JP4106789B2 - 水系分散体を用いた研磨剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐湿性、絶縁性、帯電防止性、耐熱性及び耐変色性等に優れ、適度な硬度と強度とを併せ有する重合体粒子を含み、且つ界面活性剤の含有量が特定量以下であり、不純物が少ない水系分散体を用いた研磨剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
微小な重合体粒子を含む水系分散体は、電子材料、研磨剤、コーテイング材、塗料、光学材料、触媒、光触媒、電子材料フィルム易滑剤、診断薬、医薬、化粧品、導電材料及びインク等として使用されており、或いは使用の検討がなされている。しかし、これらの各種の用途において、従来の水系分散体は下記の問題点を有している。
【0003】
(イ)界面活性剤等の不純物を含んでおり、上記の用途に使用した場合に、品質低下の原因となっている。
(ロ)重合体粒子の帯電防止性、耐熱性、耐変色性等が必ずしも十分ではないため、用途によっては使用が制限される。
(ハ)重合体粒子の硬度が低く、強度も十分ではないため、用途が限定される。
一方、無機粒子を含む水系分散体の使用も検討されているが、無機粒子は硬度が高すぎ、均一な形状の粒子が得られ難い等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐湿性、絶縁性、帯電防止性、耐熱性、耐変色性等に優れ、且つ適度な硬度と強度とを併せ有する重合体粒子を含み、また、界面活性剤等の不純物が少ない水系分散体を用い、磁器ディスク等の研磨において有用な研磨剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1発明は、架橋構造を有する平均粒径0.13〜0.8μmの重合体粒子を含み、界面活性剤の含有量が0.15重量%以下(ただし、0重量%を除く)である水系分散体を用いたことを特徴とする。
【0006】
上記「重合体粒子」は「架橋構造」を有する。そのため、架橋構造を有さない重合体粒子と比べて硬度が高く、優れた強度を有する。また、この重合体粒子の「平均粒径」は、「0.13〜0.8μm」であり、特に0.15〜0.7μm、更には0.15〜0.5μmであることが好ましい。平均粒径がこの範囲にある重合体粒子を含む水系分散体は安定であり、重合体粒子が架橋構造を有するため、この水系分散体は前記の各種の用途において有用である。
【0007】
第1発明において、上記「水系分散体」に含有される界面活性剤は、「0.15重量%以下(ただし、0重量%を除く)」であり、0.1重量%以下、特に0.05重量%以下、更には0.01重量%以下であることが好ましい。この界面活性剤は、重合体粒子を含む水系分散体を製造する過程等で使用され、不純物として重合体粒子若しくは水或いは水系媒体に残留するものであるが、その含有量が少量であるほど、耐熱性、帯電防止性、耐変色性等に優れる重合体粒子を含む水系分散体とすることができる。
【0008】
更に、重合体粒子に含有される界面活性剤は、重合体粒子を100重量部とした場合に、0.05重量部以下、特に0.025重量部以下であることが好ましく、まったく含有されていないことがより好ましい。このような重合体粒子であれば、その耐熱性、帯電防止性、耐変色性等が一段と向上する。
【0009】
界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等、いずれも使用することができる。カチオン系界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族アンモニウム塩等が挙げられる。また、アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル等のリン酸エステル塩などを挙げることができる。更に、非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル型、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル等のエーテルエステル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等のエステル型などを挙げることができる。
【0010】
また、重合体粒子は、第2発明のように、親水基を有するもの(以下、「親水性重合体粒子」という。)であってもよい。親水基を有さない重合体粒子(以下、「疎水性重合体粒子」という。)は、耐湿性、絶縁性、耐熱性、耐変色性等に優れ、適度な硬度と強度とを有しており、親水性重合体粒子は、帯電防止性、耐熱性、耐変色性等に優れ、同様に適度な硬度と強度とを有している。更に、この親水性重合体粒子は、極性基を有する化合物との相溶性にも優れ、より安定な水系分散体とすることができる。
【0011】
親水性重合体粒子は、この粒子を構成する重合体に、水酸基、カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、スルホン酸基及びその塩、リン酸基及びその塩、アミノ基及びその塩等の親水基を、重合体100g当たり0.1ミリモル以上、特に1〜100ミリモル導入することによって形成することができる。
【0012】
