JP4104351B2 - Expansion machine - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーシングと、駆動力を出力する出力軸と、出力軸と一体になってケーシングに回転自在に支持されたロータと、出力軸の軸線を囲むようにロータに環状にかつ半径方向内外に配置された複数のアキシャルピストンシリンダ群と、ケーシングに固定されて複数のアキシャルピストンシリンダ群のピストンを前記軸線方向に案内する共通の斜板とを備えた膨張機に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許第2874300号公報および実開昭48−54702号公報には、半径方向内側および半径方向外側に配置された二つのアキシャルピストンシリンダ群を備えたピストンポンプあるいはピストンモータが記載されている。これらは何れもオイルのような非圧縮性流体を作動媒体とするもので、半径方向内側および半径方向外側のアキシャルピストンシリンダ群は円周方向に位相をずらして配置されており、また前者は半径方向内側のアキシャルピストンシリンダ群のピストン径が、半径方向外側のアキシャルピストンシリンダ群のピストン径よりも小さくなっている。
【0003】
また特開2000−320453号公報には、ロータの半径方向内側および半径方向外側にそれぞれアキシャルピストンシリンダ群およびベーン群を配置し、高温高圧の蒸気をアキシャルピストンシリンダ群を経てベーン群に供給することで圧力エネルギーを機械エネルギーに変換する膨張機が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高温高圧の蒸気を作動媒体とする膨張機には、ベーンを摺動自在に支持するロータをカムリングの内部に配置したベーン型のものと、複数のシリンダおよびピストンを軸線に対して放射状に配置したラジアル型のものと、複数のシリンダおよびピストンを軸線に対して平行に配置したアキシャル型のものとがある。
【0005】
ベーン型の膨張機は蒸気の膨張比を大きく取れるという利点があるが、ベーンの先端とカムリングの内周面との容積あたりのシール長さが長くなり、シールが難しいために蒸気のリーク量が多くなる問題がある。
【0006】
またラジアル型の膨張機はシリンダおよびピストンが軸線に対して放射状に配置されるため、隣接するシリンダ間に形成される扇形のデッドスペースにより寸法が大型化するだけでなく、蒸気をシリンダに配分するロータリバルブの摺動面を円筒面とし、摺動自在なクリアランスを設けた場合、平坦な摺動面を有するロータリバルブに比べて蒸気のリーク量が増加する問題がある。
【0007】
それに対して、アキシャル型の膨張機はシリンダおよびピストンを軸方向に配置することから、シリンダ間のデッドスペースをより小さくして半径方向の断面配置を小さくできるので、デッドスペースが大きくなるラジアル型の膨張機に比べて小型化が可能である。またシリンダおよびピストン間の蒸気のリーク量はベーンおよびカムリング間の蒸気のリーク量に比べて小さく、しかも平坦な摺動面を有して蒸気のリーク量が小さいロータリバルブを採用することができるので、ベーン型あるいはラジアル型の膨張機に比べて高出力化が可能である。
【0008】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、アキシャル型の膨張機の更なる小型高出力化を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、ケーシングと、駆動力を出力する出力軸と、出力軸と一体になってケーシングに回転自在に支持されたロータと、出力軸の軸線を囲むようにロータに環状にかつ半径方向内外に配置された複数のアキシャルピストンシリンダ群と、ケーシングに固定されて複数のアキシャルピストンシリンダ群のピストンを前記軸線方向に案内する共通の斜板とを備えた膨張機であって、複数のアキシャルピストンシリンダ群のピストンを半径方向外側に位置するものほど大径にするとともに、複数のアキシャルピストンシリンダ群を給・排気バルブを介して直列に接続し、高温高圧の圧縮性作動媒体を最初に半径方向内側のアキシャルピストンシリンダ群に供給し、次にその膨張作用を一部終了して降温降圧した前記作動媒体を半径方向外側のアキシャルピストンシリンダ群に向けて順次供給することを特徴とする膨張機が提案される。 上記構成によれば、複数のアキシャルピストンシリンダ群を出力軸に関して半径方向内外に配置し、各々のアキシャルピストンシリンダ群のピストンを共通の斜板に案内させて複数段連続して機能させるので、ベーン型の膨張機に比べて作動媒体のリーク量が減少するのは勿論のこと、ベーン型の膨張機やラジアル型の膨張機に比べて本来的にスペース効率が高いアキシャル型の膨張機のスペース効率を更に高め、小型で高出力な膨張機を得ることができる。
【0010】
また複数のアキシャルピストンシリンダ群のピストンを半径方向外側に位置するものほど大径にし、かつ高温高圧の圧縮性作動媒体を直列に接続した複数のアキシャルピストンシリンダ群の半径方向内側のものから半径方向外側のものへと順次供給するので、デッドスペースの発生を最小限に抑えて膨張機を小型化できるだけでなく、最初に半径方向内側の小径のアキシャルピストンシリンダ群に体積が小さい高圧の作動媒体が作用し、次に半径方向外側の大径のアキシャルピストンシリンダ群に一部膨張作用を終了した体積が大きい低圧の作動媒体が作用するようになり、作動媒体の圧力エネルギーを余すところ無く機械エネルギーに変換することができる。しかも高圧の作動媒体が作用することでリークが発生し易い半径方向内側のアキシャルピストンシリンダ群の摺動部の面積を最小限に抑え、作動媒体のリークを一層低減することができる。
【0011】
更に、半径方向内側のアキシャルピストンシリンダ群に膨張前の高温の作動媒体が作用し、半径方向外側のアキシャルピストンシリンダ群に膨張後の低温の作動媒体が作用するようになるため、高温の作動媒体が作用する半径方向内側のアキシャルピストンシリンダ群から放散する熱を、低温の作動媒体が作用する半径方向外側のアキシャルピストンシリンダ群で回収し、熱エネルギーの損失を減少させることができる。
【0012】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、半径方向内外に隣接するアキシャルピストンシリンダ群の配列ピッチを円周方向にずらしたことを特徴とする膨張機が提案される。
【0013】
上記構成によれば、半径方向内外に隣接するアキシャルピストンシリンダ群の配列ピッチが円周方向にずれているので、半径方向外側のシリンダに挟まれた空間に半径方向内側のシリンダを配置して膨張機の外径寸法を一層小型化することができるだけでなく、複数のアキシャルピストンシリンダ群の出力トルクの変動を減少させることができる。
【0014】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項または請求項2の構成に加えて、複数のアキシャルピストンシリンダ群に作動媒体を供給・排出する前記吸・排気バルブよりなる作動媒体供給・排出部と、ロータよりなる動力変換部と、出力軸および斜板よりなる出力部とを前記軸線の一端側から他端側に順次配置したことを特徴とする膨張機が提案される。
【0015】
上記構成によれば、作動媒体供給・排出部と出力部とが動力変換部を挟んで離れた位置に配置されるので、出力部の摺動部を潤滑するオイルが、高温の作動媒体が通過する作動媒体供給・排出部により加熱されて変質するのを防止し、出力部の潤滑性能を確保することができる。
【0016】
尚、実施例のロータリバルブ61は本発明の吸・排気バルブに対応する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 図1〜図18は本発明の第1実施例を示すもので、図1は膨張機の縦断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図1の3部拡大図、図4は図1の4部拡大断面図(図8の4−4線断面図)、図5は図4の5−5線矢視図、図6は図4の6−6線矢視図、図7は図4の7−7線断面図、図8は図4の8−8線断面図、図9は図4の9−9線断面図、図10は図1の10−10線矢視図、図11は図1の11−11線矢視図、図12は図10の12−12線断面図、図13は図11の13−13線断面図、図14は図10の14−14線断面図、図15は出力軸のトルク変動を示すグラフ、図16は高圧段の吸入系を示す作用説明図、図17は高圧段の排出系および低圧段の吸入系を示す作用説明図、図18は低圧段の排出系を示す作用説明図である。
