JP4091214B2 - テラヘルツ波分光器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数1THz(テラヘルツ)周辺の電磁波であるテラヘルツ波を分光測定に利用したテラヘルツ波分光器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周波数1THz(テラヘルツ)周辺の電磁波領域(テラヘルツ波領域、例えばおよそ100GHz〜10THz、あるいはさらにその周辺領域を含んだ広い周波数領域を指す)は、光波と電波の境界に位置する周波数領域であり、テラヘルツ波は、例えば赤外の分光やイメージングへの応用等に有効である。
【0003】
このような周波数領域はその発生器や検出器などの装置開発が比較的遅れており、技術面でも応用面でも未開拓の部分が多い。特に、テラヘルツ波を用いてサンプルの特性・定量等について測定を行う分光器などによる産業上の応用という点から言えば、小型かつ簡便な光源であるテラヘルツ波発生装置、及びその検出装置が不可欠である。
【0004】
近年、光スイッチ素子や電気光学結晶(EO結晶、Electro-Optic Crystal)などを用いたそのような光源・発生器や検出器の開発が進められつつある。電気回路の発振器による方法ではテラヘルツ波領域の電磁波発生は難しいが、パルス状の光を用いて電流などを変調することによって、この領域の電磁波の発生及び検出を行うことができる(文献として、例えば、「レーザー研究26巻7号 pp.515−521 (1998)」がある)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したEO結晶を用いた装置に関しては、テラヘルツ波を検出する方法として、ZnTeなどのEO結晶を用いた検出器が提案されている(例えば、日本物理学会1998年秋の分科会講演概要集、講演番号25aYN−18)。すなわち、EO結晶でのポッケルス効果を利用し、テラヘルツ波ビームの電界を受けたことによってEO結晶内に生じる複屈折率変化を直線偏光したプローブ光の強度変化によって測定して、入射電界、したがって検出器に入射したテラヘルツ波とその強度を検出することができる。
【0006】
また、このようなEO結晶はテラヘルツ波の発生器に対しても適用することが可能である(例えば、Applied Physics Letters, vol.73, no.21, pp.3049−3051 (1998)、Applied Physics Letters, vol.73, no.22, pp.3184−3186 (1998))。この場合、EO結晶にフェムト秒光パルスなどの入射光を入射すると逆ポッケルス効果による光整流作用が生じ、それによってテラヘルツ波を発生させることができる。例えば、発生器・検出器用に薄いEO結晶を用いることによって、30THz(波長10μm)程度のテラヘルツ波の分光測定が可能である。
【0007】
テラヘルツ波を利用した分光器を様々な方面に応用してその利用をすすめていくためには、さらに装置の小型化等が必要である。しかしながら、上記したようなEO結晶によるテラヘルツ波の発生器及び検出器を用いてテラヘルツ波分光器を構成する場合、発生器及び検出器に対してそれぞれにEO結晶等を設置する必要があり、それによって装置が複雑化してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、EO結晶をテラヘルツ波発生器及び検出器の両方に用いた分光器において、装置構成を簡単化及び小型化することができるテラヘルツ波分光器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明によるテラヘルツ波分光器は、励起光によってテラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生器と、プローブ光によってテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出器と、を備え、分光測定を行うテラヘルツ波分光器であって、テラヘルツ波発生器及びテラヘルツ波検出器は、単一の電気光学結晶を共に用いてテラヘルツ波の発生及び検出をそれぞれ行い、電気光学結晶は、励起光が励起光路によって入射されてテラヘルツ波発生器として機能するテラヘルツ波発生部と、プローブ光がプローブ光路によって入射されてテラヘルツ波検出器として機能するテラヘルツ波検出部とを有するとともに、テラヘルツ波発生器から出射されるテラヘルツ波の出射光学系と、テラヘルツ波検出器に入射されるテラヘルツ波の入射光学系とは、その光学系の一部または全部を共有して構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記したテラヘルツ波分光器においては、テラヘルツ波の発生・検出に同一のEO結晶を共用させて装置を構成し、さらにそれに合わせて、テラヘルツ波の出射・入射光学系の一部または全部について同一の光学系を共有させて、ほぼ同じ光路を折り返されて戻ってくる往復光路として構成している。