JP4106755B2 - 写像型観察方法及び写像型荷電粒子線顕微鏡 - Google Patents

写像型観察方法及び写像型荷電粒子線顕微鏡 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば少なくとも一次元方向に広がった視野内の像を荷電粒子線を介して形成し、この像に基づいて試料を観察する写像型観察方法、及び写像型荷電粒子線顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より半導体デバイス等の試料の表面の微細な構造等を観察するために、電子顕微鏡が使用されている。従来の電子顕微鏡としては、試料上の一点に絞って照射された電子ビームを電磁的に2次元方向に走査することによって、所定の被検領域の観察を行う走査型電子顕微鏡(SEM)が主に使用されていた。しかしながら、このように試料上の一点に集束された電子ビームを走査する方式では、試料上の広い領域を観察するのにかなり長い時間を要するため検査効率が悪かった。そこで、例えばK.Tsuno:Ultramicroscopy 55,pp.127-140(1994) に開示されているように、試料上で例えば2次元的に広がった視野(被検領域)に電子ビームを照射して、電子光学系を介してその視野の拡大像を形成し、この拡大像に基づいて試料の観察を効率的に行う写像型電子顕微鏡が開発されている。このように試料上の一点ではなく、少なくとも一次元方向に広がった視野に電子ビームを照射して、その視野の像を形成する方式は「写像型」と呼ばれている。
【0003】
従来の写像型電子顕微鏡は、電子銃から発生した電子ビームを、照明レンズにより整形した後、ビームセパレータにより観察対象の試料に向けて偏向し、偏向された電子ビームを開口絞り、及びカソードレンズを介して試料表面の2次元的に広がる視野に照射していた。そして、試料から発生する2次電子、又は反射電子を、カソードレンズと試料との間に形成された減速電界により引き上げ、結像レンズを介してその視野の像を形成し、この像を電子検出系によって光学像に変換することにより、試料の観察を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く従来の写像型電子顕微鏡では、電子銃、照明レンズ、ビームセパレータ、開口絞り、及びカソードレンズ等から構成される照射系により観察対象の試料上の視野に電子ビームを照射していた。しかしながら、電子銃上での輝度むら、及び電子放出強度の角度依存性等によって、照射系を介して視野内に照射される電子ビームの強度分布が不均一であった。これを改善するために、ケーラー照明を行うことも考えられるが、ケーラー照明は電子銃の輝度むらを平均化できても、電子放出強度の角度依存性に関しては補正できないため、視野内での強度分布は例えばガウス型となってしまう。そのため、従来の写像型電子顕微鏡では、試料を観察して得られる画像の強度分布(輝度分布)が、その視野内に照射される電子ビームの強度分布の影響を含んだものとなってしまい、真の画像と異ったものになるという不都合が生じていた。また、画像の各部分毎の強度(輝度)の分析精度が低下する不都合もあった。
【0005】
これに対して、視野内における電子強度分布を平均化するために、ケーラー照明の照明領域を広くして、その照明領域中の有効照明領域の割合を小さくすることが考えられるが、この場合には照明強度が低下するという不都合があった。また、試料をクリティカル照明や、ケーラー照明とクリティカル照明との中間の照明により照明したとしても、視野内に照射される電子線の強度分布の形状が変化するだけであり、電子強度分布を平均化することはできなかった。更に、照射系を構成している電子光学系の幾何光学的収差や機械的製造誤差等の影響によって、視野内に照射される電子ビームの強度分布はより複雑な形状になっていたため、単にその強度分布をガウス型と仮定するのみでは実際の画像の強度分布を正確に補正することは困難であった。
【0006】
また、試料から発生する2次電子、又は反射電子の像を光学像に変換して検出する電子検出系は、製造誤差等により検出感度の不規則なばらつきを有しており、観察される画像の強度分布には、電子検出系の電子−光変換効率、光電変換効率等による検出感度分布のばらつきの影響も含まれていた。
本発明は斯かる点に鑑み、試料上の視野に電子ビーム等の荷電粒子線を照射してその視野の像を観察するに際して、その視野上に照射される荷電粒子線の強度分布のばらつきの影響を軽減して、その試料の実際の像にできるだけ近い像を観察できる写像型観察方法を提供することを第1の目的とする。
【0007】
更に本発明はその視野の像を観察するに際して、その視野の像を検出するための検出系の検出感度分布のばらつきの影響を軽減できる写像型観察方法を提供することを第2の目的とする。