JP4110017B2 - 像加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複写機・プリンタ・ファクシミリなどの画像情報記録装置(画像形成装置)において未定着画像を加熱・加圧定着させるための画像加熱定着装置として用いて好適な、特に電磁(磁気)誘導加熱方式の像加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機・プリンタ・ファクシミリ等の画像形成装置に搭載される画像加熱定着装置を例にして説明する。
【0003】
画像形成装置における画像加熱定着装置は、画像形成装置の作像部において電子写真・静電記録・磁気記録等の適宜の画像形成プロセス手段により、加熱溶融性の樹脂等よりなるトナー(顕画剤)を用いて被加熱材としての記録材の面に直接方式若しくは間接(転写)方式で形成した未定着のトナー画像を記録材面に固着画像として加熱定着処理する装置である。
【0004】
従来、そのような画像加熱定着装置として、熱源内蔵ローラ方式、誘導加熱方式等の各種装置がある。
【0005】
熱源内蔵ローラ方式は、ハロゲンランプ等の熱源を内蔵させて所定の定着温度に加熱・温調した定着ローラ(熱ローラ)と加圧ローラとの回転ローラ対からなり、該ローラ対の圧接ニップ部(定着ニップ部)に被加熱材としての、未定着トナー画像を形成担持させた記録材を導入して挟持搬送させることで未定着のトナー画像を記録材面に加熱定着する装置である。
【0006】
しかしながら、この装置は定着ローラの熱容量が大きくて、加熱に要する電力が大きい、ウエイトタイム(装置電源投入時からプリント出力可能状態になるまでの待ち時間)が長い等の問題があった。また、定着ローラの熱容量が大きいため、限られた電力で定着ニップ部の温度を上昇させるためには大きな電力を必要とするという問題があった。
【0007】
その対策としては、定着ローラの肉厚を薄くして、定着ローラの熱容量を低減することが行われている。しかしながら、熱容量を低減した薄肉定着ローラでは、長尺方向(定着ニップ部長手方向)の熱流が阻害されるため、小サイズ記録材を通紙した場合に非通紙部での過昇温(非通紙部昇温)が発生して、定着ローラや加圧ローラの寿命を低下させるという問題が発生していた。
【0008】
その対策の一つとして、ハロゲンランプ等の熱源を用いた定着装置では、定着ローラ長手方向の発光位置の分布の異なるハロゲンランプを複数用いる構成がある。複数のハロゲンランプの発光タイミングを紙サイズごとに設定し、該タイミングでハロゲンランプを発光制御することによって非通紙部昇温対策としている。しかしながら、この方式では、ハロゲンランプのON/OFFによる制御が行われるために、高周波フリッカーの対策が取り扱いには必要なる。高周波フリッカー対策の提案の一つとして次に述べる誘導加熱方式が近年、注目されている。
【0009】
誘導加熱方式は、加熱体として誘導発熱体を用い、誘導発熱体に磁場発生手段で磁場を作用させて誘導発熱体に発生する渦電流に基づくジュール発熱で被加熱材としての記録材に熱を付与して未定着のトナー画像を記録材面に加熱定着処理する装置である。
【0010】
従来、例えば、特許文献1には、強磁性体の定着ローラを誘導加熱する熱ローラ方式の装置が開示されており、発熱位置を定着ニップ部に近くすることができ、ハロゲンランプを熱源として用いた熱源内蔵ローラ方式の装置よりも高効率の定着プロセスを達成している。
【0011】
しかしながら、定着ローラの熱容量が大きいため、限られた電力で定着ニップ部の温度を上昇させるためには大きな電力を必要とするという問題があった。定着ローラの熱容量を低減することが、この問題の一つの解決方法である。たとえば、定着ローラの肉厚を薄くすることである。
【0012】
また、例えば、特許文献2には、熱容量を低減したフィルム状の定着ローラ(フィルム)を用いた誘導加熱方式の定着装置が開示されている。
【0013】
しかしながら、熱容量を低減したフィルム状の定着ローラ(フィルム)でも、熱ローラ同様に、非通紙部昇温が発生し、定着フィルムや加圧ローラの寿命を低下させるという問題が発生していた。
【0014】
また、例えば、特許文献3・4に、定着ローラ(フィルム)の長手方向に関する磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の密度分布を変化せしめる磁束調整手段を有することを特徴とする加熱装置が開示されている。この誘導加熱方式の定着装置により、非通紙部昇温を解決する一つの方法が示された。
【0015】
上記特許文献3・4の定着装置はフィルム状の誘導発熱体を加熱させた構成を実施例としているが、円筒状の誘導発熱体を定着ローラにした構成に対しても非通紙部昇温の問題の対策として効果があると考えられる。
【0016】
その他の非通紙部昇温を解決する方法としては、小サイズ記録材を通紙したときに定着スピードを遅くする方法もある(スループットダウン)。定着スピードを遅くすることで、定着ローラの端部方向(非通紙部)への熱移動時間を設けている。しかし、この方法では画像形成装置の生産性を低下することになっている。
【特許文献1】
特公平5−9027号公報
【特許文献2】
特開平4−166966号公報
【特許文献3】
特開平9−171889号公報
【特許文献4】
特開平10−74009号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように周知の熱ローラ方式、電磁誘導加熱方式の画像加熱定着装置では、一般に、次のような問題を抱えている。
【0018】
従来のハロゲンランプを用いた熱源内蔵ローラ方式の定着装置については以下の問題がある。
【0019】
