JP4100220B2 - エンジンの冷却装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒の循環を通じてエンジンの冷却を図るエンジンの冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷媒の循環を通じてエンジンの冷却を図るエンジンの冷却装置として、蓄熱容器を備えた冷却装置が知られている。こうした冷却装置にあっては、エンジンからの受熱により高温となった冷媒を蓄熱容器内に流入させることにより、同冷媒を保温しつつ貯留することが可能となっている。
【0003】
蓄熱容器を備えたエンジンの冷却装置としては、例えば特許文献1に記載の装置が知られている。
同文献に記載の冷却装置は、冷媒を流通させる冷媒通路として、
[イ]「エンジンの本体から流出した冷媒をラジエータをバイパスしてエンジンの本体へ還流するためのバイパス通路」
[ロ]「蓄熱容器が設けられているとともにこの蓄熱容器内に貯留されている冷媒をエンジンの本体へ流入させるための蓄熱通路」
これら[イ]及び[ロ]の冷却通路を備えて構成されている。
【0004】
また、バイパス通路には制御弁が設けられており、同制御弁の制御を通じてバイパス通路の開閉状態を切り替えることが可能となっている。
このエンジンの冷却装置では、エンジンの始動時、蓄熱通路を冷却回路に接続して蓄熱容器内の温かい冷媒をエンジンの本体へ供給し、蓄熱容器内の冷媒の温度が所定の温度未満となったときに蓄熱通路を冷却回路から切り離す。
【0005】
そして、これらいずれの場合にあっても、バイパス通路を閉鎖することにより低温の冷媒がエンジンの本体に還流されることを防止し、エンジンの暖機促進を図るようにしている。
【0006】
また、バイパス通路を閉鎖した後は、エンジンの本体から流出する冷媒の温度が所定の温度以上となったことに基づいてバイパス通路を閉鎖状態から開放状態へ切り替える。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−77839号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記エンジンの冷却装置において、エンジンの始動からの暖機初期にバイパス通路の閉鎖を通じて冷却回路を閉鎖状態に維持し、エンジンの本体を冷却する冷媒をエンジンの本体内に滞留させることによりエンジンの暖機性能をより高めることも考えられるが、この場合には次のようなことが懸念される。
【0009】
即ち、エンジンの本体内に冷媒が滞留していることにより、エンジンの本体から流出する冷媒の温度を検出する温度センサの出力値がエンジンの本体の暖機状態に対応した値を示さなくなるため、冷却回路をエンジンの暖機状態に応じて適切に開放することができないといった問題をまねくようになる。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却回路をエンジンの暖機状態に応じて適切に開放することのできるエンジンの冷却装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、エンジンの本体を冷却する冷媒を前記エンジンの本体を介して循環させる冷却回路を備え、該冷却回路に、同冷却回路を開閉する制御弁と、前記エンジンの本体から流出する冷媒の温度を検出する温度センサとを有して構成され、前記エンジンの始動からの暖機初期において前記制御弁を閉弁することにより前記冷却回路を閉鎖状態とし、この冷却回路の閉鎖を通じて、前記エンジンの本体を冷却する冷媒を前記エンジンの本体内に滞留させるエンジンの冷却装置において、前記エンジンの始動からの燃料噴射量または吸入空気量の積算値を算出し、この算出された積算値が所定値を超えたときに前記冷却回路を閉鎖状態から開放状態へ切り替えるように前記制御弁を制御する制御手段を備え、前記冷却回路は、前記エンジンの本体を冷却する冷媒を流通させるための冷媒通路として、前記エンジンの本体から流出する冷媒をラジエータをバイパスして前記エンジンの本体へ流入させるためのバイパス通路と、前記エンジンの本体から流出する冷媒をスロットルボディを介して前記エンジンの本体へ流入させるためのスロットル通路とを備える一方、前記冷却回路を開閉する制御弁として、前記バイパス通路を開閉する第1の制御弁と、前記スロットル通路を開閉する第2の制御弁とを有し、前記制御手段は、前記積算値が前記所定値を超えたときに前記第2の制御弁を開弁することを要旨としている。
【0014】
上記構成によれば、エンジンの始動からの燃料噴射量の積算値が算出され、この積算値が所定値を超えたとき、制御弁の制御を通じて冷却回路が閉鎖状態から開放状態に切り替えられる。このように、エンジンの本体内に冷媒が滞留していることにより温度センサの出力値がエンジンの本体の暖機状態を適切に反映していないと考えられるときにあっては、エンジンの暖機状態と相関のある燃料噴射量あるいは吸入空気量に基づいて冷却回路を閉鎖状態から開放状態に切り替えるようにしているため、冷却回路をエンジンの暖機状態の応じて適切に開放することができるようになる。
また、上記構成によれば、エンジンの始動からの燃料噴射量または吸入空気量の積算値が所定値を超えたとき、第2の制御弁の開弁を通じてスロットル通路が開放される。このように、冷却回路を開放するに際して、他の冷媒通路に比べて冷媒の流量が少ないスロットル通路を開放するようにしているため、低温の冷媒がエンジンの本体内へ急激に流入することによるエンジンの温度低下を好適に抑制することができるようになる。また、エンジンの本体内に滞留していた冷媒がスロットルボディへ流入するため、スロットルボディの早期暖機を図ることができるようになる。
【0015】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエンジンの冷却装置において、前記制御手段は、前記第2の制御弁を開弁した後、前記温度センサの出力値に基づいて前記第1の制御弁を開弁制御することを要旨としている。
【0016】
上記構成によれば、第2の制御弁が開弁された後、温度センサの出力値に基づいて第1の制御弁が開弁制御される。このように、温度センサの出力値がエンジンの本体の暖機状態を反映している状況となったときに、同出力値に基づく第1の制御弁の開弁制御を行うようにしているため、制御弁をエンジンの本体の暖機状態に応じて適切に制御することができるようになる。
【0017】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のエンジンの冷却装置において、前記制御手段は、前記エンジンの本体から流出する冷媒の温度が所定の温度を超えたときに前記第1の制御弁を徐々に開弁することを要旨としている。
【0018】
上記構成によれば、エンジンの本体から流出する冷媒の温度が所定の温度を超えたとき、第1の制御弁が徐々に開弁される。このように、第1の制御弁の開弁制御において、バイパス通路を流通する冷媒の流量を徐々に増量するようにしているため、低温の冷却水がエンジンの本体内へ急激に流入することによるエンジンの本体の温度低下を好適に抑制することができるようになる。
【0019】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジンの冷却装置において、当該エンジンの冷却装置は、前記エンジンの本体を冷却する冷媒を流通させるための冷媒通路として、前記冷媒を保温して蓄える蓄熱容器が設けられるとともに前記冷却回路へ選択的に接続されることにより前記蓄熱容器内の冷媒を前記エンジンの本体を介して循環させるための蓄熱回路を構成する蓄熱通路をさらに備え、前記制御手段は、前記エンジンの始動動作に先立ち前記蓄熱通路を前記冷却回路に接続して前記蓄熱回路を構成するとともに前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を開弁し、前記エンジンの始動直後、前記蓄熱通路を前記冷却回路から切断するとともに前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を閉弁することを要旨としている。
【0020】
上記構成によれば、エンジンの始動動作に先立ち、蓄熱通路が冷却回路へ接続されて蓄熱回路が構成されるとともに第1の制御弁及び第2の制御弁が開弁される。そして、エンジンの始動直後、蓄熱通路が冷却回路から切断されるとともに第1の制御弁及び第2の制御弁が閉弁される。こうした構成にあっては、蓄熱容器内の冷媒がエンジンの本体に供給されるとき、バイパス通路及びスロットル通路を流通する冷媒の流量が増量されることにより冷媒の流通抵抗が低減されるため、冷却回路や蓄熱回路を流通する冷媒の流量が増量される。これにより、エンジンの始動動作に先立ち蓄熱容器内の冷媒がエンジンの本体へ早期に供給されるため、エンジンの暖機を好適に促進させることがでるようになる。また、エンジンの始動後は、蓄熱通路が冷却回路から切断されるとともに各制御弁が閉弁されるため、低温の冷媒がエンジンの本体へ還流されることが抑制されるようになる。これにより、低温の冷媒によるエンジンの本体の温度低下を好適に抑制することができるようになる。
【0021】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジンの冷却装置において、前記制御手段は、所定の一定期間における燃料噴射量の積算値が基準値を超えたとき、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を開弁することを要旨としている。
【0022】
上記構成によれば、所定の一定期間における燃料噴射量の積算値が基準値を超えたとき、即ちエンジンが高負荷運転状態にあるとき、第1の制御弁及び第2の制御弁が開弁される。ちなみに、エンジンの本体の暖機過程においては十分な量の冷媒がエンジンの本体に供給されないため、こうした暖機過程にエンジンが高負荷運転されたとすると、エンジンの本体が過熱状態に陥ることが考えられる。そこで上記構成においては、エンジンが高負荷運転状態にあるとき、バイパス通路及びスロットル通路を開放することにより、エンジンの本体へ多量の冷媒を還流させるようにしている。これにより、エンジンの本体の冷却性能が高められるため、好適にエンジンの本体の保護を図ることができるようになる。また、燃料噴射量に基づいてエンジンの本体の高負荷運転状態を検出するようにしているため、温度センサの出力値がエンジンの本体の暖機状態を適切に反映していないと考えられるとき(エンジンの始動からの燃料噴射量または吸入空気量の積算値が所定値を超えていないとき)にあっても、エンジンの本体へ還流する冷媒の流量を適切に増量することができるようになる。
【0023】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンジンの冷却装置において、前記制御手段は、前記温度センサの出力値の増加度合いが所定の度合いを超えたとき、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を開弁することを要旨としている。
【0024】
上記構成によれば、温度センサの出力値の増加度合いが所定の度合いを超えたとき、即ちエンジンが高負荷運転状態にあるとき、第1の制御弁及び第2の制御弁が開弁される。これにより、上記請求項5に記載の発明と同様に、エンジンの本体の冷却性能が高められるため、好適にエンジンの本体の保護を図ることができるようになる。