これによって、類似の構成を有するテラヘルツ波発生器・出射光学系と、テラヘルツ波検出器・入射光学系とを重複的に設置することがなくなり、したがって、装置構成が大幅に簡単化されるとともに、その小型化が可能となる。なお、光学系については全部を共通に構成することが装置の簡単化のため好ましいが、必要に応じて、その一部について別の構成からなる光学系を用いても良い。
【0011】
また、電気光学結晶の結晶方位に対して、励起光またはプローブ光の偏光をそれぞれ所定の偏光方向とする励起光偏光手段またはプローブ光偏光手段の少なくとも一方をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
EO結晶を用いたテラヘルツ波装置においては、EO結晶の結晶方位と、光やテラヘルツ波の偏光方向との間に一定の関係を持たせることによって、特に効率的にテラヘルツ波の発生・検出を行うことができる。これに対して上記のように、用いられる光パルス等の偏光の初期状態、及び装置構成などに応じて励起光またはプローブ光に対して偏光手段を設け、それぞれの光の偏光方向を独立に制御・設定することによって、同一のEO結晶によるテラヘルツ波の発生及び検出の効率的な両立が実現される。
【0013】
分光器の構成・応用としては、例えば測定対象となる試料の透過特性計測用、または反射特性計測用などに対応した構成などが考えられる。
【0014】
例えば、分光測定は、試料の透過特性を測定するものであって、出射光学系によって導光されたテラヘルツ波は、所定の反射手段によって反射されて入射光学系に光路変更されることを特徴としても良い。
【0015】
また、分光測定は、試料の反射特性を測定するものであって、出射光学系によって導光されたテラヘルツ波は、試料によって反射されて入射光学系に光路変更されることを特徴としても良い。
【0016】
このような構成によって、出射・入射光学系によるそれぞれの光路が往復光路によって形成された光学系とすることができる。また、上記以外の構成も可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明によるテラヘルツ波分光器の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0018】
図1は、本発明によるテラヘルツ波分光器の一実施形態を示す構成図である。この分光器は透過特性計測用であり、テラヘルツ波の発生及び検出に単一のEO結晶(電気光学結晶)であるZnTe結晶10を用いて構成されている。すなわち、このZnTe結晶10は、テラヘルツ波の発生器及び検出器の両方を構成するものとして設置されている。
【0019】
本実施形態によるテラヘルツ波分光器の装置構成について説明する。所定の励起光源(図示していない)からの励起光は、波長板21を通過して所定の偏光状態とされた後、励起光路l0によって対物レンズ20を介してZnTe結晶10の所定の部位であるテラヘルツ波発生部Aに集束されつつ入射される。励起光としては、例えばフェムト秒パルスレーザによるフェムト秒光パルスなどが用いられる。
【0020】
このとき、ZnTe結晶10のテラヘルツ波発生部Aはテラヘルツ波発生器として機能する。すなわち、入射した励起光である光パルスから逆ポッケルス効果による光整流作用が生じ、それにより発生部Aにおいて分光に用いられるテラヘルツ波が発生されて、シリコンレンズ11を介して出射光路l1によって出射される。
【0021】
出射されたテラヘルツ波は、軸外し放物面鏡12によって所定の方向にその光路l1が変換されるとともにほぼ平行な光にコリメートされて、分光しようとする測定試料セルであるサンプル30へと導かれる。サンプル30を透過したテラヘルツ波は、さらに出射光路l1の終端を形成している反射手段である全反射鏡14によって反射されて光路が折り返され、入射光路l2によって再びサンプル30を透過した後、軸外し放物面鏡12によってその光路が変換され、シリコンレンズ11を介してZnTe結晶10の所定の部位であるテラヘルツ波検出部Bに集光・入射される。