ハロゲンランプの電力を供給する供給線が、定着ローラの両端部から出ている。そのため、定着ローラ交換のときに、定着ローラの両端部2ヶ所で供給線の接続部を解除しなければならない。ハロゲンランプの交換も同様である。したがって、定着ローラ・ハロゲンランプなどを交換する場合に、定着ローラの片側からの作業ではランプの交換を行うことができない。
【0020】
組み立てのときには、ハロゲンランプの電力供給線を定着ローラ内部に通す作業をしなくてはならない。これにより、組み立てのときに、例えば定着ローラ内面に供給線が接触して該供給線にキズ・屈曲などを付ける恐れがある。
【0021】
これら問題が装置の組み立て性・装置構成部品の交換作業などのサービス性を低下させている。
【0022】
特許文献3および4に基づいた非通紙部昇温対策の誘導加熱方式の定着装置でも同様な問題がある。
【0023】
誘導加熱方式の定着装置では、定着ローラの片側の端部一ヶ所に励磁コイルの供給線の接続部を設けることができる。しかし、磁束調整手段と励磁コイルの供給線との関係について示されたものがいまだ見受けられない。
【0024】
本発明はこの点を鑑み、非通紙部昇温対策用の磁束調整手段を備えた誘導加熱方式の像加熱装置において、装置の組み立て作業性・装置構成部品の交換作業性を向上させた装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る像加熱装置は下記の構成を特徴とする。
【0026】
磁束を生ずるコイルと磁性コアとを有するコイルユニットと、発生した磁束により誘導発熱し、記録材上の画像を加熱する回転可能な発熱部材と、前記コイルユニットから前記発熱部材に向かう磁束を遮蔽し、記録材の搬送方向と直交する方向における磁束分布を調整する磁束遮蔽部材と、前記磁束遮蔽部材に駆動力を伝達するための駆動伝達部材と、前記コイルに電力を供給するための供給線と、を有し、前記コイルユニットと前記磁束遮蔽部材は前記発熱部材の内部に設けられている像加熱装置において、
前記駆動伝達部材は穴部を有し、回転可能な前記駆動伝達部材は、前記穴部が前記コイルユニットの軸部と嵌合することで前記コイルユニットに支持され、前記磁束遮蔽部材は前記駆動伝達部材と一体で回転可能であると共に、前記供給線は前記穴部を通して配線されていることを特徴とする像加熱装置。
上記の構成により、コイルに通電するための電気線を磁束遮蔽部材に駆動を伝達する駆動伝達部材と同じ側に出しても、電気線の配線を簡単にすることができる。
【0027】
【0028】
【発明の実施の形態】
〔第一の実施例〕
図1〜4に、本発明に係る像加熱装置として、電磁誘導加熱方式の定着装置の一例を示す。
【0029】
図1は本例の定着装置の定着ローラ長手方向(定着ローラ軸方向)における概略構成を示す断面図、図2は同装置の定着ローラ径方向における概略構成を示す断面図、図3は磁束遮蔽部材と磁束発生手段の構成を説明する分解斜視図である。
【0030】
本例に示す定着装置は、磁束調整加熱アセンブリの部品交換作業のサービス性・組み立て性の向上のために、磁束遮蔽部材を駆動する回動駆動部材としての遮蔽ギアと誘導発熱体である定着ローラとの関係についての例である。
【0031】
本例の定着装置は、磁束調整加熱アセンブリ1、誘導発熱体としての定着ローラ7(記録材上の画像を加熱する回転可能な発熱部材)、加圧ローラ8を主体とする。
【0032】
磁束調整加熱アセンブリ1は、磁束発生手段としての励磁コイル5(磁束を生ずるコイル:以下コイルと称す)と磁性体コア6(磁性コア:以下コアと称す)、コイル5とコア6を保持するホルダー(コイルホルダー)2、およびホルダー2の両端部を回動軸(支持軸)として矢示a・bの反時計方向又は時計方向に回動移動自由に配設した、磁束調整手段である円弧状の磁束遮蔽板3などからなる。
【0033】
磁束発生手段は、定着ローラ7の内部にコイル5とT字型コア6が配置されている構成である。コイル5とコア6はホルダー2に保持され、ホルダーフタ19で覆われている。このコイル5・コア6・ホルダー2・ホルダーフタ19が、磁束を生ずるコイルと磁性コアを有するコイルユニットである。
【0034】
コイル5は定着ローラ7の長手方向に略楕円形状(横長舟形)をしており、定着ローラの内面に沿うようにホルダー2の内部に配置されている。コア6はコイル5の巻き中心部にある第一コア6a(垂直部)と上部に第二コア6b(水平部)が配置されてT字型コアを構成している。
【0035】
コイル5としては加熱に十分な交番磁束を発生するものでなければならないが、そのためには抵抗成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必要がある。コイルの芯線としては、φ0.1〜0.3mmの細線を略80〜160本程度に束ねたリッツ線を用いている。細線には絶縁被覆電線を用いている。本例ではコイル5として、第一コア6aを周回するように8〜12回巻回して構成したものが使われる。コイル5には不図示の励磁回路が接続されており、該回路を介して交番電流をコイル5へ供給できるようになっている。
【0036】
コア6にはフェライト、パーマロイなどの高透磁率で残留磁束密度の低い材質のものを用いると良いが、特に規定するものではない。コアの形状・材質は上記のものに規定されるものでない。例えば、第一コア6a、第二コア6bを一体成形でT字型にしても本発明の効果を得ることができる。
【0037】
誘導発熱体としての円筒状の定着ローラ7は、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性の金属を用いることが良い。強磁性の金属(透磁率の大きい金属)を使うことで、磁束発生手段5・6から発生する磁束を強磁性の金属内により多く拘束させることができる。すなわち、磁束密度を高くすることができる。それにより、効率的に強磁性金属の表面(定着ローラ表面)にうず電流を発生させ、該表面を発熱させられる。
