JP4106886B2 - 静電荷像現像用トナー、前記トナーの製造方法及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、前記トナーの製造方法及び画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電荷像現像用トナー、前記トナーの製造方法及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、懸濁重合法や乳化重合法により得られる重合トナーが、水系媒体中の重合プロセスにおいてトナーの粒径や形状を制御可能とするため、小粒径で分布の揃った、粒子上に角のない丸みを有するトナーの得られることが特開2000−214629号に開示され、その細線再現性、高解像性からデジタル画像用の小さなドット画像の再現可能なトナーとして注目されている。
【0003】
しかしながら、トナーに添加される着色剤の分散性が、重合トナーでは粉砕トナーよりも劣化しやすいことが知られているが、これは、懸濁重合法では、モノマーに着色剤である顔料を分散させた後に重合するが、重合の進行とともにモノマー液滴の粘度が増大するために着色剤の凝集が発生しやすく、また、乳化重合法では会合すなわち凝集工程におけるpH等の影響が着色剤の凝集を促進させるために着色剤の凝集を発生しやすい等の問題点があった。
【0004】
この様に重合トナーは、その製造行程において着色剤の凝集が起こりやすいために分散性が劣化しやすいという問題点を有している。
【0005】
その一方で、特開2000−292973号には、着色剤の分散改良技術も積極的に検討されているが、未だに十分な着色剤の分散性を解決した技術には至っておらず、特に多色画像形成方法においては、複数のカラートナーを重ね合わせてカラー画像を形成するためにある程度の透過性が要求されるが、特にOHPフィルム上に画像形成する場合には透過性が切実な問題となっているのが現状である。
【0006】
一般に、トナー粒子中に着色剤の添加された状態が、解像度等のトナー性能に大きく影響するものであることはよく知られており、例えば特開2000−81735号、特開2000−284540号には、粉砕トナーに用いられる着色剤の長径と短径の比と個数平均径を特定してトナー中の着色剤の分散性を向上させて良好な色再現性や帯電安定性を達成することが開示されているが、これらは、トナー粒子中への添加前の着色剤を特定したもので、トナー粒子中における着色剤の状態を示唆するものではなかった。
【0007】
また、トナー粒子中における着色剤分散状態は、着色剤がトナー粒子中において海島構造の様な相分離構造や着色剤が凝集した構造をとらない均一に分散したものでは、透明性が優れるが反面電荷保持機能が低下する傾向があり、相分離構造を有するものや凝集したものは、電荷保持機能はよいが光の透過性が悪いという問題点がある。
【0008】
そこで、特開平5−88409号には着色剤が粒子内に一つに凝集しその周囲を樹脂がカプセル状に包んだカプセルトナーが開示され、その構造から良好な光透過性と電荷保持機能の両方を有することが期待されたが、着色剤領域と樹脂の界面で光の散乱が発生するために期待通りの透明性を得ることが出来ていない。
【0009】
更に、重合トナーの着色剤分散では、凝集が多く、帯電の安定性、カラートナーにおいては画像の透明性等に問題があった。その原因としては、市販のトナー用着色剤が混練、粉砕、分級によってトナー粒子を形成させるいわゆる粉砕トナー用途であるために、着色剤にロジンなどの樹脂、界面活性剤を処理したものであったことがあげられる。すなわち、界面活性剤などの分散剤をもちいて着色剤粒子を水系媒体に分散させた後、樹脂粒子と凝集させる、もしくは樹脂溶液、重合性単量体と混合する工程を経て製造されるトナーにおいては、従来公知の着色剤の行われている処理ではむしろ着色剤凝集を促進するという問題点があった。
【0010】
また、着色剤合成時の副生成物である低分子有機化合物が着色剤表面に存在し、着色剤分散液の分散安定性を阻害しやすい等の問題点が挙げられる。
【0011】
以上から、良好な電荷保持機能と十分な透明性を併せもつ重合トナーが要望されていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、OHP透過性が高く、ハーフトーンの均一性、画像の鮮鋭性が共に良好であり、定着オフセットの発生が無く、低カブリであり、且つ、感光体のフィルミングがない、静電荷像現像用トナー、前記トナーの製造方法及び画像形成方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記の構成1〜10により達成された。
【0014】
1.結着樹脂、着色剤を含有するトナー粒子を有し、該トナー粒子が水系媒体中で粒子形成する工程を経て製造された静電荷像現像用トナーにおいて、テトラヒドロフラン溶出分が40ppm〜20,000ppmである、前記一般式(1)、(2)及び(3)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物からなる有彩色顔料を水系媒体中にて分散させ、得られた分散液を該着色剤を構成する成分として用いて前記トナー粒子が形成され、且つ、前記トナー粒子の体積平均粒径が3.0μm〜7.5μmであり、円形度が0.945〜0.985であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0015】
2.有彩色顔料が2価の金属を50ppm〜10,000ppm含有することを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー。
【0016】
3.有彩色顔料が水湿潤ペーストであることを特徴とする前記1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
【0017】
4.トナー粒子の結着樹脂と着色剤とが海島構造を構成し、該海島構造中の隣接し合う島の重心間の垂直2等分線によって形成されるボロノイ多角形の面積の平均値が20,000nm2〜120,000nm2であり、且つ、該ボロノイ多角形の面積の変動係数が25%以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0021】
5.2種の界面活性剤を含有することを特徴とする前記1〜のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0022】
6.前記1〜のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを製造するにあたり、テトラヒドロフラン溶出分が40ppm〜20,000ppmである有彩色顔料を水系媒体中において重量平均粒子径が300nm以下になるように分散させた分散液を用いてトナー粒子を調製する工程、且つ、該トナー粒子を水系媒体から分離する工程を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0023】
7.有彩色顔料が、2価の金属を50ppm〜10,000ppm含有することを特徴とする前記に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0024】
8.アニオン界面活性剤Aの存在下、結着樹脂を分散して該結着樹脂の分散液Aを調製する工程、アニオン界面活性剤Bの存在下、着色剤を分散して該着色剤の分散液Bを調製する工程及び、アニオン界面活性剤Cの存在下、分散液Aと分散液Bとを混合後、塩析/融着させる工程を有し、該アニオン界面活性剤A、B及びCの少なくとも1種がその他の2種とは異なる分子構造を有することを特徴とする前記またはに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0025】
9.潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像をトナーを用いて顕像化する現像工程と、該潜像担持体上に形成したトナー画像を被転写体上に転写する転写工程と、該トナー画像を加熱部材及び加圧部材を用いて該被転写体上に加熱定着する定着工程とを有する画像形成方法において、
該トナーが前記1〜のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーであり、該加熱部材が弾性層を有することを特徴とする画像形成方法。
【0026】
10.加熱部材または加圧部材の少なくとも一方がベルトであることを特徴とする前記に記載の画像形成方法。
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は上記記載の問題点を種々検討し、重合トナーを製造する過程での着色剤分散液の分散性、分散安定性に着目した結果、水系媒体中でトナー粒子を形成する際、テトラヒドロフラン溶出分が40ppm〜20,000ppmである有彩色顔料を水系媒体中にて分散させた分散液を着色剤を構成する成分として用いてトナー粒子を形成し、且つ、トナー粒子の体積平均粒径を3.0μm〜7.5μm、円形度が0.945〜0.985になるように調整した静電荷像現像用トナーを用いると、本発明に記載の効果が得られることを見出した。
【0028】
本発明に係る着色剤について説明する。
本発明に係る着色剤としては有彩色顔料が用いられるが、本発明に記載の効果を得る観点から、前記顔料はテトラヒドロフラン溶出分が40ppm〜20,000ppmの範囲であることが必要であるが、好ましくは、50ppm〜10,000ppmである。ここで、テトラヒドロフラン溶出分の測定方法を下記に示す。
【0029】
《テトラヒドロフラン可溶分の測定方法》
有彩色顔料中のテトラヒドロフラン溶出分は、例えば次のようにして測定することができる。顔料組成物100gをテトラヒドロフラン300gと混合攪拌した後、16,000rpmで30分間遠心分離を行ったのち、得られた上澄み液を回収する。沈殿物について、同様の操作を3回繰り返す。全ての上澄みを回収し、ロータリーエバポレータで濃縮乾固したのち、乾固物を秤量し、テトラヒドロフラン溶出分を求める。乾固物の秤量には、多機能型分析天秤AX205(メトラー・トレド(株)製)を用いた。
【0030】
本発明に係る着色剤として用いられる有彩色顔料のテトラヒドロフラン溶出分を40ppm〜20,000ppmの範囲に調整するためには、下記のような処理が好ましく行われる。
【0031】
《テトラヒドロフラン溶出分の調整方法》
(1)着色剤(有彩色顔料)合成時に極微量の表面処理(ロジン処理、塩処理)を施す、
(2)多量に表面処理した形で市販されている従来公知の着色剤を溶剤で洗浄する、
(3)副生成物となる有機物が本発明の範囲にはいるよう合成、精製法を選択し、表面処理を行わない等の処理方法が挙げられる。
【0032】
本発明においては、上記(1)〜(3)の中で、(1)または(2)の処理が好ましい、また、上記(1)〜(3)に記載の処理は組み合わせても良い。
【0033】
次に、処理の具体的な内容を説明する。
(1)の具体的方法
ロジンでアゾ顔料の表面処理を行う場合は、ジアゾ化されたアミンとカップラー成分とのカップリング反応を終えた後に、反応液に各種のロジンのナトリウム塩の水溶液を加え、さらに塩化カルシウムや塩化バリウムなどを加えて不溶性のロジン塩とし顔料表面を被覆する。ロジンは、金属塩にせずに、鉱酸などで酸性として顔料表面を被覆しても良いが、金属塩となっていないロジンいわゆるメタルフリーのロジンで処理したアゾ顔料の方が分散性安定性に優れ好ましい。ロジンは、松脂と呼ばれる天然樹脂で、アビエチン酸を主成分とするものである。ロジンとしては、ガムロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、マレイン化ロジン、フマール化ロジン、ウッドロジンなどを使うことができる。
【0034】
(2)の具体的方法
使用する溶剤としては、メタノール、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。また、洗浄の条件は特に限定されないが、洗浄物のテトラヒドロフラン可溶分をモニターしながら洗浄をすすめ、テトラヒドロフラン溶出分が40ppm〜20,000ppmになるように調整する。
【0035】
本発明に係る有彩色顔料について説明する。
本発明に係る有彩色顔料としては、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0036】
本発明に係る前記一般式(1)、(2)で表される化合物について説明する。
一般式(1)、(2)において、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3で表される炭素数1〜3のアルキル基としては、未置換でも置換基を有していてもよいが、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基等が挙げられる。
【0037】
一般式(1)、(2)において、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3で表される炭素数1〜3のフルオロアルキル基としては、各々、少なくとも一つのフッ素原子を有するメチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基等が挙げられる。前記の基は、更に置換基を有していてもよい。
【0038】
一般式(1)、(2)において、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3で表されるアルコキシル基としては、未置換でも置換基を有していてもよいが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
【0039】
一般式(1)、(2)において、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3で表される鳩源原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられる。
【0040】
一般式(1)、(2)において、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3で表されるスルホ基の高級アミン塩としては、炭素数が4以上のアミン、例えば、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ナフチルアミン、アニリン、アニシジン、フェネチジン、トルイジン、キシリジン等が挙げられる。
【0041】
一般式(1)、(2)において、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3で表されるアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0042】
一般式(1)、(2)において、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3で表される−CONHR1として、R1で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
【0043】
一般式(1)、(2)において、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3で表される−NHCOR2として、R2で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
【0044】
一般式(1)、(2)において、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3で表される−SO23として、R3で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
【0045】
以下、一般式(1)で表される化合物の具体例、一般式(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0046】
【化4】
Figure 0004106886
【0047】
【化5】
Figure 0004106886
【0048】
本発明に係る一般式(1)、(2)で表される化合物は、従来公知のモノアゾ顔料の合成法や特開平10−171165号等に記載の方法を参照して合成することができる。
【0049】
本発明に係る一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3)において、R2、R3、R4、R5で表されるアルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜10の分岐または直鎖のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、iso−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基等)が挙げられる。
【0050】
一般式(3)において、R2、R3、R4、R5で表されるアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
【0051】
一般式(3)において、R2、R3、R4、R5で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられる。
【0052】
一般式(3)において、R2、R3、R4、R5で表されるアルコキシカルボニル基としては、例えば、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0053】
一般式(3)において、R2、R3、R4、R5で表されるアシル基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
【0054】
一般式(3)において、R2、R3、R4、R5で表されるアシルアミノ基としては、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
