JP4088655B2 - 抗a33抗体 - Google Patents
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Description
治療薬としての抗体の使用は、種々の病態(癌型)の治療における重要かつ価値のあるアプローチとして認められつつある。抗体の特異性により、腫瘍特異的抗原が異種細胞の特性を示す病態の治療に有用である。抗体は、細胞表面に発現する蛋白質である腫瘍特異的抗原に結合し、このような細胞を有効に標的とする。現在、細胞膜上に存在するレセプターであるCD20を標的としたキメラ抗体(Rituximab)、Her2/neuを標的としたヒト化抗体などのモノクローナル抗体が、悪性腫瘍を対象疾患として使用されており、その治療効果が認められている。抗体は、血中半減期が長く、抗原への特異性が高いという特徴を持ち、抗腫瘍剤として特に有用である。例えば、腫瘍特異的な抗原を標的とした抗体であれば、投与した抗体は腫瘍に集積することが推定されるので、補体依存性細胞傷害活性(CDC)や抗体依存的細胞性細胞傷害活性(ADCC)による、免疫システムの癌細胞に対する攻撃が期待できる。また、その抗体に放射性核種や細胞毒性物質などの薬剤を結合しておくことにより、結合した薬剤を効率よく腫瘍部位に送達することが可能となり、同時に、非特異的な他組織への該薬剤到達量が減少することで、副作用の軽減も見込むことができる。腫瘍特異的抗原に細胞死を誘導するような活性がある場合はアゴニスティックな活性を持つ抗体を投与することで、また、腫瘍特異的抗原が細胞の増殖及び生存に関与する場合は中和活性を持つ抗体を投与することで、腫瘍特異的な抗体の集積と、抗体の活性による腫瘍の増殖停止又は退縮が期待される。抗体は、上記のようにその特徴から抗腫瘍剤として適用するのに適切であると考えられる。
最初の抗体製造への進出には、対象動物としてマウスが使用された。しかしながら、多数の理由によりマウス抗体のin vivoでの使用は制限されている。ヒト宿主によって外来物として認識されるマウス抗体は、いわゆる「ヒト抗マウス抗体」すなわち「HAMA」応答を惹起する(Schiff et al.,Canc.Res.(1985),45,879−885参照)。さらに、マウス抗体のFc部分は、ヒト補体または細胞傷害活性の刺激に有効ではない。
このような問題を回避するためのアプローチのひとつとしてキメラ抗体が開発された(欧州特許出願120694及び125023参照)。キメラ抗体は、2つまたはそれ以上の種由来の抗体の一部(マウス抗体の可変領域及びヒト抗体の定常領域など)を含む。このようなキメラ抗体の利点はマウス抗体の特徴は保持するが、ヒトFcを持つためヒト補体または細胞傷害活性を刺激することができる。しかし、このようなキメラ抗体も依然として「ヒト抗キメラ抗体」すなわち「HACA」応答を惹起する(Bruggemann,et al.,J.Exp.Med.,170,2153−2157,1989参照)。
さらに、置換された抗体の一部のみが相補性決定領域(すなわち「CDR」)である組換え抗体が開発された(英国特許GB2188638A及び米国特許第5585089号)。CDR移植技術を使用してマウスCDR、ヒト可変部フレームワーク及び定常領域からなる抗体(すなわち「ヒト化抗体」)が産生されている(Riechmann,et al.,Nature(1988),332,323−327参照)。
「A33」と呼ばれるクラスIの細胞膜タンパクでIgスーパーファミリーのひとつであり腫瘍特異的抗原である抗原に対するマウス抗A33抗体及びヒト化抗体について報告されている(特許文献1及び非特許文献1から5を参照)。この抗原は、結腸癌及び胃癌に関連することが公知である(特許文献2、特許文献3及び非特許文献6を参照)。また、このヒト化A33抗体を用いて、近年、フェーズIの臨床試験を結腸癌患者を対象に行っている(非特許文献4および5を参照)。前者の抗体単独投与の報告では、抗体投与可能な患者11名のうち1名に部分反応が認められた。また、後者の抗体と化学療法との併用試験を行った報告では、抗体投与可能な患者12名のうち3名に部分反応、1名に混合反応が認められた。近年、Genentech社より開発が進められているアバスチン(ベバシズマブ;ヒト化抗VEGF抗体)でさえも、フェーズI臨床試験において、標準化学療法との併用で12名中1名の部分反応を示したという報告がある(Margolin K.et al.,J.Clin.Oncol.(2001)19,851−856)。このことからも、抗体単独投与で11名中1名に部分反応が認められたことは、大腸癌において高い抗腫瘍効果を示すことが期待される。
しかしながら、上記のようにフェーズI臨床試験において非常に高い腫瘍反応をヒト化A33抗体は示したが、両試験とも50%以上の高い確率でヒト抗ヒト化抗体(すなわち「HAHA」)が産生された。興味深いことに、腫瘍反応性の高かった患者に関しては、HAHAが認められなかった。
上述のように、A33抗原を標的とした抗体は、抗腫瘍剤として適用するのに適切であると考えられる。しかも、HAHAの産生されない抗体であれば、さらに高い抗腫瘍効果が得られる可能性がある。そこで、本発明者らは、A33に対する抗体の作製に関して鋭意研究した結果、A33を発現する癌細胞に対して抗腫瘍効果を示すモノクローナル抗体の取得に成功し、さらに該モノクローナル抗体の可変領域の配列を特定し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
本発明は、その第1の態様において、マウス−マウスハイブリドーマにより産生されるA33と結合するモノクローナル抗体、例えば263A17、125M10AA、125M165DAAA、125M96ABA、125N26F6AA、125Q47BA、125Q54AAAA又は125R5AAAAにより産生される好ましくはヒト抗体であるモノクローナル抗体又はその機能的断片を提供する。263A17、125M10AA、125M165DAAA、125M96ABA、125N26F6AA、125Q47BA、125Q54AAAA又は125R5AAAAにより産生されるモノクローナル抗体のタイプはヒトイムノグロブリンG(IgG)型である。上述ハイブリドーマのうち125M10AA、125M165DAAA、125M96ABA、125N26F6AA、125Q47BA、125Q54AAAA又は125R5AAAAは、2004年8月24日付で独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、それぞれ順番に受託番号FERM BP−10107(識別のための表示:M10)、FERM BP−10106(識別のための表示:M165)、FERM BP−10108(識別のための表示:M96)、FERM BP−10109(識別のための表示:N26)、FERM BP−10104(識別のための表示:Q47)、FERM BP−10105(識別のための表示:Q54)およびFERM BP−10103(識別のための表示:R5)として寄託されている。
本発明の実施形態において、本発明の抗体は上記ハイブリドーマが産生する抗体の可変領域を有する、抗体又はその機能的断片である。
本発明の別の実施形態において、本発明の抗体はサブクラスが改変された抗体も含み、ハイブリドーマ263A17が産生する抗体であってサブクラスがヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3若しくはヒトIgG4である抗体若しくはその機能的断片、ハイブリドーマ125M10AAが産生する抗体であってサブクラスがヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3若しくはヒトIgG4である抗体若しくはその機能的断片、ハイブリドーマ125M165DAAAが産生する抗体であってサブクラスがヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3若しくはヒトIgG4である抗体若しくはその機能断片、ハイブリドーマ125M96ABAが産生する抗体であってサブクラスがヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3若しくはヒトIgG4である抗体若しくはその機能的断片、ハイブリドーマ125N26F6AAが産生する抗体であってサブクラスがヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3若しくはヒトIgG4である抗体若しくはその機能的断片、ハイブリドーマ125Q47BAが産生する抗体であってサブクラスがヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3若しくはヒトIgG4である抗体若しくはその機能的断片、ハイブリドーマ125Q54AAAAが産生する抗体であってサブクラスがヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3若しくはヒトIgG4である抗体若しくはその機能的断片、またはハイブリドーマ125R5AAAAが産生する抗体であってサブクラスがヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3若しくはヒトIgG4である抗体若しくはその機能的断片である。
また、本発明の別の態様において、本発明はハイブリドーマ263A17、125M10AA、125M165DAAA、125M96ABA、125N26F6AA、125Q47BA、125Q54AAAA又は125R5AAAAが産生する抗体の可変領域を含む、A33と結合する抗体又はその機能的断片を提供する。
本発明の実施形態において、本発明の抗体は配列番号23及び25に示されるアミノ酸配列の可変領域を有する抗体又はその機能的断片である。本発明の別の実施形態において、本発明の抗体は配列番号27及び29に示されるアミノ酸配列の可変領域を有する抗体又はその機能的断片である。本発明の別の実施形態において、本発明の抗体は配列番号31及び33に示されるアミノ酸配列の可変領域を有する抗体又はその機能的断片である。本発明の別の実施形態において、本発明の抗体は配列番号35及び37に示されるアミノ酸配列の可変領域を有する抗体又はその機能的断片である。本発明の別の実施形態において、本発明の抗体は配列番号39及び41に示されるアミノ酸配列の可変領域を有する抗体又はその機能的断片である。本発明の別の実施形態において、本発明の抗体は配列番号43及び45に示されるアミノ酸配列の可変領域を有する抗体又はその機能的断片である。本発明の別の実施形態において、本発明の抗体は配列番号47及び49に示されるアミノ酸配列の可変領域を有する抗体又はその機能的断片である。本発明の別の実施形態において、本発明の抗体は配列番号51及び53に示されるアミノ酸配列の可変領域を有する抗体又はその機能的断片である。本発明の別の実施形態において、本発明の抗体は配列番号87および89に示されるアミノ酸配列の全領域を有する抗体又はその機能的断片である。
本発明はさらに、別の態様において、上記の抗体又はその機能的断片であって、腫瘍(例えばヌードマウスに移植された大腸癌細胞株COLO205細胞に由来するもの)の増殖を抑制する抗体又はその機能的断片を提供する。腫瘍の抑制の際、腫瘍を担持する被検動物(例えば結腸癌細胞担癌マウスモデル等の担癌実験動物、体重20gとする)に本発明の抗体又はその機能的断片を投与する量は、10μg/body〜100μg/bodyである。例えば、投与量として100μg/body又は5mg/kg、好ましくは10μg/body又は0.5mg/kgが挙げられる。
本発明の実施形態において、本発明の抗体は下記のいずれかの特性を有する。
(a) ADCC試験
正常ヒト末梢血由来単核球存在下において、A33を発現したヒト癌細胞に対して抗体依存的細胞性細胞障害活性(ADCC)を示す。
