以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。本発明に係る球皿を備えた弾球遊技機の代表例として、図1および図2にパチンコ機の正面図および背面図を、図3に図1中のIII〜矢視方向に見た平断面図を、図4に図1中のIV−IV矢視方向に見た側断面図を示しており、まずこれらの図面を参照してパチンコ機PMの全体概要について説明する。なお図1、図2では、上球皿全体の背面および正面を示すため、機体前面側のガラス扉および上球皿を擬似的に180度開放した状態で各図を示している。
パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成された開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構により前方に横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置を利用して常には外枠1と係合連結された閉止状態に保持される。
前枠2の表側(前面側)上部には、ガラス扉3が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置を利用して常には前枠2の前面を覆う閉止状態に保持される。ガラス扉3の背後に位置する前枠上部には、遊技盤10を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠に立設姿勢で係止保持された遊技盤10がガラス扉3を通して視認されるようになっている。遊技盤10は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧板11を基板とし、半円弧状の外レール12および内レール13に囲まれて略円形の遊技領域PAが形成される。遊技領域PAには多数本の遊技釘や風車とともに各種の入賞具14、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる画像表示装置15、サイドランプなどの遊技構成部品が取り付けられ、下端部にアウト口18が設けられて構成される。
前枠2の表側中間部には、遊技補助盤と称される補助機構部が設けられている。遊技補助盤20には、遊技球発射装置21のハンマーに叩打された遊技球をガイドし遊技盤の外レール12に向けて発射させる発射レール22、次述する上球皿の通出樋55と裏セット盤の上払出通路45との間を繋ぐ傾斜通路状に形成された上通出口25、遊技の展開状況に応じた効果音を発生させるスピーカを保持するとともにファール球回収通路等を形成するスピーカーカバー31などが設けられている。
遊技補助盤20の前方に、上球皿5がヒンジ機構4により横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた球皿施錠装置を利用して常には遊技補助盤の前面を覆う閉止状態に保持される。上球皿5には、前面側に遊技球を貯留する貯留案内皿56が設けられるとともに、背面側の左上部には上球皿5を閉止した状態で遊技補助盤側の上通出口25と連絡するダクト状の通出樋55が後方に突出して形成されており、上通出口25から流入する遊技球を貯留案内皿56に流下させるようになっている。また上球皿5の背面右側には上球皿5を閉止した状態で発射レール22と整合する位置に球送り装置59が設けられており、貯留案内皿56に貯留された遊技球を1球ずつ発射レール22に送り出すように構成されている。
前枠2の表側下部には、上面開放形態の下球皿7が前方に突出して取り付けられ、前枠2の裏側下部には上面および前面に開口を有する箱状の下球皿連絡バケット37が取り付けられて、この下球皿7と下球皿連絡バケット37とが前枠2を前後に貫通する下通出口27で連絡されている。下球皿7の正面右側には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が取り付けられている。
前枠2の裏側(後面側)には、裏セット盤40が前枠2の後方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられている。裏セット盤40には、払い出し用の遊技球を貯留する球貯留タンク41、球貯留タンク41に貯留された遊技球を整列させて流下させるタンクレール42、タンクレール42から導かれた遊技球を入賞状態に応じて払い出す球払出装置43、球払出装置43の直下に位置して設けられ球払出装置43から払い出された遊技球を上球皿5に導く上払出通路45、上払出通路45と隣接して形成され上払出通路から溢れ出た遊技球を下球皿7に導く下払出通路47、上払出通路45と下払出通路47とを仕切る仕切壁44の上方に設けられ両球通路を連絡する溢れ球通路46、入賞具14に落入して化粧板11の裏面側に導かれたセーフ球およびアウト口18を通って化粧板11の裏面側に導かれたアウト球を集合させて遊技島の回収装置に導く遊技済み球排出通路48などが設けられている。裏セット盤40の背面には、電源基板や主制御基板、払出制御基板などの各種回路基板が取り付けられ、各電装部品がコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが構成される。
パチンコ機PMは、上球皿5およびガラス扉3が閉止施錠された状態で遊技に供され、上球皿5に遊技球を貯留させて発射ハンドル8の操作レバーを回動操作することにより遊技が開始される。操作レバーが回動操作されると、上球皿5に貯留された遊技球が球送り装置59によって1球ずつ発射レール22に送り出され、遊技球発射装置21のハンマーに打ち出されて遊技領域PAに導かれる。
遊技領域PAに到達した遊技球は、遊技領域内の多数の遊技釘や風車に弾かれながら遊技領域PAを転動落下し、この落下過程で入賞具14に落入して化粧板11の裏面側に導かれ、あるいは入賞具14に落入することなく落下してアウト口18を通って化粧板11の裏面側に導かれ、ともに裏セット盤40の遊技済み球排出通路48を通って遊技島の回収装置に排出される。各入賞具には入賞した遊技球を検出する入賞球検出器が設けられてその検出信号が主制御基板に出力されており、主制御基板は入賞検出信号に基づいた払出信号を払出制御基板を介して球払出装置43に出力し、球払出装置43は払出信号に応じた所定数量の遊技球を払い出す。