【0022】
このとき、ZnTe結晶10のテラヘルツ波検出部Bはテラヘルツ波検出器として機能する。すなわち、ZnTe結晶10にテラヘルツ波が入射すると、その電界により結晶内で電気光学効果であるポッケルス効果によって、検出部Bにおいて複屈折率変化を生じる。この複屈折率変化をプローブ光を用いて測定することによって、テラヘルツ波が検出される。
【0023】
本実施形態においては、所定のプローブ光源(図示していない)からのプローブ光は、偏光ビームスプリッター23及び波長板22を通過して所定の偏光状態とされた後、プローブ光路l3によって対物レンズ20を介してZnTe結晶10の上記したテラヘルツ波検出部Bに集束されつつ入射される。ここで、ZnTe結晶10のシリコンレンズ11側の面には反射面10aが形成されている。これにより、プローブ光はZnTe結晶10内を通過した後、この反射面10aによって反射されて再び光路l3を反対方向に導かれ、波長板22を通過し偏光ビームスプリッター23によってその一部が反射・出力されて、その出力されたプローブ光成分が光検出器40に入射し検出・測定される。
【0024】
このような構成において、ZnTe結晶10のテラヘルツ波検出部Bにテラヘルツ波が入射されると、プローブ光が通過するZnTe結晶10の部分の複屈折率がポッケルス効果によって通常の状態から変化する。このとき、この変化した複屈折率によって反射されて光路l3を戻っていくプローブ光の偏光状態が変化し、したがって、偏光ビームスプリッター23によって反射されて光検出器40に検出されるプローブ光成分の強度・光量が変化する。この光量変化を光検出器40に接続された信号処理部50を介して測定することによって、テラヘルツ波を検出することができる。
【0025】
なお、プローブ光については、例えば励起光と同様の光パルスなどが用いられる。また、プローブ光のZnTe結晶10への照射については、テラヘルツ波を発生させる励起光の照射タイミング、検出部Bへのテラヘルツ波の入射タイミングと同期させて行う必要がある。そのような同期の方法としては、例えば励起光源及びプローブ光源として同一のレーザ光源を用い、レーザ光源からの光パルスをビームスプリッター等の光分岐器によって分岐させ、それぞれの光路の光路長等によってタイミングを調整して励起光及びプローブ光として用いる構成などがある。
【0026】
また、反射されて光検出器40で検出されるプローブ光の光量を測定するための信号処理部50は、例えばロックインアンプ等を有して構成され、励起光・プローブ光の照射に同期して与えられる参照信号などによって同期制御されつつ光量測定とそれによるテラヘルツ波の検出が行われる。
【0027】
次に、本実施形態によるテラヘルツ波分光器でのEO結晶の結晶方位、及び光の偏光方向等の設定について説明する。EO結晶を用いたテラヘルツ波装置においては、励起光とプローブ光の偏光方向、テラヘルツ波の偏光方向、及びEO結晶の結晶方位のそれぞれについて、一定の条件を満たすように構成することが効率良くテラヘルツ波の発生・検出を行うために必要とされる。図2は、図1に示したテラヘルツ波分光器における各方位・方向の設定を説明するための模式図である。ここで、図2における紙面上の上下・垂直方向は図1における紙面に垂直な方向と一致しており、ZnTe結晶10に対する励起光及びプローブ光の入射方向については、図2においては紙面に対して垂直上方から入射される。
【0028】
本実施形態においては、EO結晶としてZnTe結晶10の(110)面を用いており、(110)面は、図2にその結晶方位を示すように互いに直交する[001]軸及び[−110]軸で四角形に切り出してある。この結晶においては、[001]軸方向に電圧を印加すると[−110]軸方向の屈折率が変化する電気光学効果を生じる。
【0029】
このような結晶構造・結晶方位によって形成・配置されたZnTe結晶10に対して、励起光、プローブ光、及び生成されるテラヘルツ波の偏光方向をそれぞれ図2に示す方向に以下に述べる方法で設定する。まず、励起光及びプローブ光となる光パルスとしては、いずれも垂直な方向(図1においては、紙面に垂直な方向)に偏光した垂直偏光の光を用いる。これに対して、[−110]軸と平行な方向にテラヘルツ波発生部Aに照射される励起光の偏光を設定する。すなわち、垂直偏光の励起光に対して、励起光偏光手段である1/2波長板21を励起光路l0上に配置してその偏光を−45度に回転させた後、発生部Aへと導光・照射する。このとき、発生部Aにおいては[001]軸と平行(45度)な偏波面を有するテラヘルツ波が発生される。
