JP4095245B2 - 立体画像撮影装置および立体画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体画像撮影装置および立体画像表示装置に係り、特に、レンズ群を利用して立体画像を撮影または表示する、所謂IP(Integral Photography)方式の立体画像撮影装置および立体画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
任意の視点から立体画像の観察を行う立体画像撮影・表示方式の1つとして、平面上に配列されたレンズ群を用いるIP方式が知られている。このようなIP方式の立体画像撮影装置および立体画像表示装置としては、本出願人により出願された「立体画像撮像装置」(特願平7−85437号)があった。
【0003】
「立体画像撮像装置」(特願平7−85437号)は、テレビジョンカメラの前に複数の凸レンズで構成したレンズ群を設置し、そのレンズ群全体をテレビジョンカメラで撮影し、各凸レンズで撮影した多くの画像を1つのテレビジョンカメラで撮影することにより立体画像を撮影するものである。
【0004】
以下、図6,図7を参照しつつIP方式の立体画像撮影装置および立体画像表示装置について説明する。図6は、IP方式の立体画像撮影装置について説明する一例の図を示す。図7は、IP方式の立体画像表示装置について説明する一例の図を示す。
【0005】
図6の立体画像撮影装置は、複数(例えば、数百〜数万個)のマイクロレンズ101−1〜101−nが一平面上に配列されたレンズ板102と,レンズ板102の全体を撮影するテレビジョンカメラ104と,計算機105とを含むように構成される。
【0006】
図6の立体画像撮影装置では、複数のマイクロレンズ101−1〜101−nによって結像される被写体100の像103−1〜103−nをテレビジョンカメラ104で撮影する。以後、マクロレンズ101−1〜101−nが結像する夫々の像103−1〜103−nを要素画像と呼ぶ。なお、要素画像103−1〜103−nは、隣り合う他の要素画像と重ならないことが必要である。テレビジョンカメラ104で撮影された要素画像103−1〜103−nは、立体再生像の凹凸が反転することを避けるため、計算機105で点対称に変換される。立体再生像の凹凸が反転することを避ける為の他の方法は、例えば大越孝敬著「三次元画像工学」(朝倉書店、1991年)などに記載されている。
【0007】
図7の立体画像表示装置では、複数のマイクロレンズ111−1〜111−nが一平面上に配列されたレンズ板112と,表示素子113とを含むように構成される。まず、図7の立体画像表示装置では、計算機105で点対称に変換された要素画像114−1〜114−nを表示素子113に表示する。この状態で観察方向110からレンズ板112を介して表示素子113上の要素画像114−1〜114−nを見ると、凹凸の正確な立体再生像114が観察される。
【0008】
観察するとき、立体再生像114をレンズ板112のマイクロレンズ111−1〜111−nでサンプリングすることになるので、観察される立体再生像114の空間周波数は観察者とレンズ板112との距離と,マイクロレンズ111−1〜111−nのピッチとに応じて制限されることが「Journal of Optical Society of America A,vol.15,No.8,pp2059-2065,1998」に記載されている。したがって観察位置を固定とした場合、レンズ板112に配列されるマイクロレンズ111−1〜111−nのピッチが細かいほど、詳細な立体再生像114が観察される。
【0009】
また、レンズ板102,112の代わりに多数のピンホールが配列されたピンホールパネルを利用するIP方式も知られている。このようなピンホールパネルを利用するIP方式として、例えばピンホールの位置を動的に変化させることが特開平6−86333号に記載されている。しかし、ピンホールパネルを利用したIP方式は、レンズ板を利用したIP方式と比較して立体再生像が暗く、解像度の低いことが「Journal of Optical Society of America A,vol.15,No.8,pp2059-2065,1998」に記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の立体画像撮影装置は、レンズ板102に配列されたマイクロレンズ101−1〜101−nの個数だけ要素画像103−1〜103−nを撮影し、その要素画像103−1〜103−nを計算機105で処理する。そして、従来の立体画像表示装置は、表示素子113にレンズ板112に配列されたマイクロレンズ111−1〜111−nの個数だけ要素画像114−1〜114−nを表示していた。ここで、立体画像撮影装置のマイクロレンズ101−1〜101−nの個数と、立体画像表示装置のマイクロレンズ111−1〜111nの個数とは等しいこととする。