(b) CDC試験
ヒト血清由来補体存在下において、A33を発現したヒト癌細胞に対して補体依存性細胞障害活性(CDC)を示す。
(c) In vivo試験
A33を発現したヒト癌細胞を担持した非ヒト動物に対して抗腫瘍効果を示す。
(d) 競合試験
キメラ抗A33(ハイブリドーマATCC HB−8779が産生する抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域と、ヒトIgG1の重鎖定常領域および軽鎖定常領域から成る)と(i)強く競合する(ブロッカー)、(ii)弱く競合する(パーシャルブロッカー)、あるいは(iii)競合しない(ノンブロッカー)。
(e) 免疫組織化学試験
ヒト成人結腸癌組織、ヒト成人正常結腸組織およびヒト正常小腸組織を染色する。
本発明はさらに、別の態様において、ハイブリドーマ125M10AA(受託番号FERM BP−10107)、125M165DAAA(受託番号FERM BP−10106)、125M96ABA(受託番号FERM BP−10108)、125N26F6AA(受託番号FERM BP−10109)、125Q47BA(受託番号FBRM BP−10104)、125Q54AAAA(受託番号FERM BP−10105)及びハイブリドーマ125R5AAAA(受託番号FERM BP−10103)からなる群から選択されるハイブリドーマの保有する抗体をコードする核酸又は該抗体の機能的断片をコードする核酸、該核酸によりコードされるタンパク質、前記核酸を有する発現ベクター、該発現ベクターを有する大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞及び植物細胞並びに哺乳動物からなる群から選ばれる宿主を提供する。
本発明はさらに、別の態様において、ハイブリドーマ263A17、125M10AA、125M165DAAA、125M96ABA、125N26F6AA、125Q47BA、125Q54AAAA及びハイブリドーマ125R5AAAAからなる群から選択されるハイブリドーマから抗A33モノクローナル抗体をコードする遺伝子、例えば重鎖アミノ酸配列の可変領域をコードする遺伝子および軽鎖アミノ酸配列の可変領域をコードする遺伝子を単離し、該遺伝子を有する発現ベクターを構築し、該発現ベクターを宿主に導入して、該宿主を培養し、該モノクローナル抗体を発現せしめ、得られる宿主、宿主の培養上清又は宿主の分泌物等の培養物から抗A33モノクローナル抗体またはその機能的断片を採取することを含む、抗A33モノクローナル抗体またはその機能的断片の製造方法を提供する。
本発明はさらに、別の態様において、上記抗体又はその機能的断片を有効成分として含有する、腫瘍の予防、治療又は診断剤を提供する。
予防又は治療可能な腫瘍として、大腸癌、結腸癌、直腸癌、胃癌、膵臓癌、乳癌、黒色腫、腎細胞癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、前立腺癌、睾丸癌、中皮癌からなる群から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。
本発明のさらに別の実施形態において、本発明の抗体又はその機能的断片は、COLO205細胞が移植された担癌ヌードマウスにおいて、腫瘍移植後に前記抗体又はその機能的断片の投与量10または100μg/kgでVehicle投与群または抗DNP−IgG1抗体投与群と比べて有意に腫瘍の抑制が認められることを特徴とする。
本発明は、さらにハイブリドーマM10(受託番号:FERM BP−10107)により産生される抗体が認識するエピトープと同じエピトープを認識するA33に結合する抗体、ハイブリドーマM96(受託番号:FERM BP−10108)により産生される抗体が認識するエピトープと同じエピトープを認識するA33に結合する抗体、ハイブリドーマM165(受託番号:FERM BP−10106)により産生される抗体が認識するエピトープと同じエピトープを認識するA33に結合する抗体、ハイブリドーマN26(受託番号:FERM BP−10109)により産生される抗体が認識するエピトープと同じエピトープを認識するA33に結合する抗体、ハイブリドーマQ47(受託番号:FERM BP−10104)により産生される抗体が認識するエピトープと同じエピトープを認識するA33に結合する抗体、ハイブリドーマQ54(受託番号:FERM BP−10105)により産生される抗体が認識するエピトープと同じエピトープを認識するA33に結合する抗体、およびハイブリドーマR5(受託番号:FERM BP−10103)により産生される抗体が認識するエピトープと同じエピトープを認識するA33に結合する抗体である。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2004−259090号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
図1Bは、各モノクローナル精製抗体を用いて、COLO205細胞を標的としたときのCDC活性を示す図である。
図1Cは、各モノクローナル精製抗体を用いて、NCI−H508細胞を標的としたときのADCC活性を示す図である。
図1Dは、各モノクローナル精製抗体を用いて、NCI−H508細胞を標的としたときのCDC活性を示す図である。
図2Aは、組換え型抗体を用いて、COLO205細胞を標的としたときのADCC活性を示す図である。
図2Bは、組換え型抗体を用いて、COLO205細胞を標的としたときのCDC活性を示す図である。
図2Cは、組換え型抗体を用いて、NCI−H508細胞を標的としたときのADCC活性を示す図である。
図2Dは、組換え型抗体を用いて、NCI−H508細胞を標的としたときのCDC活性を示す図である。
図3Aは、精製抗体及び組換え型抗体によるウエスタンブロット解析の結果を示す写真である。
図3Bは、精製抗体及び組換え型抗体によるウエスタンブロット解析の結果を示す写真である。
図4は、精製抗体及び組換え型抗体によるヒト結腸癌組織の免疫組織染色の結果を示す写真である。
図5は、精製抗体及び組換え型抗体によるヒト正常小腸組織の免疫組織染色の結果を示す写真である。
図6は、精製抗体及び組換え型抗体によるヒト正常結腸組織の免疫組織染色の結果を示す写真である。
図7Aは、COLO205細胞を移植したときのマウス担癌モデルに対する組換え型抗体cA33およびrec263の抗腫瘍効果を示す図である。
図7Bは、NCI−H508細胞を移植したときのマウス担癌モデルに対する組換え型抗体cA33およびrec263の抗腫瘍効果を示す図である。
図7Cは、COLO205細胞を移植したときのマウス担癌モデルに対するハイブリドーマ精製抗体125M10AA、125M165DAAAおよび125M96ABAの抗腫瘍効果を示す図である。
図7Dは、NCI−H508細胞を移植したときのマウス担癌モデルに対する組換え型抗体recN26およびrecM165の抗腫瘍効果を示す図である。
図7Eは、NCI−H508細胞をマトリジェルと共に移植したときのマウス担癌モデルに対する組換え型抗体recN26およびrecM165の抗腫瘍効果を示す図である。
図7Fは、NCI−H508細胞をマトリジェルと共に移植したときのマウス担癌モデルに対する組換え型抗体recM10およびrecQ54の抗腫瘍効果を示す図である。
A33について、すでにマウス抗A33抗体及びヒト化抗A33抗体が取得されており、マウス抗A33抗体(Welt S.et al.,J.Clinical Oncology(1994),12,1561−1571;Welt S.et al.,J.Clinical Oncology(1996),14,1787−1797参照)あるいはヒト化A33抗体(Welt S.et al.,Clinical Cancer Res.(2003),9,1338−1346;Welt S.et al.,Clinical Cancer Res.(2003),9,1347−1353参照)を用いて、結腸癌患者を対象にしたフェーズIの臨床試験を実施したことも報告されている。しかしながら、非常に高い確率でHAMAあるいはHAHAが抗体投与患者に産生されてしまい、その後の臨床試験には至っていない。一方、非常に興味深いことに、ヒト化抗A33抗体の臨床試験で腫瘍反応性が認められた患者は、HAHAの産生が認められなかった。
本発明の新規ヒト抗A33モノクローナル抗体は完全ヒト抗体であり、マウス抗体あるいはヒト化抗体で常に問題となるマウスの配列からなる部分に対する抗原性については、すでに回避されている。すなわち、上述した臨床試験の報告ではヒト化抗体を用いたためHAHAが産生されたが、本発明の新規ヒト抗A33モノクローナル抗体は完全ヒト抗体であるため、抗体の抗原性が回避され、HAHAが産生されないので、結腸癌患者に対して、高い抗腫瘍効果が期待できる。
該抗体のクラスとしてはイムノグロブリンG(IgG)、同A(IgA)、同E(IgE)および同M(IgM)が用いられるが、好ましくはIgGである。更にIgGのサブクラスとしては、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4が用いられるが、好ましくはIgG1、IgG2およびIgG4であり、更に好ましくはIgG1である。
以下、本発明で用いる語句の意味を明らかにすることにより、本発明を詳細に説明する。
1.A33及びその抗体
本発明の抗体は、クラスIの細胞膜タンパクでIgスーパーファミリーのひとつであるA33に対する抗体である。
本発明における「A33と結合する抗体」とは、A33又はその一部に反応性を有する抗体、またはA33またはその一部を認識する抗体である。「機能的断片」とは、抗体の一部分(部分断片)であって、抗体の抗原への作用を1つ以上保持するものを意味し、具体的にはF(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、ジスルフィド結合Fv、一本鎖Fv(scFv)、及びこれらの重合体等が挙げられる[D.J.King.,Applications and Engineering of Monoclonal Antibodies.,1998 T.J.International Ltd]。あるいは、「機能的断片」は、抗体の断片であって抗原と結合しうる断片である。
本発明で「ヒト抗体」とは、ヒト由来の抗体遺伝子の発現産物である抗体を意味する。ヒト抗体は、後述のようにヒト抗体遺伝子座を導入し、ヒト由来抗体を産生する能力を有するトランスジェニック動物に抗原を投与することにより得ることができる。該トランスジェニック動物としてマウスが挙げられ、ヒト抗体を産生し得るマウスの作出方法は、例えば、国際公開WO02/43478号公報に記載されている。
本発明の抗体としては、例えば、後述の実施例に記載される、A33を発現する癌細胞に対して低濃度で抗腫瘍効果を示す各種の抗体、を挙げることができる。
本発明の抗体には、抗体を構成する重鎖及び/又は軽鎖の各々のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する重鎖及び/又は軽鎖からなるモノクローナル抗体も包含される。本発明の抗体のアミノ酸配列中に、前記のようなアミノ酸の部分的改変(欠失、置換、挿入、付加)は、そのアミノ酸配列をコードする塩基配列を部分的に改変することにより導入することができる。この塩基配列の部分的改変は、既知の部位特異的変異導入法(site specific mutagenesis)を用いて定法により導入することができる[Proc Natl Acad Sci USA.,1984 Vol81:5662]。ここで、抗体とは、イムノグロブリンを構成する重鎖可変領域及び重鎖定常領域、並びに軽鎖の可変領域及び軽鎖の定常領域を含む全ての領域が、イムノグロブリンをコードする遺伝子に由来するイムノグロブリンである。
本発明の抗体は、いずれのイムノグロブリンクラス及びアイソタイプを有する抗体をも包含する。