球払出装置43から払い出された遊技球は、通常では、払出通路内に形成された仕切壁44により上払出通路45に導かれ、前枠2を貫通する上通出口25および上球皿5に形成された通出樋55を通って貯留案内皿56に導かれる。そして、この貯留案内皿56を流下する過程で整列されて待機され、球送り装置59により順次発射レール22に送り出されて遊技領域PAに打ち出される。なお、貯留案内皿56が満杯になり上払出通路45が仕切壁44の上端まで充満された状態でさらに遊技球が払い出されたときには、払い出された遊技球が仕切壁44を越えて下払出通路47側に溢れ、あるいは溢れ球通路46を経由して下払出通路47に流入し、下払出通路47から下球皿連絡バケット37および下通出口27を通って下球皿7に導かれる。
一方、遊技補助盤20に取り付けられたスピーカーカバー31の背後では、発射レール22と外レール12との間が所定間隔隔てられて上方に開くファール球回収口32が形成され、その下側にファール球回収口32に落入したファール球を流下させるファール球回収通路33が形成されている。また上通出口25の下側では、カバー部が前方に張り出されて上方に開く球受け口35が形成され、その下側に球受け口35に落入したこぼれ球を流下させるこぼれ球回収通路36が形成されている。
ファール球回収通路33は、遊技補助盤の左右略中央部でこぼれ球通路36に合流し、前枠2を上下に貫通して形成された集合回収口26を介して下球皿連絡バケット37に繋がっている。これにより、遊技領域PAに到達できずにファール球回収口32に落入したファール球、および上球皿開放時に球受け口35に流入したこぼれ球が、それぞれファール球通路33およびこぼれ球回収通路36を通って集合回収口26から下球皿連絡バケット37に流下し、下通出口27を通って下球皿7に導かれる。また集合開口26の直上部ではスピーカーカバー31の一部切り欠かれて抜き球受容口38が形成されており、この抜き球受容口38に流入した遊技球が集合回収口26〜下球皿連絡バケット37〜下通出口27を通って下球皿7に導かれるようになっている。
さて以上のように概要構成されるパチンコ機PMにあって、上球皿5に本発明に係る球皿構成が適用されており、以降では、図5〜図10の各図を併せて参照しながら、上球皿5について詳細に説明する。ここで、図5〜図10の各図について予め概要説明すると、図5は球送り装置59を取り外した状態で第1球抜き機構60を主として示す上球皿5の背面図、図6は第2球抜き機構70を主として示す上球皿5の背面図、図7は上球皿5を分解した状態で示す第2球抜き機構70の分解斜視図、図8は第2球抜き機構70の正面図(部分断面図)、図9は第2球抜き機構近傍の球通路を主として示す平断面図、図10は貯留案内皿56に形成された段差およびこの段差を挟む支持面の傾斜角度の関係を示す説明図(背面図)である。
上球皿5は、前枠2の横幅寸法に合わせた横長方形状のあて板51と、このあて板51の前面側に取り付けられて前方に突出する椀状の外装体52と、あて板51と外装体52との間に挟持された皿本体53を主要構造体として構成され、第1球抜き機構60および第2球抜き機構70が組み付けられた皿本体53を外装体52に取り付け、これらをあて板51の前面側に嵌着してあて板51の背面側からネジ固定することにより一体に形成される。
皿本体53は、大別的には遊技球を貯留する貯留案内皿56と、この貯留案内皿の下側に形成された通路形成部とからなり、例えばABS樹脂などの樹脂材料を用いて、射出成型等の成形手段により一体に形成される。貯留案内皿56は全体として右傾した平皿状をなし、図3に示すように、平面視における中央から左側の上流部に半円状の球貯留部56bが形成され、中央から右側の下流部に先細状の流下案内部56aが形成され、遊技球を1列の整列状態で待機させる発射球整列通路57に繋がっている。
貯留案内皿56において遊技球を支持する支持面(皿上面)は、上流側の球貯留部56bおよび下流側の流下案内部56aとも下流に向けて低くなる傾斜面で構成されている。また、球貯留部56bの傾斜支持面と流下案内部56aの傾斜支持面との接続部には段差56dが形成され、球貯留部56bから流下案内部56aに向けて一段低くなるように形成されている。
ここで、下流側に位置する流下案内部56aの傾斜支持面と、上流側に位置する球貯留部56bの傾斜支持面との傾斜角度の関係については、図10に段差56dを挟む両傾斜支持面の角度関係を背面図で略示するように、流下案内部56aの傾斜支持面の傾き角をα、球貯留部56bの傾斜支持面の傾き角をβとしたときに、β<αなる関係、換言すれば、上流側の球貯留部56bの傾斜支持面(以下「貯留支持面」という)が、下流側の流下案内部56aの傾斜支持面(以下「流下支持面」という)よりも緩い傾斜に形成されている。
流下支持面の傾斜角度αおよび貯留支持面の傾斜角度βの具体的な値については、皿本体53に使用する樹脂材料の種類や表面性状等により適宜設定することが可能であるが、例えば、本実施形態において例示する上球皿5では、流下支持面の傾斜角度αとして従来の球皿と同様の傾斜角度(α=3.5〜4.5度程度)、貯留支持面の傾斜角度βとして流下支持面の傾斜角度αよりも1.5度程度小さい傾斜角度(β=2〜3度程度)に設定している。
このため、貯留案内皿56に貯留された遊技球が少ない状態では、貯留球は従来と同様の傾斜角度を有した比較的急傾斜の流下案内部56aに配設されるため、確実に下流の発射球整列通路57に向けて転動流下する。一方、貯留案内皿56に貯留された遊技球が増大すると、新たに貯留される遊技球は従来よりも小さい傾斜角度を有した比較的緩傾斜の球貯留部56bに貯留されるため、下流側の遊技球に作用する圧力Pは遊技球1個の重量をWとしたときに、上下1列あたりP=Wsinβとなり傾斜角度の減少分に応じて抑制することができる。例えば、上述した傾斜角度α=4度、β=2度とすれば、従来同様の一定の傾斜角度α=4度に設定した場合と比較して(Wsinα−Wsinβ)/Wsinα≒0.5となり、球圧を約半分に減少させることができる。
