JP4109147B2 - 飾り縫いミシンの糸供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は飾り縫いミシンの糸供給装置に係り、特に糸調子作業を不要にして、布に縫目形成を行なう縫目形成装置に縫糸を供給できる飾り縫いミシンの糸供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、上ルーパ糸張力および下ルーパ糸張力をそれぞれ設定して上ルーパ糸および下ルーパ糸の縫目結節点の位置を変化させて波形状(サインカーブ形状)の飾り縫い縫製が行なわれている。
【0003】
このため、糸張力を糸調子器の制御により自動的に調整するメカニカル機構を有するアタッチメント装置をミシンとは別個に設け、アタッチメント装置をミシンに外付けして波形状(サインカーブ形状)の飾り縫い縫製を行うミシンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、糸調子器の糸張力をパルスモータで制御するコンピュータオーバーロック飾り縫いミシンが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
実開昭54−54468号公報(第1−5頁、第1図、第2図)
【特許文献2】
特開2002−315984号公報(第4−10頁、第1−12図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのミシンでは、糸調子器の制御により糸張力を設定しているため縫糸の種類、縫糸の太さ、布厚、縫幅などに応じてマニュアル操作で補正調整が必要になり、このマニュアル操作と縫目の仕上りの対応がとりづらいという難点がある。
【0007】
本発明は、このような難点を解消するためになされたもので、複数本の縫糸をその縫目結節点の位置が変化するように1縫目に必要な縫糸量として供給することができ、而も機構が簡素化され製造の精度を確保でき、また耐久性も向上し、高速縫製に対応できる飾り縫いミシンの糸供給装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成する本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置は、布に縫目形成を行なう縫目形成装置に複数本の縫糸を供給する飾り縫いミシンの糸供給装置であって、糸巻から給糸される縫糸を把持し、縫目形成装置により縫目形成時に閉成され、布の布送り時に開成される上流側把持器と、上流側把持器から導かれた縫糸を把持し、縫目形成時に開成されて縫糸が縫目形成装置により引出され、布の布送り時に閉成される下流側把持器と、縫目形成装置と同期して駆動され、布の布送り時に開成された上流側把持器および閉成された下流側把持器間に延びる糸道の縫糸を縫目形成装置の1縫目に必要な縫糸量として偏倚し、縫目形成時に縫糸を解放する定型縫い振動子と、縫目形成装置と同期して駆動され、布の布送り時に開成された上流側把持器および閉成された下流側把持器間に延びる糸道の少なくとも2本の縫糸の一方の縫糸量と他方の縫糸量の和が一定で、一方の縫糸量が増加するに伴い他方の縫糸量が減少して1縫目に必要な各縫糸の縫糸量を変化させるように偏倚し、縫目形成時に縫糸を解放する変形縫い振動子とを備えている。
【0009】
このような本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置が備えた変形縫い振動子の偏倚量は2(W+t/2)に設定されている。あるいは、変形縫い振動子の偏倚量は2(2W+t)に設定されている。(但し、Wはかがり幅、tは布厚さとする。)
本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置は、定型縫い振動子および変形縫い振動子を1縫目毎に所定の変速比をもって駆動する変速機構と、定型縫い振動子を作動させるときは変速機構の駆動側と従動側を遮断し、定型縫い振動子および変形縫い振動子を作動させるときは変速機構の駆動側から従動側へ伝達するクラッチとを有する。
【0010】
本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置は、定型縫い振動子を作動させるときは変形縫い振動子が偏倚しないように固定する固定部材を有する。
【0011】
本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置は、定型縫い振動子の作動と定型縫い振動子および変形縫い振動子の作動とをクラッチで切換える切換ツマミを有する。
【0012】
このような飾り縫いミシンの糸供給装置において、布送り時は、縫目形成装置に連動して上流側把持器が開成され、下流側把持器が閉成されるので、この間に定型縫い振動子が上流側把持器および下流側把持器間に延びる糸道の縫糸を偏倚すると共に変形縫い振動子がさらに1縫目に必要な縫糸の縫糸量を変化させるように偏倚することにより、縫目形成装置の1縫目に必要な縫糸量を確保し、また、縫目形成時は、縫目形成装置に連動して上流側把持器が閉成され、下流側把持器が開成されるので、この間に各振動子が上流側把持器および下流側把持器間に延びる糸道の縫糸を開放することにより、縫目形成装置の1縫目に必要な縫糸量を供給することができると共に、2本の縫糸の一方の縫糸量が増加するに伴い他方の縫糸量が減少するので、この縫糸の縫目結節点の位置を変化させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置の好ましい実施の形態例について図面を参照して説明する。
【0014】
本発明の糸供給装置が組み込まれる飾り縫いミシンは図1に示すように、機枠1に、はずみ車2に固定された駆動軸3が軸承されている。はずみ車2はモータMによってタイミングベルトBを介して回転駆動される。また、機枠1に枢支された針駆動腕6のU字形の先端部6aには連結ピン10により針留リンク7が枢支されている。針留リンク7は機枠1に固定された案内棒11に摺動可能に取り付けられた針留8に連結ピン12により枢着されている。針留8は2本の縫針9A、9Bを固定できるように構成されている。
【0015】
また、駆動軸3と連動可能な機構で構成され、主送り歯および副送り歯(図示せず)がそれぞれ布送り方向に前後するように針板937の送り窓に対して配設されて布を布送りする縫目送り調節部900を有している。この縫目送り調節部900には、主送りを調節するための送り目調節ダイヤル930が設けられ、副送りを調節するために差動調節レバー940が設けられている。なお、この縫目送り調節部900は公知技術(特開平10−272273号公報掲載)なので詳しい説明は省略する。
【0016】
このような縫目送り調節部900の主送り歯および副送り歯は、機枠1に摺動可能に取着された押棒1051の先端に固定された布押え1050によって針板937に押えられた布を、適切な布送り量で移動させることができる。
【0017】
また、飾り縫いミシンには、縫製直前に布の縁を切りそろえるためのメス駆動機構36で布切り幅(メス切り幅)を変更するために、縫幅調節部800を有している。この縫幅調節部800には、縫幅調節ダイヤル802が設けられている。なお、この縫幅調節部800は公知技術(特開平10−272273号公報掲載)なので詳しい説明は省略する。
【0018】
このように構成された飾り縫いミシンの縫目形成装置100の右縫針9B、上ルーパ27、下ルーパ21により、布に飾り縫いの縫目形成を行なう。この縫目形成装置100の右縫針9B、上ルーパ27、下ルーパ21に各縫糸を供給するために糸供給装置が使用される。
【0019】
この糸供給装置は図1、図2に示すように、糸巻から給糸される糸を把持し、縫目形成装置100により縫目形成時に閉成され、布の布送り時に開成される第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60を備えている。
【0020】
第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60は図1、図2、図3、図4、図5に示すように、それぞれ機枠1に固定された糸供給ユニット基板501に固着される5つの上流側把持器支板43それぞれに枢着される上流側把持軸42と、上流側把持軸42に一対の把持皿44、加圧ばね受け45、圧縮ばね46、スラスト受け47、ばね受け48とを有している。なお、5つの上流側把持器支板43のなかで第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60が設けられる4つの上流側把持器支板43は、上流側糸供給ユニット板630を介して糸供給ユニット基板501に固着されているが、直接、糸供給ユニット基板501に固着してもよい。
