JP4090135B2 - 吸収冷凍機の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収冷凍機の起動時の制御方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
吸収冷凍機においては、再生器で溶液を加熱して生成した冷媒蒸気を凝縮器に送り、この凝縮器で冷却水によって冷却して得た冷媒液を蒸発器に送って蒸発させ、蒸発器の内部に配管した伝熱管を流れている流体を冷媒の蒸発熱によって冷却し、この冷却した流体を被冷却部に供給して冷房などの冷却運転が行われる。
【0003】
そして、蒸発器の内部に設置した伝熱管に通して冷却する流体が廉価で、漏れても危険のない水であるときには、この冷却した水を被冷却部に供給する冷水ポンプの運転が停止された状態で、冷媒液溜りに溜まった冷媒液を冷媒ポンプを運転して伝熱管に散布すると、伝熱管内にある水が凍ってしまうので、冷水系統の凍結防止を図るために冷水ポンプの運転が最初から行われるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の吸収冷凍機においては、冷凍能力がない当初から冷水ポンプの運転が行われて温度の高い水が系内に行き渡り、装置全体の温度が上昇するので、冷房運転を速やかに開始することができないと云った問題点があり、この解決が課題となっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来技術の課題を解決するための具体的手段として、再生器・凝縮器・吸収器などと冷凍サイクルを構成する蒸発器の内部に配管した伝熱管内部で冷媒に蒸発熱を奪われて冷却された流体を被冷却部に供給して冷却作用を行う吸収冷凍機の起動時に、再生器における吸収液の加熱と、吸収器および凝縮器への冷却水の供給を先行して開始し、次に蒸発器および/または吸収器の内部圧力、凝縮器から供給されて蒸発器でフラッシングしている冷媒の温度、再生器から吸収器に供給されている吸収液の温度、の少なくとも何れかに基づいて、前記流体を被冷却部に供給するポンプの運転を開始し、そのご凝縮器から供給されて冷媒液溜りに溜まった冷媒液を前記伝熱管に散布するための冷媒ポンプの運転を開始するようにした第1の制御方法と、
【0006】
前記第1の構成の制御方法において、前記流体を被冷却部に供給するポンプの運転を開始したときに、蒸発器および/または吸収器の内部が設定値を超える圧力低下を示すか、凝縮器から供給されて蒸発器でフラッシングしている冷媒が設定値を超える温度低下を示すか、再生器から吸収器に供給されている吸収液が設定値を超える温度上昇を示すときには、冷媒ポンプの運転を開始することなく吸収冷凍機の運転を停止するようにした第2の制御方法と、
を提供することにより、前記した従来技術の課題を解決するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に例示したものは、冷水を負荷に循環供給する二重効用吸収冷凍機であり、冷媒に水を、吸収液に臭化リチウム(LiBr)水溶液を使用したものである。
【0008】
図において、1はガスバーナ1Aを備えた高温再生器、2は低温再生器、3は凝縮器、4は蒸発器、5は吸収器、6は低温熱交換器、7は高温熱交換器、8〜10は吸収液管、11は吸収液ポンプ、12〜15は冷媒管、16は冷媒ポンプ、17は開閉弁、18は図示しない冷房負荷に循環供給する冷水が流れる冷水管、19は冷水ポンプ、20は冷却水管、21は冷却水ポンプであり、これらの機器はそれぞれ図1に示したように配管接続されており、この構成自体は従来周知である。
【0009】
そして、上記構成の二重効用吸収冷凍機において、開閉弁17を閉じ、冷却水管20に冷却水を流し、ガスバーナ1Aに点火して高温再生器1で稀吸収液を加熱すると、稀吸収液から蒸発分離した冷媒蒸気と、冷媒蒸気を分離して吸収液の濃度が高くなった中間吸収液とが得られる。
【0010】
高温再生器1で生成された高温の冷媒蒸気は、冷媒管12を通って低温再生器2に入り、高温再生器1で生成され吸収液管9により高温熱交換器7を経由して低温再生器2に入った中間吸収液を加熱して放熱凝縮し、凝縮器3に入る。
【0011】
また、低温再生器2で加熱されて中間吸収液から蒸発分離した冷媒は凝縮器3へ入り、冷却水管20内を流れる水と熱交換して凝縮液化し、冷媒管12から凝縮して供給される冷媒と一緒になって冷媒管13を通って蒸発器4に入る。
【0012】
蒸発器4に入って冷媒液溜りに溜まった冷媒液は、冷水管18に接続された伝熱管18Aの上に冷媒ポンプ16によって散布され、冷水管18を介して供給される水と熱交換して蒸発し、伝熱管18Aの内部を流れる水を冷却する。