【0038】
定着ローラ7の肉厚は、略0.3〜2mm程度にすることで熱容量を低減している。定着ローラ7の外側表面には不図示のトナー離型層がある。一般にはPTFE10〜50μmやPFA10〜50μmで構成されている。また、トナー離型層の内側にはゴム層を用いる構成にしても良い。
【0039】
定着ローラ7の一端には定着ローラギア18が取り付けられ、該ギアは不図示の駆動モータにより回転される。
【0040】
加圧ローラ8は鉄製の芯金の外周に、シリコーンゴム層と定着ローラ7と同様にトナー離型層を設けた構成である。
【0041】
本例の定着装置における定着ローラ長手方向の磁束調整手段は、磁束遮蔽部材3、ホルダー2、遮蔽ギア11、ブッシュ14が主な構成要素である。これらの構成要素のうち、ホルダー2と磁束遮蔽部材3は定着ローラ7の内部に配置される。
【0042】
本例の定着装置ではコイル5とコア6を保持しているホルダー2の両端支持部を磁束遮蔽部材3の回動中心にした。
【0043】
ホルダー2の両端部は磁束遮蔽部材3を回動自在に支持するために軸形状(軸部)である。ホルダー2はコイル5とコア6を保持する機能と、磁束遮蔽部材3を回動支持する機能を備えている。
【0044】
ホルダー2の支持軸2aには、磁束遮蔽部材3を回動するための遮蔽ギア11(磁束遮蔽部材に駆動力を伝達するための駆動伝達部材)が設けられ、逆側の支持軸2bには磁束遮蔽部材3の摺動性を良くするためにブッシュ14が設けられ、それぞれスラスト止め輪12、16でスラスト方向が規制されている。
【0045】
ホルダー2は、非磁性、電気絶縁性および高耐熱性の物質で作られる。たとえば、ホルダー2の材質としては、耐熱性と機械的強度を兼ね備えたPPS系樹脂にガラスを添加したものを用いている。もちろん非磁性である。ホルダーが磁性材料であると、電磁誘導によりホルダーが発熱して定着ローラの発熱効率が落ちてしまう。
【0046】
ホルダーの材質には、PPS系樹脂、PEEK系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、セラミック、液晶ポリマー、フッ素系樹脂などの物質が適している。
【0047】
ブッシュ14・遮蔽ギア11の材質についてもホルダーと同様である。この中でも特に摺動性の良い材質のものを選ぶと良い。たとえば、ポリアミドイミド系樹脂、PFA系樹脂、PEEK系樹脂などがある。
【0048】
磁束遮蔽部材3は非磁性かつ良電気導電性の部材で構成されている。非磁性部材にすることで磁束を遮断する効果がある。良電気導電性部材にすることで磁束遮蔽部材自身の電磁誘導の発熱を抑える効果がある。本例では、磁束遮蔽部材3の材質として、アルミニウム合金を用いたが、銅・マグネシウム・銀などの合金でもよい。
【0049】
磁束遮蔽部材3の厚さは、略0.3〜1.0mm程度でよい。薄すぎると、磁束遮蔽部材自身が電磁誘導発熱する。また、強度不足にもなる。逆に厚すぎると、磁束遮蔽部材の熱容量が増加して定着ローラを温めるとき逆に熱を奪ってしまい、ウエイトタイムの増加につながる。
【0050】
図3に示されるように、磁束遮蔽部材3には被加熱材としての記録材(用紙)の紙サイズに対応した段階的に変化している形状の切り欠き部3c・3dを設けてある。図では、例えば、磁束遮蔽部材3の長手方向において、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)の内側に、該紙サイズ幅Aより小さい紙サイズ幅Bに対応した切り欠き部3cを設け、さらに紙サイズ幅Bの内側に、該紙サイズ幅Bより小さい紙サイズ幅Cに対応した切り欠き部3dを設けている。上記切り欠き部3cによって紙サイズ幅Aの内側両端に紙サイズ幅Bに応じた遮蔽部(非通紙部)3e・3fを形成し、上記切り欠き部3dによって紙サイズ幅Bの内側両端に紙サイズ幅Cに応じた遮蔽部(非通紙部)3g・3hを形成している。
【0051】
したがって、本例の磁束遮蔽部材3は、紙サイズに応じた遮蔽部3e・3fと3g・3hが段階的に変化している形状である。
【0052】
ホルダー支持軸2a側では、磁束遮蔽部材3の一端部に設けられた切り欠き部を有する異型穴3aと遮蔽ギア11の円筒部11bが嵌合する。遮蔽ギア11の円筒部11bに形成された突起部11aと磁束遮蔽部材3のU字型穴部3a’が嵌合していることで、遮蔽ギア11は磁束遮蔽部材3の端部に取り付けられて、遮蔽ギア11が回動すると磁束遮蔽部材3が遮蔽ギア11に同期して回動する。遮蔽ギア11には駆動手段20から回転駆動が与えられる。駆動手段20はモータなどの駆動源であれば良く、本発明は駆動手段の構成に依存するものではない。たとえば、駆動手段として、ソレノイドなどのアクチュエータと、該アクチュエータの作動を回転運動に変換して遮蔽ギア11に伝達するリンク機構などの運動伝達機構とによって、磁束遮蔽部材3を回動させてもよい。また、後述の第三の実施例に示すように、磁束遮蔽部材3の回動駆動伝達に上記遮蔽ギア11に変えて遮蔽プーリーを用いた構成にしても本発明の効果は変わらない。
【0053】
ホルダー支持軸2b側は、コイル5へ電力を供給しているコイル供給線(コイルに電力を供給するための供給線)15のガイドを兼ねた形状をしている。ホルダー支持軸2bを中空パイプ形状にすることで、その内部を通してコイル供給線15を引き出している。即ち、供給線15はホルダー支持軸2bの内部を通して配線されている。ホルダー支持軸2bには磁束遮蔽部材3の他端側に設けられた保持穴3bがブッシュ14の円筒部14aに回転可能に嵌合している。コイル供給線15の端部には、コネクタ部15aが設けられ、電力制御装置25に接続する構成である。コイル5には、電力制御装置25で不図示の励磁回路が制御されることにより、コイル供給線15を介して交番電流が供給される。
【0054】