また、流下支持面と貯留支持面との接続部に段差56dを設け、段差の前後(上下流方向における前後)において、上流側の貯留支持面が下流側の流下支持面よりも高さhだけ高くなるように形成している。このため段差を挟む球貯留部56bと流下案内部56aの両方に遊技球が貯留された状態において、球貯留部56b側に貯留された遊技球は、段差により斜め下方に位置する流下案内部56a側の遊技球と、斜め上下の位置関係で球面接触する(図11を参照)。一方、球貯留部56bに貯留された遊技球の圧力(流下方向のベクトルP=Wsinβ)は、貯留支持面56bに沿った方向に作用している。
このため、球貯留部56b側の遊技球から流下案内部56a側の遊技球に作用する力Fは、貯留支持面に沿った流下方向のベクトルP(P=Wsinβ)を、球心同士を結ぶ当接方向のベクトル成分P1と、これに直交する上向き方向のベクトル成分P2とに分解したときの当接方向のベクトル成分P1になり(F=P1)、段差56dを設けずに直接当接させた場合(F=P=P1+P2)よりも小さくすることができる。例えば、貯留支持面の傾斜角度をβ=2度とし、段差56dの高さhを遊技球の直径Dに対してh=0.5Dとすれば球心同士を結ぶ当接方向の傾き角が約30度となり、圧力F=P1=Pcos(30−β)=0.88P、またh=0.7Dとすれば球心同士を結ぶ当接方向の傾き角が約45度となり、圧力F=P1=Pcos(45−β)=0.73Pになり、球貯留部56b側の遊技球から流下案内部56a側の遊技球に作用する力を段差56dの高さhに応じてさらに減少させることができる。
従って、上記のように貯留支持面の傾斜角度を流下支持面の傾斜角度よりも小さく形成することにより、貯留球数が少ない状態での安定した球流れと、貯留球数が増大した状態での下流側の遊技球に対する圧力の抑制とを両立させることができ、例えば球送り装置59への安定した球流れを確保しながら、その前方の発射球整列通路57の終端変更部で球詰まり等を生じない構成を容易に実現することができる。また球貯留部56bと流下案内部56後の間に段差56dを設けることで、下流側の遊技球に作用する圧力をさらに抑制して、安定した球流れと遊技球に対する圧力の抑制とを両立させた球皿を提供することができる。なお、各支持面の前後方向の傾斜については任意だが、ともに後方(あて板51側)に下傾する微少な傾斜角を設定することも好ましい構成形態である。
そして、このような上球皿5の下流側に第1球抜き機構60が、上流側に第2球抜き機構70が設けられている。流下案内部56aと繋がる発射球整列通路57の下流側は、発射レール22の基端部と前後に対峙する整合位置で「く」の字状に折り返され、貯留案内皿56の下側中央に向けて下傾する第1球抜き通路67が連設されている。第1球抜き通路67の下流端部には、あて板51を前後に貫通する球排出口68が形成され、上球皿5の閉鎖姿勢において位置整合する遊技補助盤側の抜き球受容口38と連絡されている。発射球整列通路57と第1球抜き通路67とは、折り返し部に設けられた第1球抜き機構60の弁部材63により常には仕切られており、発射球整列通路57の終端部にあて板51を貫通して形成された球送り口58を介して球送り装置59に繋がっている。
第1球抜き機構60は、図5に示すように、上球皿5の上面に露出して上下に揺動可能に設けられた球抜きレバー61と、発射球整列通路57と第1球抜き通路67との間を開閉可能なシャッター部63sを有して左右にスライド変位可能に配設された弁部材63と、球抜きレバー61と弁部材63との間を連繋して揺動可能に設けられ球抜きレバー61への押圧力を弁部材63に伝達させるリンクアーム62と、弁部材63を常時閉止方向に付勢するコイルバネ64などからなり、常にはコイルバネ64のバネ力により弁部材63が左端位置に付勢配設されて、シャッター部63sが発射球整列通路57と第1球抜き通路67との間を仕切る閉鎖状態とされる。
このため、通常の遊技状態では、発射球整列通路57に整列待機された遊技球が球送り口58から球送り装置59に導かれ、遊技球発射装置21の作動と同期して揺動制御される球送り装置の球送りカム59cによって1球ずつ発射レール22に送り出されて、遊技球発射装置21により遊技盤に向けて打ち出される。
球抜きレバー61が押圧操作されると、リンクアーム62が図5における反時計廻り揺動され、下端のリンクピンが弁部材63を押圧して弁部材63を右方にスライド変位させ、発射球整列通路57と第1球抜き通路67との間を仕切っていたシャッター部63sが待避して、発射球整列通路57と第1球抜き通路67とが連通した開放状態に変移される。このため、発射球整列通路57に整列待機されていた遊技球が第1球抜き通路67に流入してこの球通路を流下し、球排出口68を通って遊技補助盤側の抜き球受容口38に流入する。そして集合回収口26から下球皿連絡バケット37〜下通出口27を通って下球皿7に導かれる。
一方、貯留案内皿の貯留部56bに第2球抜き機構70が設けられている。第2球抜き機構70は、貯留支持面の下流部に横長方形状に開口された球抜き口71、球抜き口71の開口前縁に合わせて上下に延びて形成される前方壁面72からあて板51に向けて立設された通路壁により形成される一体の第2球抜き通路77、あて板51に一体形成される支持ボス51aに枢支されて揺動自在の開閉弁部材73、あて板51に一体形成される固定ボス51dに締結されて開閉弁部材73を正面視における反時計廻りに付勢する引っ張りバネ74、あて板上部に揺動可能に取り付けられて開閉弁部材の引っ張りバネによる付勢状態を保持するロック部材75などから構成される。
球抜き口71は、段差56dに隣接して皿本体53の後端側に形成されており、その前後方向の開口幅は遊技球の直径Dよりも幾分大きく1.1〜1.5D程度に、また左右方向の開口長さは同時に複数の遊技球を流下させ得るように球径Dの数倍(2〜4D程度)に設定され、例えば、図示する実施形態では、前後方向の開口幅を第1および第2球抜き通路の通路幅に合わせて1.1D程度に、左右方向の開口長さを3D程度に設定した例を示している。