【0021】
この一対の把持皿44、加圧ばね受け45、圧縮ばね46、スラスト受け47およびばね受け48はセットで上流側把持器支板43間にそれぞれ設けられている。具体的には、上流側把持軸42に軸着された加圧ばね受け45とばね受け48との間に圧縮ばね46が介在されている。また、上流側把持軸42には一対の把持皿44と加圧ばね受け45との間にスラスト受け47が螺着されている。このスラスト受け47は布送り時に各糸を開放するために、加圧ばね受け45を介して一対の把持皿44を所定位置に停止させるものである。
【0022】
また、糸供給装置は、第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60からそれぞれ導かれる各糸を把持し、縫目形成時に開成されて各糸が縫目形成装置100により引出され、布の布送り時に閉成される第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90を備えている(図2)。
【0023】
第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90は、それぞれ図1、図2、図5、図6、図7に示すように、機枠1に固定された糸供給ユニット基板501に偏倚子支軸511、スペーサ512と、振動子支軸508A、スペーサ509Aと、振動子支軸508B、スペーサ509Bと、偏倚子支軸521、スペーサ522とを介して結合ねじ510で固定される糸供給ユニット前板502に設けられている。このような第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90は、糸供給ユニット前板502に固着された5つの下流側把持器支板73それぞれに枢着される下流側把持軸72と、この下流側把持軸72に一対の把持皿44、加圧ばね受け45、圧縮ばね46、スラスト受け47、ばね受け48とを有している。
【0024】
この一対の把持皿44、加圧ばね受け45、圧縮ばね46、スラスト受け47およびばね受け48はセットで下流側把持器支板73間にそれぞれ設けられている。具体的には、下流側把持軸72に軸着された加圧ばね受け45とばね受け48との間に圧縮ばね46が介在されている。また、下流側把持軸72には一対の把持皿44と加圧ばね受け45との間にスラスト受け47が螺着されている。このスラスト受け47は縫目形成時に各糸を開放するために、加圧ばね受け45を介して一対の把持皿44を所定位置に停止させるものである。
【0025】
また、糸供給装置は図2、図4、図7に示すように、第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60を縫目形成時に閉成し、布の布送り時に開成し、第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90を縫目形成時に開成し、布の布送り時に閉成する糸供給駆動部300を備えている。この糸供給駆動部300は、駆動軸3(図1)に固着された糸供給駆動部プーリ301の回転を、タイミングベルト303を介して第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60、および第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90へ伝達するものである。
【0026】
このような糸供給駆動部300は、糸供給駆動部プーリ301の回転を伝達するタイミングベルト303が巻き掛けられる糸供給駆動軸プーリ302が、糸供給ユニット基板501に固着された一対の第1糸供給駆動軸受305A、305A’に軸支される糸供給駆動軸304の一端に固着され、この糸供給駆動軸304の他端には正面カムが形成された糸把持駆動カム307が固着されている。糸把持駆動カム307の正面カムは縫目形成時に第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60を閉成し、各糸を把持し、布の布送り時に開成するよう縫目形成装置100と同期するように形成されている。
【0027】
このような第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60、および第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90をそれぞれ閉成、開成するために、糸供給駆動部300は把持器開閉駆動機構300A(図4)を有している。この把持器開閉駆動機構300Aは、糸把持駆動カム307の正面カムによって作動するカムフォロア308がそれぞれ軸309にて軸着された下流側把持器駆動腕310および上流側把持器開放腕311を備えている。この下流側把持器駆動腕310および上流側把持器開放腕311は、糸供給ユニット基板501と糸供給ユニット前板502との間に挟持された把持器駆動軸受313に軸支される把持器駆動軸312の一端に固定され、この把持器駆動軸312の他端には下流側把持器開放腕314が固定されている。
【0028】
このように構成された把持器開閉駆動機構300Aは、糸把持駆動カム307が回転することにより上流側把持器開放腕311が上流側把持軸42の一端を、下流側把持器開放腕314が下流側把持器駆動腕310を介して下流側把持軸72の一端をそれぞれ押し上げることができる(図5)。
【0029】
また、糸供給装置は、縫目形成装置100と同期して駆動され、布の布送り時に開成された第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60および閉成された第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90間に延びる糸道の各縫糸を縫目形成装置100の1縫目に必要な縫糸量として偏倚し、縫目形成時に各縫糸を解放する一対の定型縫い振動子503、504を備えている。
【0030】
この一対の定型縫い振動子503、504には、針糸やルーパ糸に対応した第1糸振動子503a、504a、第2糸振動子503b、504b、第3糸振動子503c、504c、第4糸振動子503d、504dがそれぞれ形成されている。この第1糸振動子503a、504a、第2糸振動子503b、504b、第3糸振動子503c、504c、第4糸振動子503d、504dには、それぞれ各縫糸を各挿入口Eから糸供給ユニット基板501および糸供給ユニット前板502に形成された各一対の糸案内G1、G2に整致する糸道点Sに導入する傾斜部SSを有している。
【0031】
このような一対の定型縫い振動子503、504は、第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60および第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90間に給糸方向に隔置して配設された糸供給ユニット基板501および糸供給ユニット前板502間に配置されている。具体的には図4、図7、図8に示すように、一対の定型縫い振動子503、504はスペーサ506を介して振動子駆動軸505の一方に形成された雄ねじ部およびナット507で連結され、この連結された一対の定型縫い振動子503、504は糸供給ユニット基板501および糸供給ユニット前板502間に固定された振動子支軸508A、508Bによって振動可能に支持されている。また、振動子駆動軸505の他方にはカムフォロワ525が回動可能に固定され、このカムフォロワ525は糸供給ユニット基板501に穿設された穴501bから突出して、糸供給駆動軸304に固着された定型縫い振動子駆動カム306の溝306aに係合している。この定型縫い振動子駆動カム306の溝306aは、糸供給駆動軸304の回転により振動子駆動軸505を介して一対の定型縫い振動子503、504を振動させることができるように凹設されている。
【0032】
また、糸供給装置は、布に縫目形成を行う縫幅、縫目送り量に応じ変化する1縫目に必要な各縫糸量に対応して糸道の一対の定型縫い振動子503、504によって偏倚される各偏倚量をそれぞれ調節する第1糸偏倚子514、第2糸偏倚子530、第3糸偏倚子531を有している。
【0033】
