JP4110999B2 - 車両用運転操作補助装置およびその装置を備える車両 - Google Patents

車両用運転操作補助装置およびその装置を備える車両 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者の操作を補助する車両用運転操作補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用運転操作補助装置は、先行車と自車両との車間距離に基づき、アクセルペダルの操作反力を変更している(例えば特許文献1)。この装置は、車間距離の減少に伴いアクセルペダルの反力を増加させることによって、運転者の注意を喚起する。
本願発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】
特開平10−166890号公報
【特許文献2】
特開平10−166889号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような車両用運転操作補助装置は、反力制御の対象としている先行車が隣接車線に移動したり、自車両が車線変更を行って先行車が検出されなくなった場合に、アクセルペダル反力が急に変化して運転者に違和感を与えてしまうという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明による車両用運転操作補助装置は、自車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、障害物検出手段からの信号に基づいて、自車両の障害物に対するリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、リスクポテンシャル算出手段からの信号に基づいて、リスクポテンシャルが大きくなるほど車両操作機器に発生させる操作反力を大きくするように操作反力を決定する操作反力決定手段と、操作反力決定手段からの信号に基づいて、車両操作機器に発生する操作反力を制御する車両操作機器制御手段と、障害物検出手段によって検出された障害物が誤認識である確信度を、障害物検出手段によって障害物が検出されてからの経過時間に基づいて算出する誤認識確信度算出手段と、障害物検出手段によって検出されていた障害物が、障害物検出手段による検知可能領域外もしくは自車線外に到達することにより反力制御の対象外となる確信度を算出する対象外確信度算出手段と、障害物検出手段によって検出される障害物が検知可能領域外もしくは自車線外に到達したかを判定し、障害物が検知可能領域外もしくは自車線外に到達して反力制御の対象外となったと判定すると、車両操作機器に発生させる操作反力がリスクポテンシャルに応じて低下する際の変化パターンを、誤認識確信度算出手段によって算出された誤認識確信度および対象外確信度算出手段によって算出された対象外確信度に基づいて補正する操作反力補正手段とを備える。
【0005】
【発明の効果】
本発明によれば、誤認識確信度および対象外確信度に基づいて、リスクポテンシャルに応じて車両機器に発生する操作反力の変化パターンを補正するので、障害物が反力制御の対象外となった場合でも運転者の違和感を低減した反力制御を行うことができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
《第1の実施の形態》
本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。図1は、第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の構成を示すシステム図であり、図2は、車両用運転操作補助装置1を搭載する車両の構成図である。
【0007】
まず、車両用運転操作補助装置1の構成を説明する。レーザレーダ10は、車両の前方グリル部もしくはバンパ部等に取り付けられ、水平方向に赤外光パルスを走査する。レーザレーダ10は、前方にある反射物(通常、前方車の後端)で反射された赤外光パルスの反射波を計測し、反射波の到達時間より、前方障害物までの縦方向距離と横方向距離を検出する。検出した縦方方向距離及び横方向距離はコントローラ50へ出力される。レーザレーダ10によりスキャンされる前方の領域は、自車正面に対して±6[deg]程度であり、この範囲内に存在する前方物体が検出される。
【0008】
車速センサ20は、車輪の回転数や変速機の出力側の回転数を計測することにより自車両の車速を検出する。検出した自車速はコントローラ50へ出力される。
【0009】
操舵角センサ30は、ステアリングホイール、またはステアリングホイールと一体で回転するステアリングシャフト(不図示)の回転変位から操舵角度を検出する。操舵角センサ30は、例えば、ギヤ機構等の増幅器とロータリーエンコーダあるいはポテンショメータ等の角度検出機構からなり、ステアリングホイールの回転変位をギヤ機構で増幅した後、角度検出機構により操舵角検出信号として検出する。検出した操舵角検出信号はコントローラ50へ出力される。
【0010】
コントローラ50は、CPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品とから構成されており、CPUのソフトウェア形態により、図3に示すように障害物認識部51,リスクポテンシャル算出部52,運転操作反力決定部53,誤認識確信度算出部54,検知可能領域算出部55,対象外確信度算出部56および運転操作反力補正部57を構成している。
【0011】
コントローラ50は、車速センサ20から入力される自車速と、操舵角センサ30から入力される操舵角とから道路形状を推定する。また、レーザレーダ10から入力される縦方向距離、横方向距離、および推定した道路形状から自車前方の障害物状況を検出する。コントローラ50は、検出した障害物状況に基づいて障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを算出する。さらに、コントローラ50は、障害物に対するリスクポテンシャルから、以下のようにリスクポテンシャルに応じた制御を行う。
【0012】
本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1は、アクセルペダルを操作する際に発生する反力を制御することによって、運転者の運転操作を適切にアシストする。そこで、コントローラ50は、算出したリスクポテンシャルに基づいて車両前後方向の反力制御量を算出する。コントローラ50は、算出した前後方向の反力制御量をアクセルペダル反力制御装置60へと出力する。
【0013】
アクセルペダル反力制御装置60は、コントローラ50から出力される反力制御量に応じて、アクセルペダル62のリンク機構に組み込まれたサーボモータ61で発生させるトルクを制御する。サーボモータ61は、アクセルペダル操作反力制御装置60からの指令値に応じて発生させるトルクおよび回転角を制御し、運転者がアクセルペダル62を操作する際に発生する操作反力を任意に制御することができる。なお、リスクポテンシャルに応じた反力制御を行わない場合のアクセルペダル反力特性を、通常の反力特性とする。通常の反力特性は、例えばアクセルペダル62の回動中心に設けられたばねのバネ力により実現することができる。
【0014】
図3に示すコントローラ50の障害物認識部51は、レーザレーダ10からの信号を読み込み、自車両と前方障害物との縦方向距離、横方向距離、縦方向相対速度および横方向相対速度を算出する。リスクポテンシャル算出部52は、障害物認識部51からの信号に基づいて、前方障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを算出する。運転操作反力決定部53は、リスクポテンシャル算出部52で算出されたリスクポテンシャルから前後方向の反力制御量を算出する。誤認識確信度算出部54は、障害物認識部51からの信号に基づいて、検出された障害物が誤認識である確信度を算出する。
【0015】
検知可能領域算出部55は、車速センサ20から入力される自車速と、操舵角センサ30から入力される操舵角とから、レーザレーダ10による自車線内の検知可能領域を算出する。対象外確信度算出部56は、障害物認識部51によって算出された前方障害物の位置、移動速度および移動方向と、検知可能領域算出部55によって算出された自車線内の検知可能領域とから、障害物が自車線内の検知可能領域をどのように移動しているかを推定し、その障害物が対象外となる確信度を算出する。ここで、障害物が自車線あるいはレーダの検知可能領域から離脱し、アクセルペダル反力制御を行う対象の障害物でなくなった状態を対象外とする。
【0016】
運転操作反力補正部57は、誤認識確信度算出部54で算出された誤認識確信度、及び対象外確信度算出部56で算出された対象外確信度に基づいて、運転操作反力決定部53で算出された反力制御量を補正する。
【0017】