【0025】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジンの冷却装置において、前記制御手段は、前記エンジンの始動からの燃料噴射量または吸入空気量の積算値が所定値未満であることを条件に所定の一定期間における燃料噴射量の積算値が基準値を超えたとき、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を開弁し、前記エンジンの始動からの燃料噴射量または吸入空気量の積算値が所定値を超えていることを条件に前記温度センサの出力値の増加度合いが所定の度合いを超えたとき、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を開弁することを要旨としている。
【0026】
上記構成によれば、エンジンの始動からの燃料噴射量または吸入空気量の積算値が所定値未満のときに所定の一定期間における燃料噴射量の積算値が基準値を超えたとき、第1の制御弁及び第2の制御弁が開弁される。また、エンジンの始動からの燃料噴射量または吸入空気量の積算値が所定値を超えているときに温度センサの出力値の上昇度合いが所定の度合いを超えたとき、第1の制御弁及び第2の制御弁が開弁される。これにより、上記請求項5に記載の発明と同様に、エンジンの本体の冷却性能が高められるため、好適にエンジンの本体の保護を図ることができるようになる。また、温度センサの出力値がエンジンの本体の暖機状態を適切に反映していないと考えられるときにあっては、燃料噴射量に基づいてエンジンの本体の高負荷運転状態を検出するようにしているため、エンジンの本体へ還流する冷媒の流量を適切に増量することができるようになる。また、温度センサが有効に機能していると考えられるときにあっては、温度センサの出力値に基づいてエンジンの高負荷運転状態を検出するようにしているため、エンジンへ還流する冷媒の流量をより適切に増量することができるようになる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明を具体化した第1の実施の形態について、図1〜図8を参照して説明する。
【0028】
エンジンE(エンジンの本体)の冷却機能を備えたエンジン冷却装置1の全体構成を図1に示す。
まず、エンジン冷却装置1に備えられている各構成要素の機能について説明する。
【0029】
ウォーターポンプ11は、エンジンEを通じて駆動されるとともに冷却水を圧送する。
ラジエータ12は、冷却水と外気との間で熱交換を行う。
【0030】
スロットルボディ13は、スロットルバルブを内蔵し、同バルブの開度に応じて吸入空気量を調整する。
ヒータコア14は、冷却水と車室内を暖房するための空気との間で熱交換を行う。熱交換された空気は、ヒータを通じて車室内に供給される。
【0031】
電動ウォーターポンプ15は、バッテリを通じて駆動されるとともに冷却水を圧送する。
蓄熱容器16は、冷却水を貯留するとともにこの冷却水と容器外部の空気とを断熱する。これにより、冷却水は、蓄熱容器16内に保温された状態で貯留される。
【0032】
冷却水用デリバリパイプ17は、蓄熱容器16から流出した冷却水をエンジンEのシリンダヘッドへ流入させる。
サーモスタット21は、冷却水の温度に応じて作動し、ラジエータ12へ流入する冷却水の流量を調整する。サーモスタット21の開度が最小開度(全閉)のとき、ラジエータ12へ流入する冷却水の流量は「0」となり、サーモスタット21の開度が最大開度(全開)に近づくにつれてラジエータ12へ流入する冷却水の流量は増大する。
【0033】
流量制御弁22は、弁の開度を連続的に変更することが可能となっており、ラジエータ12をバイパスして冷却水を循環させるための流通路(バイパス通路)における冷却水の流量を調整する。流量制御弁22の開度が最小開度(全閉)のとき、流通路を流通する冷却水の流量は「0」となり、流量制御弁22の開度が最大開度(全開)に近づくにつれて流通路を流通する冷却水の流量は増大する。
【0034】
開閉弁23は、開弁あるいは閉弁のいずれかに切り替えることが可能となっており、スロットルボディ13へ冷却水を流入させるための流通路(スロットル通路)における冷却水の流通態様を切り替える。開閉弁23が開弁状態にあるとき、冷却水がスロットルボディ13へ供給される一方、開閉弁23が閉弁状態にあるとき、冷却水はスロットルボディ13へ供給されなくなる。
【0035】
3方弁24は、3つのポート(第1ポートP1、第2ポートP2、第3ポートP3)を備え、これら各ポート間の開閉状態を変更することにより、冷却水の循環態様を選択的に切り替える。
【0036】
電子制御装置(ECU)3は、エンジンEのインジェクタINJ、電動ウォーターポンプ15、流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24を統括的に制御する。なお、制御手段は、ECU3を備えて構成される。
【0037】
次に、エンジン冷却装置1の検出系を構成する各センサについて説明する。なお、検出系を通じて検出された各データは、ECU3へ入力される。
エンジン水温センサS1は、エンジンEから流出する冷却水の温度(エンジン水温THwe)を検出する。
【0038】
蓄熱容器水温センサS2は、蓄熱容器16内の冷却水の温度(蓄熱容器水温THwt)を検出する。
また、ECU3は、インジェクタINJによる燃料の噴射量を監視する。
【0039】
次に、エンジン冷却装置1における冷却水の流通路について説明する。
第1冷却通路R1は、エンジンEと3方弁24の第1ポートP1とを接続する。
【0040】
第2冷却通路R2は、エンジンEとサーモスタット21とを接続する。
第3冷却通路R3は、第1冷却通路R1とラジエータ12とを接続する。
第4冷却通路R4は、ラジエータ12とサーモスタット21とを接続する。
【0041】
第5冷却通路R5は、第1冷却通路R1と流量制御弁22とを接続する。
第6冷却通路R6は、サーモスタット21を介して流量制御弁22と第2冷却通路R2とを接続する。なお、第6冷却通路R6は、サーモスタット21の開閉状態に関わらず第2冷却通路R2と連通される。
【0042】
第7冷却通路R7は、第1冷却通路R1と開閉弁23とを接続する。
第8冷却通路R8は、開閉弁23とスロットルボディ13とを接続する。
第9冷却通路R9は、サーモスタット21を介してスロットルボディ13と第2冷却通路R2とを接続する。なお、第9冷却通路R9は、サーモスタット21の開閉状態に関わらず第2冷却通路R2と連通される。
【0043】
第10冷却通路R10は、3方弁24の第2ポートP2とヒータコア14とを接続する。
第11冷却通路R11は、サーモスタット21を介してヒータコア14と第2冷却通路R2とを接続する。なお、第11冷却通路R11は、サーモスタット21の開閉状態に関わらず第2冷却通路R2と連通される。
【0044】
第12冷却通路R12は、3方弁24の第3ポートP3と電動ウォーターポンプ15とを接続する。
第13冷却通路R13は、電動ウォーターポンプ15と蓄熱容器16とを接続する。
【0045】
第14冷却通路R14は、蓄熱容器16と冷却水用デリバリパイプ17とを接続する。
上記各冷却通路を通じて、以下に説明するラジエータ通路、バイパス通路、スロットル通路、ヒータ通路、及び蓄熱通路がそれぞれ構成される。
【0046】
[ラジエータ通路]
第3冷却通路R3及び第4冷却通路R4によりラジエータ通路が構成される。
ラジエータ通路は、サーモスタット21が開弁しているときに開放状態となる一方、サーモスタット21が閉弁しているときに閉鎖状態となる。
【0047】
ラジエータ通路が開放されているとき、冷却水がラジエータ12を介して流通する。
[バイパス通路]
第5冷却通路R5及び第6冷却通路R6によりバイパス通路が構成される。
【0048】
バイパス通路は、流量制御弁22が開弁しているときに開放状態となる一方、流量制御弁22が閉弁しているときに閉鎖状態となる。
バイパス通路が開放されているとき、冷却水がラジエータ12をバイパスして流通する。
【0049】
[スロットル通路]
第7冷却通路R7、第8冷却通路R8、及び第9冷却通路R9によりスロットル通路が構成される。
【0050】
スロットル通路は、開閉弁23が開弁しているときに開放状態となる一方、開閉弁23が閉弁しているときに閉鎖状態となる。
スロットル通路が開放されているとき、冷却水がスロットルボディ13を介して流通する。
【0051】
[ヒータ通路]
第10冷却通路R10及び第11冷却通路R11によりヒータ通路が構成される。
【0052】
ヒータ通路は、3方弁24の制御を通じて第1冷却通路R1へ選択的に接続することが可能となっている。
ヒータ通路は、3方弁24の第1ポートP1及び第2ポートP2が開弁しているときに第1冷却通路R1へ接続される(ヒータ通路が開放状態となる)一方、3方弁24の第1ポートP1と第2ポートP2とのいずれかが閉弁しているときに第1冷却通路R1から切断される(ヒータ通路が閉鎖状態となる)。
【0053】
ヒータ通路が開放されているときには、冷却水がヒータコア14を介して流通する。
[蓄熱通路]
第12冷却通路R12、第13冷却通路R13、及び第14冷却通路R14により蓄熱通路が構成される。
【0054】
蓄熱通路は、3方弁24の制御を通じて第1冷却通路R1へ選択的に接続することが可能となっている。
蓄熱通路は、3方弁24の第1ポートP1及び第3ポートP3が開弁しているときに第1冷却通路R1へ接続される(蓄熱通路が開放状態となる)一方、3方弁24の第1ポートP1と第3ポートP3とのいずれかが閉弁しているときに第1冷却通路R1から切り離される(蓄熱通路が閉鎖状態となる)。
【0055】
蓄熱通路が開放されているとき、冷却水が蓄熱容器16を介して流通する。
なお、スロットル通路は、ラジエータ通路、バイパス通路、ヒータ通路、及び蓄熱通路に比べ流通路の径が小さく構成されている。
【0056】
上記各冷却通路により、冷却水を循環させるための以下の各循環回路が構成される。
[冷却回路]
第1冷却通路R1、第2冷却通路R2、ラジエータ通路(第3冷却通路R3、第4冷却通路R4)、バイパス通路(第5冷却通路R5、第6冷却通路R6)、スロットル通路(第7冷却通路R7、第8冷却通路R8、第9冷却通路R9)、及びヒータ通路(第10冷却通路R10、第11冷却通路R11)により冷却回路が構成される。
【0057】
冷却回路は、ラジエータ通路、バイパス通路、スロットル通路、及びヒータ通路の少なくとも1つが開放されているときに開放状態となる一方、これら各冷却通路がすべて閉鎖されているときに閉鎖状態となる。
【0058】
冷却回路を通じて冷却水が循環するとき、エンジンEと冷却水との間で熱交換が行われる。
ラジエータ通路を介して冷却水が循環するとき、ラジエータ12において冷却水と外気との間で熱交換が行われる。
【0059】
バイパス通路を介して冷却水が循環するとき、ラジエータ12における冷却水の放熱が抑制される。
スロットル通路を介して冷却水が循環するとき、スロットルボディ13と冷却水との間で熱交換が行われる。
【0060】
ヒータ通路を通じて冷却水が循環するとき、ヒータコア14において車室内暖房用空気と冷却水との間で熱交換が行われる。
