JP4104993B2 - タイヤの成型方法およびリボン状ゴム押出機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転する支持体に押出機から押し出されたリボン状ゴムを螺旋巻回して所定断面のゴム部材を組み付けるタイヤの成型方法に関し、特に、リボン状ゴムのゴム材料を変化させるタイヤの成型方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、押出設備の小型化、タイヤの均一性向上、あるいは、小ロット多サイズ生産への柔軟な対応等を目的に、タイヤを成型する際に、小型押出機より押し出されたリボン状ゴムを回転する支持体上に直接螺旋巻回してこれらを積層し所定断面のゴム部材を成型する方法が知られおり、さらに、このリボン状ゴムを押し出すに際し、複数のゴム組成物の混合比を予め定められたパターンで変化させてこれらを混合しリボン状ゴムのゴム材料を変化させ、少なくとも二つの領域では異なるゴム材料よりなるゴム部材を形成する方法が提案されている。(例えば、特許文献1。)。
【0003】
この方法は、リボン状ゴムを押し出す際、ゴム材料を段階的に変化させることにより、従来複数のゴム部材を別々に重ね合わせて成型していたものを、連続した螺旋巻回の操作で成型することができるので、小型の設備、例えば一台の押出機だけを用いてこれらの複数のゴム部材を組み付けることができ、さらに、リボン状ゴムを押し出す際、ゴム材料を漸次的に変化させることにより、従来複数のゴム部材間に存在した境界をなくし境界で起こりうる応力作用下での剥離等の発生を防止することができる。
【0004】
この公知の方法においては、予め定められたパターンで混合比を変化させるのに、均一断面の連続体よりなるそれぞれのゴム組成物を前記混合比により定まる供給速度を変化させて押出機に供給したあと、これらのゴム組成物を一つのスクリュー部に合流させ、スクリュー部内でこれらを一緒に可塑化しながら混ぜ合わせことに行うのが通例である。図3は、従来のゴム組成物の供給方法を示す押出機の投入口の斜視図であるが、例えば、AおよびBの二種類のゴム組成物からゴム材料の変化するリボン状ゴムを押し出す場合、それぞれのゴム組成物を断面矩形状の連続体AおよびBとしてホッパ91に投入し、そのときの供給速度を、それぞれのこれらの連続体A、Bを挟み込んでフィードするフィードローラ92A、92Bの回転速度を制御することにより、これらの混合比を変化させている。
【0005】
しかしながら、このゴム組成物の混合比の制御方法は、それぞれの連続体の断面の形状をその長さ方向にわたって均一にすることが難しく、また、フィードローラと連続体との間の不安定なすべりの発生により、これらのゴム組成物の混合比を高精度に制御することが難しく、その結果、リボン状ゴムを積層してできるゴム部材の、部分部分でのゴム材料を所定のものにすることが難しいという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−79643号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、複数のゴム組成物の混合比を予め定められたパターンで変化させてこれらを混合し、少なくとも一部分でゴム材料が変化する一定断面の連続したリボン状ゴムを押し出し、このゴムを回転する支持体上に直接螺旋巻回して所定断面のゴム部材を組み付けるタイヤの成型方法において、押し出されるリボン状ゴムのゴム材料をそれぞれの部分で高精度に制御することができるタイヤの成型方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明はなされたものであり、その要旨構成ならびに作用を以下に示す。
【0009】
請求項1に記載のタイヤの成型方法は、複数のゴム組成物の混合比を予め定められたパターンで変化させてこれらを混合し、前記パターンの変化に基づいて、少なくとも長さ方向の一部分で前記混合比が変化する一定断面の連続したリボン状ゴムを押し出し、このゴムを回転する支持体上に直接螺旋巻回して所定断面のゴム部材を組み付けるタイヤの成型方法において、
ペレット状のそれぞれのゴム組成物を、前記混合比の変化パターンに基づいたそれぞれの供給速度で連続供給してこれらのゴム組成物を可塑化するものである。
【0010】
本発明に係るこのタイヤの成型方法によれば、複数のゴム組成物をペレット状にしてこれらを連続供給するので、供給速度、すなわち時間あたりの供給量を正確に計量することができ、それぞれのゴム組成物の混合比が予め定められたパターンで変化するよう精度よく制御することができ、押し出されるリボン状ゴムのそれぞれの部分のゴム材料を高精度に制御することができる。