ホルダー2は支持軸2a側がホルダー支持板13で支持され、支持軸2b側がホルダー支持部材17で支持されている。支持軸2aとホルダー支持板13との嵌合部の形状は、D字型状(Dカット)で嵌合する構成である。D字型状にすることで、ホルダー2を定着ローラ円周方向において位置決めをしている。これにより、ホルダー2は支持軸2a・支持軸2bの軸中心2c(図3参照)が定着ローラ7の回転軸中心7c(図1参照)と同軸上に位置するように位置決めされる。
【0055】
図1に示されるように、遮蔽ギア11の外径φXは、定着ローラ7の内径φYより小さくしている。関係式は次のようになる。
【0056】
(遮蔽ギア11の外径φX)<(定着ローラ7の内径φY)
このような構成にすることで、第一の実施例ではコイル5の供給線15の方向(ホルダー2の支持軸2b側)から、後述のようなサービス・組み立て作業ができる。
【0057】
図1及び図8を参照して、第一の実施例の定着装置の組み立て手順の一例を説明する。
【0058】
図8(a)に示されるように、まず、定着ローラ7を定着ローラ支持板28a・28bにそれぞれのベアリング27a・27bで組み付ける。ベアリング27b側には定着ローラギア18(発熱部材用駆動伝達部材)を取り付け、不図示の定着ローラスラスト止め部材で、定着ローラのスラストを規制する。ここまでは、従来と同様である。
【0059】
次に、磁束調整加熱アセンブリ1を遮蔽ギア11を先頭にして、定着ローラ7の片側の端部(ベアリング27b側の端部)から当該ローラの内部に挿入する。さらに、定着ローラ7の上記端部とは反対側の端部(ベアリング27a側の端部)まで磁束調整加熱アセンブリ1を押し出し、ホルダー支持軸2aをホルダー支持板13の嵌合穴13aに嵌合させる。
【0060】
次に、図1に示されるホルダー支持軸2b(コイル供給線15のガイドを兼ねた中空形状部)にホルダー支持部材17を嵌合させて取り付ける。コイル供給線15をコネクタ部15aを介して電力制御装置25に接続する。これで、定着ローラ7への磁束調整加熱アセンブリ1の組み立てが完了する。
【0061】
このように、本例に示す定着装置の構成では、定着ローラ内部にコイル供給線15を通す作業をすることなく組み立てることができるので、組み立てのときの供給線へのキズ・屈曲・ストレスなどを与えることが無くなった。また、組み立て作業が定着ローラ7の片側の端部(定着ローラギア18側の端部)から全て行えるようになり、組み立て作業性が向上された。
【0062】
次に、定着ローラ・磁束発生手段の交換などの部品交換サービスのときの分解手順の一例を説明する。
【0063】
部品交換サービスのときは、基本的に組み立てのときの逆の順番で、部材を外していくのである。まず、定着ローラ7の片側の上記端部において、図1に示されるコイル供給線15と電力制御装置25の接続を解除する。次に、ホルダー支持部材17とホルダー支持軸2bの嵌合を解除する。最後に、図8(b)に示されるように、磁束調整加熱アセンブリ1をホルダー2の支持軸2b側より定着ローラ内部から引っ張り、取り外す。
【0064】
このように、本例では、定着ローラの片側の端部から部品交換などの全てのサービス作業が行えるので、サービス作業性が向上できた。したがって、定着ローラ内部にコイル供給線を通す(または引き出す)作業をすることなく分解・組み立てができるので、特に組み立てのときの供給線へのキズ・屈曲・ストレスなどを与えることが無くなった。
【0065】
以上のように、第一の実施例の定着装置では、(遮蔽ギア11の外径φX)<(定着ローラ7の内径φY)の関係で磁束発生手段5・6を保持するホルダー2と磁束遮蔽部材3が一つのアセンブリ(ユニット)でコンパクトに構成されているため、定着ローラ・磁束発生手段の組み立て性・交換性(サービス性)を向上できる。
【0066】
本例の定着装置において、磁束遮蔽部材3は、紙サイズに対応した角度分だけ駆動手段20により所定方向に所定角度回転されて、磁束遮蔽部材の段階的に変化している形状の遮蔽部3e・3fと3g・3hがコア6aの対向部に回動移動される。この遮蔽部によってコア6aから定着ローラ7へと通る磁束線を遮蔽することで、その遮蔽部分において定着ローラの発熱を緩和し、異常温度昇温を防止する。
【0067】
本例に示す磁束遮蔽部材3では、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大通紙サイズ)より小さい紙サイズ幅Bおよび紙サイズ幅Cの2段階の磁束調整が可能である。たとえば、メートル系の紙サイズであれば、紙サイズ幅AをA4幅(297mm)、紙サイズ幅BをB4幅(257mm)、紙サイズ幅CをA4R幅(210mm)である。この場合、切り欠き部の全長を、それぞれの紙サイズ幅A・B・Cに対応した、段階的に変化している切り欠き幅(紙サイズ幅)にする。どのような紙サイズにするかは、定着装置が搭載される画像形成装置の仕様によって決められる。また、磁束遮蔽部材3の遮蔽部(又は切り欠き部)は、2段階に限ったものでは無く、非通紙部昇温が起こるサイズによって、その都度に段階的に変化している遮蔽部(又は切り欠き部)を増減して設けることができ、1つでも、3つ以上設けても、紙サイズに応じた非通紙昇温防止効果を得ることができる。
【0068】
本例の定着装置では、上述したように、磁束遮蔽部材3が保持されたホルダー2の支持軸2a・支持軸2bの軸中心2c(図3参照)を、定着ローラ7の回転軸中心( 回転軸線 )7c(図1参照)と同軸上に配置しているので、磁束遮蔽部材3は、定着ローラ7の回転軸中心7cと同軸上のホルダー支持軸2a・2bに、上記遮蔽ギア11・ブッシュ14を介して定着ローラ7の内部に配置される。即ち、磁束遮蔽部材3は回転可能であり、磁束遮蔽部材3の回転中心と発熱部材である定着ローラ7の回転中心は同一軸線上にある。これによって、定着ローラ外部たとえば定着ローラ端の外側に磁束遮蔽部材の待機スペースを設ける必要がなくなり、省スペース化が図られる。