【0030】
一方、プローブ光については、垂直偏光のプローブ光に対して偏光ビームスプリッター23で偏光の主軸を垂直にし、光路上に配置されたプローブ光偏光手段である1/8波長板22を通過してテラヘルツ波検出部Bへと照射される。プローブ光は、ZnTe結晶10内を通過し、その反射面10aによって反射されて戻ってくるが、このとき1/8波長板22を再度通過して偏光が円偏光となり、偏光ビームスプリッター23で一部の成分が反射・出力されて光検出器40へと入射されてその光量が検出・測定される。
【0031】
ここで、検出部Bに上記したように[001]軸と平行な偏波面を有するテラヘルツ波が入射して屈折率変調が生じると、変調されたZnTe結晶10内を通過することによって、反射面10aから戻って偏光ビームスプリッター23に到達するプローブ光の偏光が、変調がない場合の円偏光からずれて楕円偏光となる。したがって、偏光ビームスプリッター23から出力されて光検出器40によって検出されるプローブ光成分の光量が変化し、この光量変化を信号処理部50によって定量することにより、検出部Bに入射したテラヘルツ波とその光量が検出・測定される。
【0032】
以上の構成及び設定によるテラヘルツ波分光器の効果について説明する。従来のEO結晶を用いた装置においては、テラヘルツ波発生器及びテラヘルツ波検出器においてそれぞれ別個のEO結晶を用いて装置が構成されている。この場合、励起光によって発生器から発生されたテラヘルツ波は出射光学系によって出射・導光されてサンプルに照射され、サンプルを透過したテラヘルツ波は入射光学系によって導光されて検出器に入射・検出される。このような構成においては、装置の小型化が困難であり、また、光学系の調整・設置等が複雑化されてしまうという問題がある。
【0033】
これに対して、上記した実施形態によるテラヘルツ波分光器においては、発生器及び検出器に対して同一のEO結晶であるZnTe結晶10を用いている。また、サンプルを透過したテラヘルツ波をほぼ反対方向へと反射して光路を折り返す反射手段である全反射鏡14を設置し、これによって、単一の軸外し放物面鏡12及びシリコンレンズ11を共用して出射光学系及び入射光学系を構成している。このような構成とすることによって、装置が大幅に簡単化されるとともに、その小型化が可能となる。また、用いる光学部品が減少することによって、装置の製造や保守・整備等も容易になる。
【0034】
また、EO結晶を用いてテラヘルツ波の発生及び検出を行う場合、EO結晶の結晶方位と、励起光、プローブ光、及びテラヘルツ波の偏光の方向と、を一定の相関によって設定する必要がある。これに対して、本実施形態においては、励起光及びプローブ光に対して、それぞれ別個に励起光偏光手段である1/2波長板21、及びプローブ光偏光手段である1/8波長板22を設置している。これによって、それぞれの偏光状態を独立に制御・設定して、同一のEO結晶によるテラヘルツ波の発生及び検出の実現・両立を可能としている。
【0035】
なお、このようなテラヘルツ波発生器及び検出器として用いられるEO結晶としては、上記したZnTe結晶以外の様々なものを適用可能であり、例えばGaP、ZnS、ZnSeなどを用いることができる。これらの結晶はすべてジンクブレンド構造であり、したがって、結晶方位やレーザ光の偏光方位等については上記の場合と同様である。
【0036】
また、ZnTe結晶10のシリコンレンズ11側に形成されている反射面10aについては、例えば蒸着によって形成することができるが、反射する必要があるのはプローブ光のみであって励起光については反射しなくても良いので、テラヘルツ波検出部Bを含む所定の範囲のみに反射面10aを作製すれば良い。また、励起光偏光手段及びプローブ光偏光手段については、用いられる光の偏光状態や結晶の設置条件等に応じて上記した以外の波長板や偏光子等を用いて構成しても良く、また、光パルスの初期状態の偏光をそのまま用いるときなど設置する必要がない場合には、どちらか一方または両方の偏光手段を省略しても良い。
【0037】
本発明によるテラヘルツ波分光器は、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な変形・応用が可能である。図1に示した分光器は透過特性計測用であり、テラヘルツ波の出射光学系及び入射光学系はシリコンレンズ11、軸外し放物面鏡12及び全反射鏡14によって構成されているが、これ以外にも様々な光学系の構成が可能である。
【0038】