球抜き口71の下方には、前方壁面72からあて板51に向けて左右中央に延びる通路壁77a,77bが立設されており、これらの前方壁面72および通路壁77a,77bによって後方に開いた溝状の球通路が形成され、後方からあて板51をネジ固定することで周囲が壁面で囲まれた第2球抜き通路77が形成される。球通路77の上流側では、通路壁77aが上向きに屈曲形成されて次述する段差係合部の下面を受け止める受け座が形成される。
通路壁77aは流下支持面と同程度の傾斜姿勢で背面視左方に延びるとともに、左右略中央部で下方に屈曲されて第1球抜き通路67の通路壁と繋がっており、第2球抜き通路77と第1球抜き通路67とが合流して球排出口68に連絡するようになっている。このように第2球抜き通路77を第1球抜き通路67に合流させて共通の球排出口68から排出させる構成により、球皿側の通路構成を簡明化できるとともに、抜き球受容口38以降の既存の流下経路をそのまま利用して第2の球抜き機構を構築することができ、例えば既存機種に対して上球皿5のみを交換することで、第2球抜き機構70を有したパチンコ機に変更することも可能になっている。
開閉弁部材73は、支持ボス51aの外径よりもわずかに大きめの内径を有して円筒状に形成された軸受部73a、軸受部73aの外周面と滑らかに繋がって接線方向に延びる帯板状の弁プレート部73b、軸受部73aの後端部(あて板51側の端部)から軸直交の斜め上方に延びるレバー部73c、軸受部73aの中間部から軸直交の斜め下方に延びるバネアーム部73d、レバー部73cから前方に突設される操作摘み73fからなり、例えばガラス繊維や炭素繊維を添加して強化したABS樹脂やポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)などの樹脂材料を用い射出成型等の成形手段によって上述部位が一体形成される。
弁プレート部73bは、軸受部73aの円筒外周面と滑らかに繋がって接線方向に延びるプレート部分が、球抜き口71の開口面域に合わせた矩形平板状に形成される。また、先端側は、皿本体53をあて板51に取り付けた状態で、段差56dの下面側の形状寸法に合うように屈曲されて段差係合部を形成しており、軸受部73aを支持ボス51aに枢支させて開閉弁部材73を正面視における反時計廻りに揺動したときに、先端の段差係合部が段差56dの下面と滑らかに係合して支持され、プレート部が球抜き口71を閉鎖して周囲の貯留支持面と同一平面上に位置するように(一体の貯留支持面を形成するように)構成されている。
レバー部73cは、軸受部73aの後端側から軸直交の斜め上方に延びるとともに、所定の高さ位置で前方にオフセットされたクランク状に屈曲形成されており、その先端部にはレバー部73cから前方に突出して操作摘み73fが形成されている。
また、あて板51には、開閉弁部材73のレバー部73cの揺動軌跡に合わせてレバー収容部51cが形成されている。レバー収容部51cは、前後クランク状に屈曲形成されたレバー部73cのうち、基端側(すなわち後方に位置するの部分)の揺動軌跡に合わせた扇状に形成され、その前後方向の深さはレバー部73cの基端部の厚さよりも幾分大きめに形成されている。他方レバー部73cの先端部分の前方へのオフセット量はこのレバー収容部51cの深さよりも幾分大きめに形成されており、レバー部73cの先端部分がレバー収容部51cの上方のあて板前面に沿って位置するようになっている。
バネアーム部73dは、軸受部73aの円筒外周面から軸直交の斜め下方に延びて形成され、その先端部に引っ張りバネ74の一端のフックを掛止可能な凹状のフック受けが切り欠き形成されている。
開閉弁部材73は、あて板51から前方に突出して設けられる支持ボス51aに軸受部73aを嵌挿して枢支させ、引っ張りバネ74の一端側のフックをあて板51から前方に突出して設けられるバネ固定ボス51dにネジ固定し、引っ張りバネ74の他端側のフックをバネアーム73dのフック受けに掛止することで、あて板51の前面に揺動可能に取り付けられ、引っ張りバネ74のバネ力で正面視における反時計廻りに付勢される。
また、あて板51には、レバー収容部51cの上方に軸受孔が穿設されており、この軸受孔にロック部材75が嵌着される。このロック部材75は、軸受孔の径よりわずかに小さい外形の円筒状に形成された嵌着軸75pと、円筒外面から軸に沿って外方に突出成型されたリブ状の操作摘み部75fと、操作摘み部75fの後方に円筒端面と平行に延びて形成された略三角形状の係止プレート部75cなどからなり、開閉弁部材73と同様にして、樹脂材料を用いた射出成型等の成形手段で上述部位が一体形成される。また、嵌着軸75pには、後端面側からネジを受容するネジ受け孔が形成されている。
嵌着軸75pを軸受孔に嵌入させ、あて板の背面から嵌着軸75pのネジ受け孔に座金を介してネジを螺着することで、あて板51の前面に揺動可能に取り付けられるとともに、あて板前面側からの抜脱が防止される。
このように、あて板上部の軸受孔に取り付けられたロック部材75は、開閉弁部材73をあて板51に取り付けて上述の引っ張りバネ74による付勢状態として、操作つまみ部75fをあて板51の前面で軸直行下方に延びるように揺動させることにより、ロック部材の係止プレート部75cの背面とあて板51の前面とで、開閉弁部材のレバー部73cを前後方向で挟持するとともに、係止プレート部75cの正面視における左側斜辺と開閉弁部材の操作摘み73fが係合し、開閉弁部材73が引っ張りバネ74のバネ力で付勢される状態を保持することができる。
そして、以上のような貯留案内皿56を有し、第1球抜き機構60が組み付けられ、第2球抜き路77の通路壁が一体形成される皿本体53を外装体52に取り付け、これらを開閉弁部材73、引っ張りバネ74、ロック部材75が組み付けられたあて板51の前面側に位置合わせして嵌め込むとともに、あて板51の背面側から外装体52および皿本体53の各部をネジ固定することにより上球皿5が一体形成される。