【0055】
一般式(3)において、R2、R3、R4、R5で表されるアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
【0056】
一般式(3)において、R2、R3、R4、R5で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0057】
一般式(3)において、R2、R3、R4、R5で表されるアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等が挙げられる。
【0058】
以下に、本発明に係る一般式(3)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0059】
【化6】
Figure 0004106886
【0060】
本発明に係る一般式(3)で表される化合物も、上記の一般式(1)、(2)で表される化合物と同様に、従来公知のモノアゾ顔料の合成法を参照して、合成することが出きる。
【0061】
本発明に係る着色剤としては、後述する従来公知の着色剤(顔料や有彩色顔料ともいう)を用いることもできるが、本発明に記載の効果を更に好ましく奏し、且つ、画像の耐熱性向上及びくすみのない良好な画像透明性を得る観点から、上記一般式(1)で表される化合物を用いることが好ましく、更に好ましいのは、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物との混合物での使用や、一般式(3)で表される化合物(ベンズイミダゾロン化合物という)を用いることである。また、一般式(3)で表される化合物の中でも、特に好ましく用いられるのは、C.I.Pigmennt Yellow180である。
【0062】
本発明に係る有彩色顔料のトナー中での含有量は、結着樹脂に対して1質量部〜20質量部が好ましく、更に好ましくは、4質量部〜12質量部である。
【0063】
また、一般式(1)および一般式(2)で表される化合物を併用する時には、一般式(1)で表される化合物を99.8モル%〜80モル%、一般式(2)で表される化合物で表わされる化合物の0.2モル%〜20モル%を顔料合成時に混在させることが好ましい。
【0064】
本発明に係る有彩色顔料は、2価の金属を50ppm〜10,000ppm含有することが好ましく、更に好ましくは、80ppm〜50,000ppmである。2価の金属としては、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の2価の金属塩、鉄、アルミニウム等の3価の金属塩等が挙げられる。これら、2価の金属の金属塩の具体例としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。また、上記の金属塩は、目的に応じて適宜選択される。
【0065】
ここで、顔料中の金属元素の測定方法を下記に湿す。
《顔料中の金属元素量の測定方法》
顔料組成物中における特定の元素の含有割合は、従来公知の元素分析法を用いて測定することができるが、簡便で且つ、正確な数値が得られることから蛍光X線分析法が好ましく用いられる。具体的には、蛍光X線を用いてトナー中の元素の定性分析を行うと共に、検出された特定の元素について検量線を作成し、この検量線から特定の元素の定量分析を行うことにより、トナー中の特定の元素含有割合を求める。
【0066】
本発明においては、上記記載の有彩色顔料を水系媒体中で分散させて着色剤を構成する成分を調製するが、具体的には着色剤が微粒子状(着色剤微粒子ともいう)になっていることが好ましい。ここで、着色剤微粒子について説明する。
【0067】
〔着色剤微粒子〕
本発明のトナーの製造に好ましく用いられる着色剤微粒子は、界面活性剤を含有する水系媒体中で着色剤微粒子を微分散させるための分散装置を用いて形成される。すなわち、図1に示される分散装置は本発明のトナーの製造に用いられる着色剤微粒子を微分散させる分散装置の一例であり、攪拌室を区画形成するスクリーンと前記攪拌室内において高速回転するロータとにより剪断力を生じて、その剪断力の作用(さらに、衝突力・圧力変動・キャビテーション・ポテンシャルコアの作用)により、着色剤を界面活性剤を含有する水系媒体中に微分散させて微粒子を得るものである。
【0068】
ここで着色剤微粒子を分散させる水系媒体中に含有される界面活性剤は臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で溶解しているものであり、使用される界面活性剤は、前記重合工程で使用するものと同一のものを使用することができる。
【0069】
着色剤粒子を水系中に適度に分散させ、沈降を防止し着色剤がトナー粒子中に取り込まれやすくする観点から、着色剤微粒子の重量平均粒子径(分散粒子径)は30nm〜500nmが好ましく、更に好ましくは50nm〜300nmである。尚、着色剤微粒子の重量平均粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される。
【0070】
本発明のトナーに使用される着色剤微粒子は、界面活性剤を含有する水系媒体中に着色剤を投入した後、最初にプロペラ攪拌機等により予備分散(粗分散)を行い着色剤の凝集粒子の分散した予備分散液を生成する。この予備分散液を、攪拌室を区画形成するスクリーンと前記攪拌室内で高速回転するロータとを備えた攪拌装置に供給して、当該攪拌装置により分散処理(微分散処理)することにより好ましい分散状態を有する着色剤微粒子の分散液が調製される。
【0071】
本発明において、好ましい分散状態を有する着色剤微粒子を得るための分散処理用の攪拌装置としては、「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)を挙げることができる。この「クレアミックス」は、高速で回転させるロータ(攪拌羽根)と、このロータを取り囲む固定されたスクリーン(固定環)とを有し、被処理液に剪断力、衝突力、圧力変動、キャビテーション及びポテンシャルコアの作用を付与させる構造を有するもので、これらの作用が相乗的に機能することにより効果的に被処理液を乳化・分散させるものである。
【0072】
すなわち、この「クレアミックス」は、本来はエマルジョンの生成(液体微粒子の分散)に使用されるが、本発明者等は、固体である着色剤微粒子を水系媒体中に分散させるための装置として使用することにより、好ましい平均粒子径を有し、かつ粒径分布のシャープな着色剤微粒子の分散液を得ることを見出した。
【0073】
図1(a)は、高速回転するロータと、当該ロータを取り囲む固定されたスクリーンとを示す模式図であり、同図において、101はスクリーン、Mはスクリーン101により区画形成された攪拌室、102は攪拌室M内で高速回転するロータを示す。
【0074】
ロータ102は、高速で回転する攪拌羽根で、その回転数は通常4,500〜22,000rpmで、好ましくは10,000〜21,500rpmである。また、ロータ2の先端周速は通常10〜40m/secで、好ましくは15〜30m/secである。
【0075】
ロータ102を取り囲んで配置されるスクリーン101は、多数のスリット(図示省略)より構成された固定環からなる。スリットの幅は0.5〜5mmで、好ましくは0.8〜2mmである。また、スリット数は10〜50本で、好ましくは15〜30本である。ロータ102とスクリーン101との間隙(クリアランス)は、通常0.1〜1.5mmで、好ましくは0.2〜1.0mmである。
【0076】
着色剤微粒子の平均粒子径および粒径分布はロータ102の回転数等の制御によって調整され、更に、スクリーン101及びロータ102の形状を選択することでも調整できる。具体的には、「クレアミックス」に標準装備されたスクリーン(S1.0−24、S1.5−24、S1.5−18、S2.0−18、S3.0−9)とロータ(R1〜R4)との組合せによって好ましい分散状態のものが得られるが、自製して更に好ましい分散状態を得るものであってもよい。
【0077】
図1(b)は、ロータおよびスクリーンを備えた連続式の処理装置(クレアミックス)を示す模式図である。予備分散された分散液(予備分散液)は、図1(b)に示す予備分散液入口104から、スクリーン101とロータとの間の攪拌室に供給される。スクリーン101およびロータは、加圧真空アタッチメント103により囲まれており、温度センサー106、冷却ジャケット107および冷却コイル108が配置されている。予備分散液中の着色剤の凝集粒子は、高速回転するロータとスクリーン101とによって生じる剪断力が付与されて解砕(微分散)される。
【0078】
すなわち、スクリーン101とロータとの間にある帯域状の攪拌室に供給された予備分散液中の着色剤凝集粒子は、当該スクリーン101と当該ロータの高速回転により生じる剪断力(機械的エネルギー)を受け、また、剪断力に加えて、衝突力、圧力変動、キャビテーションおよびポテンションコアの作用により解砕(微分散)されて着色剤微粒子となる。着色剤微粒子の分散液は、スクリーン101のスリットから加圧真空アタッチメント103内に噴出され、好ましい平均粒子径と粒子径分布のシャープな着色剤微粒子の分散液が得られる。着色剤微粒子を含む分散液は、分散液出口5から次工程に送られる。
【0079】
ロータとスクリーンとの作用により攪拌装置内において、着色剤凝集粒子は解砕されて好ましい平均粒子径と粒子径分布のシャープな着色剤微粒子(分散粒子)となるが、その形成機構は、以下に示す複数の作用によるものである。
【0080】
(1)高速回転するロータ(攪拌羽根)の表面付近は、その速度勾配が大きいため表面付近では高速剪断速度領域が形成され、この領域で発生する剪断力により着色剤凝集粒子は解砕される。
【0081】
(2)ロータ(攪拌羽根)の後方では、その回転速度が大きい場合真空部(キャビテーション)が発生し、回転によって発生した気泡を分散液の流速が低下した段階で消滅させるが、同時に気泡の圧縮に伴い衝撃圧力が生じ、この衝撃圧力により着色剤の凝集粒子は解砕される。
【0082】
(3)ロータ(攪拌羽根)はその高速回転により予備分散液に圧力エネルギーを付与するが、圧力エネルギーを急激に開放すると予備分散液の運動エネルギーが増大し、ロータによって流動する予備分散液はスクリーンの開放部(スリット部)と密閉部(非スリット部)との間を繰返し通過する際にその圧力エネルギーに変動を与えて、圧力波を発生させて着色剤の凝集粒子を解砕させる。
【0083】
(4)大きな運動エネルギーを有する予備分散液がスクリーンその他の壁に衝突する際に、衝突力を受けた着色剤の凝集粒子は解砕され、シャープな粒子径分布を有する着色剤微粒子となる。
【0084】
(5)速度エネルギーを有する分散液がスクリーンのスリット部を通過する際に噴流(ジェット流)となる。噴流中のポテンシャルコア(粘流の作用を受けない速度領域)では、周囲の流体が高速度で吸引される。このエネルギーを受けた着色剤の凝集粒子は解砕され、シャープな粒子径分布を有する着色剤微粒子となる。
【0085】
着色剤微粒子分散液を得るための分散時間は、特に限定されるものではないが、5〜30分間で、好ましくは7〜25分間である。また、循環させる場合は、5パス以上が好ましく、更に好ましくは5〜20パスである。分散時間は長すぎると分散が過度になるために微細粒子の存在量が多くなってしまうために好ましくない。
【0086】
また、本発明のトナーに好ましく用いられる着色剤微粒子を得るために、スクリーンおよびロータを備えた攪拌装置を具備する分散容器を使用し、この分散容器内に収容された水系媒体中において、前記攪拌装置の攪拌室から着色剤(着色剤を含む水系媒体)を噴出させる回分式の分散処理を行うものであってもよい。
【0087】
図1(c)は、そのような攪拌装置(クレアミックス)を具備する分散容器を示す模式図であり、このような装置により分散処理が行われる。図1(c)において、111は分散容器、112は攪拌装置、113は攪拌装置112を駆動させる為の攪拌シャフトである。攪拌装置112は、図1(a)に示したものと同様の構成(スクリーンおよびロータ)を有している。
【0088】
予備分散液(着色剤の凝集粒子の分散液)は、攪拌装置112の上部から攪拌室に入り、高速回転するロータとスクリーンとの間に生じる強力な剪断力、衝撃力および乱流によって攪拌され、重量平均粒径が30〜300nmの着色剤微粒子が形成され、スクリーンのスリットから分散容器111内に噴出する。着色剤微粒子の分散工程では、分散容器111をジャケット構造とし、かかるジャケット内に温水または蒸気、必要に応じて冷水等を流し、分散容器111内の温度制御を行ってもよい。
【0089】
図1(c)に示した分散容器を使用して分散処理を行う場合において、攪拌装置112の攪拌室からの着色剤の噴出方向(水系媒体中への着色剤微粒子の噴出方向)としては、下方または水平方向であることが好ましい。着色剤(着色剤微粒子)を下方または水平方向に噴出させることにより、分散容器111中の水系媒体が矢印Fに示すように流動する結果、下方に着色剤が噴出され、その流れは壁に沿って上昇し、再度クレアミックス内へ循環する方式となっている。このため、確実に分散工程を繰り返すことができ、分散エネルギーを均一に付与することができる。その結果、着色剤の分散径等を均一化することができるものと推定される。これにより、シャープな粒子径分布を有する着色剤微粒子を効率的に形成することができる。
【0090】
この様にして、本発明で好ましく用いられる着色剤粒子は、スクリーンとロータとによって生じる剪断力の作用により、着色剤凝集粒子は解砕され、好適な平均粒子径(重量平均粒径:30〜500nm)およびシャープな粒子径分布(標準偏差(σ)で30以下)を有する着色剤微粒子(一次粒子に近い微粒子)の分散液が得られ、この様な着色剤微粒子(分散粒子)を樹脂微粒子との塩析/融着に供することにより、形成されるトナー粒子内に着色剤微粒子が確実に導入され、導入された着色剤粒子は遊離することはなく、当該トナー粒子間において着色剤の含有割合にバラツキが生じない。
【0091】
この結果、本発明のトナーを高温高湿下や装置の長期使用停止期間を経ての画像形成に供した場合でも、トナーの帯電量変動によるカブリや微細ドットのチリなどの画像欠陥を発生させることがない。更に、本発明では媒体を使用せずに着色剤微粒子をトナー粒子中に分散させるので、トナー中に媒体の破砕片等の微細不純物の残存することに起因する画像欠陥を発生させることがない。
【0092】
着色剤粒子は、水性媒体中に分散された状態で塩析/融着処理が施される。着色剤粒子が分散される水性媒体は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で界面活性剤が溶解されている水溶液が好ましい。
【0093】
着色剤粒子の分散処理に使用する分散機は、特に限定されないが、好ましくは、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0094】
複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させるためには、複合樹脂粒子および着色剤粒子が分散している分散液中に、臨界凝集濃度以上の塩析剤(凝集剤)を添加するとともに、この分散液を、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが必要である。
【0095】
塩析/融着させるために好適な温度範囲としては、(Tg+10)〜(Tg+50℃)とされ、特に好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40℃)とされる。また、融着を効果的に行なわせるために、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0096】
また、本発明においては樹脂粒子と着色剤を水系媒体中において塩析、凝集、融着させて着色粒子(本発明では、トナー粒子と呼ぶ)を得た後、前記トナー粒子を水系媒体から分離するときに、水系媒体中に存在している界面活性剤のクラフト点以上の温度で行うことが好ましく、更に好ましくは、クラフト点〜(クラフト点+20℃)の温度範囲で行うことである。
【0097】
上記のクラフト点とは、界面活性剤を含有した水溶液が白濁化しはじめる温度であり、クラフト点の測定は下記のように行われる。
【0098】
《クラフト点の測定》
塩析、凝集、融着する工程で用いる水系媒体すなわち界面活性剤溶液に、実際に使用する量の凝集剤を加えた溶液を調製し、この溶液を1℃で5日間貯蔵した。次いで、この溶液を攪拌しながら透明になるまで徐々に加熱した。溶液が透明になった温度をクラフト点として定義する。
【0099】
本発明においては、下記のような従来公知の着色剤を併用してもよい。
従来公知の着色剤としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0100】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0101】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0102】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0103】
有機顔料及び染料も従来公知のものを用いることができ、具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0104】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0105】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0106】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0107】
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