第1糸偏倚子514、第2糸偏倚子530、第3糸偏倚子531は、一対の定型縫い振動子503、504間に配置されている。第1糸偏倚子514は、一対の定型縫い振動子503、504の第1糸振動子503a、504aに対応する縫糸を導入するための糸溝514b、第2糸振動子503b、504bに対応する縫糸を導入するための糸溝514cが形成され、糸供給ユニット基板501および糸供給ユニット前板502間に固定された偏倚子支軸511および一方の振動子支軸508Aによって、給糸方向に対して垂直な方向に移動可能に支持されている。また、第1糸偏倚子514の下端には孔514aが穿設され、糸供給ユニット基板501に段ねじ519で軸着された縫目送り調節偏倚レバー520の一端に突設された第1糸偏倚子駆動軸520aが挿入されている。この縫目送り調節偏倚レバー520にはばね掛け520bが突設され、このばね掛け520bと糸供給ユニット基板501に突設されたピン501aとの間には引張ばね518が張設されている。また、縫目送り調節偏倚レバー520には、かしめ段ピン516にて連接リンク517の一端が軸着され、連接リンク517の他端はかしめ段ピン515にて偏倚調節板513に軸着されている。この偏倚調節板513は、偏倚子支軸511および一方の振動子支軸508Aによって、給糸方向に対して垂直な方向に移動可能に支持されている。
【0034】
これにより、縫目送り調節偏倚レバー520は糸供給ユニット前板502側から見て時計方向に常時回転弾撥されるので、第1糸偏倚子514および偏倚調節板513は右方向へ水平弾撥されることになる。
【0035】
第2糸偏倚子530および第3糸偏倚子531は、一対の定型縫い振動子503、504の第3糸振動子503c、504cに対応する糸を導入するための糸溝530d、および第4糸振動子503d、504dに対応する糸を導入するための糸溝531cがそれぞれ形成され、糸供給ユニット基板501および糸供給ユニット前板502間に固定された偏倚子支軸521および他方の振動子支軸508Bによって、給糸方向に対して垂直な方向に移動可能に支持されている。第2糸偏倚子530の一端には第1のばね掛け530aが突設され、この第1のばね掛け530aと糸供給ユニット前板502の一端に突設されたばね掛け502aとの間には引張りばね533が張設されている。これにより、第2糸偏倚子530は、糸供給ユニット前板502側から見て右方向へ水平弾撥されることになる。また、第2糸偏倚子530の他端には第2のばね掛け530bが突設され、この第2のばね掛け530bと第3糸偏倚子531の一端に突設されたばね掛け531aとの間には引張りばね532が張設されている。これにより、第3糸偏倚子531は糸供給ユニット前板502側から見て左方向へ水平弾撥されることになる。
【0036】
また、糸供給装置は図2、図3、図4、図7に示すように、縫目形成装置100と同期して駆動され、布の布送り時に開成された第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60および閉成された第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90間に延びる糸道の上ルーパ糸、下ルーパ糸の一方の縫糸量と他方の縫糸量の和が一定で、一方の縫糸量が増加するに伴い他方の縫糸量が減少して1縫目に必要な各縫糸の縫糸量を変化させるように偏倚し、縫目形成時に縫糸を解放する変形縫い振動子601を備えている。この変形縫い振動子601には、ルーパ糸に対応した第1糸繰り部601a、第2糸繰り部601bが形成されている。
【0037】
このような変形縫い振動子601は、第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60および第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90間に給糸方向に隔置して配設された糸供給ユニット基板501および上流側糸供給ユニット板630間に配置されている。具体的には、上流側糸供給ユニット板630がスペーサ632を介して糸供給ユニット基板501に結合ねじ633で固定され、且つ変形縫い振動子601に穿孔されている長円孔601c内に、中側に位置する2つのスペーサ632が遊嵌されると共に、変形縫い振動子601を挟むように配置されるがたつき防止用スペーサ634、635が中側に位置する2つのスペーサ632に支持されている。これにより、変形縫い振動子601は、給糸方向へのがたつきを防いだ状態で給糸方向に対して垂直な方向に振動可能に支持される。
【0038】
さらに、糸供給装置は図4、図7、図8、図9に示すように、定型縫い振動子503、504および変形縫い振動子601を1縫目毎に所定の変速比をもって駆動する変速機構600と、定型縫い振動子503、504および変形縫い振動子601を作動させるときは変速機構600の駆動側から従動側へ伝達するクラッチ650とを有する縫目切換機構を備えている。
【0039】
変速機構600は、糸供給駆動軸304に挿嵌されると共に駆動歯車連結ピン616により定型縫い振動子駆動カム306に連結され止め輪615で当該糸供給駆動軸304上に固定される駆動歯車614と、一対の第1糸供給駆動軸受305A、305A’の下方に併設される一対の第2糸供給駆動軸受305B、305B’で軸支される変形縫い駆動カム軸613に挿嵌され駆動歯車614と噛合する従動歯車609とを有している。また、変形縫い駆動カム軸613には、変形縫い振動子駆動カム606が固着されると共に従動歯車連結ピン608により従動歯車609に連結されている。なお、この変形縫い振動子駆動カム606と従動歯車609との間に従動歯車押上げばね607が介在するように当該従動歯車押上げばね607が変形縫い振動子駆動カム606の端面に形成されたばね保持部606bに巻装されている。これにより、従動歯車609は、常時、変形縫い振動子駆動カム606から離れるように水平弾撥されることになる。
【0040】
また、変形縫い振動子駆動カム606の溝606aには、駆動歯車614と第1糸供給駆動軸受305Aとの間に配置され糸供給駆動軸304に摺動可能に挿嵌された変形縫いスライダ602の下部にカムフォロア軸604により回動可能に固定されたカムフォロア605が係合している(図8)。この変形縫いスライダ602は、上部に上流側糸供給ユニット板630の下部に形成された変形縫いスライダ案内部630aに摺動可能に係合する案内溝602aが形成され、さらに側部に変形縫い振動子601が止めねじ603で固定されている。なお、変形縫い振動子駆動カム606の溝606aは、従動歯車609のの回転により変形縫いスライダ602のカムフォロア605を介して変形縫い振動子601を振動させることができるように凹設されている。
【0041】
このような変速機構600は、歯車の変速比が駆動歯車614の歯数を24、従動歯車609の歯数を25に設定されているので、定型縫い振動子503、504の振動に対して変形縫い振動子601の振動は糸供給駆動軸304の1回転において25分の1の遅れで駆動されるが、これに限らず、飾り縫いの縫形状に応じて他の速度比にしてもよい。
【0042】
クラッチ650は、駆動歯車614と従動歯車609との噛み合いをかけたり外したりするもので、従動歯車609の側面に当接され変形縫い駆動カム軸613に移動可能に担持されるクラッチ切換レバー610と、クラッチ切換レバー610に固定されたクラッチ切換レバー軸611に回動可能に担持されることにより当該クラッチ切換レバー610に蝶着されるクラッチ切換受板612と、このクラッチ切換受板612およびクラッチ切換レバー610をクラッチ切換レバー軸611を中心にそれぞれ相反する回転方向へ弾撥するために当該クラッチ切換レバー軸611に巻装され一方の腕がクラッチ切換レバー610に他方の腕がクラッチ切換受板612に弾撥可能に圧接されるクラッチ切換ねじりコイルばね626と、クラッチ切換レバー610を常時、従動歯車609に圧接して当該従動歯車609を従動歯車押上げばね607の弾撥力に抗して変形縫い振動子駆動カム606方向に引き寄せて従動歯車609と駆動歯車614とを噛合させるために糸供給ユニット基板501に固着されたばね掛け636とクラッチ切換受け板612との間に張設されるクラッチ引張りばね627とから構成されている(図10)。
【0043】
なお、クラッチ切換レバー610は、定型縫い振動子503、504を作動させるときは変形縫い振動子601が偏倚しないように固定する固定部材610aを上端部に有している。この変形縫い駆動カム軸613に移動可能に担持されるクラッチ切換レバー610の固定部材610aは、クラッチ切換レバー610が変形縫い駆動カム軸613を中心にして所定回転方向へ回転すると、変形縫いスライダ602に形成された凸部602bの側面に落ち込むように形成されている。
