JP4108261B2 - 歩行補助具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば高齢者や身体不自由者が歩行杖等の代わりに使用する歩行補助車等の歩行補助具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歩行補助具である例えば歩行補助車は、図11に示すように構成されている。すなわち、歩行補助車10は、フレーム11と、このフレーム11に連接して形成されているハンドル12とを有している。また、フレーム11は、2つの前輪部13a,13aと2つの後輪部13b,13bとを有している。
そして、このフレーム11には、使用者が荷物等を収容することができるバッグ14も配置されている。
このような歩行補助車10を使用する場合は、以下のように取り扱う。
すなわち、先ず、使用者である高齢者は、この歩行補助車10のハンドル12を握る。そして、ハンドル12を進行方向に押し出すことにより、フレーム11に付いている前輪部13aと後輪部13bが回転して、歩行補助車10が進むことになる。
このように歩行補助車10を、高齢者が歩行杖の代わりに使用するようになっている。
【0003】
また、高齢者がこの歩行補助車10を押してスーパーマーケットへ買い物に行く場合、スーパーマーケット内でカゴ等を使用する必要が生じる。この場合は、図11に示す矢印方向にバッグ14を回転させ、図12に示す位置にバッグ14を配置する。すると、バッグ14の上面にカゴ乗せ台16が表れるように構成されている。
したがって、高齢者は、このカゴ乗せ台16上に、カゴを載せることで、スーパーマーケットで容易に買い物ができるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような歩行補助車10は、バッグ14を回転させ、その背面にカゴ乗せ台16を配置する構造であるため、図12に示すように、バッグ14を回転させて、カゴ乗せ台16の下に収容されるように構成する必要がある。
そして、このように構成するには、バッグ14の大きさをカゴ乗せ台16の下に収容できる大きさに制限する必要があった。
一方、歩行補助車10は、操作性等の観点から小型化の要請が強く、歩行補助車10全体の大きさが小さくなる傾向にある。
このため、歩行補助車10に備え付けられているバッグ14も小型化せざるを得ず、歩行補助車10の使用者である高齢者が買い物等をした場合、買った商品のすべてをバッグ14に収容しきれないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、歩行補助具が小型化されても、十分な容量の収容部を備えた歩行補助具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的は、請求項1の発明によれば、ハンドル部と、このハンドル部と連接して形成されているフレーム部と、このフレーム部に対して耐荷重部、収容部及び車輪部が設けられている歩行補助具であって、前記収容部は、この耐荷重部の回転に対応して、その形状を変形するように配置され、前記耐荷重部は、前記フレーム部に対する回転によって使用状態又は不使用状態のいずれかに配置されるように形成され、前記フレーム部には、前記使用状態に配置された前記耐荷重部を支持するための支持部が形成され、前記収容部は、屈曲部材で形成されている蓋部と本体部とを有し、この本体部が、少なくとも一箇所に開口を有する箱状と成っていると共に、この本体部には縫製加工により角部が設けられ、前記蓋部が前記本体部の前記開口を被うことができるように配置され、前記本体部には、折り曲げ部が形成され、前記耐荷重部に固定されている前記収容部は、前記耐荷重部が、前記使用状態に配置されたときに折れ曲がり、前記耐荷重部の下方に収まる構成となっており、前記蓋部には、蓋部側固定部が設けられ、前記本体部には、本体側固定部が設けられ、これら蓋部側固定部と本体側固定部とが、相互に着脱可能に形成され、前記蓋部側固定部と前記本体部側固定部には、それぞれ前記蓋部と前記本体部との固定位置を調節するための調節部が備えられていることを特徴とする歩行補助具により、達成される。
【0007】
請求項1の構成によれば、前記耐荷重部は、前記フレーム部に対して回転可能に配置され、前記収容部は、この耐荷重部の回転に対応して、その形状を変形するように配置されているので、前記収容部を比較的大きく形成しても、耐荷重部の使用時には、この収容部は変形して比較的小さくすることができる。
したがって、歩行補助具全体を大型化することなく、収容部を大型化することが可能となる。
【0008】
請求項1の発明によれば、前記収容部は、屈曲部材で形成されている蓋部と本体部とを有し、この本体部が、少なくとも一箇所に開口を有する箱状と成っていると共に、この本体部には縫製加工により角部が設けられ、前記蓋部が前記本体部の前記開口を被うことができるように配置されている。
