JP4109338B2 - 表面保護膜形成用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種表示物、印刷物、写真等の表面を保護するための保護被膜層を形成するための保護膜形成用シートに係わり、より詳細には保護対象物の表面の質感を損なわず、また保護対象物に対して傷抑止効果が高い転写型の保護膜形成用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷製版工程で使用される原版、広告、標識用等の各種印刷法等に形成された表示物、写真等の表面の汚れや傷を防止する目的で表面保護フィルムが用いられている。
【0003】
このような保護フィルムとしては、従来から透明なプラスチックフィルムに粘着層を設けて保護対象物に貼付できるようにしたものが使用されている。ところがこのような保護フィルムには比較的厚いフィルムが用いられるため、保護対象物の表面に貼付するとその表面の質感は保護フィルムのものとなってしまい、保護対象物の質感が失われてしまう。
【0004】
上記のような欠点を解消するため、ごく薄い保護層を転写によって保護対象物上に貼付可能にした転写型保護膜形成用シートが開発されている(特開平8-230094号、特開平8-18061号等)。このような転写型保護膜形成用シートは、セパレーター層、粘着層、保護層及びアプリケーター層がこの順に積層されてなり、セパレーター層と粘着層との間及び保護層とアプリケーター層との間が剥離可能なように積層されている。セパレーター層を剥離して粘着層を保護対象物上に貼付し、その後アプリケーター層を剥離することにより、粘着層により保護対象物上に貼付された保護層が得られる。保護層はアプリケーターと一体の状態で取り扱われるので、かなり薄い保護層を使用することができ、上記の目的を一応達成している。
【0005】
しかし従来の転写型保護膜形成用シートは、透明なプラスチックフィルムに粘着層を設けて保護対象物に貼付できるようにしたものに比べると、保護層の貼付後に傷抑止効果が劣るという問題点があり、この問題は保護層をかなり堅くしても解決されていない。また転写型保護膜形成用シートは、保存時或いは流通時の取り扱い性をよくするために粘着剤層の上にセパレーター層を設けることが必要であり、転写時にはこのセパレーターを剥離する工程が必要となり、製造工程及び転写工程が煩瑣であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、保護層を貼付後の傷抑止効果が高く、素材の風合いを損ねることの少ない、転写型の保護膜形成用シートを提供することである。また本発明の別の目的は、セパレーター層を不要とする転写型の保護膜形成用シートを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の表面保護膜形成用シートは、基材上に、表面保護膜を剥離可能に積層してなり、表面保護膜が被着体(保護対象)に熱溶融により接着される膜であることを特徴とする。表面保護膜は、単一の層であってもよいが好適には、基材上に順次積層される保護層及び接着層からなり、接着層が熱溶融性樹脂から構成されているものである。
【0008】
本発明の表面保護膜形成用シートは、表面保護膜或いは接着層を熱融着によって被着体へ貼付することができ、これにより極めて薄く且つ傷抑止効果の高い表面保護膜を被着体上に形成することができる。また熱融着であるのでセパレーター層を不要とすることができる。表面保護膜が接着層を有する場合、保護層及び接着層が転写後の表面保護膜として機能する。接着層は常温では粘着性をほとんど示さず、堅さを維持しているので、保護層に傷が入るのを効果的に防止することができ、保護対象表面の傷抑止効果が高い表面保護膜が得られる。
【0009】
本発明の転写型保護膜形成用シートの好適な態様においては、表面保護膜の厚さは50μm以下、好適には4〜50μm、より好適には10〜30μmである。これにより被着体の素材の風合いを生かし、且つ傷抑止効果の高い表面保護膜が得られる。
【0010】
本発明の転写型保護膜形成用シートの好適な態様においては、接着層が粘着性試験方法(JIS Z 0237)の球転法においてボールNo.3以下である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の保護膜形成用シートについて具体的に説明する。
【0012】
本発明の保護膜形成用シートは、図1に概略的に断面を示す通り、アプリケーター層1、保護層2、接着層3をこの順に積層したものである。