[蓄熱回路]
第1冷却通路R1及び蓄熱通路(第12冷却通路R12、第13冷却通路R13、第14冷却通路R14)により蓄熱回路が構成される。
【0061】
蓄熱回路は、蓄熱通路が冷却回路(第1冷却通路R1)に接続されることにより開放状態となる一方、蓄熱通路が冷却回路から切断されることにより閉鎖状態となる。
【0062】
蓄熱回路を通じて冷却水が循環するとき、蓄熱容器16内に貯留されていた冷却水とエンジンEとの間で熱交換が行われる。
開閉弁23が開弁されているときは、さらに蓄熱容器16内に貯留されていた冷却水とスロットルボディ13との間で熱交換が行われる。
【0063】
3方弁24の第1ポートP1及び第2ポートP2が開弁されているときは、さらにヒータコア14において蓄熱容器16内に貯留されていた冷却水と車室内暖房用空気との間で熱交換が行われる。
【0064】
ところで、一般にエンジンEの暖機はより早期に完了することが望まれる。
ここで、こうしたエンジンEの早期暖機を実現するために、例えば、エンジンEの暖機時に冷却回路を閉鎖して冷却水をエンジンE内に滞留させることも考えられるが、こうした態様をもってエンジンEの暖機促進を図るようにした場合には次のような問題をまねくことが考えられる。
【0065】
即ち、エンジンE内に冷却水が滞留することにより、エンジンEの暖機状態がエンジン水温センサS1の出力値に反映されなくなるため、エンジンEの暖機状態に応じて適切に冷却回路を開放することが困難となる。
【0066】
そこで、本実施の形態では、こうした場合を考慮して、以下に説明するエンジン暖機時の冷却装置制御処理を通じて冷却水の循環態様を制御するようにしている。
【0067】
以下、図2及び図3を参照して、エンジンの暖機時における冷却水の循環態様を制御する「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」について説明する。なお、本処理が制御手段を通じて行われる処理に相当する。
【0068】
〔エンジン暖機時の冷却装置制御処理〕
本処理は、エンジンEの始動にともなって開始され、以下に説明するステップS101〜S109の処理が行われた後、終了される。
【0069】
[ステップS101]以下の[a]〜[c]の操作を行う。
[a]流量制御弁22を全閉する。
[b]開閉弁23を閉弁する。
[c]3方弁24の全てのポートを閉弁する。
【0070】
これら各操作を通じて、バイパス通路、スロットル通路、ヒータ通路、及び蓄熱通路が閉鎖される。
これにより、冷却回路が閉鎖されるとともに、蓄熱通路が冷却回路から切断される。
【0071】
[ステップS102]エンジンEが始動してからの燃料噴射量の積算値(燃料噴射量積算値FiA)を算出する。
[ステップS103]燃料噴射量積算値FiAが所定値(所定の積算値FiX)以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
FiA≧FiX
が満たされているか否かを判定する。
【0072】
燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、ステップS102及びS103の処理を所定の周期毎に繰り返し実行する。
なお、所定の積算値FiXは、冷却水をエンジンE内に滞留させていることにより、エンジンE内に著しい温度のむらが生じるおそれがあるか否かを示す燃料噴射量積算値の閾値として用いられる。即ち、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、エンジンE内に著しい温度のむらを生じるおそれはない。
【0073】
[ステップS104]燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上のとき、即ちエンジンE内に著しい温度のむらを生じるおそれがあるとき、開閉弁23を開弁する。
【0074】
この操作を通じて、スロットル通路が開放されるとともに、冷却回路が閉鎖状態から開放状態へ切り替えられる。
これにより、冷却水が冷却回路を循環するようになる。
【0075】
[ステップS105]エンジン水温センサS1の出力値(エンジン水温THwe)に基づいて流量制御弁22の制御を行う開弁制御を開始する。
[ステップS106]エンジン水温THweが所定の温度(第1の所定水温THx1)以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
THwe≧THx1
が満たされているか否かを判定する。
【0076】
エンジン水温THweが第1の所定水温THx1未満のとき、上記判定処理を所定の周期毎に繰り返し実行する。
なお、第1の所定水温THx1は、エンジンEの暖機状態が所定の暖機状態に達しているか否かを示すエンジン水温の閾値として用いられる。即ち、エンジン水温THweが第1の所定水温THx1未満のとき、エンジンEの暖機状態は所定の暖機状態に達していない。
【0077】
[ステップS107]エンジン水温THweが第1の所定水温THx1以上のとき、即ちエンジンEの暖機状態が所定の暖機状態に達しているとき、流量制御弁22を徐々に開弁する。
【0078】
この操作を通じて、バイパス通路が開放される。
これにより、冷却水がスロットル通路にあわせバイパス通路を介して循環するようになる。
【0079】
[ステップS108]エンジン水温THweが第2の所定水温THx2以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
THwe≧THx2
が満たされているか否かを判定する。
【0080】
エンジン水温THweが第2の所定水温THx2未満のとき、上記判定処理を所定の周期毎に繰り返し実行する。
なお、第2の所定水温THx2は、第1の所定水温THx1よりも大きい値に設定され、エンジンEが暖機完了の状態にあるか否かを示すエンジン水温の閾値として用いられる。即ち、エンジン水温THweが第2の所定水温THx2未満のとき、エンジンEは暖機が未完了の状態にある。
【0081】
[ステップS109]エンジン水温THweが第2の所定水温THx2以上のとき、即ちエンジンEが暖機完了の状態にあるとき、エンジンEの運転状態に基づいて流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24の制御を行う制御弁の開閉制御を開始して本処理を終了する。
【0082】
このように、エンジン暖機時の冷却装置制御処理によれば、以下の[A]〜[D]の態様をもって各制御弁の制御が行われる。
[A]燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、冷却回路を閉鎖した状態に維持する。
[B]燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となったとき、冷却回路を開放するとともに、エンジン水温THweに基づいて流量制御弁22の制御を行う開弁制御を開始する。
[C]エンジン水温THweが第1の所定水温THx1以上となったとき、流量制御弁22を徐々に開弁する。
[D]エンジン水温THweが第2の所定水温THx2以上となったとき、エンジンEの運転状態に基づいて流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24の制御を行う制御弁の開閉制御を開始する。
【0083】
ここで、図4を参照して、エンジン暖機時の冷却装置制御処理(図2及び図3)によるエンジン冷却装置1の制御態様について総括する。
燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、以下の[A1]〜[A4]の態様をもってエンジン冷却装置1が制御される。
[A1]流量制御弁22を全閉する。
[A2]開閉弁23を閉弁する。
[A3]3方弁24の全てのポートを閉弁する。
[A4]電動ウォーターポンプ15を停止する。
【0084】
燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上、且つエンジン水温THweが第1の所定水温THx1未満のとき、以下の[B1]〜[B4]の態様をもってエンジン冷却装置1が制御される。
[B1]流量制御弁22を全閉する。
[B2]開閉弁23を開弁する。
[B3]3方弁24の全てのポートを閉弁する。
[B4]電動ウォーターポンプ15を停止する。
【0085】
エンジン水温THweが第1の所定水温THx1以上、且つエンジン水温THweが第2の所定水温THx2未満のとき、以下の[C1]〜[C4]の態様をもってエンジン冷却装置1が制御される。
[C1]流量制御弁22を徐々に開弁する。
[C2]開閉弁23を開弁する。
[C3]3方弁24の全てのポートを閉弁する。
[C4]電動ウォーターポンプ15を停止する。
【0086】
エンジン水温THweが第2の所定水温THx2以上のとき、以下の[D1]の態様をもってエンジン冷却装置1が制御される。
[D1]電動ウォーターポンプ15、流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24をエンジンEの運転状態等に応じて制御する。
【0087】
なお、サーモスタット21は、冷却水の温度に応じて作動し、エンジンEの暖機が完了するまでは閉弁状態となる。
次に、図5〜図7を参照して、エンジン暖機時における冷却水の循環態様について説明する。なお、図5〜図7において、実線で示される冷却通路は冷却水が流通する通路を、矢印は冷却水の流れの方向を、破線で示される冷却通路は冷却水が流通しない通路をそれぞれ示す。
【0088】
〔冷却水循環態様[1]〕
図5を参照して、「燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満」のときにおける冷却水の循環態様について説明する。
【0089】
このとき、サーモスタット21が閉じた状態にあり、これにあわせて流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24が閉弁されているため、冷却回路及び蓄熱回路は閉鎖した状態に維持される。
【0090】
これにより、冷却水はエンジンE内に滞留するようになる。
〔冷却水循環態様[2]〕
図6を参照して、「燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上、且つエンジン水温THweが第1の所定水温THx1未満」のときにおける冷却水の循環態様について説明する。
【0091】
このとき、開閉弁23が開弁されているため、スロットル通路は開放した状態に維持される。
これにより、冷却水は、スロットル通路を介して冷却回路を循環するようになる。
【0092】
〔冷却水循環態様[3]〕
図7を参照して、「エンジン水温THweが第1の所定水温THx1以上、且つ第2の所定水温THx2未満」のときにおける冷却水の循環態様について説明する。
【0093】
このとき、流量制御弁22が開弁されているため、バイパス通路は開放した状態に維持される。
これにより、冷却水は、スロットル通路にあわせてさらにバイパス通路を介して冷却回路を循環するようになる。
【0094】
次に、エンジン暖機時の冷却装置制御処理(図2及び図3)により奏せられる作用効果について説明する。
