JP4105898B2 - ラベルの廻り防止容器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、胴部の全周にわたり、これを飾る(加飾する、デコレ―ト)ラベルとしての熱収縮性フィルムやストレッチフィルム(以下この発明ではこれらを総称して収縮性フィルムという)を装着した容器、更に詳しくはこの収縮性フィルムの周方向の位置ずれをうまく防止するラベルの廻り防止容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、容器の胴部には、種々のデザインと合せてブランド表示や製品名、更には宣伝文句、インタラプタ、使用方法や使用上の注意書などを各種の情報が盛り込まれた、主として飾りとしての機能を備えた熱収縮性フィルム(例えばシュリンクフィルム)を素材にしたラベルが装着されている。
【0003】
このラベルは、一般的には筒状に形成されていて、容器の胴部に外嵌された後に、適宜の手段で熱が加えられることによって収縮し、もって胴部にぴったりと密着させるものである。この熱収縮性のフィルムを胴部に装着させると、容器自体の強度が高まるため、古くから多用されている。特に容器製造に要する樹脂使用量を大幅に削減でき、所謂薄肉ボトルを得ることができる上で有効な手段である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この熱収縮性フィルムは装着当初は胴部表面に密着して、本来の機能をうまく発揮するのであるが、短時日の内に胴部表面で右に寄ったり左に寄ったりする現象が現われていることがわかった。その結果、本来は容器の正面に位置すべきラベルの正面が、容器の側面や裏面にずれ動いてしまっていて、ラベル本来の装飾機能が大きく損なわれ、見栄えも悪くなる。特に、胴部の横断面形状が、少なくともコーナー部分が滑らかな丸みを備えた正方形又は長方形、更には楕円形などの場合には、そのずれの頻度も高くなる。
【0005】
この欠点を解消するために、熱収縮性フィルムの内面に予め感熱タイプの粘着剤を部分的に塗着しておき、熱収縮性フィルムを収縮させるための熱によって、この粘着剤を共に溶融させて容器の表面に熱収縮性フィルムを貼着させる手段が採用されている。
【0006】
しかし、この感熱タイプの粘着剤を採用する手段によると、熱収縮性フィルムの移動はうまく阻止できるが、粘着剤の感熱温度は、熱収縮性フィルムの収縮温度よりも遥かに高温であるため、この熱収縮性フィルムの熱条件を粘着剤の感熱温度まで上昇させる必要性がある。その結果、プラスチック容器も、この粘着剤の感熱温度に耐える強度(樹脂肉厚)が必要となり、これが樹脂容器の樹脂使用量削減の一つのネックになっていた。
【0007】
そこで、本発明者等は、熱収縮性フィルムのラベルを採用した所期の目的である樹脂使用量の削減を意図し、原点に立ち返って種々考察を加えた結果、粘着剤の採用は排除しながら収縮性フィルムの滑り移動をうまく阻止し、以って本来の樹脂使用量を削減できる方途を模索した。
【0008】
先の考察の結果から、この熱収縮性のフィルムが胴部周りでずれ動くのは、容器の胴部がその全周面にわたって平滑な面であることに原因があることは知得していた。そして胴部を平滑にしている理由が、熱収縮性のフィルムを胴部に密着させる必要上、凹凸のない胴部が理想的であり、フィルムが胴部に密着すれば、必然的にフィルムのずれ動きはなくなるという固定観念からきている点も理解された。そこで、これらの考察の結果をもとに、本発明者等は更に検討を加えた結果、直角のコーナー部を備えた容器では、この鋭角なコーナー部が滑り抵抗になってフィルムの移動を阻止し、位置ずれの頻度も少なくなっているという事実を知得するに至った。つまり、全周にわたって平滑な胴部が備わった容器では、胴部と熱収縮性フィルムはその全域において面接触することから、この熱収縮性のフィルムに掛かる胴部表面との摩擦抵抗はいずれの位置においても等しく、その結果、外力に対して大変脆く、胴部回りで簡単に回転してしまうのである。これらの考察、検討の結果から、本発明者等は、胴部が平滑であることはかえってフィルムの滑りを促してしまうこと、そして鋭角な角を備えた胴部に装着されたフィルムは比較的滑りにくいという事実に鑑み、滑り抵抗が必須の要件であることを知るに至った。
【0009】
そこで本発明者等は、このような観点から、全く新奇なラベルの廻り防止容器を提供するもので、感熱タイプの粘着剤を用いず、収縮性のフィルムを容器の胴部に外嵌させて収縮させるだけで、その胴部周りの位置ずれをうまく防止できるようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の技術的な課題を解決するために、この発明の請求項1に記載されたラベルの廻り防止容器は、胴部の全周にわたりこれを飾るラベルとしての収縮性フィルムが装着されている合成樹脂製の容器であって、胴部の横断面形状はほぼ長方形状を呈し、長方形状の各角部が滑らかな丸みを備えた形状を有し、この角部に前記収縮性フィルムの抗張力により摩擦抵抗を増大させ、その周方向の位置ずれを防止するための外方に向かう突部が胴部の上下方向に沿って備わり、この突部の頂部が胴部の横断面形状で曲面状に形成され、前記収縮フィルムが装着されている状態で、前記突条の突部が前記収縮フィルムと周方向で部分的に線接触しているものである。