水系分散体は、「研磨剤」として使用する。この研磨剤は、耐熱性等に優れ、且つ適度な硬度と強度とを併せ有する重合体粒子を砥粒としているため、磁器ディスク基板等を十分な速度で研磨することができ、被研磨に傷が付くこともない。尚、研磨剤に水系分散体が85重量%以上、特に90重量%以上含有されることが好ましく、研磨剤には、所要量の研磨促進剤等が含有されていてもよい。
【0013】
前記の架橋構造を有する重合体粒子は、架橋性単量体とその他の単量体とを共重合させることにより得ることできる。この共重合において、架橋性単量体は、5〜80重量%、特に5〜60重量%、更には7〜60重量%とすることが好ましい。一方、その他の単量体は、20〜95重量%、特に40〜95重量%、更には40〜93重量%とすることが好ましい。架橋性単量体が5重量%未満であると、十分な硬度を有する重合体粒子を得ることができず、80重量%を超える場合は、硬度は高くなるものの重合体粒子が脆くなってしまうため好ましくない。また、この架橋構造を有する重合体粒子も、重合体に親水基を導入することにより、親水性重合体粒子とすることができる。
【0014】
架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族化合物、或いはエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多価アクリレート化合物など、2個以上の重合性二重結合を有する化合物を使用することができる。
【0015】
多価アクリレート化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
(1)ジアクリレート化合物;ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等
(2)トリアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等
(3)テトラアクリレート化合物;テトラメチロールメタンテトラアクリレート等
【0016】
(4)ジメタクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等
(5)トリメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等
【0017】
これらの架橋性単量体のうちでは、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましく、ジビニルベンゼンが特に好ましい。また、これらの架橋性単量体は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0018】
架橋性単量体と共重合させるその他の単量体としては、以下の化合物が挙げられる。
(1)芳香族ビニル化合物;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等
(2)不飽和カルボン酸化合物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等
(3)不飽和ジカルボン酸無水物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等
(4)シアン化ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
【0019】
(5)アクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等
(6)メタクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等
(7)不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミド、メタクリルアミド等
(8)共役ジオレフィン化合物;ブタジエン、イソプレン等
【0020】
これらのその他の単量体は1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。更に、2種以上の架橋性単量体と、2種以上のその他の単量体とを組み合わせて使用し、共重合させることもできる。
【0021】
架橋性単量体とその他の単量体との共重合の方法は特に限定はされない。例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等、各種の方法によって共重合させ、架橋構造を有する重合体とすることができる。重合温度、重合時間、その他の重合条件は、共重合させる単量体の種類、及び所要の分子量等の特性に応じて適宜設定することができる。また、架橋性単量体は、重合開始時に供給し、重合させてもよいし、その他の単量体がある程度重合した段階で供給し、重合させてもよい。
【0022】
この架橋構造を有する共重合体は、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。更に、架橋性単量体とその他の単量体との共重合ばかりではなく、架橋構造を有さない重合体粒子の表面及び/又は内部において架橋性単量体をグラフト重合させ、或いは架橋性単量体とその他の単量体とを共グラフト重合させ、架橋構造を有する重合体粒子とすることもできる。
【0023】
また、重合体粒子の製造方法も特に限定されず、水系媒体、又は有機溶媒を用いて重合した後、得られる重合体を粉砕し、所定の粒径に整粒する方法、及び重合時に単量体を水系媒体に微分散させ、所定の粒径を有する重合体粒子とする方法等を挙げることができる。尚、重合時、界面活性剤を用いた場合は、生成する重合体粒子を水及び/又は有機溶媒によって洗浄し、重合体粒子に残留する界面活性剤をできる限り少量とすることが好ましい。