【0018】
図1〜図3に示すように、本実施例の膨張機Mは例えばランキンサイクル装置に使用されるものであって、作動媒体としての高温高圧蒸気の熱エネルギーおよび圧力エネルギーを機械エネルギーに変換して出力する。膨張機Mのケーシング11は、ケーシング本体12と、ケーシング本体12の前面開口部にシール部材13を介して嵌合して複数本のボルト14…で結合される前部カバー15と、ケーシング本体12の後面開口部にシール部材16を介して嵌合して複数本のボルト17…で結合される後部カバー18とから構成される。ケーシング本体12の下面開口部にオイルパン19がシール部材20を介して当接し、複数本のボルト21…で結合される。またケーシング本体12の上面にシール部材22(図12参照)を介してブリーザ室隔壁23が重ね合わされ、更にその上面にシール部材24(図12参照)を介してブリーザ室カバー25が重ね合わされ、複数本のボルト26…で共締めされる。
【0019】
ケーシング11の中央を前後方向に延びる軸線Lまわりに回転可能なロータ27と出力軸28とが溶接で一体化されており、ロータ27の後部がアンギュラボールベアリング29およびシール部材30を介してケーシング本体12に回転自在に支持されるとともに、出力軸28の前部がアンギュラボールベアリング31およびシール部材32を介して前部カバー15に回転自在に支持される。前部カバー15の後面に2個のシール部材33,34およびノックピン35を介して嵌合する斜板ホルダ36が複数本のボルト37…で固定されており、この斜板ホルダ36にアンギュラボールベアリング38を介して斜板39が回転自在に支持される。斜板39の回転軸線は前記ロータ27および出力軸28の軸線Lに対して傾斜しており、その傾斜角は固定である。
【0020】
ロータ27と別部材で構成された7本のスリーブ41…が、ロータ27の内部に軸線Lを囲むように円周方向に等間隔で配置される。ロータ27のスリーブ支持孔27a…に支持されたスリーブ41…の内周に形成された高圧シリンダ42…に高圧ピストン43…が摺動自在に嵌合しており、高圧シリンダ42…の前端開口部から前方に突出する高圧ピストン43…の半球状部が、斜板39の後面に凹設した7個のディンプル39a…にそれぞれ突き当てられ押圧する。スリーブ41…の後端とロータ27のスリーブ支持孔27a…との間には耐熱金属性のシール部材44…が装着され、この状態でスリーブ41…の前端を押さえる単一のセットプレート45が複数本のボルト46…でロータ27の前面に固定される。スリーブ支持孔27a…の底部近傍は僅かに大径になっており、スリーブ41…の外周面との間に間隙α(図3参照)が形成される。
【0021】
高圧ピストン43…は高圧シリンダ42…との摺動面をシールする圧力リング47…およびオイルリング48…を備えており、圧力リング47…の摺動範囲とオイルリング48…の摺動範囲とは相互にオーバーラップしないように設定されている。高圧ピストン43…を高圧シリンダ42…に挿入するとき、圧力リング47…およびオイルリング48…を高圧シリンダ42…にスムーズに係合させるべく、セットプレート45に前面側が広がるようにテーパした開口部45a…が形成される。
【0022】
以上のように、圧力リング47…の摺動範囲とオイルリング48…の摺動範囲とが相互にオーバーラップしないように設定したので、オイルリング48…が摺動する高圧シリンダ42…の内壁に付着したオイルが、圧力リング47…の摺動により高圧作動室82…に取り込まれないようにし、蒸気にオイルが混入するのを確実に防止することができる。特に、高圧ピストン43…は圧力リング47…およびオイルリング48…に挟まれた部分が若干小径になっているため(図3参照)、オイルリング48…の摺動面に付着したオイルが圧力リング47…の摺動面に移動するのを効果的に防止することができる。
【0023】
また7本のスリーブ41…をロータ27のスリーブ支持孔27a…に装着して高圧シリンダ42…を構成したので、スリーブ41…に熱伝導性、耐熱性、耐摩耗性、強度等に優れた材質を選択することができる。これにより性能および信頼性の向上が可能になるだけでなく、ロータ27に直接高圧シリンダ42…を加工する場合に比べて加工が容易になり、加工精度も向上する。しかも何れかのスリーブ41が摩耗・損傷した場合に、ロータ27全体を交換することなく、異常のあるスリーブ41だけを交換すれば良いので経済的である。
【0024】
またスリーブ支持孔27a…の底部近傍を僅かに大径にしてスリーブ41…の外周面とロータ27との間に間隙αを形成したので、高圧作動室82…に供給された高温高圧蒸気によりロータ27が熱変形しても、その影響がスリーブ41…に及び難くして高圧シリンダ42…の歪みを防止することができる。
【0025】
前記7本の高圧シリンダ42…と、そこに嵌合する7本の高圧ピストン43…とは、第1のアキシャルピストンシリンダ群49を構成する。
【0026】
ロータ27の外周部に7本の低圧シリンダ50…が軸線Lおよび高圧シリンダ42…の半径方向外側を囲むように円周方向に等間隔で配置される。これら低圧シリンダ50…は高圧シリンダ42…よりも大きな直径を有しており、かつ低圧シリンダ50…の円周方向の配列ピッチは高圧シリンダ42…の円周方向の配列ピッチに対して半ピッチ分ずれている。これにより、隣接する低圧シリンダ50…間に形成される空間に高圧シリンダ42…を配置することが可能になり、スペースを有効利用してロータ27の直径の小型化に寄与することができる。
【0027】
7本の低圧シリンダ50…にはそれぞれ低圧ピストン51…が摺動自在に嵌合しており、これら低圧ピストン51…はリンク52…を介して斜板39に接続される。即ち、リンク52…の前端の球状部52aは斜板39にナット53…で固定した球面軸受54…に揺動自在に支持され、リンク52…の後端の球状部52bは低圧ピストン51…にクリップ55…で固定した球面軸受56…に揺動自在に支持される。低圧ピストン51…の頂面近傍の外周面には、圧力リング78…およびオイルリング79…が隣接して装着される。圧力リング78…およびオイルリング79…の摺動範囲は相互にオーバーラップするので、圧力リング78…の摺動面に油膜を形成してシール性および潤滑性を高めることができる。
【0028】
前記7本の低圧シリンダ50…と、そこに嵌合する7本の低圧ピストン41…とは、第2のアキシャルピストンシリンダ群57を構成する。
【0029】
以上のように、第1のアキシャルピストンシリンダ群49の高圧ピストン43…の前端を半球状に形成し、その前端を斜板39に形成したディンプル39a…に当接させたので、高圧ピストン43…を斜板39に機械的に連結する必要がなくなって、部品点数の削減と組付性の向上とが可能になる。一方、第2のアキシャルピストンシリンダ群57の低圧ピストン51…はリンク52…および前後の球面軸受54…,56…を介して斜板39に連結されているので、第2のアキシャルピストンシリンダ群57に供給される中温中圧蒸気の温度および圧力が不足して低圧作動室84…が負圧になっても、低圧ピストン51…と斜板39とが離れて打音や損傷が発する虞がない。
【0030】
また斜板39は前部カバー15にボルト37…で締結されるが、そのときの斜板39の軸線Lまわりの締結位相を変化させることで、第1のアキシャルピストンシリンダ群49および第2のアキシャルピストンシリンダ群57に対する蒸気の供給・排出タイミングをずらして膨張機Mの出力特性を変更することができる。
【0031】
また一体化されたロータ27および出力軸28は、それぞれケーシング本体12に設けたアンギュラボールベアリング29および前部カバー15に設けたアンギュラボールベアリング31に支持されるが、ケーシング本体12およびアンギュラボールベアリング29間に介装するシム58の厚さと、前部カバー15およびアンギュラボールベアリング31間に介装するシム59の厚さとを調整することにより、軸線Lに沿うロータ27の位置を前後方向に調整することができる。このロータ27の軸線L方向の位置の調整により、斜板39に案内される高圧・低圧ピストン43…,51…とロータ27に設けられた高圧・低圧シリンダ42…,50…との軸線L方向の相対的な位置関係が変化し、高圧・低圧作動室82…,84…における蒸気の膨張比を調整することができる。
【0032】