これにより、開閉弁部材73は、弁プレート部73bが球抜き口71を塞ぐ閉鎖位置と球抜き口71を開放する開放位置との間の角度範囲で揺動可能に配設され、常には引っ張りバネ74のバネ力により弁プレート部73bにおける段差係合部の上面が段差56dの下面と係合して球抜き口71を塞ぐ閉鎖位置に保持される。ロック部材の操作摘み部75fを摘んでロック部材75を反時計廻りに揺動操作してあて板51とロック部材75とによる開閉弁部材73の挟持状態を解除し、操作摘み73fに指を掛けて引っ張りバネ74のバネ力に抗してレバー部73cを揺動させると、レバー部73cがレバー収容部51cの扇状曲線に沿って揺動するとともに、弁プレート部73bにおける段差係合部の下面が通路壁77aの受け座と係合する開放位置まで揺動される。
ここで、開閉弁部材の操作摘み73fは、図12等に示すように、レバー先端部がガラス扉3の前端面よりも前方に突出するように構成されており、容易に開閉操作し得るようになっている。
さて、こうして組み立てられた上球皿5がヒンジ機構4を介して前枠2に開閉可能に組み付けられ、遊技補助盤20の前方を覆って閉止された閉止状態で遊技に供される。遊技を行うに当たっては、例えば遊技者が球貸し機から借り受けた適宜数量(例えば50〜100球程度の数量)の遊技球を上球皿5の貯留案内皿56に投入し、発射ハンドル8を回動操作することにより開始される。
ここで、貯留案内皿56の支持面は、既述したように、上流側に位置する球貯留部56bの貯留支持面および下流側に位置する流下案内部56aの流下支持面がとも下流に向けて低くなる傾斜面で構成されるとともに、貯留支持面の傾斜角度は流下支持面の傾斜角度よりも小さく形成されている。また、貯留支持面と流下支持面との接続部には段差56dが形成され、球貯留部56bから流下案内部56aに向けて一段低くなるように形成されている。
このため、上記のように比較的少量の遊技球が貯留案内皿56に投入されると、投入された遊技球は比較的傾斜角が急な下流側の流下案内部56aに主として貯留されることになり、急傾斜の流下支持面と先細り状の側壁とに案内されて、安定した球流れのもとで確実に下流の発射球整列通路57に転動流下する。発射球整列通路57に転入した遊技球は、常には閉鎖状態とされる第1球抜き機構60の弁部材63により球送り口58から球送り装置59に導かれ、発射操作以前にあっては球送りカム59cにより送り出しが規制されて、発射球整列通路57に1列に整列された状態で待機保持される。そして発射ハンドル8において発射操作がなされると、遊技球発射装置21の作動と同期して揺動制御される球送り装置の球送りカム59cによって整列待機された遊技球が1球ずつ発射レール22に送り出され、遊技球発射装置21のハンマーに叩打されて遊技盤10に向けて発射される。
遊技盤10に向けて発射され、遊技領域PAに到達した遊技球は、遊技領域内の遊技釘や風車に弾かれながら遊技領域PAを転動落下し、この落下過程で入賞具14に落入して化粧板11の裏面側に導かれ、あるいは入賞具14に落入することなく落下してアウト口18を通って化粧板11の裏面側に導かれ、ともに裏セット盤40の遊技済み球排出通路48を通って遊技島の回収装置に排出される。入賞具14に落入した遊技球は各入賞具に設けられた入賞球検出器に検出され、その検出信号に応じた数量の遊技球が球払出装置43から払い出される。
球払出装置43から払い出された遊技球は、貯留案内皿56に貯留された遊技球が少ない状態(上払出通路45の上部まで遊技球が充満されていない状態)では、上払出通路45に導かれ、前枠2を貫通する上通出口25および上球皿5に形成された通出樋55を通って貯留案内皿56に導かれる。そして遊技の進展に伴い貯留案内皿56に貯留される遊技球が増加してくると、その増加に応じて、新たに払い出された遊技球が上流側の球貯留部56bに貯留されるようになり、さらには通出樋55〜上通出口25〜上払出通路45まで遡って貯留されるようになる。
ここで、貯留支持面の傾斜角度は流下支持面の傾斜角度よりも小さく形成され、さらに貯留支持面と流下支持面との接続部には段差56dが形成されている。このため、前述したように、一定の傾斜角で平坦に形成された支持面の場合と比較して下流側の遊技球に作用する圧力、例えば発射待機通路57に整列された遊技球の流下方向に作用する圧力や、球送り口58の前方で偏向され球送り装置59に作用する圧力などを抑制して、安定した球流れと確実な球送りを実現することができる。
また図12に第2球抜き機構70の周辺部分の平断面図を示すように、レバー部73cにおける基端側の部分がレバー収容部51cに収容されて、あて板51の前面よりも前方に突出しないように構成されており、レバー部73cの前方を上流側から下流側に向けて流下する遊技球がレバー部73cの側縁に引っかかって停留することなく滑らかに流下する一方、その上方にクランク状に形成された上部構造により、上下複数段に積み重なって流下する遊技球が崩され1段に整流されるようになっている。
さて、こうして球貯留案内皿56に遊技球が貯留された状態では、第1球抜き機構60、第2球抜き機構70の何れか一方または両方を操作して貯留された遊技球の球抜き作業を行うことができる。
例えば貯留案内皿56に貯留された遊技球が少ない場合には、第1球抜き機構60のみを利用して球抜き作業を行うことが好適である。第1球抜き機構60による球抜き作業は、球抜きレバー61を下方に押圧操作することにより行われる。球抜きレバー61が押圧操作されると、リンクアーム62が背面視における反時計廻り揺動され、下端のリンクピンが弁部材63を押圧して弁部材63を右方にスライド変位させ、発射球整列通路57と第1球抜き通路67との間を仕切っていたシャッター部63sが背面視右方に待避して、発射球整列通路57と第1球抜き通路67とが連通した開放状態に変移される。