【0108】
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独または複数を選択併用することが可能である。また、顔料の添加量は、重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%である。
【0109】
本発明のトナーを構成する着色剤(着色剤粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げられる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げられる。
【0110】
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%である。また、着色剤粒子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法が挙げられる。この様にして表面改質された着色剤粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理されて得られるものである。
【0111】
本発明の静電荷像現像用トナーについて説明する。
本発明の静電荷像現像用トナーを構成するトナー粒子の粒径は、体積平均粒径が3.0μm〜7.5μmであることが必要であるが、好ましくは、3.5μm〜7.0μmであり、更に好ましくは、4.0μm〜6.5μmである。
【0112】
トナー粒子の粒径は、トナーの製造時において、凝集剤(塩析剤)の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
【0113】
ここで、トナー粒子の体積平均粒径の測定は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザー(いずれもコールター社製)、SLAD1100(島津製作所社製レーザ回折式粒径測定装置)等を用いて測定できる。
【0114】
本発明に係るトナー粒子は円形度が0.945〜0.985であることが必要であるが、好ましくは、0.950〜0.980である。前記円形度が0.945未満では、帯電量分布が広くなり画像の鮮鋭性が劣化し、また、0.985を超える場合には、粒子間の付着力が高すぎて、感光体フィルミングを招来する。
【0115】
ここで、円形度とは下記の式で定義され、FPIA−2000(シスメック社製)を用いて測定した。
【0116】
Figure 0004106886
本発明の静電荷像現像用トナーは、2種の界面活性剤を含有することが好ましい、前記界面活性剤はトナー粒子の形成工程において用いられ、着色剤分散液およびトナー中の着色剤粒子の分散安定性を格段に向上させる為に使用されたものであるが、トナー粒子形成後においても、本発明に記載の効果を更に好ましく得ることが出きる。
【0117】
また、とくに好ましくは樹脂粒子分散液に使用する界面活性剤と着色剤分散液に使用する界面活性剤とは、各々、別種のものが使用され、トナー粒子に含有されることが好ましい。ここで、トナーに含まれる2種の界面活性剤の含有比率は、10:1〜1:10の範囲になるように調整することが好ましい。
【0118】
2種の界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル、もう一種類としては、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステルのエチレンオキサイド付加物が好ましく用いられる。
【0119】
ここで、2種の界面活性剤として好ましく用いられるアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステルのエチレンオキサイド付加物としては、下記の一般式(a)または一般式(b)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0120】
一般式(a)
1(OR2nOSO3
式中、R1は、炭素数6〜22を有するアルキル基またはアリールアルキル基、R2は炭素数2〜6のアルキレン基を表す。nは1〜11の整数を表し、Mは1価の金属元素またはアンモニウムイオンを表す。
【0121】
一般式(b)
1(OR2nSO3
式中、R1は炭素数6〜22のアルキル基またはアリールアルキル基を表し、R2は炭素数2〜6のアルキレン基を表し、nは1〜11の整数を表す。Mは1価の金属元素またはアンモニウムイオンを表す。
【0122】
前記一般式(a)、一般式(b)で表される界面活性剤について説明する。
一般式(a)、(b)において、R1は炭素数6〜22のアルキル基またはアリールアルキル基を表すが、好ましくは炭素数8〜20のアルキル基またはアリールアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数9〜16のアルキル基またはアリールアルキル基である。
【0123】
1で表される炭素数6〜22のアルキル基としては、例えば、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0124】
1で表されるアリールアルキル基としては、ベンジル基、ジフェニルメチル基、シンナミル基、スチリル基、トリチル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0125】
一般式(a)、(b)において、R2は炭素数2〜6のアルキレン基を表すが、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基である。
【0126】
2で表される炭素数2〜6のアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基等が挙げられる。
【0127】
一般式(a)、(b)において、nは1〜11の整数であるが、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜5であり、特に好ましくは2〜3である。
【0128】
一般式(a)、(b)において、Mで表される1価の金属元素としてはナトリウム、カリウム、リチウムが挙げられる。中でも、ナトリウムが好ましく用いられる。
【0129】
以下に、一般式(a)、(b)で表される界面活性剤の具体例を示すが本発明はこれらに限定されない。
【0130】
化合物(101):C1021(OCH2CH22OSO3Na
化合物(102):C1021(OCH2CH23OSO3Na
化合物(103):C1021(OCH2CH22SO3Na
化合物(104):C1021(OCH2CH23SO3Na
化合物(105):C817(OCH2CH(CH3))2OSO3Na
化合物(106):C1837(OCH2CH22OSO3Na
本発明においては、トナーの帯電保持機能を良好な状態に保ち、高温高質下でのカブリ発生を抑え、転写性向上の観点から、また、低温低湿下での帯電量上昇を抑え、現像量を安定化させるという観点から、上記記載の一般式(a)、(b)で表される界面活性剤の本発明の静電荷像現像用トナー中の含有量としては、1ppm〜1000ppmが好ましく、更に好ましくは5ppm〜500ppmであり、特に好ましくは7ppm〜100ppmである。
【0131】
トナーに界面活性剤を上記記載の範囲の量を含有させることで、本発明の静電荷像現像用トナーの帯電性は環境の影響に左右されず、常に均一、且つ、安定に付与、維持することが出来る。
【0132】
本発明の静電荷像現像用トナー中の上記に記載の一般式(a)、(b)で表される界面活性剤の含有量の測定方法は以下の通りである。
【0133】
トナー1gを50mlのクロロホルムに溶解させ、100mlのイオン交換水でクロロホルム層より界面活性剤を抽出、このクロロホルム層を100mlのイオン交換水でもう一度抽出、計200mlの抽出液(水層)を500mlまで希釈、この希釈液を試験液としてJIS 33636項に規定の方法に従いメチレンブルーで呈色させ、吸光度を測定し、別途作成した検量線より、トナー中の含有量を測定した。
【0134】
また、一般式(a)、(b)で表される界面活性剤の構造は、上記の抽出物を1H−NMRを用いて分析し、構造決定した。
【0135】
本発明に係るトナー粒子は、海島構造を有するものであるが、海島構造とは、連続相中に孤立した島状の相が存在する構造をいう。すなわち、本発明のトナーでは、トナー粒子を構成する樹脂と着色剤の各成分は、お互いに混和せずに、それぞれが独立して相を形成するため、トナー粒子は海島構造を有するものとなる。そして、本発明はトナーという性質上、着色剤の島が樹脂の連続相(海)に存在する構造をとるものとなっている。
【0136】
本発明に係るトナー粒子は、その構造が海島構造を有するものであることは、透過型電子顕微鏡で撮影された断面写真により、トナー粒子中に海の領域と島の領域とが輝度の異なる領域をもって示されることで確認される。すなわち、本発明に係るトナー粒子は上記透過型電子顕微鏡により、連続相中(結着樹脂の相)に輝度の異なる粒状の島(着色剤の相)が存在していることが確認される。更に電子顕微鏡の観察結果により、トナー粒子1個中の島の個数、島の形状係数等のトナー粒子中の海島構造を特定する因子が数値として得られるものである。
【0137】
透過型電子顕微鏡における輝度とは、トナー粒子を構成する各要素、すなわち結着樹脂、着色剤に起因して発生する電子線透過率の差を可視化することにより生ずるものであり、一般に着色剤は結着樹脂よりも電子線の透過率が低いため低輝度に撮影される。
【0138】
電子顕微鏡写真において、低輝度とは画素(ピクセル)の輝度信号を256階調に分割した際に0〜99階調にあるものを言い、中輝度とは80〜160階調の範囲にあるもの、高輝度とは127〜255階調にあるものをいうが、本発明では相対的なもの、すなわち、前述のトナーの構成要素が写真によってそれぞれ判別できればよく、必ずしも着色剤の輝度が上記の範囲で定義付けられる低輝度の範囲内にあることを必須要件とするものではない。
【0139】
この様にして、本発明においてはトナー粒子中の各構成要素を輝度を基に識別することによって、海は海として、島は島として電子顕微鏡写真により目視判定、識別することを可能にしているものであり、電子顕微鏡装置に設置されている画像解析装置によって輝度の情報を目視により識別可能なイメージ情報に変換させているのである。
【0140】
また、図2(a)、(b)は、ともに本発明の海島構造を有するトナー粒子の一例を示す模式図であり、電子顕微鏡写真においては、本願発明のトナー粒子はこの模式図に示す様に連続相と島部とから構成されるものであることが確認される。また、トナー粒子の外周に沿って長さa、深さbの島部を有しない領域が存在するものであることも確認される。
【0141】
また、図2では、トナー粒子中の島部として、着色剤の島の他にトナーの構成要素である結着樹脂も連続相中に島構造を形成しているものであることが確認される。
【0142】
本発明に係るトナー粒子の構造を観察することのできる透過型電子顕微鏡装置は、通常当業者の間でよく知られた機種で十分観察され、例えば「LEM−2000型(トプコン社製)」等が用いられる。本発明では、10,000倍の倍率で1000個以上のトナー粒子の投影面から本発明で特徴とされるトナー粒子内における島部の個数等の透過型電子顕微鏡写真の結果より得られる値を算出したものである。
【0143】
本発明において、透過型電子顕微鏡を用いた撮影方法は、トナー粒子を測定する際に行う通常知られた方法で行われるものである。すなわち、トナーの断層面を測定する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分散させた後、包埋し硬化させてもよく、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後加圧成形した後、必要により得られたブロックを四三酸化ルテニウム、又は四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、トナーの断層形態を写真撮影した。当該写真からトナー粒子中における着色剤の領域の形状を目視で確認するとともに、該電子顕微鏡装置に備えられた画像処理装置「ルーゼックスF」(ニレコ(株)社製)により、撮影された画像情報を演算処理によって、トナー粒子内における島部の特性が得られる。
【0144】
以上の方法により、本発明に係るトナー粒子の構造は特定される。以下、本発明に係るトナー粒子の構造を特定する因子について詳細に説明する。
【0145】
本発明に係るトナー粒子内に存在する着色剤成分の島は、図2の模式図において島Bで示されるものである。この模式図から明らかな様に本発明の海島構造を有するトナー粒子中には着色剤成分の島以外に、他のトナー構成要素の島が存在していてもよいもので、着色剤成分の島とそれ以外の他の島とは双方の輝度が異なるので、電子顕微鏡写真において容易に識別できるものである。なお、本発明に係るトナー粒子中の着色剤成分の島は、以下に述べるボロノイ多角形の面積に基づいて特定される。
【0146】
本発明に係るトナー粒子中の海島構造中の島部を特定する数値は電子顕微鏡装置により観察された画像情報に基づいて電子顕微鏡装置に付設された画像解析装置によって算出されるものである。
【0147】
本発明で用いられるボロノイ多角形の面積とは、トナー粒子中における島部の占有状況を示すものである。ボロノイ多角形あるいはボロノイ多面体とは、例えば岩波理化学事典にも掲載されている様に、空間中、あるいは平面上に多数の点が分散しているときに隣り合った点の垂直2等分面、垂直2等分線を作ることにより空間全体を多面体に、または平面全体を多角形に分割させ、この様にして形成される多面体をボロノイ多面体、多角形をボロノイ多角形と呼び、この様な空間や平面の分割をボロノイ分割と呼ぶ。図3にボロノイ多角形によって分割した本発明に係るトナー粒子の一例を示す。
【0148】
この様に、本発明ではトナー粒子中に占める島部の割合を表す尺度として、トナー粒子の海島構造中における島部の占有状態をボロノイ分割して得られるボロノイ多角形の面積により示すものである。すなわち、本発明ではトナー粒子中に存在する島の重心に着目し、隣接し合う島の重心を結んで作られる垂直2等分線によって多角形を形成し、これらの多角形の面積を前記透過型電子顕微鏡より得られた撮影写真の結果に基づき電子顕微鏡装置に設置された画像解析装置により算出するものである。
【0149】
ボロノイ多角形の面積の大きいものとは、隣接し合う島の重心間の距離が離れたものであることを示すものであり、すなわち、粒子中における島部の占有状態の疎な状態のものを示すものである。また、ボロノイ多角形の面積の小さいものとは隣接し合う島の重心間の距離が短く近接しているものであることを示し、すなわち、粒子中の島の占有状態が密な状態にあることを示すものである。本発明ではトナー粒子中の島部のボロノイ多角形については1000個のトナーについて測定を行い、トナー粒子1個当たりの平均値を算出したものである。
【0150】
尚、ボロノイ多角形を数学的に一般定義すると、以下に示される式で定義されるものである。
【0151】
《ボロノイ多角形の面積》
2次元空間R2、または3次元空間R3におけるN個の独立した点P(i)(1≦i≦N)についてボロノイ多角形V(i)の集合は、
V(i)={X||X−P(i)|<|X−P(j)|
for all i to j}
式中、X、Pは位置ベクトルで、| |はユークリッド空間における距離を示す。
【0152】
この様に定義されたV(i)はR2でボロノイ多角形、R3ではボロノイ多面体を形成すると仮定し、V(i)とV(j)とが隣合うときにボロノイ多角形の境界は、点P(i)と点P(j)を結ぶ線分の垂直2等分線の一部となるものと定義する。ユークリッド空間については、数理科学大辞典等に定義、記載されているとおりである。
【0153】
また、本発明に係るトナー粒子の重心、及びトナー粒子中の各島の重心は画像のモーメントによって得られるもので、透過型電子顕微鏡装置に設置された画像解析装置では自動的に算出される。ここで、トナー粒子の重心座標は、トナー粒子の任意の点における微小面積の有する輝度値とその任意の点の座標値との積を求める。そして、トナー粒子全体に存在する全座標について、その輝度と座標値の積を求め、その積の総和をトナー粒子の輝度(前述の様にして得られた各座標点における輝度値の総和)で除することで求められるものである。また、島の重心についても同様、島中の任意の座標点における輝度を求めることによって、島の重心も算出されるものである。この様に、本発明に係るトナー粒子の重心座標、及びトナー粒子中に存在する各島の重心座標とも各任意の点における輝度に基づき、すなわち画像の明暗から算出されるものである。
【0154】
本発明では、トナー粒子中の隣接し合う島の重心間の垂直2等分線により形成されるボロノイ多角形の面積の平均値が20,000〜120,000nm2であり、かつその面積の平均値の変動係数が25%以下のものである。本発明において、ボロノイ多角形の面積の変動係数は以下の式により算出される。
【0155】
ボロノイ多角形の面積の変動係数={S1/K1}×100(%)
式中、S1はトナー粒子に存在する島部のボロノイ多角形の面積の標準偏差を示し、K1はボロノイ多角形の面積の平均値を示す。
【0156】
また、本発明に係るトナー粒子中の隣接し合う島のボロノイ多角形の面積の平均値については、より好ましくは40,000nm2〜100,000nm2であり、かつその変動係数が20%以下である。
【0157】
また、本発明に係るトナー粒子では該トナー粒子中の隣接し合う島のボロノイ多角形の面積の平均値が、20,000nm2〜120,000nm2であり、かつ160,000nm2以上の面積を有するボロノイ多角形を形成する島が、該島全体の3〜20個数%であることを特徴とするもので、更に帯電量分布を均一にする観点から、好ましくは50,000nm2以下の面積を有するボロノイ多角形を形成する島が、トナー粒子1個中に存在する該島全体の30個数%以上、更に好ましくは60個数%以上である。