仮に、斜板39を支持する斜板ホルダ36が前部カバー15に対して一体に形成されていると、前部カバー15にアンギュラボールベアリング31やシム59を着脱するためのスペースを確保するのが困難になるが、斜板ホルダ36を前部カバー15に対し着脱可能にしたことで、上記問題が解消される。また仮に斜板ホルダ36が前部カバー15と一体であると、膨張機Mの分解・組立時に予め前部カバー15側に組み付けた斜板39に、ケーシング11内の狭い空間で7本のリンク52…を連結・分離する面倒な作業が必要となるが、斜板ホルダ36を前部カバー15に対し着脱可能にしたことで、予めロータ27側に斜板39および斜板ホルダ36を組み付けてサブアセンブリを構成することが可能となり、組付性が大幅に向上する。
【0033】
次に、第1のアキシャルピストンシリンダ群49および第2のアキシャルピストンシリンダ群57に対する蒸気の供給・排出系統を、図4〜図9に基づいて説明する。
【0034】
図4に示すように、ロータ27の後端面に開口する円形断面の凹部27bおよび後部カバー18の前面に開口する円形断面の凹部18aに、ロータリバルブ61が収納される。軸線Lに沿うように配置されたロータリバルブ61は、ロータリバルブ本体62と、固定側バルブプレート63と、可動側バルブプレート64とを備える。可動側バルブプレート64は、ロータ27の凹部27bの底面にガスケット65を介して嵌合した状態で、ノックピン66およびボルト67でロータ27に固定される。可動側バルブプレート64に平坦な摺動面68を介して当接する固定側バルブプレート63はノックピン69を介してロータリバルブ本体62に相対回転不能に結合される。従って、ロータ27が回転すると、可動側バルブプレート64および固定側バルブプレート63は摺動面68において相互に密着しながら相対回転する。固定側バルブプレート63および可動側バルブプレート64は、超硬合金やセラミックス等の耐久性に優れた材質で構成されており、その摺動面68に耐熱性、潤滑性、耐蝕性、耐摩耗性を有する部材を介在させたりコーティングしたりすることが可能である。
【0035】
ロータリバルブ本体62は、大径部62a、中径部62bおよび小径部62cを備えた段付き円柱状の部材であって、その大径部62aの外周に嵌合する環状の摺動部材70が、ロータ27の凹部27bに円筒状の摺動面71を介して摺動自在に嵌合するとともに、その中径部62bおよび小径部62cが後部カバー18の凹部18aにシール部材72,73を介して嵌合する。摺動部材70は、超硬合金やセラミックス等の耐久性に優れた材質で構成される。ロータリバルブ本体62の外周に植設されたノックピン74が、後部カバー18の凹部18aに軸線L方向に形成された長孔18bに係合しており、従ってロータリバルブ本体62は後部カバー18に対して相対回転不能、かつ軸線L方向に移動可能に支持される。
【0036】
後部カバー18に軸線Lを囲むように複数個(例えば、7個)のプリロードスプリング75…が支持されており、これらプリロードスプリング75…に中径部62bおよび小径部62c間の段部62dを押圧されたロータリバルブ本体62は、固定側バルブプレート63および可動側バルブプレート64の摺動面68を密着させるべく前方に向けて付勢される。後部カバー18の凹部18aの底面とロータリバルブ本体62の小径部62cの後端面との間に圧力室76が区画されており、後部カバー18を貫通するように接続された蒸気供給パイプ77が前記圧力室76に連通する。従って、ロータリバルブ本体62は前記プリロードスプリング75…の弾発力に加えて、圧力室76に作用する蒸気圧によっても前方に付勢される。
【0037】
第1のアキシャルピストンシリンダ群49に高温高圧蒸気を供給する高圧段の蒸気吸入経路が、図16に網かけして示される。図16と図5〜図9とを併せて参照すると明らかなように、蒸気供給パイプ77から高温高圧蒸気が供給される圧力室76に上流端が連通する第1蒸気通路P1が、ロータリバルブ本体62を貫通して固定側バルブプレート63との合わせ面に開口し、固定側バルブプレート63を貫通する第2蒸気通路P2に連通する。ロータリバルブ本体62および固定側バルブプレート63の合わせ面からの蒸気のリークを防止すべく、該合わせ面に装着されたシール部材81(図7および図16参照)により第1、第2蒸気通路P1,P2の接続部の外周がシールされる。
【0038】
可動側バルブプレート64およびロータ27にはそれぞれ7本の第3蒸気通路P3…(図5参照)および第4蒸気通路P4…が円周方向に等間隔に形成されており、第4蒸気通路P4…の下流端は第1のアキシャルピストンシリンダ群49の高圧シリンダ42…および高圧ピストン43間に区画された7個の高圧作動室82…に連通する。図6から明らかなように、固定側バルブプレート63に形成された第2蒸気通路P2の開口は、高圧ピストン43の上死点TDCの前後に均等に開口せずに矢印Rで示すロータ27の回転方向進み側に僅かにずれて開口している。これにより、できるだけ長い膨張期間、即ち充分な膨張比を確保でき、かつ上死点TDCの前後に均等に開口を設定した場合に生じる負の仕事を極力少なくし、更に高圧作動室82…内に残留する膨張蒸気を減少して充分な出力(効率)が得られる。
【0039】
第1のアキシャルピストンシリンダ群49から中温中圧蒸気を排出して第2のアキシャルピストンシリンダ群57に供給する高圧段の蒸気排出経路および低圧段の蒸気吸入経路が、図17に網かけして示される。図17と図5〜図8とを併せて参照すると明らかなように、固定側バルブプレート63の前面には円弧状の第5蒸気通路P5(図6参照)が開口しており、この第5蒸気通路P5は固定側バルブプレート63の後面に開口する円形の第6蒸気通路P6(図7参照)に連通する。第5蒸気通路P5は、高圧ピストン43の下死点BDCに対して矢印Rで示すロータ27の回転方向進み側に僅かにずれた位置から、上死点TDCに対して回転方向遅れ側に僅かにずれた位置に亘って開口している。これにより、可動側バルブプレート64の第3蒸気通路P3…は下死点BDCから第2蒸気通路P2と重複しない(好ましくは第2蒸気通路P2と重複する直前の)角度範囲に亘って固定側バルブプレート63の第5蒸気通路P5に連通することができ、その間に第3蒸気通路P3…から第5蒸気通路P5への蒸気の排出が行われる。
【0040】
ロータリバルブ本体62には、軸線L方向に延びる第7蒸気通路P7と、略半径方向に延びる第8蒸気通路P8とが形成されており、第7蒸気通路P7の上流端は前記第6蒸気通路P6の下流端に連通するとともに、第7蒸気通路P7の下流端はロータリバルブ本体62および摺動部材70に跨がって配置された継ぎ手部材83の内部の第9蒸気通路P9を経て、摺動部材70を半径方向に貫通する第10蒸気通路P10に連通する。そして第10蒸気通路P10は、ロータ27に放射状に形成した7本の第11蒸気通路P11…を介して、第2のアキシャルピストンシリンダ群57の低圧シリンダ50…および低圧ピストン41…間に区画された7個の低圧作動室84…に連通する。
【0041】
ロータリバルブ本体62と固定側バルブプレート63との合わせ面からの蒸気のリークを防止すべく、該合わせ面に装着されたシール部材85(図7および図17参照)により第6、第7蒸気通路P6,P7の接続部の外周がシールされる。摺動部材70の内周面とロータリバルブ本体62との間は2個のシール部材86,87でシールされ、継ぎ手部材83の外周面と摺動部材70との間はシール部材88でシールされる。
【0042】
ロータ27および出力軸28の内部は肉抜きされて調圧室89が区画されており、この調圧室89と第8蒸気通路P8とが、ロータリバルブ本体62に形成した第12蒸気通路P12および第13蒸気通路P13と、固定側バルブプレート63に形成した第14蒸気通路P14と、ボルト67の内部を貫通する第15蒸気通路P15とを介して連通する。7本の第3蒸気通路P3…から第5蒸気通路P5に排出される中温中圧蒸気の圧力はロータ27の1回転につき圧力が7回脈動するが、その中温中圧蒸気を第2のアキシャルピストンシリンダ群57に供給する途中の第8蒸気通路P8を調圧室89に連通させたことで、前記圧力の脈動を緩衝して一定圧の蒸気を第2のアキシャルピストンシリンダ群57に供給し、低圧作動室84…への蒸気の充填効率を高めることができる。
【0043】