次に本発明の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の動作を詳細に説明する。図4は、本発明の実施の形態によるコントローラ50における運転操作補助制御処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、本処理内容は、一定間隔、例えば50[msec]毎に連続的に行われる。
【0018】
まず、ステップS100で走行状態を読み込む。ここで、走行状態は、自車前方の障害物状況を含む自車両の走行状況に関する情報である。そこで、レーザレーダ10により検出される前方障害物、例えば自車両前方を走行する車両までの縦方向距離および横方向距離と、車速センサ20によって検出される自車両の走行車速、操舵角センサ30によって検出される操舵角を読み込む。
【0019】
ステップS200では、ステップS100で読み込み、認識した走行状態データに基づいて、前方障害物の状況を認識する。ここでは、前回の処理周期以前に検出され、コントローラ50のメモリに記憶されている自車両に対する前方障害物の相対位置やその移動方向・移動速度と、ステップS100で得られた現在の走行状態データとにより、現在の前方障害物の自車両に対する相対位置やその移動方向・移動速度を認識する。ここでは、前方障害物の自車両に対する縦方向距離、横方向距離、縦方向相対速度および横方向相対速度を認識する。そして、自車両の走行に対して障害物が、自車両の前方にどのように配置され、相対的にどのように移動しているかを認識する。なお、自車両の前後方向を縦方向とし、自車両の左右方向を横方向とする。
【0020】
ステップS300では、前方障害物に対するリスクポテンシャルRPを算出する。前方障害物に対するリスクポテンシャルRPを算出するために、まず、認識された前方障害物に対する余裕時間(TTC:Time To Collision)を算出する。ここで、前方障害物に対する余裕時間TTCは、以下の(式1)で求められる。
【数1】
Figure 0004110999
ここで、L:自車両から前方障害物までの相対距離、Vr:自車両に対する前方障害物の相対速度をそれぞれ示す。余裕時間TTCは、前方障害物に対する現在の自車両の接近度合を示す物理量であり、現在の走行状況が継続した場合、つまり相対車速Vrが一定の場合に、何秒後に自車両と障害物が接触するかを示す値である。
【0021】
算出した余裕時間TTCを用いて、前方障害物に対するリスクポテンシャルRPを算出する。前方障害物に対するリスクポテンシャルRPは以下の(式2)で求められる。
【数2】
Figure 0004110999
【0022】
(式2)に示すように、リスクポテンシャルRPは余裕時間TTCの逆数を用いて、余裕時間TTCの関数として表される。リスクポテンシャルRPが大きいほど前方障害物への接近度合が大きいことを示している。なお、このリスクポテンシャルRPは、前方走行車に対するリスクポテンシャルであり、自車両前後方向のリスクポテンシャルを示している。
【0023】
ステップS400では、ステップS300で算出した前後方向リスクポテンシャルRPから、前後方向制御指令値、すなわちアクセルペダル反力制御装置60へ出力する反力制御指令値FAを算出する。前後方向リスクポテンシャルRPが大きいほど、アクセルペダル62を戻す方向へ制御反力を発生させる。
【0024】
図5に、前後方向リスクポテンシャルRPと、アクセルペダル反力制御指令値FAとの関係を示す。図5に示すように、前後方向リスク度RPが所定値RPmaxよりも小さい場合、前後方向リスクポテンシャルRPが大きいほど、大きなアクセルペダル反力を発生させるようにアクセルペダル反力制御指令値FAを算出する。前後方向リスクポテンシャルRPが所定値RPmaxより大きい場合には、最大のアクセルペダル反力を発生させてアクセルペダル62の開放を促すように、アクセルペダル反力制御指令値FAを最大値FAmaxに固定する。
【0025】
ステップS500では、レーザレーダ10により検出された前方障害物が誤認識である確信度を算出する。レーザレーダ10等のセンサによる障害物との車間距離検出は、100%の信頼性を得られるものではない。例えば、自車両前方に反力制御の対象となる障害物がいないにも関わらず、車線周辺の看板等を前方障害物であると誤認識してしまう可能性がある。誤認識した物体に対して反力制御を行うと、実際には自車両前方に対象障害物が存在しないのにアクセルペダル反力が発生し、運転者に煩わしさを与えてしまう。そこで、ここではレーザレーダ10によって検出された前方障害物が反力制御の対象とすべき対象障害物ではない、すなわち誤認識をしたという確信度を算出する。ステップS500における誤認識確信度算出処理を、図6〜図9を用いて詳細に説明する。
【0026】
図6は、ステップS500における誤認識確信度算出処理の処理手順を示すフローチャートである。ステップS520では、ステップS200で算出された自車両と障害物との距離および相対速度から、自車前方の障害物状態を判定する。ステップS540では、ステップS520で判定された障害物状態に基づいて、障害物を認識してからの経過時間を算出する。ステップS560では、ステップS540で算出された、障害物を認識してからの経過時間に基づいて、誤認識確信度を算出する。
【0027】
まず、ステップS520における障害物状態判定処理を、図7のフローチャートを用いて詳細に説明する。ここでは、自車前方に存在する障害物を検知している場合は、先行車検知フラグflgLOCKを1とする。また、自車前方に新たに障害物を検知した場合、若しくは自車前方の障害物が入れ替わった場合は、先行車入れ替わりフラグflgCHANGEを1とする。
【0028】
ステップS521では、自車前方に存在する障害物、すなわち先行車を検知しているか否かを判定する。先行車を検出している場合はステップS522に進み、先行車検知フラグflgLOCKに1をセットする。ステップS523では、先行車検知フラグの前回値flgLOCK_zが1か否かを判定する。ステップS523が肯定判定され、前回周期においても先行車を検知していた場合は、ステップS524に進む。
【0029】
ステップS524では、自車両と先行車との車間距離Lと車間距離の前回値L_zとの差(|L−L_z|)が、所定値L0よりも小さいか否かを判定する。ステップS524が肯定判定されると、ステップS525に進む。ステップS525では、相対速度Vrと相対速度の前回値Vr_zとの差(|Vr−Vr_z|)が、所定値Vr0よりも小さいか否かを判定する。ステップS525が肯定判定されると、ステップS526へ進む。
【0030】
ステップS526では、先行車との車間距離Lおよび相対速度Vrに大きな変化がないため同一の障害物を検知し続けていると判断し、先行車入れ替わりフラグflgCHANGEに0をセットする。一方、ステップS523からステップS525のいずれかが否定判定されると、ステップS527へ進む。ステップS527では、自車前方に存在する障害物を新たに検知したか、若しくは自車前方の障害物が入れ替わったと判断し、先行車入れ替わりフラグflgCHANGEに1をセットする。
【0031】
ステップS521が否定判定され、先行車が検知されていない場合は、ステップS528へ進む。ステップS528では、先行車検知フラグflgLOCKに0をセットし、ステップS529で先行車入れ替わりフラグflgCHANGEに0をセットする。
【0032】
ステップS530では、今回検出あるいは設定した車間距離L、相対速度Vrおよび先行車検知フラグflgLOCKを、それぞれの前回値L_z、Vr_z、flgLOCK_zにセットして終了する。
【0033】
ステップS520において障害物状態を判定したのち、ステップS540へ進む。以下に、ステップS540における障害物認識経過時間算出処理を、図8のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0034】
ステップS541では、ステップS520で設定した先行車検知フラグflgLOCKが1か否かを判定する。ステップS541が肯定判定されると、ステップS542に進み、先行車入れ替わりフラグflgCHANGEが0か否かを判定する。ステップS542が肯定判定され、同一障害物を継続して検知している場合は、ステップS543に進む。
【0035】
ステップS543では、障害物認識後の経過時間カウンタLOCK_Tに1を加算して終了する。ステップS541、若しくはステップS542が否定判定され、自車前方に障害物が存在しない、あるいは自車前方の障害物が入れ替わった場合は、ステップS544へ進む。ステップS544では、障害物認識後の経過時間カウンタLOCK_Tを0にクリアして終了する。
【0036】
ステップS540において障害物認識後経過時間を算出した後、ステップS560へ進む。ステップS560では、ステップS540で算出された、障害物を認識してからの経過時間LOCK_Tに基づいて誤認識確信度S1を算出する。
【0037】