本処理では、エンジンE内に冷却水を滞留させているとき、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となったことに基づいて、冷却回路を開放するようにしている。
【0095】
このように、エンジンE内に冷却水が滞留していることによりエンジン水温センサS1の出力値がエンジンEの暖機状態を適切に反映していないと考えられるときにあっては、エンジンEの暖機状態と相関のある燃料噴射量に基づいて冷却回路を閉鎖状態から開放状態に切り替えるようにしているため、冷却回路がエンジンEの暖機状態の応じて適切に開放されるようになる。
【0096】
これにより、エンジンE内に著しい温度のむらが生じるおそれがあるときにはエンジンEに冷却水が供給されるため、エンジンEが好適な運転状態に維持されるようになる。
【0097】
本処理では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となったとき、スロットル通路を開放するようにしている。
このように、冷却回路を開放するに際して、他の冷却水の流通路に比べて冷却水の流量が少ないスロットル通路を開放するようにしているため、低温の冷却水がエンジンE内へ急激に流入することによるエンジンEの温度低下が抑制されるようになる。
【0098】
これにより、冷却水の循環を通じてエンジン水温センサS1を有効に機能させるに際して、エンジンEの暖機状態が好適に維持されるようになる。
また、エンジンE内に滞留していた冷却水がスロットルボディ13へ流入するため、スロットルボディ13の早期暖機が図られるようになる。
【0099】
本処理では、冷却回路が開放されたことにより冷却水がエンジンEを介して循環するようになったとき、エンジン水温THweに基づいて流量制御弁22の制御を行う開弁制御を開始するようにしている。
【0100】
このように、エンジン水温センサS1の出力値がエンジンEの暖機状態を反映している状況となったときに、エンジン水温THweに基づく流量制御弁22の制御を行うようにしているため、流量制御弁22がエンジンEの暖機状態に応じて適切に制御されるようになる。
【0101】
本処理では、エンジン水温THweが第1の所定水温THx1以上となったとき、流量制御弁22を徐々に開弁するようにしている。
このように、流量制御弁22の開弁制御において、バイパス通路を流通する冷却水の流量を徐々に増量するようにしているため、低温の冷却水がエンジンE内へ急激に流入することによるエンジンEの温度低下が抑制されるようになる。
【0102】
次に、図8を参照して、「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」によるエンジン冷却装置1の制御態様について、その一例を説明する。
時刻t81において、エンジンEが始動されたとする。
【0103】
このとき、
〔a〕流量制御弁22を閉弁する。
〔b〕開閉弁23を閉弁する。
〔c〕3方弁24の全てのポートを閉弁する。
上記各操作が行われる。
【0104】
これにより、エンジンE内に冷却水が滞留するため、エンジンEの暖機促進が図られるようになる。
時刻t82において、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となったとする(図8:〔d〕)。
【0105】
このとき、
〔b〕開閉弁23を開弁する。
上記操作が行われる。
【0106】
これにより、冷却回路が開放されて冷却水の循環が行われるため、エンジン水温センサS1がエンジンEの暖機状態を反映した出力値を示すようになるとともに、スロットルボディ13の暖機が図られるようになる。
【0107】
時刻t83において、エンジン水温THweが第1の所定水温THx1以上となったとする(図8:〔e〕)。
このとき、
〔a〕流量制御弁22を徐々に開弁する。
上記操作が行われる。
【0108】
これにより、低温の冷却水がバイパス通路を介してエンジンE内へ急激に流入することによるエンジンEの温度低下が抑制されるようになる。
時刻t84において、エンジン水温THweが第2の所定水温THx2以上となったとする(図8:〔e〕)。
【0109】
これ以降、流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24がエンジンEの運転状態等に基づいて制御されるようになる。
以上詳述したように、この第1の実施の形態にかかるエンジンの冷却装置によれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
【0110】
(1)本実施の形態では、エンジンE内に冷却水を滞留させているとき、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となったことに基づいて、冷却回路を開放するようにしている。このように、エンジンE内に冷却水が滞留していることによりエンジン水温センサS1の出力値がエンジンEの暖機状態を適切に反映していないと考えられるときにあっては、エンジンEの暖機状態と相関のある燃料噴射量に基づいて冷却回路を閉鎖状態から開放状態に切り替えるようにしているため、冷却回路をエンジンEの暖機状態の応じて適切に開放することができるようになる。
【0111】
(2)また、エンジンE内に著しい温度のむらが生じるおそれがあるとき、エンジンEへ冷却水が供給されるため、エンジンEを好適な運転状態に維持することができるようになる。
【0112】
(3)本実施の形態では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となったとき、スロットル通路を開放するようにしている。このように、冷却回路を開放するに際して、他の冷却水の流通路に比べて冷却水の流量が少ないスロットル通路を開放するようにしているため、低温の冷却水がエンジンE内へ急激に流入することによるエンジンEの温度低下を好適に抑制することができるようになる。これにより、冷却水の循環を通じてエンジン水温センサS1を有効に機能させるに際して、エンジンEの暖機状態を好適に維持することができるようになる。
【0113】
(4)また、エンジンE内に滞留していた冷却水がスロットルボディ13へ流入するため、スロットルボディ13を早期に暖機することができるようになる。(5)本実施の形態では、冷却回路が開放されたことにより冷却水がエンジンEを介して循環するようになったとき、エンジン水温THweに基づいて流量制御弁22の制御を行う開弁制御を開始するようにしている。このように、エンジン水温センサS1の出力値がエンジンEの暖機状態を反映している状況となったときに、エンジン水温THweに基づく流量制御弁22の制御を行うようにしているため、流量制御弁22をエンジンEの暖機状態に応じて適切に制御することができるようになる。
【0114】
(6)本実施の形態では、エンジン水温THweが第1の所定水温THx1以上となったとき、流量制御弁22を徐々に開弁するようにしている。このように、流量制御弁22の開弁制御において、バイパス通路を流通する冷却水の流量を徐々に増量するようにしているため、低温の冷却水がエンジンE内へ急激に流入することに起因するエンジンEの温度低下を好適に抑制することができるようになる。
【0115】
なお、上記第1の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第1の実施の形態では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となったときにスロットル通路を開放する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となったとき、スロットル通路とともにバイパス通路を開放することもできる。
【0116】
・上記第1の実施の形態では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となったとき、スロットル通路の開放を通じて冷却回路を開放する構成としたが、開放する冷却通路は、バイパス通路、スロットル通路、及びヒータ通路から適宜選択することができる。要するに、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となったときに、適宜の冷却通路を開放することによりエンジンEを介しての冷却水の循環を可能にする制御態様であれば、開放する冷却通路は適宜変更可能である。
【0117】
・上記第1の実施の形態では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上であることに基づいて冷却回路を開放する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上であることに基づいて蓄熱回路を開放することもできる。
【0118】
・上記第1の実施の形態では、エンジン水温THweが第1の所定水温THx1以上となったとき、流量制御弁22を徐々に開弁する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、エンジン水温THweが第1の所定水温THx1以上となったときであっても、流量制御弁22を開弁しないとともに、エンジン水温THweが第2の所定水温THx2以上となるまでバイパス通路を閉鎖状態に維持することもできる。
【0119】
・上記第1の実施の形態では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上であることに基づいて冷却回路を開放する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、エンジンEが始動してからの吸入空気量の積算値(吸入空気量積算値QiA)を算出するとともに、この積算値が所定値(所定の積算値QiX)以上であることに基づいて、冷却回路を開放することもできる。なお、所定の積算値QiXは、冷却水をエンジンE内に滞留させていることにより、エンジンE内に著しい温度のむらが生じるおそれがあるか否かを示す吸入空気量積算値の閾値として用いられる。即ち、吸入空気量積算値QiAが所定の積算値FiX未満のとき、エンジンEに著しい温度のむらを生じるおそれはない。
【0120】
・上記第1の実施の形態では、エンジン水温THweが第1の所定水温THx1以上となったとき、流量制御弁22を徐々に開弁する構成としたが、流量制御弁22の制御態様はこうした制御態様に限られず適宜変更可能である。
【0121】
・上記第1の実施の形態では、流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24を閉弁することにより冷却回路を閉鎖する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、第2冷却通路R2に同冷却通路R2を開閉する制御弁を設けるとともに、この制御弁を閉弁することにより冷却回路を閉鎖することもできる。
【0122】
・または、第1冷却通路R1(第1冷却通路R1とバイパス通路との接続部よりも上流側の箇所)に同冷却通路R1を開閉する制御弁を設けるとともに、この制御弁を閉弁することにより冷却回路を閉鎖することもできる。要するに、冷却回路を適切に開閉することが可能な構成であれば、エンジン冷却装置1には適宜の制御弁を設けることができる。