【0158】
本発明に係るトナー粒子中の隣接し合う島の重心間の垂直2等分線により形成されるボロノイ多角形の面積の平均値は20,000〜120,000nm2の範囲内にあるものであるが、この範囲から外れたものは、トナー粒子中における島部の占有状況が好ましくないものとなり、例えば粒子中に島として存在する着色剤がトナー粒子中へ効果的に添加されていないことを示すもので、本発明の効果を見出すことが困難となり好ましくない。
【0159】
本発明に係るトナー粒子中の隣接し合う島より形成されるボロノイ多角形の面積の平均値の変動係数とは、ボロノイ多角形の面積のバラツキを特定するもの、すなわちトナー粒子中における島部の占有状態のばらつきを特定するものであり、ボロノイ多角形の面積の平均値の変動係数が25%以下の範囲であればよく、好ましくは20%以下である。なお、変動係数が0%のとき、すなわち、ボロノイ多角形の面積の平均値にばらつきのない状態、換言すればトナー粒子中における島の占有状態に全くばらつきのない状態、どのトナー粒子も島の占有状態が同じものである必要性は全くないのである。
【0160】
また、本発明では、ボロノイ多角形の面積が160,000nm2以上となる島がトナー粒子1個中に存在する島全体の3個数%〜20個数%であるが、これはトナー粒子中において、島が適度に分散していることを示すことを意味するものであり、この様に適度に島同士が距離を有していることで、トナー粒子中において島が偏在することがなく、着色剤がトナー粒子中に効果的に添加されていることを意味する。
【0161】
また、本発明では、トナー粒子の重心から特定範囲内に存在する島により形成されるボロノイ多角形の面積が、その範囲外に存在する島により形成されるボロノイ多角形の面積よりも小さいものであることが好ましい。すなわち、本発明ではトナー粒子の重心から半径1000nmの外に存在する島によって形成されるボロノイ多角形の面積の平均値が半径1000nm以内に存在する島によって形成されるボロノイ多角形の面積の平均値よりも大きいものが好ましく、このことはトナー粒子中においては、島の分散状態がトナー粒子の重心からある程度離れた箇所ではまばらになっていることを意味する。この条件を満足することで、本発明のトナーではトナー粒子中において島を適度に粒子中に分散させ本発明で達成させた効果が見出される。
【0162】
また、本発明のトナーでは、トナー粒子が海島構造を有するものが好ましいが、トナー粒子の外周に沿った領域において島の存在しない領域を有するものである。図2(a)及び(b)の模式図において、トナー粒子断面の外周に沿って長さa、深さbで示される領域が島を含まない領域である。すなわち、本発明のトナーでは、トナー粒子断面の外周に沿って島部を全く含まない領域を有することが確認され、その領域は、深さが100nm〜200nm、より好ましい深さは120nm〜180nmで、長さが500nm〜6000nm、より好ましい長さは800nm〜4000nmである。
【0163】
本発明のトナーでは、この様にトナー粒子の外周に沿った特定領域内には島を存在させないことにより、電荷保持性能を高め、トナーの表面近傍での光の散乱の発生を防いでいると推測される。更にトナー粒子に添加された着色剤を最適に粒子内に分散させることにより、本発明で見出された効果を促進させているものと推測される。本発明の様なトナー粒子断面の外周に沿った着色剤を有しない領域を有さないものは、トナー粒子の電荷保持性能を低下させ、本発明で見出された効果を再現することが困難になる。
【0164】
また、本発明の海島構造を有するトナー粒子の海部は、樹脂から構成されているものが好ましい。海島構造を有するトナー粒子中には着色剤成分の島以外に、他のトナー構成要素の島が存在していてもよいものであるが、他のトナー構成要素の島としては、結晶性物質の島が挙げられ、結晶性物質とは、融点を有する有機化合物であって、好ましくはその化合物構造中にエステル基を含有する炭化水素化合物である。本発明に係るトナー粒子中の結晶性物質の融点はトナーの軟化点よりも低い温度で、具体的には130℃以下のものである。該有機化合物は、好ましくはその構造中にエステル基を有するものものであり、結晶性ポリエステル化合物も含まれるものである。
【0165】
前記島部を構成する結晶性物質の融点を確認する方法としては、DSCにより確認されるもので、結晶性を有するものであることはX線回折装置等の手段により確認されるものである。また、本発明のトナー中に含有される結晶性物質は、画像形成時において離型剤としての機能を発揮するものも含有される。
【0166】
かかる結晶性物質の融点は50〜130℃であることが好ましく、更に好ましくは60〜120℃とされる。50〜130℃の範囲に融点を有する結晶性物質を含有したトナーでは、その溶融粘度を下げることが可能となり、紙等に対する接着性の向上を図ることができ、しかも、当該結晶性物質が存在しても、高温側の弾性率が好ましい範囲に維持され、良好な耐オフセット性が発揮される。
【0167】
結晶性物質の融点が50℃未満の場合には、定着性自体は向上するものの、保存性が低下し実用性に問題を生じる。一方、融点が130℃を超える場合には、溶融開始温度が高くなるために、定着性の向上に対する寄与が低く、定着性改良の効果発揮が少なくなる。
【0168】
ここで、結晶性物質の融点は示差熱量分析装置(DSC)にて測定された値を云い、具体的には、0℃から200℃まで10℃/minの条件で昇温(第一昇温過程)したときに測定される吸熱ピークの最大ピークを示す温度を融点とする。そして、この融点は、後述する「DSCによる第一昇温過程での吸熱ピーク(P1)」と一致するものである。
【0169】
融点の具体的な測定装置としては、パーキンエルマー社製のDSC−7等を挙げることができる。示差熱量分析装置(DSC)による融点の具体的な測定方法は、昇温・冷却条件としては、0℃にて1分間放置した後、10℃/minの条件で200℃まで昇温し、その際に測定される最大の吸熱ピークを示す温度を第一昇温過程での吸熱ピークP1とする。その後、200℃にて1分間放置後、10℃/minの条件で降温し、その際に測定される最大の発熱ピークを示す温度を第一冷却過程での発熱ピークP2とする。
【0170】
本発明のトナーに用いられる結晶性物質は、DSCによる第一昇温過程での吸熱ピーク(P1)が50〜130℃、特に60〜120℃に存在することが好ましい。また、DSCによる第一冷却過程での発熱ピーク(P2)が30〜110℃、特に40〜120℃に存在することが好ましい。ここに、吸熱ピーク(P1)と、発熱ピーク(P2)とは、P1≧P2の関係が成立する。温度差(P1−P2)は、特に制限されるものではないが、50℃以下であることが好ましい。
【0171】
上記のような熱的特性を有する結晶性物質を含有させることにより、優れたオフセット防止効果(広い定着可能温度域)および優れた定着性(高い定着率)を発揮させることができる。本発明の効果を発揮させるためには、結着樹脂と結晶性物質とが互いに相分離した状態で存在していることが好ましい。
【0172】
すなわち、結晶性物質はシャープに溶解し、結果としてトナー全体の溶融粘度を下げることができ、定着性を向上することができるものである。また、互いに相分離して存在することにより、高温側での弾性率の低下を抑えることが可能となるため、耐オフセット性も損なうことがない。
【0173】
次に、本発明のトナーの形状について詳細に説明する。
本発明で用いられるトナー粒子は、形状係数の変動係数が16%以下であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子から構成されたトナーを使用することが好ましい。前記のようなトナーを用いることにより、トナー表面における外添剤の存在状態がより均一になり、帯電量分布がシャープになるとともに高い流動性を得ることが可能になる。その結果、現像性、細線再現性に優れ、安定したクリーニング性を長期にわたって形成することができる。
【0174】
また、摩擦帯電によってトナー粒子に電荷を付与する場合には、特に角部分では外添剤が埋没しやすくなり、トナー粒子の帯電が不均一になりやすいと推定される。即ち、角がないトナー粒子の割合を50個数%以上とし、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下に制御されたトナー粒子から構成されるトナーを使用することによっても、現像性、細線再現性に優れ、高画質な画像を長期にわたって形成することができることを見出した。
【0175】
更に、トナーを特定の形状としてその形状を揃えた場合にも、外添剤の埋没が発生せず、且つ帯電量分布がシャープとなることが判明した。すなわち、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナーを使用することでも、現像性、細線再現性に優れ、高画質な画像を長期にわたって形成することができることを見出だした。
【0176】
ここで、本発明のトナーの個数粒度分布および個数変動係数について説明する。本発明のトナーの個数粒度分布および個数変動係数とは、コールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェイス(日科機社製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて2μm以上の体積径、個数径を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布における累積50%の径、すなわちDn50を表すものである。
【0177】
トナーの個数粒度分布における個数変動係数は下記式から算出される。
個数変動係数=〔S/Dn〕×100(%)
〔式中、Sは個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。〕
本発明のトナーの個数変動係数は27%以下であることが好ましく、更に好ましくは25%以下である。個数変動係数を27%以下に調整することにより、転写されたトナー層の空隙が減少してより定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、転写効率が高くなって画質が向上する等の効果をより好ましく得ることができる。
【0178】
個数変動係数を制御する方法は特に限定されない。例えば、トナー粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー粒子を分別回収し調整する等の方法がある。
【0179】
次に、本発明のトナーの形状係数について説明する。本発明のトナーは、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下で、かつ、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下のものである。ここで、本発明のトナーの形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0180】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここで、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0181】
次に、本発明で好ましく用いられる角がないトナー粒子について説明する。ここで角がないトナー粒子とは、電荷の集中するような突部又はストレスにより摩耗し易い様な突部を実質的に有しないトナー粒子を云い、すなわち、図4(a)に示す様に、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側を転がした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみ出さない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。
【0182】
また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線で挟んだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図4(b)及び(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示す模式図である。
【0183】
角がないトナーの測定は、次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、更に拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を1000個のトナー粒子について行った。
【0184】
本発明のトナーにおいて、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であり、好ましくは70個数%以上である。角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることにより、現像剤搬送部材などとのストレスにより微細な粒子の発生などがおこりにくくなり、いわゆる現像剤搬送部材表面に対する汚染を抑制することができ、帯電量分布がシャープとなって、帯電性も安定し、良好な画質を長期にわたって形成できる。
【0185】
角がないトナーを得る方法は、特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。
【0186】
また、本発明のトナーとしては、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
【0187】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制することができる。
【0188】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作成されたものである。
【0189】
〔測定条件〕
1:アパーチャー:100μm
2:サンプル調製法:電解液〔ISOTON II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0190】
本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーは、少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られるものであるが、この製造方法は、重合性単量体を懸濁重合法により重合して樹脂粒子を調製し、あるいは、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合、あるいはミニエマルジョン重合を行って微粒の樹脂粒子を調製し、必要に応じて荷電制御性樹脂粒子を添加した後、有機溶媒、塩類などの凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を凝集、融着する方法で製造するものである。
【0191】
《懸濁重合法》
本発明のトナーを製造する方法の一例としては、重合性単量体中に荷電制御性樹脂を溶解させ、着色剤や必要に応じて離型剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置(攪拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。なお、本発明でいうところの「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0192】
《乳化重合法》
また、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で塩析/融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時にアルコールなど水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0193】
本発明のトナーの製造方法においては、少なくとも重合性単量体に結晶性物質を溶かした後、重合性単量体を重合せしめる工程を経て形成した複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させて得られるものである。本発明のトナーは、重合性単量体に結晶性物質を溶かすものであるが、これは溶解させて溶かすものでも、溶融して溶かすものであってもよい。
【0194】
また、本発明のトナーの製造方法は、多段重合法によって得られる複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させるものであるが、多段重合法について以下に説明する。
【0195】
《多段重合法により得られる複合樹脂粒子の製造方法》
本発明のトナーの製造方法は、以下に示す工程より構成されるものである。
【0196】
1:多段重合工程
2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させてトナー粒子を得る塩析/融着工程
3:トナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
4:洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
5:乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程
から構成される。
【0197】
以下、各工程について、詳細に説明する。
〔多段重合工程〕
多段重合工程とは、オフセット発生防止したトナーを得るべく樹脂粒子の分子量分布を拡大させるために行う重合方法である。すなわち、1つの樹脂粒子において異なる分子量分布を有する相を形成するために重合反応を多段階に分けて行うものであって、得られた樹脂粒子がその粒子の中心より表層に向かって分子量勾配を形成させる様に意図して行うものである。例えば、はじめに高分子量の樹脂粒子分散液を得た後、新たに重合性単量体と連鎖移動剤を加えることによってて低分子量の表層を形成する方法が採られている。