【0011】
したがって、「Journal of Optical Society of America A,vol.15,No.8,pp2059-2065,1998」に記載されているように、観察される立体再生像114の最も高い空間周波数は、被写体100,立体再生像114がマイクロレンズ101−1〜101−n又は111−1〜111−nでサンプリングされる為、マイクロレンズ101−1〜101−n又は111−1〜111−nのピッチに制限されるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、マイクロレンズのピッチに制限されることなく立体再生像の空間周波数を向上させることが可能な立体画像撮影装置および立体画像表示装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決するため、本発明の立体画像撮影装置は、被写体と撮像手段との間に設置され、平面上の屈折率の分布を動的に変化させる素子と、前記素子により結像される前記被写体の要素画像を撮影する撮像手段とを備え、前記素子は、平面上にレンズと等価な働きを有する複数の領域を形成する一方、前記複数の領域の分布を時間的に変化し、前記撮像手段は、前記複数の領域で結像される前記被写体の要素画像の全てを撮影することを特徴とする。
【0014】
このような立体画像撮影装置では、平面上の屈折率の分布を動的に変化させることのできる素子を用いて、素子の平面上に例えばマイクロレンズと等価な働きを有する領域を形成する。そして、その領域により結像される被写体の要素画像を例えばテレビジョンカメラ等の撮像手段で撮影する。
【0015】
つまり、本発明の立体画像撮影装置は、マイクロレンズと等価な働きを有する領域を例えば時間によって異なる位置に形成することにより、その領域により結像される被写体の要素画像が時間によって異なる位置で撮影される。したがって、被写体のサンプル点が増加することになり、立体再生像の空間周波数を向上させることが可能である。
【0016】
また、本発明の立体画像表示装置は、平面上の屈折率の分布を動的に変化させる素子と、
立体画像撮影装置にて撮影された被写体の要素画像を前記屈折率の分布の変化と同期させて表示する表示素子とを備え、前記素子は、平面上にレンズと等価な働きを有する複数の領域を形成する一方、前記複数の領域の分布を時間的に変化し、前記表示素子は、前記立体画像撮影装置にて撮影された被写体の要素画像を、その要素画像が撮影されたときの前記屈折率の分布の変化と同期させて順次表示して、前記素子を介して表示素子に表示された被写体の要素画像を観察させることを特徴とする。
【0017】
このような立体画像表示装置では、立体画像撮影装置にて撮影された被写体の要素画像を表示素子に表示する。表示素子に表示される要素画像は時間によって表示位置が異なり、その表示位置に対応するように素子の平面上に形成される屈折率の分布を変化させる。つまり、観察者は素子を介して表示素子を見ることにより、時間によって表示素子の異なる位置に表示される要素画像を観察することができる。したがって、被写体のサンプル点が増加することになり、立体再生像の空間周波数を向上させることが可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の立体画像撮影装置の一実施例の構成図を示す。図1の立体画像撮影装置は、二次元平面上での屈折率の分布を時間的に制御し得る例えば液晶レンズ等の素子3と,素子3の全体を撮影するテレビジョンカメラ5と,計算機6とを含むように構成される。
【0020】
素子3は、二次元平面上にマイクロレンズと等価な働きを持つ複数の領域2−1〜2−nを例えば図2に示すように形成する。図2は、マイクロレンズと等価な働きを持つ領域の分布について説明する一例の図を示す。
【0021】
図2中、実線で表されている複数の領域2aは、時刻tにおける領域の分布を表すものである。また、破線で表されている複数の領域2bは、時刻t+nにおける領域の分布を表すものである。つまり、素子3はマイクロレンズと等価な働きを持つ複数の領域を、時刻によって異なる位置に順次形成する。