本発明の抗A33抗体は、下記のような製造方法によって製造することができる。即ち、例えば、A33、その一部又はその一部と抗原の抗原性を高めるための適当なキャリア物質(例えば、牛血清アルブミン等)との結合物を、必要に応じて免疫賦活剤(フロインドの完全又は不完全アジュバント等)とともに、ヒト抗体産生トランスジェニックマウスなどの非ヒト哺乳動物に免疫する。A33は、天然のA33もリコンビナントA33も用いることもできる。あるいは、A33をコードする遺伝子を導入し、A33を細胞表面に過剰に発現している動物細胞を投与することにより、免疫感作を行うことができる。モノクローナル抗体は、免疫感作動物から得た抗体産生細胞と、自己抗体産生能のない骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)を融合することにより得られるハイブリドーマを培養し、免疫に用いた抗原に対して特異的親和性を示すモノクローナル抗体を産生するクローンを選択することによって取得することができる。
本発明の抗体は、当業者に周知である遺伝子工学的改変(例えば、欧州特許EP314161公報を参照のこと)により異なるサブクラスのものに変換されたものも包含する。すなわち、本発明の抗体の可変領域をコードするDNAを用いて遺伝子工学的手法を用いて元のサブクラスとは異なるサブクラスの抗体を得ることができる。ADCCは、Macrophage,NK細胞、好中球などの表面に発現しているFc Receptorを介して、抗体の定常領域と結合することにより細胞を認識し、認識した細胞が活性化することにより誘導される、細胞障害活性のことを言う。一方、CDCは抗体が抗原と結合することによって、活性化された補体系によって引き起こされる細胞障害活性のことを言う。これらの活性は、抗体のサブクラスによって、その活性の強弱が異なることが解っており、それは、抗体の定常領域の構造の違いに起因することがわかっている(Charles A.Janeway et.al.Immunobiology,1997,Current Biology Ltd/Garland Publishing Inc.)。例えば、本発明の抗体のサブクラスをIgG2又はIgG4に変換することにより、Fcレセプターに対する結合度の低い抗体を取得することができる。逆に、本件発明の抗体のサブクラスをIgG1又はIgG3に変換することにより、Fcレセプターに対する結合度の高い抗体を取得することができる。さらに、本発明の抗体の定常領域のアミノ酸配列を遺伝子工学的に改変すること、あるいはそのような配列を有する定常領域配列と結合することにより、Fcレセプターに対する結合度を変化させること(Janeway CA.Jr.and Travers P.(1997),Immunobiology,Third Edition,Current Biology Ltd./Garland Phulishing Inc.参照)、あるいは補体に対する結合度を変化させること(Mi−Hua Tao,et al.1993.J.Exp.Med参照)は可能である。例えば、重鎖定常部分のEUナンバリングシステム(Sequences of proteins of immunological interest,NIH Publication No.91−3242を参照)における331番目のプロリン(P)をコードする配列CCCをセリン(S)をコードするTCCに変異させプロリンをセリンに置換することにより補体に対する結合度を変化させることができる。仮に抗癌剤について考えた場合、抗体単独で細胞死誘導活性がない場合は、Fcレセプターを介した抗体依存性細胞障害活性(ADCC)や補体依存性細胞傷害活性(CDC)による抗腫瘍活性を有する抗体が望ましいが、抗体単独で細胞死誘導活性がある場合はFcレセプターとの結合度が低い抗体がより望ましい場合もある。また免疫抑制剤について考えた場合、T細胞と抗原提示細胞の結合のみを立体的に阻害する場合などADCC活性或いはCDC活性を有さない抗体が望ましい。また、ADCC活性或いはCDC活性が毒性の原因となりうる場合、毒性の原因となる活性をFc部分の変異あるいはサブクラスを変更することにより回避した抗体が望ましい場合もある。
本発明において、モノクローナル抗体の製造にあたっては、下記の作業工程を包含する。すなわち、(1)免疫原として使用する、生体高分子の精製及び/又は抗原タンパク質を細胞表面に過剰に発現している細胞の作製、(2)抗原を動物に注射することにより免疫した後、血液を採取しその抗体価を検定して脾臓等の摘出の時期を決定してから、抗体産生細胞を調製する工程、(3)骨髄腫細胞(ミエローマ)の調製、(4)抗体産生細胞とミエローマとの細胞融合、(5)目的とする抗体を産生するハイブリドーマ群の選別、(6)単一細胞クローンへの分割(クローニング)、(7)場合によっては、モノクローナル抗体を大量に製造するためのハイブリドーマの培養、又はハイブリドーマを移植した動物の飼育、(8)このようにして製造されたモノクローナル抗体の生理活性及びその認識特異性の検討、あるいは標識試薬としての特性の検定、等である。
A33には、多型が存在するが、本発明の抗体は、現在知られている全てのA33多型を認識して結合するので、患者の有するA33の型の違いにかかわらず、本発明の抗体を含む治療・予防剤は有効に作用する。
以下、抗A33モノクローナル抗体の作製法を上記工程に沿って詳述するが、該抗体の作製法はこれに制限されず、例えば脾細胞以外の抗体産生細胞及びミエローマを使用することもできる。
(1) 抗原の精製
抗原としては、A33をコードするDNAを動物細胞用発現ベクターに組み込み、該発現ベクターを動物細胞に導入し、取得した形質転換株そのものを使用できる。因みに、A33のタンパク質の一次構造は公知である[GenBank accession No.NP_005305、配列番号12]ので、当業者に周知の方法により、A33のアミノ酸配列からペプチドを化学合成し、これを抗原として使用することもできる。
また、免疫原としては、A33の全長をFM3A細胞又はL929細胞に導入し、細胞表面にA33を過剰に発現している細胞も有効である。pΔEGFP−N1−A33は、A33タンパク質をコードするDNAを、動物細胞用発現ベクターpΔEGFP−N1(改変pEGFP−N1[ベクトン・ディキンソン・バイオサイエンス・クロンテック社製]のEGFPタンパク質をコードしている領域を削除した)に組み込むことにより作製できる。ただし、A33をコードするDNA、ベクター、宿主等はこれらに限定されない。
具体的には、pΔEGFP−N1−A33でFM3A細胞又はL929細胞を形質転換して得られた形質転換株を培養し、pΔEGFP−N1ベクターが挿入された細胞に獲得されるネオマイシン耐性の形質及びマウスA33抗体(ATCC No.HB−8779)を用いたA33発現の確認とを指標に、A33をその細胞表面に過剰に発現しているFM3A細胞又はL929細胞を作製することができる。
(2)抗体産生細胞の調製工程
(1)で得られた抗原と、フロインドの完全若しくは不完全アジュバント、又はカリミョウバンのような助剤とを混合し、免疫原として実験動物に免疫する。実験動物としては、ヒト由来の抗体を産生する能力を有するトランスジェニックマウスが最も好適に用いられるが、そのようなマウスは富塚らの文献[Tomizuka.et al.,Proc Natl Acad Sci USA.,2000 Vol 97:722]に記載されている。
マウス免疫の際の免疫原投与法は、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、皮内注射、筋肉内注射、足蹠注射などいずれでもよいが、腹腔内注射、足蹠注射又は静脈内注射が好ましい。
免疫は、一回、又は、適当な間隔で(好ましくは2週間から4週間間隔で)複数回繰返し行うことができる。その後、免疫した動物の血清中の抗原に対する抗体価を測定し、抗体価が十分高くなった動物を抗体産生細胞の供給源として用いれば、以後の操作の効果を高めることができる。一般的には、最終免疫後3〜5日後の動物由来の抗体産生細胞を、後の細胞融合に用いることが好ましい。
ここで用いられる抗体価の測定法としては、放射性同位元素免疫定量法(以下、「RIA法」という)、固相酵素免疫定量法(以下、「ELISA法」という)、蛍光抗体法、受身血球凝集反応法など種々の公知技術があげられるが、検出感度、迅速性、正確性、及び操作の自動化の可能性などの観点から、RIA法又はELISA法がより好適である。
本発明における抗体価の測定は、例えばELISA法によれば、以下に記載するような手順により行うことができる。まず、ヒト抗体に対する抗原をELISA用96穴プレート等の固相表面に吸着させ、さらに抗原が吸着していない固相表面を抗原と無関係なタンパク質、例えばウシ血清アルブミン(BSA)により覆い、該表面を洗浄後、一次抗体として段階希釈した試料(例えばマウス血清)に接触させ、上記抗原に試料中の抗A33抗体を結合させる。さらに二次抗体として酵素標識されたヒト抗体に対する抗体を加えてヒト抗体に結合させ、洗浄後該酵素の基質を加え、基質分解に基づく発色による吸光度の変化等を測定することにより、抗体価を算出する。
(3)ミエローマの調製工程
ミエローマとしては、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ又はヒト等の哺乳動物に由来する自己抗体産生能のない細胞を用いることが出来るが、一般的にはマウスから得られた株化細胞、例えば8−アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来)ミエローマ株P3X63Ag8U.1(P3−U1)[Yelton,D.E.et al.Current Topics in Microbiology and Immunology,81,1−7(1978)]、P3/NSI/1−Ag4−1(NS−1)[Kohler,G.et al.European J.Immunology,6,511−519(1976)]、Sp2/0−Ag14(SP−2)[Shulman,M.et al.Nature,276,269−270(1978)]、P3X63Ag8.653(653)[Kearney,J.F.et al.J.Immunology,123,1548−1550(1979)]、P3X63Ag8(X63)[Horibata,K.and Harris,A.W.Nature,256,495−497(1975)]などを用いることが好ましい。これらの細胞株は、適当な培地、例えば8−アザグアニン培地[グルタミン、2−メルカプトエタノール、ゲンタマイシン及びウシ胎児血清(以下、「FCS」という)を加えたRPMI−1640培地に8−アザグアニンを加えた培地]、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium;以下、「IMDM」という)、又はダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium;以下、「DMEM」という)で継代培養するが、細胞融合の3〜4日前に正常培地(例えば、10% FCSを含むDMEM培地)で継代培養し、融合当日に2×107以上の細胞数を確保しておく。
(4)細胞融合
抗体産生細胞は、形質細胞、及びその前駆細胞であるリンパ球であり、これは個体のいずれの部位から得てもよく、一般には脾臓、リンパ節、骨髄、扁桃、末梢血、又はこれらを適宜組み合わせたもの等から得ることができるが、脾細胞が最も一般的に用いられる。
最終免疫後、所定の抗体価が得られたマウスから抗体産生細胞が存在する部位、例えば脾臓を摘出し、抗体産生細胞である脾細胞を調製する。次いで、脾細胞とミエローマを融合させればよい。この脾細胞と工程(3)で得られたミエローマを融合させる手段として現在最も一般的に行われているのは、細胞毒性が比較的少なく融合操作も簡単な、ポリエチレングリコールを用いる方法である。この方法は、例えば以下の手順よりなる。