このため、発射球整列通路57に整列待機されていた遊技球および遊技球貯留案内皿56に貯留されていた遊技球が、発射球整列通路57から第1球抜き通路67に流入してこの球通路を流下し、球排出口68を通って遊技補助盤側の抜き球受容口38に流入する。そして集合回収口26から下球皿連絡バケット37に流下し、下通出口27を通って下球皿7に導かれる。これにより貯留案内皿56に貯留されていた遊技球を全量下球皿7に流下させて球抜き作業を行うことができる。
また、例えば球貯留案内皿56の上流部まで遊技球が貯留された遊技状況下でいわゆる大当たりが発生し、遊技球の発射状態を維持したまま貯留案内皿56に貯留された遊技球を下球皿7に流下させたい場合には、第2球抜き機構70のみを利用して球抜き作業を行うことが好適である。第2球抜き機構70による球抜き作業は、操作摘み部75fを操作してロック部材75を反時計廻りに揺動させることにより開閉弁部材のレバー部73cとロック部材の係止プレート部75cとの係合状態を解除し、操作摘み73fに指を掛け引っ張りバネ74のバネ力に抗してレバー部73cを正面視における時計廻りに揺動操作することで行われる。レバー部73cを揺動させると、レバー部73cの揺動とともに弁プレート部73bが正面視時計廻りに傾動して球抜き口71が開口されるとともに、開口された球抜き口71の内部に弁プレート部73bが傾斜姿勢で配設され、球抜き口71〜第2球抜き通路77に繋がる傾斜通路が形成される。
このため、図11に閉鎖位置にある弁プレート部73bおよび貯留球を実線で示し、開放位置にある弁プレート部73bおよび遊技球の流れを二点鎖線で示すように、貯留案内皿56における上流側の球貯留部56bに貯留されていた遊技球が、球抜き口71から傾斜姿勢にある弁プレート73bの上面を転動して第2球抜き通路77に流入し、第2球抜き通路77を転動流下し、通路下端の球排出口68を通って遊技補助盤側の抜き球受容口38に流入する。そして集合回収口26から下球皿連絡バケット37に流下し下通出口27を通って下球皿7に導かれる。
このとき、段差よりも下流側の流下案内部56aに位置する遊技球は、上記第2球抜き機構70による球抜き作業により影響を受けることがない。このため、第2球抜き機構70による球抜き中であっても、流下案内部56aに貯留された遊技球が発射球整列通路57に整列されて安定した球流れで球送り装置に導かれ、球送りカム59cにより1球ずつ発射レール22に送り出されて、安定した発射状態を維持することができる。これにより遊技者は、遊技球の発射状態を安定的に維持したまま、大当たりによる賞球の払出状況や貯留案内皿56における貯留球の増減状況等を見ながら、適宜下球皿7への球抜き作業を容易に行うことができる。
なお球抜きを終了するときには、開放位置に押圧保持していた操作摘み73fへの押圧力を解除すればよい。すると、引っ張りバネ74に蓄えられたバネ力により開閉弁部材73が正面視における反時計廻りに揺動され、弁プレート部73bが球抜き口71を塞ぐ閉鎖位置に復帰する。次いで、上方に揺動されたロック部材の操作摘み部75fを摘んで時計廻りにロック部材を揺動操作することにより、係止プレート部75cの背面とあて板51の前面とで開閉弁部材のレバー部73cが挟持されて開閉弁部材73が閉鎖位置で保持される。また、引っ張りバネ74は、閉鎖位置において一定の引っ張り力を保持するように初期張力が与えられており、貯留案内皿56が遊技球で満杯状態になったときに弁プレート部73bの上部に停留された遊技球の重量程度で開閉弁部材73が開方向に揺動しないようになっている。
一方、上記同様に貯留案内皿56の上流部まで多数の遊技球が貯留された状態で遊技を終了し、貯留された遊技球を全量球抜きするような場合には、上述した第1球抜き機構60と第2球抜き機構70の両方を利用して球抜き作業を行うことが好適である。すなわち第1球抜き機構60および第2球抜き機構70をともに開放状態にすると、貯留案内皿56の下流側から発射球通路57および第1球抜き通路67を介して遊技球が下球皿7に流下されるとともに、貯留案内皿56の上流側から第2球抜き通路77を介して遊技球が下球皿7に流下される。これにより、第1または第2球抜き機構の何れか一方を用いるよりも迅速な球抜きが可能になり、球抜き作業を早期に終了することができる。
従って、以上説明したような構成によれば、貯留球数が少ない状態での安定した球流れと、貯留球数が増大した状態での下流側の遊技球に対する圧力の抑制とを両立させた球皿を提供することができるとともに、球送り装置への球流れを妨げることなく球抜きを行うことができかつ迅速な球抜き作業も可能な球皿を提供することができる。
また、本発明に係る上球皿5は、前述した第2球抜き機構に換えて球抜き口71を常に閉鎖状態にする閉鎖部材83を装着することも可能である。この閉鎖部材83を組み付けた上球皿5について、前述の図7および図13,図14を参照して説明する。ここで、図13は閉鎖部材83を取り付けた第2球抜き機構の正面図(部分断面図)、図14は閉鎖部材83の近傍の球流れを主として示す平断面図である。
閉鎖部材83は、支持ボス51aの外形よりも僅かに大きめの内径を有して円筒状に形成された嵌挿固定部83a、嵌挿固定部83aの外周面と滑らかに繋がって接線方向に延びる帯板状の閉鎖プレート部83b、閉鎖プレート部83bの下面に円筒状に形成されてネジ受け孔を有する螺合固定部83hからなり、開閉弁部材73と同様にして、樹脂材料を射出成型する等の成型手段によって上述部位が一体形成される。
閉鎖部材の嵌挿固定部83aは開閉弁部材の軸受部73aと、閉鎖プレート部83bは開閉弁部材の弁プレート部73bと同形状に形成されており、閉鎖プレート部83bは、嵌挿固定部83aの接線方向に滑らかに延びてプレート部分が形成され、このプレート部分の先端側は、皿本体53をあて板51に取り付けた状態で、段差56dの下面側の形状寸法に合うように屈曲されて段差係合部が形成される。螺合固定部83hは、閉鎖プレート部83bの段差係合部の背面側で円筒状に形成されており、この円筒に固定用のネジ受け孔が貫設されている。
一方、あて板51には、嵌挿固定部83aを支持ボス51aに枢支させて段差係合部と段差56d下面に係合させた状態で、螺合固定部83hのネジ受け孔と整合する位置でネジ固定孔51hが貫通して設けられる。