【0011】
【作用】
以上の構成によるラベルの廻り防止容器においては、胴部の横断面形状はほぼ長方形状を呈し、長方形状の各角部が滑らかな丸みを備えた形状を有し、この角部に前記収縮性フィルムの抗張力により摩擦抵抗を増大させ、その周方向の位置ずれを防止するための外方に向かう突部が胴部の上下方向に沿って備わり、この突部の頂部が胴部の横断面形状で曲面状に形成され、前記収縮フィルムが装着されている状態で、前記突条の突部が前記収縮フィルムと周方向で部分的に線接触することによって、収縮性フィルムに、周方向で部分的に胴部と上下方向に沿って連続して線接触したり、断続的に点接触する部分が形成される。その結果、収縮して張りが生じた収縮性フィルムに、この線接触や点接触する部分が、他の面接触する部分よりも大きな摩擦抵抗を与えるように働く。
【0012】
【発明の効果】
この発明の請求項1に記載されたラベルの廻り防止容器は、以下の効果を奏する。
収縮性フィルムに、周方向で部分的に胴部と上下方向に沿って線接触や断続した点接触する部分を形成して、収縮して張りが生じた収縮性フィルムに、この線接触や点接触する部分により、他の面接触する部分よりも大きな摩擦抵抗を与えることができるので、つまり、角部に形成された突部の頂部に上下方向に沿って線接触や点接触することになり、感熱タイプの粘着剤を使用しなくてもラベルの胴部周りの位置ずれを阻止できる。したがって、胴部と収縮フィルムを全域にわたって面接触させる従来の構造と違って、先ず感熱タイプの粘着剤が不要となり、ラベルを容器の胴部に装着する作業が大変簡略化され、しかも容器製造のための樹脂使用量を削減できる。併せて、胴部に設けられた突部が容器の補強構造として機能することになる。その結果、容器製造のための樹脂使用量を一層大幅に削減でき、より一層廉価に製造、提供できる。
【0013】
また、この発明に係るラベルの廻り防止容器は、請求項2に記載されるように、収縮性フィルムは、前記胴部の角部の滑らかな丸みを備えた領域において面接触して密に被嵌合され、前記突部の存在部分においては、部分的に線接触しているのが望ましい。
突部の機能が最も効果的に発揮され、また、収縮性フィルムに摩擦抵抗を与える機能も最も効果的に発揮されるからである。
【0014】
つまり、角部が鋭角でない容器は、鋭角な角部を備える容器に比べて遥かにこの収縮性フィルムが位置ずれしやすいから、このような容器に適用されるのが最も望ましい。
【0015】
また、突部が形成される部位が、滑らかな丸みを備えた角である理由は、一般的に前面や背面の容器の長辺となる部位よりも短辺である方が、収縮性フィルムの単位長さの伸びの比率が遥かに小さくなり、突部の機能がより効果的に発揮されるからである。理想的には、この滑らかな丸みを備えた角部の中央位置に設けられるのが望ましい(請求項4)。位置ずれをさせる応力が左右いずれの方向から負荷されても、等しく対抗できるため、より位置ずれ防止機能が効果的に発揮されるからである。
【0016】
更に、この発明に係るラベルの廻り防止容器は、突部として突条や断続的な突起(請求項3)が採用される。
この発明で突条は、図4に示されるように、容器の胴部壁を一体に外方に膨出させ、容器内方に向う凹部を備えた形状の他、図5に示されるように、平滑な胴部外面に中実の突条を一体に設けたものも意味する。同様に突起も容器の胴部壁から一体に外方に膨出させたり、平滑な胴部外面に一体に突設させたものを意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明に係るラベルの廻り防止容器の第1の実施形態を図1〜5の記載に基づいて説明する。
このラベルの廻り防止容器1は、図2に示されるように、上部に着脱自在なキャップ2が被された口部3を備えて、この口部3から肩部4、そしてこれに連なる胴部5から腰部6を経て底部7を備え、合成樹脂を素材にして一体成形されている。
【0018】
前記胴部5は、その上下には傾斜段部8を介して前記肩部4、腰部6が連なり、これら肩部4、腰部6よりもやや細径に形成されている。また、この胴部5の断面形状は、図3に示されるように、各角部9が滑らかな丸みを備えて形成された、ほぼ長方形状を呈している。そして、この四つの角部9の内、容器の軸心を中心にして対峙する二つの角部9aの中央で、この胴部5の上下方向の全長、つまり傾斜段部8間にわたり、突部10の一例としての外方に膨出するリブ11が、この胴部5の壁5aに一体に設けられている。
【0019】
前記リブ11は、図1、図4に示されるように、胴部5の壁5aを一体に外方に膨出させて、内方に容器内部に開放される凹部12が備わった形状を呈している。
なお、このリブ11は、図示される構造の外にも、図5に示されるように、中実の突条13が胴部5の壁5aの外面に一体に設けられる構成を採用できる。