脾細胞とミエローマとを無血清培地(例えば、DMEM)、又はリン酸緩衝生理食塩液(以下、「PBS」という)でよく洗浄し、脾細胞とミエローマの細胞数の比が5:1〜10:1程度になるように混合し、遠心分離する。上清を除去し、沈澱した細胞群をよくほぐした後、撹拌しながら1mLの50%(w/v)ポリエチレングリコール(分子量1000〜4000)を含む無血清培地を滴下する。その後、10mLの無血清培地をゆっくりと加えた後遠心分離する。再び上清を捨て、沈澱した細胞を適量のヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(以下「HAT」という)液及びヒトインターロイキン−6(以下、「IL−6」という)を含む正常培地(以下、「HAT培地」という)中に懸濁して培養用プレート(以下、「プレート」という)の各ウェルに分注し、5%炭酸ガス存在下、37℃で2週間程度培養する。途中適宜HAT培地を補う。
(5)ハイブリドーマ群の選択
上記ミエローマ細胞が、8−アザグアニン耐性株である場合、すなわち、ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)欠損株である場合、融合しなかった該ミエローマ細胞、及びミエローマ細胞どうしの融合細胞は、HAT含有培地中では生存できない。一方、抗体産生細胞どうしの融合細胞、あるいは、抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマは生存することができるが、抗体産生細胞どうしの融合細胞には寿命がある。従って、HAT含有培地中での培養を続けることによって、抗体産生細胞とミエローマ細胞との融合細胞であるハイブリドーマのみが生き残り、結果的にハイブリドーマを選択することができる。
コロニー状に生育してきたハイブリドーマについて、HAT培地からアミノプテリンを除いた培地(以下、「HT培地」という)への培地交換を行う。以後、培養上清の一部を採取し、例えば、ELISA法により抗A33抗体価を測定する。ただし、ELISA用の抗原として上記融合タンパク質を用いる場合は、ヒトIgGのFc領域に特異的に結合する抗体を産生するクローンを選択しないように、該クローンを除外する操作が必要である。そのようなクローンの有無は、例えばヒトIgGのFc領域を抗原としたELISA等により確認することができる。
以上、8−アザグアニン耐性の細胞株を用いる方法を例示したが、その他の細胞株もハイブリドーマの選択方法に応じて使用することができ、その場合使用する培地組成も変化する。
(6)クローニング工程
(2)の記載と同様の方法で抗体価を測定することにより、特異的抗体を産生することが判明したハイブリドーマを、別のプレートに移しクローニングを行う。このクローニング法としては、プレートの1ウェルに1個のハイブリドーマが含まれるように希釈して培養する限界希釈法、軟寒天培地中で培養しコロニーを回収する軟寒天法、マイクロマニュピレーターによって1個づつの細胞を取り出し培養する方法、セルソーターによって1個の細胞を分離する「ソータクローン」などが挙げられるが、限界希釈法が簡便であり、よく用いられる。
抗体価の認められたウェルについて、例えば限界希釈法によるクローニングを2〜4回繰返し、安定して抗体価の認められたものを抗A33モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
なお、本発明のヒト抗A33モノクローナル抗体の産生細胞であるマウス−マウスハイブリドーマ125M10AA、125M165DAAA、125M96ABA、125N26F6AA、125Q47BA、125Q54AAAA又は125R5AAAAは、平成16年8月24日付で独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、それぞれ順番に受託番号FERM BP−10107(識別のための表示:M10)、FERM BP−10106(識別のための表示:M165)、FERM BP−10108(識別のための表示:M96)、FERM BP−10109(識別のための表示:N26)、FERM BP−10104(識別のための表示:Q47)、FERM BP−10105(識別のための表示:Q54)およびFERM BP−10103(識別のための表示:R5)として寄託されている。
(7)ハイブリドーマ培養によるモノクローナル抗体の調製
クローニングを完了したハイブリドーマは、培地をHT培地から正常培地に換えて培養される。大量培養は、大型培養瓶を用いた回転培養、スピナー培養、あるいはホローファイバーシステム等を用いた培養で行われる。この大量培養における上清を、ゲルろ過等、当業者に周知の方法を用いて精製することにより、抗A33モノクローナル抗体を得ることができる。また、同系統のマウス(例えばBALB/c)若しくはnu/nuマウス、ラット、モルモット、ハムスター又はウサギ等の腹腔内で該ハイブリドーマを増殖させることにより、抗A33モノクローナル抗体を大量に含む腹水を得ることができる。精製の簡便な方法としては、市販のモノクローナル抗体精製キット(例えば、MAbTrap GIIキット;アマシャムファルマシアバイオテク社製)等を利用することもできる。
かくして得られるモノクローナル抗体は、A33に対して高い抗原特異性を有する。
(8)モノクローナル抗体の検定
かくして得られたモノクローナル抗体のアイソタイプ及びサブクラスの決定は以下のように行うことができる。まず、同定法としてはオクテルロニー(Oucterlony)法、ELISA法、又はRIA法が挙げられる。オクテルロニー法は簡便ではあるが、モノクローナル抗体の濃度が低い場合には濃縮操作が必要である。一方、ELISA法又はRIA法を用いた場合は、培養上清をそのまま抗原吸着固相と反応させ、さらに二次抗体として各種イムノグロブリンアイソタイプ、サブクラスに対応する抗体を用いることにより、モノクローナル抗体のアイソタイプ、サブクラスを同定することが可能である。
さらに、タンパク質の定量は、フォーリンロウリー法、及び280nmにおける吸光度[1.4(OD280)=イムノグロブリン1mg/mL]より算出する方法等により行うことができる。
モノクローナル抗体の認識エピトープの同定は以下のようにして行うことができる。まず、モノクローナル抗体の認識する分子の様々な部分構造を作製する。部分構造の作製にあたっては、公知のオリゴペプチド合成技術を用いてその分子の様々な部分ペプチドを作成する方法、遺伝子組換え技術を用いて目的の部分ペプチドをコードするDNA配列を好適な発現プラスミドに組み込み、大腸菌等の宿主内外で生産する方法等があるが、上記目的のためには両者を組み合わせて用いるのが一般的である。例えば、抗原タンパク質のC末端又はN末端から適当な長さで順次短くした一連のポリペプチドを当業者に周知の遺伝子組換え技術を用いて作製した後、それらに対するモノクローナル抗体の反応性を検討し、大まかな認識部位を決定する。
その後、さらに細かく、その対応部分のオリゴペプチド、又は該ペプチドの変異体等を、当業者に周知のオリゴペプチド合成技術を用いて種々合成し、本発明の予防又は治療剤が有効成分として含有するモノクローナル抗体のそれらペプチドに対する結合性を調べるか、又は該モノクローナル抗体と抗原との結合に対するペプチドの競合阻害活性を調べることによりエピトープを限定する。多種のオリゴペプチドを得るための簡便な方法として、市販のキット(例えば、SPOTsキット(ジェノシス・バイオテクノロジーズ社製)、マルチピン合成法を用いた一連のマルチピン・ペプチド合成キット(カイロン社製)等)を利用することもできる。
又、ハイブリドーマ等の抗体産生細胞からヒトモノクローナル抗体をコードする遺伝子をクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主(例えば哺乳類細胞細胞株、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞など)に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型抗体を調製することもできる(P.J.Delves.,ANTIBODY PRODUCTION ESSENTIAL TECHNIQUES.,1997 WILEY、P.Shepherd and C.Dean.,Monoclonal Antibodies.,2000 OXFORD UNIVERSITY PRESS,J.W.Goding.,Monoclonal Antibodies:principles and practice.,1993 ACADEMIC PRESS)。
本発明は、本発明の抗体を産生するハイブリドーマが保有する抗体の遺伝子配列を含む核酸、特に後述の本発明のハイブリドーマの産生する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の核酸も包含する。ここで、核酸にはDNA及びRNAが含まれる。
ハイブリドーマからモノクローナル抗体をコードする遺伝子を調製するには、モノクローナル抗体のL鎖V領域、L鎖C領域、H鎖V領域及びH鎖C領域をそれぞれコードするDNAをPCR法等により調製する方法が採用される。プライマーは、抗A33抗体遺伝子又はアミノ酸配列から設計したオリゴDNAを、鋳型としてはハイブリドーマから調製したDNAを使用することができる。これらのDNAを1つの適当なベクターに組み込み、これを宿主に導入して発現させるか、あるいはこれらのDNAをそれぞれ適当なベクターに組み込み、共発現させる。
ベクターには、宿主微生物で自律的に増殖し得るファージ又はプラスミドが使用される。プラスミドDNAとしては、大腸菌、枯草菌又は酵母由来のプラスミドなどが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージが挙げられる。
形質転換に使用する宿主としては、目的の遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、細菌(大腸菌、枯草菌等)、酵母、動物細胞(COS細胞、CHO細胞等)、昆虫細胞が挙げられる。
宿主への遺伝子の導入方法は公知であり、任意の方法(例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等)が挙げられる。また、後述の動物に遺伝子を導入する方法としては、マイクロインジェクション法、ES細胞にエレクトロポレーションやリポフェクション法を使用して遺伝子を導入する方法、核移植法などが挙げられる。
本発明において、抗A33抗体は、形質転換体を培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。「培養物」とは、(a)培養上清、(b)培養細胞若しくは培養菌体又はその破砕物、(c)形質転換体の分泌物のいずれをも意味するものである。形質転換体を培養するには、使用する宿主に適した培地を用い、静置培養法、ローラーボトルによる培養法などが採用される。
培養後、目的タンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は細胞を破砕することにより抗体を採取する。また、目的抗体が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる各種クロマトグラフィーを用いた一般的な生化学的方法を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から目的の抗体を単離精製することができる。