更に本発明は、そのような写像型観察方法を実施できる写像型荷電粒子線顕微鏡を提供することも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による写像型観察方法は、第1方向(X方向)への強度分布がガウス分布状である荷電粒子線(EB)を、試料(8)上のその第1方向とこの第1方向に垂直な第2方向(Y方向)とからなる2次元方向に広がり、その第1方向を長手方向とする視野(28)に照射する照射系(1〜7)と、その荷電粒子線の照射によりその試料から発生する荷電粒子線を集束してその視野内のその試料の像を形成する結像系(7〜5,10〜13)と、この結像系によって形成される像を画像信号に変換する検出系(21)とを用いてその試料を観察する写像型観察方法であって、その照射系の照明条件、及びその結像系の結像条件を所定の条件に設定する第1のステップ(101)と、この設定された条件のもとで、その照射系を介して均一な表面形状を有する基準試料(8A)を照射して、その基準試料とその視野とをその第2方向に相対走査しながら、その結像系及びその検出系を介してその視野内のその基準試料の像を変換し、この変換された画像信号をその第2方向に積算して平均化して得られる画像信号より、その照射系における荷電粒子線の強度分布及びその検出系における検出感度分布に応じた基準画像信号を生成して記憶する第2のステップ(102,103)と、その所定の条件のもとでその照射系、その結像系、及びその検出系を介して観察対象の試料の像を試料画像信号に変換し、この変換された試料画像信号をリアルタイムで、又は所定期間記憶した後に、その基準画像信号と演算して得られる信号に基づいてその試料を観察する第3のステップ(104〜106)と、その基準画像信号の更新を行うかどうか判定する第4のステップ(108)とを有するものである。
【0009】
斯かる本発明の写像型観察方法によれば、その視野(28)内の所定の計測方向に沿った位置をxとして、その視野内の基準試料(8A)の像を変換して得られる基準画像信号をI0m(x)、試料画像信号をI(x)とすると、これらは一例としてそれぞれ以下の式により表される。なお、その視野(28)内に照射される荷電粒子線の強度分布をG(x)、検出系(21)の検出感度分布をD(x)として、G(x)及びD(x)が一定(=1)であるような理想的な状態でその基準試料(8A)を観察したときの画像信号、即ち、真の基準画像信号をI(x)とし、真の試料画像信号をI(x)とする。
【0010】
0m(x)=G(x)・D(x)・I0(x) (1)
m(x)=G(x)・D(x)・I(x) (2)
そこで、試料画像信号Im(x)を基準画像信号I0m(x)で除算すると、真の基準画像信号であるI0(x)が一定値Cとみなせるため、その商はI(x)/Cとなり、真の試料画像信号I(x)に比例する信号が得られる。これによって、その照射系からその視野(28)に照射される荷電粒子線の強度分布のばらつき、及び検出系(21)の検出感度分布のばらつきの影響が全体として除去されるため、試料を真の状態に近い状態で観察することができる。
【0011】
次に、本発明の実施の形態に記載された別の写像型観察方法は、荷電粒子線(EB)を試料(8)上の少なくとも一次元方向に広がった視野(28)に照射する照射系(1〜7)と、その荷電粒子線の照射によりその試料から発生する荷電粒子線を集束してその視野内のその試料の像を形成する結像系(7〜5,10〜13)と、この結像系によって形成される像を画像信号に変換する検出系(21)とを用いて試料を観察する写像型観察方法であって、その照射系の照明条件を所定の条件に設定する第1のステップ(202)と、この設定された条件のもとでその照射系(1〜7)を介してその視野を照射した状態で、この視野内におけるその荷電粒子線の強度分布を測定し、この強度分布に応じた基準画像信号を生成して記憶する第2のステップ(203,204)と、その所定の条件のもとでその照射系、その結像系、及びその検出系を介して観察対象の試料の像を試料画像信号に変換し、この変換された試料画像信号をリアルタイムで、又は所定期間記憶した後に、その基準画像信号と演算して得られる信号に基づいてその試料を観察する第3のステップ(205〜207)とを有するものである。
【0012】
この別の写像型観察方法によれば、上記の照射系によってその視野内に照射される荷電粒子線の強度分布G(x)に比例する基準画像信号が生成される。そこで、例えばその試料画像信号をその基準画像信号で除算することによって、その視野内の荷電粒子線の強度分布の影響を除去して試料を観察することができる。
【0013】
次に、本発明の写像型荷電粒子線顕微鏡は、第1方向(X方向)への強度分布がガウス分布状である荷電粒子線を、試料上のその第1方向とこの第1方向に垂直な第2方向(Y方向)とからなる2次元方向に広がり、その第1方向を長手方向とする視野(28)に照射する照射系(1〜7)と、その視野とその試料とをその第2方向に相対走査する走査機構(9)と、その荷電粒子線の照射によりその試料から発生する荷電粒子線を集束してその視野内のその試料の像を形成する結像系(7〜5,10〜13)と、この結像系によって形成される像を画像信号に変換するTDIセンサ(22)を備えた検出系(21)とを用いて試料を観察する写像型荷電粒子線顕微鏡であって、そのTDIセンサによってその第2方向に積算され平均化されて、その照射系におけるその荷電粒子線の強度分布及びその検出系における検出感度分布に応じた基準画像信号を記憶する記憶装置(18A)と、その照射系、その結像系、及びその検出系を介して観察対象の試料のその視野内の像を試料画像信号に変換する制御系(24)と、その照射系及びその結像系の条件に応じてその記憶装置から読み出された所定のその基準画像信号とその試料画像信号とを演算してその試料に対応する信号を生成する画像演算系(19)と、を有し、その制御系は、試料の観察終了後、その基準画像信号の更新を行うか、又は別の試料の観察を行うかどうかを判断するものである。
【0014】