【0009】
前記構成によれば、前記収容部は、屈曲部材で形成されている蓋部と本体部とを有しているので、前記収容部を容易に変形させることができ、且つ容易に元の形に戻すことができる。また、前記本体部が、少なくとも一箇所に開口を有する箱状と成っているので、使用者は荷物等の対象物を本体部に入れ易い構成となっている。そして、この本体部には縫製加工により角部が設けられているので、本体部を変形させても型崩れが生じ難い構成となっている。さらに、前記蓋部が前記本体部の前記開口を被うことができるように配置されているので、本体部内に収容された対象物が本体部の開口から外へ飛び出すことを有効に防止することができる。
【0010】
請求項1の発明によれば、前記本体部には、折り曲げ部が形成されていることを特徴とする歩行補助具である。
【0011】
前記構成によれば、前記本体部には、折り曲げ部が形成されているので、前記本体部をより変形し易い構成となっている。
請求項1の発明によれば、前記耐荷重部は、前記フレーム部に対する回転によって使用状態又は不使用状態のいずれかに配置されるように形成され、前記フレーム部には、前記使用状態に配置された前記耐荷重部を支持するための支持部が形成されている。
前記構成によれば、前記フレーム部には、前記使用状態に配置された前記耐荷重部を支持するための支持部が形成されているので、前記耐荷重部上に載置された対象物が重い場合であっても、その重みを前記支持部でしっかり支えることができる。
【0013】
請求項1の構成によれば、前記蓋部には、蓋部側固定部が設けられ、前記本体部には、本体側固定部が設けられ、これら蓋部側固定部と本体側固定部とが、相互に着脱可能に形成されているので、蓋部側固定部と本体側固定部とを、相互に装着させれば、蓋部を本体部に対して、しっかりと固定することができる。
【0015】
請求項1の構成によれば、前記蓋部側固定部と前記本体部側固定部には、それぞれ前記蓋部と前記本体部との固定位置を調節するための調節部が備えられているので、前記蓋部の前記本体部に対する固定位置を使用者が調節することができる。したがって、例えば前記本体部内に収容される対象物の量によって前記蓋部の本体部に対する固定位置を調節することができる。
【0016】
好ましくは、請求項2の発明によれば、請求項1の構成において、前記収容部が前記耐荷重部に対する着脱機構を有することを特徴とする歩行補助具である。
【0017】
請求項2の構成によれば、前記収容部が前記耐荷重部に対する着脱機構を有するので、前記収容部は前記耐荷重部に対して容易に取り付けたり、又は取り外したりすることができる。したがって、前記収容部を前記耐荷重部に取り付けたときは、耐荷重部の回転によって収容部はその形状を変形し易くなり、一方、前記収容部を前記耐荷重部から取り外したときは、使用者は収容部のみを持ち運ぶことができる。
【0018】
好ましくは、請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2の構成において、前記耐荷重部に関して外方へ突出するように前記車輪部側の両辺に2つの側方突起部と前方側の辺に1つの前方突起部が形成されると共に、前記複数の突起部のうち、前記車輪部側の2つの側方突起部の突出量が前記車輪部の全幅を超えない範囲に設定されていることを特徴とする歩行補助具である。
【0019】
請求項3の構成によれば、前記耐荷重部に関して外方へ突出するように前記車輪部側の両辺に2つの側方突起部と前方側の辺に1つの前方突起部が形成されるので、この耐荷重部の上に例えばカゴ等を載置した場合、このカゴが前記突起部で保持されるので、カゴの落下等を未然に防止することができる。また、前記複数の突起部のうち、前記車輪部側の2つの側方突起部の突出量が前記車輪部の全幅を超えない範囲に設定されているので、使用者が歩行補助具を使用する際に、前記突起部が邪魔にならない構成となっている。
【0022】
好ましくは、請求項4の発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれかの構成において、前記フレーム部には、前記耐荷重部を前記不使用状態に保持させるためのかご受けロックが設けられていることを特徴とする歩行補助具である。
【0023】
請求項4の構成によれば、前記フレーム部には、前記耐荷重部を前記不使用状態に保持させるためのかご受けロックが設けられているので、前記不使用状態に保持されている前記耐荷重部が回転して使用状態の位置に誤って配置されるのを未然に防ぐことができる。
【0024】
好ましくは、請求項5の発明によれば、請求項4の構成において、前記かご受けロック近傍には、荷物を係合させるフックが備えられていることを特徴とする歩行補助具である。
【0025】