また調圧室89はロータ27および出力軸28の中心のデッドスペースを利用して形成されているので膨張機Mの大型化を招くこともなく、肉抜きによる軽量化の効果も持ち、しかも調圧室89の外周は高温高圧蒸気で作動する第1のアキシャルピストンシリンダ群49で取り囲まれるので、第2のアキシャルピストンシリンダ群57に供給される中温中圧蒸気の熱損失が生じることもない。更に、第1のアキシャルピストンシリンダ群49に取り囲まれたロータ27の中心部が温度上昇した場合には、調圧室89の中温中圧蒸気でロータ27の冷却を図ることができ、その結果として加熱された中温中圧蒸気で第2のアキシャルピストンシリンダ群57の出力向上を図ることができる。
【0044】
第2のアキシャルピストンシリンダ群57から低温低圧蒸気を排出する蒸気排出経路が、図18に網かけして示される。図18、図8および図9を併せて参照すると明らかなように、摺動部材70の摺動面71に、ロータ27に形成した7個の第11蒸気通路P11…に連通可能な円弧状の第16蒸気通路P16が切り欠かれており、この第16蒸気通路P16はロータリバルブ本体62の外周に円弧状に切り欠かれた第17蒸気通路P17に連通する。第16蒸気通路P16は、低圧ピストン51の下死点BDCに対して矢印Rで示すロータ27の回転方向進み側に僅かにずれた位置から、上死点TDCに対して回転方向遅れ側に僅かにずれた位置に亘って開口している。これにより、ロータ27の第11蒸気通路P11…は下死点BDCから第10蒸気通路P10と重複しない(好ましくは第10蒸気通路P10と重複する直前の)角度範囲に亘って摺動部材70の第16蒸気通路P16に連通することができ、その間に第11蒸気通路P11…から第16蒸気通路P16への蒸気の排出が行われる。
【0045】
更に第17蒸気通路P17は、ロータリバルブ本体62の内部に形成された第18蒸気通路P18〜第20蒸気通路P20および後部カバー18の切欠18dを介して、ロータリバルブ本体62および後部カバー18間に形成された蒸気排出室90に連通し、この蒸気排出室90は後部カバー18に形成した蒸気排出孔18cに連通する。
【0046】
以上のように、第1のアキシャルピストンシリンダ群49への蒸気の供給・排出と第2のアキシャルピストンシリンダ群57への蒸気の供給・排出とを共通のロータリバルブ61で制御するので、各々別個のロータリバルブを用いる場合に比べて膨張機Mを小型化することができる。しかも第1のアキシャルピストンシリンダ群49に高温高圧蒸気を供給するバルブを、ロータリバルブ本体62と一体の固定側バルブプレート63の前端の平坦な摺動面68に形成したので、高温高圧蒸気のリークを効果的に防止することができる。なぜならば、平坦な摺動面68は高精度の加工が容易なため、円筒状の摺動面に比べてクリアランスの管理が容易であるからである。
【0047】
特に、複数本のプリロードスプリング75…でロータリバルブ本体62にプリセット荷重を与えて軸線L方向前方に付勢し、更に蒸気供給パイプ77から圧力室76に供給した高温高圧蒸気でロータリバルブ本体62を軸線L方向前方に付勢することにより、固定側バルブプレート63および可動側バルブプレート64の摺動68に高温高圧蒸気の圧力に応じた面圧を発生させ、その摺動面68からの蒸気のリークを一層効果的に抑制することができる。
【0048】
また第2のアキシャルピストンシリンダ群57に中温中圧蒸気を供給するバルブはロータリバルブ本体62の外周の円筒状の摺動面71に形成されているが、そこを通過する中温中圧蒸気は前記高温高圧蒸気に比べて圧力が低下しているため、摺動面71に対する面圧を発生させなくとも、所定のクリアランス管理を施せば蒸気のリークは実用上問題ない。
【0049】
またロータリバルブ本体62に内部に、高温高圧蒸気が流れる第1蒸気通路P1と、中温中圧蒸気が流れる第7蒸気通路P7および第8蒸気通路P8と、低温低圧蒸気が流れる第17蒸気通路P17〜第20蒸気通路P20とを集約して形成したので蒸気温度の低下を防止できるだけでなく、高温高圧蒸気のシール部(例えば、シール部材81)を低温低圧蒸気で冷却して耐久性を高めることができる。
【0050】
更に、後部カバー18をケーシング本体12から取り外すだけで、ケーシング本体12に対してロータリバルブ61を着脱することができるので、修理、清掃、交換等のメンテナンス作業性が大幅に向上する。また高温高圧蒸気が通過するロータリバルブ61は高温になるが、オイルによる潤滑が必要な斜板39や出力軸28がロータ27を挟んでロータリバルブ61の反対側に配置されるので、高温となるロータリバルブ61の熱でオイルが加熱されて斜板39や出力軸28の潤滑性能が低下するのを防止することができる。またオイルはロータリバルブ61を冷却して過熱を防止する機能も発揮する。
【0051】
次に、図10〜図14を参照してブリーザの構造を説明する。
【0052】
ケーシング本体12の上壁12aとブリーザ室隔壁23との間に区画された下部ブリーザ室101はケーシング本体12の上壁12aに形成された連通孔12bを介してケーシング11内の潤滑室102に連通する。潤滑室102の底部に設けたオイルパン19にはオイルが貯留されており、その油面はロータ27の下端よりも僅かに高くなっている(図1参照)。下部ブリーザ室101の内部には上端がブリーザ室隔壁23の下面に接触する3枚の隔壁12c〜12eが上向きに突設されており、これら隔壁12c〜12eにより構成された迷路の一端に前記連通孔12bが開口するとともに、迷路の他端に向かう経路の途中に前記上壁12aを貫通する4個のオイル戻し孔12f…が形成される。オイル戻し孔12f…は下部ブリーザ室101の最も低い位置に形成されており(図14参照)、従って下部ブリーザ室101内で凝縮したオイルを潤滑室102に確実に戻すことができる。
【0053】
ブリーザ室隔壁23とブリーザ室カバー25との間に上部ブリーザ室103が区画されており、この上部ブリーザ室103と下部ブリーザ室101とが、ブリーザ室隔壁23を貫通して上部ブリーザ室103内に煙突状に突出する4個の連通孔23a…,23bにより連通する。ブリーザ室隔壁23を貫通する凝縮水戻し孔23cの下方に位置するケーシング本体12の上壁12aに凹部12gが形成されており、この凹部12gの周囲がシール部材104でシールされる。
【0054】
ブリーザ室隔壁23に形成された第1ブリーザ通路B1の一端が上部ブリーザ室103の高さ方向中間部に開口する。第1ブリーザ通路B1の他端は、ケーシング本体12に形成した第2ブリーザ通路B2および後部カバー18に形成した第3ブリーザ通路B3を介して蒸気排出室90に連通する。また上壁12aに形成した凹部12gはケーシング本体12に形成した第4ブリーザ通路B4および前記第3ブリーザ通路B3を介して蒸気排出室90に連通する。第1ブリーザ通路B1および第2ブリーザ通路B2の連通部の外周はシール部材105によりシールされる。
【0055】
図2に示すように、下部ブリーザ室101に連通する継ぎ手106とオイルパン19に連通する継ぎ手107とが透明なオイルレベルゲージ108で接続されており、このオイルレベルゲージ108内のオイルの油面により潤滑室102内のオイルの油面を外部から知ることができる。即ち、潤滑室102は密閉構造となっており、外部からオイルレベルゲージを挿入することはシール性の維持から難しく、構造が複雑化することが避けられない。しかしながら、このオイルレベルゲージ108によって、潤滑室102の密閉状態を維持しつつ外部からオイルの油面を容易に知ることができる。
【0056】
次に、上記構成を備えた本実施例の膨張機Mの作用を説明する。
【0057】
図16に示すように、蒸発器で水を加熱して発生した高温高圧蒸気は蒸気供給パイプ77を介して膨張機Mの圧力室76に供給され、そこからロータリバルブ61のロータリバルブ本体62に形成した第1蒸気通路P1と、このロータリバルブ本体62と一体の固定側バルブプレート63に形成した第2蒸気通路P2とを経て、可動側バルブプレート64との摺動面68に達する。そして摺動面68に開口する第2蒸気通路P2はロータ27と一体に回転する可動側バルブプレート64に形成した第3蒸気通路P3に瞬間的に連通し、高温高圧蒸気は第3蒸気通路P3からロータ27に形成した第4蒸気通路P4を経て、第1のアキシャルピストンシリンダ群49の7個の高圧作動室82…のうちの上死点に在る高圧作動室82に供給される。
【0058】
ロータ27の回転に伴って第2蒸気通路P2および第3蒸気通路P3の連通が絶たれた後も高圧作動室82内で高温高圧蒸気が膨張することで、スリーブ41の高圧シリンダ42に嵌合する高圧ピストン43が上死点から下死点に向けて前方に押し出され、その前端が斜板39のディンプル39aを押圧する。その結果、高圧ピストン43が斜板39から受ける反力でロータ27に回転トルクが与えられる。そしてロータ27が7分の1回転する毎に、新たな高圧作動室82内に高温高圧蒸気が供給されてロータ27が連続的に回転駆動される。