斯かる本発明の写像型荷電粒子線顕微鏡によれば、その試料の代わりに均一な表面形状を有する基準試料を載置して基準画像信号を生成して記憶しておくことによって、本発明の写像型観察方法を実施することができる。更にその基準画像信号として視野内の荷電粒子線の強度分布に応じた信号を記憶しておくことで、上記の別の写像型観察方法が実施できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態につき図面を参照して説明する。
図1は、本例の写像型電子顕微鏡の概略構成を示し、この図1において、電子銃1から射出された電子ビームEBは、第1照明レンズ2、第2照明レンズ3、及び静電型の第1収差補正系4を介して整形された後、ビームセパレータ5によりXYステージ9上に載置された試料8の表面に対して垂直な方向に偏向される。照明レンズ2,3は静電レンズである。そして、ビームセパレータ5により偏向された電子ビームEBは、開口絞り6の開口の中心にクロスオーバ像を形成した後、カソードレンズ7と試料8との間に形成された減速電界によって減速され、試料8表面上の視野(被検領域)28をケーラー照明方式で照明する。電子銃1〜カソードレンズ7より照射系が構成されている。また、本例の試料8は、シリコン又はSOI(silicon on insulator)等のウエハ(wafer)であり、このウエハ上には半導体デバイスの回路パターンが形成されている。
【0016】
以下、試料8の表面に垂直な方向にZ軸を取り、試料8の表面に平行な平面内で図1の紙面に平行にX軸を、図1の紙面に垂直にY軸を取って説明する。この場合、試料8上の視野28は、Y方向の幅よりもX方向の幅の方が広い2次元的な細長い領域である(図2参照)。
そして、電子ビームEBの照射により試料8から発生した2次電子、又は反射電子(以下「被検電子」という)はカソードレンズ7と試料との間に形成されている減速電界によって引き上げられ、カソードレンズ7、開口絞り6の開口、及びビームセパレータ5を通過後、静電型の第2収差補正系10、電磁レンズよりなる第1結像レンズ11、及び静電型の第3収差補正系12を介して、中間結像面23に一旦視野28の像を形成する。そして、中間結像面23を通過した被検電子は静電レンズよりなる第2結像レンズ13を介してMCP(Micro Channel Plate)14の入射面に視野28の拡大像を形成する。この被検電子による拡大像はMCP14の射出面の蛍光面14aで蛍光による像(光学像)に変換される。蛍光面14aを発した光束は光学レンズ15を介して、TDI(Time Delay Integration)方式のCCD型の撮像素子(以下、「TDIセンサ」という。)22の撮像面に視野28内のパターンの光による拡大像を形成する。なお、試料8に入射する電子ビームと試料8からの被検電子とを分離する分離系としてのビームセパレータ5としては、例えばK.Tsuno:Ultramicroscopy 55,pp.127-140(1994) に開示されているように、所定の電界及び磁界を発生するウィーン・フィルタ(Wien filter)を使用することができる。
【0017】
Z軸に平行な光軸AXに沿って配列されたカソードレンズ7〜第2結像レンズ13より結像系が構成され、MCP14、光学レンズ15、及びTDIセンサ22より電子像を光による像に変換し、更に光電変換する電子検出系21が構成されている。そして、TDIセンサ22の各画素より出力された画像信号は、通常は画像信号処理部17からVRAM方式の画像メモリ18Bに格納され、所定範囲のデータが蓄積された後にマイクロプロセッサ及びRAM等からなる画像信号演算部19に順次読み込まれる。光学レンズ15としては、蛍光面14aの像を全体として、TDIセンサ22上に投影するレンズ系を使用してもよいが、その代わりに光ファイバー束を用いて、蛍光面14aの光をそのままTDIセンサ22上に導いてもよい。
【0018】
また、リアルタイムで演算を行う場合には、画像信号処理部17は、TDIセンサ22からの画像信号を直接その画像信号演算部19に供給する。画像信号演算部19は、その画像信号に記憶部18Aから読み出された基準画像信号を用いて後述する演算を施すことによってその画像信号のレベルを補正した後、所定の閾値で2値化する処理を施してCRTディスプレイ等の出力装置20に出力する。出力装置20にも画像メモリが備えられており、出力装置20の表示部には、例えば試料8の表面の欠陥部等が表示される。また、記憶部18Aとしては、磁気記憶装置とRAMとの組み合わせ等が使用される。
【0019】
観察対象の試料8が載置され、且つ例えば静電吸着方式で固定されているXYステージ9は、ベース25の上面に載置され、例えばリニアモータ方式でX方向、及びY方向に連続移動することができる。また、その連続移動によってステップ移動も行うことができる。そして、XYステージ9(試料8)の座標計測を行うために、XYステージ9の上端にX軸の移動鏡26m、及びY軸の移動鏡(不図示)が固定され、移動鏡26m等に対して、レーザ干渉計26よりレーザビームがそれぞれX軸及びY軸に沿って平行に照射されている。レーザ干渉計26では、戻されたレーザビームと対応する不図示の参照用のレーザビームとの干渉光を光電検出することによって、Xステージ9(試料8)のX座標及びY座標を検出する。この位置情報はコンピュータよりなる主制御系24に供給されており、主制御系24ではその位置情報に基づいて、ステージ駆動装置27を介してXYステージ9の移動速度や位置決め動作を制御している。
【0020】