【0044】
また、定型縫い振動子503、504の作動と定型縫い振動子503、504および変形縫い振動子601の作動とを、このクラッチ650で切換える切換ツマミ622を有している。具体的には、糸供給ユニット基板501の下流側の第3下流側把持器80、第4下流側把持器90が固着される部位の下方に止めねじ623、624で固定される縫目切換ツマミ台620と、縫目切換ツマミ台620に給糸方向に対して垂直な方向で軸支され一端に切換ツマミ622が固定された切換ツマミ軸621と、縫目切換ツマミ台620に給糸方向に対して回動可能に軸着され切換ツマミ軸621の他端に切欠かれた変形縫いカム用切欠621aおよび定型縫いカム用切欠621bに一端に形成された上部受部619aが係合する縫目切換作動腕619と、糸供給ユニット基板501に給糸方向に対して摺動可能に軸支され縫目切換作動腕619の他端に形成された下部受部619bおよびクラッチ切換受板612に形成された受部612aそれぞれに係合される縫目切換作動軸618と、縫目切換作動腕619の下部受部619b側に位置する縫目切換作動軸618に形成されたストッパ溝に嵌合される止め輪638と糸供給ユニット基板501との間に配置され縫目切換作動軸618に巻装される圧縮ばね617とを有している(図9)。
【0045】
このように構成された飾り縫いミシンの糸供給装置は図1に示すように、さらに、定型縫いにおいて巻ロック縫い時には1縫目に必要な上ルーパ糸および下ルーパ糸の偏倚量を実質的に同量になるように、変形巻ロック縫い時には1縫目に必要な上ルーパ糸の偏倚量を増量し、下ルーパ糸の偏倚量を減量するように第2糸偏倚子530および第3糸偏倚子531(図2、図7)を変移させる切換手段である縫目切換手段500を備えている。
【0046】
縫目切換手段500は、縫目選択ダイヤル560を回転させて縫目切換カム板550を水平移動させることにより巻ロック縫い、変形巻ロック縫い、1本針オーバロック縫いおよび2本針オーバロック縫いに切換えることができる。なお、この縫目切換手段500は公知技術(特開平10−272273号公報掲載)なので詳しい説明は省略する。
【0047】
また、この糸供給装置は、第2糸偏倚子530および第3糸偏倚子531(図2、図7)を縫幅調節部800の縫幅調節ダイヤル802の操作に応じ変化する1縫目に必要な縫糸量に対応して連動させて駆動するために糸調子微調整手段400を有している。この糸調子微調整手段400は縫幅調節部800と第2糸偏倚子530に突設されたワイヤ掛け530e(図7)とを縫幅調節連動ワイヤ410で連結し、また、縫目送り調節部900と縫目送り調節偏倚レバー520のワイヤ掛け520c(図1、図7)とを縫目送り調節連動ワイヤ420で連結するものである。なお、この糸調子微調整手段400も公知技術(特開平10−272273号公報掲載)なので詳しい説明は省略する。
【0048】
以上のような構成における飾り縫いミシンの糸供給装置の動作について説明する。なお、動作説明において、方向性を示す場合はミシンを縫製作業者側から見たものとする。
【0049】
まず、変形縫い(飾り縫い)を行う場合について説明する。切換ツマミ622で変形縫いを選択するために回転操作して、切換ツマミ軸621の変形縫いカム用切欠621aと縫目切換作動腕619の上部受部619aとを係合させると、縫目切換作動腕619の下端受部619bは、縫目切換作動軸618が圧縮ばね617の弾撥力により縫目切換作動腕619の下端受部619b側に移動できるように後退する。縫目切換作動軸618が縫目切換作動腕619の下端受部619b側に移動すると、クラッチ切換レバー610に蝶着されるクラッチ切換受板612の受部612aは、クラッチ切換ねじりコイルばね626の弾撥力によって切換ツマミ622側から見て時計方向へと回転する。これと同時にクラッチ切換レバー610もクラッチ切換ねじりコイルばね626の弾撥力によって切換ツマミ622側から見て時計方向へと回転するので、後述する定型縫いのために変形縫いスライダ602の凸部602bの側面に落ち込んでいるクラッチ切換レバー610の固定部材610aが離脱する。
【0050】
このクラッチ切換レバー610の固定部材610aが変形縫いスライダ602の凸部602bの側面から離脱すると、クラッチ切換レバー610は、変形縫い駆動カム軸613の軸方向において移動自由になることから、クラッチ引張ばね627の弾撥力によって従動歯車押上げばね607の弾撥力に抗して変形縫い振動子駆動カム606側へと移動するので、従動歯車609も変形縫い振動子駆動カム606側へと移動する。これにより、従動歯車609と駆動歯車614とは噛合されクラッチ650が連結された状態になるので、定型縫い振動子駆動カム306の回転を変形縫い振動子駆動カム606へと伝達することができるようになる(図9、図10)。
【0051】
このようにして切換ツマミ622で変形縫いを選択後、図11に示すように、針糸31を第1上流側把持器40の一対の把持皿44間、上流側糸供給ユニット板630の第1上流側把持器40に対応した糸案内G、糸供給ユニット基板501の第1上流側把持器40に対応した糸案内G1、定型縫い振動子503の第1上流側把持器40に対応した第1糸振動子503aの挿入口E、第1糸偏倚子514の挿入口514b、定型縫い振動子504の第1上流側把持器40に対応した第1糸振動子504aの挿入口E、糸供給ユニット前板502の第1上流側把持器40に対応した糸案内G2および第1上流側把持器40に対応した第1下流側把持器70の一対の把持皿44間に挿入する。また、上ルーパ糸33を第2上流側把持器41の一対の把持皿44間、上流側糸供給ユニット板630の第2上流側把持器41に対応した糸案内G、糸供給ユニット基板501の第2上流側把持器41に対応した糸案内G1、定型縫い振動子503の第2上流側把持器41に対応した第1糸振動子503bの挿入口E、第1糸偏倚子514の挿入口514c、定型縫い振動子504の第2上流側把持器41に対応した第1糸振動子504bの挿入口E、糸供給ユニット前板502の第2上流側把持器41に対応した糸案内G2および第2上流側把持器41に対応した第2下流側把持器71の一対の把持皿44間に挿入する。さらに、下ルーパ糸34を第4上流側把持器60の一対の把持皿44間、上流側糸供給ユニット板630の第4上流側把持器60に対応した糸案内G、糸供給ユニット基板501の第4上流側把持器60に対応した糸案内G1、定型縫い振動子503の第4上流側把持器60に対応した第4糸振動子503dの挿入口E、第3糸偏倚子531の挿入口531c、定型縫い振動子504の第4上流側把持器60に対応した第4糸振動子504dの挿入口E、糸供給ユニット前板502の第4上流側把持器60に対応した糸案内G2および第4上流側把持器60に対応した第4下流側把持器90の一対の把持皿44間に挿入する。
【0052】
挿入後、針糸31は糸案内、針糸天秤を経て右縫針9Bの針穴に、上ルーパ糸33および下ルーパ糸34は加圧気体を利用して自動的に糸を通すための糸通し器35を経て上ルーパ27、下ルーパ21の糸口にそれぞれ通す。
【0053】
このように糸通しが終了した後、縫い動作を開始すると駆動軸3が回転し、その一回転において針駆動腕6は一往復の揺動運動を行うので、右縫針9Bは一往復の上下運動を行う。この際、駆動軸3に固着された糸供給駆動部プーリ301は、タイミングベルト303、糸供給駆動軸プーリ302および糸供給駆動軸304を介して糸把持駆動カム307を一回転させる。この糸把持駆動カム307が一回転する間に、上流側把持器開放腕311および下流側把持器開放腕312が糸把持駆動カム307の正面カムによって交互に揺動運動を行う。これにより、上流側把持軸42および下流側把持軸72は上流側把持器開放腕311および下流側把持器開放腕312によって、右方に交互に移動しながら往復運動するので、第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60を縫目形成時に閉成させ、布送り時に開成させ、第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90を縫目形成時に開成させ、布送り時に閉成させることができる。
【0054】