【0011】
ここにおいて、本明細書では、複数のゴム組成物を「混合する」とは、混合する際の混合比が一種のゴム組成物が100%となる場合も含み、したがって、「混合する」とは、一種のゴム組成物を何しないで次の処理に移行させる場合も含むものとする。また、混合比を変化させる際の「パターン」とは、一つのゴム部材を形成する際の押出開始時点からの時間を変数として混合比を関数であらわしたものであり、そして、「支持体」とは、タイヤ成型ドラム、成型途中のタイヤ、ゴム部材成型ドラム、成型途中のゴム部材、あるいは、更生タイヤにおける台タイヤなどを含む。また、「螺旋巻回する」とは、リボン状ゴムを支持体の軸方向に移動させながら巻回することすなわち螺旋状に巻回することのほかに、リボン状ゴムを支持体の軸方向に移動させずに単に半径方向外側に向かって渦巻き状に巻回して積層することも含む。
【0012】
請求項2に記載のタイヤの成型方法は、請求項1に記載するところにおいて、前記ペレット状のゴム組成物を可塑化するに先立って連続量供給されたそれぞれのゴム組成物を連続混合するものである。
【0013】
このタイヤの成型方法によれば、可塑化するに先立って連続計量された、それぞれのゴム組成物をペレットの状態で連続混合するので、分散の優れた混合を行うことができ、このことにより、より高精度にリボン状ゴムのゴム材料を制御でき、また、ゴム組成物を可塑化する機能を担うスクリュー部が併せ持つ複数のゴム組成物を混合する機能の分担を軽減させることにより、スクリュー部の長さを短くすることができる。
【0014】
請求項3に記載のリボン状ゴム押出機は、請求項1もしくは2に記載のタイヤの成型方法に用いるリボン状ゴム押出機であって、
複数のペレット状ゴム組成物を連続的に計量するそれぞれの連続計量器と、計量されたゴム組成物を可塑化するスクリュー部とを具えてなるものである。
【0015】
このリボン状ゴム押出機によれば、ペレット状ゴム組成物を連続的に計量する連続計量器を個別に具えているので、それぞれのペレット状ゴム組成物の供給量を、予め定められた混合比の変化パターンに基づいて定まるそれぞれの供給速度になるよう忠実に制御することができ、このことにより、前述の通り、押し出されるリボン状ゴムのそれぞれの部分のゴム材料を高精度に制御することができる。
【0016】
請求項4に記載のリボン状ゴム押出機は、請求項3に記載のタイヤの成型方法に用いる押出機であって、
計量されたそれぞれのペレット状ゴム組成物を連続的に混合する連続混合機をスクリュー部の上流側に設けてなるものである。
【0017】
このリボン状ゴム押出機によれば、連続混合機をスクリュー部の上流側に設けるので、前述の通り、より高精度にリボン状ゴムのゴム材料を制御でき、また、スクリュー部の長さを短くすることができる。
【0018】
請求項5に記載のリボン状ゴム押出機は、請求項3もしくは4に記載するところにおいて、可塑化されたゴム材料を計量供給するギアポンプを具えてなるものである。
【0019】
このリボン状ゴム押出機によれば、ゴム材料を計量供給するギアポンプを具えているので、リボン状ゴムの押出量を一定に制御することができ、より高精度なゴム材料のリボン状ゴムを形成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図1ないし図2に基づいて説明する。図1はこの実施形態のリボン状ゴム押出機1を用いてリボン状ゴムRを積層する方法を示す模式図であり、図2は、リボン状ゴム押出機1の構成を示す系統図である。タイヤを構成するゴム部材G、例えばトレッド部材を組み付けてタイヤを成型する際、このゴム部材Gを組み付ける途中のタイヤを支持体8として、この支持体8を回転させながら押出機1から押し出されたリボン状ゴムRをその断面形状を特定する一対の型付けローラ9の間を通過させ、支持体8上にこれを螺旋巻回して積層しゴム部材Gを形成する。
【0021】
図2に示すリボン状ゴム押出機1は、三種のゴム組成物を供給する場合の例を示すものであり、この押出機1は、パイプ搬送されたペレット状のゴム組成物Aを受け入れるタンク4A、タンク4Aからのゴム組成物Aを連続計量する連続計量器5Aを具え、同様に、同様に、ゴム組成物Bに対応するタンク4B、連続計量器5B、および、ゴム組成物Cに対応するタンク4C、連続計量器5Cをそれぞれ具えるとともに、連続計量されたそれぞれのゴム組成物をペレットの形状のまま連続的に受け入れこれらを連続混合する連続混合機6、混合されたペレット状のゴム材料を可塑化するスクリュー部2、および、可塑化されたゴム材料を計量供給するギアポンプ3を具えている。