そして、試料観察時には、図2(a)に示すように、試料8上で回路パターンが形成されている検査対象の領域は、視野28のX方向の幅よりわずかに小さいピッチでX方向に複数例の観察領域42A〜42Gに分割される。そして、図1の走査機構としてのXYステージ9を移動することによって、まず、試料8の観察領域42Aを軌跡41に沿って視野28に対して−Y方向に走査し、観察領域42Aの像を撮像する。次で、XYステージ9をステップ移動させて視野28の手前に観察領域42Bを移動させてから、観察領域42Bを視野28に対して+Y方向に走査することによって観察領域42Bの像を撮像する。このように、ステップ移動及び連続移動(走査)を繰り返して観察領域42A〜42Gを視野28で相対走査することによって、試料8上の検査対象の領域の全体の像を観察する。
【0021】
このように、試料8上を視野28でY方向(走査方向)に相対走査する際には、図1のTDIセンサ22は、視野28の像を相対走査に同期して走査方向に積分する。これによって、SN比の良好な画像信号が得られるが、以下ではこの原理につき説明する。
図3は、本例の写像型電子顕微鏡に使用されるTDIセンサ22を示し、この図3において、図2(a)のX方向、Y方向に対応する方向をそれぞれX方向、Y方向(走査方向)としている。TDIセンサ22は、視野28の像に対応して2次元のX方向に細長い画素領域を有し、この細長い画素領域はY方向に所定ピッチで配列された複数のラインL1 〜L3 より構成されており、ラインL1 〜L3 はそれぞれ複数の画素をX方向に所定ピッチで並べて構成されている。TDIセンサ22は、光軸AXの近傍に位置しているラインL3 の画素の画像信号(電荷)を任意のタイミングでX方向に読み出すことができると共に、その直後にラインL2 及びL1 の画像信号(電荷)を順次Y方向にラインL3 及びL2 に移動することができる。ラインL3 及びL2 ではその後に電荷の蓄積を開始するため、結果として画像信号は順次Y方向に積算されることになる。
【0022】
即ち、TDIセンサ22では、試料8を視野28、ひいてはTDIセンサ22に対して走査する際に、試料8上の同一の領域が視野28内で第1ラインL1 に対応する領域に入ったときから第3ラインL3 に対応する領域を出るまでの間に、TDIセンサ22が有しているラインL1 〜L3 の本数分(図3では3本分)だけ、その同一の領域を各ラインL1 〜L3 により順次撮像し、得られる画像信号を積算する。そして、TDIセンサ22の内部では、最終的にラインL3 で積算及び撮像により得られる画像信号(積算画像信号)を可変ゲインの増幅器32、及びA/D(アナログ/デジタル)変換器33を介して画像信号処理部17に供給する。そして、順次ラインL3 から出力される画像信号を例えば画像メモリ18Bに格納することによって試料8上の2次元領域の画像に対応する画像信号が構築される。
【0023】
図4は、視野28、ひいてはTDIセンサ22に対して試料8を走査しながら撮像するときの位置関係を示し、図4(a)において、TDIセンサ22の第1ラインL1 は、視野28内の試料8上のX方向の幅ΔXでY方向の幅ΔYの領域P1 の像を検出して画像信号を生成し、その画像信号を第2ラインL2 に転送する。次に、図4(b)に示すように、試料8がY方向にΔYだけ移動して領域P1 が第2ラインL2 と共役な領域に移動したときに、第2ラインL2 により領域P1 の像を検出して画像信号を生成する。この画像信号は第1ラインL1 から転送された画像信号に加算される形で生成され、第2ラインL2 の画像信号は第3ラインL3 に転送される。このとき、第1ラインL1 は、試料8上の領域P1 に隣接する幅ΔYの領域P2 の像を検出して画像信号を生成し、第2ラインL2 に転送する。そして、図4(c)に示すように、領域P1 が第3ラインL3 と共役な領域に移動したときに、第3ラインL3 は、先に第2ラインL2 から転送されて来た領域P1 の画像信号に加算する形で、領域P1 の像を検出して画像信号を生成する。この際に第2ラインL2 及び第1ラインL1 では、それぞれ領域P2 、及びこれに隣接する幅ΔYの領域P3 の像を撮像している。これによって、試料8上の幅ΔYの領域の画像信号が順次生成される。
【0024】
このように、TDIセンサ22を使用することによって、各ラインL1 〜L3 で生成された試料8上の同一領域の像の画像信号が積算されて出力されるため、試料8からの被検電子の量が小さい場合(SN比が小さい場合)であっても、比較的大きな信号レベルを持つ画像信号を得ることができる。また、電子検出系21中のMCP14の各画素毎、及びTDIセンサ22の各画素毎の検出感度のばらつきの影響が積算方向(Y方向)に関して平均化される利点がある。なお、本例では、説明の簡単のため、図3においてTDIセンサ22は、3×10個の画素を有するものとして説明を行ったが、TDIセンサ22は実際には、一例として100×1000個(100ライン×1000画素)程度の画素を有している。
【0025】
次に、本例の写像型電子顕微鏡を用いた試料の観察方法につき図9のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ステップ101において、観察対象の試料8を図1のXYステージ9上に載置して静電吸着等によって固定した後、照射系(電子銃1〜カソードレンズ7)、及び結像系(カソードレンズ7〜第2結像レンズ13)を調整して、試料8を観察するための電子ビームの強度(輝度)、視野の大きさ、及び観測倍率等の照明条件及び結像条件を設定する。これらの条件は、例えばオペレータが主制御装置24を介して設定する。このとき、例えば図5に示すように、電子検出系21より出力される画像信号Im(x)の信号レベルが、視野28内のX方向の幅の全域でSN比を十分な大きさにできる最小レベルImin以上で、TDIセンサ22の各画素の飽和レベルImax以下になるように、例えば電子銃1の輝度と視野28の大きさとを調整する。図5において、横軸はTDIセンサ22上のX座標を視野28上のX座標の値に換算した位置x、縦軸は位置xにおける画像信号Im(x)を示している。