請求項5の構成によれば、前記かご受けロック近傍には、荷物を係合させるフックが備えられているので、使用者がこのフックを荷物掛けとして用いることができる。
【0026】
好ましくは、請求項6の発明によれば、請求項1乃至請求項5のいずれかの構成において、前記車輪部は、前輪部と後輪部を有し、前記フレーム部は、これら前輪部と後輪部を配置するための前輪用フレーム部と後輪用フレーム部とを有し、これら前輪部と後輪部とが相互に近接する方向に、前記前輪用フレーム部と後輪用フレーム部の相対的位置を変化させることできる構成となっていることを特徴とする歩行補助具である。
【0027】
請求項6の構成によれば、前記前輪部と前記後輪部とが相互に近接する方向に、前記前輪用フレーム部と前記後輪用フレーム部の相対的位置を変化させることできる構成となっているので、歩行補助具を折り畳む状態にすることができる。したがって、歩行補助具を使用しないときは、折り畳んで小型化し容易に収納等することができる。
【0028】
好ましくは、請求項7の発明によれば、請求項6の構成において、前記前輪部と前記後輪部とが相互に近接する方向に、前記前輪用フレーム部と後輪用フレーム部の相対的位置を変化させた状態を保持するための固定用フックが備えられていることを特徴とする歩行補助具である。
【0029】
請求項7の構成によれば、前記前輪部と前記後輪部とが相互に近接する方向に、前記前輪用フレーム部と後輪用フレーム部の相対的位置を変化させた状態を保持するための固定用フックが備えられているので、誤って前記前輪部と前記後輪部とが相互に離間する方向に広がることを未然に防ぐことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態にかかる歩行補助具である例えばウォーカー100を示す概略斜視図である。図1に示すように、このウォーカー100には、使用者である例えば高齢者が荷物を入れるための収容部である変形可能なバッグ120が配置されている。
このバッグ120は、図1に示すように、上方の一箇所に開口が形成されている本体部であるバック本体121と、この開口を被うように配置されている蓋部であるバッグ蓋122を有している。
【0032】
このバッグ本体121は、屈曲部材である例えばナイロン等、力を加えた際に変形することはできるが、通常は形状を保持する強さを有する生地により形成されている。具体的には、図2に示すように構成されている。図2は、バッグ本体121の形状を示す概略斜視図である。
図2に示すように、バッグ本体121は、全体が有底の箱状となっており、上方の1箇所に開口121aが形成されている。
また、このバッグ本体121の四隅には、角部121b,121b、121b、121bが縫製加工により形成されている。具体的には、図3に示すように、4つの角部121bの生地の端部を折り曲げて外方に突出させるように配置した後、更に端部を内方に向け、生地を重ねた状態で縫製加工することになる。図3は、図2のバッグ本体121の概略平面図である。
このように縫製加工により角部121bを設けることによりバッグ本体121の型保持に寄与し、後述のようにバッグ本体121を変形させた場合でも、バッグ本体121の型崩れを防止することができる。
【0033】
したがって、従来の歩行補助車のようにバッグの保型のため角部に別体の硬質の骨組みを設けたり、バッグ本体の四面に別体の硬質パネルを設けたりすることなく、バッグ本体121の保型性を確保することができることになる。
また、本実施の形態では、バッグ本体121の保型性を縫製加工による四隅の角部121bで確保しているため、従来のバッグ本体と異なり、バッグ本体自体を変形させることが可能となっている。
【0034】
ところでバッグ本体121の進行方向側部となる2面には、相互に向かい合うように、図2に示すような折り曲げ部121c、121cが設けられている。この2つの折り曲げ部121cは、具体的には図3に示すように、バッグ本体121の2面の生地を内側に折り込んで縫製加工したものである。
したがって、バッグ本体121は、折り曲げ部121cによっても保型性が確保されると同時に、図3の矢印方向には、折り畳まれ易くなっており、バッグ本体121を変形させ易い構造となっている。
【0035】
以上のように構成されているバッグ本体121には、図1に示すように蓋部であるバック蓋122が設けられている。
このバッグ蓋122は、バッグ本体121と同様の生地により形成されている。したがって、バッグ本体121と同様に変形し易い構成となっている。
このバッグ蓋122は、図2に示すバッグ本体121の開口121aを被うように配置されている。また、このバッグ蓋122には、蓋部側固定部である蓋側止め金122dが設けられ、バッグ本体121には、本体側固定部である本体側止め金121dが設けられている。