【0013】
アプリケーター層1は保護膜形成用シートの基材となるもので、一般的な透明または不透明のフィルム、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体等の合成樹脂フィルム、紙あるいは紙と前記樹脂フィルムとの複合フィルム等が使用できる。
【0014】
また、アプリケーター層1は保護層が形成される面に、エンボス、サンドブラストなどの粗面処理加工が施されていてもよい。この場合は保護膜形成用シートが被着体に貼付されアプリケーターが取り除かれた後、被着体表面がマット調に仕上がる。
【0015】
さらに必要に応じて保護層との離型性を向上させるために、保護層貼付面に離型処理を行っても良い。離型処理としては、例えば、ポリエチレンワックスやシリコーン離型剤を上記のフィルム等に塗布することができる。
【0016】
またアプリケーター層1が薄い場合には、アプリケーター層の保護層を設けた側とは反対の面にカール防止のためのバッキング処理等のコーティングを施してもよい。
【0017】
アプリケーター層1の厚さは特に限定されず、材質及びその可塑性を考慮して貼付時等の良好な作業性が得られるように適宜選択することができ、例えば4〜250μm程度の厚さのものが好ましく使用される。
【0018】
保護層2は保護被膜となる層であり、被膜形成高分子で構成されており、セルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂の各樹脂群から選ばれた少なくとも一種類の樹脂が使用できる。
【0019】
さらに、アプリケーター層との接着性を上げる場合や耐擦過性を上げる場合には、熱硬化あるいは紫外線硬化させることが好ましい。
【0020】
保護層2は更に必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料等の添加物を添加してもよい。特に天然ワックス、ポリオレフィン等の合成ワックス、シリコーン、フッ素化合物等の易滑剤或いは離型剤を添加すると、滑り性が向上して保護層に傷が入りにくくなる。またアプリケーター層との剥離力を調節することができる。例えば、滑り性向上のために天然ワックス、ポリオレフィン等の合成ワックス、シリコーン、フッ素化合物等の易滑剤を保護層の全固形分に対して0.1〜3.0重量部添加したり、表面保護膜形成時のアプリケーター層の剥離性を考慮してフッ素系界面活性剤、シリコーン等の剥離剤を保護層の全固形分に対して0.01〜5.0重量部の範囲で添加することができる。被着体の画像保護の観点からは、UV吸収剤、光安定剤等を含むことが特に好ましく、ヒンダードアミン系光安定剤(例えば日本チバガイキー社製、TINUVIN等)を特に好ましく使用できる。
【0021】
保護層の厚さは、被着体の風合いをそのまま生かすためには、できるだけ薄い方が好ましく、一般的には30μm以下、好適には20μm以下、さらに好ましくは15μm以下とする。一方、薄いと傷が入りやすく、また製造上の観点から約2μm以上であることが好ましい。
【0022】
接着層3は、熱ラミネートによって被着体に接着できる熱溶融性樹脂から構成される。ここで熱溶融性樹脂とは常温(20℃)では粘着性をほとんど示さず、熱をかけると粘着性を示し、熱と圧をかけることによって被着体に接着する樹脂をいう。このような樹脂として、エチレン/酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン/アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー等の公知の熱溶融性樹脂が使用できる。
【0023】
また本発明のシートは画像等の保護のための保護被膜を形成を目的とすることから、接着層も透明性に優れそれ自体高い耐候性を有していることが望ましい。更に接着層は、粘着性試験方法(JIS Z 0237)の球転法においてボールNo.3以下であることが好ましい。接着層の粘着性がこのような範囲では、常温での粘着力が極めて少なく、堅い状態を維持できるので、接着層自体傷が入りにくくなり、保護層にも傷は入りにくくなる。これにより傷抑止効果が優れた転写膜(表面保護膜)を得ることができる。
【0024】
接着層3は必要に応じて消泡剤、レベリング剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料等を添加してもよい。
【0025】