【0069】
また、定着ローラ7の回転軸中心7cにおいてその片側(ホルダー2の支持軸2a側)に配設した駆動手段20により磁束遮蔽部材3を回転駆動できるので、該駆動手段の設置スペースをホルダー2の支持軸2a側に設けるだけでよく、定着ローラスラスト方向の省スペース化が可能である。
【0070】
本例に示す定着装置においては、図1及び図2に示されるように、前記アセンブリ1を内包する定着ローラ7と加圧ローラ8は互いに上下に圧接され不図示の装置筐体に組み込んで、両者7・8間に所定幅の定着ニップ部(加熱ニップ部)Nを形成させてある。
【0071】
定着ローラ7は定着ローラギア18により矢示Pの時計方向に回転され、それにともない加圧ロ−ラ8も従動して矢示Qの反時計方向に回転する。
【0072】
コイル5は電力制御装置25から供給される交番電流によって交番磁束を発生し、交番磁束はコア6に導かれて定着ニップ部Nに作用し、定着ニップ部Nにおいて定着ローラ表面に渦電流を発生させる。その渦電流はローラ表面の固有抵抗によってジュール熱を発生させる。即ち、コイルに交番電流を供給することで定着ニップ部Nにおいて定着ローラ7が電磁誘導発熱状態になる。
【0073】
定着ニップ部Nの温度は不図示の温度検知センサを含む温調系により電力制御装置25からコイル5への供給交番電流が制御されることで所定の定着温度に温調制御される。
【0074】
しかして、定着ローラギア18の回転により定着ローラ7の回転がなされ、電力制御装置25からコイル6への交番電流の供給がなされて定着ニップ部Nの温度が所定温度に立ち上がり温調された状態において、定着ニップ部Nの定着ローラ7と加圧ローラ8との間に、被加熱材としての、未定着トナー像を担持した記録材(用紙)Sが用紙搬送路(一点鎖線)Hを矢印C方向から導入されることで、記録材は定着ローラ7の発熱で記録材と未定着トナー像が加熱されてトナー像の加熱定着がなされる。定着ニップ部Nを通った記録材は定着ニップ部の出口側で分離爪30により定着ローラの外面から分離されて搬送される。
【0075】
次に、磁気回路のイメージ図である図4を用いて、本例の定着装置における磁束遮蔽部材の動作および作用について説明する。
【0076】
磁力線Ja(二点鎖線にて図示)は磁束発生手段に電力制御装置から電力(交番電流)を入力したときの、発生した磁力線の磁気回路を示したものである。磁力線Jaは、第一コア6a(垂直部)、定着ローラ7、第二コア6b(水平部)を通過する。実際には磁力線は透磁率の高い定着ローラの内部を通るが、説明をわかりやすくするために図4のように示した。
【0077】
ここで、定着ローラ7における電磁誘導加熱による発熱ヶ所を考えてみる。
【0078】
発熱ヶ所はコイル5の対向する定着ローラ部で特に大きくなる。これは第一コア6aと第二コア6bを磁力線が行き来するように発生するために、コイル5の対向する定着ローラ部において磁束密度が高くなるためであると考えられる。このことを考慮に入れ、本例の磁束発生手段5・6は定着ニップN部およびその前方に発熱部が来るように傾いた配置にしている。さらに、定着ローラ7は回転することで、温度ムラがなく加熱される。
【0079】
磁束調整手段は上述した電磁誘導加熱原理に基づいて設けられたものである。本例の磁束調整手段は磁束遮蔽部材3によって、定着ローラ内部を行き来する磁束の通路を変化させている。これにより、定着ローラ長手方向の電磁誘導の発熱を制御するのである。
【0080】
すなわち、コア6と定着ローラ7の間に磁束遮蔽部材3を置くことで、効率的に定着ローラの発熱を緩和できるのである。特に、T字型コア6のときは、第一コア(垂直部)6aを遮蔽することが効率的である。図4(a)に示されるように、磁束線Jaは第一コア6aが第二コア(水平部)6bより密度が高く、第一コアの端部から第二コアの端部のそれぞれに分かれので、この磁気回路位置で磁束線Jaを遮蔽するのが効率的である。
【0081】
図4(a)に示されるように、非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅Aのとき、磁束遮蔽部材3は磁気回路Jaに影響の少ない範囲に待機している。図では磁束遮蔽部材3は磁気回路Jaが存在しない位置に待機している。この位置の磁束遮蔽部材3は磁気回路Jaに影響を与えないので、紙サイズ幅Aの全域幅で電磁誘導加熱による定着処理が可能である。
【0082】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅Bのとき、磁束遮蔽部材3は図4(b)に示すように同図(a)に示す磁気回路Ja上に回動移動して磁束の流れを阻害する。図では磁束遮蔽部材3の遮蔽部3e及び3fが第一コア6aと対向して磁束の流れを阻害する。図に示す磁気回路Jbは遮蔽部3e(3f)の幅Ba(Bb)(図3参照)で遮蔽されたときの磁気回路である。紙サイズ幅Bのときに非通紙部となる遮蔽部3e(3f)の幅Ba(Bb)において、定着ローラ内部を通る磁束は、図4(a)の場合に比べて小さくなっていることが分かる。これにより、遮蔽部3e・3fの幅Ba・Bbの範囲では電磁誘導による発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。このとき、紙サイズ幅B(切り欠き部3c)
が電磁誘導加熱による定着可能領域となる。
【0083】