したがって、これら蓋側止め金122dと本体側止め金121dとを図1に示すように係合し、固定することで、バッグ蓋122がバッグ本体121に対して固定される構造となっている。この蓋側止め金122dと本体側止め金121dとの係合・固定状態は、容易に非係合・非固定状態に戻すことが可能であり、これら蓋側止め金122dと本体側止め金121dの脱着を容易に行うことができるようになっている。
【0036】
また、これらの蓋側止め金122dと本体側止め金121dは、具体的には、バッグ蓋122及びバッグ本体121に設けられた調節部である調節ベルト123,123に対して配置されている。そして、これら蓋側止め金122dと本体側止め金121dの調節ベルト123,123に対する位置は、容易に移動可能な構成となっている。
したがって、高齢者がバッグ本体121内に収容する荷物等の量により、バッグ蓋122のバッグ本体121に対する固定位置を自在に変化させることができる。すなわち、荷物等が少ない場合は、バッグ蓋122を深めに配置し、逆に荷物等が多い場合は、バッグ蓋122を浅めに配置することが可能となる。
【0037】
このようなバッグ120は、図4に示すように耐荷重部であるカゴ受け台160に対して着脱機構である4つの固定用ベルト124で固定されている。すなわち、図5に示すように、バッグ120の背面の4箇所に設けられた固定用ベルト124、124,124,124とで、バッグ120はカゴ受け台160に固定されている。この固定用ベルト124には、着脱可能な固定用のホック124aが設けられており、高齢者が、この固定用ホック124aを外すことで、固定用ベルト124をカゴ受け台160から外すことができるようになっている。
また、バッグ120をカゴ受け台160に固定した場合は、カゴ受け台160が図1の位置から図4の位置に移動するのに対応してバッグ120が、図4に示すように変形するように成っている。
【0038】
このカゴ受け台160の詳細な構成は後述するが、このカゴ受け台160はフレーム部110に対して設けられている。このフレーム部110は、図1に示すように、左右の各前輪部130、130を支持するように配置されている前輪用フレーム111が、左右に2つ設けられている。
この前輪用フレーム111は例えば円筒状の金属製のパイプにより形成され、、図1に示すように、その上端部には、ハンドル部150が連接されるようになっている。また、この前輪用フレーム111の上半分は、バッグ120の背面に沿って直線的に形成されている。
しかし、前輪用フレーム111は、その略中央部において、図において前方に屈曲され、前輪部130に向かって配置されるようになっている。さらに、前輪用フレーム111の下端部は、図1に示すように下方に向かって屈曲して形成され前輪部130が連接されている。
【0039】
ところで、図6は、高齢者がウォーカー100を使用している図であるが、高齢者がウォーカー100を押し易いように、前記前輪用フレーム111の前記上半分(上端部から略中央部までの間の直線的部分)は、図6に示すように角度θ、例えば12度になるように形成されている。
また、前記前輪用フレーム111の略中央部の近傍には、後輪用フレーム112が左右にそれぞれ1つずつ、図1に示すように設けられている。
この後輪用フレーム112は、例えば円筒状の金属製のパイプにより形成され、ビス112aにより可動状態で前輪用フレーム111に取り付けられている。このため、後輪用フレーム112は、ビス112aを中心に回動するようになっている。また、この後輪用フレームの下端部には、後輪部140が設けられている。
【0040】
このような前輪用フレーム111と後輪用フレーム112との間には、図1に示すように、バッグ用フレーム113が設けられている。このバッグ用フレーム113は、図1、図4及び図5に示すように左右の前輪用フレーム111、111を繋ぐように配置されているU字状の前輪側バック用フレーム113bと後輪側バック用フレーム113cとを有しており、ビス113dにより接続されている。このため、前輪側バック用フレーム113bと後輪側バック用フレーム113cは、ビス113dを中心に回動可能になっている。したがって、バック用フレーム113は、ビス113dの部分を頂部とし、前輪側バック用フレーム113bと後輪側バック用フレーム113cを斜面とする山形に変形させることができる。そして、このように変形することで、後輪用フレーム112もビス112aを中心に前輪部130側に動く。このため、後輪用フレーム112に付けられている後輪部140が前輪部130に近接し、ウォーカー100は、進行方向においてコンパクトに折りたたまれることになる。
【0041】
一方、図4に示すように2つの前輪用フレーム111の間には、円筒状の第1の横フレーム114と第2の横フレーム115が設けられている。この第2の横フレーム115には、固定具である固定用フック115aが設けられている。