いずれにしても、容器1の胴部5の強度アップを可能にし、容器製造にあたり、その樹脂使用量を大幅に削減でき、薄肉容器とするには有効な手段である。
【0020】
以上のように構成された胴部5には、図1、図4〜5に示されるように、前記リブ11や突条13で構成される突部10を含めて、熱収縮性フィルム14、具体的にはシュリンクフィルムが胴部5の全周にわたって被嵌される。言うまでもなく、このシュリンクフィルム14は、加熱することによって収縮し、胴部5に密着する。
【0021】
このように、胴部5の丸くアールを備えた形状に形成された角部9aに突部10が備わっているので、シュリンクフィルム14は、収縮して胴部5周りを密に被嵌すると、この突部10の存在部分においては、従来の全周にわたり面接触するのと違って、部分的に線接触Lすることになる(図1参照)。その結果、収縮して張りが生じたシュリンクフィルム14に、この突部10の存在部分、つまりは線接触Lする部分において、これ以外の面接触Sする部分よりも大きな摩擦抵抗が与えられることになる。したがって、シュリンクフィルム14が不用意に周方向に位置ずれを起こす不都合をうまく防止でき、常に容器1の正面に正しくラベル(シュリンクフィルム14)の正面を位置させておける。
また、シュリンクフィルム14で胴部5を覆うことに加えて突部10の存在によって、容器1の一層の強度アップを図ることができる。したがって、容器製造に必要な樹脂使用量を、単にシュリンクフィルム14のみを採用する構造に比べて、更に大幅に削減でき、強度を落とすことなく、廉価に製造、提供できる。
【0022】
(第2の実施の形態)
なお、前記突部10は、図1〜5に示される構造に代えて、図6に示されるように、断続的な突起15も採用できる。この突起15は、図示しないが、先のリブ11と同様に、胴部5の壁5aを一体に外方に膨出して形成したり、突条13と同様に中実に形成したりすることができる。この手段によると、シュリンクフィルム14は、この断続的な突起15には、縦方向に沿って断続して点接触することになるが、上記図1〜5に示される実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0023】
また、この発明において胴部の断面形状は、図示のように長方形で、突部10を設ける位置は、望ましくは少なくとも短辺側に設けられれば、所期の目的を理想的に達成できる。
【0024】
なお、上記各実施の形態においては、ラベルの素材としてシュリンクフィルム14、つまりは熱収縮性のフィルムを採用した例が記載されているが、この発明ではこの熱収縮性のフィルムに限らず、例えばストレッチフィルムも適用できる。要するに、収縮することで抗張力が働き、胴部5に設けられた突部10との間の摩擦抵抗が増大し、周方向の位置ずれをうまく防止されるような素材であれば如何ようなフイルムも採用されることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態におけるラベルの廻り防止容器の要部の一部切欠き拡大断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態におけるラベルの廻り防止容器の正面図である。
【図3】 この発明の実施の形態におけるラベルの廻り防止容器を示し、図2A−A断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態におけるラベルの廻り防止容器の要部一部切欠き断面図である。
【図5】 この発明の実施の形態におけるラベルの廻り防止容器の要部一部切欠き断面図である。
【図6】 この発明の第2の実施の形態におけるラベルの廻り防止容器の一部切欠き正面図である。
【符号の説明】
1…容器,5…胴部,9a…角部,10…突部,11…リブ,13…突条,14…熱収縮性のフィルム,15…突起,L…線接触,S…面接触。
Claims (4)
- 胴部の全周にわたりこれを飾るラベルとしての収縮性フィルムが装着されている合成樹脂製の容器であって、胴部の横断面形状はほぼ長方形状を呈し、長方形状の各角部が滑らかな丸みを備えた形状を有し、この角部に前記収縮性フィルムの抗張力により摩擦抵抗を増大させ、その周方向の位置ずれを防止するための外方に向かう突部が胴部の上下方向に沿って備わり、この突部の頂部が胴部の横断面形状で曲面状に形成され、前記収縮フィルムが装着されている状態で、前記突部が前記収縮フィルムと周方向で部分的に線接触していることを特徴とするラベルの廻り防止容器。
- 収縮性フィルムは、前記胴部の角部の滑らかな丸みを備えた領域において面接触して密に被嵌合され、前記突部の存在部分においては、部分的に線接触している請求項1記載のラベル廻り防止容器。
- 突部は胴部の上下方向に沿った突条若しくは断続的な突起である請求項1又は2のいずれかに記載のラベル廻り防止容器。
- 突部は滑らかな丸みを備えた角部の中央部分に設けられている請求項1〜2のいずれかに記載のラベルの廻り防止容器。
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