【0059】
図17に示すように、ロータ27の回転に伴って下死点に達した高圧ピストン43が上死点に向かって後退する間に、高圧作動室82から押し出された中温中圧蒸気は、ロータ27の第4蒸気通路P4と、可動側バルブプレート64の第3蒸気通路P3と、摺動面68と、固定側バルブプレート63の第5蒸気通路P5および第6蒸気通路P6と、ロータリバルブ本体62の第7蒸気通路P7〜第10蒸気通路P10と、摺動面71とを経て、ロータ27の回転に伴って上死点に達した第2のアキシャルピストンシリンダ群57の低圧作動室84に連なる第11蒸気通路P11に供給される。低圧作動室84に供給された中温中圧蒸気は第10蒸気通路P10と第11蒸気通路P11との連通が絶たれた後も低圧作動室84内で膨張することで、低圧シリンダ50に嵌合する低圧ピストン51が上死点から下死点に向けて前方に押し出され、低圧ピストン51に接続されたリンク52が斜板39を押圧する。その結果、低圧ピストン51の押圧力がリンク52を介して斜板39の回転力に変換され、この回転力は斜板39のディンプル39aを介して高圧ピストン43からロータ27に回転トルクを伝える。即ち、斜板39と同期回転するロータ27に回転トルクが伝達されることになる。尚、リンク52は膨張行程での負圧発生時に低圧ピストン51が斜板39から離脱するのを防止すべく、低圧ピストン51と斜板39との結合を維持する機能を果たすもので、膨張作用による回転トルクは、上述の如く斜板39のディンプル39aを介して高圧ピストン43から斜板39と同期回転するロータ27に伝達される構成となっている。そしてロータ27が7分の1回転する毎に、新たな低圧作動室84内に中温中圧蒸気が供給されてロータ27が連続的に回転駆動される。
【0060】
このとき、前述したように、第1のアキシャルピストンシリンダ群49の高圧作動室82…から排出される中温中圧蒸気の圧力はロータ27の1回転につき圧力が7回脈動するが、その脈動を調圧室89で緩衝することにより、一定圧の蒸気を第2のアキシャルピストンシリンダ群57に供給して低圧作動室84…への蒸気の充填効率を高めることができる。
【0061】
図18に示すように、ロータ27の回転に伴って下死点に達した低圧ピストン51が上死点に向かって後退する間に、低圧作動室84から押し出された低温低圧蒸気は、ロータ27の第11蒸気通路P11と、摺動面71と、摺動部材70の第16蒸気通路P16と、ロータリバルブ本体62の第17蒸気通路P17〜第20蒸気通路P20を経て蒸気排出室90に排出され、そこから蒸気排出孔18cを経て凝縮器に供給される。
【0062】
上述のようにして膨張機Mが作動するとき、第1のアキシャルピストンシリンダ群49の7本の高圧ピストン43…と、第2のアキシャルピストンシリンダ群57の7本の低圧ピストン51…とが共通の斜板39に接続されるので、第1、第2のアキシャルピストンシリンダ群49,57の出力を合成して出力軸28を駆動することができ、膨張機Mを小型化しながら高出力を得ることができる。このとき、第1のアキシャルピストンシリンダ群49の7本の高圧ピストン43…と、第2のアキシャルピストンシリンダ群57の7本の高圧ピストン51…とが円周方向に半ピッチずれて配置されているため、図15に示すように、第1のアキシャルピストンシリンダ群49の出力トルクの脈動と、第2のアキシャルピストンシリンダ群57の出力トルクの脈動とが相互に打ち消しあい、出力軸28の出力トルクがフラットになる。
【0063】
またアキシャル型の膨張機はラジアル型の膨張機に比べてスペース効率が高いという特徴があるが、それを半径方向に2段に配置したことでスペース効率を更に高めることができる。特に、体積が小さい高圧の蒸気で作動するために小直径で済む第1のアキシャルピストンシリンダ群49を半径方向内側に配置し、体積が大きい低圧の蒸気で作動するために大直径となる第2のアキシャルピストンシリンダ群57を半径方向外側に配置したので、空間を有効利用して膨張機Mの一層の小型化が可能となる。しかも円形断面を有することで加工精度を高くできるシリンダ42…,50…およびピストン43…,51…を用いたことにより、ベーンを用いた場合に比べて蒸気のリーク量が少なくなり、更なる高出力を望むことができる。
【0064】
また高温の蒸気で作動する第1のアキシャルピストンシリンダ群49を半径方向内側に配置し、低温の蒸気で作動する第2のアキシャルピストンシリンダ群57を半径方向外側に配置したので、第2のアキシャルピストンシリンダ群57とケーシング11の外部との温度差を最小限に抑え、ケーシング11の外部への熱逃げを最小限に抑えて膨張機Mの効率を高めることができる。また半径方向内側の高温の第1のアキシャルピストンシリンダ群49から逃げた熱を、半径方向外側の低温の第2のアキシャルピストンシリンダ群57で回収することができるので、膨張機Mの効率を更に高めることができる。
【0065】
また軸線Lに対して直角方向に見たとき、第1のアキシャルピストンシリンダ群49の後端は第2のアキシャルピストンシリンダ群57の後端よりも前方に位置しているので、第1のアキシャルピストンシリンダ群49から軸線L方向後方に逃げた熱を第2のアキシャルピストンシリンダ群57で回収し、膨張機Mの効率を更に高めることができる。更に、高圧側の摺動面68が低圧側の摺動面71よりもロータ27の凹部27bの奥側に在るので、ケーシング11の外部の圧力と低圧側の摺動面71との差圧を最小限に抑えて低圧側の摺動面71からの蒸気のリーク量を減少させることができ、しかも高圧側の摺動面68から漏れた蒸気圧を低圧側の摺動面71で回収して有効に利用することができる。
【0066】
さて、膨張機Mの運転中にケーシング11の潤滑室102内で回転するロータ27によってオイルパン19に貯留されたオイルが攪拌されて撥ね上げられ、高圧シリンダ42…と高圧ピストン43…との摺動部、低圧シリンダ50…と低圧ピストン51…との摺動部、出力軸28を支持するアンギュラボールベアリング31、ロータ27を支持するアンギュラボールベアリング29、斜板39を支持するアンギュラボールベアリング38、高圧ピストン43…と斜板39との摺動部、リンク52…の両端の球面軸受54…,56…等を潤滑する。
【0067】
潤滑室102の内部には、オイルの攪拌により飛散したオイルミストと、ロータ27の高温部に加熱されて蒸発したオイルの蒸気とが充満しており、これに高圧作動室82…および低圧作動室84…から潤滑室102に漏出した蒸気が混合する。蒸気の漏出により潤滑室102の圧力が蒸気排出室90の圧力よりも高くなると、前記オイル分および蒸気の混合物はケーシング本体12の上壁12aに形成した連通孔12bから下部ブリーザ室101に流入する。下部ブリーザ室101の内部は隔壁12c〜12eにより迷路構造になっており、そこを通過する間に凝縮したオイルは、ケーシング本体12の上壁12aに形成した4個のオイル戻し孔12f…から落下して潤滑室102に戻される。
【0068】
オイル分を除去された蒸気はブリーザ室隔壁23の4個の連通孔23a…,23bを通過して上部ブリーザ室103に流入し、その上壁を区画するブリーザ室カバー25を介して外部の空気に熱を奪われて凝縮する。上部ブリーザ室103内で凝縮した水は、上部ブリーザ室103内に煙突状に突出する4個の連通孔23a…,23bに流入することなく、ブリーザ室隔壁23に形成した凝縮水戻し孔23cを通過して凹部12gに落下し、そこでから第4ブリーザ通路B4および第3ブリーザ通路B3を経て蒸気排出室90に排出される。このとき、蒸気排出室90に戻される凝縮水の量は、高圧作動室82…および低圧作動室84…から潤滑室102に漏出した蒸気の量に見合った量となる。また蒸気排出室90と上部ブリーザ室103とは圧力平衡通路として機能する第1蒸気通路B1〜第3蒸気通路B3で常時連通しているので、蒸気排出室90と潤滑室102との圧力平衡を確保することができる。
【0069】
暖機完了前の過渡期において、潤滑室102の圧力が蒸気排出室90の圧力よりも低くなった場合には、蒸気排出室90の蒸気が第3ブリーザ通路B3、第2ブリーザ通路B2および第1ブリーザ通路B1、上部ブリーザ室103および下部ブリーザ室101を経て潤滑室102に流入することが考えられるが、暖機完了後は潤滑室102への蒸気の漏出により潤滑室102の圧力が蒸気排出室90の圧力よりも高くなるため、上述したオイルおよび蒸気の分離作用が開始される。
【0070】