そして、上述のように後輪部140と前輪部130が近接して折り畳まれると、図7に示すような状態となる。図7は前輪部130と後輪部140とが近接した状態を示す概略説明図である。
図7に示すように、前輪部130と後輪部140とが近接すると、上述のように前輪側バック用フレーム113bと後輪側バック用フレーム113cが山形に変形し、前輪側バッグ用フレーム113bが、前輪用フレーム111の間に形成されている第2の横フレーム115に近接することになる。
このとき、第2の横フレーム115に設けられている固定用フック115aを前輪側バック用フレーム113bに係合させることで、前輪部130と後輪部140との近接状態を保持させることができ、ウォーカー100は、進行方向においてコンパクトに折りたたまれた状態を維持しつづけることができる。
したがって、誤って前輪部130と後輪部140とが離間方向に動き、ウォーカー100が折り畳まれた状態から開放状態に成ることを未然に防止することができる。
【0042】
ところで、前輪用フレーム111には、上述のように、カゴ受け部160が設けられている。このカゴ受け部160は、図4及び図5に示すように金属製の棒状部材から形成されており、ビス160aによって前輪用フレーム111に回動可能に取り付けられている。
また、このカゴ受け台160は、図4及び図5に示すように、車輪部側である両側方向に突起部である側方突起部161が2つ形成されている。そして、図4においてウォーカー100の進行方向の前方側には前方突起部162が1つ形成されている。
これら2つの側方突起部161と1つの前方突起部162は、図4に示すように、それらの端部が上方に屈曲して形成されている。
したがって、カゴ受け台160を図4の位置に配置した場合、その屈曲している端部で、カゴ受け台160に載置されるカゴ等をしっかりと保持することができるようになっている。
更に図5に示すように側方突起部161がウォーカー100の全幅とほぼ同等だが、超えない幅とされることで、高齢者が押す際に操作し易くカゴの出し入れも容易となる。
【0043】
この状態を示したのが図8である。図8は、カゴ受け台160上にカゴを載置した状態を示す図である。図8に示すようにカゴは、カゴ受け台160に設けられた側方突起部161と前方突起部162によって、カゴ受け台160から脱落しないようにしっかりと保持されている。
【0044】
また、図8に示すように、後輪用フレーム112の先端部には、支持部であるカゴ受け台支持部112bが形成されている。このカゴ受け台支持部112bの先端には、カゴ受け台160のパイプ状部材を確実に保持できるように凹部が形成されている。
したがって、カゴ受け台160が、図8に示されている位置に配置されると、カゴ受け台160は、後輪用フレーム112のカゴ受け台支持部112bによって支持されるので、カゴ受け台160上に載置するカゴ内に入れる物の重量が重い場合であっても、その重みを後輪用フレーム112によって支える構造となっている。
【0045】
このように、カゴ受け台160は、高齢者が、図1の状態のカゴ受け部160を操作し、約90度程度前方に回転させることで、図4の状態にすることができる。
このとき、上述のようにカゴ受け台160に固定されているバッグ120は、バッグ本体121の折り曲げ部121cが内方に折り曲げられると共に、バッグ本体121もその短手方向が折り曲がり、図4に示すようにカゴ受け台160の下方に収まることになる。
【0046】
一方、カゴ受け台160を使用しない場合は、図1のようにバッグ120は折り曲がっていない状態に戻るが、このとき、バッグ本体121の四隅には角部121bが設けられているため、保型性が確保されており、折り曲げられた状態から、速やかに元の状態に戻ることができるようになっている。
このように、カゴ受け部160が図1の状態(不使用の状態)にあるときは、図4に示すカゴ受けロック114aによって固定される。このカゴ受けロック114aは、2つの前輪用フレーム111の間に設けられている円筒状の第1の横フレーム114に備えられている。
このカゴ受けロック114aは、具体的にはカゴ受け台160の2つの側方突起部161を結ぶパイプの一部である図4に示すフック係合部163と係合され、かご受け台160をフレーム部110に固定し、誤ってかご受け台160が前方に倒れ、使用状態とならないように形成されている。
【0047】
また、このかご受けロック114aの近傍には、フック114bが形成されており、高齢者が荷物等を引っ掛けることができるようになっている。さらに、図5に示すように、フレーム部110には、傘受け164と傘固定ベルト165が備わっており、高齢者が傘や杖などを取り付けることができるようになっている。
【0048】