【0123】
・上記第1の実施の形態では、蓄熱通路を備えるエンジン冷却装置1に対して本発明を適用する構成としたが、蓄熱通路を備えないエンジン冷却装置1に対して本発明を適用することも可能である。こうした構成を採用した場合にあっても、上記第1の実施の形態の作用効果に準じた作用効果が奏せられるようになる。
【0124】
(第2の実施の形態)
本発明を具体化した第2の実施の形態について、図9〜図13を参照して説明する。なお、本実施の形態における装置全体の構成は、前記第1の実施の形態と同様の構成となっているため、重複する説明を割愛する。
【0125】
ところで、エンジンEの暖機過程においては十分な量の冷却水がエンジンEに供給されないため、こうした暖機過程にエンジンEが高負荷運転されたとすると、エンジンEが過熱状態に陥るとともに運転性能の悪化をまねくことが考えられる。
【0126】
そこで、本実施の形態では、こうした場合を考慮して、エンジンEの暖機過程において以下に説明するエンジン冷却処理を行うようにしている。
なお、本実施の形態においては、「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」(図2及び図3)と並行してエンジン冷却処理が行われる。
【0127】
以下、図9及び図10を参照して、エンジンの過熱状態を回避するために行われる「エンジン冷却処理」について説明する。なお、本処理は、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のときに行われる「第1のエンジン冷却処理」と、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上のときに行われる「第2のエンジン冷却処理」とから構成される。
【0128】
〔第1のエンジン冷却処理〕
本処理は、「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」とともに開始され、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となるまでの間、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0129】
[ステップS201]燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
FiA<FiX
が満たされているか否かを判定する。
【0130】
燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上のときは、本処理を終了する。
[ステップS202]所定の一定期間TxにおけるインジェクタINJの燃料噴射量の積算値(期間積算値△FiA)が基準値(所定の期間積算値△FiX)以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
△FiA≧△FiX
が満たされているか否かを判定する。
【0131】
なお、所定の期間積算値△FiXは、エンジンEが高負荷運転の状態にあるか否かを示す期間積算値の閾値として用いられる。即ち、期間積算値△FiAが所定の期間積算値△FiX以上のとき、エンジンEは高負荷運転の状態にある。
【0132】
また、所定の一定期間Txとしては、予め設定されている所定の値が用いられる。
[ステップS203]期間積算値△FiAが所定の期間積算値△FiX以上のとき、即ちエンジンEが高負荷運転の状態にあるとき、以下の[a]〜[c]の操作を行う。
[a]流量制御弁22を全開する。
[b]開閉弁23を開弁する。
[c]3方弁24の全ポートを開弁する。
【0133】
これら各操作を通じて、バイパス通路、スロットル通路、ヒータ通路、及び蓄熱通路が開放される。
なお、このステップS203の処理は、「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」(図2及び図3)による制御弁の制御よりも優先して行われる。即ち、「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」を通じて流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24が閉弁されている場合にあっても、ステップS203の処理を通じてこれら各制御弁が強制的に開弁される。
【0134】
[ステップS204]期間積算値△FiAが所定の期間積算値△FiX未満のとき、流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24を「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」(図2及び図3)の制御態様に従って制御する。
【0135】
このように、第1のエンジン冷却処理によれば、以下の[C]の態様をもってエンジンEの冷却が行われる。
[C]燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、インジェクタINJの燃料噴射量に基づいてエンジンEが高負荷運転状態にあるか否かを判定し、エンジンEの高負荷運転時には制御弁の制御を通じて開閉可能な冷却通路を全て開放する。
【0136】
〔第2のエンジン冷却処理〕
本処理は、「第1のエンジン冷却処理」の終了とともに開始され、エンジン水温THweが第2の所定水温Tx2以上となるまでの間、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0137】
[ステップS301]エンジン水温THweが第2の所定水温THx2未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
THwe<THx2
が満たされているか否かを判定する。
【0138】
エンジン水温THweが第2の所定水温THx2以上のときは、本処理を終了する。
[ステップS302]エンジン水温THweの増加度合い(エンジン水温上昇量△THwe)が所定の度合い(所定の水温上昇量△THx)以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
△THwe≧△THx
が満たされているか否かを判定する。
【0139】
なお、エンジン水温上昇量△THweは、所定の期間におけるエンジン水温THweの変化量に基づいて算出することができる。
また、所定の水温上昇量△THxは、エンジンEが高負荷運転の状態にあるか否かを示すエンジン水温上昇量の閾値として用いられる。即ち、エンジン水温上昇量△THweが所定の水温上昇量△THx以上のとき、エンジンEは高負荷運転の状態にある。
【0140】
[ステップS303]エンジン水温上昇量△THweが所定の水温上昇量△THx以上のとき、即ちエンジンEが高負荷運転の状態にあるとき、以下の[a]及び[b]の操作を行う。
[a]流量制御弁22を全開する。
[b]3方弁24の全ポートを開弁する。
【0141】
これら各操作を通じて、バイパス通路、ヒータ通路、及び蓄熱通路が開放される。
なお、このステップS303の処理は、「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」(図2及び図3)による制御弁の制御よりも優先して行われる。即ち、「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」を通じて3方弁24が閉弁されている場合にあっても、ステップS303の処理を通じてこれら3方弁24の全ポートが強制的に開弁される。
【0142】
[ステップS304]エンジン水温上昇量△THweが所定の水温上昇量△THx未満のとき、流量制御弁22及び3方弁24を「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」(図2及び図3)の制御態様に従って制御する。
【0143】
このように、第2のエンジン冷却処理によれば、以下の[D]の態様をもってエンジンEの冷却が行われる。
[D]燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上のとき、エンジン水温センサS1の出力値に基づいてエンジンEが高負荷運転状態にあるか否かを判定し、エンジンEの高負荷運転時には制御弁の制御を通じて開閉可能な冷却通路を全て開放する。
【0144】
ここで、図11を参照して、エンジン冷却処理(図9及び図10)によるエンジン冷却装置1の制御態様について総括する。
燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満、且つ期間積算値△FiAが所定の期間積算値△FiX以上のとき、以下の[C1]〜[C4]の態様をもってエンジン冷却装置1が制御される。
[C1]流量制御弁22を全開する。
[C2]開閉弁23を開弁する。
[C3]3方弁24の全てのポートを開弁する。
[C4]電動ウォーターポンプ15を停止する。
【0145】
燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上、且つエンジン水温上昇量△THweが所定の水温上昇量△THx以上のとき、以下の[D1]〜[D4]の態様をもってエンジン冷却装置1が制御される。
[D1]流量制御弁22を全開する。
[D2]開閉弁23を開弁する。
[D3]3方弁24の全てのポートを開弁する。
[D4]電動ウォーターポンプ15を停止する。
【0146】
次に、図12を参照して、エンジンの高負荷運転時における冷却水の循環態様について説明する。なお、図12において、実線で示される冷却通路は冷却水が流通する通路を、矢印は冷却水の流れの方向を、破線で示される冷却通路は冷却水が流通しない通路をそれぞれ示す。
【0147】
〔冷却水循環態様[4]〕
「期間積算値△FiAが所定の期間積算値△FiX以上」及び「エンジン水温上昇量△THweが所定の水温上昇量△THx以上」といったこれら各条件のいずれかが満たされているとき、流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24が開弁されているため、冷却回路及び蓄熱回路は開放した状態に維持される。
【0148】
これにより、冷却水は、バイパス通路、スロットル通路、及びヒータ通路を介して冷却回路を循環する一方で、さらに蓄熱回路も循環するようになる。
次に、エンジン冷却処理(図9及び図10)により奏せられる作用効果について説明する。
【0149】
本処理では、エンジンEの暖機時にエンジンEが高負荷運転状態となったとき、制御弁の制御を通じて開閉可能な冷却通路を全て開放するようにしている。
このように、エンジンEが過熱状態に陥るおそれがあるとき、エンジンEへ多量の冷却水を還流させるようにしているため、好適にエンジンEの保護が図られるようになる。
【0150】
本処理では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、期間積算値△FiAと所定の期間積算値△FiXとの比較を通じて、エンジンEが高負荷運転状態にあるか否かを判定するようにしている。
【0151】