【0024】
更に、重合体粒子を含む水系分散体の製造方法としては、水系媒体を用いて所定の粒径を有する重合体粒子を生成させ、これをそのまま水系分散体とする方法が最も簡便であるが、この方法では、重合体粒子から界面活性剤を除くことはできない。そのため、この方法を採用する場合は、重合体粒子生成のための界面活性剤の使用量を低減する必要がある。一方、生成した重合体粒子を水系媒体から分離した後、再び媒体に分散させ、水系分散体とすることもでき、この方法であれば、重合体粒子から界面活性剤を除くことができる。また、有機溶媒を用いて重合した場合であっても、得られる重合体が粒子状であれば、有機溶媒を蒸留等によって除去し、水或いは水系媒体と置換することにより容易に水系分散体とすることができる。水系媒体としては、水及び水とメタノール等との混合物が挙げられるが、水のみを用いることが好ましい。
【0025】
重合体粒子としては球形のものを使用することが好ましいが、この球形とは、鋭角部分を有さない略球形であることをも意味し、必ずしも真球である必要はない。
【0026】
水系分散体に含まれる重合体粒子は、通常、0.1〜30重量%、特に0.2〜20重量%、更には1〜15重量%であることが好ましい。更に、水系分散体は、疎水性重合体粒子若しくは親水性重合体粒子のみを含むものであってもよいし、これらの重合体粒子を適宜の量比で含むものであってもよい。更に、この水系分散体には、必要に応じて、酸化剤、pH調節剤等の各種の添加剤を加えることもできる。
【0027】
水系分散体は、電子材料、研磨剤、コーテイング材、塗料、光学材料、触媒、光触媒、電子材料フィルム易滑剤、診断薬、医薬、化粧品、導電材料及びインク等の用途において使用することができるが、本発明では、研磨剤として用いられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。尚、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を表す。また、重合体粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡写真において200個の重合体粒子の粒径を測定し、平均することにより算出した。
【0029】
(1)水系分散体の製造
実施例1
重合用4つ口フラスコに蒸留水576部、非イオン系界面活性剤(ロームアンドハース社製、商品名「Triton X−100」)0.5部及び2、2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(和光純薬株式会社製、商品名「V−60」)1.0部を投入し、10分間撹拌して完全に溶解させた。その後、スチレン100部を添加し、フラスコ内を窒素ガスによってパージしながら更に5分間撹拌した。
【0030】
次いで、70℃で12時間反応させ、室温まで冷却した後、濾過し、凝集物を除去してスチレン重合体粒子を含む水分散体を得た。尚、この水分散体の全固形分は14.2%であった。その後、この水分散体70部、蒸留水929部及び過硫酸アンモニウム1.0部をフラスコに投入し、10分間撹拌して過硫酸アンモニウムを溶解した。次いで、スチレン90部及び純度55%のジビニルベンゼン(残部はエチルビニルベンゼンである。)10部を添加し、フラスコ内を窒素ガスによってパージしながら、更に5分間撹拌した。その後、70℃で12時間反応させ、室温まで冷却した後、濾過し、凝集物を除去し、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体からなる球状の重合体粒子を含む水系分散体を得た。この水系分散体に含まれる全固形分は9.6重量%であり、重合体粒子の平均粒径は0.35μmであった。また、水系分散体に含有される界面活性剤は0.005重量%であった。
【0031】
実施例2
重合用4つ口フラスコに、蒸留水360部、スチレン15部及びメタクリル酸5部を投入し、窒素ガスでパージしながら70℃に昇温したところで過硫酸アンモニウムの5%水溶液20部を添加し、1段目の重合を1時間実施した。その後、スチレン50部、純度55%のジビニルベンゼン(残部はエチルビニルベンゼンである。)30部及び界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム)0.5部を蒸留水40部に配合して調製した乳化液を2時間かけて連続的に添加し、更に3時間重合し、スチレン/メタクリル酸/ジビニルベンゼン共重合体からなる球状の重合体粒子を含む水系分散体を得た。この水系分散体に含まれる全固形分は19.4重量%であり、重合体粒子の平均粒径は0.35μmであった。また、水系分散体に含有される界面活性剤は0.1重量%であった。
【0032】
実施例3
実施例2と同様にして重合した後、70℃を保持したまま、メチルメタアクリレ−ト3部及びメタクリル酸2部を添加し、2時間重合させ、粒子表面の重合体に親水基であるカルボキシル基を導入した球状の重合体粒子を含む水系分散体を得た。この水系分散体に含まれる全固形分は20.2重量%であり、球状の重合体粒子の平均粒径は0.36μmであった。また、水系分散体に含有される界面活性剤は0.1重量%であった。
【0033】
比較例1