非通紙部昇温の起こる紙サイズ幅Cのときも同様である。磁束遮蔽部材3は、さらに磁気回路Ja上に回動移動する。図では磁束遮蔽部材3の遮蔽部3g(3h)が第一コア6aと対向して磁束の流れを阻害する。図に示す磁気回路Jc・Jc’は遮蔽部3g(3h)の幅Ca(Cb)(図3参照)で遮蔽されたときの磁気回路である。紙サイズ幅Cのときに非通紙部となる遮蔽部3eと3gの加算幅(Ba+Ca)及び遮蔽部3fと3hの加算幅(Bb+Cb)において、定着ローラ内部を通る磁束は、図4(b)と図4(c)に示す磁気回路Jb、Jc・Jc’のようになる。上記幅(Ba+Ca)・(Bb+Cb)の範囲で定着ローラ内部を通る磁束は、図4(a)の場合に比べて小さくなっていることが分かる。これにより、幅(Ba+Ca)、(Bb+Cb)の範囲で電磁誘導発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。このとき、紙サイズ幅C(切り欠き部3d)が電磁誘導加熱による定着可能領域となる。
上記のように、磁束遮蔽部材3は磁束発生手段(コイルユニット)から発熱部材である定着ローラ7に向かう磁束を遮蔽し、記録材の搬送方向と直交する方向における磁束分布を調整する部材である。
また、図1のように、発熱部材である定着ローラ7に駆動力を伝達するための発熱部材用駆動伝達部材である定着ローラギア18が、磁束遮蔽部材3に対して遮蔽ギア11が配置されている端部側とは反対側において定着ローラ7の端部に取り付けられている。
【0084】
〔第二の実施例〕
第二の実施例の定着装置を図6を用いて説明する。
【0085】
本例に示す定着装置において、磁束発生手段5・6、定着ローラ7、加圧ローラ8などは第一の実施例と同様で、同じ機能のものは同じ符号とした。磁束遮蔽部材3の材質なども第一の実施例と同様である。
【0086】
第二の実施例の定着装置の構成では、遮蔽ギア11の外径φXと定着ローラの内径φY関係は、特に規程するものではない。
【0087】
第二の実施例では、第一の実施例と異なり、
(遮蔽ギア11の外径φX)>(定着ローラ7の内径φY)
の関係でもかまわない。
【0088】
第二の実施例では、ホルダー支持軸2aがコイル5へ電力を供給している供給線15のガイドを兼ねた形状をしている。ホルダー支持軸2aを中空パイプ形状にすることで、その内部を通してコイル供給線15を定着ローラ外部に引き出している。ホルダー支持軸2aの外径に遮蔽ギア11を回動自在に設けている。コイル供給線15は遮蔽ギア11の内部を通り、電力制御装置25にコネクタ部15aで接続して、コイル5に電力を供給している。即ち、駆動伝達部材である遮蔽ギア11は穴(穴部)を有し、コイル5に電力を供給するための供給線15が穴を通して配線されている。定着ローラ7の回転軸線は前記穴の内側にある。
【0089】
ホルダー2は支持軸2a側をホルダー支持板13、支持軸2b側をホルダー支持部材17で支持されている。支持軸2bとホルダー支持部材17との嵌合部の形状は、D字型状(Dカット)で嵌合する構成である。D字型状にすることで、ホルダー2を定着ローラ円周方向において位置決めをしている。
【0090】
第二の実施例では、ホルダー支持軸2bの先端部2bTの形状がテーパー形状である。これにより、組み立てのとき、磁束調整加熱アセンブリ1をスムーズにホルダー支持部材17のD字型状の嵌合穴17aに差し込むことができる。第一の実施例に示す定着装置においても、コイル供給線の逆側のホルダー支持軸2aの先端部をテーパー形状にしても同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0091】
図6及び図9を参照して、第二実施例の定着装置の組み立て手順の一例を説明する。
【0092】
図9(a)に示されるように、まず、定着ローラ7を定着ローラ支持板28a・28bにそれぞれのベアリング27a・27bで組み付ける。ベアリング27b側には定着ローラギア18を取り付け、不図示の定着ローラスラスト止め部材で、定着ローラのスラストを規制する。ここまでは、従来と同様である。
【0093】
次に、磁束調整加熱アセンブリ1をホルダー支持軸2bのテーパー形状の先端部2bTを先頭にして、定着ローラ7の片側の端部(ベアリング27a側の端部)から当該ローラの内部に挿入する。さらに、定着ローラ7の上記端部とは反対側の端部(ベアリング27b側の端部)まで磁束調整加熱アセンブリ1を押し入れて、ホルダー支持軸2bのテーパー形状の先端部2bTをホルダー支持部材17のD字型状の嵌合穴17aに差し込む。
【0094】
次に、図6に示されるように、ホルダー支持軸2a(コイル供給線15のガイドを兼ねた中空形状部)にホルダー支持板13を嵌合させて取り付ける。コイル供給線15をコネクタ部15aを介して電力制御装置25に接続する。これで、定着ローラ7への磁束調整加熱アセンブリ1の組み立てが完了する。
【0095】
このように、本例に示す定着装置の構成では、定着ローラ内部にコイル供給線15を通す作業をすることなく組み立てることができるので、組み立てのときの供給線へのキズ・屈曲・ストレスなどを与えることが無くなった。また、組み立て作業が定着ローラ7の片側の端部(定着ローラギア18側の端部とは反対側の端部)から全て行えるようになり、組み立て作業性が向上された。
【0096】
また、第二の実施例では定着ローラ7の内径φYとの関係において遮蔽ギア11の外径φXに制約がないので(定着ローラ内部に磁束調整加熱アセンブリ1をホルダー支持軸2b側から挿入するため)、設計の自由度が増えるメリットがある。遮蔽ギア11を定着ローラ内部を通さない構成のため、遮蔽ギアにキズ・打痕などを付けることが無くせる。
【0097】
次に、定着ローラ・磁束発生手段の交換などの部品交換サービスのときの分解手順の一例を説明する。
【0098】
部品交換サービスのときは、基本的に組み立てのときの逆の順番で、部材を外していくのである。定着ローラ7の片側の上記端部において、まず、図6に示されるコイル供給線15と電力制御装置25の接続部を解除する。次に、ホルダー支持板13とホルダー支持軸2aの嵌合を解除する。最後に、図9(b)に示されるように、磁束調整加熱アセンブリ1をホルダー2の支持軸2a側より定着ローラ内部から引っ張り、取り外す。