このような把持器の各糸を開成、閉成する動作と同時に、駆動軸3の一回転において駆動軸3に固定された定型縫い振動子駆動カム306の溝306aに嵌合するカムフォロワ525と連動する定型縫い振動子503、504は、一往復運動を行う。この際、針糸31、上ルーパ糸33、下ルーパ糸34はそれぞれ定型縫い振動子503、504の各傾斜部SSにより、糸供給ユニット基板501および糸供給ユニット前板502に形成された各一対の糸案内G1、G2に整致する糸道点Sに導入される。この定型縫い振動子503、504の往復運動により針糸31、上ルーパ糸33、下ルーパ糸34は、縫目形成装置100の1縫目に必要な縫糸量として偏倚・開放される。
【0055】
このように定型縫い振動子503、504で1縫目に必要な縫糸量として偏倚・開放される上ルーパ糸33、下ルーパ糸34は、さらに、変形縫い振動子601によって縫糸量が加減算され、上ルーパ糸33の、下ルーパ糸34の和が一定で、一方の縫糸量が増加するに伴い他方の縫糸量が減少して1縫目に必要な各縫糸の縫糸量を一定周期で変化させる。即ち、駆動軸3の回転運動は、糸供給駆動軸304を介して定型縫い振動子503、504を振動させる定型縫い振動子駆動カム306の側端に駆動歯車連結ピン616で連結固着された駆動歯車614から24対25で噛合する従動歯車609を介して変形縫い振動子601を振動させる変形縫い振動子駆動カム606へ減速伝達される。これにより、定型縫い振動子503、504の振動に対して変形縫い振動子601の振動は駆動軸3(糸供給駆動軸プーリ302)の1回転に対して25分の1ずつ遅れて振動し、定型縫い振動子503、504の振動と変形縫い振動子601の振動とは同相の振動から徐々に逆相の振動となり25回転で元の同相の振動に戻るサイクルを繰り返すことになる。
【0056】
その間、生じるタイミング差によって定型縫い振動子503、504による偏倚・解放と変形縫い振動子601の糸繰り部601a、601bによる偏倚・解放・吸収との加減された縫糸量を変化させて一方の縫糸量と他方の縫糸量の和が一定で、一方の縫糸量が増加するに伴い他方の縫糸量が減少して1縫目こ必要な各縫糸の縫糸量を一定周期で変化させ上ルーパ糸33および下ルーパ糸34の縫目結節点の位置を波形状に変化させる変形縫いの波形縁かがり縫いを行うことができる。
【0057】
この変形縫いにおける上ルーパ糸33と下ルーパ糸34の縫糸量の偏倚・解放について詳述すると、図11(a)、(b)に示すように、右縫針9Bが上昇して布送り時に上流側把持器40、41、50、60が開成して下流側把持器70、71、80、90が閉成しているタイミングにおいて、定型縫い振動子503、504と変形縫い振動子601が同相で偏倚する時点で変形縫い振動子601の糸繰り部601bが偏倚する位置にあるので、下ルーパ糸34は定型縫い振動子503、504の偏倚する縫糸量に変形縫い振動子601の糸繰り部601bによって偏倚する縫糸量を加算して最大量を蓄糸することになる(図11(a))。
【0058】
その時、変形縫い振動子601の糸繰り部601aは、上ルーパ糸33を偏倚しないで解放する位置にあって蓄糸せず定型縫い振動子503、504の偏倚する縫糸量のみを蓄糸する(図11(a))。
【0059】
続いて右縫針9Bが上死点より降下し縫目形成時に上流側把持器40、41、50、60が閉成して下流側把持器70、71、80、90が開成すると、下ルーバ糸34は定型縫い振動子503、504の偏倚した縫糸量と変形縫い振動子601の糸繰り部601bによって偏倚した縫糸量とが同時に解放される。一方、上ルーパ糸33は定型縫い振動子503、504の偏倚した縫糸量が解放されると同時に変形縫い振動子601の糸繰り部601aが偏倚して定型縫い振動子503、504の解放する縫糸量が吸収される(図11(b))。即ち、定型縫い振動子503、504の偏倚した縫糸量を変形縫い振動子601の糸繰り部601aの偏倚する縫糸量で差し引いた縫糸量のみ供給されることになる。
【0060】
その結果、下ルーパ糸34は変形縫い振動子601の糸繰り部601bが偏倚した縫糸量分が余り、上ルーパ糸33は変形縫い振動子601の糸繰り部601aが偏倚する縫糸量が不足して上下ルーパ糸のバランスが変化し上下ルーパ糸の縫目結節点は縫糸量の不足した上ルーバ糸33に余った下ルーパ糸34が引かれて布縁位置より針落ち位置側に移動した位置に結束することになる。
【0061】
また、定型縫い振動子503、504と変形縫い振動子601とが逆相で偏倚する時点では、図12(a)、(b)に示すように、右縫針9Bが上昇して布送り時に上流側把持器40、41、50、60が開成して下流側把持器70、71、80、90が閉成するタイミングにおいて、変形縫い振動子601の糸繰り部601aは上ルーパ糸33を偏倚する位置にあって、上ルーパ糸33は定型縫い振動子503、504が偏倚する縫糸量に変形縫い振動子601の糸繰り部601aが偏倚する縫糸量を加算した最大量を蓄糸される(図12(a))。
【0062】
その時、変形縫い振動子601の糸繰り部601bは下ルーパ糸34を解放して偏倚しない位置にあって下ルーパ糸34は定型縫い振動子503、504の偏倚する縫糸量のみを蓄糸される(図12(a))。
【0063】
続いて右縫針9Bが上死点より降下して縫目形成時に上流側把持器40、41、50、60が閉成して下流側把持器70、71、80、90が開成すると、上ルーバ糸33は定型縫い振動子503、504の偏倚した縫糸量と変形縫い振動子601の糸繰り部601aによって偏倚された縫糸量とが同時に解放される。一方、下ルーバ糸34は定型縫い振動子503、504の偏倚した縫糸量が解放されると同時に変形縫い振動子601の糸繰り部601bが偏倚して定型縫い振動子503、504の解放する縫糸量が吸収される。即ち、定型縫い振動子503、504の偏倚した縫糸量を変形縫い振動子601の糸繰り部601bの偏倚する縫糸量で差し引いた縫糸量のみ供給されることになる(図12(b))。
【0064】
その結果、上ルーパ糸33は変形縫い振動子601の糸繰り部601aが偏倚した縫糸量分が余り、下ルーパ糸34は変形縫い振動子601の糸繰り部601bが偏倚する縫糸量が不足して上下ルーパ糸のバランスが変化し上下ルーパ糸の縫目結節点は縫糸量の不足した下ルーパ糸34に余った上ルーパ糸33が引かれて針落ち位置より布縁側に移動した位置に結束することになる。
【0065】
このように、定型縫い振動子503、504の振動に対して変形縫い振動子601の振動を駆動軸3(糸供給駆動軸プーリ302)の1回転に対して25分の1ずつ遅れて振動させ、定型縫い振動子503、504の振動と変形縫い振動子601の振動とを同相の振動から徐々に逆相の振動にして25回転で元の同相の振動に戻る、即ち、25針縫って元の縫目結節点位置に戻るサイクルを繰り返すことにより、図13に示すように、上ルーパ糸33および下ルーパ糸34の縫目結節点の位置を波形状に変化させることができるので、変形縫いの波形縁かがり縫いを行うことができる。
【0066】
なお、このような図13に示す上ルーパ糸33及び下ルーパ糸34の縫目結節点の位置を布上面の針落ちと布縁間で波形状に変化させる変形縫いの波形縁かがり縫いの縫目の場合には、変形縫い振動子601の偏倚量は、変形縫い振動子601の糸繰り部601aの偏倚する上ルーパ糸33の偏倚量と、変形縫い振動子601の糸繰り部601bの偏倚する下ルーパ糸34の偏倚量の和が、2(W+t/2)となるように設定される。ここで、Wはかがり幅、tは布厚さとする。
【0067】
また、図14に示すように、上ルーパ糸33及び下ルーパ糸34の縫目結節点の位置を布上面の針落ちから布縁を超え布下面の針落ち位置までの間で波形状に変化させる変形縫いの波形縁かがり縫いの縫目の場合には、変形縫い振動子601の偏倚量は、変形縫い振動子601の糸繰り部601aの偏倚する上ルーパ糸33の偏倚量と、変形縫い振動子601の糸繰り部601bの偏倚する下ルーパ糸34の偏倚量の和が、2(2W+t)となるように設定される。
【0068】
次に、定型縫いである1本針オーバロック縫いを行う場合について説明する。切換ツマミ622で1本針オーバロック縫いを選択するために回転操作して、切換ツマミ軸621の定型縫いカム用切欠621bと縫目切換作動腕619の上部受部619aとを係合させると、縫目切換作動腕619の下端受部619bは、縫目切換作動軸618が圧縮ばね617の弾撥力に抗してクラッチ切換受板612の受部612a側に移動できるように前進する。縫目切換作動軸618がクラッチ切換受板612の受部612a側に移動すると、クラッチ切換レバー610に蝶着されるクラッチ切換受板612の受部612aは、クラッチ切換ねじりコイルばね626の弾撥力に抗して切換ツマミ622側から見て反時計方向へと回転するが、下流側糸供給ユニット板502側から見て変形縫いスライダ602が右方向に移動している場合には、クラッチ切換レバー610の固定部材610aが変形スライダ602の凸部602bの上面に衝突して、その回転は阻止される(図9、図10)。