実施例2において、純度55%のジビニルベンゼンに代えてメチルメタクリレ−ト30部を使用した他は、実施例2と同様にしてスチレン/メタクリル酸/メチルメタクリレ−ト共重合体からなる球状の重合体粒子を含む水系分散体を得た。この水系分散体に含まれる全固形分は19.4重量%であり、球状の重合体粒子の平均粒径は0.35μmであった。また、水系分散体に含有される界面活性剤は0.1重量%と少量であった。しかし、重合体粒子が架橋構造を有していないため耐熱性に劣っており、耐溶剤性も十分ではなく、この水系分散体を研磨剤の用途において使用した場合、重合体粒子の硬度が低いため十分な研磨速度が得られない等の問題があった。
【0034】
比較例2
重合用4つ口フラスコに、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)20部を溶解させた蒸留水800部、並びにスチレン65部、純度55%のジビニルベンゼン(残部はエチルビニルベンゼン)30部及びメタクリル酸5部を投入し、窒素ガスでパージしながら70℃に昇温したところで過硫酸アンモニウムの5%水溶液20部を添加し、4時間重合してスチレン/メタクリル酸/ジビニルベンゼン共重合体からなる球状の重合体粒子を含有する水系分散体を得た。この水系分散体に含まれる全固形分は11.0重量%であり、重合体粒子の平均粒径は0.05μmであった。また、水系分散体に含有される界面活性剤は2.2重量%と多量であった。そのため、この水系分散体を研磨剤の用途において使用した場合、発泡により取り扱いが困難であった他、研磨速度が低い等の問題があった。
【0035】
(2)磁気デイスク基板の研磨
実験例1〜3
実施例1において得られた水系分散体に含まれる重合体粒子が5重量%となるように水によって希釈し、これに研磨促進剤として硝酸アルミニウムを5%濃度となるように添加し、研磨剤を調製した。また、比較のため、コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名「スノーテックス20」)及びヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名「アエロジル#90」)をそれぞれ5重量%含む他は同一の組成の研磨剤を調製した。
【0036】
これらの研磨剤を用い、Ni−P無電解めっきを施したの3.5インチのアルミニウム磁気ディスク基板(1段研磨済)を研磨し、研磨速度及び研磨傷の有無を評価した。
<研磨条件>
研磨装置:ラップマスターSFT社製、型式「LM−15C」
研磨パッド:Rodel(米国)社製、商品名「ポリテックス DG」
加重:70g/cm2
定盤回転数:50rpm
研磨剤供給量:15ミリリットル/分
研磨時間:10分
【0037】
<評価方法>
研磨速度:研磨によるディスクの重量減から下記の式によって研磨速度を算出した。
研磨速度(nm/分)=[(W/d)/S]×107
W;1分間当たりのディスクの重量減
d;Ni−P無電解めっきの密度
S;被研磨面積
研磨傷:研磨したディスクを洗浄し、乾燥した後、暗室内でスポットライトを当て、目視で研磨傷の有無を観察した。評価基準は下記の通りである。
◎;研磨傷が観察されない
〇;研磨傷が僅かに観察される
×;問題となる大きさの研磨傷が複数観察される
以上の評価を結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1の結果によれば、実施例1の水系分散体を用いた研磨剤では、研磨速度が大きく、研磨傷もまったく観察されなかった。一方、無機粒子を含有する研磨剤では、研磨速度は十分であるものの、相当な大きさの研磨傷が複数観察され、実用上は問題であることが分かる。
【0040】
【発明の効果】
第1発明によれば、耐湿性、絶縁性、耐熱性、耐変色性に優れ、適度な硬度と強度とを有し、不純物が少ない重合体粒子を含む研磨剤が得られる。更に、第2発明によれば、十分な研磨速度を有し、被研磨面に傷が付くことのない研磨剤が得られる。
Claims (7)
- 架橋構造を有する平均粒径0.13〜0.8μmの重合体粒子を含み、界面活性剤の含有量が0.15重量%以下(ただし、0重量%を除く)である水系分散体を用いた研磨剤。
- 上記重合体粒子が親水基を有する請求項1記載の研磨剤。
- 本研磨剤に上記水系分散体が85重量%以上含有される請求項1又は2に記載の研磨剤。
- 上記親水基が、水酸基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、酸無水物基、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、リン酸基、リン酸基の塩、アミノ基、及びアミノ基の塩からなる群より選択される請求項2に記載の研磨剤。
- 上記水系分散体に含まれる上記重合体粒子は、0.1〜30重量%である請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の研磨剤。
- 上記重合体粒子は、架橋性単量体とその他の単量体とを共重合させることにより得られ、この共重合において、上記架橋性単量体は、5〜80重量%である請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の研磨剤。
- 上記水系分散体には、研磨促進剤として硝酸アルミニウムが含まれている請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の研磨剤。
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