図9に、障害物を認識してからの経過時間LOCK_Tと誤認識確信度S1との関係を示す。図9に示すように、経過時間LOCK_Tが所定値LOCK_T0、例えば2秒よりも小さい場合、前方障害物の検出が誤認識である可能性が高いと判断し、誤認識確信度S1を100%に設定する。経過時間LOCK_Tが所定値LOCK_T0よりも大きい場合は、前方障害物の誤認識の可能性が次第に低くなると考えられるので、誤認識確信度S1を徐々に小さくする。そして経過時間LOCK_Tが所定値LOCK_T1、例えば10秒よりも大きい場合は誤認識の可能性は非常に低くなるので、誤認識確信度S1を0%に設定する。ここで、LOCK_T0<LOCK_T1である。
【0038】
このように、ステップS500において前方障害物の誤認識確信度S1を算出した後、ステップS600へ進む。
【0039】
ステップS600では、レーザレーダ10によりスキャンされる前方の領域、例えば自車正面に対して±6degから、レーザーレーダ10による自車線内の検知可能領域を算出する。自車線内の検知可能領域は、例えば次のようにして算出できる。なお、以下の計算においては、レーザレーダ10は自車両前方中央に取り付けられており、自車両は車線中央を走行していると仮定する。
【0040】
図10および図11に示すように、自車両前面の中心位置を原点として、前方にy軸、右方にx軸となる座標系を設定する。図10は自車線が直線路である場合を示し、図11は自車線が曲線路である場合を示している。なお、レーザレーダ10のスキャニング幅を2θ、最長検知距離をymaxとし、車線幅をDとする。
【0041】
《直線路の場合》
まず、図10を用いて直線路におけるレーザレーダ10の検知可能領域の算出処理を説明する。なお、図10に示すハッチング部分が自車線内の検知可能領域である。
【0042】
レーザレーダ10によるスキャン範囲の右側境界は、(式3)で表される。
【数3】
Figure 0004110999
【0043】
これにより、自車線右端とレーダスキャン範囲の右側境界との交点(x1,y1)は、それぞれ(式4)(式5)で表される。
【数4】
Figure 0004110999
【数5】
Figure 0004110999
【0044】
同様に、レーダスキャン範囲の左側境界は、(式6)のように表される。
【数6】
Figure 0004110999
【0045】
したがって、自車線左端とレーダスキャン範囲の左側境界との交点(x2,y2)は、以下の(式7)(式8)となる。
【数7】
Figure 0004110999
【数8】
Figure 0004110999
【0046】
これらを用いて、直線路の場合の自車線内の検知可能領域は、以下のように表すことができる。
・ymax≧y≧y1(=y2)のとき
【数9】
Figure 0004110999
・y1(=y2)≧y(>0)のとき
【数10】
Figure 0004110999
【0047】
《曲線路の場合》
つぎに、曲線路におけるレーザレーダ10の検知可能領域の算出処理を説明する。ここでは、図11に示すように自車線が左カーブである場合を考える。なお、図11に示すハッチング部分が自車線内の検知可能領域である。
【0048】
まず、曲率半径Rは、操舵角センサ30から入力される操舵角STR、及びステアリングギヤ比STR_GR、ホイールベースl、スタビリティファクタAを用いて、以下の(式11)により算出することができる。
【数11】
Figure 0004110999
【0049】
曲率半径Rのカーブ路の自車線右端は、(式12)で表される。
【数12】
Figure 0004110999
【0050】
レーダスキャン範囲の右側境界と自車線右端との交点(x1.y1)は、上述した(式3)および(式12)を連立することにより、以下の(式13)(式14)で表される。
【数13】
Figure 0004110999
【数14】
Figure 0004110999
【0051】
同様に、レーダスキャン範囲の左側境界と自車線右端との交点(x2,y2)は、上述した(式6)および(式12)を連立することにより、以下の(式15)および(式16)で表される。
【数15】
Figure 0004110999
【数16】
Figure 0004110999
【0052】
これらを用いて、曲線路の場合の自車線内の検知可能領域は、以下のように表すことができる。
・y2≧y≧y1、かつymax≧yのとき
【数17】
Figure 0004110999
・y1≧y(>0)のとき
【数18】
Figure 0004110999
なお、自車線が右カーブの場合も、同様にして自車線内の検知可能領域を算出することができる。
【0053】
なお、ここでは車速と操舵角とから曲率半径Rを算出し、道路形状を推定しているが、これに限らず、例えば前方風景を撮影したカメラ画像を画像処理して白線を認識したり、ナビゲーションシステムから得られた道路情報を元に道路形状を推定することもできる。
【0054】
このようにステップS600でレーザレーダ10の検知可能領域を算出した後、ステップS700へ進む。
【0055】
ステップS700では、ステップS200で認識された現在の障害物の自車両に対する相対位置やその移動方向・移動速度と、ステップS600で算出された自車線内の検知可能領域とから、対象外確信度を算出する。レーザレーダ10等のセンサによる障害物との車間距離の検出は、100%の信頼性を得られるものではない。例えば、センサの不具合や道路形状等によって自車両前方に障害物が存在するにも関わらず、前方障害物を検知できなくなってしまう可能性がある。このとき、前方障害物が存在しなくなったと判断してアクセルペダル反力制御を終了すると、運転者はアクセルペダル反力の変動に対して自らが瞬時に対応しなくてはいけない。この結果、運転者の負担が増大するとともに、運転者がシステムに対する不信感を抱いてしまう可能性がある。そこで、ここでは、自車両前方の障害物が自車線外に離脱するなどして反力制御の対象障害物ではなくなったという確信度を算出する。
【0056】
ステップS700における対象外確信度算出処理の処理手順を、図12のフローチャートを用いて説明する。ステップS720では、自車前方に存在する障害物が自車線内の検知可能領域の外に出るまでの時間を算出する。ステップS740では、自車前方の障害物が自車線外に出るまでの時間を算出する。ステップS760では、ステップS720で算出した検知可能領域外到達時間、及びステップS740で算出した自車線外到達時間から、対象外確信度を算出する。
【0057】
以下に、図13から図17を用いてステップS720〜S760における処理を詳細に説明する。
ステップS720では、自車前方の障害物が自車線内の検知可能領域の外に出るまでの時間を算出する。ここで、図13及び図14に示すように、自車前方の障害物が黒丸●の位置にいるとき、レーザレーダ10による自車線内の検知可能領域の外、すなわちクロス×の位置に到達するまでの時間を、自車前方の障害物が自車線内の検知可能領域の外に出るまでの時間とする。検知可能領域外到達時間T1は、以下のように算出できる。なお、現在の前方障害物の位置を(x(0)、y(0))、自車両と前方障害物との相対速度を(dx、dy)とする。
【0058】
前方障害物の移動軌跡は、以下の(式19)あるいは(式20)で表される。
【数19】
Figure 0004110999
【数20】
Figure 0004110999
【0059】
また、時間T後の前方障害物の位置(x(T)、y(T))は、(式21)(式22)で表される。
【数21】
Figure 0004110999
【数22】
Figure 0004110999
【0060】
《直線路の場合》
まず、図13を用いて、自車線が直線路である場合の検知可能領域外到達時間T1の算出処理について、前方障害物の移動方向別に説明する。
○遠方へ移動中(図13、▲1▼)
以下の(式23)および(式24)を満たす場合、前方障害物は遠方に移動中であると判断することができる。
【数23】
Figure 0004110999
【数24】
Figure 0004110999
このとき、検知可能領域外到達時間T1は、(式25)で算出できる。
【数25】
Figure 0004110999
【0061】
○隣接車線へ移動中(図13、▲2▼)
・dx>0のとき、(式26)を満たす場合は、前方障害物は右車線に移動中であると判断することができる。
【数26】
Figure 0004110999
このとき、検知可能領域外到達時間T1は、(式27)で算出できる。
【数27】
Figure 0004110999
・dx<0のとき、(式28)を満たす場合は、前方障害物は左車線に移動中であると判断することができる。
【数28】
Figure 0004110999
このとき、検知可能領域外到達時間T1は、(式29)で算出することができる。
【数29】
Figure 0004110999
【0062】
○自車線内検知可能領域外に移動中(図13、▲3▼)
・dx>0のとき、(式30)を満たす場合は、前方障害物は自車線内右側検知可能領域外に移動中であると判断することができる。
【数30】
Figure 0004110999