図3〜図6は、透過特性計測用のテラヘルツ波分光器における光学系の変形例を示す構成図である。なお、以下の変形例等についての図3〜図10では、見易さのため図中には単一の光路のみを示している。
【0039】
図3に示した光学系においては、ZnTe結晶10からのテラヘルツ波は軸外し放物面鏡12でコリメートされ、サンプル30を透過した後ポリエチレンなどのレンズ16によって集光されて全反射鏡14によって折り返されるように光路が構成される。この場合、全反射鏡14がレンズ16の焦点位置に配置されているため、全反射鏡14の傾き等が光路に影響しにくく、テラヘルツ波の光路をより安定に保つことができる。
【0040】
図4に示した光学系においては、ZnTe結晶10からのテラヘルツ波は軸外し放物面鏡12でコリメートされた後、レンズ16によって集光されてサンプル30へと照射される。また、サンプル30を透過した光は対称な位置に置かれた凹面鏡15によってその光路が折り返される。この場合、サンプル30の特定の一部分について測定を行うことができ、さらに、サンプル30を2次元面内で移動させてテラヘルツ波でのイメージングを行う構成として有効である。
【0041】
図5及び図6は、軸外し放物面鏡による光路変換を行わない構成による光学系を示している。すなわち、図5に示した光学系においては、ZnTe結晶10からのテラヘルツ波はレンズ16によってコリメートされた後、サンプル30へと照射されて全反射鏡14によって光路が折り返される。また、図6に示した光学系においては、テラヘルツ波はレンズ16によってコリメートされた後、レンズ17によって集光されてサンプル30へと照射され、凹面鏡15によって光路が折り返される。このように、軸外し放物面鏡を用いずにレンズによってコリメートを行う構成によっても、同様の分光測定が可能である。
【0042】
また、本発明によるテラヘルツ波分光器は透過特性計測用のみではなく、例えば反射特性計測用にも用いることが可能である。反射特性計測用の分光器は、例えば建物の壁についての分光測定などに有効である。
【0043】
図7は、反射特性計測用のテラヘルツ波分光器の一実施形態について、テラヘルツ波に対する光学系を示す構成図である。なお、励起光及びプローブ光の光学系等の構成や偏光方向の設定などについては、図1に示した透過特性計測用の実施形態と同様である。
【0044】
本実施形態においては、ZnTe結晶10からのテラヘルツ波は軸外し放物面鏡12でコリメートされてサンプル31に照射され、サンプル31のサンプル表面31a、またはサンプル31内部の部分によって反射されて光路が折り返されるとともに反射特性についての計測が行われる。この場合、サンプルによってテラヘルツ波の光路が直接折り返されるので、全反射鏡や凹面鏡などの反射手段は用いられない。
【0045】
図8〜図10は、反射特性計測用のテラヘルツ波分光器における光学系の変形例を示す構成図である。
【0046】
図8に示した光学系においては、ZnTe結晶10からのテラヘルツ波は軸外し放物面鏡12でコリメートされた後、別の軸外し放物面鏡13によって集光されつつサンプル31へと照射されて光路が折り返される。この場合、サンプル31のサンプル表面31aが軸外し放物面鏡13による集光の焦点位置に配置されているため、サンプル31の傾き等が光路に影響しにくく、図3に示した透過特性計測用の分光器と同様にテラヘルツ波の光路をより安定に保つことができる。
【0047】
図9及び図10は、図7における軸外し放物面鏡12、及び図8における軸外し放物面鏡13をレンズによって置き換えた構成による光学系を示している。すなわち、図9に示した光学系においては、ZnTe結晶10からのテラヘルツ波はレンズ16でコリメートされ、サンプル31へと照射されて光路が折り返される。また、図10に示した光学系においては、テラヘルツ波は軸外し放物面鏡12でコリメートされた後、レンズ16によって集光されつつサンプル31へと照射されて光路が折り返される。
【0048】
透過特性計測用、及び反射特性計測用のいずれのテラヘルツ波分光器においても、上記した各実施形態・構成例に限られず、様々な構成・設定が可能である。例えば、テラヘルツ波の発生部からの出射光学系と検出部への入射光学系とは必ずしもすべての光学要素を共有して構成しなくても良く、例えばEO結晶付近において両光路が空間的に分離されている場合にそれぞれ別個に集光レンズ等を設置して、光学系の一部を非共有としても良い。また、上記以外の様々な計測に用いる構成とすることも可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明によるテラヘルツ波分光器は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、EO結晶を用いてテラヘルツ波の発生器及び検出器を構成したテラヘルツ波分光器において、従来別々に形成・設置されていたテラヘルツ波発生器とその出射光学系、及びテラヘルツ波検出器とその入射光学系とを、その発生器及び検出器を同一のEO結晶を共用して構成し、それに対応して出射光学系及び入射光学系を光学系を一部または全部共有させて構成することによって、分光器の構造が簡単化し装置の小型化が実現できる。