【0198】
本発明においては、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。この様な多段階重合反応によって得られたトナーでは破砕強度の観点から表層程低分子量のものが好ましい。
【0199】
〈二段重合法〉
二段重合法は、結晶性物質を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
【0200】
この方法を具体的に説明すると、先ず、結晶性物質を単量体に溶解させて単量体溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶液)中に油滴分散させた後、この系を重合処理(第一段重合)することにより、結晶性物質を含む高分子量の樹脂粒子の分散液を調製するものである。
【0201】
次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを添加し、樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第二段重合)を行うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
【0202】
〈三段重合法〉
三段重合法は、高分子量樹脂から形成される中心部(核)、結晶性物質を含有する中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。本発明のトナーでは上記の様な複合樹脂粒子として存在するものである。
【0203】
この方法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第一段重合)により得られた樹脂粒子の分散液を、水系媒体(例えば、界面活性剤の水溶液)に添加するとともに、上記水系媒体中に、結晶性物質を単量体に溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第二段重合)することにより、樹脂粒子(核粒子)の表面に、結晶性物質を含有する樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層(中間層)を形成して、複合樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量樹脂)の分散液を調製する。
【0204】
次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第三段重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層を形成する。上記方法において、中間層を組み入れることにより、結晶性物質を微細かつ均一に分散することができ好ましい。
【0205】
本発明に係るトナーの製造方法においては、重合性単量体を水系媒体中で重合することが1つの特徴である。すなわち、結晶性物質を含有する樹脂粒子(核粒子)または被覆層(中間層)を形成する際に、結晶性物質を単量体に溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒体中で油滴分散させ、この系に重合開始剤を添加して重合処理することにより、ラテックス粒子として得る方法である。
【0206】
本発明でいう水系媒体とは、水50〜100質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0207】
結晶性物質を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、結晶性物質を単量体に溶解した単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合させる方法(以下、本発明では「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができ、本発明の効果をより発揮することができ好ましい。なお、上記方法において、水溶性重合開始剤に代えて、あるいは水溶性重合開始剤と共に、油溶性重合開始剤を用いても良い。
【0208】
機械的に油滴を形成するミニエマルジョン法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた結晶性物質が脱離が少なく、形成される樹脂粒子または被覆層内に十分な量の結晶性物質を導入することができる。
【0209】
ここで、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10nm〜1000nmとされ、好ましくは50nm〜1000nm、更に好ましくは30nm〜300nmである。ここで分散粒子径に分布を持たせることで、トナー粒子中における結晶性物質の相分離構造、すなわちフェレ径、形状係数及びこれらの変動係数を制御してもよい。
【0210】
尚、結晶性物質を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するための他の重合法として、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの公知の方法を採用することもできる。また、これらの重合法は、複合樹脂粒子を構成する樹脂粒子(核粒子)または被覆層であって、結晶性物質を含有しないものを得るためにも採用することができる。
【0211】
この重合工程で得られる複合樹脂粒子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される質量平均粒径で10nm〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
【0212】
また、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は48℃〜74℃の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは52℃〜64℃である。また、複合樹脂粒子の軟化点は95℃〜140℃の範囲にあることが好ましい。
【0213】
本発明のトナーは、樹脂および着色粒子の表面に、塩析/融着法によって樹脂粒子を融着させてなる樹脂層を形成させて得られるものであるが、このことについて以下に説明する。
【0214】
〔塩析/融着工程〕
この塩析/融着工程は、前記多段重合工程によって得られた複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に起こさせる)ことによって、不定形(非球形)のトナー粒子を得る工程である。
【0215】
本発明でいう塩析/融着とは、塩析(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に起こること、または、塩析と融着とを同時に起こさせる行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、複合樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(複合樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させる必要がある。
【0216】
この塩析/融着工程では、複合樹脂粒子および着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)を塩析/融着させてもよい。また、着色剤粒子は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0217】
〔熟成工程〕
熟成工程は、塩析/融着工程に後続する工程であり、樹脂粒子の融着後も温度を結晶性物質の融点近傍、好ましくは融点±20℃に保ち、一定の強度で攪拌を継続することにより、結晶性物質を相分離させる工程である。この工程において結晶性物質のフェレ径、形状係数及びこれらの変動係数を制御することが可能である。
【0218】
トナー粒子への過剰帯電を抑え、均一な帯電性を付与するという観点から、特に環境に対して帯電性を安定化し、維持する為に、本発明の静電荷像現像用トナーは、上記に記載の金属元素(形態として、金属、金属イオン等が挙げられる)をトナー中に250〜20000ppm含有することが好ましく、更に好ましくは800〜5000ppmである。
【0219】
また、本発明においては、凝集剤に用いる2価(3価)の金属元素と後述する凝集停止剤として加える1価の金属元素の合計値が350〜35000ppmであることが好ましい。トナー中の金属イオン残存量の測定は、蛍光X線分析装置「システム3270型」〔理学電気工業(株)製〕を用いて、凝集剤として用いられる金属塩の金属種(例えば、塩化カルシウムに由来するカルシウム等)から発する蛍光X線強度を測定することによって求めることができる。具体的な測定法としては、凝集剤金属塩の含有割合が既知のトナーを複数用意し、各トナー5gをペレット化し、凝集剤金属塩の含有割合(質量ppm)と、当該金属塩の金属種からの蛍光X線強度(ピーク強度)との関係(検量線)を測定する。次いで、凝集剤金属塩の含有割合を測定すべきトナー(試料)を同様にペレット化し、凝集剤金属塩の金属種からの蛍光X線強度を測定し、含有割合すなわち「トナー中の金属イオン残存量」を求めることができる。
【0220】
〔濾過・洗浄工程〕
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0221】
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理する工程である。
【0222】
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0223】
乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。
【0224】
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0225】
本発明のトナーは、着色剤の不存在下において複合樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることにより調製されることが好ましい。
【0226】
このように、複合樹脂粒子の調製を着色剤の存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得るための重合反応が阻害されることない。このため、本発明のトナーによれば、優れた耐オフセット性が損なわれることはなく、トナーの蓄積による定着装置の汚染や画像汚れを発生させることはない。
【0227】
また、複合樹脂粒子を得るための重合反応が確実に行われる結果、得られるトナー粒子中に単量体やオリゴマーが残留するようなことはなく、当該トナーを使用する画像形成方法の熱定着工程において、異臭を発生させることはない。
【0228】
更に、得られるトナー粒子の表面特性は均質であり、帯電量分布もシャープとなるため、鮮鋭性に優れた画像を長期にわたり形成することができる。このようなトナー粒子間における組成・分子量・表面特性が均質であるトナーによれば、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法において、画像支持体に対する良好な接着性(高い定着強度)を維持しながら、耐オフセット性および巻き付き防止特性の向上を図ることができ、適度の光沢を有する画像を得られる。
【0229】
次に、トナー製造工程で用いられる各構成因子について、詳細に説明する。
(重合性単量体)
本発明に用いられる樹脂(バインダー)を造るための重合性単量体としては、疎水性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。また、下記の様に構造中に酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有する単量体を少なくとも1種類含有するのが望ましい。
【0230】
(1)疎水性単量体
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0231】
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0232】
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0233】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0234】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられ、ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0235】
又、モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0236】
(2)架橋性単量体
樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0237】
(3)酸性極性基を有する単量体
酸性極性基を有する単量体としては、(a)カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物、及び、(b)スルホン基(−SO3H)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。
【0238】
(a)のカルボキシル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、およびこれらのNa、Zn等の金属塩類等を挙げることができる。
【0239】
(b)のスルホン基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、スルホン化スチレン、及びそのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル、及びこれらのNa塩等を挙げることができる。
【0240】
(4)塩基性極性基を有するモノマー
塩基性極性基を有するモノマーとしては、(a)アミン基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(b)(メタ)アクリル酸アミドあるいは、随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アクリル酸アミド、(c)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニール化合物及び(d)N,N−ジアリル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示することができる。中でも、(a)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有するモノマーとして好ましい。
【0241】
(a)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0242】
(b)の(メタ)アクリル酸アミド或いはN上で随意モノ又はジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げることができる。
【0243】
(c)のNを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド等を挙げることができる。
【0244】
(d)のN,N−ジアリル−アルキルアミンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0245】
(重合開始剤)
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合せレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性を上昇させ、重合温度の低下が図れ、更に、重合時間の短縮が達成できる等好ましい面を有している。
【0246】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であれば、特に限定されるものではないが例えば50℃から90℃の範囲である。但し、過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)を組み合わせた常温開始の重合開始剤を用いることで、室温またはそれ以上の温度で重合することも可能である。
【0247】
(連鎖移動剤)
分子量を調整することを目的として、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有する化合物が用いられる。特に、メルカプト基を有する化合物は、加熱定着時の臭気を抑制し、分子量分布がシャープであるトナーが得られ、保存性、定着強度、耐オフセット性に優れることから好ましく用いられる。好ましいものとしては、例えば、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのメルカプト基を有する化合物、ネオペンチルグリコールのメルカプト基を有する化合物、ペンタエリストールのメルカプト基を有する化合物を挙げることができる。このうち、トナー加熱定着時の臭気を抑制する観点で、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルが、特に好ましい。
【0248】
(界面活性剤)
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
【0249】
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0250】