【0022】
ここに用いる連続計量器4A、4B、4Cはそれぞれのゴム組成物をペレットの状態で受け入れペレットの状態で排出するものであり、例えば二軸スクリューを用いてその回転数を制御して正確に供給量を計測することができる。この、具体的な装置の例としては、(株)クボタ製の「二軸スクリュ式カセットウェイングフィーダ」がある。
【0023】
また、ここに用いる連続混合機は、ペレットの状態で受け入れたゴム組成物分散をよくして混合し、複数種のペレットが混ざり合った状態のゴム材料を排出するものであり、この具体的な例としては、レーディゲ社(独)製「連続式KM型ミキサ」がある。
【0024】
この押出機1を用いてタイヤを成型する方法は次の通りである。予め定められた混合比の変化パターンから決まる供給速度でそれぞれのペレット状ゴム組成物を連続計量器4A、4B、4Cで連続計量し、連続計量されたこれらのペレット状ゴム組成物を連続混合機6で連続混合し、次いで、混合されたペレット状ゴム材料を連続的にスクリュー部2で可塑化し、これをギアポンプ3で計量供給して押出機よりリボン状ゴムRを押し出し、押し出されたリボン状ゴムRを型付けローラ9で型付けしてその断面形状を特定したあと、所定の積層方法、すなわち、時間ごとに予め定められたリボン状ゴムRの積層位置と積層順序に基づいて、回転する支持体8上に螺旋巻回してゴム部材Gを形成する。
【0025】
ここで、予め定められた混合比の変化パターンを設定するには、成型されるゴム部材Gの領域ごとのゴム材料分布と前記積層方法とからリボン状ゴムの長さ方向のゴム材料分布を設定し、この長さ方向のゴム材料分布からリボン断面積と押出速度を用いて混合比の変化パターンを求めることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上述べたところから明らかなように、本発明によれば、ペレット状のそれぞれのゴム組成物を、予め定められた混合比の変化パターンに基づいたそれぞれの供給速度で連続供給してこれらのゴム組成物を可塑化するので、押し出されるリボン状ゴムのそれぞれの部分でのゴム材料を高精度に制御することができる。また、原材料となるゴム組成物をペレットの状態で取り扱うので、原材料タンクから押出機までゴム組成物を搬送するのに、パイプ搬送等の手段を用いることができ、従来の方法に比較してスペースを節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施形態のリボン状ゴム押出機を用いてリボン状ゴムを積層する方法を示す模式図である。
【図2】 本発明に係る実施形態のリボン状ゴム押出機を示す系統図ある。
【図3】 従来のゴム組成物の供給方法を示す押出機の投入口の斜視図である。
【符号の説明】
1 リボン状ゴム押出機
2 スクリュー部
3 ギアポンプ
4A、4B、4C タンク
5A、5B、5C 連続計量器
6 連続混合機
8 支持体
9 型付けローラ
R リボン状ゴム
G ゴム部材
Claims (5)
- 複数のゴム組成物の混合比を予め定められたパターンで変化させてこれらを混合し、前記パターンの変化に基づいて、少なくとも長さ方向の一部分で前記混合比が変化する一定断面の連続したリボン状ゴムを押し出し、このゴムを回転する支持体上に直接螺旋巻回して所定断面のゴム部材を組み付けるタイヤの成型方法において、
ペレット状のそれぞれのゴム組成物を、前記混合比の変化パターンに基づいたそれぞれの供給速度で連続供給してこれらのゴム組成物を可塑化するタイヤの成型方法。 - 前記ペレット状のゴム組成物を可塑化するに先立って連続計量されたそれぞれのゴム組成物を連続混合する請求項1に記載のタイヤの成型方法。
- 請求項1もしくは2に記載のタイヤの成型方法に用いるリボン状ゴム押出機であって、
複数のペレット状ゴム組成物を連続的に計量するそれぞれの連続計量器と、計量されたゴム組成物を可塑化するスクリュー部とを具えてなるリボン状ゴム押出機。 - 計量されたそれぞれのペレット状ゴム組成物を連続的に混合する連続混合機をスクリュー部の上流側に設けてなる請求項3に記載のリボン状ゴム押出機。
- 可塑化されたゴム材料を計量供給するギアポンプを具えてなる請求項3もしくは4に記載のリボン状ゴム押出機。
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