このように、エンジン水温センサS1の出力値がエンジンEの暖機状態を適切に反映していないと考えられるときにあっては、インジェクタINJの燃料噴射量に基づいてエンジンEの高負荷運転状態を検出するようにしているため、エンジンEへ還流される冷却水の流量が適切に増量されるようになる。
【0152】
本処理では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上のとき、エンジン水温上昇量△THweと所定の水温上昇量△THxとの比較を通じて、エンジンEが高負荷運転状態にあるか否かを判定するようにしている。
【0153】
このように、エンジン水温センサS1の出力値がエンジンEの暖機状態を反映している状況となったときには、エンジン水温センサS1の出力値に基づいてエンジンEの高負荷運転状態を検出するようにしているため、エンジンEへ還流される冷却水の流量がより適切に増量されるようになる。
【0154】
次に、図13を参照して、「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」及び「エンジン冷却処理」によるエンジン冷却装置1の制御態様について、その一例を説明する。
【0155】
時刻t131において、エンジンEが始動されたとする。
このとき、
〔a〕流量制御弁22を閉弁する。
〔b〕開閉弁23を閉弁する。
〔c〕3方弁24の全てのポートを閉弁する。
上記各操作が行われる。
【0156】
これにより、冷却回路が閉鎖されてエンジンE内に冷却水が滞留するため、エンジンEの暖機促進が図られるようになる。
時刻t132において、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上となったとする(図13:〔d〕)。
【0157】
このとき、
〔b〕開閉弁23を開弁する。
上記操作が行われる。
【0158】
これにより、冷却回路が開放されて冷却水の循環が行われるため、エンジン水温センサS1がエンジンEの暖機状態を反映した出力値を示すようになるとともに、スロットルボディ13の暖機が図られるようになる。
【0159】
時刻t133において、エンジン水温上昇量△THweが所定の水温上昇量△THx以上となったとする(図13:〔e〕)。
このとき、
〔a〕流量制御弁22を全開する。
〔c〕3方弁24の全てのポートを開弁する。
上記各操作が行われる。
【0160】
これにより、エンジンEへ多量の冷却水が還流されるため、エンジンEの保護が図られるようになる。
時刻t134において、エンジン水温上昇量△THweが所定の水温上昇量△THx未満となったとする(図13:〔e〕)。
【0161】
このとき、
〔a〕流量制御弁22を閉弁する。
〔c〕3方弁24の全てのポートを閉弁する。
上記各操作が行われる。
【0162】
時刻t135において、エンジン水温THweが第1の所定水温THx1以上となったとする(図13:〔f〕)。
このとき、
〔a〕流量制御弁22を徐々に開弁する。
上記操作が行われる。
【0163】
これにより、冷却水がバイパス通路を介して循環するとともに、低温の冷却水がエンジンE内へ急激に流入することによるエンジンEの温度低下が抑制されるようになる。
【0164】
時刻t136において、エンジン水温THweが第2の所定水温THx2以上となったとする(図13:〔f〕)。
これ以降、流量制御弁22、開閉弁23及び3方弁24がエンジンEの運転状態等に基づいて制御されるようになる。
【0165】
以上詳述したように、この第2の実施の形態にかかるエンジンの冷却装置によれば、先の第1の実施の形態による前記(1)〜(6)の効果に加えて、さらに以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0166】
(7)本実施の形態では、エンジンEの暖機時にエンジンEが高負荷運転状態となったとき、制御弁の制御を通じて開閉可能な冷却通路を全て開放するようにしている。このように、エンジンEが過熱状態に陥るおそれがあるとき、エンジンEへ多量の冷却水を還流させるようにしているため、好適にエンジンEの保護を図ることができるようになる。
【0167】
(8)本実施の形態では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、期間積算値△FiAと所定の期間積算値△FiXとの比較結果に基づいてエンジンEの高負荷運転状態を検出するようにしている。このように、エンジン水温センサS1の出力値がエンジンEの暖機状態を適切に反映していないと考えられるときにあっては、インジェクタINJの燃料噴射量に基づいてエンジンEの高負荷運転状態を検出するようにしているため、エンジンEへ還流される冷却水の流量を適切に増量することができるようになる。
【0168】
(9)本実施の形態では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上のとき、エンジン水温上昇量△THweと所定の水温上昇量△THxとの比較結果に基づいてエンジンEの高負荷運転状態を検出するようにしている。このように、エンジン水温センサS1の出力値がエンジンEの暖機状態を反映している状況となったときには、エンジン水温センサS1の出力値に基づいてエンジンEの高負荷運転状態を検出するようにしているため、エンジンEへ還流される冷却水の流量をより適切に増量することができるようになる。
【0169】
なお、上記第2の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第2の実施の形態では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、第1のエンジン冷却処理(図9)を通じてエンジンEの冷却を図る構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、第1のエンジン冷却処理に換えて第2のエンジン冷却処理(図10)を行うこともできる。
【0170】
・また、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、第1のエンジン冷却処理及び第2のエンジン冷却処理をあわせて行うこともできる。
・上記第2の実施の形態では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上のとき、第2のエンジン冷却処理を通じてエンジンEの冷却を図る構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上のとき、第2のエンジン冷却処理に換えて第1のエンジン冷却処理を行うこともできる。
【0171】
・また、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上のとき、第1のエンジン冷却処理及び第2のエンジン冷却処理をあわせて行うこともできる。
・上記第2の実施の形態では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、期間積算値△FiAが所定の期間積算値△FiX以上であることに基づいてエンジンEが高負荷運転状態にある旨判定する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、アクセルペダルの開度を監視するとともに、この開度と所定の判定値との比較結果に基づいてエンジンEが高負荷運転状態にあるか否かを判定することもできる。
【0172】
・上記第2の実施の形態では、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX以上のとき、エンジン水温上昇量△THweが所定の水温上昇量△THx以上であることに基づいてエンジンEが高負荷運転状態にある旨判定する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、アクセルペダルの開度を監視するとともに、この開度と判定値との比較結果に基づいてエンジンEが高負荷の状態にあるか否かを判定することもできる。
【0173】
・上記第2の実施の形態では、期間積算値△FiAが所定の期間積算値△FiX以上となったとき、及びエンジン水温上昇量△THweが所定の水温上昇量△THx以上となったとき、制御弁の制御を通じて開閉可能な冷却通路を全て開放する構成としたが、開放する冷却通路はエンジンEの運転状態等に応じて適宜変更可能である。
【0174】
・また、エンジンEに還流する冷却水が十分に確保されるときには、適宜の冷却通路を開放しない制御態様とすることもできる。
・上記第2の実施の形態では、蓄熱通路を備えるエンジン冷却装置1に対して本発明を適用する構成としたが、蓄熱通路を備えないエンジン冷却装置1に対して本発明を適用することも可能である。こうした構成を採用した場合にあっても、上記第2の実施の形態の作用効果に準じた作用効果が奏せられるようになる。
【0175】
(第3の実施の形態)
本発明を具体化した第3の実施の形態について、図14〜図17を参照して説明する。なお、本実施の形態における装置全体の構成は、前記第1の実施の形態と同様の構成となっているため、重複する説明を割愛する。
【0176】
本実施の形態は、以下に説明する「プレヒート処理」を通じて、エンジンEの始動時に蓄熱容器16内の温かい冷却水(温水)をエンジンEに供給することによりエンジンEの暖機促進を図るプレヒートを行うようにしている。即ち、本実施の形態は、前記第1の実施の形態に対して「プレヒート処理」を加えた構成となっている。
【0177】
〔プレヒート処理〕
図14を参照して、「プレヒート処理」について説明する。なお、本処理は、エンジンEの始動要求が検出されたことにともなって開始され、以下に説明するステップS401〜S405の処理が行われた後、終了される。
【0178】
ちなみに、エンジンEの始動要求は、例えば「イグニッションスイッチの切替位置が「ON」となった」あるいは「車両のドア開閉スイッチを通じてドアが開かれた」といった条件に基づいて検出することができる。
【0179】
[ステップS401]エンジン水温THweが冷間判定温度THwL未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
THwe<THwL
が満たされているか否かを判定する。
【0180】
エンジン水温THweが冷間判定温度THwL以上のとき、以下のステップS402〜ステップS405の処理を省略して本処理を終了する。
ちなみに、冷間判定温度THwLは、エンジンEが冷間状態にあるか否かを示す冷却水の温度の閾値として用いられる。即ち、エンジン水温THweが冷間判定温度THwL未満のとき、エンジンEは冷間状態にある。
【0181】
[ステップS402]エンジン水温THweが冷間判定温度THwL未満のとき、以下の[a]〜[c]の操作を行う。
[a]流量制御弁22を全開する。
[b]開閉弁23を開弁する。
[c]3方弁24の全ポートを開弁する。
【0182】
これら各操作を通じて、バイパス通路、スロットル通路、ヒータ通路、及び蓄熱通路が開放される。
[ステップS403]電動ウォーターポンプ15を駆動する。
【0183】
この操作を通じて、蓄熱回路及び冷却回路における冷却水の循環が行われる。これにより、蓄熱容器16内に貯留されていた温水がエンジンEに流入するようになる。
【0184】
[ステップS404]電動ウォーターポンプ15の駆動期間Tpmが所定の期間TpmX以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Tpm≧TpmX