閉鎖部材83は、あて板前方に突出して設けられる支持ボス51aに嵌挿固定部83aを嵌挿し、螺合固定部83hのネジ受け孔にあて板51の背面側からネジ固定孔51hを介してネジで螺合締結されることにより、あて板51の前面に固定して取り付けられる。
そしてこのように固定したときに、閉鎖プレート部83bのプレート部分の正面視における傾斜角度と球貯留部56bの貯留支持面の傾斜角度とが角度とが同じとなる。
また、ブラインドピン85がロック部材75に代えて軸受孔に取り付けられる。このブラインドピン85は、軸受孔の径と同径のフランジ部85fを有するとともに、軸受孔の深さと同程度にピン高さが設定されたピン部85pを有して形成される。また、ブラインドピンのピン部85pには、ロック部材の嵌着軸75pと同様にして、後端部にネジ止め孔が設けられている。
ブラインドピン85は、あて板51の前方から軸受孔にピン部85pを嵌入し、あて板51の背面からピン部85pのネジ受け孔に座金を介してネジを螺合させることで、あて板51の前面側から脱抜不能に軸受孔に蓋着される。
そして、開閉弁部材73を取り付けたときと同様にして、第1球抜き機構60の各構成部材が組み付けられた皿本体53を外装体52に取り付け、これらを閉鎖部材83、ブラインドピン85が組み付けられたあて板51の前面側に位置合わせして嵌め込み、あて板51の背面側から外装体52および球皿53の各部をねじ固定することにより上球皿5が一体に形成される。
これにより、閉鎖部材の閉鎖プレート部83bは、弁プレート部73bと同一形状に形成されているとともに貯留支持面の傾斜角度と同一の傾斜を持たせてあて板51に固定されるため、開閉弁部材73と同様にして球抜き口71を塞ぐように位置して球貯留部56bの貯留支持面と同一平面を形成する。
このため、遊技状態において通出樋55から貯留案内皿56に落入した遊技球は貯留支持面から流下支持面へと流下する。ここで、貯留支持面に設けられた球抜き口71は閉鎖部材83により常に閉鎖されて貯留支持面と同一平面を形成しているため、図14に球流れを示すように、遊技球は貯留案内皿内を停留することなく滑らかに発射球整列流路57に流下させることができる。
また、こうして閉鎖部材83で球抜き口71を常に閉鎖状態としている球貯留案内皿56から遊技球を球抜きする場合は、第1球抜き機構60を操作して行われる。既述した第1球抜き機構60による球抜き作業を行うことにより、貯留案内皿56に貯留されている遊技球を第1球抜き通路67に導き、下球皿7に流下させることができる。
また、前方から脱抜不能となったブラインドピン85が軸受孔に蓋着されるため、上述の遊技過程においてピアノ線等を押し入れて遊技盤10に悪戯するような不正行為を防止することができる。
なお、閉鎖プレート部83bは開閉弁部材の弁プレート部73bと必ずしも同形状に形成しなくてもよい。例えば、閉鎖部材83は、あて板51にネジで螺合締結されて常に閉鎖位置を保持するように組み付けられるため、開閉弁部材73が開放位置から閉鎖位置に揺動する際に弁プレート部73bを閉鎖位置に保持するための段差係合部を設けることなく閉鎖プレート部83bを形成することができる。
このようにして本発明に係る上球皿5は、開閉弁部材の軸受部73aあるいは閉鎖部材の嵌挿固定部83aを嵌挿させるための支持ボス51a、引っ張りバネ74を固定するためのネジ固定ボス51b、ロック部材75を嵌着するための軸受孔(図示せず)、閉鎖部材の螺合固定部83dにネジを螺合させるためのネジ固定孔51h等が予め一体形成されたあて板51と、外装体52と、第2球抜き路77の通路壁が予め一体形成された皿本体53とを共通の基本構成とし、あて板51に一体形成された上記組み付け部材に開閉弁部材73等と閉鎖部材83等とを選択的に組み付け可能に構成されている。これにより、1回の大当たりで大量の賞球が得られるようなパチンコ機(例えば、「第1種」のパチンコ機)においては、開閉弁部材73等を組み付けて第1球抜き機構60と第2球抜き機構70の両方を利用可能な上球皿5を使用し、1回の大当たりの賞球が少ないようなパチンコ機(例えば、「第2種」のパチンコ機)においては、閉鎖部材83等を組み付けて第1球抜き機構60のみを利用可能な上球皿5を使用するなど、機種の特性に応じた上球皿5を一部の部材の交換のみで選択製作することができる。
次に、図15および図16に、開閉弁部材73を選択装着して、第2球抜き機構による球抜き作業を可能とした上球皿5の他の構成例を示しており、以下これら両図を参照してこの第2球抜き機構170について簡潔に説明する。ここで図15は第2球抜き機構170を斜め前方から見た分解斜視図、図16は図9に対応して第2球抜き機構170周辺の球通路を主として示す平断面図である。なお、本構成の第2球抜き機構について要約すれば、前述同様の開閉弁部材をあて板51側に取着するとともに第2球抜き通路をこぼれ球通路36に連結させた形態であり、貯留案内皿56や球抜き口71、通路壁77aなどの構成は上述した第2球抜き機構70と同様である。そこで、同様部分に同一番号を付して重複説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
この第2球抜き機構170における開閉弁部材173は、支持ボス51aの外径よりもわずかに大きめの内径を有して円筒状に形成された軸受部73a、軸受部73aの外周面と滑らかに繋がって接線方向に延びる帯板状の弁プレート部73b、軸受部73aの後端部から軸直交の斜め上方に延びるとともに前方にオフセットして屈曲成形されたレバー部73c、軸受部73aの中間部から軸直交の斜め下方に延びるガイドアーム部173dなどからなり、ガイドアーム部173dを除く各部は上述した開閉弁部材73と同様に構成されている。