【0013】
そして、蒸発器4で蒸発した冷媒は吸収器5に入り、低温再生器2で加熱されて冷媒を蒸発分離し、吸収液の濃度が一層高まった吸収液、すなわち吸収液管10により低温熱交換器6を経由して供給され、上方から散布される濃吸収液に吸収される。
【0014】
吸収器5で冷媒を吸収して濃度の薄くなった吸収液、すなわち稀吸収液は吸収液ポンプ11の運転により、低温熱交換器6・高温熱交換器7を経由して高温再生器1へ吸収液管8から送られる。
【0015】
上記のように吸収冷凍機の運転が行われると、蒸発器4の内部に配管された伝熱管18Aにおいて冷媒の気化熱によって冷却された冷水が、冷水ポンプ19の運転により冷水管18を介して図示しない冷房負荷に循環供給され、冷却作用を果たす。
【0016】
Cは、上記のような動作機能を有する二重効用吸収冷凍機に設けた制御器であり、マイコンや記憶手段などを備えて構成され、図示しない冷房負荷に冷水を循環供給するための冷水管18に蒸発器4の伝熱管18Aから流れ出た冷水の温度情報を、冷水管18の蒸発器4出口側に設けた温度センサ22から取り込み、この冷水の蒸発器出口側温度が所定の設定温度に維持されるように、ガスバーナ1Aに接続された図示しない加熱量制御弁の開度を調節して高温再生器1への入熱量を制御する従来周知の容量制御機能を備えている。
【0017】
すなわち、制御器Cには、予め決めた設定温度と温度センサ22が検出した冷水の温度との差が大きければ大きいほど、ガスバーナ1Aに接続された加熱量制御弁の開度を大きくし、温度センサ22が検出した冷水の温度が設定温度に達すると、加熱量制御弁の開度を設定開度に抑えるか、閉じる等の通常の容量制御を行うための制御プログラムを記憶手段に格納して備えている。
【0018】
また、制御器Cは、高温再生器1にある吸収液の液面が所定のレベルを維持するように吸収液ポンプ11の運転を制御すると共に、温度センサ22が検出した冷水の温度が設定温度(例えば7℃)より高いときに冷媒ポンプ16を運転するための制御プログラムも記憶手段に備えている。
【0019】
さらに、この制御器Cは、蒸発器4に取り付けた圧力センサ23が検出する蒸発器4内部の気相部の圧力Pに基づいて、ガスバーナ1Aの点火・燃焼などに遅らせて冷水ポンプ19を始動するための図2に示した制御プログラムも記憶手段に備えている。
【0020】
すなわち、制御器Cは、図示しない起動スイッチが投入されると、ステップS1においては冷却水ポンプ21に所要の制御信号を出力してこれを起動し、ステップS2では吸収液ポンプ11に所要の制御信号を出力してこれを起動し、ステップS3でガスバーナ1Aに所要の制御信号を出力して点火・燃焼を開始させる。
【0021】
ステップS4では、圧力センサ23によって蒸発器4内の気相部の圧力Pを検出する。
【0022】
そして、ステップS5では、ステップS4で検出した前記圧力Pが、冷媒液が蒸発し易い圧力、例えば1400Pa以下であるか否かを判定し、前記圧力Pが1400Pa以下であると判定されたときにはステップS6に移行して冷水ポンプ19を起動し、そうでないと判定されたときにはステップS4に戻って前記圧力Pの検出を繰り返す。
【0023】
ステップS7では、冷水ポンプ19が図示しない冷房負荷に供給している冷水の流量Vを、冷水管18に取り付けた流量センサ24によって検出する。
【0024】
ステップS8では、この冷水流量Vが所定の流量α以上あるか否かを判定し、イエスと判定されたときには冷媒ポンプ16に所要の制御信号を出力してこれを起動し、そうでないときにはステップS10に移行して前記圧力Pを圧力センサ 23により検出する。
【0025】
そして、ステップS11では、ステップS10で検出した前記圧力Pが、700Pa以上であるか否かを判定し、イエスと判定されたときにはステップS7に戻って前記冷水流量Vを繰り返し検出し、そうでないときには冷却水ポンプ21・吸収液ポンプ11・冷水ポンプ19・ガスバーナ1Aなどを緊急停止すると共に、ブザーの吹鳴、ライトの点灯・点滅などで警報を発する。
【0026】
したがって、本発明によれば、冷媒が容易に蒸発する圧力まで蒸発器4の内部の圧力が下がるのを待って冷水ポンプ19の運転が開始されると共に、冷水の流量が確保されるのを確認してすぐに冷媒ポンプ16の運転が開始されるので、伝熱管18Aの内部にある水は速やかに冷却され、これが冷水ポンプ19によって冷房負荷に供給されるので、速やかな冷房運転の立ち上げが可能となる。
【0027】