【0099】
このように、本例では、定着ローラ7の片側の端部から部品交換などの全てのサービス作業が行えるので、サービス作業性が向上できた。したがって、定着ローラ内部にコイル供給線を通す(または引き出す)作業をすることなく分解・組み立てができるので、特に組み立てのときの供給線へのキズ・屈曲・ストレスなどを与えることが無くなった。
【0100】
以上のように、第二の実施例の定着装置では、磁束調整加熱アセンブリ1におけるコイル5のコイル供給線15は遮蔽ギア11の内部を通り、コイル供給線の逆側のホルダー先端部2bTの形状がテーパー形状である構成である。さらに、磁束発生手段5・6を保持するホルダー2と磁束遮蔽部材3が一つのアセンブリ(ユニット)でコンパクトに構成されているため、定着ローラ・磁束発生手段の組み立て性・交換性(サービス性)の向上できる。
【0101】
〔第三の実施例〕
第三の実施例の定着装置を図7を用いて説明する。
【0102】
本例に示す定着装置において、磁束発生手段5・6、定着ローラ7、加圧ローラ8などは第一の実施例と同様で、同じ機能のものは同じ符号とした。磁束遮蔽部材3の材質なども第一の実施例と同様である。
【0103】
第三の実施例では、第一の実施例に示す遮蔽ギア11の変わりに遮蔽プーリーにし、ベルト21が該プーリー11と駆動手段20のプーリー20aとに架けられている構成である。また、遮蔽プーリー11の外径φXは、定着ローラ7の内径φYより小さくしている。関係式は第一実施例と同様で次のようになる。
【0104】
(遮蔽プーリー11の外径φX)<(定着ローラ7の内径φY)
また、第三の実施例では、ホルダー2の支持軸2bの先端部2bTの形状は第二の実施例と同様にテーパー形状である。
【0105】
さらに、第三の実施例では、定着ローラ円周方向の大きさを他の実施例よりも大きくし、定着ローラ7の回転軸中心7cと、磁束遮蔽部材3の回転中心軸として機能するホルダー支持軸2a・2bの軸中心2cとの位置が異なる構成である。すなわち、定着ローラ7の径方向断面において、定着ローラ7の回転軸中心7cと磁束遮蔽部材3の軸中心2cが偏芯する構成である。
【0106】
本例の定着装置では、定着ローラ7への磁束調整加熱アセンブリ1の組み立て手順・部品交換サービスのときの分解手順として2通りある。一つは、遮蔽プーリー11の外径φX<定着ローラ7の内径φYの関係に基づき、第一の実施例と同じ手順で行うものであり、他の一つは、ホルダー2の支持軸2bの先端部2bTの形状がテーパー形状であることに基づき、第二の実施例と同じ手順で行うものである。これらの2通りの組み立て手順のうち、どちらの手順を採用するかは定着装置が搭載される画像形成装置の開閉扉の位置に応じて適宜決定される。
【0107】
したがって、本例装置においても、第一、第二の実施例の装置と同様な効果を得ることができる。
【0108】
また、本例のように、大径の定着ローラ7を用いたとき、それより小さな径の定着ローラで使用する磁束調整加熱アセンブリ1を用いることができ、部品の共通化・成形型の削減が可能になり、低コスト化につながる。
【0109】
また、他の実施例の定着装置として、さらに大きな径の定着ローラに対して、磁束調整加熱アセンブリを一本の定着ローラに複数設けることもできることは、第三の実施例から容易に推測できる。
【0110】
以上説明したように、各実施例の定着装置によれば、定着ローラ7の内部にコイル供給線15を通す作業をすることなく組み立てることができるので、組み立てのときの供給線へのキズ・屈曲・ストレスなどを与えることが無くなった。また、定着ローラ7の片側の端部から部品交換等のサービス作業が行えるので、サービス作業性が向上できた。これによって、定着ローラの内部にコイル供給線を通す(または引き出す)作業をすることなく分解・組み立てができるので、装置の組み立て作業性・装置構成部品の交換作業性の向上ができる。
【0111】
〔画像形成装置例〕
各実施例の定着装置は、例えば、電子写真画像形成装置に搭載される。図5は第一の実施例の定着装置10を備えた画像形成装置の一例を示す概略構成の説明図である。
【0112】
画像形成装置100は、画像読取部108で原稿の画像を読み取り、読み取られた画像データに基づいたコントローラ(図示せず)からの指令により、感光ドラム101の表面に画像書き込み部109から露光を行って感光ドラム101上に静電潜像を形成する。なお、露光の前に、感光ドラム101の表面が帯電器102により所定の電位に一様に帯電させられており、一様に帯電させられた感光ドラム101上に、画像書き込み部109からレーザー光等を照射することにより、感光ドラム101上に静電潜像が形成される。感光ドラム101上に形成された静電潜像は、現像装置103のトナーにより現像され、その後、現像されたトナー画像が感光ドラム101の回転により転写装置104との対向部へ搬送される。
【0113】
現像されたトナー画像の搬送に対応して、ピックアップローラ132により用紙Sが用紙カセットから1枚づつ給紙されるとともに、レジストローラ対135によってタイミングを取って感光ドラム101と転写装置104との対向部へ搬送される。そして、用紙Sが感光ドラム101と転写装置104との対向部を通過する際に、感光ドラム101上の現像されたトナー画像が転写装置104により用紙Sの上に転写される。
【0114】
トナー画像が転写された用紙Sは、所定の搬送装置により定着ローラ7の位置に搬送され、定着ローラ7と加圧ローラ8で圧接されるとともに、定着ローラ内に設けられた磁束発生手段により電磁誘導加熱されて、用紙S上のトナーが用紙Sに溶融定着させられる。その後、トナー画像が定着させられた用紙Sは、排紙ローラ111により装置本体外部のトレー115に収納され一連の画像形成プロセスが終了する。
【0115】
〔その他〕