さらに、トランスジェニック動物作製技術を用いて、目的抗体の遺伝子が内在性遺伝子に組み込まれた動物宿主、例えばトランスジェニックウシ、トランスジェニックヤギ、トランスジェニックヒツジ又はトランスジェニックブタを作製し、そのトランスジェニック動物から分泌されるミルク中からその抗体遺伝子に由来するモノクローナル抗体を大量に取得することも可能である(Wright,G.,et al.(1991)Bio/Technology 9,830−834)。ハイブリドーマをインビトロで培養する場合には、培養する細胞種の特性、試験研究の目的及び培養方法等の種々条件に合わせて、ハイブリドーマを増殖、維持及び保存させ、培養上清中にモノクローナル抗体を産生させるために用いられるような既知栄養培地、あるいは既知の基本培地から誘導調製されるあらゆる栄養培地を用いて実施することが可能である。
(9) 抗体の性質
本発明の抗体は下記のいずれかの特性を有する。
(a) ADCC試験
正常ヒト末梢血由来単核球存在下において、A33を発現したヒト癌細胞に対して抗体依存的細胞性細胞障害活性(ADCC)を示す。
(b) CDC試験
ヒト血清由来補体存在下において、A33を発現したヒト癌細胞に対して補体依存性細胞障害活性(CDC)を示す。
(c) In vivo試験
A33を発現したヒト癌細胞を担持した非ヒト動物に対して抗腫瘍効果を示す。
(d) 競合試験
キメラ抗A33(ハイブリドーマATCC HB−8779が産生する抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域と、ヒトIgG1の重鎖定常領域および軽鎖定常領域から成る)と(i)強く競合する(ブロッカー)、(ii)弱く競合する(パーシャルブロッカー)、あるいは(iii)競合しない(ノンブロッカー)。
(e) 免疫組織化学試験
ヒト成人結腸癌組織、ヒト成人正常結腸組織およびヒト正常小腸組織を染色する。
このような抗体として、例えばハイブリドーマ263A17、125M10AA、125M165DAAA、125M96ABA、125N26F6AA、125Q47BA、125Q54AAAA及びハイブリドーマ125R5AAAAの産生する抗体が挙げられ、125M10AA、125M165DAAA、125M96ABA、125N26F6AA、125Q47BA、125Q54AAAA又は125R5AAAAは、2004年8月24日付で独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、それぞれ順番に受託番号FERM BP−10107(識別のための表示:M10)、FERM BP−10106(識別のための表示:M165)、FERM BP−10108(識別のための表示:M96)、FERM BP−10109(識別のための表示:N26)、FERM BP−10104(識別のための表示:Q47)、FERM BP−10105(識別のための表示:Q54)およびFERM BP−10103(識別のための表示:R5)として寄託されている。
2.医薬組成物
本発明のヒト抗A33抗体を含有する製剤もまた、本発明の範囲内に含まれる。このような製剤は、好ましくは、抗体に加えて、生理学的に許容され得る希釈剤又はキャリアを含んでおり、他の抗体又は抗生物質のような他の薬剤との混合物であってもよい。適切なキャリアには、生理的食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水グルコース液、及び緩衝生理食塩水が含まれるが、これらに限定されるものではない。或いは、抗体は凍結乾燥(フリーズドライ)し、必要とされるときに上記のような緩衝水溶液を添加することにより再構成して使用してもよい。かかる予防又は治療剤は、種々の形態で投与することができ、それらの投与形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与、又は、注射剤、点滴剤、坐薬等による非経口投与を挙げることができる。
その投与量は、症状、年齢、体重などによって異なるが、通常、経口投与では、成人に対して、1日約0.01mg〜1000mgであり、これらを1回、又は数回に分けて投与することができる。また、非経口投与では、1回約0.01mg〜1000mgを皮下注射、筋肉注射又は静脈注射によって投与することができる。
本発明は、本発明の抗体又は医薬組成物を用いた上記疾患の予防又は治療法をも包含し、さらに本発明は本発明の抗体の上記疾患の予防又は治療剤の製造への使用をも包含する。
本発明の抗体またはその機能的断片により予防・治療が可能な腫瘍は、大腸癌、結腸癌、直腸癌、胃癌、膵臓癌、乳癌、黒色腫、腎細胞癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、食道癌、前立腺癌、睾丸癌、中皮癌等であり、本発明の抗体を適用する際の腫瘍は1種類に限られず、複数種類の腫瘍が併発したものでもよい。
3.製剤例
本発明の分子は、水又はそれ以外の薬理学的に許容し得る溶液に溶解した無菌性溶液又は懸濁液のアンプルとして使用に供される。また、無菌粉末製剤(本発明の分子を凍結乾燥するのが好ましい)をアンプルに充填しておき、使用時に薬理学的に許容し得る溶液で希釈してもよい。
以下、実施例を以て本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がその実施例に記載される態様のみに限定されるものではない。
ヒトモノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングや様々な実験に使用するためのポジティブコントロール抗体として、マウス抗A33抗体の調製を実施した。ATCCよりマウス抗A33抗体を産生するAS33ハイブリドーマ(American Type Culture Collection(ATCC)No.HB−8779)を購入し、ATCCの付属説明書に従い、ハイブリドーマを培養した。このハイブリドーマを凍結保存した。その後、AS33 ハイブリドーマを10% Low IgG Fetal Bovine Serum(ハイクローン社製)含有eRDF培地(極東製薬社製)に馴化した。この馴化したハイブリドーマを凍結保存した。次に、その一部を抗体精製を目的として、ウシインシュリン(5μg/ml、ギブコ・ビーアールエル社製)、ヒトトランスフェリン(5μg/ml、ギブコ・ビーアールエル社製)、エタノールアミン(0.01mM、シグマ社製)、亜セレン酸ナトリウム(2.5×10−5mM、シグマ社製)、1% Low IgG Fetal Bovine Serum(ハイクローン社製)含有eRDF培地(極東製薬社製)に馴化した。フラスコにて培養し、培養上清を回収した。回収した上清中のハイブリドーマ由来精製抗体の濃度は280nmの吸光度を測定し、1mg/mLを1.4ODとして算出した。
実施例2 キメラ抗A33抗体の調製
ヒトモノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングや様々な実験に使用するためのポジティブコントロール抗体として、重鎖及び軽鎖の定常領域がヒトIgG1であるキメラ抗A33抗体の調製を実施した。
(1)キメラ抗A33抗体遺伝子のcDNAクローニングと発現ベクター作製
実施例1で購入したマウス抗A33抗体産生ハイブリドーマAS33を10% Fetal Bovine Serum(ハイクローン社製)含有DMEM培地(ギブコ・ビーアールエル社製)で培養し、RNA抽出試薬ISOGEN(ニッポンジーン社製)を用いてプロトコールに従い、Total RNAを精製した。次に、Total RNAよりOligotexTM−dT30<Super>(タカラバイオ社製)によりpolyA+RNAを精製した。得られたpolyA+RNA(2.5μg)を材料としてSMART RACE cDNA Amplification Kit(ベクトン・ディキンソン・バイオサイエンス・クロンテック社)を用いて、その添付の説明書に従ってクローニング実験を実施して、抗体遺伝子の可変領域のcDNAを取得した。
1)1st strand cDNAの合成
polyA+RNA(2.5μg)/3μl
5’−CDS primer 1μl
SMART II A oligo 1μl
上記組成の反応液を70℃で2分間インキュベートした後、下記の試薬及び酵素を加え42℃で1.5時間インキュベートしてcDNAの合成を行なった。
5X First−Strand buffer 2μl
DTT(20mM)1μl
dNTP Mix(10mM)1μl
PowerScript Reverse Transcriptase 1μl
反応終了後、100μlのTricine Bufferを加えて72℃で7分間インキュベートした。
2)PCRによる重鎖遺伝子、軽鎖遺伝子の増幅
得られたcDNAを鋳型として、マウス抗A33抗体の重鎖(以下、重鎖はH鎖とも称す)可変領域、および軽鎖(以下、軽鎖はL鎖とも称す)可変領域DNAの3’末端各々に特異的なPCR用プライマー(H鎖用:GPAHvR3Nhe(5’−GCC CTT GGT GCT AGC TGA AGA GAC GGT GAC CAG AGT CCC TTG−3’)(配列番号1))、L鎖用:GPALvR3Bsi、(5’−GTG CAC GCC GCT GGT CAG GGC GCC TG−3’)(配列番号2))のいずれか一方と、SMART RACE cDNA Amplification Kit付属のUPMプライマー(合成したcDNAの5’末端に作製される共通配列に相補的なオリゴヌクレオチド)をプライマーセットとして使用し、PCRによるH鎖リーダ配列と可変領域(以下、HVとも称す)及びL鎖リーダ配列と可変領域(以下、LVとも称す)の増幅を行った。cDNAの増幅は、KOD−Plus−DNAポリメラーゼ(トーヨーボー社製)を用いて下記の反応液を調製して実施した。
sterile H2O 29.5μl
cDNA 2.5μl
KOD−Plus−buffer(10X) 5μl
dNTP Mix(2mM) 4μl
MgSO4(25mM) 2μl
KOD−Plus−DNA polimerase(1unit/μl) 1μl
Universal primer A mix(UPM)(10X) 5μl
Gene specific primers(GSP) 1μl
Total volume 50μl
サーマルサイクリングの増幅反応条件は下記のとおりで実施した。
5 cycles:
94℃ 30sec
72℃ 1min
5 cycles:
94℃ 30sec
70℃ 30sec
72℃ 1min
25 cycles
94℃ 30sec
68℃ 30sec
72℃ 1min
増幅したPCR断片は、エタノール沈殿で回収した後、アガロースゲル電気泳動で回収し、メンブランを用いるDNA精製キットであるQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)にて精製した。精製したHV及びLVの増幅断片は、それぞれZero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(インビトロジェン社製)のPCR 4 Blunt−TOPOベクターにサブクローニングを行い、得られたクローンのプラスミドDNAについてインサートDNAの塩基配列を解析した。DNA塩基配列決定のためにプライマーとして、M13FW(5’−GTA AAA CGA CGG CCA GTG−3’)(配列番号3)及びM13RV(5’−CAG GAA ACA GCT ATG AC−3’)(配列番号4)を用いた。決定したHV及びLVの遺伝子領域中にコードされる抗体のアミノ酸配列は、King D.J.らの報告しているマウス抗A33抗体(Br J Cancer.1995 Dec;72(6):1364−72)可変領域のアミノ酸配列と完全に一致した。
3)キメラ抗A33抗体の発現ベクター(N5KG1_mVhCA33)の作製