接着層3の厚さは一般には2〜30μm、好ましくは2〜10μm程度の範囲とする。薄すぎると接着力が不足し、転写された表面保護膜が剥がれる可能性がある。保護層及び接着層とからなる表面保護膜全体として、厚さが50μm以下、好ましくは4〜50μm、より好ましくは10〜30μmの範囲とする。これにより被着体の風合いを損ねることのない薄い表面保護膜を形成できる。
【0026】
上記の各層からなる本発明の転写型保護膜形成用シートにおいては、アプリケーター層と保護層との間が剥離可能なように積層されている。保護層とアプリケーター層との接着力は180°剥離試験において20〜300g/inch、特に30〜200g/inchにすることが好ましい。剥離力が300g/inchよりも大きくなると保護層表面に凝集破壊を生じやすくなるため、固体樹脂層の表面光沢を失ったり、画像面から固体樹脂層が剥離したりする可能性がある。
【0027】
尚、上記の接着力は、各層貼り合わせて引っ張り試験にて180°の角度で常温において3cm/secの剥離速度で層を剥離するのに必要な力として求めた場合の数値を表す。
【0028】
アプリケーター層の保護層への接着力の調整は、例えば、アプリケーター層の貼付面をマット処理、コロナ処理すること等により行うことができる。
【0029】
上記の本発明の保護被膜形成用シートにおいては、保護層中にシリコーン等の離型剤を添加した場合に、離型剤が接着層へ移行するのを防止するために、保護層2と接着層3の間に中間層を設けてもよい。
【0030】
中間層は、主としてポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等を単独または混合した樹脂からなるものとすることができ、必要に応じて塗布液の表面張力を低下させるための界面活性剤や帯電防止性を付与する導電剤を添加することができる。
【0031】
上記のような構成を有する本発明の保護膜形成用シートは、まずアプリケーター層となるフィルム上に、保護層用樹脂を必要に応じ各種添加剤と共に溶剤に分散または溶解させた塗工液をバーコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法等の公知の塗布方法により塗布して乾燥し、次に接着層を塗布して乾燥し製造することが好ましいが、本発明の保護膜形成用シートの製造方法はこれに限定されるものではない。
【0032】
【実施例】
以下の本発明の実施例を説明する。尚、実施例において接着層の常温における粘着性は、 JIS Z 0237による粘着性試験方法の球転法(以下、単に球転法という)により評価した。この球転法は、所定の角度(30度)を有する傾斜板に試験片を固定し、この試験片上を転がしたボールのうち、測定部内に完全に停止するボールの最大のものを求めるもので、ボールNo.が小さいほど、常温における粘着性が低いことを示す。
【0033】
[実施例1]
厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(U4:テイジン社製)上に下記組成の保護層用塗布液をバーコーティングにより塗布し、乾燥後の厚さが約10μmの保護層を形成した。
【0034】
保護層用塗布液の組成
・アクリル樹脂 48重量部
(A-166、大日本インキ化学工業社製、固形分:45重量%)
・UV吸収剤 1重量部
(TINUVIN、日本チバガイギー社製)
・シリコーン 0.1重量部
(ペインタッド54、ダウ・コーニング・アジア社製)
・メチルエチルケトン 25重量部
・トルエン 25重量部
この保護層上に、エチレン/酢酸ビニル系樹脂(最低造膜温度MFT65℃、アクアテックスEC-3200:中央理化工業社製)をメタノール変性アルコール/水に溶解して作成した接着層用塗布液をバーコーティングにより塗布、乾燥し、乾燥後の厚さ8μmの接着層を形成し、転写型保護膜形成用シートを得た。ここで得られた接着層は球転法において最小のボール(ボールNo.2)でも停止しないことが確認された。
【0035】
この保護膜形成用シートを、インクジェット印刷によりインクジェット印刷用紙上に形成された画像上に90℃の熱をかけながら貼付した後、アプリケーター用フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を剥離することにより、上記画像上に接着層と保護層からなり、厚さが約18μmの表面保護層(転写膜)を形成した。
【0036】
この転写膜を、20℃、65%の環境下で、サファイヤ製引っ掻き芯(0.1mm)を用い、加重50g、速度200mm/minの条件で引っ掻き試験を行い、形成された跡の傷の深さを測定した。その結果、表1に示すように約2μmであった。