本発明では、前記一般式(a)、(b)で表される界面活性剤が特に好ましく用いられる。
【0251】
本発明では、水系媒体中で調製した樹脂粒子の分散液から、樹脂粒子を塩析、凝集、融着する工程において、金属塩を凝集剤として好ましく用いることができるが、2価または3価の金属塩を凝集剤として用いることが更に好ましい。その理由は、1価の金属塩よりも2価、3価の金属塩の方が臨界凝集濃度(凝析値あるいは凝析点)が小さいため好ましい。
【0252】
また、本発明では、ノニオン性界面活性剤を使用することもでき、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組合せ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
【0253】
本発明では、これらの界面活性剤は、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが他の工程または他の目的で使用してもよい。
【0254】
(樹脂粒子、トナーの分子量分布)
本発明のトナーは、その分子量分布のピーク又は肩が、100,000〜1,000,000、及び1,000〜50,000に存在することが好ましく、更に分子量分布のピーク又は肩が、100,000〜1,000,000、25,000〜150,000及び1,000〜50,000に存在するものであることが好ましい。
【0255】
樹脂粒子の分子量は、100,000〜1,000,000の領域にピークもしくは肩を有する高分子量成分と、1,000から50,000未満の領域にピークもしくは肩を有する低分子量成分の両成分を少なくとも含有する樹脂が好ましく、更に好ましくは、15,000〜100,000の部分にピーク又は肩を有する中間分子量体の樹脂を使用することが好ましい。
【0256】
前述のトナーあるいは樹脂の分子量測定方法は、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定がよい。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より具体的には1mgに対してTHFを1.0ml加え、室温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1.0mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard columnの組合せなどを挙げることができる。又、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0257】
(凝集剤)
本発明では、水系媒体中で調製した樹脂粒子の分散液から、樹脂粒子を塩析、凝集、融着する工程において、金属塩を凝集剤として好ましく用いることができるが、2価または3価の金属塩を凝集剤として用いることが更に好ましい。その理由は、1価の金属塩よりも2価、3価の金属塩の方が臨界凝集濃度(凝析値あるいは凝析点)が小さいため好ましい。
【0258】
本発明で用いられる凝集剤は、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩である1価の金属塩、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩やマンガン、銅等の2価の金属塩、鉄やアルミニウム等の3価の金属塩等が挙げられる。
【0259】
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。1価の金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、2価の金属塩としては、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられ、3価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜選択されるが臨界凝集濃度の小さい2価や3価の金属塩が好ましい。
【0260】
本発明で云う臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こるときの凝集剤の添加濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著 高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
【0261】
本発明では、金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然の事ながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0262】
本発明では、金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
【0263】
本発明のトナーは、上記の複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着して得られることが好ましい。本発明のトナーを構成する着色剤(複合樹脂粒子との塩析/融着に供される着色剤粒子)としては、上記記載の各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。
【0264】
(結晶性物質)
本発明に使用されるトナーは、結晶性物質を含有した樹脂粒子を水系媒体中において融着させ、熟成工程により結晶性物質を適度に凝集させて海島構造を形成させたトナーであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に結晶性物質を含有させた樹脂粒子を着色剤粒子と水系媒体中で塩析/融着させることで、微細に結晶性物質が分散されたトナーを得ることができる。ここで、熟成工程とは、樹脂粒子の融着後も温度を結晶性物質の融点±20℃の範囲で攪拌を継続する工程をいうものである。
【0265】
本発明のトナーでは、離型機能を有する結晶性物質として、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等が好ましく、特に好ましくは、下記式で表されるエステル系化合物である。
【0266】
1−(OCO−R2n
式中、nは1〜4の整数で、好ましくは2〜4、更に好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R1、R2は、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。R1は、炭素数1〜40、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5がよい。R2は、炭素数1〜40、好ましくは16〜30、更に好ましくは18〜26がよい。
【0267】
次に代表的な化合物の例を以下に示す。
【0268】
【化7】
Figure 0004106886
【0269】
【化8】
Figure 0004106886
【0270】
また、本発明では結晶性物質として結晶性ポリエステルも用いることができるものであるが、結晶性ポリエステルとしては、脂肪族ジオールと、脂肪族ジカルボン酸(酸無水物および酸塩化物を含む)とを反応させて得られるポリエステルが好ましい。
【0271】
結晶性ポリエステルを得るために使用されるジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA等を挙げることができる。
【0272】
結晶性ポリエステルを得るために使用されるジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコ酸、イタコン酸、グルタコ酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物あるいは酸塩化物を挙げることができる。
【0273】
特に、好ましい結晶性ポリエステルとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールとアジピン酸とを反応して得られるポリエステル、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、1,4−ブタンジオールとコハク酸とを反応して得られるポリエステルを挙げることができ、これらのうち、1,4−シクロヘキサンジメタノールとアジピン酸とを反応して得られるポリエステルが最も好ましい。
【0274】
上記化合物の添加量は、トナー全体に対し1質量%〜30質量%、好ましくは2質量%〜20質量%、更に好ましくは3質量%〜15質量%である。
【0275】
(現像剤)
本発明のトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよく、一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させた磁性一成分現像剤が挙げられいずれも使用できる。
【0276】
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることもでき、この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15μm〜100μm、より好ましくは25μm〜80μmである。
【0277】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0278】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0279】
次に本発明のトナーを用いる画像形成方法に用いる画像形成装置について説明する。
【0280】
本発明では、感光体上に帯電、像露光を行って形成した静電潜像を、現像剤にて現像し形成したトナー画像を接触転写方式を用いて転写材に転写し、その後分離、定着及びクリーニングの各工程を繰り返して、多数枚の画像が形成される。
【0281】
(転写ロール)
感光体表面から転写材へのトナー画像の転写は、転写ロールを感光体に弾性的に押圧し、かつバイアス電圧印加下にトナー画像の転写が行われる。前記転写ロールとしては、ゴムあるいは多孔性発泡体等からなる弾性体が用いられる。例えば(1)ブリヂストン社製イオン導電タイプ、(2)ブリヂストン社製電子導電タイプ、(3)トーヨーポリマー社製発泡ウレタンルビセルタイプ、(4)住友ゴム工業社製イオン導電タイプ、(5)住友ゴム工業社製EPDMタイプ、(6)住友ゴム工業社製エピクロロヒドリンタイプ、(7)イノアックコーポレーション社製ENDURイオン導電タイプ、(8)タイガースポリマー社製発泡シリコーンタイプ、(9)北辰工業社製発泡ウレタンタイプ、(10)信越ポリマー社製発泡シリコーンタイプあるいは(11)日東工業社製カーボンブラック含有ルビセル発泡タイプ等の各種タイプの転写ロールが挙げられるが、好ましくは発泡タイプのものである。
【0282】
本発明に用いられる画像形成方法では、感光体表面のトナー画像を転写材へ良好に転写をするためには、感光体に対する転写ロールの押圧力は2.5〜100kPaが好ましく、より好ましくは10〜80kPaである。
【0283】
前記押圧力が2.5kPa〜100kPaであると、トナー画像の転写が十分となり、又感光体表面へトナー中の離型性を有する結晶性物質が転写されることを防止でき、画像欠陥の発生も防止できる。また、転写ロールの押圧解除の際の衝撃が小さくなり、転写ズレによる画像欠陥を防止し、感光体の損傷等も防止できる。
【0284】
また、前記転写ロールに求められる特性としては、たとえば反発弾性率、電気抵抗、表面硬度等が重要である。前記転写ロールの弾性体の反発弾性率としては、好ましくは30%〜70%である。前記反発弾性が30〜70%であると、トナー画像の転写に十分な感光体への押圧力が得られるので、良好な転写率が得られ、かつ転写時の衝撃が小さくできるので、転写ズレ等の画像欠陥の発生を防止できる。尚、前記反発弾性率はJIS K7311の測定法により測定される。
【0285】
また、前記転写ロールは、トナー画像転写のためのバイアス電圧印加を可能とするため適度の導電性が必要であり、下記測定法で測定した電気抵抗値が1×103〜1×1013Ωであることが好ましい。
【0286】
《測定法》
直径16mm、長さ310mmの回転軸の上に肉厚4mmの弾性体を設けた転写ロールを、直径30mmのアルミニウム素管に17kPaの力で押圧し、20℃、50%RHの環境下で、転写ロールの回転軸とアルミニウム素管間の電気抵抗値を測定する。
【0287】
また、前記弾性体のアスカーC硬度計による表面硬度は20〜70度が好ましい。アスカーC硬度が20〜70度の硬度を有する弾性体からなる転写ロールは、転写が適正に行われ、転写ズレ等の画像欠陥が発生せず好ましい。
【0288】
次に、本発明の多数枚の画像を形成する画像形成方法に用いた画像形成装置を図に基づいて説明する。なお、本発明の多数枚の画像を形成する画像形成方法とは、感光体上に帯電、像露光を行って形成した静電潜像を、静電潜像現像用トナーを含有する現像剤にて現像し形成したトナー画像を、接触転写方式を用いて転写材に転写し、その後分離、定着及びクリーニングを行う各工程を繰り返すことにより、多数枚の画像を形成する画像形成方法をいう。
【0289】
図6は転写ロールを用いた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図6において感光体10は矢印方向に回転する有機感光体であり、11は前記感光体に一様な帯電を付与する帯電器であり、帯電器はコロナ放電器、ローラ帯電器、磁気ブラシ帯電器であってもよい。12は半導体レーザー、発光ダイオード等を用いたデジタル像露光光であり、該像露光光により感光体上に静電潜像が形成される。この静電潜像は体積平均粒径3〜9μmのトナーを含有する現像剤を収納する現像器13により接触又は非接触で現像されて、前記感光体上にトナー画像が形成される。なお、前記露光は、本発明ではデジタル像露光が特に好ましいものであるが、アナログによる像露光を行うものであってもよい。
【0290】
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータまたは複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
【0291】
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あるいは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状あるいは楕円状である。
【0292】
前記トナー画像はタイミングを合わせて搬送された転写材P上に転写ロール15により直流バイアス印加下、感光体への押圧力2.5〜100kPa、好ましくは10〜80kPaで転写される。
【0293】
前記転写ロール15へバイアス印加する直流バイアスの電源16は、好ましくは定電流電源又は定電圧電源であり、前記定電流電源の場合は5〜15μAであり、定電圧電源の場合は絶対値で400〜1500Vである。また、前記転写ロール15により画像が転写された転写材Pは感光体10から分離極14により分離され図示しない定着器へと搬送されて加熱定着される。
【0294】
転写後の感光体表面は、クリーニングブレード17によりクリーニングされ、その後除電ランプ(PCL)18で除電されて次の画像形成に備えられる。なお19は給紙ローラであり、20は定着器である。
【0295】
(中間転写体)
本発明では、感光体から転写材へのトナー画像の転写は中間転写体を用いる方式でも行うことができる。すなわち、各々4色の現像剤ごとに画像形成部(画像形成ユニット)を設け、各画像形成部において各感光体に各色ごとの可視画像を形成し、これら可視画像を中間転写体に順次転写し、一括して転写材(通常は普通紙であるが、転写可能なものであれば特に限定はない。特に本発明ではOHPシートが転写材として好ましい。)に転写後、定着してカラー画像を得る方式にも好ましく用いることができる。
【0296】
本発明の画像形成装置に用いられる複数色の画像を画像形成部にて形成し、これを同一中間転写体に順次重ねて転写するようにした画像形成方法を図に基づいて説明する。図7は中間転写体(転写ベルト)を用いた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0297】
図7において、カラー画像を得るため画像形成装置は、複数個の画像形成ユニットを備え、各画像形成ユニットにてそれぞれ色の異なる可視画像(トナー画像)を形成し、該トナー画像を同一中間転写体に順次重ねて転写するような画像形成方法である。
【0298】
ここでは、第1、第2、第3及び第4の画像形成ユニットPa,Pb,Pc及びPdが並設されており、該画像形成部はそれぞれ静電潜像形成体である感光体1a,1b,1c及び1dを具備している。感光体1a、1b、1c及び1dはその外周側に潜像形成部2a,2b,2c及び2d、現像部3a,3b,3c及び3d、転写放電部4a,4b,4c及び4d、クリーニング部材及びゴムブレードを有するクリーニング器5a,5b,5c及び5d、帯電器6a,6b,6c及び6dが配置するものである。
【0299】
この様な構成にて、先ず、第1画像形成ユニットPaの感光体1a上に潜像形成部2aによって原稿画像における、例えばイエロー成分色の潜像が形成される。該潜像は現像部3aのイエロートナーを含有する現像剤で可視画像とされ、転写放電部4aにて、転写ベルト21に転写される。
【0300】
一方、上記の様にイエロートナー画像が転写ベルト21に転写されている間に、第2画像形成ユニットPbではマゼンタ成分色の潜像が感光体1b上に形成され、続いて現像部3bでマゼンタトナーを含有する現像剤で可視画像とされる。この可視画像(マゼンタトナー画像)は、上記の第1画像形成ユニットPaでの転写が終了した転写ベルトが転写放電部4bに搬入されたときに、該転写ベルト21の所定位置に重ねて転写される。
【0301】