【0069】
このような状態において、駆動軸3を回転させて定型縫い振動子駆動カム306に固着される駆動歯車614を回転させると、この駆動歯車614に噛合する従動歯車609を介して変形縫い振動子駆動カム606が回転するので、この変形縫い振動子駆動カム606の溝606aに係合するカムフォロア605を介して下流側糸供給ユニット板502側から見て移動最右位置に停止する変形縫いスライダ602が左方向へと移動すると、クラッチ切換レバー610の固定部材610aが変形スライダ602の凸部602bの上面から外れて側面に落ち込むことになる。即ち、下流側糸供給ユニット板502側から見て変形縫いスライダ602が左方向に移動している場合には、クラッチ切換レバー610の固定部材610aは変形スライダ602の凸部602bの上面に衝突することなく側面に落ち込むことになる(図15)。
【0070】
このようにして、クラッチ切換レバー610の固定部材610aが変形縫いスライダ602の凸部602bの側面に落ち込んだ後、下流側糸供給ユニット板502側から見て最左位置まで移動した変形縫いスライダ602がその最左位置から右方向に移動すると、変形スライダ602の凸部602bの側面がクラッチ切換レバー610の固定部材610aの端面を押圧してクラッチ切換レバー610がクラッチ引張ばね627の弾撥力に抗して右方向に移動されるので、このクラッチ切換レバー610bによって駆動歯車614に噛合していた従動歯車609は、従動歯車押上げばね607の弾撥力により駆動歯車614から外れてクラッチ650が解離された状態になる(図15)。この時点で変形縫いスライダ602は下流側糸供給ユニット板502側から見て最右位置で停止するので、変形縫い振動子601は以後、駆動軸3が回転しても振動しなくなる。なお、駆動歯車614から外れた従動歯車609は、糸供給ユニット基板501の所定位置に固定された歯車止め637によって回転運動が規制される。
【0071】
このようにして切換ツマミ622で1本針オーバロック縫いを選択後、図16(b)に示すように、針糸32、上ルーパ糸33、下ルーパ糸34をそれぞれ第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60の各一対の把持皿44間、上流側糸供給ユニット板630の各縫糸に対応した糸案内G、糸供給ユニット基板501の各縫糸に対応した糸案内G1、振動子503の各挿入口E、第1糸偏倚子514の挿入口514c、第2糸偏倚子530の挿入口530d、第3糸偏倚子531の挿入口531c、振動子504の各挿入口E、糸供給ユニット前板502の各縫糸に対応した糸案内G2および第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90の各一対の把持皿44間にそれぞれ挿入する。挿入後、針糸32は糸案内、針糸天秤を経て右縫針9Bの針穴に、上ルーパ糸33および下ルーパ糸34は加圧気体を利用して自動的に糸を通すための糸通し器35を経て上ルーパ27、下ルーパ21の糸口にそれぞれ通す。
【0072】
このように糸通しが終了した後、縫い動作を開始すると駆動軸3が回転し、変形縫いのときと同様に、上流側把持器開放腕311および下流側把持器開放腕312が糸把持駆動カム307の正面カムによって交互に揺動運動を行う。これにより、上流側把持軸42および下流側把持軸72は上流側把持器開放腕311および下流側把持器開放腕312によって、右方に交互に移動しながら往復運動するので、第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60を縫目形成時に閉成させ、布送り時に開成させ、第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90を縫目形成時に開成させ、布送り時に閉成させることができる。
【0073】
このような把持器の各糸を開成、閉成する動作と同時に、駆動軸3の一回転において駆動軸3に固定された定型縫い振動子駆動カム306の溝306aに嵌合するカムフォロワ525と連動する振動子503、504は、一往復運動を行う。この際、針糸32、上ルーパ糸33、下ルーパ糸34はそれぞれ振動子503、504の各傾斜部SSにより、糸供給ユニット基板501および糸供給ユニット前板502に形成された各一対の糸案内G1、G2に整致する糸道点Sに導入される。この振動子503、504の往復運動により針糸32、上ルーパ糸33、下ルーパ糸34は、縫目形成装置100の1縫目に必要な縫糸量として偏倚・開放される。
【0074】
なお、定型縫いである1本針オーバロック縫い、2本針オーバロック縫い、巻ロック縫い、変形巻ロック縫いをそれぞれ選択したい場合には、縫目切換手段500の縫目選択ダイヤル560を回転させることにより切換えることができる。
【0075】
例えば、2本針オーバロック縫いを縫目選択ダイヤル560で選択すると、ミシン正面から見て縫目切換カム板550が最も左方へ位置すると共に縫幅調節連動ワイヤ410が引き上げられ、この縫幅調節連動ワイヤ410が引っ掛けられた第2糸偏倚子530を左方へ変移する。この際、第3糸偏倚子531も引張ばね532の引張力により左方へ変移する。これにより、第2糸偏倚子530および第3糸偏倚子531と、第3糸振動子503c、504cおよび第4糸振動子503d、504dとは図16(a)に示すように、左縫針9A、右縫針9Bが上死点に位置する場合において、上ルーパ糸33および下ルーパ糸34の偏倚量が最も多くなるような位置関係になる。これは図17に示すように、後述する1本針オーバロック縫い、巻ロック縫い、変形巻ロック縫いに比べて針幅WL分だけ上ルーパ糸33および下ルーパ糸34の縫幅Wが増えるからである。
【0076】
なお、2本針オーバロック縫いにおいては図16(a)に示すように、、左針糸31、右針糸32、上ルーパ糸33、下ルーパ糸34をそれぞれ第1上流側把持器40、第2上流側把持器41、第3上流側把持器50、第4上流側把持器60の各一対の把持皿44間、上流側糸供給ユニット板630の各縫糸に対応した糸案内G、糸供給ユニット基板501の各縫糸に対応した糸案内G1、振動子503の各挿入口E、第1糸偏倚子514の各挿入口514b、514c、第2糸偏倚子530の挿入口530d、第3糸偏倚子531の挿入口531c、振動子504の各挿入口E、糸供給ユニット前板502の各縫糸に対応した糸案内G2および第1下流側把持器70、第2下流側把持器71、第3下流側把持器80、第4下流側把持器90の各一対の把持皿44間にそれぞれ挿入する。挿入後、左針糸31、右針糸32はそれぞれ糸案内、針糸天秤を経て左縫針9A、右縫針9Bの針穴に、上ルーパ糸33および下ルーパ糸34は加圧気体を利用して自動的に糸を通すための糸通し器35を経て上ルーパ27、下ルーパ21の糸口にそれぞれ通すことになる。
【0077】
また、1本針オーバロック縫いを縫目選択ダイヤル560で選択すると、ミシン正面から見て縫目切換カム板550が2本針オーバロック縫いよりも右方へ移動すると共に縫幅調節連動ワイヤ410が下がり、この縫幅調節連動ワイヤ410が引っ掛けられた第2糸偏倚子530は引張ばね533の引張力により右方へ変移する。この際、第3糸偏倚子531も引張ばね532の引張力により右方へ変移する。これにより、第2糸偏倚子530および第3糸偏倚子531と、第3糸振動子503c、504cおよび第4糸振動子503d、504dとは図16(b)に示すように、右縫針9Bが上死点に位置する場合において、上ルーパ糸33および下ルーパ糸34の偏倚量が2本針オーバロック縫いに比べて減量するような位置関係になる。これは図18に示すように、2本針オーバロック縫いに比べて針幅WL分だけ上ルーパ糸33および下ルーパ糸34の縫幅Wが減るからである。
【0078】
また、巻ロック縫いを縫目選択ダイヤル560で選択すると、縫目切換カム板550が1本針オーバロック縫いよりも右方へ移動すると共に縫幅調節連動ワイヤ410が下がり、この縫幅調節連動ワイヤ410が引っ掛けられた第2糸偏倚子530は引張ばね533の引張力により右方へ変移する。この際、第3糸偏倚子531も引張ばね532の引張力により右方へ変移する。これにより、第2糸偏倚子530および第3糸偏倚子531と、第3糸振動子503c、504cおよび第4糸振動子503d、504dとは図16(c)に示すように、右縫針9Bが上死点に位置する場合において、上ルーパ糸33および下ルーパ糸34の偏倚量が1本針オーバロック縫いに比べて減量するような位置関係になる。これは図19に示すように布を巻き込むので、1本針オーバロック縫いに比べて上ルーパ糸33および下ルーパ糸34の縫幅Wが減るからである。