前方障害物の移動軌跡とレーダスキャン範囲の右側境界との交点は、上述した(式3)と(式19)を連立することにより、(式31)(式32)で表される。
【数31】
Figure 0004110999
【数32】
Figure 0004110999
これにより、検知可能領域外到達時間T1は、(式33)で算出できる。
【数33】
Figure 0004110999
・dx<0のとき、(式34)を満たす場合は、前方障害物は自車線内左側検知可能領域外に移動中であると判断することができる。
【数34】
Figure 0004110999
【0063】
前方障害物の移動軌跡とレーダスキャン範囲の左側境界との交点は、上述した(式6)と(式19)を連立することにより、(式35)(式36)で表される。
【数35】
Figure 0004110999
【数36】
Figure 0004110999
これにより、検知可能領域外到達時間T1は、以下の(式37)で算出できる。
【数37】
Figure 0004110999
【0064】
《曲線路の場合》
つぎに、自車線が曲線路である場合の検知可能領域外到達時間T1の算出処理について、図14および図15(a)(b)を用いて、前方障害物の移動方向別に説明する。
【0065】
図15(a)(b)に示す、レーザレーダ10の最長検知距離ymaxにおけるカーブ路の自車線右端上の点Aの座標(x3,y3)は、(式38)で表される。
【数38】
Figure 0004110999
【0066】
これにより、以下の(式39)を満たす場合は、図15(a)に示すような、レーザレーダ10の最長検知距離ymaxにおいてレーダスキャン範囲とカーブ路の自車線右端とが交わるようなカーブである。
【数39】
Figure 0004110999
【0067】
一方、以下の(式40)を満たす場合は、図15(b)に示すような、レーザレーダ10の最長検知距離ymaxにおいてレーダスキャン範囲とカーブ路の自車線右端とが交わらない、すなわちレーダスキャン範囲の左側境界とカーブ路の自車線右端とが交わるようなカーブである。
【数40】
Figure 0004110999
【0068】
○遠方へ移動中
図15(a)のようなカーブの場合、すなわち(式39)を満たすとき、以下の(式41)および(式42)を満たす場合は、前方障害物は遠方に移動中であると判断することができる。
【数41】
Figure 0004110999
【数42】
Figure 0004110999
このとき、検知可能領域外到達時間T1は、(式43)で算出できる。
【数43】
Figure 0004110999
【0069】
○隣接車線へ移動中(図14、▲1▼)
図15(a)のようなカーブの場合、すなわち式(39)を満たすとき、以下の(式44)、あるいは(式45)を満たす場合、前方障害物は右車線に移動中であると判断することができる。
・dx>0のとき
【数44】
Figure 0004110999
・dx<0のとき
【数45】
Figure 0004110999
【0070】
一方、図15(b)のようなカーブの場合、すなわち式(40)を満たすとき、以下の(式46)あるいは(式47)を満たす場合、前方障害物は右車線に移動中であると判断することができる。
・dx>0のとき
【数46】
Figure 0004110999
・dx<0のとき
【数47】
Figure 0004110999
【0071】
ここで、検知可能領域外到達時間T1は、上述した(式12)に(式21)および(式22)を代入することにより、以下のように表される。ここで、A、B、Cを(式48)のように仮定する。
【数48】
Figure 0004110999
・B−4・A・C>0のとき
C≦0の場合
【数49】
Figure 0004110999
C>0の場合
【数50】
Figure 0004110999
・B−4・A・C=0のとき
【数51】
Figure 0004110999
【0072】
○自車線内右側検知可能領域外に移動中(図14、▲2▼)
・dx>0のとき、以下の(式52)を満たす場合、前方障害物は自車線内右側検知可能領域外に移動中であると判断することができる。
【数52】
Figure 0004110999
前方障害物の移動軌跡とレーダスキャン範囲の右側境界との交点は、上述した(式3)と(式19)を連立することにより、(式53)(式54)で表される。
【数53】
Figure 0004110999
【数54】
Figure 0004110999
これにより、検知可能領域外到達時間T1は、(式55)で算出できる。
【数55】
Figure 0004110999
【0073】
○自車線内左側検知可能領域外に移動中(図14、▲3▼)
図15(a)のようなカーブの場合、すなわち(式39)を満たすとき、以下の(式56)および(式57)を満たす場合、前方障害物は自車線内左側検知可能領域外に移動中であると判断することができる。
【数56】
Figure 0004110999
【数57】
Figure 0004110999
【0074】
一方、図15(b)のようなカーブの場合、すなわち(式40)を満たすとき、以下の(式58)および(式59)を満たす場合、前方障害物は自車線内左側検知可能領域外に移動中であると判断することができる。
【数58】
Figure 0004110999
【数59】
Figure 0004110999
【0075】
前方障害物の移動軌跡とレーダスキャン範囲の左側境界との交点は、上述した(式6)と(式19)を連立することにより、(式60)(式61)で表される。
【数60】
Figure 0004110999
【数61】
Figure 0004110999
これにより、検知可能領域外到達時間T1は、(式62)で算出できる。
【数62】
Figure 0004110999
【0076】
このように、ステップS720において検知可能領域外到達時間T1を算出した後、ステップS740での処理に移行する。
ステップS740では、自車前方の障害物が自車線外に出るまでの時間を算出する。ここで、図16および図17に示すように、自車前方の障害物が黒丸●の位置にいるとき、自車線外、すなわちクロス×の位置に到達するまでの時間を、自車前方の障害物が自車線外に出るまでの時間T2とする。自車線外到達時間T2は次のように算出できる。
【0077】
《直線路の場合》
まず、自車線が直線路である場合の自車線外到達時間T2の算出処理を、図16を用いて、前方障害物の移動方向別に説明する。
・dx>0のとき、自車前方の障害物は自車線右端に移動しているので、自車線外到達時間T2は、(式63)で表される。
【数63】
Figure 0004110999
・dx<0のとき、自車前方の障害物は自車線左端に移動しているので、自車線外到達時間T2は、(式64)で表される。
【数64】
Figure 0004110999
【0078】
《曲線路の場合》
つぎに、自車線が曲線路である場合の自車線外到達時間T2の算出処理を、図17を用いて、前方障害物の移動方向別に説明する。
○自車前方の障害物が自車線右端に移動している場合
自車線外到達時間T2は、上述した(式12)に(式21)および(式22)を代入することにより、以下の様に算出することができる。ここで、A、B、Cを(式48)のように仮定する。
【数65】
Figure 0004110999
・B−4・A・C>0のとき
C≦0の場合
【数66】
Figure 0004110999
C>0の場合、
【数67】
Figure 0004110999
・B−4・A・C=0のとき
【数68】
Figure 0004110999
【0079】
○自車前方の障害物が自車線左端に移動している場合
曲率半径Rのカーブ路の自車線左端は、(式69)で表される。
【数69】
Figure 0004110999
【0080】
したがって、自車線外到達時間T2は、(式69)に上述した(式21)および(式22)を代入することにより、以下のように算出できる。ここで、A、B、Cを(式48)のように仮定する。
【数70】
Figure 0004110999
・B−4・A・C>0のとき
C≦0の場合
【数71】
Figure 0004110999
C>0の場合
【数72】
Figure 0004110999
・B−4・A・C=0のとき
【数73】
Figure 0004110999
【0081】
このように、ステップS740において自車線外到達時間T2を算出した後、ステップS760の処理へ移行する。
ステップS760では、ステップS720算出した検知可能領域外到達時間T1、およびステップS740で算出した自車線外到達時間T2を用いて、対象外確信度S2を算出する。対象外確信度S2は、例えば以下の(式74)を用いて算出することができる。
【数74】
Figure 0004110999
【0082】
ただし、0%≦S2≦100%である。ここで、所定時間Tminは、自車前方の障害物の動きをそれまでの軌跡から精度よく推定できる時間であり、例えばTmin=5[sec]と設定できる。(式74)の第1項において、検知可能領域外到達時間T1に係る係数−4は、対象外確信度S2が1秒当たりに4%減ることを示している。この係数および所定時間Tminは、実験等から適切な値を予め設定しておく。