以下、上記と同様な方法により第3,第4の画像形成ユニットPc,Pdによりシアン成分色、ブラック成分色の画像形成が行われ、上記同一の転写ベルト上に、シアントナー画像、ブラックトナー画像が重ねて転写される。この様な画像形成プロセスが終了した時点で、転写ベルト21上に多色重ね合せ画像が得られる。一方、転写が終了した各感光体1a,1b,1c及び1dはクリーニング器5a,5b,5c及び5dにより残留トナーが除去され、引き続き行われる次の潜像形成のために供せられる。
【0302】
なお、前記画像形成装置では、転写ベルト21が用いられており、図7において、転写ベルト21は右側から左側へと搬送され、その搬送過程で、各画像形成ユニットPa,Pb,Pc及びPdにおける各転写放電部4a,4b,4c及び4dを通過し各色転写画像が転写される。
【0303】
転写ベルト21が第4画像形成ユニットPdを通過すると、AC電圧が分離除電放電器22dに加えられ、転写ベルト21は除電され、転写材Pにトナー像が一括転写される。その後転写材Pは定着装置23に入り、定着され、排出口25から排出され、カラー画像が得られる。
【0304】
なお、図中の22a、22b、22c及び22dは分離除電放電器であり、トナー像の転写を終えた転写ベルト21は、ブラシ状クリーニング部材とゴムブレードを併用したクリーニング器24により、転写残トナーがクリーニングされて、次の画像形成に備えられる。
【0305】
なお、前記の様に、搬送ベルトの如き長尺の転写ベルト21を用いて、その上に多色重ね合せ像を作り、それを転写材に一括転写する構成にしても、その画像形成ユニットにそれぞれ独立した転写ベルトを具備させ、それから転写材へ、順次各転写ベルトから転写する構成にしてもよい。
【0306】
尚、前記転写ベルトとしては、例えばポリイミド、ポリエーテル、ポリアミドあるいはテトラフルオロエチレン・パーフルオロビニルエーテル共重合体等の表面抵抗が1014Ω以上で、厚さ20μm程度の高抵抗フィルムの上に、フッ素系またはシリコン系樹脂に導電剤を添加して表面抵抗を105〜108Ωとした5〜15μm厚の離型層を設けてなるエンドレスフィルムが用いられる。
【0307】
本発明の画像形成方法においては、現像工程において形成されたトナー画像は、前述の様に転写材に転写する工程を経て、定着工程にて定着される。本発明に使用される好適な定着方法としては、いわゆる接触加熱方式を挙げることができる。特に、接触加熱方式として、熱圧定着方式、更には熱ロール定着方式および固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式が挙げられる。
【0308】
熱ロール定着方式では、表面にテトラフルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体類等を被覆した鉄やアルミニウム等で構成される金属シリンダー内部に熱源を有する上ローラーとシリコーンゴム等で形成された下ローラーとから形成されている。熱源としては、線状のヒーターを有し、上ローラーの表面温度を120〜200℃程度に加熱するものが代表例である。定着部においては上ローラーと下ローラー間に圧力を加え、下ローラーを変形させ、いわゆるニップを形成する。ニップ幅としては1〜10mm、好ましくは1.5〜7mmである。定着線速は40mm/sec〜600mm/secが好ましい。ニップが狭い場合には熱を均一にトナーに付与することができなくなり、定着のムラを発生する。一方でニップ幅が広い場合には樹脂の溶融が促進され、定着オフセットが過多となる問題を発生する。
【0309】
定着クリーニングの機構を付与して使用してもよい。この方式としてはシリコーンオイルを定着の上ローラーあるいはフィルムに供給する方式やシリコーンオイルを含浸したパッド、ローラー、ウェッブ等でクリーニングする方法が使用できる。
【0310】
次に、本発明で用いられる固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する方式について説明する。
【0311】
この定着方式は、固定配置された加熱体と、該加熱体に対向圧接し、かつフィルムを介して転写材を加熱体に密着させる加圧部材により圧接加熱定着する方式である。
【0312】
この圧接加熱定着器は、加熱体が従来の加熱ローラーに比べて熱容量が小さく、転写材の通過方向と直角方向にライン状の加熱部を有するものであり、通常加熱部の最高温度は100〜300℃である。
【0313】
なお、圧接加熱定着とは、加熱部材と加圧部材の間を、未定着トナーをした転写材を通過させる方式等の様に、加熱源に未定着トナー像を押し当てて定着する方法である。この様な対処により加熱が迅速に行われるため、定着の高速化が可能となる。
【0314】
この定着方式では、装置に固定支持された低熱容量のライン状加熱体は、厚さにして0.2〜5.0mm、さらに好ましくは0.5〜3.5mmで幅10〜15mm、長手長240〜400mmのアルミナ基板に抵抗材料を1.0〜2.5mmに塗布したもので両端より通電される。
【0315】
通電は、DC100Vの周期15〜25msecのパルス波形で、温度センサーにより制御された温度・エネルギー放出量に応じたパルス幅に変化させて与えられる。低熱容量ライン状加熱体において、温度センサーで検出された温度T1の場合、抵抗材料に対向するフィルムの表面温度T2はT1よりも低い温度となる。ここでT1は120〜220℃が好ましく、T2の温度はT1の温度と比較して0.5〜10℃低いことが好ましい。また、フィルムがトナー表面より剥離する部分におけるフィルム材表面温度T3はT2とほぼ同等である。フィルムは、この様にエネルギー制御・温度制御された加熱体に当接して図5(a)の中央矢印方向に移動する。これら定着用フィルムとして用いられるものは、厚みが10〜35μmの耐熱フィルム、例えばポリエステル、ポリパーフルオロアルコキシビニルエーテル、ポリイミド、ポリエーテルイミドに、多くの場合はテフロン(R)等のフッ素樹脂に導電材を添加し離型剤層を、5〜15μm被覆させたエンドレスフィルムである。
【0316】
フィルムの駆動には、駆動ローラーと従動ローラーにより駆動力とテンションをかけられて矢印方向へシワ・ヨレがなく搬送される。定着器としての線速は230〜900mm/secが好ましい。
【0317】
加圧ローラーはシリコーンゴム等の離型性の高いゴム弾性層を有し、フィルム材を介して加熱体に圧着され、圧接回転する。
【0318】
また、上記にはエンドレスフィルムを用いた例を説明したが、図5(b)の様にフィルムシートの送り出し軸と巻き取り軸を使用し、有端のフィルム材を使用してもよい。さらには内部に駆動ローラー等を有しない単なる円筒状のものでもよい。
【0319】
上記定着器にはクリーニング機構を付与して使用してもよい。クリーニング方式としては、各種シリコーンオイルを定着用フィルムに供給する方式や各種シリコーンオイルを含浸させたパッド、ローラー、ウェッブ等でクリーニングする方式が用いられる。
【0320】
なお、シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。更に、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用することが出来る。
【0321】
次に図5にこの定着器の構成断面図の例を示す。
図5(a)において、84は装置に固定支持された低熱容量ライン状加熱体であって、一例として高さが1.0mm、幅が10mm、長手長が240mmのアルミナ基板85に抵抗材料86を幅1.0mmに塗工したものであり、長手方向両端部より通電される。
【0322】
通電は、例えばDC100Vで通常は周期20msecのパルス状波形でなされ、検温素子87からの信号によりコントロールされ所定温度に保たれる。このためエネルギー放出量に応じてパルス幅を変化させるが、その範囲は例えば0.5〜5msecである。この様に制御された加熱体84に移動するフィルム88を介して未定着トナー像93を担持した転写材94を当接させてトナーを熱定着する。
【0323】
ここで用いられるフィルム88は、駆動ローラー89と従動ローラー90によりテンションを付与された状態でシワの発生なく移動する。95はシリコーンゴム等で形成されたゴム弾性層を有する加圧ローラーであり、総圧0.4〜2.0Nでフィルムを介して加熱体を加圧している。転写材94上の未定着トナー像93は、入口ガイド96により定着部に導かれ、加熱により定着像を得る。
【0324】
以上はエンドレスベルトで説明したが、図5(b)の様に、フィルムシート繰り出し軸91および巻き取り軸92を使用し、定着用のフィルムは有端のものでもよい。
【0325】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。なお、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0326】
実施例1
《着色剤の製造》
(比較用着色剤1Yの製造:ピグメントイエロー74を用いた製造例)
2−メトキシ−4−ニトロ−アニリン182.7部と2−ニトロ−4−メチルアニリン5.1部とを、水1,300部及び35%塩酸290部の混合物中に加えて攪拌し、それから0℃に冷却し、亜硝酸ソーダ80部を加えてジアゾ化する。別に2−メトキシアセトアセトアニライド241.8部を水5,000部中に加え、水酸化ナトリウム48部と共に溶かし、次いで酢酸196部と水196部との混合液を添加することによって析出させてカップリング成分の懸濁液を得る。透明になったジアゾ溶液をよく撹拌しながら、15℃において1時間30分〜2時間以内に上記のカップリング成分の酢酸酸性懸濁液に流下し添加する。
【0327】
カップリング反応が終わった後に、ロジン45部と塩化カルシウム13部を用いて顔料処理を施し、得られた顔料組成物を濾過、水洗し黄色アゾ顔料水湿潤顔料ペースト状の比較用着色剤1Yを得た。
【0328】
得られた比較用着色剤1YのTHF(テトラヒドロフラン)溶出分は、34,500ppmであった。ここで、THF溶出分の測定は上記記載の方法を用いて行った。
【0329】
(着色剤1Yの製造:ピグメントイエロー74を用いた製造例)
上記の比較用着色剤1Yを固形分の50倍量のアセトンで洗浄し、次いで、同じく50倍量のメタノールで洗浄した後、水で置換処理し、顔料固形分24%の顔料水湿潤顔料ペースト状の着色剤1Yを得た。
【0330】
得られた着色剤1YのTHF(テトラヒドロフラン)溶出分は、3,420ppmであった。
【0331】
(着色剤2Yの製造:ピグメントイエロー74を用いた製造例)
洗浄条件を、20倍量のアセトン、20倍量のメタノールとした以外は、着色剤1Yの製造と同様にして顔料固形分23%の顔料水湿潤顔料ペースト状の着色剤2Yを得た。
【0332】
得られた着色剤2YのTHF(テトラヒドロフラン)溶出分は、5,780ppmであった。
【0333】
(着色剤3Yの製造:ピグメントイエロー180を用いた製造例)
Toner Yellow HG(ヘキスト社製)を、30倍量のアセトン、30倍量のメタノールで洗浄した後、水で置換処理し、顔料固形分25%の顔料水湿潤顔料ペースト状の着色剤3Yを得た。
【0334】
得られた着色剤3YのTHF(テトラヒドロフラン)溶出分は、210ppmであった。
【0335】
(着色剤4Yの製造:ピグメントイエロー180を用いた製造例)
洗浄条件を60倍量のアセトン、60倍量のメタノールで洗浄した後、水で置換した以外は着色剤3Yの製造と同様にして顔料固形分25%の顔料水湿潤顔料ペースト状の着色剤4Yを得た。
【0336】
得られた着色剤4YのTHF(テトラヒドロフラン)溶出分は、80ppmであった。
【0337】
(比較用着色剤2Yの製造)
洗浄条件を120倍量のアセトン、30倍量のジエチルエーテル−ベンゼン混合溶媒、さらに120倍量のメタノールで洗浄した後、水で置換した以外は着色剤3Yの製造と同様にして顔料固形分25%の比較用顔料水湿潤顔料ペースト状の比較用着色剤2Yを得た。
【0338】
得られた比較用着色剤2YのTHF(テトラヒドロフラン)溶出分は、20ppmであった。
【0339】
(比較用着色剤3Rの製造)
3−アミノ−4−メトキシベンズアニライド50部(0.21モル)を水1000部に分散させ、氷を加えて0℃〜5℃の温度条件に設定し、35%塩酸水溶液55部(0.53モル)を加えて30分間攪拌した。その後、30%亜硝酸ソーダ水溶液50部(0.22モル)を加えて60分間攪拌後、スルファミン酸2部(0.02モル)を加えて、過剰の亜硝酸を消去した。更に、酢酸ソーダ40部(0.29モル)、90%酢酸58部(0.87モル)を添加して、ジアゾニウム塩溶液を調製した。
【0340】
別途、N−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸5部(0.03モル)を水1000部、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)25部(0.63モル)と共に温度80℃以下で溶解させ、カップラー溶液とした。
【0341】
得られたカップラー溶液を10℃以下の温度条件下、上記のジアゾニウム塩溶液に添加し、カップリング反応を行い、90℃で加熱処理し、得られた反応混合物を濾過し、水洗を行った後、100℃で乾燥し、粉砕を行った。
【0342】
粉砕後、粒度分布測定装置(CAPA−700:堀場製作所製)で測定したところ、累積体積分布による平均粒度D50が0.06μmである顔料組成物110部を得た。尚、顔料の分子構造を下記に示す。
【0343】
【化9】
Figure 0004106886
【0344】
次に、顔料組成物を水性スラリーに調製し、ロジンのナトリウム塩水溶液を加え、更に塩化バリウムを加えて、顔料表面を不溶性のロジンの金属塩により被覆し、水湿潤顔料ペースト状の比較用着色剤3Rを得た。
【0345】
得られた比較用着色剤3RのTHF(テトラヒドロフラン)溶出分は、25,200ppmであった。
【0346】
(着色剤5Rの製造)
比較用着色剤3Rを固形分の10倍量のアセトンで洗浄し、同じく10倍量のメタノールで洗浄した後、水で置換し、顔料固形分24%の顔料水湿潤顔料ペースト状の着色剤5Rを得た。
【0347】
得られた着色剤5RのTHF(テトラヒドロフラン)溶出分は、9,680ppmであった。
【0348】
(着色剤6Rの製造)
洗浄条件を90倍量のアセトン、90倍量のメタノールで洗浄した後、水で置換した以外は着色剤5Rの製造と同様にして顔料固形分25%の顔料水湿潤顔料ペースト状の着色剤6Rを得た。
【0349】
得られた着色剤6RのTHF(テトラヒドロフラン)溶出分は、50ppmであった。
【0350】
《トナー用樹脂粒子の製造》
(ラテックス1HMLの調製)
(1)核粒子の調製(第一段重合):ラテックス1Hの調製
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、下記のアニオン系界面活性剤(101)
(101)C1021(OCH2CH22OSO3Na
7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
【0351】
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第一段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを「ラテックス(1H)」とする。
【0352】
(2)中間層の形成(第二段重合):ラテックス1HMの調製
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.2g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に、結晶性物質として、上記式(19)で表される化合物(以下、「例示化合物(19)」という。)98.0gを添加し、90℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
【0353】
一方、アニオン系界面活性剤(上記式(101))1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記ラテックス(1H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)により、前記例示化合物(19)の単量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。
【0354】
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液と、イオン交換水750mlとを添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第二段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス(1HM)」とする。
【0355】
前記ラテックス(1HM)を乾燥し、走査型電子顕微鏡で観察したところ、ラテックスに取り囲まれなかった例示化合物(19)を主成分とする粒子(400〜1000nm)が観察された。
【0356】
(3)外層の形成(第三段重合):ラテックス1HMLの調製
上記の様にして得られたラテックス(1HM)に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間層に例示化合物(19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(1HML)」とする。
【0357】
このラテックス(1HML)を構成する複合樹脂粒子は、138,000、80,000および13,000にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の体積平均粒径は122nmであった。
【0358】
《トナーの製造》
(着色剤粒子分散液1〜6の調製)