作動媒体である蒸気(あるいは水)が蒸発器、膨張機、凝縮器および循環ポンプよりなる閉回路を循環するランキンサイクルシステムでは、作動媒体にオイルが混入してシステムが汚損されるのを極力回避することが必要であるが、オイルを分離する下部ブリーザ室101および凝縮水を分離する上部ブリーザ室103により、蒸気(あるいは水)へのオイルの混入を最小限に抑え、オイルを分離するフィルターの負担を軽減して小型化およびコストダウンを図ることができ、しかもオイルの汚れや劣化を防止することができる。
【0071】
次に、図19に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0072】
図19は固定側バルブプレート63の摺動面68を示すもので、第1実施例を示す図6に対応している。プリセットスプリング75…の弾発力と圧力室76に作用する高温高圧蒸気の圧力とにより摺動面68にシール面圧を与えているが、摺動面68の全域に亘って均一なシール面圧を確保することは困難である。なぜならば、摺動面68を通る第2蒸気通路P2および第3蒸気通路P3…には高温高圧蒸気が供給されるため、その高温高圧蒸気が固定側バルブプレート63および可動側バルブプレート64を引き離してシール面圧を低下させるように作用するからである。一方、摺動面68を通る第5蒸気通路P5および第3蒸気通路P3…には中温中圧蒸気が供給されるが、その圧力は前記高温高圧蒸気に比べて低いため、摺動面68を引き離してシール面圧を低下させる作用も小さくなる。その結果、前記第2蒸気通路P2、第3蒸気通路P…および第5蒸気通路P5の蒸気圧により摺動面68にアンバランスな荷重が加わり、これが摺動面68のシール性能を低下させる要因となる。
【0073】
そこで本第2実施例では、固定側バルブプレート63の摺動面68に、軸線Lを通る第14蒸気通路P14の外周を囲む環状の第1圧力溝G1を刻設し、この第1圧力溝G1を中温中圧蒸気が通る第5蒸気通路P5に連通させるととともに、第1圧力溝G1の外周を囲む部分円弧状の第2圧力溝G2を刻設し、この第2圧力溝G2を高温高圧蒸気が通過する第2蒸気通路P2に連通させている。前記第1、第2圧力溝G1,G2の作用により、摺動面68のシール面圧が不均一になるのを緩和し、摺動面68の偏当たりによるシール性の低下や摩耗の発生を防止することができる。また高圧の第2圧力溝G2から漏れた蒸気が低圧の第1圧力溝G1に流入する際に、摩耗粉を第1圧力溝G1に排出して高圧作動室82…への流入を阻止する効果も発揮する。更に、オイルによる潤滑が望めない摺動面68に蒸気を均一に分布させ、潤滑性能の向上を図ることができる。
【0074】
次に、図20に基づいて本発明の第3実施例を説明する。
【0075】
第3実施例は第2実施例の変形であって、高温高圧蒸気が通る第2蒸気通路P2に連通する第2圧力溝G2を省略し、中温中圧蒸気が通る第5蒸気通路P15に連通する第1圧力溝G1だけを設けたものである。本第3実施例によれば、第2実施例に比べて構造が簡単になるだけでなく、摩耗粉の回収効果も高められ、しかも蒸気のリーク量も第2実施例に比べて減少する。
【0076】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0077】
例えば、実施例では第1のアキシャルピストンシリンダ群49および第2のアキシャルピストンシリンダ群57を設けているが、3セット以上のアキシャルピストンシリンダ群を設けても良い。
【0078】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、複数のアキシャルピストンシリンダ群を出力軸に関して半径方向内外に配置し、各々のアキシャルピストンシリンダ群のピストンを共通の斜板に案内させて複数段連続して機能させるので、ベーン型の膨張機に比べて作動媒体のリーク量が減少するのは勿論のこと、ベーン型の膨張機やラジアル型の膨張機に比べて本来的にスペース効率が高いアキシャル型の膨張機のスペース効率を更に高め、小型で高出力な膨張機を得ることができる。
【0079】
また複数のアキシャルピストンシリンダ群のピストンを半径方向外側に位置するものほど大径にし、かつ高温高圧の圧縮性作動媒体を直列に接続した複数のアキシャルピストンシリンダ群の半径方向内側のものから半径方向外側のものへと順次供給するので、デッドスペースの発生を最小限に抑えて膨張機を小型化できるだけでなく、最初に半径方向内側の小径のアキシャルピストンシリンダ群に体積が小さい高圧の作動媒体が作用し、次に半径方向外側の大径のアキシャルピストンシリンダ群に一部膨張作用を終了した体積が大きい低圧の作動媒体が作用するようになり、作動媒体の圧力エネルギーを余すところ無く機械エネルギーに変換することができる。しかも高圧の作動媒体が作用することでリークが発生し易い半径方向内側のアキシャルピストンシリンダ群の摺動部の面積を最小限に抑え、作動媒体のリークを一層低減することができる。
【0080】
更に、半径方向内側のアキシャルピストンシリンダ群に膨張前の高温の作動媒体が作用し、半径方向外側のアキシャルピストンシリンダ群に膨張後の低温の作動媒体が作用するようになるため、高温の作動媒体が作用する半径方向内側のアキシャルピストンシリンダ群から放散する熱を、低温の作動媒体が作用する半径方向外側のアキシャルピストンシリンダ群で回収し、熱エネルギーの損失を減少させることができる。
【0081】
また請求項2に記載された発明によれば、半径方向内外に隣接するアキシャルピストンシリンダ群の配列ピッチが円周方向にずれているので、半径方向外側のシリンダに挟まれた空間に半径方向内側のシリンダを配置して膨張機の外径寸法を一層小型化することができるだけでなく、複数のアキシャルピストンシリンダ群の出力トルクの変動を減少させることができる。
【0082】
また請求項3に記載された発明によれば、作動媒体供給・排出部と出力部とが動力変換部を挟んで離れた位置に配置されるので、出力部の摺動部を潤滑するオイルが、高温の作動媒体が通過する作動媒体供給・排出部により加熱されて変質するのを防止し、出力部の潤滑性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 膨張機の縦断面図
【図2】 図1の2−2線断面図
【図3】 図1の3部拡大図
【図4】 図1の4部拡大断面図(図8の4−4線断面図)
【図5】 図4の5−5線矢視図
【図6】 図4の6−6線矢視図
【図7】 図4の7−7線断面図
【図8】 図4の8−8線断面図
【図9】 図4の9−9線断面図
【図10】 図1の10−10線矢視図
【図11】 図1の11−11線矢視図
【図12】 図10の12−12線断面図
【図13】 図11の13−13線断面図
【図14】 図10の14−14線断面図
【図15】 出力軸のトルク変動を示すグラフ
【図16】 高圧段の吸入系を示す作用説明図
【図17】 高圧段の排出系および低圧段の吸入系を示す作用説明図
【図18】 低圧段の排出系を示す作用説明図
【図19】 本発明の第2実施例を示す、前記図6に対応する図
【図20】 本発明の第3実施例を示す、前記図6に対応する図
【符号の説明】
11 ケーシング
27 ロータ
28 出力軸
39 斜板
43 高圧ピストン(ピストン)
49 第1のアキシャルピストンシリンダ群(アキシャルピストンシリンダ群)
51 低圧ピストン(ピストン)
57 第2のアキシャルピストンシリンダ群(アキシャルピストンシリンダ群)
61 ロータリバルブ(吸・排気バルブ)
L 軸線[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a casing, an output shaft that outputs a driving force, a rotor that is integrated with the output shaft and is rotatably supported by the casing, an annular shape in the rotor so as to surround the axis of the output shaft, and radial inner and outer surfaces. And a common swash plate that is fixed to a casing and guides the pistons of the plurality of axial piston cylinder groups in the axial direction.