【0079】
なお、巻ロック縫いにおける糸通しは1本針オーバロック縫いと同様に行う。
【0080】
さらに、変形巻ロック縫いを縫目選択ダイヤル560で選択すると、縫目切換カム板550が巻ロック縫いよりも右方へ移動すると共に縫幅調節連動ワイヤ410が引き上げられ、この縫幅調節連動ワイヤ410が引っ掛けられた第2糸偏倚子530は1本針オーバロックと同じ位置へ変移する。この際、第2糸偏倚子530の挿入口530dと第3糸偏倚子531の挿入口531cとは離間される。これにより、第2糸偏倚子530と第3糸振動子503c、504cとは図16(d)に示すように、右縫針9Bが上死点に位置する場合において、上ルーパ糸33の偏倚量が巻ロック縫いに比べて増量するような位置関係になる。また、第3糸偏倚子531と第4糸振動子503d、504dとは右縫針9Bが上死点に位置する場合において、下ルーパ糸34の偏倚量が巻ロック縫いに比べて減量するような位置関係になる。これは図20に示すように、1縫目に必要な上ルーパ糸33が布の縫幅Wの表裏を包み込み、下ルーパ糸34が布の裏面で上ルーパ糸33に直結されるからである。
【0081】
なお、変形巻ロック縫いにおける糸通しは1本針オーバロック縫いと同様に行う。
【0082】
このような本実施の一形態である糸供給装置の具体的な糸供給動作を、1本針オーバロック縫いにおける第3上流側把持器50、第3下流側把持器80、第3糸振動子503c、504c、第2糸偏倚子530によって説明する。
【0083】
布送り時は図5(b)に示すように、上流側把持軸42が上流側把持器開放腕311によって押圧されるので、第3上流側把持器50の一対の把持皿44に対する圧縮ばね46からの弾撥力がスラスト受47およびばね受45の右方への移動により弱くなり、第3上流側把持器50は開成される。また、このときには下流側把持軸72が下流側把持器開放腕314によって押圧されないので、圧縮ばね46の弾撥力がばね受45を介して一対の把持皿44に付与される。これにより、第3下流側把持器80は閉成される。この際、第3糸振動子503c、504cが、上ルーパ糸32を蓄糸しながら右方へ移動する。したがって、縫目形成装置100の1縫目に必要な縫糸量として偏倚することができる。
【0084】
また縫目形成時は図5(a)に示すように、上流側把持軸42が上流側把持器開放腕311によって押圧されないので、第3上流側把持器50の圧縮ばね46の弾撥力がばね受45を介して一対の把持皿44に付与される。これにより、第3上流側把持器50は閉成される。また、このときには、下流側把持軸72が下流側把持器開放腕314によって押圧されるので、第3上流側把持器80の一対の把持皿44に対する圧縮ばね46からの弾撥力がスラスト受47およびばね受45の右方への移動により弱くなり、第3上流側把持器80は開成される。この際、第3糸振動子503c、504cが、左方へ移動することから、縫目形成装置100の1縫目に必要な縫糸量として開放することができる。
【0085】
なお、第2上流側把持器41、第2糸振動子503b、504b、第1糸偏倚子514、第2下流側把持器71と、第4上流側把持器60、第4糸振動子503d、504d、第3糸偏倚子531、第4下流側把持器90とにおいても、同様の糸供給動作をするのは言うまでもない。
【0086】
このような糸供給装置において、布に縫目形成を行なうときの縫幅を変更して糸の縫糸量を調整する場合には、縫幅調節ダイヤル802を回して、糸調子微調整手段400の縫幅調節連動ワイヤ410を介して第2糸偏倚子530および第3糸偏倚子531を変移させる。即ち、縫幅調節ダイヤル802が縫幅が広くなるように設定されているときには、縫幅調節連動ワイヤ410が引張られるので、第2糸偏倚子530および第3糸偏倚子531は左方に変移する。これにより、第3糸振動子503c、504cおよび第4糸振動子503d、504dによる上ルーパ糸33および下ルーパ糸34の偏倚量を増量することができるので、図13、図14、図17、図18、図19、図20に示す縫幅Wが広いときの縫糸量分を増量できる。
【0087】
また、縫幅調節ダイヤル802が縫幅が狭くなるように設定されているときには、縫幅調節連動ワイヤ410が弛緩されるので、第2糸偏倚子530および第3糸偏倚子531は引張ばね533によって引張られ右方に変移する。これにより、第3糸振動子503c、504cおよび第4糸振動子503d、504dによる上ルーパ糸33および下ルーパ糸34の偏倚量を減量することができるので、図13、図14、図17、図18、図19、図20に示す縫幅Wが狭いときの縫糸量分を減量できる。
【0088】
また、布に縫目形成を行なうときの縫目送り量の変更に対応して糸の縫糸量を調整する場合には、送り目調節ダイヤル930を回して糸調子微調整手段400の縫目送り調節連動ワイヤ420を介して縫目送り調節偏倚レバー520を回転させる。これにより、縫目送り調節偏倚レバー520の第1糸偏倚子駆動軸520aに係合している第1糸偏倚子514が変移する。同時に、縫目送り調節偏倚レバー520に連接リンク517を介して連結されている偏倚調節板513が変移することから、この偏倚調節板513に連結されている縫幅調節連動ワイヤ410を介して第2糸偏倚子530および第3糸偏倚子531が変移する。
【0089】
したがって、縫目送りピッチPを変えるために送り目調節ダイヤル930を回すと、第1糸偏倚子514を、糸調子微調整手段400を介して縫目送り調節部900に連動させることができるので、送り目調節ダイヤル930の操作に応じ変化する1縫目に必要な縫糸量に対応させることができる。この際、縫目送りピッチPが変化すると、針糸32(針糸31)だけではなく上ルーパ糸33および下ルーパ糸34の縫糸量も若干変わることになるので、第2糸偏倚子530および第3糸偏倚子530も糸調子微調整手段400を介して縫目送り調節部900に連動することになる。
【0090】
なお、糸供給装置は、第1糸偏倚子514、ルーパ糸偏倚子530および第3糸偏倚子531を布押え1050による布厚に応じて変化する1縫目に必要な縫糸量に対応して連動させて駆動するために、特開平10−272273号公報に開示されている布厚調節連動手段を設けてもよい。なお、この布厚調節連動手段は公知技術なので詳しい説明は省略する。
【0091】
また、本実施の一形態においてはルーパは一対のルーパを備えたミシンで説明したが、これに限らず、二対以上のルーパを備えたミシンにおいても同様の作用・効果を得ることができる。
【0092】
また、本実施の一形態においては一対の振動子503、504に対して、第1糸振動子503a、504a、第2糸振動子503b、504b、第3糸振動子503c、504c、下ルーパ振動子503d、504dをそれぞれ形成させていたが、これに限らず、これら各振動子を個別に設けてもよい。
【0093】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置によれば、縫糸の種類、縫糸の太さ、布厚、縫幅などに応じてマニュアル操作で補正調整することなく、複数本の縫糸をその縫目結節点の位置が変化するように1縫目に必要な縫糸量として供給することができる。また、糸調子器の制御により糸張力を設定するような装置の構成ではないので、機構が簡素化され製造の精度を確保でき、而も耐久性も向上し、高速縫製に対応できるようにして、複数本の縫糸をその縫目結節点の位置が変化するように1縫目に必要な縫糸量として供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置が適用される飾り縫いミシンを示す全体斜視図。
【図2】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置を示す斜視図。
【図3】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置を示す斜視図。
【図4】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置の上流側把持器、糸供給駆動部、変形縫い振動子、変速機構およびクラッチを示す分解斜視図。
【図5】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置の上流側把持器および下流側把持器を示す断面図で、(a)は閉成状態の図、(b)は開成状態の図。