【0037】
[比較例1]
厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(U4、テイジン社製)上に実施例1と同じ組成の保護層用塗布液をバーコーティングにより塗布し、乾燥後の厚さが約10μmの保護層を形成した。さらに保護層上に、アクリル系粘着剤(SKダイン1604S:総研化学社製)をイソプロピルアルコール/n−ブタノールに溶解して作製した粘着層用塗布液をバーコーティングにより塗布、乾燥し、乾燥後の厚さ8μmの粘着層を形成した。ここで得られた粘着層は、20℃で粘着性を示し、球転法においてボールタックがボールNo.13であった。この粘着層は圧のみで他の部材に接着してしまうので、厚さ25μmのセパレーターシート(MRB:ダイヤホイルヘキスト社製)をラミネートして転写型保護膜形成用シートを作成した。
【0038】
上記の保護膜形成用シートのセパレーターを剥離し、露出した粘着剤をインクジェット印刷用紙上に形成されたインクジェット画像上に貼付した後、アプリケーター用フィルムを剥離することにより、上記画像上に粘着層と保護層とからなり、厚さが約18μmの表面保護層を形成した。
【0039】
この転写膜についても実施例1と同様にサファイヤ製引っ掻き芯による引っ掻き試験を行い、形成された跡の傷の深さを測定したところ、約11μmであった。
【0040】
[実施例2]
保護層の厚さ(乾燥後)を約18μm、接着層の厚さ(乾燥後)を8μmと変えた以外は実施例1と同様にして転写型保護膜形成用シートを得た。この転写型保護膜形成用シートについてもインクジェット印刷用紙上に形成された画像上に90℃の熱をかけながら貼付した後、アプリケーター用フィルムを剥離することにより、上記画像上に接着層と保護層からなり、厚さが約26μmの表面保護層を形成した。
【0041】
この表面保護層についても実施例1と同様の引っ掻き試験を行った結果、同様の傷抑止効果を得た。
【0042】
[実施例3]
保護層の厚さ(乾燥後)を約10μm、接着層の厚さ(乾燥後)を16μmと変えた以外は実施例1と同様にして転写型保護膜形成用シートを得た。この転写型保護膜形成用シートについてもインクジェット印刷用紙上に形成された画像上に90℃の熱をかけながら貼付した後、アプリケーター用フィルムを剥離することにより、上記画像上に接着層と保護層からなり、厚さが約26μmの表面保護層を形成した。
【0043】
この表面保護層についても実施例1と同様の引っ掻き試験を行った結果、同様の傷抑止効果を得た。
【0044】
[実施例4]
厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(T-60:東レ社製)上に下記組成の保護層用塗布液をバーコーティングにより塗布し、乾燥後の厚さが約10μmの保護層を形成した。
【0045】
保護層用塗布液の組成
・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂 17重量部
(VYHD、ユニオンカーバイド社製)
・UV吸収剤 1重量部
(TINUVIN、日本チバガイギー社製)
・シリコーン 0.1重量部
(ペインタッドM、ダウコーニング社製)
・メチルエチルケトン 40重量部
・トルエン 40重量部
さらにこの保護層上に実施例1と同様に接着層を設け、転写型保護膜形成用シートを得た。この保護膜形成用シートをインクジェット印刷用紙上に形成された画像上に90℃の熱をかけながら貼付した後、アプリケーター用フィルムを剥離することにより、上記画像上に接着層と保護層からなり、厚さが約18μmの表面保護層を形成した。
【0046】
この表面保護層についても実施例1と同様の引っ掻き試験を行った結果、同様の傷抑止効果を得た。
【0047】
[実施例5]
厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(U4:テイジン社製)上に実施例1と同じ組成の保護層用塗布液をバーコーティングにより塗布し、乾燥後の厚さが約10μmの保護層を形成した。
【0048】
さらに保護層上に、エチレン/酢酸ビニル系樹脂(MFT80℃、アクアテックスMC−3800、中央理化工業社製)をメタノール変性アルコール/水に溶解して作成した接着層用塗布液をバーコーティングにより塗布、乾燥し、乾燥後の厚さ8μmの接着層を形成し、転写型保護膜形成用シートを得た。接着層は球転法においてボールNo.2でも停止しないことが確認された。
【0049】