【0083】
(式74)を用いて対象外確信度S2を算出することにより、例えば検知可能領域外到達時間T1が短いほど、(式74)の第1項(−4・T1+100%)が大きくなる。すなわち、自車前方の障害物が検知可能領域の端部に近いほど、対象外確信度S2が大きくなることを示している。また、検知可能領域外到達時間T1と所定時間Tminとの和が自車線外到達時間T2よりも大きい場合、すなわち自車前方の障害物が自車線外に到達するまでの時間T2と、検知可能領域外に到達するまでの時間T1との差が所定時間Tmin以下の場合は、(式74)の第2項((T1+Tmin)/T2)が大きくなる。すなわち、障害物が自車線外に到達するまで障害物を継続して検知し、障害物の動きを精度よく追跡できるので、対象外確信度S2が大きくなる。
【0084】
このように、ステップS700において対象外確信度S2を算出したのち、ステップS800へと進む。
ステップS800では、ステップS500で算出された誤認識確信度S1、及びステップS700で算出された対象外確信度S2に応じて、ステップS400で算出された反力制御指令値FAを補正し、反力指令値補正値FAoutを算出する。ステップS800における運転操作反力補正処理の処理手順を、図18のフローチャートを用いて説明する。
【0085】
ステップS820では、ステップS700で算出された対象外確信度S2から、遅延時間T3を算出する。ステップS840では、ステップS500で算出された誤認識確信度S1、及びステップS700で算出された対象外確信度S2に応じて、反力制御指令値変化率ΔFAを算出する。ステップS860では、ステップS820算出した遅延時間T3、およびステップS840で算出した反力制御指令値変化率ΔFAに基づいて、反力制御指令値補正値FAoutを算出する。以下、ステップS820〜S860における処理の詳細を、図19から図23を用いて説明する。
【0086】
ステップS820では、ステップS700で算出された対象外確信度S2から遅延時間T3を算出する。図19に、対象外確信度S2と遅延時間T3との関係を示す。ここで、遅延時間T3は、前方障害物が反力制御の対象外となったときに、その時点から操作反力の低下を開始するまでの遅延時間である。
【0087】
対象外確信度S2が所定値S2minよりも小さい場合は、障害物が反力制御の対象外である可能性が小さい。すなわち、実際には自車前方に障害物が存在するにもかかわらず、障害物を検出するセンサの一時的な性能低下や、道路の勾配等により障害物が非検知になった可能性が高い。したがって、図19に示すように、遅延時間T3を最大値T3maxに設定する。また、対象外確信度S2が所定値S2maxよりも大きい場合は、自車前方の障害物が対象外である可能性が大きいので、遅延時間T3を0に設定する。ここで、S2min<S2maxである。
【0088】
ステップS840では、ステップS500で算出された誤認識確信度S1、及びステップS700で算出された対象外確信度S2に応じて、反力制御指令値変化率ΔFAを算出する。ここで、反力制御指令値変化率ΔFAは、前方障害物が反力制御の対象外となった後、反力制御指令値FAを補正してリスクポテンシャルに対するアクセルペダル反力の変化パターンを補正する際の補正量を示している。ステップS840における反力制御指令値変化率算出処理を、図20のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0089】
ステップS841では、ステップS500で算出された誤認識確信度S1から、反力制御指令値変化率補正係数k1を算出する。図21に、誤認識確信度S1と反力制御指令値変化率補正係数k1との関係を示す。誤認識確信度S1が最大値S1maxよりも大きい場合は、レーザレーダ10により検知された自車前方の障害物が誤認識である可能性が高い。そこで、図21に示すように、障害物が反力制御の対象外となったときにアクセルペダル反力制御指令値FAを速い速度で低下させるように、すなわちアクセルペダル反力を速やかに通常の反力特性に復帰させるように、反力制御指令値変化率補正係数k1を最大値k1maxに設定する。誤認識確信度S1が最大値S1maxから小さくなるにつれて、反力制御指令値変化率補正係数k1が小さくなるように設定する。誤認識確信度S1が最小値S1minよりも小さい場合は、レーザレーダ10により検知された自車前方の障害物が誤認識である可能性が低いので、反力制御指令値変化率補正係数k1を1に設定する。
【0090】
ステップS842では、ステップS700で算出された対象外確信度S2から、反力制御指令値変化率補正係数k2を算出する。図22に、対象外確信度S2と反力制御指令値変化率補正係数k2との関係を示す。対象外確信度S2が所定値S2minよりも小さい場合は、前方障害物が対象外となった可能性が小さい。すなわち。自車前方に障害物が存在するにもかかわらず、障害物を検出するセンサの一時的な性能低下や、道路の勾配等により障害物が非検知になった可能性が高い。そこで、障害物が対象外となったときにアクセルペダル反力制御指令値FAを遅い速度で低下させるように、すなわちアクセルペダル反力を緩やかに通常の反力特性に復帰させるように、反力制御指令値変化率補正係数k2を最小値k2minに設定する。一方、対象外確信度S2が所定値S2maxよりも大きい場合は、自車前方の障害物が対象外である可能性が大きいので、反力制御指令値変化率補正係数k2を1に設定する。
【0091】
ステップS843では、ステップS841で算出した反力制御指令値変化率補正係数k1と、ステップS842で算出した反力制御指令値変化率補正係数k2とから、反力制御指令値変化率ΔFAを以下の(式75)によって算出する。
【数75】
Figure 0004110999
ここで、ΔFAbaseは、反力制御指令値変化率基準値として予め定められた値であり、例えば3[kgf・s]である。
【0092】
ステップS860では、ステップS820で算出した遅延時間T3、及びステップS840で算出した反力制御指令値変化率ΔFAに基づいて、反力指令値補正値FAoutを算出する。ステップS860における反力制御指令値補正値算出処理の処理を、図23のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0093】
ステップS861では、自車前方の障害物が反力制御の対象外であるか、すなわちレーザレーダ10により検知される障害物が自車線外に存在する、あるいは自車線内検知可能領域外に存在するか否かを判定する。ステップS861が肯定判定されると、ステップS862に進む。ステップS862では、ロスト経過時間カウンタCnt_lostが、ステップS820で算出された遅延時間T3よりも小さいか否かを判定する。ここで、ロスト経過時間カウンタCnt_lostは、自車前方の障害物が反力制御の対象外となってからの経過時間を示す。
【0094】
ステップS862が肯定判定され、ロスト経過時間カウンタCnt_lostが遅延時間T3よりも短い場合は、ステップS863に進む。ステップS863では、反力制御指令値変化率ΔFAoutに0をセットする。一方、ステップS862が否定判定され、自車前方の障害物が対象外となってから遅延時間T3以上経過した場合は、ステップS864へ進む。ステップS864では、反力制御指令値変化率ΔFAoutに、ステップS840で算出した反力制御指令値変化率ΔFAをセットする。
【0095】
ステップS865では、前回周期で算出した反力指令値補正値FAoutが反力制御指令値変化率ΔFAoutよりも大きいか否かを判定する。ステップS865が肯定判定されると、ステップS866に進む。ステップS866では、ロスト経過時間カウンタCnt_lostに1を加算してカウントアップする。さらに、前回周期の反力指令値補正値FAoutから反力制御指令値変化率ΔFAoutを減算して、新たな反力指令値補正値FAoutを算出する。ステップS865が否定判定されると、ステップS867に進み、反力指令値補正値FAoutに0をセットする。
【0096】
一方、ステップS861が否定判定され、自車前方の障害物が反力制御の対象である場合は、ステップS868に進む。ステップS868では、ロスト経過時間カウンタCnt_lostを0にクリアする。さらに、ステップS400で算出された反力制御指令値FAをそのまま反力指令値補正値FAoutとして設定する。
【0097】
このようにしてステップS800で算出された反力指令値補正値FAoutは、アクセルペダル反力制御装置60へ出力され、反力指令値補正値FAoutに従ってアクセルペダル反力制御が行われる。
【0098】
以下に、以上説明した第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の作用を、図24〜図26を用いて説明する。
【0099】