【0026】
次に、ステップ102に進み、均一な表面形状を有する基準試料8AをXYステージ9上に載置して固定した後、その上の所定範囲の領域の像を撮像する。基準試料8Aとして、本例では試料8とほぼ同じ形状で表面の平面度の良好なシリコンウエハ(スーパーフラットウエハ)を使用する。なお、基準試料8Aとしては、所定の金属膜が蒸着されたスーパーフラットウエハ等を使用してもよい。基準試料8Aを撮像する際には、図1に示すXYステージ9を+Y方向(又は−Y方向)に移動することによって、図2(b)に示すように、基準試料8A表面上の矩形の観察領域43を視野28に対して走査しながらTDIセンサ22の画像信号を画像信号処理部17を介して画像信号演算部19に取り込む。この際に観察領域43をY方向に幅ΔY(図4参照)で分割して得られる複数の領域のそれぞれについて得られる複数ライン分の画像信号を、画像信号演算部19で平均化することによって、基準試料8Aの画像が有する若干の明るさのむらを走査方向に平均化して、均一度の高い基準試料8Aの画像信号を得ることができる。そして、ステップ103に進み、画像信号演算部19での平均化によって得られた画像信号を基準画像信号として記憶部18A内の例えばRAMに記憶する。
【0027】
なお、本例のTDIセンサ22は複数のラインの画素列を有するため、図2(b)に示す広い観察領域43を視野28に対して走査することなく、基準試料8Aを静止させた状態で視野28内の像をTDIセンサ22で一度に撮像するだけでよい。この場合、撮像後に図3に示すようにその複数ラインの画像信号を一列ずつY方向に移動させてからX方向に読み出す動作を繰り返し、順次読み出される画像信号を平均化することによって、視野28内でY方向に平均化された基準画像信号が得られる。
【0028】
ここで、視野28内のX座標に沿った位置をxとして、位置xでの上記の照射系による電子ビームの強度分布をG(x)、位置xと共役な位置での電子検出系21の各画素毎の検出感度分布をD(x)とする。そして、強度分布G(X)及び検出感度分布D(x)がそれぞれ一定(=1とする)である理想的な状態で基準試料8Aを観察したときの基準画像信号をI0(x)とすると、実際に基準試料8Aから得られる基準画像信号I0m(x)は、次式により表される。
0m(x)=G(x)・D(x)・I0(x) (3)
【0029】
なお、基準試料8Aの一部領域に、観察対象の試料8に形成されている回路パターンと同様なパターンを形成しておいてもよい。この場合には、基準試料8A上でそのパターンが形成された領域を利用してステップ101の観測条件の設定を行い、その後、XYステージ9を移動して基準試料8A上でパターンが形成されていない領域を視野28内に移動するのみで、ステップ102及び103の基準画像信号の生成を行うことができる。なお、試料8と基準試料8Aとの画像の差(欠陥部等)を測定する場合には、基準試料8Aは必ずしも均一な表面形状を有するものでなくともよい。
【0030】
次に、ステップ104に進み、観察対象の試料8をXYステージ9上に載置して固定した後、図2(a)に示すように視野28に対して試料8を走査することによって、試料8上の検出対象の領域の像を順次撮像し、その検出対象の領域をX方向の幅ΔX、Y方向の幅ΔYで分割した複数の領域(図4参照)の像をそれぞれ画像信号に変換する。個々の領域毎に変換される画像信号は、それぞれ視野28内のX方向の位置xの関数と見なすことができるため、それらの画像信号を代表的に試料画像信号Im(x)と呼ぶ。試料画像信号Im(x)は、例えば画像メモリ18Bに順次格納される。
【0031】
ここで、試料8を視野28内の電子ビームの強度分布G(x)、及び電子検出系21の検出感度分布D(x)がそれぞれ一定(=1)の理想的な状態で観察したときの試料画像信号をI(x)とすると、実際の試料画像信号Im(x)は、次式により表される。
m(x)=G(x)・D(x)・I(x) (4)
そして、ステップ105に進み、図1の画像信号演算部19は、画像メモリ18Bから順次読み出した試料画像信号Im(x)をそれぞれ記憶部18Aから読み出した基準画像信号I0m(x)で除算して次のようにその商信号S(x)を求める。この際に、(3)式、(4)式が使用されている。
S(x)=Im(x)/I0m(x)
=I(x)/I0(x) (5)
【0032】
ここで、基準画像信号I0(x)は、一定値Cとみなすことができ、商信号S(x)は次式のように理想的な状態で得られる試料画像信号I(x)に比例する形で表される。
S(x)=Im(x)/C (6)
以上のように、実際の試料画像信号Im(x)を基準画像信号I0m(x)で除算してその商信号S(x)を求めることにより、視野28内の電子ビームの強度分布G(x)、及び電子検出系21の検出感度分布D(x)の影響を除去することができる。なお、(5)式の除算を行う代わりに基準画像信号I0m(x)の逆数1/I0m(x)を画像信号演算部19において求めて記憶部18Aに記憶しておき、その逆数と試料画像信号Im(x)との積を求めるようにしてもよい。また、次式で表されるように、商信号S(x)に規格化係数C0を掛けることによって、信号レベルの調整を任意に行うようにしてもよい。