ところで、2つの前輪用フレーム111に連接されている図1に示す前輪部130は、それぞれ双輪となっており、360度回動可能に配置されている。したがって、高齢者が進みたい方向に前輪部130を向けることができるようになっている。また、この前輪部130の回転を止めたい場合は、図4に示す前輪ロック130aを動作させることで、前輪部130の回転を止めることができるようになっている。
なお、2つの後輪用フレーム112に設けられている後輪部140は、単輪となっている。
【0049】
そして、フレーム部110の上方にはハンドル部150が形成され、このハンドル部150の全幅は、フレーム部110の全幅より広く形成されている。
したがって、幅方向に小型のフレーム部110であっても、操作性が良好なウォーカー100となる。
また、このハンドル部150の全幅が2つの前輪部130のそれぞれ外側の車輪との間の距離より短いので、ハンドル部150は、前輪部130の外方に突出することがなく、ハンドル部150が不必要に幅方向に突出して操作上の邪魔になることがない。
【0050】
ところで、このようなハンドル部150の握り部151の頂部は、図9に示すように、その中央部が突出するように曲線が形成されている。すなわち、握り部151の頂部のRは、例えばR2000に形成されている。
このように握り部151の頂部が緩やかな曲線になっていることにより、高齢者がハンドル部150につかまる、若しくは握る際に、肘等を緊張させずに握ることができることになる。また、緩やかな曲線とすることで、どの部分を握っても握り易いことになる。このため、肩幅の狭い高齢者は、握り部151の中央部近傍を握り、肩幅の広い高齢者は、両端部を握ることができる。
さらに、このハンドル部150の握り部151の断面(ウォーカー100の進行方向に沿って形成された断面形状)は、図10に示すように略楕円形に形成されている。そして、この握り部151の外側は弾力のある合成樹脂である例えば発泡ウレタン151aにより形成されているとともに、その内側には長方形の芯部151bが形成されている。
【0051】
したがって、ハンドル部150としての剛性は、芯部151bで担保しつつ、その外側の高齢者が握る部分には、弾力のある発泡ウレタン151が配置されていることになる。このため、高齢者が掌で握り部151を握り、ウォーカー100を押しても、握り部151は、タイヤを通じて伝わる衝撃などを柔らかく受けとめることができる。
また、この握り部151の長軸は、図6に示すX軸の方向に配置され、握り部151の短軸は図6のY軸方向に配置されているので、短軸の傾きが前輪用フレーム111の図6における傾きθ(12度)と同じになる。
【0052】
したがって、高齢者がハンドル部150の握り部151を押してウォーカー100を押す際には、図2に示すように、握り部151の長軸によって形成される比較的広い面が、ちょうど高齢者の掌に無理なく当接することができるので、肘や手首が不自然な形になることがない。これがため、長時間自己の体重をかけてウォーカー100を押した場合でも、高齢者の疲労を低減することができる。
【0053】
ところで、図1に示すように、このハンドル部150の握り部151に沿ってブレーキレバー170が配置されている。このブレーキレバー170は、高齢者が指等をかけて握り部151方向に引くと、このブレーキレバー170に接続されている図1に示すワイヤ180を介して後輪部140に設けられているブレーキシュー190が作動するようになっている。
したがって、高齢者がハンドル部150の握り部151の両端部を握っている場合でも、速やかにブレーキレバー170を操作し、安全にウォーカー100を止めることができる。
また、このブレーキレバー170は、握り部151に設けられているブレーキ係合用フック191(図1参照)に係合することにより、ブレーキの作動状態を維持でき、高齢者の意に反しウォーカー100が動き出してしまうのを有効に防止することができる。
【0054】
ところで、以上のようなハンドル部151は、フレーム部110に対する位置を変更することができるようになっている。したがって、ハンドル部150の高さを使用する高齢者の身長に合わせて自在に変更できるようになっている。
【0055】
本実施の形態に係るウォーカー100は、以上のように構成されるが、以下にその使用方法等について説明する。
先ず、図7に示すように、本実施の形態に係るウォーカー100は、バック用フレーム113である前輪側バッグ用フレーム113bと後輪側バッグ用フレーム113cが折り畳んだ状態、すなわち前輪部130と後輪部140が近接した状態で保管される。
このとき、前輪側バッグ用フレーム113bは、固定用フック115aにより第2の横フレーム115に固定されている。そこで、このウォーカー100を使用しようとする高齢者は、先ず、固定用フック115aを操作し、固定用フック115aを前輪側バッグ用フレーム113bから外す。
そして、この前輪側バッグ用フレーム113bを進行方向の前方に向かって押し出すと、前輪部130と後輪部140が離間方向に動き、図1に示す状態となる。