図24に、誤認識確信度S1と対象外確信度S2とから決定される反力制御の変化パターンを示す。図24に示すように、誤認識確信度S1と対象外確信度S2がともに小さい場合は、パターン1とする。誤認識確信度S1が小さく対象外確信度S2が大きい場合は、パターン2、誤認識確信度S1が大きく対象外確信度S2が小さい場合は、パターン3、誤認識確信度S1と対象外確信度S2がともに大きい場合は、パターン4とする。
【0100】
図25(a)〜(c)に、パターン1〜4における具体的な走行状況の例を示す。図25(a)はパターン1の走行状況を示しており、例えば自車前方に障害物が存在するにもかかわらず、センサの一時的な性能低下や、道路の勾配等により障害物が非検知になった場合である。図25(b)はパターン2の走行状況を示しており、例えば自車前方の障害物が隣接車線へ離脱した場合である。図25(c)はパターン4の走行状況を示しており、例えば道路脇の看板等を対象障害物として誤認識した場合である。なお、パターン3の走行状況は、例えば前方車両の汚れなどによりセンサによる検知が困難で、センサによって前方障害物を一瞬だけ検知した後、すぐに非検知となった場合である。
【0101】
図26は、時間軸に対する反力指令値補正値FAoutの変化をパターン1〜4毎に示している。図26に示すように、時間t1で前方障害物が反力制御の対象外となると、それぞれのパターンに応じて反力指令値補正値FAoutが減少する。
【0102】
図26に示すように、パターン1は、時間t1で前方障害物が対象外になってから遅延時間T3だけ遅延した後、アクセルペダル反力を遅い速度で徐々に低下させる。パターン2は、前方障害物が対象外となった時間t1から、アクセルペダル反力を通常の速度、すなわち反力制御指令値変化率基準値ΔFAbaseで徐々に低下させる。パターン3は、時間t1で前方障害物が対象外になってから遅延時間T3だけ遅延した後、アクセルペダル反力を速い速度で徐々に低下させる。パターン4は、前方障害物が対象外となった時間t1から遅延せずに、パターン3よりもさらに速い速度で徐々に低下させる。なお、パターン1〜4における反力制御指令値の減少速度は、パターン1,2,3,4の順で速くなる。
【0103】
このように、上述した第1の実施の形態においては以下のような作用効果を奏することができる。
(1)コントローラ50は、レーザレーダ10によって検知されている障害物が反力制御の対象とすべき障害物ではないという確信度S1、および検知されていた障害物が自車線外に離脱などして反力制御の対象ではなくなったという確信度S2を算出する。そして、検知されていた障害物が反力制御の対象外となった場合に、アクセルペダル62に発生させる操作反力の変化パターンを、誤認識確信度S1および対象外確信度S2に基づいて補正する。これにより、障害物が反力制御の対象外となったとき場合でも、運転者は余裕を持ってシステムの状況を判断して適切な運転操作を行うことができるとともに、運転者に与える違和感を低減した反力制御を行うことができる。
(2)レーザレーダ10によって検知されていた障害物が対象外となった場合に、その障害物に対する誤認識確信度S1が大きいほどアクセルペダル反力を速い速度で徐々に低下させる。誤認識確信度S1が大きい場合は、レーザレーダ10により検知された自車前方の障害物が誤認識である可能性が高い。そこで、誤認識確信度S1が大きくなるほど反力制御指令値変化率補正係数k1を大きく設定する。例えば、図26のパターン3,4に示すように、道路脇の看板等の物体を前方障害物として誤認識していた場合は、反力指令値補正値FAoutを速い速度で低下させる。これにより、誤認識していた物体が対象外となると、アクセルペダル反力を速やかに通常の反力特性に復帰させ、運転者の煩わしさを低減することができる。
(3)レーザレーダ10によって検知されていた障害物が対象外となった場合に、その障害物に対する対象外確信度S2が大きいほどアクセルペダル反力を速い速度で徐々に低下させる。具体的には、対象外確信度S2が大きくなるほど反力制御指令値補正係数k2が大きくなるように設定する。例えば図26のパターン2に示すように対象外確信度S2が大きく、前方車両あるいは自車両が隣接車線に離脱したような場合は、対象外確信度S2が小さいパターン1に比べて反力指令値補正値FAoutを速い速度で低下させる。車間距離が比較的小さい状態で前方車両に追従する状態では、リスクポテンシャルRPの増加とともに反力制御指令値FAが増加する。ここで、前方車両が隣接車線に車線変更した場合、パターン2に示すようにアクセルペダル反力は速やかに低下する。これにより、運転者の違和感および煩わしさを低減させることができる。一方、対象外確信度S2が小さい場合は、障害物が実際に反力制御の対象外となった可能性が小さい、すなわち、自車前方に障害物が存在するにもかかわらず、レーザレーダ10の一時的な性能低下や道路勾配等により障害物が一時的に非検知になった可能性が高い。そこで、対象外確信度S2が小さくなるほど、反力制御指令値変化率補正係数k2が小さくなるよう設定する。これにより、図26のパターン1に示すように反力指令値補正値FAoutは緩やかに低下し、運転者に与える違和感を低減することができる。
(4)レーザレーダ10によって検知されていた障害物が対象外となった場合に、その障害物に対する対象外確信度S2に応じた遅延時間T3だけ遅延した後、アクセルペダル反力を低下させる。具体的には、対象外確信度S2が小さいほど遅延時間T3を大きく設定する。例えば図26のパターン1,3に示すように対象外確信度S2が小さい場合は、障害物が対象外となった時間t1から遅延時間T3だけ遅延したのち反力指令値補正値FAoutを低下する。一方、パターン2,4に示すように対象外確信度S2が大きい場合は、障害物が対象外となった時間t1から反力指令値補正値FAoutを低下する。これにより、センサの不具合や道路の勾配等により障害物を一時的に検知できなくなった場合にアクセルペダル反力が急に減少してしまうことを防止でき、運転者に与える違和感を低減することができる。
(5)コントローラ50は、レーザレーダ10によって自車両前方に存在する障害物を検出してからの経過時間LOCK_Tに基づいて、誤認識確信度S1を算出する。これにより、レーザレーダ10による障害物誤検出の確信度S1を容易かつ正確に算出することができる。
(6)レーザレーダ10によって同一の障害物を連続して検出している場合は、その障害物が自車両前方に存在する反力制御の対象となる障害物である可能性が高い。そこで、障害物を検出してからの経過時間LOCK_Tが長いほど、誤検出確信度S1を小さくすることにより、レーザレーダ10による障害物誤検出の確信度S1を容易かつ正確に算出することができる。
(7)コントローラ50は、自車両前方に存在する障害物がレーザレーダ10による検知可能領域外に到達するまでの検知可能領域外到達時間T1と、その障害物が自車線外に到達するまでの自車線外到達時間T2を算出し、検知可能領域外到達時間T1および自車線外到達時間T2に基づいて対象外確信度S2を算出する。これにより、対象外確信度S2を容易且つ正確に算出することができる。
【0104】
《第2の実施の形態》
本発明の第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。図27は、本発明の第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置2の構成を示すシステム図であり、図28は、車両用運転操作補助装置2を搭載する車両の構成図である。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。以下に、第2の実施の形態の作用の概略を説明する。
【0105】
車両用運転操作補助装置2は、自車前方の障害物を検出する検出器として、レーザレーダ10に加えて前方カメラ15をさらに備えている。前方カメラ15は、フロントウィンドウ上部に取り付けられた小型のCCDカメラ、またはCMOSカメラ等であり、前方道路の状況を画像として検出し、コントローラ51へと出力する。前方カメラ15による検知領域は水平方向に±30deg程度であり、この領域に含まれる前方道路風景が画像として取り込まれる。
【0106】
コントローラ51は、CPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品とから構成されており、CPUのソフトウェア形態により車両用運転操作補助装置2全体の制御を行う。
【0107】
コントローラ51は、レーザレーダ10から入力される縦方向距離および横方向距離と、前方カメラ15から入力される車両周辺の画像情報と、操舵角センサ30から入力される操舵角と、車速センサ20から入力される自車速とから、自車前方の障害物状況を検出する。コントローラ51は、検出した障害物状況に基づいて障害物に対する自車両のリスクポテンシャルを算出する。さらに、コントローラ51は、障害物に対するリスクポテンシャルに応じてアクセルペダル反力制御を行う。
【0108】