取得した抗体のHV鎖を含むプラスミドDNAを鋳型として、末端に連結のための制限酵素部位を付加するようにデザインしたプライマー(増幅のためのプライマーセットGPAHv2F5Sal(5’−AGA GAG AGG TCG ACC CAC CAT GAA CTT TGG GCT GAG CTT AGT T−3’)(配列番号5)及びプライマーGPAHvR3Nhe(配列番号1))を用いて、マウス抗A33抗体のHVをPCRで増幅(94℃3分→94℃10秒、68℃45秒(35サイクル)→72℃7分)した。HVの増幅断片は精製した後、PCR 4 Blunt−TOPOベクターでサブクローニングを行った。サブクローンについて挿入部分のDNA塩基配列解析を行い、鋳型とした遺伝子配列と相違がないデザインどおりの配列を有するプラスミドDNAを選択した。そのプラスミドDNAを制限酵素SalIとNheIで消化して、アガロースゲル電気泳動で約440bpのDNAを回収し精製した。他方、ベクターであるN5KG1−Val Lark(IDEC Pharmaceuticals,N5KG1(US patent 6001358)の改変ベクター)については同様に制限酵素SalIとNheIで処理を行った後、脱リン酸化処理としてAlkaline Phosphatase(E.coli C75)(タカラバイオ社製)にて処理した後に、アガロースゲル電気泳動とDNA精製キットで約8.9kbのDNAを回収した。これら2つの断片をDNA Ligation kit Ver2.1(タカラバイオ社製)にてライゲーション反応した後、大腸菌DH5αへ導入して形質転換体を得た。形質転換体をスクリーニングして目的とするHVが挿入されたクローン、N5KG1_GPA33Hv(クローン#2)を選択した。こうして得られたN5KG1_GPA33HvにLVを挿入するため、本プラスミドDNAを制限酵素BglII、及び、BsiWIで順次切断し、さらに脱リン酸化を行った後、約9.2kbのベクターDNAを精製した。他方、マウス抗A33抗体のLVを含むプラスミドDNAを鋳型として、LV領域をPCRで増幅した。増幅のためのプライマーセットは、GPALv2FBgl(5’−AGA GAG AGA GAT CTC TCA CCA TGG GCA TCA AGA TGG AGT TTC AG−3’)(配列番号6)及びGPALvR3Bsi(配列番号2)を用いた。精製したLVの増幅断片はPCR 4 Blunt−TOPOにてサブクローニングを行った。サブクローンについて挿入部分のDNA塩基配列解析を行い、鋳型とした遺伝子配列と相違がないデザインどおりの配列を有するプラスミドDNAを選択した。そのDNAを制限酵素BglIIとBsiWIで消化して、アガロースゲル電気泳動で約400bpのDNAを回収し精製した。このDNAを制限酵素BglIIとBsiWI切断処理した前記のN5KG1_A33Hvベクター断片にライゲーションして、大腸菌へ導入して形質転換体を得た。形質転換体をスクリーニングして、目的とするLVが挿入されたクローン、N5KG1_GPA33HvLv(クローン#2)を選択した。最終的に得られたキメラ抗A33抗体発現プラスミドDNAの大量精製を行い、L鎖とH鎖のDNA断片挿入断片とその挿入部位周辺のDNA塩基配列に変異がないことを確認した。
キメラ抗A33の重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
重鎖核酸配列(配列番号7)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は408番目のアデニン(A)と409番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号8)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は136番目のセリン(S)と137番目のアラニン(A)の間に位置する。また、重鎖核酸配列(配列番号7)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は57番目のチミン(T)と58番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号8)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は19番目のシステイン(C)と20番目のグルタミン酸(E)の間に位置する。
以上より、キメラ抗A33抗体重鎖の可変領域の核酸配列(配列番号7)は58番目のグアニン(G)から408番目のアデニン(A)までである。また、重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号8)は20番目のグルタミン酸(E)から136番目のセリン(S)までである。
軽鎖核酸配列(配列番号9)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は393番目のアデニン(A)と394番目のシトシン(C)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号10)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は131番目のリジン(K)と132番目のアルギニン(R)の間に位置する。また、軽鎖核酸配列(配列番号9)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は72番目のアデニン(A)と73番目のグアニン(G)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号10)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は24番目のグアニン(G)と25番目のアスパラギン酸(D)の間に位置する。
以上より、キメラ抗A33抗体軽鎖の可変領域の核酸配列(配列番号9)は73番目のグアニン(G)から393番目のアデニン(A)までである。また、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号10)は25番目のアスパラギン酸(D)から131番目のリジン(K)までである。
後述する表5に合成DNAの塩基配列を示す。
このように調製されたキメラ抗A33組換え型抗体発現ベクターを宿主細胞に導入し、組換え型抗体発現細胞を作製した。発現のための宿主細胞には、例えばCHO細胞のdhfr欠損株(ATCC CRL−9096)、CHO−Ras(Katakura Y.,et al.,Cytotechnology,31:103−109,1999)、HEK293T(ATCC CRL−11268)などが用いられる。
宿主細胞へのベクターの導入はエレクトロポレーションやリポフェクションになどにより実施した。エレクトロポレーションは抗体発現ベクター約2μgを制限酵素で線状化し、Bio−Rad electrophoreterをもちいて350V、50μFの条件で、4×106個のCHO細胞に遺伝子を導入し、96well culture plateに播種した。リポフェクションは、LipofectAMINE Plus(ギブコ・ビーアールエル社製)を用いてマニュアルに従って実施した。ベクターの導入処理後、発現ベクターの選択マーカーに対応した薬剤を添加して培養を継続した。コロニーを確認した後、実施例6に示した方法によって、抗体発現株を選別した。選別した細胞からの抗体精製は、実施例8に従って行った。
実施例3 抗原の調製
免疫原や抗体のスクリーニングなどで使用するA33が細胞膜上に過剰発現している細胞を得るため、A33全長アミノ酸の発現プラスミドベクターを作製した。A33をコードするDNAは、PCR法により作製した。
a)全長A33発現ベクターの調製
全長A33発現ベクターを調製するために、A33をコードするcDNAを保持するプラスミドベクターpΔEGFP−N1−GPA33を作製した。pΔEGFP−N1−GPA33は以下の方法で作製された。完全長A33 DNA(GenBankDNA NM_005814:配列番号11,タンパク質 NP_005305:配列番号12)を、その5’末端にEcoRI配列を、その3’末端にNotI配列と終止コドンを付加する為のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い修飾した。ベクトン・ディキンソン・バイオサイエンス・クロンテック社より購入したHuman Colon Marathon−Ready cDNAを鋳型とし、プライマーとしてA33−F2 5’−GCAGACGAATTCAAGACCATGGTGGGGAAGAT−3’(配列番号13)及びA33−R1 5’−CTCGAGCGGCCGCTCTGCTGCTGGCCTGTCACTGGTCGAGGTG−3’(配列番号14)を合成し、KOD−plus DNAポリメラーゼ(トーヨーボー社製)を使用して、(94℃、15秒;60℃、30秒;68℃、60秒間)×30サイクルのPCR反応を行った。合成された配列を、EcoRI−NotIで消化し、EcoRI−NotI断片として単離し、同一酵素で解裂されていたpΔEGFP−N1−ベクター(改変pEGFP−N1[ベクトン・ディキンソン・バイオサイエンス・クロンテック社製]のEGFPタンパク質をコードしている領域を削除した)に連結した。得られたプラスミドをpΔEGFP−N1−GPA33と命名した。pΔEGFP−N1−GPA33に組み込まれたA33は、977bpのcDNAがコードされている。以下、実施例中のすべてのPCRの反応温度調節は、ジーンアンプPCRシステム9700;(株)パーキンエルマー・ジャパン社製を使用した。
b)A33発現細胞の作製
a)で作製したpΔEGFP−N1−GPA33を、FM3A細胞(厚生労働省研究資源バンク事業(JCRB)No.0701)及びL929細胞(ATCC No.CCL−1)の2つの細胞株に導入して、2種類のA33発現細胞を作製した。FM3A細胞には、エレクトロポレーション法を用いた。pΔEGFP−N1−A33ベクター20μgを、BTX社製エレクトロポレーターをもちいて350V、950μFの条件で、5×106個のFM3A細胞に遺伝子を導入し、6well culture plateに播種した。37℃、5.0%炭酸ガス下で48時間培養した後、G418(ギブコ・ビーアールエル社製)を1mg/mLになるように加え、1週間培養した。細胞膜表面上に発現しているA33抗原の確認は、AS33ハイブリドーマ(ATCCNo.HB−8779)の培養上清を用いて行った。AS33ハイブリドーマ培養上清を一次抗体、R−phycoerythrin標識したヤギ抗マウスIg gamma F(ab’)2抗体(ダコー社製)を2次抗体として用いたフローサイトメーター(FCM:ベクトンディキンソン社製)解析を行い、遺伝子導入された細胞でG418耐性の形質を獲得したもののうち、細胞膜表面上にA33を発現している細胞を選択的にソーティングした。
L929細胞へは、Trans IT−LT1(タカラバイオ社製)を用いて導入した。遺伝子導入はマニュアルの方法にて行った。37℃、5.0%炭酸ガス下で24時間培養した後、G418(ギブコ・ビーアールエル社製)を1mg/mLになるように加え、1週間培養した。FM3A細胞のときと同様に、細胞膜表面上に発現しているA33抗原の確認は、AS33ハイブリドーマの培養上清を用いて行った。AS33ハイブリドーマ(ATCC No.HB−8779)を1次抗体、R−phycoerythrin標識したヤギ抗マウスIg gamma F(ab’)2抗体(ダコー社製)を2次抗体として用いたフローサイトメーター(FCM:ベクトンディキンソン社製)解析を行い、遺伝子導入された細胞でG418耐性の形質を獲得したもののうち、細胞膜表面上にA33を発現している細胞を選択的にソーティングした。
両細胞株ともヒト全長A33抗原を高発現するシングルクローンが取得できた。A33抗原タンパク質を高発現したFM3A細胞をFM3A/A33と、L929細胞をL929/A33と命名した。
shA33EX−hFcタンパク質を免疫原あるいは、抗体をスクリーニングする際のELISAに使用するために作製した。
c)可溶型細胞膜外A33ヒトFc融合タンパク質発現ベクターの調製