アニオン系界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)59.0gをイオン交換水1600mlに攪拌溶解し、この溶液を攪拌しながら、着色剤1Y〜4Y、着色剤5R、6R及び比較用着色剤1Y、2Y、3Rを表2の組み合わせで、420.0g(固形分相当)徐々に添加し、次いで「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液1〜6を各々、調製した。
【0359】
(トナー1〜6及び比較用トナー1〜3の製造)
ラテックス1HML420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、上記の着色剤分散液1の166gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8に調製した。
【0360】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を6〜60分間かけて90℃まで昇温し、会合粒子の生成を行った。その状態で、「コールターカウンターTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が4〜7μmになった時点で、塩化ナトリウム80.4gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に熟成処理として液温度85〜98℃にて2〜12時間にわたり加熱攪拌することにより、粒子の融着及び結晶性物質の相分離を継続させた(熟成工程)。
【0361】
その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、攪拌を停止した。生成した会合粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄を行い、その後、40℃の温風で乾燥したのち、疎水性シリカ1質量%と混合することにより、現像剤1〜6及び比較用現像剤1〜3を得た。
【0362】
ここで、本発明に係る静電荷像現像用トナー粒子と着色粒子との物理的特性の関係について説明する。
【0363】
本発明に係る着色粒子の製造においては、樹脂粒子と着色剤とを塩析/融着段階および形状制御工程時にモニタリングを行い、攪拌回転数、および加熱時間等の反応制御により、形状および形状係数の変動係数を制御し、粒径および粒度分布の変動係数の調整を行う。このようにして得られた着色粒子に外部添加剤を添加してトナー粒子を製造するが、外添剤は単にトナー粒子の表面に固着するのみで着色粒子に物理的変化がないので、得られたトナー粒子の物理的特性(形状および粒径等)は着色粒子の物理的特性と同一である。
【0364】
得られたトナー1〜6及び比較用トナー1〜3の物性を表1に示す。
【0365】
【表1】
Figure 0004106886
【0366】
《感光体の製造例》
(感光体P2の製造)
円筒状導電性支持体上に下記の塗布液を塗布し感光体P2を製造した。
【0367】
〈下引き層〉
チタンキレート化合物(TC−750:松本製薬製) 30g
シランカップリング剤(KBM−503:信越化学社製) 17g
2−プロパノール 150ml
上記塗布液を用いて円筒状導電性支持体上に、膜厚0.5μmとなるよう塗布した。
【0368】
Figure 0004106886
上記材料を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記下引き層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0369】
※:Y型チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、ブラッグ角2θ(±0.2)の27.2度に最大ピークを有する)
Figure 0004106886
上記を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0370】
〈保護層〉
メチルトリメトキシシラン 150g
ジメチルジメトキシシラン 30g
反応性電荷輸送性化合物(例示化合物B−1) 15g
ポリフッ化ビニリデン粒子(体積平均粒径0.2μm) 10g
酸化防止剤(例示化合物2−1) 0.75g
2−プロパノール 75g
3%酢酸 5g
上記材料を混合し、樹脂層用の塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷輸送層の上に円形量規制型塗布装置により厚さ2μmの樹脂層を形成し、120℃、1時間の加熱硬化を行い、シロキサン樹脂層を形成し、感光体P2を製造した。
【0371】
【化10】
Figure 0004106886
【0372】
【化11】
Figure 0004106886
【0373】
【化12】
Figure 0004106886
【0374】
得られた感光体P2を市販のデジタル複写機コニカSitios 7030に搭載した改造機を用いて、図7に示した画像形成装置を用いて画像形成し、上記で製造したトナー1〜6、比較のトナー1〜3を各々、下記のように評価した。
【0375】
現像部として、トナー搬送部材として25mmのシリコンゴムローラーからなるものを使用し、トナー補給補助部材の直径は20mmとした。また、トナー層規制部材としてはウレタンゴムからなるものを使用し、その当接圧力は0.6N/cmとした。コピー速度をA4、20枚/分(ppm)に改造して実写評価を実施した。感光体としては有機感光体P2を使用した。又、感光体に残留する未転写トナーはブレードクリーニング方式でクリーニングする方法を採用した。
【0376】
定着方式は図5(a)に示す定着装置を使用し温度設定を170℃とした。
また、画像形成条件としては高温高湿環境(30℃、85%RH)にて画素率が5%の線画を使用し、50000枚の印字を1枚間欠方式の印字方法で実施した。
【0377】
《OHP画像の透過性(OHP透過性)の評価》
本発明の現像剤1〜6、比較用現像剤1〜3を、各々用いて、市販のOHP用樹脂フィルム上に、透過画像(OHP画像)を作製(定着温度は170℃)し、以下に示す方法でOHP透過性を評価した。尚、トナー付着量は0.7±0.05(mg/cm2)の範囲になるように調整した。
【0378】
定着された画像について、日立製作所製「330型自記分光光度計」によりトナーが担持されていないOHPシートをリファレンスとして画像の可視分光透過率を測定し、着色剤1Y〜4Y、比較用着色剤1Y、2Yのようなイエロートナーでは650nmと450nmでの分光透過率の差、着色剤5R、6R及び比較用着色剤3Rのようなマゼンタトナーでは650nmと550nmでの分光透過率の差を求め、OHP画像の透過性の尺度とした。この値が70%以上である場合、良好な透過性であると判断した。
【0379】
《ハーフトーンの均一性評価》
10%網点の濃度:20mm×20mmの10%網点画像部について、マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて白地部に対する相対画像濃度を測定した。10%網点濃度の評価は、ドットの再現性およびハーフトーンの再現性を評価するために行ったもので、濃度変化が0.10以内であれば画質変化は少なく問題ないといえる。
【0380】
《画像の鮮鋭性》
ライン幅:2ドットラインの画像信号に対応するライン画像のライン幅を印字評価システム「RT2000」(ヤーマン(株)製)によって測定した。1枚目の形成画像のライン幅および20000枚目の形成画像のライン幅の何れもが200μm以下であり、かつ、ライン幅の変化が10μm未満であれば○、幅の変化が10μm以上を×とランク評価した。
【0381】
《定着オフセット発生評価》
搬送方向に対して垂直方向に5mm幅のベタ帯状画像を有するA4画像を縦送りで10000枚搬送定着した後に、搬送方向に対して垂直に20mm幅のハーフトーン画像を有するA4画像を横送りで10000枚連続して搬送し、いったん休止する。一晩機械を停止した後に、再度機械を立ち上げ、最初の一枚目に発生する定着オフセット現象による画像汚れの有無及びパッドの汚れの状態を目視評価し、下記のようにランク評価した。
【0382】
A:画像上に汚れの発生無く、パッドも殆ど汚れが無い
B:画像上に汚れは発生していないが、パッドに汚れが蓄積している
C:画像上に極軽微な汚れが発生(実用上問題無し)
D:画像上に軽微な汚れが発生(実用上若干問題有り)
E:画像上に汚れがあり、実用に適さない
《カブリ評価》
印字されていない白紙について、マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、白紙濃度とする。次に評価形成画像の白地部分について、同様に20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、この平均濃度から白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。カブリ濃度が0.010以下であれば、カブリは実用的に問題ないといえる。
【0383】
《感光体のフィルミング》
連続50万コピー後の感光体表面を目視にて観察することにより、フィルミングの有無を下記のようにランク評価した。
【0384】
なし:感光体に曇りがなく、全くフィルミング確認されない
あり:感光体にフィルミングが確認できる
得られた結果を表2に示す。
【0385】
【表2】
Figure 0004106886
【0386】
表2から、比較に比べて本発明のトナーはOHP透過性が高く、ハーフトーンの均一性、画像の鮮鋭性が共に良好であり、定着オフセットの発生が無く、低カブリであり、且つ、感光体のフィルミングがないことが明らかである。
【0387】
【発明の効果】
本発明により、OHP透過性が高く、ハーフトーンの均一性、画像の鮮鋭性が共に良好であり、定着オフセットの発生が無く、低カブリであり、且つ、感光体のフィルミングがない、静電荷像現像用トナー、前記トナーの製造方法及び画像形成方法を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る着色剤を得るために使用する分散装置である。
【図2】本発明に係る、海島構造を有するトナー粒子を説明する模式図である。
【図3】本発明に係る、海島構造を有するトナー粒子をボロノイ多角形によって分割した模式図である。
【図4】角がないトナー粒子、角があるトナー粒子を説明する模式図である。
【図5】本発明に適用される定着器の構成の一例を示す構成断面図である。
【図6】本発明に適用される転写ロールを用いた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図7】本発明に適用される転写ベルトを用いた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
101 スクリーン
102 ロータ
M 攪拌室
103 加圧真空アタッチメント
104 予備分散液入口
105 分散液出口
106 温度センサー
107 冷却ジャケット
108 冷却コイル
111 分散容器
112 攪拌装置
113 攪拌シャフト
10 感光体
11 帯電器
12 デジタル像露光光
13 現像器
14 分離器
15 転写ロール
16 バイアス電源
17 クリーニングブレード
18 除電ランプ
19 給紙ローラ
20 定着器
P 転写材
Pa、Pb、Pc、Pd 画像形成ユニット
1a、1b、1c、1d 感光体
2a、2b、2c、2d 潜像形成部
3a、3b、3c、3d 現像部
4a、4b、4c、4d 転写放電部
5a、5b、5c、5d クリーニング部
6a、6b、6c、6d 帯電器
22a、22b、22c、22d 分離除電放電器
23 定着装置
24 クリーニング器
25 排出口
84 加熱体
85 アルミナ基体
86 抵抗材料
87 検温素子
88 フィルム
89 駆動ローラ
90 従動ローラ
91 繰り出し軸
92 巻き取り軸
93 未定着トナー像
94 転写材
95 加圧ローラ
75 加熱部材

Claims (10)

  1. 結着樹脂、着色剤を含有するトナー粒子を有し、該トナー粒子が水系媒体中で粒子形成する工程を経て製造された静電荷像現像用トナーにおいて、テトラヒドロフラン溶出分が40ppm〜20,000ppmである、下記一般式(1)、(2)及び(3)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物からなる有彩色顔料を水系媒体中にて分散させ、得られた分散液を該着色剤を構成する成分として用いて前記トナー粒子が形成され、且つ、前記トナー粒子の体積平均粒径が3.0μm〜7.5μmであり、円形度が0.945〜0.985であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    Figure 0004106886
    〔式中、X 1 、X 2 、X 3 、Y 1 、Y 2 およびY 3 は、各々、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホ基、スルホ基のアルカリ土類金属塩または高級アミン塩、N−フェニルアミノスルホニル基、カルボキシル基、カルボキシル基のアルカリ土類金属塩または高級アミン塩、N−フェニルカルバモイル基、ウレイレン基、イミノジカルボニル基、アルコキシカルボニル基、−CONHR 1 (式中、R 1 は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはフェニル基を表す。)、−NHCOR 2 (式中、R 2 は、アルキル基を表す。)または、−SO 2 3 (式中、R 3 は、炭素数1〜8のアルキル基である。)を表す。〕
    Figure 0004106886
    〔式中、X 1 、X 2 、X 3 、Y 1 、Y 2 およびY 3 は、各々、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホ基、スルホ基のアルカリ土類金属塩または高級アミン塩、N−フェニルアミノスルホニル基、カルボキシル基、カルボキシル基のアルカリ土類金属塩または高級アミン塩、N−フェニルカルバモイル基、ウレイレン基、イミノジカルボニル基、アルコキシカルボニル基、−CONHR 1 (式中、R 1 は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基またはフェニル基を表す。)、−NHCOR 2 (式中、R 2 は、アルキル基を表す。)または、−SO 2 3 (式中、R 3 は、炭素数1〜8のアルキル基である。)を表す。〕
    Figure 0004106886
    〔式中、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 は各々、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、カルボキ シル基、ヒドロキシル基、スルホ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリール基またはアリールオキシ基等を表す。〕
  2. 有彩色顔料が2価の金属を50ppm〜10,000ppm含有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 有彩色顔料が水湿潤ペーストであることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. トナー粒子の結着樹脂と着色剤とが海島構造を構成し、該海島構造中の隣接し合う島の重心間の垂直2等分線によって形成されるボロノイ多角形の面積の平均値が20,000nm2〜120,000nm2であり、且つ、該ボロノイ多角形の面積の変動係数が25%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 2種の界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを製造するにあたり、テトラヒドロフラン溶出分が40ppm〜20,000ppmである有彩色顔料を水系媒体中において重量平均粒子径が300nm以下になるように分散させた分散液を用いてトナー粒子を調製する工程、且つ、該トナー粒子を水系媒体から分離する工程を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  7. 有彩色顔料が、2価の金属を50ppm〜10,000ppm含有することを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  8. アニオン界面活性剤Aの存在下、結着樹脂を分散して該結着樹脂の分散液Aを調製する工程、アニオン界面活性剤Bの存在下、着色剤を分散して該着色剤の分散液Bを調製する工程及び、アニオン界面活性剤Cの存在下、分散液Aと分散液Bとを混合後、塩析/融着させる工程を有し、該アニオン界面活性剤A、B及びCの少なくとも1種がその他の2種とは異なる分子構造を有することを特徴とする請求項6または7に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  9. 潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像をトナーを用いて顕像化する現像工程と、該潜像担持体上に形成したトナー画像を被転写体上に転写する転写工程と、該トナー画像を加熱部材及び加圧部材を用いて該被転写体上に加熱定着する定着工程とを有する画像形成方法において、
    該トナーが請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーであり、該加熱部材が弾性層を有することを特徴とする画像形成方法。
  10. 加熱部材または加圧部材の少なくとも一方がベルトであることを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
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