第2の実施の形態による運転操作補助制御処理は、図4のフローチャートのステップS500における誤認識確信度算出処理、およびステップS700における対象外確信度算出処理が、上述した第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態のコントローラ51において行われる誤認識確信度算出処理および対象外確信度算出処理について、詳細に説明する。
【0109】
まず、誤認識確信度算出処理について説明する。誤認識確信度算出処理の基本的な流れは、図6のフローチャートに示す第1の実施の形態と同様であるが、ステップS560における誤認識確信度算出処理が異なっている。第2の実施の形態においては、ステップS540で算出された障害物を認識してからの経過時間、及び障害物を検知している検出器の数に基づいて誤認識確信度S1を算出する。
【0110】
図29(a)(b)に、障害物を認識してからの経過時間LOCK_Tと誤認識確信度S1との関係を示す。図29(a)は、1つの検出器のみで障害物を検出している場合の誤認識確信度S1のマップを示し、図29(b)は、複数の検出器で障害物を検出している場合の誤認識確信度S1のマップを示している。
【0111】
レーザレーダ10および前方カメラ15のいずれか一方によって前方障害物が検知されている場合は、図29(a)に示すマップに基づいて誤認識確信度S1を算出する。経過時間LOCK_Tが所定値LOCK_T0、例えば2秒よりも小さい場合、誤認識の可能性が高いため、誤認識確信度S1を100%に設定する。経過時間LOCK_Tが所定値LOCK_T0よりも大きくなると、誤認識の可能性が極端に低くなるので、誤認識確信度S1が指数関数的に小さくなるように設定する。これは、自車両が走行していることを考えると、誤認識した物体を検知し続ける可能性は急激に小さくなるためである。経過時間LOCK_Tが所定値LOCK_T1、例えば10秒よりも大きい場合は、誤認識の可能性は非常に低くなるので、誤認識確信度S1を0%に設定する。
【0112】
一方、同一の障害物を複数の検出器、ここではレーザレーダ10、及び前方カメラ15が同時に検知している場合は、一つの検出器によって障害物を検知している場合に比べて、その障害物が誤認識である可能性が低い。そこで、図29(b)に示すマップに従って誤認識確信度S1を算出する。図29(b)に示すように、複数の検出器が障害物を検知している場合は、経過時間LOCK_Tが所定値LOCK_T0、例えば2秒よりも小さい場合は、誤認識確信度S1を一つの検出器で障害物を検知している場合に比べて小さく、例えば50%に設定する。経過時間LOCK_Tが所定値LOCK_T0よりも大きくなると、誤認識の可能性が極端に低くなるので、誤認識確信度S1が指数関数的に小さくなるように設定する。経過時間LOCK_Tが所定値LOCK_T1'、例えば5秒よりも大きい場合は、誤認識の可能性は非常に低くなるので、誤認識確信度S1を0%に設定する。ここで、所定値LOCK_T1'は、図29(a)のマップで用いた所定値LOCK_T1よりも小さい値に設定されている。
【0113】
次に、対象外確信度算出処理について説明する。対象外確信度算出処理の基本的な流れは、図12のフローチャートに示す第1の実施の形態と同様である。ただし、第2の実施の形態においては、複数の検出器によって検知された障害物に対し、各々の検出器の検知可能領域外到達時間、及び自車線外到達時間を算出する。検知可能領域外到達時間および自車線外到達時間の算出方法は、上述した第1の実施の形態と同様である。ここでは、レーザレーダ10によって検知された障害物の検知可能領域外到達時間をT1、自車線外到達時間をT2とし、前方カメラ15によって検知された障害物の検知可能領域外到達時間をT1’、自車線外到達時間をT2’とする。
【0114】
レーザレーダ10および前方カメラ15によって検知された障害物に対する対象外確信度S2は、例えば以下の(式76)により算出することができる。
【数76】
Figure 0004110999
ただし、0%≦S2≦100%である。P、Qは、各検出器による確信度に適切な重み付けをするための係数である。
【0115】
図30に、係数P、Qを設定したマップを示す。図30に示すように、前方カメラ15のみが前方障害物を検知している場合は、P=0,Q=0.9に設定する。レーザレーダ10のみが前方障害物を検知している場合は、P=0.7,Q=0とする。また、前方カメラ15およびレーザレーダ10がともに前方障害物を検知している場合は、P=0.4,Q=0.6に設定する。
【0116】
ここで、図30に示すようにいずれか一方の検出器のみが障害物を検知している場合は、複数の検出器が自車両前方領域の検出を行っているにも関わらず、自車前方の障害物を捕らえきれていないので、対象外確信度S2を小さくするように係数を1よりも小さな値に設定している。また、レーザレーダ10では操舵角センサ30からの信号に基づいて道路曲率Rを推定するのに対し、前方カメラ15では画像処理により車線識別線(白線)を検知し、自車前方の障害物が自車線上にいるか否かを精度よく判別することができる。そこで、前方カメラ15の係数Qをレーザレーダ10の係数Pよりも大きく設定し、前方カメラ15による前方障害物検知の重み付けを大きくしている。
【0117】
このようにしてステップS700で対象外確信度S2を算出した後、ステップS800へ進む。
ステップS800では、上述した第1の実施の形態と同様に、ステップS500で算出された誤認識確信度S1、及びステップS700で算出された対象外確信度S2に応じて、ステップS400で算出された反力制御指令値FAを補正し、反力指令値補正値FAoutを算出する。算出した反力指令値補正値FAoutはアクセルペダル反力制御装置60に出力され、反力指令値補正値FAoutに従ってアクセルペダル反力制御が行われる。
【0118】
このように、上述した第2の実施の形態においては第1の実施の形態の効果に加えて以下のような作用効果を奏することができる。
(1)誤認識確信度S1は、障害物を検出する検出器によって自車両の前方に存在する障害物が検出されてからの経過時間LOCK_Tに応じて、指数関数的に変化する。具体的には、経過時間LOCK_Tが所定値LOCK_T0よりも長い場合は、経過時間LOCK_Tが長くなるほど誤認識確信度S1を指数関数的に小さくする。これにより、自車両の走行状況を考慮してより正確に誤認識確信度S1を算出することができる。
(2)車両用運転操作補助装置2は、自車両前方に存在する障害物を検出する複数の検出器、すなわちレーザレーダ10および前方カメラ15を備えている。ここで、レーザレーダ10および前方カメラ15が同一の障害物を検出している場合は、検出器の誤認識ではなく反力制御の対象となる前方障害物である可能性が高いので、いずれか一方が障害物を検出している場合に比べて誤認識確信度S1を小さくする。これにより、誤認識確信度S1を容易且つより正確に算出することができる。
(3)レーザレーダ10および前方カメラ15が検出していた障害物が同時に対象外となった、例えば自車両あるいは前方車両が隣接車線に離脱したような場合は、いずれか一方の検出器によって対象外となった場合に比べて対象外確信度S2を大きくする。これにより、対象外確信度S2を容易かつより正確に算出することができる。
【0119】
上述した第1および第2の実施の形態においては、誤認識確信度S1および対象外確信度S2に基づいて反力制御指令値FAを補正し、障害物が対象外となった時のアクセルペダル操作反力を補正したが、いずれか一方の確信度に基づいてアクセルペダル操作反力を補正することもできる。ただし、誤認識確信度S1および対象外確信度S2をともに用いることにより、運転者の感覚にあったより適切な反力制御を行うことができる。
【0120】
上述した第1および第2の実施の形態においては、前方障害物に対するリスクポテンシャルRPに応じてアクセルペダル反力制御を行ったが、これには限らず、ブレーキペダル反力制御を行うこともできる。また、リスクポテンシャルRPの算出方法は上述した実施の形態には限定されず、例えば車間距離を自車速あるいは先行車速で除した車間時間THWの関数を用いたり、余裕時間TTCの関数と車間時間THWの関数とを組み合わせてリスクポテンシャルRPを算出することもできる。リスクポテンシャルRPに対するアクセルペダル反力制御指令値FAの特性も、図5には限定されない。
【0121】
第1および第2の実施の形態において、レーザレーダ10による検知可能領域の算出方法および障害物状態の判断方法について数式を用いて説明したが、障害物が自車線外あるいは検知可能領域外へと離脱して対象外となるときの状態を精度よく推定することができれば、上述した方法には限定されない。
【0122】
誤認識確信度S1に対する補正係数k1,および対象外確信度S2に対する補正係数k2の特性を、図21および図22にそれぞれ示したが、これには限定されない。これらのマップは、誤認識確信度S1が増加するほど補正係数k1が増加し、対象外確信度S2が減少するほど補正係数k2が減少するように適切に設定されることができる。
【0123】