本実施例の定着装置は画像形成装置の仕様により適時所望のものが採択され、所定の画像形成装置に搭載されて使用されるものである。
【0116】
本発明に係る加熱装置として3種類の実施例を示したが、第一及び第二の実施例に示す定着装置において、第三の実施例の定着装置のように、ホルダー2の支持軸2a・支持軸2bの軸中心2cと定着ローラ7の回転軸中心7cが異なるようにホルダー2を定着ローラ内部に配置しても、本発明の効果は変わらない。
【0117】
特に、各実施例に示す定着装置では、磁束発生手段を保持するホルダー2と磁束遮蔽部材3が一つのアセンブリ(ユニット)でコンパクトに構成されているため、省スペース化・低コスト化を図りつつ、省電力化・生産性を向上した、磁束調整手段を用いた誘導発熱方式の定着装置を実現できる。
【0118】
また、各実施例の定着装置について、誘導発熱体として定着ローラを用いた例を説明したが、定着ローラの変わりに従来例と同様な定着フィルムを用いても、本発明の効果は変わらない。
【0119】
また、定着装置を搭載する画像形成装置の作像方式は電子写真方式に限られず、静電記録方式、磁気記録方式等であってもよいし、また転写方式でも直接方式でもよい。
【0120】
本発明の像加熱装置は実施形態例の画像加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置として使用できる。
【0121】
以上、本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、装置の組み立て作業性・装置構成部品の交換作業性の向上を図れる。
コイルに通電するための電気線を磁束遮蔽部材に駆動を伝達する駆動伝達部材と同じ側に出しても、電気線の配線を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向(定着ローラ軸方向)における概略構成断面図。
【図2】 第一の実施例の定着装置の定着ローラ径方向における概略構成断面図。
【図3】 第一の実施例の定着装置の磁束調整加熱アセンブリの構成分解斜視図。
【図4】 第一の実施例の定着装置において磁束遮蔽部材で磁束を遮蔽したときの磁気回路のイメージ図。
【図5】 第一の実施例の定着装置を搭載した画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【図6】 第二の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における概略構成断面図。
【図7】 第三の実施例の定着装置の定着ローラ長手方向における概略構成断面図。
【図8】 第一の実施例の定着装置の組み立て手順・分解手順の一例を示す説明図。
【図9】 第二の実施例の定着装置の組み立て手順・分解手順の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1:磁束調整加熱アセンブリ、2:ホルダー、2a(2b):ホルダー支持軸、3:磁束遮蔽部材、4:磁束発生手段、5:励磁コイル、6:磁性体コア、6a:第一の磁性体コア、6b:第2の磁性体コア、7:定着ローラ、8:加圧ローラ11:遮蔽ギア(または遮蔽プーリー)15:コイル電力供給線、N:定着ニップ部、Ja,Jb,Jc,Jc’:磁束発生部の磁力線(磁気回路)
Claims (7)
- 磁束を生ずるコイルと磁性コアとを有するコイルユニットと、発生した磁束により誘導発熱し、記録材上の画像を加熱する回転可能な発熱部材と、前記コイルユニットから前記発熱部材に向かう磁束を遮蔽し、記録材の搬送方向と直交する方向における磁束分布を調整する磁束遮蔽部材と、前記磁束遮蔽部材に駆動力を伝達するための駆動伝達部材と、前記コイルに電力を供給するための供給線と、を有し、前記コイルユニットと前記磁束遮蔽部材は前記発熱部材の内部に設けられている像加熱装置において、
前記駆動伝達部材は穴部を有し、回転可能な前記駆動伝達部材は、前記穴部が前記コイルユニットの軸部と嵌合することで前記コイルユニットに支持され、前記磁束遮蔽部材は前記駆動伝達部材と一体で回転可能であると共に、前記供給線は前記穴部を通して配線されていることを特徴とする像加熱装置。 - 前記発熱部材の回転軸線は前記穴部の内側にあることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記磁束遮蔽部材の回転中心と前記発熱部材の回転中心は同一軸線上にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の像加熱装置。
- 前記発熱部材の内径は、前記駆動伝達部材の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の像加熱装置。
- 前記発熱部材の内径は、前記駆動伝達部材の外径よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の像加熱装置。
- 前記発熱部材に駆動力を伝達するための発熱部材用駆動伝達部材が、前記磁束遮蔽部材に対して前記駆動伝達部材が配置されている端部側とは反対側においての前記発熱部材の端部に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の像加熱装置。
- 前記コイルユニットは前記コイルを支持するコイルホルダーを有し、前記コイルホルダーは両端部に前記磁束遮蔽部材を支持する支持軸が設けられ、前記駆動伝達部材は前記支持軸に支持されると共に、前記供給線は前記支持軸の内部を通して配線されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の像加熱装置。
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