[0002]
[Prior art]
Japanese Patent No. 2874300 and Japanese Utility Model Laid-Open No. 48-54702 describe a piston pump or a piston motor provided with two axial piston cylinder groups arranged radially inside and radially outside. All of these use an incompressible fluid such as oil as a working medium, and the axial piston cylinder groups on the radially inner side and the radially outer side are arranged out of phase in the circumferential direction. The piston diameter of the axial piston cylinder group on the inner side in the direction is smaller than the piston diameter of the axial piston cylinder group on the outer side in the radial direction.
[0003]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-320453 discloses that an axial piston cylinder group and a vane group are arranged on the radially inner side and the radially outer side of a rotor, respectively, and high-temperature and high-pressure steam is supplied to the vane group via the axial piston cylinder group. Describes an expander that converts pressure energy into mechanical energy.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, the expander using high-temperature and high-pressure steam as a working medium includes a vane type in which a rotor that slidably supports a vane is disposed inside a cam ring, and a plurality of cylinders and pistons radially with respect to an axis. There are a radial type arranged and an axial type arranged with a plurality of cylinders and pistons parallel to the axis.
[0005]
The vane type expander has the advantage that a large expansion ratio of steam can be obtained, but the seal length per volume between the tip of the vane and the inner peripheral surface of the cam ring is long, and it is difficult to seal, so the amount of steam leakage is low. There are many problems.
[0006]
Further, in the radial type expander, since the cylinder and the piston are radially arranged with respect to the axis, not only the size is increased by the fan-shaped dead space formed between adjacent cylinders, but also the steam is distributed to the cylinders. When the sliding surface of the rotary valve is a cylindrical surface and a slidable clearance is provided, there is a problem that the amount of steam leakage is increased compared to a rotary valve having a flat sliding surface.
[0007]
On the other hand, since the axial type expander arranges the cylinder and the piston in the axial direction, the dead space between the cylinders can be made smaller and the cross-sectional arrangement in the radial direction can be made smaller. Smaller than an expander. Moreover, the amount of steam leakage between the cylinder and the piston is small compared to the amount of steam leakage between the vane and the cam ring, and a rotary valve having a flat sliding surface and a small amount of steam leakage can be adopted. Higher output is possible compared to vane type or radial type expanders.
[0008]
The present invention has been made in view of the above circumstances, and an object thereof is to further reduce the size and output of an axial type expander.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, according to the invention described in
[0010]
Also, the larger the pistons of the plurality of axial piston cylinder groups are located at the radially outer side, the larger the diameter, and the radial direction from the radially inner one of the plurality of axial piston cylinder groups in which high-temperature and high-pressure compressive working media are connected in series. Sequential supply to the outside allows miniaturization of the expander by minimizing the occurrence of dead space, and a high-pressure working medium with a small volume is first added to the small-diameter axial piston cylinder group at the radially inner side. Then, the large-diameter axial piston cylinder group on the outside in the radial direction is acted on by a low-pressure working medium with a large volume that has partially expanded. Can be converted. Moreover, the area of the sliding portion of the axial piston cylinder group on the radially inner side where leakage is likely to occur due to the action of the high-pressure working medium can be minimized, and the leakage of the working medium can be further reduced.
[0011]
Furthermore, since the high-temperature working medium before expansion acts on the axial piston cylinder group on the radially inner side, and the low-temperature working medium after expansion acts on the axial piston cylinder group on the radially outer side, the high-temperature working medium The heat dissipated from the radially inner axial piston cylinder group on which is applied can be recovered by the radially outer axial piston cylinder group on which the low-temperature working medium acts to reduce the loss of thermal energy.
[0012]
According to the invention described in
[0013]
According to the above configuration, since the arrangement pitch of the axial piston cylinder groups adjacent to each other in the radial direction is shifted in the circumferential direction, the radially inner cylinder is disposed in the space between the radially outer cylinders to expand. Not only can the outer diameter of the machine be further reduced, but also fluctuations in output torque of a plurality of axial piston cylinder groups can be reduced.
[0014]
According to the invention described in
[0015]
According to the above configuration, since the working medium supply / discharge unit and the output unit are arranged at positions separated by the power conversion unit, the oil that lubricates the sliding part of the output unit passes through the high-temperature working medium. It is possible to prevent the working medium supplying / discharging unit from being heated and changing its quality and to ensure the lubrication performance of the output unit.
[0016]
The
[0017]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described based on examples of the present invention shown in the accompanying drawings. 1 to 18 show a first embodiment of the present invention. FIG. 1 is a longitudinal sectional view of an expander, FIG. 2 is a sectional view taken along line 2-2 of FIG. 1, and FIG. 4 and 4 are enlarged sectional views (part 4-4 in FIG. 8) of FIG. 1, FIG. 5 is a view taken along line 5-5 in FIG. 4, and FIG. 6 is a line 6-6 in FIG. 7 is a sectional view taken along line 7-7 in FIG. 4, FIG. 8 is a sectional view taken along line 8-8 in FIG. 4, FIG. 9 is a sectional view taken along line 9-9 in FIG. FIG. 11 is a sectional view taken along line 11-11 in FIG. 1, FIG. 12 is a sectional view taken along line 12-12 in FIG. 10, FIG. 13 is a sectional view taken along line 13-13 in FIG. FIG. 15 is a graph showing the torque fluctuation of the output shaft, FIG. 16 is an operation explanatory view showing the high-pressure stage suction system, and FIG. 17 is a high-pressure stage discharge system and low-pressure stage suction system. FIG. 18 is a diagram illustrating the operation of the low-pressure stage discharge system. It is.
[0018]
As shown in FIGS. 1-3, the expander M of a present Example is used for a Rankine-cycle apparatus, for example, Comprising: The thermal energy and pressure energy of the high temperature / high pressure steam as a working medium are converted into mechanical energy. Output. The
[0019]
A
[0020]
Seven
[0021]
The
[0022]
As described above, since the sliding range of the pressure rings 47 and the sliding range of the oil rings 48 are set so as not to overlap each other, the inner wall of the
[0023]
Since the seven
[0024]
Further, since the vicinity of the bottom portion of the
[0025]
The seven high-
[0026]
Seven low-
[0027]
[0028]
The seven low-
[0029]
As described above, the front ends of the high-
[0030]
The
[0031]
The
[0032]
If the
[0033]
Next, a steam supply / discharge system for the first axial
[0034]
As shown in FIG. 4, the
[0035]
The rotary valve
[0036]
A plurality of (for example, seven) preload springs 75 are supported by the
[0037]
A high-pressure stage steam intake path for supplying high-temperature and high-pressure steam to the first axial
[0038]
Seven third steam passages P3... (See FIG. 5) and fourth steam passages P4... Are formed in the
[0039]
The high-pressure stage steam discharge path and the low-pressure stage steam suction path that discharge medium-temperature and intermediate-pressure steam from the first axial
[0040]
The
[0041]
In order to prevent steam leakage from the mating surface of the rotary valve
[0042]
The interior of the
[0043]
Further, since the
[0044]
A steam discharge path for discharging low-temperature and low-pressure steam from the second axial
[0045]
Further, the seventeenth steam passage P17 is provided between the rotary valve
[0046]
As described above, the supply / discharge of the steam to the first axial
[0047]
In particular, a plurality of preload springs 75... Apply a preset load to the rotary valve
[0048]
In addition, the valve for supplying the intermediate temperature intermediate pressure steam to the second axial
[0049]
The
[0050]
Furthermore, since the
[0051]
Next, the structure of the breather will be described with reference to FIGS.