【図6】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置の下流側把持器を示す分解斜視図。
【図7】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置の振動子、偏倚子および切換ツマミを示す分解斜視図。
【図8】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置の定型縫い振動子および変形縫い振動子と、糸供給駆動部の定型縫い振動子駆動カムおよび変形縫い振動子駆動カムとの関係を示す説明図で、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図9】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置の変速機構およびクラッチを用いた縫目切換機構を示す説明図で、(a)は正面図、(b)は裏面図。
【図10】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置のクラッチが連結している状態を示す説明図。
【図11】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置の定型縫い振動子と変形縫い振動子とが同相で振動する場合における各振動子による縫糸量の偏倚・解放の状態を示す説明図で、(a)は布送り時における配置図、(b)は縫目形成時における配置図。
【図12】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置の定型縫い振動子と変形縫い振動子とが逆相で振動する場合における各振動子による縫糸量の偏倚・解放の状態を示す説明図で、(a)は布送り時における配置図、(b)は縫目形成時における配置図。
【図13】図1に示す飾り縫いミシンによる縫目結節点の位置が布上面のみで波形状に変化する飾り縫いの縫目を示す説明図。
【図14】図1に示す飾り縫いミシンによる縫目結節点の位置が布上面から布下面に亘って波形状に変化する飾り縫いの縫目を示す説明図。
【図15】本発明の飾り縫いミシンの糸供給装置のクラッチが解離している状態を示す説明図。
【図16】縫針が上死点に位置する場合における定型縫い振動子、変形縫い振動子および各偏倚子の配置を示す図で、(a)は2本針オーバーロック縫いの配置図、(b)は1本針オーバーロック縫いの配置図、(c)は巻ロック縫いの配置図、(d)は変形巻ロック縫いの配置図。
【図17】図1に示す飾り縫いミシンによる2本針オーバーロック縫いの縫目を示す説明図。
【図18】図1に示す飾り縫いミシンによる1本針オーバーロック縫いの縫目を示す説明図。
【図19】図1に示す飾り縫いミシンによる巻ロック縫いの縫目を示す説明図。
【図20】図1に示す飾り縫いミシンによる変形巻ロック縫いの縫目を示す説明図。
【符号の説明】
31・・・・左針糸
32・・・・右針糸
33・・・・上ルーパ糸
34・・・・下ルーパ糸
100・・・・縫目形成装置
40・・・・第1上流側把持器
41・・・・第2上流側把持器
50・・・・第3上流側把持器
60・・・・第4上流側把持器
70・・・・第1下流側把持器
71・・・・第2下流側把持器
80・・・・第3下流側把持器
90・・・・第4下流側把持器
503、504・・・・定型縫い振動子
600・・・・変速機構
601・・・・変形縫い振動子
610a・・・・固定部材
622・・・・切換ツマミ
637・・・・歯車止め
650・・・・クラッチ

Claims (6)

  1. 布に縫目形成を行なう縫目形成装置に複数本の縫糸を供給する飾り縫いミシンの糸供給装置であって、
    糸巻から給糸される前記縫糸を把持し、前記縫目形成装置により縫目形成時に閉成され、前記布の布送り時に開成される上流側把持器と、
    前記上流側把持器から導かれた前記縫糸を把持し、前記縫目形成時に開成されて前記縫糸が前記縫目形成装置により引出され、前記布の布送り時に閉成される下流側把持器と、
    前記縫目形成装置と同期して駆動され、前記布の布送り時に開成された前記上流側把持器および閉成された前記下流側把持器間に延びる糸道の前記縫糸を前記縫目形成装置の1縫目に必要な縫糸量として偏倚し、前記縫目形成時に前記縫糸を解放する定型縫い振動子と、
    前記縫目形成装置と同期して駆動され、前記布の布送り時に開成された前記上流側把持器および閉成された前記下流側把持器間に延びる糸道の少なくとも2本の縫糸の一方の縫糸量と他方の縫糸量の和が一定で、一方の縫糸量が増加するに伴い他方の縫糸量が減少して前記1縫目に必要な各縫糸の縫糸量を変化させるように偏倚し、前記縫目形成時に前記縫糸を解放する変形縫い振動子とを備えたことを特徴とする飾り縫いミシンの糸供給装置。
  2. 布に縫目形成を行なう縫目形成装置に複数本の縫糸を供給する飾り縫いミシンの糸供給装置であって、
    糸巻から給糸される前記縫糸を把持し、前記縫目形成装置により縫目形成時に閉成され、前記布の布送り時に開成される上流側把持器と、
    前記上流側把持器から導かれた前記縫糸を把持し、前記縫目形成時に開成されて前記縫糸が前記縫目形成装置により引出され、前記布の布送り時に閉成される下流側把持器と、
    前記縫目形成装置と同期して駆動され、前記布の布送り時に開成された前記上流側把持器および閉成された前記下流側把持器間に延びる糸道の前記縫糸を前記縫目形成装置の1縫目に必要な縫糸量として偏倚し、前記縫目形成時に前記縫糸を解放する定型縫い振動子と、
    前記縫目形成装置と同期して駆動され、前記布の布送り時に開成された前記上流側把持器および閉成された前記下流側把持器間に延びる糸道の少なくとも2本の縫糸の一方の縫糸量と他方の縫糸量の和が一定で、一方の縫糸量が増加するに伴い他方の縫糸量が減少して前記1縫目に必要な各縫糸の縫糸量を変化させるように偏倚し、前記縫目形成時に前記縫糸を解放する変形縫い振動子とを備え、前記変形縫い振動子の偏倚量は2(W+t/2)(但し、Wはかがり幅、tは布厚さとする。)に設定されていることを特徴とする飾り縫いミシンの糸供給装置。
  3. 布に縫目形成を行なう縫目形成装置に複数本の縫糸を供給する飾り縫いミシンの糸供給装置であって、
    糸巻から給糸される前記縫糸を把持し、前記縫目形成装置により縫目形成時に閉成され、前記布の布送り時に開成される上流側把持器と、
    前記上流側把持器から導かれた前記縫糸を把持し、前記縫目形成時に開成されて前記縫糸が前記縫目形成装置により引出され、前記布の布送り時に閉成される下流側把持器と、
    前記縫目形成装置と同期して駆動され、前記布の布送り時に開成された前記上流側把持器および閉成された前記下流側把持器間に延びる糸道の前記縫糸を前記縫目形成装置の1縫目に必要な縫糸量として偏倚し、前記縫目形成時に前記縫糸を解放する定型縫い振動子と、
    前記縫目形成装置と同期して駆動され、前記布の布送り時に開成された前記上流側把持器および閉成された前記下流側把持器間に延びる糸道の少なくとも2本の縫糸の一方の縫糸量と他方の縫糸量の和が一定で、一方の縫糸量が増加するに伴い他方の縫糸量が減少して前記1縫目に必要な各縫糸の縫糸量を変化させるように偏倚し、前記縫目形成時に前記縫糸を解放する変形縫い振動子とを備え、前記変形縫い振動子の偏倚量は2(2W+t)(但し、Wはかがり幅、tは布厚さとする。)に設定されていることを特徴とする飾り縫いミシンの糸供給装置。
  4. 前記定型縫い振動子および前記変形縫い振動子を前記1縫目毎に所定の変速比をもって駆動する変速機構と、
    前記定型縫い振動子を作動させるときは前記変速機構の駆動側と従動側を遮断し、前記定型縫い振動子および前記変形縫い振動子を作動させるときは前記変速機構の駆動側から従動側へ伝達するクラッチとを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の飾り縫いミシンの糸供給装置。
  5. 前記定型縫い振動子を作動させるときは前記変形縫い振動子が偏倚しないように固定する固定部材を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の飾り縫いミシンの糸供給装置。
  6. 前記定型縫い振動子の作動と前記定型縫い振動子および前記変形縫い振動子の作動とを前記クラッチで切換える切換ツマミを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか1項記載の飾り縫いミシンの糸供給装置。
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