【0056】
次に、ハンドル部150の高さを調節する。このとき、ブレーキレバー170は、未だ、ハンドル部150のブレーキ係合用フック191に係合され、後輪部140のブレーキシュー190が作動している状態となっている。そこで、高齢者は、ブレーキレバー170を握り、ブレーキレバー170からブレーキ係合用フック191を開放して、後輪部140のブレーキシュー190が作動しない状態にする。
また、図4に示す前輪部130の前輪ロック130aを解除して、前輪部130が360度回転可能な状態にする。
【0057】
この状態で高齢者は、スーパーマーケット等に買い物に行くのであるが、高齢者がウォーカー100を押しているときに、かご受け台160が前方に倒れないように、図4に示すかご受けロック114aをカゴ受け台160のフック係合部163に係合させ、カゴ受け台160を第1の横フレーム114に固定する。
この状態で、高齢者は図6に示すようにウォーカー100を押し、スーパーマーケットに入る。
【0058】
スーパーマーケットでは、買い物用カゴを使用する必要があるので、高齢者はカゴ受けロック114aを操作して、カゴ受け台160を開放して、図4に示すように、前方に倒す。このとき、カゴ受け台160に固定されているバッグ120は、バッグ本体121の折り曲げ部121cが内方に折り曲がると共に、バッグ本体121の角部121bが図4に示すように折り曲がり変形して、バッグ120は、カゴ受け台160の下方に収容される。
【0059】
次に、高齢者は、図8に示すように、買い物カゴをカゴ受け台160上に載置し、買う商品をカゴ内に入れる。このとき、カゴ内に多くの商品や重い商品を入れても、カゴ受け台160は、後輪用フレーム112のカゴ受け台支持部112bによって支持されているため、カゴの重みによりカゴ受け台160に不都合が生じることはない。
また、カゴ受け台160には、2つの側方突起部161と前方突起部162が設けられているため、買い物カゴは、カゴ受け台160にしっかり保持され、買い物カゴが誤って落下等する危険が著しく小さくなる。
さらに、買い物カゴの中に入れたくない荷物は、カゴ受けロック114aの近傍に付いているフック114bに係合することで、保持できるようになっている。
【0060】
買い物が終了した高齢者は、会計を済ませた後、買った商品をバッグ120に入れることになる。
このときは、カゴ受け台160から買い物カゴを取り外し、カゴ受け台160を回転させ、図4のカゴ受けロック114aをカゴ受け台160に係合させ、図1に示す状態にする。
そして、蓋側止め金122dと本体側止め金121dを操作して、止め金の固定を解除して、バッグ蓋122を開け、バッグ本体121の開口121aを通して、バッグ本体121内に買った商品を入れる。このとき、買った商品の量によってバッグ120は変形するようになっている。
バッグ120にすべての商品を入れ終わったら、バッグ蓋122がバッグ本体121に対して適当位置になるように、調節ベルト123を調節し、蓋側止め金122dと本体側止め金121dを操作して、止め金を固定する。
このように、蓋側止め金122dと本体側止め金121dは、バッグ120内の商品の量に応じてその位置を自在に変化させることができるようになっている。
【0061】
買い物が終わった高齢者はウォーカー100を押して自宅に帰ることになる。このとき、雨が降っているときは、図5に示す傘受け164と傘固定ベルト165により保持されている傘を使用することがでできる。
自宅に帰った高齢者は、図5に示すバッグ120の背面に形成されている4つの固定用ベルト124の固定用ホック124aを外し、バッグ120をカゴ受け台160から取り外し、バッグ120だけを自宅内に持ち運ぶことができる。
そして、バッグ120内の商品を取り出した後、再びバッグ120をカゴ受け台160に取り付け、図7のように再び折り畳むことで、ウォーカー100をスペースをとることなくコンパクトに置いておくことができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、カゴ受け台160としたが、これを高齢者が座る座面として構成することもできる。また、上述の実施の形態の各構成は、その一部を省略したり、上述していない他の任意の組み合わせに変更することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、歩行補助具が小型化されても、十分な容量の収容部を備えた歩行補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるウォーカーを示す概略斜視図である。
【図2】図1のウォーカーのバッグ本体を示す概略斜視図である。
【図3】図2のバッグ本体の概略平面図である。
【図4】図1のウォーカーのカゴ受け台を倒した状態を示す概略斜視図である。