[0052]
The
[0053]
An
[0054]
One end of the first breather passage B <b> 1 formed in the breather
[0055]
As shown in FIG. 2, a joint 106 communicating with the
[0056]
Next, the operation of the expander M of the present embodiment having the above configuration will be described.
[0057]
As shown in FIG. 16, the high-temperature and high-pressure steam generated by heating water with the evaporator is supplied to the
[0058]
Even after the communication between the second steam passage P2 and the third steam passage P3 is cut off with the rotation of the
[0059]
As shown in FIG. 17, while the
[0060]
At this time, as described above, the pressure of the intermediate-temperature / intermediate-pressure steam discharged from the high-
[0061]
As shown in FIG. 18, the low-temperature low-pressure steam pushed out from the low-
[0062]
When the expander M operates as described above, the seven high-
[0063]
The axial type expander has a feature that the space efficiency is higher than that of the radial type expander. However, space efficiency can be further improved by arranging the axial type expander in two stages in the radial direction. In particular, the first axial
[0064]
In addition, the first axial
[0065]
Further, when viewed in a direction perpendicular to the axis L, the rear end of the first axial
[0066]
Now, during the operation of the expander M, the oil stored in the
[0067]
The inside of the
[0068]
The steam from which the oil has been removed passes through the four
[0069]
When the pressure in the
[0070]
In the Rankine cycle system, where the working medium vapor (or water) circulates in a closed circuit consisting of an evaporator, expander, condenser and circulation pump, it is avoided as much as possible that the working medium is contaminated with oil. However, the
[0071]
Next, a second embodiment of the present invention will be described with reference to FIG.
[0072]
FIG. 19 shows the sliding
[0073]
Therefore, in the second embodiment, an annular first pressure groove G1 surrounding the outer periphery of the fourteenth steam passage P14 passing through the axis L is formed on the sliding
[0074]
Next, a third embodiment of the present invention will be described with reference to FIG.
[0075]
The third embodiment is a modification of the second embodiment, omits the second pressure groove G2 communicating with the second steam passage P2 through which the high-temperature and high-pressure steam passes, and communicates with the fifth steam passage P15 through which the intermediate-temperature and intermediate-pressure steam passes. Only the first pressure groove G1 is provided. According to the third embodiment, not only the structure is simplified compared to the second embodiment, but also the wear powder recovery effect is enhanced, and the amount of steam leakage is also reduced compared to the second embodiment.
[0076]
Although the embodiments of the present invention have been described above, various design changes can be made without departing from the scope of the present invention.
[0077]
For example, in the embodiment, the first axial
[0078]
【The invention's effect】
As described above, according to the first aspect of the present invention, the plurality of axial piston cylinder groups are arranged radially inward and outward with respect to the output shaft, and the pistons of the respective axial piston cylinder groups are guided to the common swash plate. Since it functions continuously in multiple stages, the amount of leakage of the working medium is reduced compared to the vane type expander, and it is inherently more space efficient than the vane type or radial type expander. The space efficiency of the high axial type expander can be further increased, and a small and high output expander can be obtained.
[0079]
Also, the larger the pistons of the plurality of axial piston cylinder groups are located at the radially outer side, the larger the diameter, and the radial direction from the radially inner one of the plurality of axial piston cylinder groups in which high-temperature and high-pressure compressive working media are connected in series. Sequential supply to the outside allows miniaturization of the expander by minimizing the occurrence of dead space, and a high-pressure working medium with a small volume is first added to the small-diameter axial piston cylinder group at the radially inner side. Then, the large-diameter axial piston cylinder group on the outside in the radial direction is acted on by a low-pressure working medium with a large volume that has partially expanded. Can be converted. Moreover, the area of the sliding portion of the axial piston cylinder group on the radially inner side where leakage is likely to occur due to the action of the high-pressure working medium can be minimized, and the leakage of the working medium can be further reduced.
[0080]
Furthermore, since the high-temperature working medium before expansion acts on the axial piston cylinder group on the radially inner side, and the low-temperature working medium after expansion acts on the axial piston cylinder group on the radially outer side, the high-temperature working medium The heat dissipated from the radially inner axial piston cylinder group on which is applied can be recovered by the radially outer axial piston cylinder group on which the low-temperature working medium acts to reduce the loss of thermal energy.
[0081]
According to the second aspect of the present invention, since the arrangement pitch of the axial piston cylinder groups adjacent to each other in the radial direction is shifted in the circumferential direction, the inner space in the radial direction is inserted into the space between the radially outer cylinders. These cylinders can be arranged to further reduce the outer diameter of the expander, and the variation in the output torque of the plurality of axial piston cylinder groups can be reduced.
[0082]
According to the invention described in
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view of an expander. FIG. 2 is a sectional view taken along line 2-2 in FIG. 1. FIG. 3 is an enlarged view of
5 is a view taken along line 5-5 in FIG. 4. FIG. 6 is a view taken along line 6-6 in FIG. 4. FIG. 7 is a cross-sectional view taken along line 7-7 in FIG. 8 is a cross-sectional view taken along line 9-9 of FIG. 4. FIG. 10 is a cross-sectional view taken along line 10-10 of FIG. 1. FIG. 11 is a cross-sectional view taken along line 11-11 of FIG. Fig. 13 is a sectional view taken along line 12-12 of Fig. 10. Fig. 13 is a sectional view taken along line 13-13 of Fig. 11. Fig. 14 is a sectional view taken along line 14-14 of Fig. 10. Fig. 15 is a graph showing torque fluctuations of the output shaft. FIG. 17 is an operation explanatory diagram showing a high pressure stage exhaust system and a low pressure stage exhaust system. FIG. 18 is an operation explanatory diagram showing a low pressure stage exhaust system. FIG. 20 is a diagram corresponding to FIG. 6 showing the second embodiment of the present invention. FIG. 20 is a diagram corresponding to FIG. 6 showing the third embodiment of the present invention.
11
49 First axial piston cylinder group (axial piston cylinder group)
51 Low pressure piston (piston)
57 Second axial piston cylinder group (axial piston cylinder group)
61 Rotary valve (suction / exhaust valve)
L axis
Claims (3)
駆動力を出力する出力軸(28)と、
出力軸(28)と一体になってケーシング(11)に回転自在に支持されたロータ(27)と、
出力軸(28)の軸線(L)を囲むようにロータ(27)に環状にかつ半径方向内外に配置された複数のアキシャルピストンシリンダ群(49,57)と、
ケーシング(11)に固定されて複数のアキシャルピストンシリンダ群(49,57)のピストン(43,51)を前記軸線(L)方向に案内する共通の斜板(39)と、
を備えた膨張機であって、
複数のアキシャルピストンシリンダ群(49,57)のピストン(43,51)を半径方向外側に位置するものほど大径にするとともに、
複数のアキシャルピストンシリンダ群(49,57)を給・排気バルブ(61)を介して直列に接続し、高温高圧の圧縮性作動媒体を最初に半径方向内側のアキシャルピストンシリンダ群(49)に供給し、次にその膨張作用を一部終了して降温降圧した前記作動媒体を半径方向外側のアキシャルピストンシリンダ群(57)に向けて順次供給することを特徴とする膨張機。A casing (11);
An output shaft (28) for outputting a driving force;
A rotor (27) integrated with the output shaft (28) and rotatably supported by the casing (11);
A plurality of axial piston cylinder groups (49, 57) annularly arranged on the rotor (27) so as to surround the axis (L) of the output shaft (28) and radially inward and outward;
A common swash plate (39) fixed to the casing (11) and guiding the pistons (43, 51) of the plurality of axial piston cylinder groups (49, 57) in the direction of the axis (L);
An expander with
The pistons (43, 51) of the plurality of axial piston cylinder groups (49, 57) have a larger diameter as they are located on the radially outer side,
A plurality of axial piston cylinder groups (49, 57) are connected in series via a supply / exhaust valve (61), and a high-temperature and high-pressure compressive working medium is first supplied to the axial piston cylinder group (49) on the radially inner side. Next, the expander is characterized by sequentially supplying the working medium whose temperature has been lowered and lowered by partially terminating the expansion action toward the radially outer axial piston cylinder group (57).
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