また、冷水ポンプ19の運転を開始したときに、蒸発気の内部の圧力Pが設定圧力以下に低下したときには、冷媒ポンプ16を起動しないし、冷凍機全体の運転を停止するので、伝熱管18Aの内部を流れる水や冷媒の水が凍ることもない。
【0028】
なお、制御器Cとしては、圧力センサ23が検出する前記圧力Pが設定圧力以下になるのを待ってステップS6に移行する代わりに、冷媒管13によって凝縮器3から供給され、蒸発器4でフラッシングしている冷媒の温度を温度センサ25によって検出し、その温度が設定温度、例えば15℃以下になるのを待ってステップS6に移行するようにしたり、吸収液管10によって低温再生器2から吸収器5に供給されている濃吸収液の温度を温度センサ26によって検出し、その温度が所定の上昇、例えば5℃/分の上昇を示し、濃吸収液の循環が確認されるのを待ってステップS6に移行するようにしても、前記したのと同様の作用効果が得られる。
【0029】
また、制御器Cとしては、ステップS10、S11も同様に変更することができる。この場合、ステップS4、S5と、ステップS10、S11では同じ物理量を検出して判定する方が、取り付けるセンサが共用できると云ったメリットがあるが、ステップS4、S5と、ステップS10、S11とで異なる物理量、すなわちステップS4、S5では例えば蒸発器4の内部の圧力Pを検出して判定し、ステップS10、S11では温度センサ25または26によって温度を検出し、その温度に基づいて判定するように構成するものであっても構わない。
【0030】
また、制御器Cとしては、ステップS7とS11の間の制御を所定時間を超えて繰り返すようになったときには、緊急停止するように構成することもできる。
【0031】
また、本発明の制御方法は、高温再生器1で加熱生成した高温の冷媒蒸気と吸収液とを、吸収器5または蒸発器4に直接供給できるようにも配管し、蒸発器4の伝熱管18Aの内部を流れる水を加熱して供給することもできるようにした、吸収冷温水機でも同様に有効である。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、蒸発器で冷媒が容易に蒸発できる状態になるまで待って冷水ポンプの運転を開始することが可能であり、このような制御を行うことで冷却されていない水が冷房負荷に供給され、系内の温度を上げて冷房の立ち上げ時間が長くなると云った従来技術の不都合は解消され、蒸発器の伝熱管で速やかに得られた冷水を冷房負荷に供給することで、短時間で冷房運転を立ち上げることができる。
【0033】
また、冷水ポンプの運転を開始しても、蒸発気の内部が設定値を超える圧力低下を示すなど、冷媒が異常に蒸発し易くなったときには、冷媒ポンプを起動しないし、冷凍機全体の運転を停止するので、伝熱管の内部を流れる水や冷媒の水が凍ることはなく安全性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】装置構成の説明図である。
【図2】制御方法の説明図である。
【符号の説明】
1 高温再生器
1A ガスバーナ
2 低温再生器
3 凝縮器
4 蒸発器
5 吸収器
6 低温熱交換器
7 高温熱交換器
8〜10 吸収液管
11 吸収液ポンプ
12〜15 冷媒管
16 冷媒ポンプ
17 開閉弁
18 冷水管
19 冷水ポンプ
20 冷却水管
21 冷却水ポンプ
22 温度センサ
23 圧力センサ
24 流量センサ
25・26 温度センサ
C 制御器
Claims (2)
- 再生器・凝縮器・吸収器などと冷凍サイクルを構成する蒸発器の内部に配管した伝熱管内部で冷媒に蒸発熱を奪われて冷却された流体を被冷却部に供給して冷却作用を行う吸収冷凍機の起動時に、再生器における吸収液の加熱と、吸収器および凝縮器への冷却水の供給を先行して開始し、次に蒸発器および/または吸収器の内部圧力、凝縮器から供給されて蒸発器でフラッシングしている冷媒の温度、再生器から吸収器に供給されている吸収液の温度、の少なくとも何れかに基づいて、前記流体を被冷却部に供給するポンプの運転を開始し、そのご凝縮器から供給されて冷媒液溜りに溜まった冷媒液を前記伝熱管に散布するための冷媒ポンプの運転を開始することを特徴とする吸収冷凍機の制御方法。
- 前記流体を被冷却部に供給するポンプの運転を開始したときに、蒸発器および/または吸収器の内部が設定値を超える圧力低下を示すか、凝縮器から供給されて蒸発器でフラッシングしている冷媒が設定値を超える温度低下を示すか、再生器から吸収器に供給されている吸収液が設定値を超える温度上昇を示すときには、冷媒ポンプの運転を開始することなく吸収冷凍機の運転を停止することを特徴とする請求項1記載の吸収冷凍機の制御方法。
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