯電話機１０’とデータ通信を開始する構成となっている。従って、ユーザがハンズフリー通話装置２０とデータ通信する携帯電話機１０を切替えたい場合には、所望の携帯電話機１０をハンズフリー通話装置２０の所定距離内に近づけるだけで、ＰＩＮ入力無しで切替えることが可能となる。
（２）上述した各実施形態において、近距離無線通信としてBluetooth規格に準拠する通信を例示したが、近距離無線通信であれば規格は任意である。
（３）各実施形態では、通信端末として、ハンズフリー通話装置２０と携帯電話機１０とを例示したが、これに限らず、近距離無線通信する通信端末であれば、任意のものであって良い。
（４）各実施形態にかかるハンズフリー通話装置１０において、ユーザが操作部２０８を操作するなどして、電界強度しきい値Ｅｔｈまたは距離のしきい値を設定できる構成としても良い。なお、距離のしきい値が設定される構成である場合には、制御部２００は、設定された距離のしきい値から電界強度しきい値Ethを求め、記憶部２０６に記憶させれば良い。
【００３０】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザが簡単な操作で、所望する通信端末とだけデータ通信させることが可能な無線通信装置およびハンズフリー装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施形態にかかるハンズフリー通話システムの構成を示す概略図である。
【図２】同ハンズフリー通話装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図３】同ハンズフリー通話装置の制御部の処理動作手順を示すフローチャートである。
【図４】本発明の第２実施形態にかかるハンズフリー通話システムの構成を示す概略図である。
【図５】同ハンズフリー通話装置の処理動作手順を示すフローチャートである。
【図６】本発明の変形例にかかるハンズフリー通話装置の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
１０、１０’ 携帯電話機
２０ ハンズフリー通話装置
２００ 制御部
２０２ 近距離無線通信部
２０４ 電界強度通信部
２０６ 記憶部

Claims (3)

1. 通信端末と近距離無線にてデータ通信する無線通信装置において、
   前記通信端末までの距離を推定する距離推定手段と、
   前記距離推定手段によって推定された距離と、しきい値との大小を判別する判別手段と、
   前記判別手段による判別結果が小である通信端末とデータ通信を開始すると共に、所定時間ごとに、前記距離推定手段及び前記判別手段に基づいて前記距離が最も小さい通信端末を特定し、当該通信端末が現在の通信先と異なる場合には、当該通信端末に通信先を切り替える処理を実行する制御手段と
   を備えることを特徴とする無線通信装置。
2. 前記通信端末からの電波の電界強度を測定する電界強度測定手段とを更に備え、
   前記距離推定手段は、
   前記電界強度測定手段により測定された電界強度に基づいて距離を推定する
   ことを特徴とする請求項１に記載の無線通信装置。
3. 車室内に設置され、携帯電話機と近距離無線通信する装置であり、当該携帯電話機から放音されるべき受話音声を当該携帯電話機から受信して放音する一方、当該携帯電話機が受音すべき送話音声を受音して当該携帯電話機に送信するハンズフリー通話装置において、
   前記携帯電話機までの距離を推定する距離推定手段と、
   前記距離推定手段によって推定された距離と、しきい値との大小を判別する判別手段と、
   前記判別手段による判別結果が小である携帯電話機と受話音声および送話音声の送受信を開始すると共に、所定時間ごとに、前記距離推定手段及び前記判別手段に基づいて、前記距離が最も小さい携帯電話機を特定し、当該携帯電話機が現在の通信先と異なる場合には、当該携帯電話機に通信先を切り替える処理を実行する制御手段と
   を備えることを特徴とするハンズフリー通話装置。

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