【0022】
図1の立体画像撮影装置では、複数の領域2−1〜2−nによって結像されるある時刻の被写体1の要素画像4−1〜4−nをテレビジョンカメラ5で撮影する。複数の領域2−1〜2−nは時刻によって異なる位置に形成される為、被写体1の要素画像4−1〜4−nも時刻によって異なる位置で撮影される。
【0023】
例えば時刻tの領域2−1〜2−nによって結像された被写体1の要素画像を4−1a〜4−naとする。また、時刻t+nの領域2−1〜2−nによって結像された被写体1の要素画像を4−1b〜4−nbとする。そして、テレビジョンカメラ5で撮影された要素画像4−1a〜4−na,4−1b〜4−nbは、立体再生像の凹凸が反転することを避けるため、計算機6で点対称に順次変換される。
【0024】
図3は、本発明の立体画像表示装置の一実施例の構成図を示す。図3の立体画像表示装置は、二次元平面上での屈折率の分布を時間的に制御し得る例えば液晶レンズ等の素子12と,表示素子13とを含むように構成される。素子12は、二次元平面上にマイクロレンズと等価な働きを持つ複数の領域11−1〜11−nを例えば図4に示すように形成する。図4は、マイクロレンズと等価な働きを持つ領域の分布について説明する一例の図を示す。
【0025】
図4中、実線で表されている複数の領域11aは、時刻tにおける領域の分布を表すものである。また、破線で表されている複数の領域11bは、時刻t+nにおける領域の分布を表すものである。つまり、素子12はマイクロレンズと等価な働きを持つ複数の領域を、時刻によって異なる位置に形成する。
【0026】
図3の立体画像表示装置では、計算機6で点対称に変換された要素画像14−1〜14−nを表示素子13に表示する。例えば時刻tの領域2−1〜2−nによって結像された被写体1の要素画像を14−1a〜14−na、時刻t+nの領域2−1〜2−nによって結像された被写体1の要素画像を14−1b〜14−nbとすると、要素画像14−1a〜14−na,14−1b〜14−nbが表示素子13に順次表示される。
【0027】
そして、素子12上に形成される複数の領域11−1〜11−nの分布を、例えば要素画像14−1〜14−nが撮影された時刻における複数の領域2−1〜2−nの分布と同期させる。この状態で観察方向10から素子12を介して表示素子13上を見ると、複数の領域11−1〜11−nは時刻によって異なる位置に形成される為、観察者は要素画像14−1a〜14−na,14−1b〜14−nbを順次観察することができる。
【0028】
この結果、素子3,12上に形成される複数の領域の分布を十分高速に変化させることで、観察者が立体再生像15を観察する際のサンプル点が増加することになり、立体再生像15の空間周波数を向上させることが可能である。
【0029】
なお、本実施例では、素子3,12上に形成されるマイクロレンズと等価な働きを持つ複数の領域2−1〜2−n,11−1〜11−nを凸レンズと同じ作用と想定していたが、凹レンズと同じ作用であってもよい。複数の領域2−1〜2−n,11−1〜11−nが凹レンズと同じ作用になるようにすれば、要素画像4−1〜4−nを点対称に変換する計算機6が不要となる。
【0030】
また、本実施例では、立体画像撮影装置の素子3上に形成される領域2−1〜2−nの分布と、立体画像表示装置の素子12上に形成される領域11−1〜11−nの分布とを時間的に同期させた状態で変化させている。つまり、立体画像撮影装置の素子3上に形成される領域2−1〜2−nの分布を時間間隔n毎に変化させる場合、立体画像表示装置の素子12上に形成される領域11−1〜11−nの分布もサンプル位置が立体画像撮影装置と同様になるように時間間隔n毎に変化させる。この状態では、立体画像撮影装置と立体画像表示装置とのサンプル点が同じである為、立体画像撮影装置で取得されるサンプル点で決まるナイキスト周波数以上の周波数成分が折り返し成分として立体再生像を劣化させる。
【0031】
そこで、時刻tと時刻t+nとの間の時刻t+n’に時刻tと異なるサンプル点を取得するように、立体画像表示装置の素子12上に領域11−1〜11−nを形成する一方、時刻tでの要素画像14−1a〜14−naから時刻t+n’でのサンプル位置に相当する要素画像を生成する。
【0032】