上記第1および第2の実施の形態においては、障害物検出手段としてレーザレーダ10、前方カメラ15、車速センサ20および操舵角センサ30を用い、車両操作機器制御手段として、アクセルペダル反力制御装置60を用いた。ただし、これらには限定されず、例えば障害物検出手段としてレーザレーダ10の代わりに別方式のミリ波レーダ等を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置のシステム図。
【図2】 図1に示す車両用運転操作補助装置を搭載した車両の構成図。
【図3】 コントローラの内部構成を示すブロック図。
【図4】 第1の実施の形態のコントローラにおける運転操作補助制御処理の処理手順を示すフローチャート。
【図5】 前後方向リスクポテンシャルに対するアクセルペダル制御反力指令値の特性を示すマップ。
【図6】 誤認識確信度算出処理の処理手順を示すフローチャート。
【図7】 障害物状態判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図8】 障害物認識経過時間算出処理の処理手順を示すフローチャート。
【図9】 障害物認識経過時間に対する誤認識確信度の特性を示す図。
【図10】 直線路における検知可能領域の算出方法を説明する図。
【図11】 曲線路における検知可能領域の算出方法を説明する図。
【図12】 対象外確信度算出処理の処理手順を示すフローチャート。
【図13】 直線路における検知可能領域外到達時間の算出方法を説明する図。
【図14】 曲線路における検知可能領域外到達時間の算出方法を説明する図。
【図15】(a)(b) 曲線路における検知可能領域外到達時間の算出方法を説明する図。
【図16】 直線路における自車線外到達時間の算出方法を説明する図。
【図17】 曲線路における自車線外到達時間の算出方法を説明する図。
【図18】 反力制御指令値補正処理の処理手順を示すフローチャート。
【図19】 対象外確信度に対する遅延時間の特性を示す図。
【図20】 反力制御指令値変化率算出処理の処理手順を示すフローチャート。
【図21】 誤認識確信度に対する補正係数の特性を示す図。
【図22】 対象外確信度に対する補正係数の特性を示す図。
【図23】 反力制御指令値補正値算出処理の処理手順を示すフローチャート。
【図24】 誤認識確信度および対象外確信度による操作反力変化のパターンを示す図。
【図25】(a)パターン1における具体的な走行状況を示す図、(b)パターン2における具体的な走行状況を示す図、(c)パターン4における具体的な走行状況を示す図。
【図26】 各パターンにおける、時間軸に対する反力指令値補正値の変化を示す図。
【図27】 第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置の構成を示すシステム図。
【図28】 図27に示す車両用運転操作補助装置を搭載した車両の構成図。
【図29】(a)一つの検出器で障害物を検出した場合の障害物認識経過時間に対する誤認識確信度の特性を示す図、(b)複数の検出器で障害物を検出した場合の障害物認識経過時間に対する誤認識確信度の特性を示す図。
【図30】 検知可能領域外到達時間および自車線外到達時間に係る係数と検出器との関係を示すマップ。
【符号の説明】
10:レーザレーダ
15:前方カメラ
20:車速センサ
30:操舵角センサ
40:車速センサ
50,51:コントローラ
60:アクセルペダル反力制御装置
61:サーボモータ
62:アクセルペダル

Claims (11)

  1. 自車両前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
    前記障害物検出手段からの信号に基づいて、前記自車両の前記障害物に対するリスクポテンシャルを算出するリスクポテンシャル算出手段と、
    前記リスクポテンシャル算出手段からの信号に基づいて、前記リスクポテンシャルが大きくなるほど車両操作機器に発生させる操作反力を大きくするように前記操作反力を決定する操作反力決定手段と、
    前記操作反力決定手段からの信号に基づいて、前記車両操作機器に発生する操作反力を制御する車両操作機器制御手段と、
    前記障害物検出手段によって検出された前記障害物が誤認識である確信度を、前記障害物検出手段によって前記障害物が検出されてからの経過時間に基づいて算出する誤認識確信度算出手段と、
    前記障害物検出手段によって検出されていた前記障害物が、前記障害物検出手段による検知可能領域外もしくは自車線外に到達することにより反力制御の対象外となる確信度を算出する対象外確信度算出手段と、
    前記障害物検出手段によって検出される前記障害物が前記検知可能領域外もしくは前記自車線外に到達したか判定し、前記障害物が前記検知可能領域外もしくは前記自車線外に到達して反力制御の対象外となったと判定すると、前記車両操作機器に発生させる前記操作反力が前記リスクポテンシャルに応じて低下する際の変化パターンを、前記誤認識確信度算出手段によって算出された誤認識確信度および前記対象外確信度算出手段によって算出された対象外確信度に基づいて補正する操作反力補正手段とを備えることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  2. 請求項1に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記操作反力補正手段は、前記障害物検出手段によって検出された前記障害物が対象外となった場合に、前記障害物に対する前記誤認識確信度が大きいほど速い速度で、前記車両操作機器に発生させる前記操作反力を低下するよう前記操作反力の変化パターンを補正することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記操作反力補正手段は、前記障害物検出手段によって検出された前記障害物が対象外となった場合に、前記障害物に対する前記対象外確信度が大きいほど速い速度で、前記車両操作機器に発生させる前記操作反力を徐々に低下するよう前記操作反力の変化パターンを補正することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記操作反力補正手段は、前記障害物検出手段によって検出された前記障害物が対象外となった場合に、前記障害物に対する前記対象外確信度に応じた遅延時間だけ遅延した後、前記車両操作機器に発生させる前記操作反力を低下するよう前記操作反力の変化パターンを補正することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記誤認識確信度算出手段は、前記障害物検出手段によって前記障害物が検出されてからの前記経過時間が長いほど、前記誤認識確信度を小さくすることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記誤認識確信度算出手段は、前記障害物検出手段によって前記障害物が検出されてからの前記経過時間が所定時間よりも長い場合は、前記経過時間に応じて、前記誤認識確信度を指数関数的に小さくすることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記対象外確信度算出手段は、前記障害物が前記障害物検出手段による検知可能領域外に到達するまでの時間を算出する検知可能領域外到達時間算出手段と、前記障害物が自車線外に到達するまでの時間を算出する自車線外到達時間算出手段とを備え、前記検知可能領域外到達時間算出手段によって算出される検知可能領域外到達時間と、前記自車線外到達時間算出手段によって算出される自車線外到達時間とに基づいて、前記対象外確信度を算出することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記障害物検出手段は、前記障害物を検出する複数の検出器を備え、
    前記誤認識確信度算出手段は、前記障害物検出手段の前記複数の検出器が同一の障害物を検出している場合は、単一の検出器が障害物を検出している場合に比べて前記誤認識確信度を小さくすることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  9. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記障害物検出手段は、前記障害物を検出する複数の検出器を備え、
    前記対象外確信度算出手段は、前記障害物検出手段の前記複数の検出器によって検出されていた障害物が同時に対象外となった場合は、単一の検出器によって対象外となった場合に比べて前記対象外確信度を大きくすることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記車両操作機器は、アクセルペダルであることを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の車両用運転操作補助装置を備えたことを特徴とする車両。
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