可溶型細胞膜外A33ヒトFc融合タンパク質発現ベクター(以下shA33EX−hFcと示す)を調製するために、A33の細胞膜外領域をコードするcDNAを保持するプラスミドベクター pTracer−CMV−humanFc−A33EXRを作製した。pTracer−CMV−humanFc−A33EXRは以下の方法で作製された。分泌シグナル配列を含む細胞膜外領域A33DNA(配列番号11)を、その5’末端にEcoRI配列を、その3’末端にNotI配列と終止コドンを付加する為のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い修飾した。a)で作製したpΔEGFP−N1−A33cDNAを鋳型とし、プライマーとしてA33−F2(配列番号13)及びGPA−EXCRR2 5’−CTCGAGCGGCCGCCAGTTCATGGAGGGAGATCTGACG−3’(配列番号15)を合成し、KOD−plus DNAポリメラーゼ(トーヨーボー社製)を使用して、(94℃、15秒;60℃、30秒;68℃、60秒間)×30サイクルのPCR反応を行った。合成された配列を、EcoRI−NotIで消化し、EcoRI−NotI断片として単離し、同一酵素で解裂されていたpTracer−CMV−humanFcベクター(改変pTracer−CMV[インビトロジェンライフテクノロジーズ社製]のXba I部位とApa I部位のところにFLAG及びヒトIgG1のFc領域を導入したプラスミド)に連結した得られたプラスミドをpTracer−CMV−humanFc−A33EXRと命名した。
PCR用プライマー等のオリゴヌクレオチドの合成は、全てDNA自動合成機(モデル3948;(株)パーキンエルマー・ジャパン・アプライドバイオシステムズ事業部製)を用いて、そのマニュアルに従って行った[Matteucci,M.D.and Caruthers,M.H.(1981)J.Am.Chem.Soc.103,3185−3191参照]。各オリゴヌクレオチドは合成終了後、支持体から開裂させ脱保護を行い、得られた溶液を乾固した後蒸留水に溶解し、使用するまで−20℃で凍結保存した。
d) shA33EX−hFcタンパク質の発現と精製
c)で構築したshA33EX−hFcタンパク質発現ベクターを宿主細胞に導入し、可溶型細胞膜外A33タンパク質発現細胞を作製した。発現のための宿主細胞には、例えばCHO細胞のdhfr欠損株(ATCC CRL−9096)、CHO−Ras(Katakura Y.,et al.,Cytotechnology,31:103−109,1999)、HEK293T(ATCC CRL−11268)などが用いられる。
宿主細胞へのベクターの導入はエレクトロポレーションやリポフェクションになどにより実施した。エレクトロポレーションはshA33EX−hFcタンパク質発現ベクター約2μgを制限酵素で線状化し、Bio−Rad electrophoreterをもちいて350V、500μFの条件で、4×106個のCHO細胞に遺伝子を導入し、96well culture plateに播種した。リポフェクションは、LipofectAMINE Plus(ギブコ・ビーアールエル社製)を用いてマニュアルに従って実施した。ベクターの導入処理後、発現ベクターの選択マーカーに対応した薬剤を添加して培養を継続した。
培養上清からのshA33EX−hFcタンパク質の精製は以下の方法で行った。shA33EX−hFcタンパク質を含む培養上清をHitrap Protein A FF(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い、吸着緩衝液としてPBS、溶出緩衝液として20mMクエン酸ナトリウム、50mM塩化ナトリウム(pH2.7)を用いてアフィニティー精製した。溶出画分は50mMリン酸ナトリウム溶液(pH7.0)を添加してpH5.5に調製した。調製された可溶型細胞膜外A33タンパク質溶液は、Amicon Ultra−15(アミコン社製)を用いてPBSに置換し、孔径0.22μmのメンブランフィルターMILLEX−GV(ミリポア社製)でろ過滅菌し、精製shA33EX−hFcタンパク質を得た。shA33EX−hFcタンパク質の濃度は280nmの吸光度を測定し、1mg/mLを1.4ODとして算出した。
実施例4 ヒト抗体産生マウスの作製
免疫に用いたマウスは、内因性Ig重鎖及びκ軽鎖破壊の両者についてホモ接合体の遺伝的背景を有しており、かつ、ヒトIg重鎖遺伝子座を含む14番染色体断片(SC20)及びヒトIgκ鎖トランスジーン(KCo5)を同時に保持する。このマウスはヒトIg重鎖遺伝子座を持つ系統Aのマウスと、ヒトIgκ鎖トランスジーンを持つ系統Bのマウスとの交配により作製された。系統Aは、内因性Ig重鎖及びκ軽鎖破壊の両者についてホモ接合体であり、子孫伝達可能な14番染色体断片(SC20)を保持するマウス系統であり、例えば富塚らの報告[Tomizuka.et al.,Proc Natl Acad Sci USA.,2000 Vol97:722]に記載されている。また、系統Bは内因性Ig重鎖及びκ軽鎖破壊の両者についてホモ接合体であり、ヒトIgκ鎖トランスジーン(KCo5)を保持するマウス系統(トランスジェニックマウス)であり、例えばFishwildらの報告[Nat Biotechnol,(1996),114:845]に記載されている。
系統Aの雄マウスと系統Bの雌マウス、あるいは系統Aの雌マウスと系統Bの雄マウスの交配により得られた、血清中にヒトIg重鎖及びκ軽鎖が同時に検出される個体[Ishida&Lonberg,IBC’s 11th Antibody Engineering,Abstract 2000]を、以下の免疫実験に用いた。なお、前記ヒト抗体産生マウス(KMマウスと称する)は、契約を結ぶことによって、キリンビール株式会社より入手可能である。
実施例5 A33に対するヒトモノクローナル抗体の調製
本実施例におけるモノクローナル抗体の作製は、単クローン抗体実験操作入門(安東民衛ら著作、講談社発行1991)等に記載されるような一般的方法に従って調製した。免疫原としてのA33は、実施例1で調製したA33発現FM3A細胞あるいはshA33EX−hFcタンパク質を用いた。被免疫動物は、実施例2で作製したヒト免疫グロブリンを産生するヒト抗体産生マウスを用いた。
A33に対するヒトモノクローナル抗体の調製を目的として、ヒト抗体産生マウスに、実施例3で作製したA33発現FM3A細胞(1×107細胞/匹)を腹腔内にRIBIアジュバント(コリクサ社製)と混合して初回免疫した。初回免疫から以降、同細胞とRIBIアジュバントを毎週計8回免疫した。以下に述べる脾臓の取得3日前に、shA33EX−hFcタンパク質20μg/マウス個体を尾静脈投与及び5μg/マウス個体のRecombinant Human IL−6を皮下投与した。
また、shA33EX−hFcタンパク質10μg/マウス個体をCpGアジュバント(キアゲン社製)と混合して初回免疫した。初回免疫から以降、同タンパク質とCpGアジュバントを2週間毎に2回免疫し、さらに2週間後に同タンパク質のみ免疫した。以下に述べる脾臓の取得3日前に、shA33EX−hFcタンパク質10μg/マウス個体を尾静脈投与した。
また、shA33EX−hFcタンパク質10μg/マウス個体とA33発現FM3A細胞(5×106細胞/匹)をRIBIアジュバントとともに腹腔内に免疫し、2週間毎に1〜4回免疫した。以下に述べる脾臓の取得4日前に、shA33EX−hFcタンパク質5μg/マウス個体を腹腔内投与した。
免疫されたマウスから脾臓を外科的に取得し、350mg/mL炭酸水素ナトリウム、50単位/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシンを含む無血清DMEM培地(ギブコ・ビーアールエル社製)(以下「無血清DMEM培地」という)10mL中に入れ、メッシュ(セルストレイナー:ファルコン社製)上でスパーテルを用いてつぶした。メッシュを通過した細胞懸濁液を遠心して細胞を沈澱させた後、この細胞を無血清DMEM培地で2回洗浄してから、無血清DMEM培地に懸濁して細胞数を測定した。一方、10%FCS(シグマ社製)を含むDMEM培地(ギブコ・ビーアールエル社製)(以下、「血清入りDMEM培地」という)にて、37℃、5%炭酸ガス存在下で細胞濃度が1×106細胞/mLを越えないように培養したミエローマ細胞SP2/0(ATCC No.CRL−1581)を同様に無血清DMEM培地で洗浄し、無血清DMEM培地に懸濁して細胞数を測定した。回収した細胞の懸濁液とマウスミエローマ懸濁液とを細胞数5:1で混合し、遠心後、上清を完全に除去した。このペレットに、融合剤として50%(w/v)ポリエチレングリコール1500(ベーリンガーマンハイム社製)1mLを、ピペットの先でペレットを撹拌しながらゆっくり添加した後、予め37℃に加温しておいた無血清DMEM培地1mLを2回に分けてゆっくり添加し、さらに7mLの無血清DMEM培地を添加した。遠心後、上清を除去して得られた融合細胞を、以下に記載する限界希釈法によるスクリーニングに供した。ハイブリドーマの選択は、10%FCS、IL−6(10ng/mL)(または10%ハイブリドーマクローニングファクター(以下「、HCF」という。:バイオベース社製))及びヒポキサンチン(H)、アミノプテリン(A)、チミジン(T)(以下、「HAT」という。:シグマ社製)を含有するDMEM培地中で培養することにより行った。さらに、HT(シグマ社製)、10%FCS、IL−6(または10%HCF)含有DMEM培地を用いて限界希釈法によりシングルクローンにした。培養は、96穴マイクロタイタープレート(ベクトンディッキンソン社製)中で行った。抗A33ヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンの選択(スクリーニング)及び各々のハイブリドーマが産生するヒトモノクローナル抗体の特徴付けは、後述する酵素標識免疫吸着アッセイ(ELISA)及びフローサイトメトリー(FMC)で測定することにより行った。
実施例6に述べるCell ELISA、タンパクELISA、並びにFMC解析により、ヒト免疫グロブリンγ鎖(hIgγ)及びヒト免疫グロブリン軽鎖κを有し、かつA33に特異的な反応性を有するヒトモノクローナル抗体を産生する多数のハイブリドーマを得た。なお、本実施例を含め以下のいずれの実施例中、並びに実施例における試験結果として示した表又は図中においては、各々の本発明のヒト抗A33モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンは記号を用いて命名した。また、当該記号の前後に「抗体」を付したものは、それぞれのハイブリドーマにより産生される抗体、または当該ハイブリドーマから単離された抗体遺伝子(全長あるいは可変領域)を保持する宿主細胞により生産された組換え抗体を意味する。また文脈上明らかな範囲において、ハイブリドーマクローンの名称が抗体の名称をあらわす場合がある。以下のハイブリドーマクローンはシングルクローンを表す:263A17、125M10AA、125M165DAAA、125M96ABA、125N26F6AA、125Q47BA、125Q54AAAA及び125R5AAAA。125M10AA、125M165DAAA、125M96ABA、125N26F6AA、125Q47BA、125Q54AAAA又は125R5AAAAは、2004年8月24日付で独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に、それぞれ順番に受託番号FERM BP−10107(識別のための表示:M10)、FERM BP−10106(識別のための表示:M165)、FERM BP−10108(識別のための表示:M96)、FERM BP−10109(識別のための表示:N26)、FERM BP−10104(識別のための表示:Q47)、FERM BP−10105(識別のための表示:Q54)およびFERM ABP−10103(識別のための表示:R5)として寄託されている。