が満たされているか否かを判定する。
【0185】
上記条件が満たされていないときは、所定の周期毎に上記判定処理を繰り返し実行する。
ちなみに、所定の駆動期間TpmXは、蓄熱容器16内に貯留されていた温水がエンジンE内へ十分に供給されるまでの時間を示し、蓄熱容器16の容量やエンジンEの大きさに応じて設定することができる。
【0186】
[ステップS405]電動ウォーターポンプ15の駆動期間Tpmが所定の期間TpmX以上となったとき、電動ウォーターポンプ15を停止して本処理を終了する。
【0187】
これにより、エンジン冷却装置1における冷却水の循環が停止される。
このように、プレヒート処理によれば、以下の[E]の態様をもってエンジンEの暖機が行われる。
[E]エンジンEが冷間状態で始動されるとき、流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24を開弁するとともに、蓄熱容器16内の温水をエンジンEへ供給する。
【0188】
ここで、図15を参照して、プレヒート処理(図14)によるエンジン冷却装置1の制御態様について総括する。
エンジン水温THweが冷間判定温度THwL未満のとき、以下の[E1]〜[E4]の態様をもってエンジン冷却装置1が制御される。
[E1]流量制御弁22を全開する。
[E2]開閉弁23を開弁する。
[E3]3方弁24の全てのポートを開弁する。
[E4]電動ウォーターポンプ15を駆動する。
【0189】
エンジン水温THweが冷間判定温度THwL以上のとき、エンジン冷却装置1にかかる格別の制御は行われない。
次に、図16を参照して、プレヒート時における冷却水の循環態様について説明する。なお、図16において、実線で示される冷却通路は冷却水が流通する通路を、矢印は冷却水の流れの方向を、破線で示される冷却通路は冷却水が流通しない通路をそれぞれ示す。
【0190】
〔冷却水循環態様[5]〕
プレヒート時、流量制御弁22、開閉弁23、及び3方弁24が開弁されているため、蓄熱回路及び冷却回路は開放した状態に維持される。
【0191】
これにより、冷却水は、蓄熱回路を循環するとともに、バイパス通路、スロットル通路、及びヒータ通路を介して冷却回路を循環するようになる。
次に、プレヒート処理(図14)を通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0192】
本処理では、エンジンEの始動動作に先立ち蓄熱容器16内の温水をエンジンEに供給するようにしている。
これにより、エンジンEの暖機促進が図られるようになる。
【0193】
本処理では、蓄熱容器16内の温水をエンジンEへ供給する際、蓄熱通路にあわせてバイパス通路、スロットル通路、及びヒータ通路を開放するようにしている。
【0194】
これにより、冷却水の流通抵抗が低減されて蓄熱容器16内の温水が早期にエンジンE内へ供給されるため、エンジンEの暖機がより早期に行われるようになる。
【0195】
次に、図17を参照して、「プレヒート処理」及び「エンジン暖機時の冷却装置制御処理」によるエンジン冷却装置1の制御態様について、その一例を説明する。
【0196】
時刻t171において、エンジンEの始動要求が検出されたとする(図17:〔b〕)。
このとき、エンジン水温THweが冷間判定温度THwL未満であったとすると、
〔a〕流量制御弁22を全開する。
〔b〕開閉弁23を開弁する。
〔c〕3方弁24の全てのポートを開弁する。
〔f〕電動ウォーターポンプ15を駆動する。
上記各操作が行われる。
【0197】
これにより、冷却水の流通抵抗が低減された状態で冷却水の循環が行われるため、蓄熱容器16内の温水が早期にエンジンEへ供給されるようになる。
時刻t172において、電動ウォーターポンプ15の駆動期間Tpmが所定の期間TpmX以上となったとする(図17:〔f〕)。
【0198】
このとき、
〔f〕電動ウォーターポンプ15を停止する。
上記操作が行われる。
【0199】
時刻t173において、エンジンEが始動されたとする(図17:〔a〕)。
このとき、
〔a〕流量制御弁22を閉弁する。
〔b〕開閉弁23を閉弁する。
〔c〕3方弁24の全てのポートを閉弁する。
上記各操作が行われる。
【0200】
なお、これ以降は、エンジン暖機時の冷却装置制御処理に従ってエンジン冷却装置1の制御が行われる。
以上詳述したように、この第3の実施の形態にかかるエンジンの冷却装置によれば、先の第1の実施の形態による前記(1)〜(6)の効果に加えて、さらに以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0201】
(10)本実施の形態では、エンジンEの始動動作に先立ち蓄熱容器16内の温水をエンジンEに供給するようにしている。これにより、好適にエンジンEの暖機促進を図ることができるようになる。
【0202】
(11)本実施の形態では、蓄熱容器16内の温水をエンジンEへ供給する際、蓄熱通路にあわせてバイパス通路、スロットル通路、及びヒータ通路を開放するようにしている。これにより、冷却水の流通抵抗が低減されて蓄熱容器16内の温水が早期にエンジンEへ供給されるため、より好適にエンジンEの暖機促進を図ることができるようになる。
【0203】
(12)本実施の形態では、蓄熱容器16内の温水がエンジンEへ十分に供給されたとき(電動ウォーターポンプ15の駆動期間Tpmが所定の期間TpmX以上となったとき)、電動ウォーターポンプ15を停止するようにしている。これにより、低温の冷却水がエンジンEへ還流されなくなるため、低温の冷却水によるエンジンEの温度低下を好適に抑制することができるようになる。
【0204】
なお、上記第3の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第3の実施の形態を先の第2の実施の形態に適用することも可能である。即ち、
[イ]「エンジン暖機時の冷却装置制御処理(図2及び図3)」
[ロ]「エンジン冷却処理(図9及び図10)」
[ハ]「プレヒート処理(図14)」
これら各処理をあわせて行うこともできる。
【0205】
・上記第3の実施の形態において、プレヒート処理(図14)にさらに次の判定処理を加えることも可能である。即ち、ステップS401の直前あるいは直後において、「蓄熱容器16内の冷却水の温度(蓄熱容器水温THwt)が所定の判定温度以上であるか否か」を判定するとともに、
[a]蓄熱容器水温THwtが所定の判定温度以上のとき、以降の処理を順次実行する。
[b]蓄熱容器水温THwtが所定の判定温度未満のとき、プレヒート処理を終了する。
といった態様をもってプレヒート処理を行うこともできる。こうした構成を採用した場合には、的確にエンジンEの暖機促進を図ることができるようになる。
【0206】
・上記第3の実施の形態において、プレヒート処理(図14)にさらに次の判定処理を加えることも可能である。即ち、ステップS401の直前あるいは直後において、「蓄熱容器16内の冷却水の温度(蓄熱容器水温THwt)がエンジン水温THwe以上であるか否か」を判定するとともに、
[a]蓄熱容器水温THwtがエンジン水温THwe以上のとき、以降の処理を順次実行する。
[b]蓄熱容器水温THwtがエンジン水温THwe未満のとき、プレヒート処理を終了する。
といった態様をもってプレヒート処理を行うこともできる。こうした構成を採用することにより、蓄熱容器16内に貯留されていた低温の冷却水がエンジンEに供給されなくなるため、エンジンEの暖機性能の低下を好適に抑制することができるようになる。
【0207】
・上記第3の実施の形態では、エンジン水温THweが冷間判定温度THwL未満であるか否かを判定するとともに、この条件が満たされているときにステップS402〜S405の処理を行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、ステップS401の判定処理を省略するとともに、エンジンEの始動時毎にステップS402以降の処理を行うようにすることもできる。こうした構成を採用した場合には、プレヒート処理においてエンジン水温THweを監視する必要がなくなるため、同処理の簡略化が図られるようになる。
【0208】
・上記第3の実施の形態では、エンジン水温THweが冷間判定温度THwL未満であることに基づいてプレヒートを行う構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、エンジン水温THweが外気の温度未満であることに基づいてプレヒートを行うこともできる。
【0209】
・上記第3の実施の形態では、
[a]「イグニッションスイッチの切替位置が「ON」となった」
[b]「車両のドア開閉スイッチを通じてドアが開かれた」
といった条件に基づいてエンジンEの始動要求を検出することが可能であるとしたが、始動要求の検出は上記第3の実施の形態にて例示した条件に限られず適宜の条件に基づいて検出することができる。
【0210】
・上記第3の実施の形態では、エンジンEのプレヒートに際して、スロットル通路を開放する構成としたが、スロットル通路を閉鎖状態に維持することも可能である。
【0211】
・上記第3の実施の形態では、エンジンEのプレヒートに際して、バイパス通路を開放する構成としたが、バイパス通路を閉鎖状態に維持することも可能である。
【0212】
・上記第3の実施の形態では、エンジンEのプレヒートに際して、ヒータ通路を開放する構成としたが、ヒータ通路を閉鎖状態に維持することも可能である。
(その他の実施の形態)
その他、上記各実施の形態に共通して変更することが可能な要素を以下に列挙する。
【0213】
・上記各実施の形態では、冷却水の温度に応じて作動するサーモスタット21を用いる構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、弁の開閉状態を電気的に制御することができる電子サーモスタットを用いることもできる。こうした構成を採用した場合には、上記第2の実施の形態において、
[イ]「期間積算値△FiAが所定の期間積算値△FiX以上」
[ロ]「エンジン水温上昇量△THweが所定の水温上昇量△THx以上」
これら[イ]及び[ロ]の条件のいずれかが満たされているとき、電子サーモスタットを開弁してラジエータ通路を開放することにより、エンジンEへ還流される冷却水の流量をさらに増量することもできる。
【0214】
・上記各実施の形態では、スロットル通路に開閉弁23を設ける構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、開閉弁23に換えて弁の開度を連続的に変更することができる流量制御弁を設けることもできる。
【0215】
・上記各実施の形態では、バイパス通路に流量制御弁22を設ける構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、流量制御弁22に換えて開弁あるいは閉弁のいずれかに切り替え可能な開閉弁を設けることもできる。
【0216】
・上記各実施の形態では、3方弁24の制御を通じてヒータ通路及び蓄熱通路の開閉を切り替える構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、開閉弁あるいは流量制御弁をヒータ通路及び蓄熱通路にそれぞれ設けるとともに、この設けられた制御弁の制御を通じてヒータ通路及び蓄熱通路の開閉を切り替えることもできる。