この保護膜形成用シートをインクジェット印刷によりインクジェット印刷用紙上に形成された画像上に90℃の熱をかけながら貼付した後、アプリケーター用フィルムを剥離することにより、上記画像上に接着層と保護層からなり、厚さが約18μmの表面保護層を形成した。
【0050】
この表面保護層についても実施例1と同様の引っ掻き試験を行った結果、同様の傷抑止効果を得た。
【0051】
[実施例6]
厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(U4、テイジン社製)上に実施例1と同じ組成の保護層用塗布液をバーコーティングにより塗布し、乾燥後の厚さが約10μmの保護層を形成した。
【0052】
さらに前記保護層上に乾燥後の厚さが8μmとなるようにポリスチレン系熱可塑性エラストマー(MU342:コニシ社製)を150℃の熱をかけながら市販のホットメルトコーターを用いて塗布し、接着層を形成し、転写型保護膜形成用シートを得た。接着層は球転法においてボールタックがボールNo.3であった。
【0053】
この保護膜形成用シートをインクジェット印刷によりインクジェット印刷用紙上に形成された画像上に140℃の熱をかけながら貼付した後、アプリケーター用フィルムを剥離することにより、上記画像上に接着層と保護層からなり、厚さが約18μmの表面保護層を形成した。
【0054】
この表面保護層についても実施例1と同様の引っ掻き試験を行った結果、良好な結果が得られた。
【0055】
[比較例2]
厚さ約50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(U4:テイジン社製)上に実施例1と同じ組成の保護層用塗布液をバーコーティングにより塗布し、乾燥後の厚さが約10μmの保護層を形成した。
【0056】
さらに前記保護層上に乾燥後の厚さが8μmとなるようにポリスチレン系熱可塑性エラストマー(MU90:コニシ社製)を160℃の熱をかけながら市販のホットメルトコーターを用いて塗布し、接着層を形成し、転写型保護膜形成用シートを得た。接着層は球転法においてボールタックがボールNo.4であった。
【0057】
この保護膜形成用シートをインクジェット印刷によりインクジェット印刷用紙上に形成された画像上に140℃の熱をかけながら貼付した後、アプリケーター用フィルムを剥離することにより、上記画像上に接着層と保護層からなり、厚さが約18μmの表面保護層を形成した。
【0058】
この表面保護層についても実施例1と同様の引っ掻き試験を行った結果、傷の深さは6μmで、実施例に比べ低い傷抑止効果しか得られなかった。
【0059】
【表1】
以上の結果からも明らかなように、接着層として、常温では粘着性の低い、堅い樹脂を用いることにより、高い傷抑制効果が得られることがわかる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の転写型保護膜形成用シートによれば、保護層として或いは保護層を被着体に接着させるための接着層を構成する樹脂として熱溶融性樹脂を用いることにより、常温では接着力が低く、適当な堅さを維持できるので、従来の転写シートのようなセパレーター層を不要とし、各種表示物上に表示物の質感を損なうことのない薄い表面保護膜を直接被着体にラミネートすることができる。特に接着層として所定の堅さの熱溶融性樹脂を用いることにより、表示物の質感を損なわず、しかも表示物に傷が入りにくい表面保護層を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写型表面保護膜形成用シートの1実施例を示す概略断面図。
【符号の説明】
1……アプリケーター層
2……保護層
3……接着層
Claims (3)
- 基材上に表面保護膜を剥離可能に積層してなる表面保護膜形成用シートであって、前記表面保護膜は、前記基材に順次積層される保護層及び接着層から成り、前記接着層は熱溶融性樹脂から構成され、粘着性試験方法( JIS Z 0237 )の球転法においてボール No. 3以下であることを特徴とする表面保護膜形成用シート。
- 前記表面保護膜の厚さが、50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護膜形成用シート。
- 前記熱溶融性樹脂が、エチレン/酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面保護膜形成用シート。
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