【0033】
C0・S(x)=I(x)・C0/C (7)
そして、ステップ106に進み、画像信号演算部19は、信号レベルを補正した商信号S(x)又はC0・S(x)を図6に示すように、所定の閾値レベルSL以上の部分でハイレベル”1”となり、その閾値レベルSLより小さい部分でローレベル”0”となる画像信号S(x)’を生成し、この画像信号S(x)’を出力装置20に供給する。出力装置では、画像信号S(x)’がハイレベル”1”、及びローレベル”0”となる部分をそれぞれ明部及び暗部として表示部に表示する。
【0034】
出力装置20で、図2(a)の試料8上の検査対象の領域に対応する画面で、それぞれ2値化した画像を表示することによって、例えば回路パターンの欠陥がある部分は明部として表示されるため、どの部分に欠陥があるかを容易に、かつ高速に識別することができる。例えば図6の商信号S(x)では位置x1,x2,x3に欠陥があることが分かる。そして、ステップ107で別の試料を観察しない場合には、観察を終了し、別の試料を観察する場合には、ステップ108で基準画像信号の更新を行うかどうかを判定し、基準画像信号の更新を行わないときにはステップ104に戻り、別の観察対象の試料をXYステージ9上に載置して観察する。また、基準画像信号の更新を行う場合には、ステップ108からステップ101に戻り、観察のための照明条件、及び結像条件の設定を再び行う。なお、視野28内の電子ビームの強度分布G(x)、及び電子検出系21の検出感度分布D(x)は、写像型電子顕微鏡の使用時間に伴って徐々に変化することがあるため、定期的に基準画像信号の更新を行うことが望ましい。
【0035】
上述のように本例によれば、照射系による電子ビームの強度分布、及び電子検出系21の電子−光変換効率や光電変換効率等のばらつきに起因する検出感度分布のばらつきの影響が除去されており、試料8の真の状態に近い像を正確に観察することができる。また、本例では視野28に対する電子ビームのX方向への強度分布はほぼガウス分布状となっている。この場合、図1のMCP14の蛍光面14aの中央部で電子ビームの強度分布が大きくなるため、その中央部で検出感度の低下(ゲイン低下)が起こり易い。しかしながら、このようにその蛍光面14aの中央部で検出感度が低下しても、本例では基準画像信号を用いることによってその検出感度の低下の影響が考慮されるため、常に試料8の正確な像を観察できる利点がある。
【0036】
なお、上述の演算による試料画像信号の信号レベルの補正、所定の閾値を用いた2値化処理、及び出力装置20による画像出力は所定量のデータを蓄積した後で、まとめて行っているが、その代わりに図4(a)の幅ΔX×幅ΔYのスリット状の領域(1ライン分の領域)の画像信号が得られる毎にリアルタイムで行ってもよい。
【0037】
また、本例では、電子検出系21の撮像素子としてTDIセンサ22を使用したが、その撮像素子として2次元配列された画素を有するCCD型等の撮像素子や、CCD型等のラインセンサを使用する場合にも本発明を適用することができる。
その撮像素子として、例えば図2(a)の試料8上の視野28に対応する領域でY方向に対応する方向にn列の(n=2,3,4,…)ラインに亘って配列された画素列を有し、各ラインの画像信号を独立にX方向に対応する方向に読み出すことができる2次元の撮像素子を用いた場合につき、簡単に説明する。この場合、視野28のY方向の幅をΔYTとすると、先ず図2(b)の基準試料8Aを静止させた状態で視野28の像を撮像し、その撮像素子のnラインの画素列からそれぞれ読み出されるn個の画像信号を、n個の基準画像信号として記憶する。次に試料8の観察を行う際には、図2(a)において、試料8をY方向にΔYTだけステップ移動する毎に、その2次元の撮像素子で視野28内のパターンの像を撮像する。そして、Y方向の幅ΔYTの領域毎に、その撮像素子のnラインの画素列から得られる試料画像信号をそれぞれ対応するn個の基準画像信号で除算することによって、電子ビームの強度分布や検出感度分布の影響が補正される。このように2次元の撮像素子を用いると、試料8の観察を短時間に効率的に行うことができる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施の形態につき図7、図8及び図10を参照して説明する。本例の写像型電子顕微鏡は、第1の実施の形態に対して視野28内の電子ビームの強度分布G(x)、及び電子検出系21の検出感度分布D(x)の測定機構を設けたものであり、図7、及び図8において図1に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
【0039】
図7(a)は、本例の写像型電子顕微鏡の下部を拡大して示し、この図7(a)において、XYステージ9上の試料8の近傍には電子ビームの強度分布G(x)を測定するためのファラデーカップ29が絶縁体30を介して設けられている。強度分布計測系としてのファラデーカップ29の検出信号は、電流検出部31を介して画像信号演算部19に供給されている。画像信号演算部19には、図1のレーザ干渉計26によって計測されるXYステージ9のX座標、Y座標も供給されている。ファラデーカップ29は、電子ビームEBの照射を受け、その強度(電流)を測定するものであり、強度分布G(x)を測定する際には、XYステージ9を駆動してファラデーカップ29を視野28の端部に移動し、視野28をX方向に横切るようにファラデーカップ29をX方向に走査し、得られる電流をX方向の位置xの関数として記憶する。なお、ファラデーカップ29の分解能(X方向の幅)は電子検出系21の分解能(各画素の幅)より大きい(粗い)ため、ファラデーカップ29により測定される強度分布G(x)については位置xについて適宜内挿することが望ましい。