【0217】
・上記各実施の形態では、バイパス通路、スロットル通路、及びヒータ通路を含めて冷却回路が構成されるエンジン冷却装置1を想定したが、冷却回路の構成は上記各実施の形態にて例示した構成に限られず適宜変更可能である。要するに、エンジンEを介して冷却水を循環させることができる構成であれば、任意の構成の冷却回路を採用することができる。
【0218】
・上記各実施の形態では、図1に例示したエンジン冷却装置1を想定して本発明を具体化したが、エンジン冷却装置の構成は各実施の形態にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することが可能である。要するに、エンジンを介して冷却水を循環させるための冷却回路と、この冷却回路を開閉する制御弁と、エンジンから流出する冷却水の温度を検出するエンジン水温センサとを備えるエンジンの冷却装置であれば任意の構成の冷却装置を採用することができる。
【0219】
・上記各実施の形態では、図1に例示したエンジン冷却装置1を想定して本発明を具体化したため、燃料噴射量積算値FiAが所定の積算値FiX未満のとき、ECU3を通じて制御可能な制御弁を全て閉弁する構成となっているが、エンジン冷却装置の構成によっては全ての制御弁を閉弁しなくとも本発明を実現することが可能である。要するに、エンジンの始動からの暖機初期において、冷却回路の開閉状態の切り替えに寄与する制御弁を閉弁する制御態様であれば、その他の制御弁については任意の制御態様とすることができる。
【0220】
・上記各実施の形態では、エンジン暖機時の冷却装置制御処理を通じて、エンジンEの暖機時におけるエンジン冷却装置1の制御を行う構成としたが、エンジン暖機時の冷却装置制御処理の構成は上記各実施の形態にて例示した構成に限られるものではない。要するに、エンジンの始動からの燃料噴射量あるいは吸入空気量の積算値を算出し、この積算値が所定値を超えたとき、冷却回路を閉鎖状態から開放状態に切り替える制御態様であれば、エンジン暖機時の冷却装置制御処理の構成は適宜変更可能である。
【0221】
以上の事項も含めて、最後に、この発明にかかるエンジンの冷却装置は次のような技術思想を含むものであることを付記しておく。
(1)エンジンの本体を冷却する冷媒の循環回路として、前記冷媒を前記エンジンの本体を介して循環させるための冷却回路と、前記冷媒を保温して蓄える蓄熱容器が設けられるとともに該蓄熱容器内の冷媒を前記エンジンの本体を介して循環させるための蓄熱回路とを備え、前記冷却回路に設けられて該冷却回路を開閉する冷却回路制御弁と、前記蓄熱回路に設けられて該蓄熱回路を開閉する蓄熱回路制御弁と、前記エンジンの本体に設けられて該エンジンの本体から流出する冷媒の温度を検出する温度センサとを有して構成され、前記エンジンの始動からの暖機初期において前記各制御弁を閉弁することにより前記各循環回路を閉鎖状態とし、これら各循環回路の閉鎖を通じて、前記エンジンの本体を冷却する冷媒を前記エンジンの本体内に滞留させるエンジンの冷却装置において、前記エンジンの始動からの燃料噴射量または吸入空気量の積算値を算出し、この算出された積算値が所定値を超えたときに前記各循環回路の少なくとも一方を閉鎖状態から開放状態へ切り替えるように前記各制御弁を制御する制御手段を備えたことを特徴とするエンジンの冷却装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるエンジンの冷却装置を具体化した第1の実施の形態について、装置全体の構成を模式的に示す略図。
【図2】同実施の形態にて行われるエンジン暖機時の冷却装置制御処理の一部を示すフローチャート。
【図3】同実施の形態にて行われるエンジン暖機時の冷却装置制御処理の一部を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態にて行われるエンジン暖機時の冷却装置制御処理によるエンジン冷却装置の制御態様を示す図。
【図5】同実施の形態のエンジン冷却装置について、エンジンの暖機過程における冷却水の循環態様(冷却水循環態様[1])を示す図。
【図6】同実施の形態のエンジン冷却装置について、エンジンの暖機過程における冷却水の循環態様(冷却水循環態様[2])を示す図。
【図7】同実施の形態のエンジン冷却装置について、エンジンの暖機過程における冷却水の循環態様(冷却水循環態様[3])を示す図。
【図8】同実施の形態のエンジン冷却装置について、エンジン暖機時の冷却装置制御処理によるエンジン暖機時の制御態様を示すタイミングチャート。
【図9】本発明にかかるエンジンの冷却装置を具体化した第2の実施の形態について、同実施の形態にて行われる第1のエンジン冷却処理を示すフローチャート。
【図10】同実施の形態にて行われる第2のエンジン冷却処理を示すフローチャート。
【図11】同実施の形態にて行われるエンジン冷却処理によるエンジン冷却装置の制御態様を示す図。
【図12】同実施の形態のエンジン冷却装置について、エンジンの暖機過程における冷却水の循環態様(冷却水循環態様[4])を示す図。
【図13】同実施の形態のエンジンの冷却装置について、エンジン暖機時の冷却装置制御処理及びエンジン冷却処理によるエンジン暖機時の制御態様を示すタイミングチャート。
【図14】本発明にかかるエンジンの冷却装置を具体化した第3の実施の形態について、同実施の形態にて行われるプレヒート処理を示すフローチャート。
【図15】同実施の形態にて行われるプレヒート処理によるエンジン冷却装置の制御態様を示す図。
【図16】同実施の形態のエンジンの冷却装置について、エンジンの暖機過程における冷却水の循環態様(冷却水循環態様[5])を示す図。
【図17】同実施の形態のエンジンの冷却装置について、プレヒート処理によるエンジン始動時の制御態様を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
E…エンジン、1…エンジン冷却装置、11…ウォーターポンプ、12…ラジエータ、13…スロットルボディ、14…ヒータコア、15…電動ウォーターポンプ、16…蓄熱容器、17…冷却水用デリバリパイプ、21…サーモスタット、22…流量制御弁、23…開閉弁、24…3方弁、P1…第1ポート、P2…第2ポート、P3…第3ポート、3…電子制御装置(ECU)、S1…エンジン水温センサ、S2…蓄熱容器水温センサ、R1…第1冷却通路、R2…第2冷却通路、R3…第3冷却通路、R4…第4冷却通路、R5…第5冷却通路、R6…第6冷却通路、R7…第7冷却通路、R8…第8冷却通路、R9…第9冷却通路、R10…第10冷却通路、R11…第11冷却通路、R12…第12冷却通路、R13…第13冷却通路、R14…第14冷却通路。
Claims (7)
- エンジンの本体を冷却する冷媒を前記エンジンの本体を介して循環させる冷却回路を備え、該冷却回路に、同冷却回路を開閉する制御弁と、前記エンジンの本体から流出する冷媒の温度を検出する温度センサとを有して構成され、前記エンジンの始動からの暖機初期において前記制御弁を閉弁することにより前記冷却回路を閉鎖状態とし、この冷却回路の閉鎖を通じて、前記エンジンの本体を冷却する冷媒を前記エンジンの本体内に滞留させるエンジンの冷却装置において、
前記エンジンの始動からの燃料噴射量または吸入空気量の積算値を算出し、この算出された積算値が所定値を超えたときに前記冷却回路を閉鎖状態から開放状態へ切り替えるように前記制御弁を制御する制御手段を備え、
前記冷却回路は、前記エンジンの本体を冷却する冷媒を流通させるための冷媒通路として、前記エンジンの本体から流出する冷媒をラジエータをバイパスして前記エンジンの本体へ流入させるためのバイパス通路と、前記エンジンの本体から流出する冷媒をスロットルボディを介して前記エンジンの本体へ流入させるためのスロットル通路とを備える一方、前記冷却回路を開閉する制御弁として、前記バイパス通路を開閉する第1の制御弁と、前記スロットル通路を開閉する第2の制御弁とを有し、
前記制御手段は、前記積算値が前記所定値を超えたときに前記第2の制御弁を開弁する
ことを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1に記載のエンジンの冷却装置において、
前記制御手段は、前記第2の制御弁を開弁した後、前記温度センサの出力値に基づいて前記第1の制御弁を開弁制御する
ことを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項2に記載のエンジンの冷却装置において、
前記制御手段は、前記エンジンの本体から流出する冷媒の温度が所定の温度を超えたときに前記第1の制御弁を徐々に開弁する
ことを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジンの冷却装置において、
当該エンジンの冷却装置は、前記エンジンの本体を冷却する冷媒を流通させるための冷媒通路として、前記冷媒を保温して蓄える蓄熱容器が設けられるとともに前記冷却回路へ選択的に接続されることにより前記蓄熱容器内の冷媒を前記エンジンの本体を介して循環させるための蓄熱回路を構成する蓄熱通路をさらに備え、
前記制御手段は、前記エンジンの始動動作に先立ち前記蓄熱通路を前記冷却回路に接続して前記蓄熱回路を構成するとともに前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を開弁し、前記エンジンの始動直後、前記蓄熱通路を前記冷却回路から切断するとともに前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を閉弁する
ことを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジンの冷却装置において、
前記制御手段は、所定の一定期間における燃料噴射量の積算値が基準値を超えたとき、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を開弁する
ことを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンジンの冷却装置において、
前記制御手段は、前記温度センサの出力値の増加度合いが所定の度合いを超えたとき、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を開弁する
ことを特徴とするエンジンの冷却装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジンの冷却装置において、
前記制御手段は、前記積算値が前記所定値未満であることを条件に所定の一定期間における燃料噴射量の積算値が基準値を超えたとき、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を開弁し、
前記積算値が前記所定値を超えていることを条件に前記温度センサの出力値の増加度合いが所定の度合いを超えたとき、前記第1の制御弁及び前記第2の制御弁を開弁する
ことを特徴とするエンジンの冷却装置。
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