開閉弁部材173におけるガイドアーム部173dは、前述したバネアーム73dの機能を持つとともに、ガイドアーム部173dの先端に後方に突出してガイド軸173gが形成され、このガイド軸173gの後端部にネジを受容するネジ受容穴が形成されている。一方、あて板51には、開閉弁部材173を支持ボス51aに枢支させた状態におけるガイド軸173gの揺動軌跡および揺動角度範囲に合わせてガイド溝51gが形成され、このガイド溝と隣接するあて板51の背面側に引っ張りバネ74のフックをネジ固定するバネ固定ボス(図示せず)が形成されている。
開閉弁部材173は、軸受部73aを支持ボス51aに嵌挿するとともにガイド軸173gをガイド溝51gに緩挿して溝内に係合させ、あて板背面側のバネ固定ボスに引っ張りバネ74の一端側のフックをネジ固定するとともに、引っ張りバネ74の他端側のフックをガイド軸173gの後端のネジ受容穴にネジ固定することであて板51に揺動可能に取り付けられる。そして、第1球抜き機構60が組み付けられた皿本体53を外装体52に取り付け、これをあて板51の前面側に位置合わせして嵌め込んで、あて板51の背面側から外装体52および皿本体53の各部をねじ固定することにより上球皿5が一体に形成される。
これにより、開閉弁部材173は、弁プレート部73bが球抜き口71を塞ぐ閉鎖位置と球抜き口71を開放する開放位置との間の角度範囲で揺動可能に配設され、常には引っ張りバネ74のバネ力により弁プレート部73bが球抜き口71を塞ぐ閉鎖位置に保持される。また操作摘み73fに指を掛け引っ張りバネ74のバネ力に抗してレバー部73cを揺動させると、ガイド軸173gがガイド溝51g内を移動し、弁プレート部73bが傾動して球抜き口71を開放する開放位置まで揺動される。このとき開閉弁部材173の揺動角度範囲が、ガイド軸173gとガイド溝51gとの係合に基づく揺動角度規制により上記角度範囲を超えて移動することが規制され、弁プレート部73bに無理な力が作用しないように保護される。
また、本構成の第2球抜き機構170のロック部材175として、磁石175mが操作摘み73fの裏側にあたるレバー部73cに固着され、あて板51の前面に配設される。また、あて板51の背面には、開閉弁部材173の弁プレート73bが球抜き口71を塞ぐ閉鎖位置にあるときにおける磁石175mとの整合位置で、鉄系金属で形成されるプレート(図示せず)が取り付けられる。
これにより、開閉弁部材173の弁プレート73bが球抜き口を塞ぐ閉鎖位置にあるときに、磁石175mとプレートとに磁着力が発揮されて開閉弁部材173がこの位置で保持される。
一方、第2球抜き通路77の後方壁面を形成するあて板51には、段差56dの前方に位置してあて板51を前後に貫通する第2球排出口79が開口形成され、第2球抜き通路の前方壁面および流下面を形成する皿本体52には、流下方向と垂直方向に開口する第2球排出口79に遊技球を案内するための通路壁177bが流下面の通路壁77aから上方立設される(図13を併せて参照)。さらに、遊技補助盤側のスピーカーカバー31には、球皿5の閉止姿勢で第2球排出口79と整合する位置に第2排出口79と連絡する第2抜き球受容口39が設けられている。このため、第2球抜き機構170を利用した球抜き操作により第2球抜き通路77に流入した遊技球が、通路壁177bによって第2球抜き排出口79側に導かれ、第2球排出口79から第2抜き球受容口39を通ってこぼれ球通路36に流入しこぼれ球通路36を転動流下して、集合回収口26から下球皿連絡バケット37および下通出口27を通って下球皿7に流下する。
従って、本構成の第2球抜き機構170を備えたパチンコ機においても、上述したパチンコ機PMと同様に第1球抜き機構60、第2球抜き機構70の何れか一方または両方を操作して貯留された遊技球の球抜き作業を行うことができ、同様の効果を得ることができる。また、第2球抜き通路77に流入する遊技球を第1排出口に導かず、第2排出口79からこぼれ球通路36に流下させる通路構成とすることにより、第1および第2球抜き機構60,170を同時に球抜き操作したときの下球皿7への単位時間あたりの流下量を増大させることができ、これにより単一の球排出口68を設けた場合よりもさらに迅速な球抜き作業を行うことができる。
また、本構成の第2球抜き機構170の開閉弁部材173は、前述実施例と同様の支持ボス51aを用いて固定し、前述実施例と同様に形成された球抜き口71を開閉自在とする構成であるため、この開閉弁部材173に閉鎖部材83を交換装着して球抜き口73が常に閉鎖された上球皿5を提供することもできる。
また、本構成の第2球抜き機構170のロック部材175は、開閉弁部材173に固着された磁石175mと、あて板51の背面に取り付けられたプレートとで発揮される磁着力を利用したもので、前述したロック部材75のようにあて板51に軸受孔を設ける必要がない。このため、軸受孔を閉鎖するためのブラインドピン85を用いずとも閉鎖部材83を取り付けた上球皿5を提供することができる。
なお、本構成では、開閉弁部材173の過度の揺動操作を規制するためのガイド溝51gを予めあて板51に設けてこれを上球皿5の基本構成としているが、このガイド溝51は支持ボス51aよりも下方で穿設されており、外装体52および皿本体53をあて板51に組み付けたときにガイド溝51gが貯留案内皿56の傾斜支持面の下側に位置して外方に現れないように設けられている。このため、ガイド溝51gを盲にする部材を新たに必要とせずとも閉鎖部材83を組み付けた上球皿5を提供することができる。
なお、以上では、球抜き口71を開閉する開閉弁部材73,173の変移形態として、前後方向に延びる支持ボス(揺動軸)を中心として時計廻り・反時計廻りに揺動させる形態を例示したが、開閉弁部材の変移形態は球抜き口71を開閉し得るものであれば他の形態であってもよく、例えば弁プレート部を左右方向に延びる軸廻りに上下に揺動させ、あるいは弁プレート部を前後または左右方向にスライドさせて球抜き口71を開閉するように構成してもよい。
さらに、実施形態では、本発明に係る球皿の構成を、上下2段の球皿(上球皿5、下球皿7)を有するパチンコ機に適用した場合を例示したが、単段の球皿を有するパチンコ機やアーケードゲーム機、スマートボール機等についても、遊技球を貯留する球皿を有する弾球遊技機であれば同様に適用し同様の効果を得ることができる。