【0040】
次に、本例の写像型電子顕微鏡を使用した観察方法につき図10のフローチャートを参照して説明する。先ず、ステップ201において、本例の写像型電子顕微鏡に電子検出系21を設置する前に、電子検出系21の検出感度分布D(x)を予め測定しておく。図8(b)は、本例における検出感度分布D(x)の測定の様子を示し、この図8(b)において、電子検出系21はX方向に連続移動することができるステージ37上に載置されている。そして、電子検出系21の検出感度分布D(x)を測定する際には、ステージ37を駆動して電子検出系21をX方向に走査しながら、電子銃を含む電子ビーム照射装置34より、電磁レンズよりなる照明レンズ35及びアパーチャ板36を介してMCP14の照射面に電子ビームEBを照射し、電子検出系21の走査が終了してからTDIセンサ22から読み出される画像信号を、図1の画像信号処理部17を介して画像信号演算部19に出力する。画像信号演算部19は、図8(a)に示すように、その画像信号を視野28上のX方向の位置xに対応する位置の関数D(x)として記憶部18Aに格納する。その関数D(x)が検出感度分布となる。これによって、実質的に均一な強度分布を有する電子線を照射した場合と同様な効果が得られ、電子検出系21の検出感度分布D(x)を正確に測定することができる。
【0041】
次に、ステップ202に進み、第1の実施の形態と同様に、試料8を観察するための結像条件、及び照明条件を設定する。そして、ステップ203に進み、図7(a)に示すように、XYステージ9を移動してファラデーカップ29をX方向に走査しながら、視野28内の電子ビームの強度分布を測定する。即ち、画像信号演算部19は、ファラデーカップ29を介して検出される電流を、図7(b)に示すように視野28内のX方向の位置xの関数G(x)として記憶部18Aに記憶させる。その関数G(x)が入射する電子ビームの強度分布となる。そして、ステップ204において、画像信号演算部19は、ステップ201で測定した電子検出系21の検出感度分布D(x)と視野28に対する電子ビームの強度分布G(x)との積を求め、この積G(x)・D(x)を基準画像信号として記憶部18Aに記憶させる。
【0042】
次に、ステップ205において、第1の実施の形態と同様に、観察対象の試料8をXYステージ9上に載置して視野28に対して走査して、試料8の像を試料画像信号Im(x)に変換する。そして、ステップ206において、試料画像信号Im(x)を基準画像信号G(x)・D(x)で除算して商信号S’(x)を求めることで、試料画像信号Im(x)の信号レベルの補正を行う。試料画像信号Im(x)は、上述の(4)式によって表されるため、その商信号S’(x)は真の試料画像信号I(x)となる。従って、視野28内の電子ビームの強度分布G(x)、及び電子検出系21の検出感度分布D(x)のばらつきの影響を除去した試料画像信号を得ることができる。
【0043】
そして、ステップ207において、信号レベルを補正した商信号S’(x)を例えば所定の閾値で2値化して出力装置20に出力する。これによって、欠陥部等が表示される。そして、同じ条件で別の試料を観察する場合には、ステップ208,209を経てステップ205に戻り、別の試料をXYステージ9に載置する。一方、基準画像信号の更新を行う場合には、ステップ209からステップ202に戻り、観察のための照明条件、及び結像条件を再び設定し、次で視野28内の電子ビームの強度分布を測定する。
【0044】
このように本例によれば、視野28内の電子ビームの強度分布G(x)、及び電子検出系21の検出感度分布D(x)が直接高精度に計測されているため、それらの補正を行うことで試料8の実際の回路パターンの状態を高精度に観察できる。また、強度分布G(x)を高精度に計測しているため、図7(b)において、中央の幅Lの比較的強度分布が平坦な領域のみならず、より広い幅Wの領域を視野28として使用できる。従って、測定効率を更に向上できる。
【0045】
なお、上記の実施の形態では荷電粒子線として電子ビームが使用されているが、荷電粒子線としてイオンビーム等を使用する場合にも本発明を適用することができる。
このように、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0046】
【発明の効果】
本発明の写像型観察方法によれば、視野内の荷電粒子線の強度分布及び荷電粒子線の検出系の検出感度分布のばらつきの影響を軽減して、試料をより実際の像に近い状態で観察することができる利点がある。
【0047】
次に、本発明の写像型荷電粒子線顕微鏡によれば、本発明による写像型観察方法を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態において使用される写像型電子顕微鏡を示す概略構成図である。
【図2】 (a)は、図1の視野28に対して試料8を走査して観察する際の説明に供する平面図、(b)は、基準試料8Aを示す平面図である。
【図3】 図1のTDIセンサ22を示す図である。
【図4】 TDIセンサ22を用いて視野28内の像を撮像する際の動作の説明に供する図である。