【図5】図1のウォーカーの概略背面図である。
【図6】図1のウォーカーの使用状態を示す概略図である。
【図7】図1のウォーカーを折り畳んだ状態を示す説明図である。
【図8】図1のウォーカーのカゴ受け台にカゴを乗せた状態を示す概略斜視図である。
【図9】図1のハンドル部の一部を示す概略拡大図である。
【図10】図9のハンドル部の握り部の断面を示す概略断面図である。
【図11】従来の歩行補助車を示す概略斜視図である。
【図12】従来の歩行補助車を示す他の概略斜視図である。
【符号の説明】
100・・・ウォカー、110・・・フレーム部、111・・・前輪用フレーム、112・・・後輪用フレーム、112a・・・ビス、112b・・・カゴ受け台支持部、113・・・バッグ用フレーム、113b・・・前輪側バッグ用フレーム、113c・・・後輪側バッグ用フレーム、113d・・・ビス、114・・・第1の横フレーム、114a・・・カゴ受けロック、114b・・・フック、115・・・第2の横フレーム、115a・・・固定用フック、120・・・バッグ、121・・・バッグ本体、121a・・・開口、121b・・・角部、121c・・・折り曲げ部、121d・・・本体側止め金、122・・・バッグ蓋、122d・・・蓋側止め金、123・・・調節ベルト、124・・・固定用ベルト、124a・・・固定用ホック、130・・・前輪部、130a・・・前輪ロック、140・・・後輪部、150・・・ハンドル部、151・・・握り部、151a・・・発泡ウレタン、151b・・・芯部、160・・・カゴ受け台、160a・・・ビス、161・・・側方突起部、162・・・前方突起部、163・・・フック係合部、164・・・傘受け、165・・・傘固定ベルト、170・・・ブレーキレバー、190・・・ブレーキシュー、191・・・ブレーキ係合用ロック
Claims (7)
- ハンドル部と、このハンドル部と連接して形成されているフレーム部と、このフレーム部に対して耐荷重部、収容部及び車輪部が設けられている歩行補助具であって、前記収容部は、この耐荷重部の回転に対応して、その形状を変形するように配置され、
前記耐荷重部は、前記フレーム部に対する回転によって使用状態又は不使用状態のいずれかに配置されるように形成され、前記フレーム部には、前記使用状態に配置された前記耐荷重部を支持するための支持部が形成され、
前記収容部は、屈曲部材で形成されている蓋部と本体部とを有し、この本体部が、少なくとも一箇所に開口を有する箱状と成っていると共に、この本体部には縫製加工により角部が設けられ、前記蓋部が前記本体部の前記開口を被うことができるように配置され、
前記本体部には、折り曲げ部が形成され、
前記耐荷重部に固定されている前記収容部は、前記耐荷重部が、前記使用状態に配置されたときに折れ曲がり、前記耐荷重部の下方に収まる構成となっており、
前記蓋部には、蓋部側固定部が設けられ、前記本体部には、本体側固定部が設けられ、これら蓋部側固定部と本体側固定部とが、相互に着脱可能に形成され、
前記蓋部側固定部と前記本体部側固定部には、それぞれ前記蓋部と前記本体部との固定位置を調節するための調節部が備えられていることを特徴とする歩行補助具。 - 前記収容部が前記耐荷重部に対する着脱機構を有することを特徴とする請求項1に記載の歩行補助具。
- 前記耐荷重部に関して外方へ突出するように前記車輪部側の両辺に2つの側方突起部と前方側の辺に1つの前方突起部が形成されると共に、前記複数の突起部のうち、前記車輪部側の2つの側方突起部の突出量が前記車輪部の全幅を超えない範囲に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歩行補助具。
- 前記フレーム部には、前記耐荷重部を前記不使用状態に保持させるためのかご受けロックが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の歩行補助具。
- 前記かご受けロック近傍には、荷物を係合させるフックが備えられていることを特徴とする請求項4に記載に歩行補助具。
- 前記車輪部は、前輪部と後輪部を有し、前記フレーム部は、これら前輪部と後輪部を配置するための前輪用フレーム部と後輪用フレーム部とを有し、これら前輪部と後輪部とが相互に近接する方向に、前記前輪用フレーム部と後輪用フレーム部の相対的位置を変化させることできる構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の歩行補助具。
- 前記前輪部と前記後輪部とが相互に近接する方向に、前記前輪用フレーム部と後輪用フレーム部の相対的位置を変化させた状態を保持するための固定用フックが備えられていることを特徴とする請求項6に記載の歩行補助具。
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