したがって、立体画像表示装置のサンプル点が立体画像撮影装置のサンプル点より多い為、立体画像表示装置のナイキスト周波数が立体画像撮影装置のナイキスト周波数を上回り、立体再生像に与える折り返し成分の影響を軽減することが可能である。
【0033】
図5は、本発明の立体画像撮影装置の他の実施例の構成図を示す。図5の実施例は、素子3上に形成されるマイクロレンズと等価な働きを持つ領域の個数に対してテレビジョンカメラ5A〜5Dの画素数が少ない場合に有効である。
【0034】
図5に示すように、複数のテレビジョンカメラ5A〜5Dで素子3全体を範囲3A〜3Dに分割して撮影することにより、素子3上に形成されるマイクロレンズと等価な働きを持つ領域の個数に対して画素数の少ないテレビジョンカメラ5A〜5Dであっても立体画像撮影装置に利用することが可能である。
【0035】
なお、被写体1の全体を覆うように素子3を球面状に配置し、図5に示すように複数のテレビジョンカメラで素子3全体を複数の範囲に分割して撮影することも可能である。
【0036】
【発明の効果】
上述の如く、本発明の立体画像撮影装置によれば、マイクロレンズと等価な働きを有する領域を例えば時間によって異なる位置に形成することにより、その領域により結像される被写体の要素画像が時間によって異なる位置で撮影される。したがって、被写体のサンプル点が増加することになり、立体再生像の空間周波数を向上させることが可能である。
【0037】
また、本発明の立体画像表示装置によれば、観察者は素子を介して表示素子を見ることにより、時間によって表示素子の異なる位置に表示される要素画像を観察することができる。したがって、被写体のサンプル点が増加することになり、立体再生像の空間周波数を向上させることが可能である。
【0038】
以上のように、立体画像撮影装置に含まれる撮像手段および立体画像表示装置に含まれる表示素子の性能に依存することなく、IP方式による立体再生像の空間周波数を向上させることが可能である。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の立体画像撮影装置の一実施例の構成図である。
【図2】マイクロレンズと等価な働きを持つ領域の分布について説明する一例の図である。
【図3】本発明の立体画像表示装置の一実施例の構成図である。
【図4】マイクロレンズと等価な働きを持つ領域の分布について説明する一例の図である。
【図5】本発明の立体画像撮影装置の他の実施例の構成図である。
【図6】IP方式の立体画像撮影装置について説明する一例の図である。
【図7】IP方式の立体画像表示装置について説明する一例の図である。
【符号の説明】
1 被写体
2−1〜2−n,2a,2b,11−1〜11−n,11a,11b 領域
3,12 素子
4−1〜4−n,14−1〜14−n 要素画像
5,5A〜5D テレビジョンカメラ
6 計算機
10 観察方向
13 表示素子
15 立体再生像
3A〜3D 範囲
Claims (5)
- 被写体と撮像手段との間に設置され、平面上の屈折率の分布を動的に変化させる素子と、
前記素子により結像される前記被写体の要素画像を撮影する撮像手段と
を備え、
前記素子は、平面上にレンズと等価な働きを有する複数の領域を形成する一方、前記複数の領域の分布を時間的に変化し、
前記撮像手段は、前記複数の領域で結像される前記被写体の要素画像の全てを撮影することを特徴とする立体画像撮影装置。 - 前記撮像手段で撮影された被写体の要素画像を点対称に変換する変換手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の立体画像撮影装置。
- 前記素子は、液晶レンズであることを特徴とする請求項1又は2記載の立体画像撮影装置。
- 平面上の屈折率の分布を動的に変化させる素子と、
立体画像撮影装置にて撮影された被写体の要素画像を前記屈折率の分布の変化と同期させて表示する表示素子とを備え、
前記素子は、平面上にレンズと等価な働きを有する複数の領域を形成する一方、前記複数の領域の分布を時間的に変化し、
前記表示素子は、前記立体画像撮影装置にて撮影された被写体の要素画像を、その要素画像が撮影されたときの前記屈折率の分布の変化と同期させて順次表示して、
前記素子を介して表示素子に表示された被写体の要素画像を観察させることを特徴とする立体画像表示装置。 - 前記素子は、液晶レンズであることを特徴とする請求項4記載の立体画像表示装置。
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