【図5】 図1の視野28内の試料の画像信号の一例を示す図である。
【図6】 画像信号を2値化処理する際の説明に供する図である。
【図7】 (a)は、本発明の第2の実施の形態の写像型電子顕微鏡の要部を示す一部を切り欠いた構成図、(b)は、図7(a)のファラデーカップ29により測定される視野28内の電子ビームの強度分布G(x)の一例を示す図である。
【図8】 (a)は、電子検出系の検出感度分布D(x)の一例を示す図、(b)は、電子検出系の検出感度分布の測定機構の一例を示す図である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態の写像型電子顕微鏡を使用して試料を観察する際の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】 本発明の第2の実施の形態の写像型電子顕微鏡を使用して試料を観察する際の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
EB…電子ビーム、1…電子銃、5…ビームセパレータ、6…開口絞り、7…カソードレンズ、8…試料、8A…基準試料、9…XYステージ、14…MCP、15…光学レンズ、17…画像信号処理部、18A…記憶部、18B…画像メモリ、19…画像信号演算部、20…出力装置、21…電子検出系、22…TDI方式のCCD型の撮像素子、28…視野

Claims (6)

  1. 第1方向への強度分布がガウス分布状である荷電粒子線を、試料上の前記第1方向と該第1方向に垂直な第2方向とからなる2次元方向に広がり、前記第1方向を長手方向とする視野に照射する照射系と、前記荷電粒子線の照射により前記試料から発生する荷電粒子線を集束して前記視野内の前記試料の像を形成する結像系と、該結像系によって形成される像を画像信号に変換する検出系と、を用いて試料を観察する写像型観察方法であって、
    前記照射系の照明条件及び前記結像系の結像条件を所定の条件に設定する第1のステップと、
    該設定された条件のもとで、前記照射系を介して均一な表面形状を有する基準試料を照射して、前記基準試料と前記視野とを前記第2方向に相対走査しながら、前記結像系及び前記検出系を介して前記視野内の前記基準試料の像を変換し、該変換された画像信号を前記第2方向に対応する方向に積算し平均化して得られる画像信号より、前記照射系における前記荷電粒子線の強度分布及び前記検出系における検出感度分布に応じた基準画像信号を生成して記憶する第2のステップと、
    前記所定の条件のもとで前記照射系、前記結像系、及び前記検出系を介して観察対象の試料の像を試料画像信号に変換し、該変換された試料画像信号をリアルタイムで、又は所定期間記憶した後に、前記基準画像信号と演算して得られる信号に基づいて前記試料を観察する第3のステップと、
    前記基準画像信号の更新を行うかどうか判定する第4のステップとを有することを特徴とする写像型観察方法。
  2. 請求項に記載の写像型観察方法であって、
    前記検出系は前記第1方向に対応する方向に沿って配列された複数の画素を有し、前記複数の画素の感度のばらつきを予め測定して、該測定されたばらつきに応じた感度分布を求めておき、
    前記第2のステップにおいて、前記強度分布の測定結果と前記感度分布との積に基づいて前記基準画像信号を生成することを特徴とする写像型観察方法。
  3. 請求項1または2に記載の写像型観察方法であって、
    前記第3のステップにおいて、前記試料画像信号を前記基準画像信号で除算することを特徴とする写像型観察方法。
  4. 第1方向への強度分布がガウス分布状である荷電粒子線を、試料上の前記第1方向と該第1方向に垂直な第2方向とからなる2次元方向に広がり、前記第1方向を長手方向とする視野に照射する照射系と、
    前記視野と前記試料とを前記第2方向に相対走査する走査機構と
    前記荷電粒子線の照射により前記試料から発生する荷電粒子線を集束して前記視野内の前記試料の像を形成する結像系と、
    該結像系によって形成される像を画像信号に変換するTDIセンサを備えた検出系と、を用いて試料を観察する写像型荷電粒子線顕微鏡であって、
    前記TDIセンサによって前記第2方向に対応する方向に積算され平均化されて、前記照射系における前記荷電粒子線の強度分布及び前記検出系における検出感度分布に応じた基準画像信号を記憶する記憶装置と、
    前記照射系、前記結像系、及び前記検出系を介して観察対象の試料の前記視野内の像を試料画像信号に変換する制御系と、
    前記照射系及び前記結像系の条件に応じて前記記憶装置から読み出された所定の前記基準画像信号と前記試料画像信号とを演算して前記試料に対応する信号を生成する画像演算系と、を有し、
    前記制御系は、試料の観察終了後、前記基準画像信号の更新を行うか、又は別の試料の観察を行うかどうかを判断することを特徴とする写像型荷電粒子線顕微鏡。
  5. 請求項に記載の写像型荷電粒子線顕微鏡であって、
    前記視野内の前記荷電粒子線の強度分布を計測する強度分布計測系を更に備えたことを特徴とする写像型荷電粒子線顕微鏡。
  6. 請求項に記載の写像型荷電粒子線顕微鏡であって、
    前記荷電粒子線の前記第1方向の強度分布を測定するためのファラデーカップを有することを特徴とする写像型荷電粒子顕微鏡。
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