【0050】
このような分光器の簡単化によって装置の製造及び保守等が容易化され、また、小型化によって設置場所が小さくてもすむなど、その産業上の応用・利用範囲をさらに広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る透過特性計測用のテラヘルツ波分光器の一実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示したテラヘルツ波分光器におけるZnTe結晶の結晶方位及び光の偏光について説明する図である。
【図3】透過特性計測用のテラヘルツ波分光器に用いられる光学系の他の実施形態を示す構成図である。
【図4】透過特性計測用のテラヘルツ波分光器に用いられる光学系の他の実施形態を示す構成図である。
【図5】透過特性計測用のテラヘルツ波分光器に用いられる光学系の他の実施形態を示す構成図である。
【図6】透過特性計測用のテラヘルツ波分光器に用いられる光学系の他の実施形態を示す構成図である。
【図7】反射特性計測用のテラヘルツ波分光器に用いられる光学系の一実施形態を示す構成図である。
【図8】反射特性計測用のテラヘルツ波分光器に用いられる光学系の他の実施形態を示す構成図である。
【図9】反射特性計測用のテラヘルツ波分光器に用いられる光学系の他の実施形態を示す構成図である。
【図10】反射特性計測用のテラヘルツ波分光器に用いられる光学系の他の実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
10…ZnTe結晶、10a…反射面、11…シリコンレンズ、12、13…軸外し放物面鏡、14…全反射鏡、15…凹面鏡、16、17…レンズ、
20…対物レンズ、21…1/2波長板、22…1/8波長板、23…偏光ビームスプリッター、
30…透過特性計測用サンプル、31…反射特性計測用サンプル、31a…サンプル表面、40…光検出器、50…信号処理部。

Claims (4)

  1. 励起光によってテラヘルツ波を発生させるテラヘルツ波発生器と、プローブ光によってテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波検出器と、を備え、分光測定を行うテラヘルツ波分光器であって、
    前記テラヘルツ波発生器及び前記テラヘルツ波検出器は、単一の電気光学結晶を共に用いて前記テラヘルツ波の発生及び検出をそれぞれ行い、
    前記電気光学結晶は、前記励起光が励起光路によって入射されて前記テラヘルツ波発生器として機能するテラヘルツ波発生部と、前記プローブ光がプローブ光路によって入射されて前記テラヘルツ波検出器として機能するテラヘルツ波検出部とを有するとともに、
    前記テラヘルツ波発生器から出射されるテラヘルツ波の出射光学系と、前記テラヘルツ波検出器に入射されるテラヘルツ波の入射光学系とは、その光学系の一部または全部を共有して構成されていることを特徴とするテラヘルツ波分光器。
  2. 前記電気光学結晶の結晶方位に対して、前記励起光または前記プローブ光の偏光をそれぞれ所定の偏光方向とする励起光偏光手段またはプローブ光偏光手段の少なくとも一方をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ波分光器。
  3. 前記分光測定は、試料の透過特性を測定するものであって、
    前記出射光学系によって導光された前記テラヘルツ波は、所定の反射手段によって反射されて前記入射光学系に光路変更されることを特徴とする請求項1または2記載のテラヘルツ波分光器。
  4. 前記分光測定は、試料の反射特性を測定するものであって、
    前記出射光学系によって導光された前記テラヘルツ波は、前記試料によって反射されて前記入射光学系に光路変更されることを特徴とする請求項1または2記載のテラヘルツ波分光器。
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