実施例6 ヒト免疫グロブリンγ鎖(hIgγ)及びヒト免疫グロブリン軽鎖κ(Igκ)を有する、ヒト抗A33モノクローナル抗体産生クローンの選択
Cell ELISAの場合、以下のように実施した。実施例3で作製したFM3A/A33を96穴プレート(ファルコン社製)の各ウェルに1×105個加えた後、ハイブリドーマ上清を加え、4℃で30分間インキュベートした。次いで、2%FCS入りのPBSで2回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されたヤギ抗ヒトIgGF(ab’)2抗体(50μg/ウェル:IBL社製)を加え、4℃で30分間インキュベートした。2%FCS入りPBSで2回洗浄し、TMB発色基質(DAKO社製)を各ウェルに100μLずつ加え、室温下で20分間インキュベートした。各ウェルに0.5M硫酸(100μL/ウェル)を加え、反応を止めた。波長450nm(参照波長570nm)での吸光度をマイクロプレートリーダー(1420 ARVOマルチラベルカウンター:WALLAC社製)で測定して陽性反応を示した抗体産生クローンを選択した。この際に、A33抗原を発現していないFM3A細胞をネガティブコントロールとして使用した。すなわち、FM3A/A33細胞に反応し、FM3A細胞に反応しない培養上清を、陽性反応を示した抗体産生クローンとして選択した。
また、タンパクELISAの場合は、以下のように実施した。実施例3で作製したshA33EX−hFcタンパク質を1μg/ml炭酸緩衝液pH9.4に調製したものを50μlずつ、ELISA用96穴マイクロプレート(Maxisorp、ヌンク社製)の各ウェルに加え、室温で1時間あるいは4℃で一晩インキュベートし、shA33EX−hFcタンパク質をマイクロプレートに吸着させた。次いで、上清を捨て、各ウェルに10%FCS入りPBSを加え、37℃で1時間インキュベートし、shA33EX−hFcタンパク質が結合していない部位をブロックした。このようにして、各ウェルをshA33EX−hFcタンパク質でコーティングしたマイクロプレートを作製した。各ウェルに、各々のハイブリドーマの培養上清(50μl)を加え、室温下で1時間反応させた後、各ウェルを0.1% Tween20含有PBS(PBS−T)で2回洗浄した。次いで、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されたヒツジ抗ヒトIgκ抗体(50μl/ウェル、The Binding Site社製)を0.1% Tween20含有PBS(PBS−T)で2500倍に希釈した溶液を、各ウェルに50μl加え、37℃1時間インキュベートした。マイクロプレートを、PBS−Tで3回洗浄後、TMB発色基質液(DAKO社製)を各ウェルに100μlずつ加え、室温下で20分間インキュベートした。各ウェルに0.5M硫酸(100μl/ウェル)を加え、反応を止めた。波長450nm(参照波長570nm)での吸光度をマイクロプレートリーダー(VersaMax、モレキュラーデバイス社製)で測定して、陽性反応を示した抗体産生クローンを選択した。
さらに、FMCの場合は、以下のように実施した。A33抗原を発現するヒト大腸癌細胞株COLO205細胞に対するハイブリドーマ培養上清の反応性の検討を行った。2×106/mlの濃度でCOLO205細胞株を0.1%NaN3、2%FCS含有PBSのStaining Buffer(SB)に浮遊させた。細胞浮遊液(50μl/ウェル)を96−well丸底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。各々のハイブリドーマの培養上清(50μl)を加え、氷温下30分間インキュベートした。陰性コントロールは各サブクラスに応じ、ヒトIgG1抗体(シグマ社製)を用い、ハイブリドーマ培養培地で2μg/mlの濃度に調製し、50μl添加後氷温下30分間インキュベートした。SBで2回洗浄した後、RPE蛍光標識ヤギ抗ヒトIgG F(ab’)2抗体(Southern Biotech社製)50μlを加え、氷温下30分間インキュベートした。SBで1回洗浄した後、300μlのFACS緩衝液に懸濁し、FACS(FACScalibur、ベクトンディッキンソン社製)で各細胞の平均蛍光強度を測定した。その結果、COLO205細胞株に強い結合活性を有することから、細胞に発現しているA33と結合する抗体であることが判明した。
実施例7 各モノクローナル抗体培養上清のサブクラス同定
shA33EX−hFcタンパク質を1μg/ml炭酸緩衝液(以下、「PBS」という。)に調製したものを50μlずつ、ELISA用96穴マイクロプレート(Maxisorp、ヌンク社製)の各ウェルに加え、室温で1時間あるいは4℃で一晩インキュベートし、shA33EX−hFcタンパク質をマイクロプレートに吸着させた。次いで、上清を捨て、各ウェルに10%FCS入りPBSを加え、室温で1時間あるいは4℃で一晩インキュベートし、shA33EX−hFcタンパク質が結合していない部位をブロックした。このようにして、各ウェルをshA33EX−hFcタンパク質でコーティングしたマイクロプレートを作製した。次いで、0.1% Tween20含有PBS(PBS−T)で2回洗浄し、各ウェルにそれぞれ西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されたヒツジ抗ヒトIgG1抗体、ヒツジ抗ヒトIgG2抗体、ヒツジ抗ヒトIgG3抗体又はヒツジ抗ヒトIgG4抗体(それぞれ1600、6400、25000、25000倍希釈、50μL/ウェル、The Binding Site社製)を加え、室温下で1.5時間インキュベートした。0.1% Tween20含有PBS(PBS−T)で3回洗浄後、基質緩衝液(TMB、100μL/ウェル、DAKO社製)を各ウェルに加え、室温下で20分間インキュベートした。次いで、0.5M硫酸(100μL/ウェル)を加え、反応を止めた。波長450nm(参照波長570nm)での吸光度をマイクロプレートリーダー(VersaMax、モレキュラーデバイス社製)で測定し、各クローンのサブクラスを決定した。ヒト抗A33抗体は、ADCC及びCDC活性を重要視しているため、サブクラスがIgG1のもののみ選抜した。
最終的に選択したクローンのみの結果を表1に示す。
実施例6から得られたハイブリドーマの培養上清からのヒト抗A33モノクローナル抗体の精製は以下の方法で行った。ヒト抗A33モノクローナル抗体を含む培養上清を10%ultra low IgG FBS(インビトロジェン社製)を含むSFM培地(インビトロジェン社製)で培養した培養上清をProtein A Fast Flow gel(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い、吸着緩衝液としてPBS、溶出緩衝液として0.02Mグリシン緩衝液(pH3.6)を用いてアフィニティー精製した。溶出画分は1M Tris(pH8.0)を添加してpH7.2付近に調整した。調製された抗体溶液は、Sephadex G25脱塩カラム(NAPカラム;アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いてPBSに置換し、孔径0.22μmのメンブランフィルターMILLEX−GV(ミリポア社製)でろ過滅菌し、精製ヒト抗A33モノクローナル抗体を得た。精製抗体の濃度は280nmの吸光度を測定し、1mg/mLを1.4ODとして算出した。
実施例9 A33発現細胞に対する各モノクローナル精製抗体の反応試験
A33抗原を発現するヒト大腸癌細胞株COLO205細胞、LoVo細胞(ATCC No.CCL−229)、LS174T細胞(ATCC No.CL−188)及びNCI−H508細胞(ATCC No.CCL−253)に対する実施例8で取得した各モノクローナル精製抗体の反応性の検討を、FCMで行った。また、陰性コントロール細胞としてA33抗原を発現していないヒト大腸癌細胞株HT−29細胞(ATCC No.HTB−38)も行った。2×106/mlの濃度で各細胞株を0.1%NaN3、2%FCS含有PBSのStaining Buffer(SB)に浮遊させた。細胞浮遊液(50μl/ウェル)を96−well丸底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。各々のモノクローナル精製抗体をSBで2000、400、80、16ng/mlを50μl加え、氷温下30分間インキュベートした。陰性コントロールはサブクラスに応じ、ヒトIgG1抗体(シグマ社製)を用い、SBで2000、400、80、16ng/mlの濃度に調製し、50μl添加後氷温下30分間インキュベートした。SBで2回洗浄した後、FITC蛍光標識ヤギ抗ヒトIgG F(ab’)2抗体(Southern Biotech社製)50μlを加え、氷温下30分間インキュベートした。SBで1回洗浄した後、300μlのFACS緩衝液に懸濁し、FACS(FACScan、ベクトンディッキンソン社製)で各細胞の平均蛍光強度を測定した。
その結果を表2に示す。COLO205細胞では、平均蛍光強度半値を90、LoVo細胞では、平均蛍光強度半値を25、LS174T細胞では、平均蛍光強度半値を125、NCI−H508細胞では、平均蛍光強度半値を125とし、そこに達する抗体濃度が10<=x<100ng/mlのときは+++、100<=x<1000ng/mlのときは++、1000<=x<10000ng/mlのときは+、結合が認められなかった場合は、−と示した。A33抗原を発現しているどの細胞に対しても、各モノクローナル精製抗体は結合を示した。
実施例8で取得した各モノクローナル精製抗体が、マウス抗A33抗体と同様なエピトープを認識するか否かをFCMを用いた競合実験にて検討した。2×106/mlの濃度でCOLO205細胞株を0.1%NaN3、2%FCS含有PBSのStaining Buffer(SB)に浮遊させた。細胞浮遊液(50μl/ウェル)を96−well丸底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に分注した。そこに、実施例1で調製したマウス抗A33精製抗体を100μg/mlの濃度で加えたものと加えないものを、1μg/mlの各モノクローナル精製抗体(50μl)とともにウェルに加え、氷温下30分間インキュベートした。抗A33精製抗体を加えないマウス陰性コントロールは、ヒトIgG1抗体(シグマ社製)を用い、SBで1μg/mlの濃度に調製し、50μl添加後氷温下30分間インキュベートした。SBで2回洗浄した後、FITC蛍光標識ヤギ抗ヒトIgGF(ab’)2抗体(アイビーエル社製)50μlを加え、氷温下30分間インキュベートした。SBで1回洗浄した後、300μlのFACS緩衝液に懸濁し、FACS(FACScan、ベクトンディッキンソン社製)で各細胞の平均蛍光強度を測定した。各モノクローナル精製抗体のマウスA33抗体との阻害率を下記式により算出した:阻害率={100−(100xマウスA33抗体プレインキュベートした後の平均蛍光強度)/(マウスA33抗体なしでプレインキュベートした後の平均蛍光強度)}。阻害率が25%以下のものを「ノンブロッカー」、25%以上90未満のものを「パーシャルブロッカー」、90%以上のものを「ブロッカー」と命名した。その結果、263A17、125M10AA及び125M96ABAは、「ノンブロッカー」、125M165DAAA及び125N26F6AAは「ブロッカー」、125Q47BA、125Q54AAAA及び125R5AAAAは、「パーシャルブロッカー」と分類された。その結果を表3に示す。
最初に正常ヒト末梢血由来単核球をFicoll(Ficoll−PaquePLUS:アマシャム・ファルマシア・バイオテック社製)を用いて定法に従って調製した。抗凝固剤としてクエン酸ナトリウム液を含んだ採血バッグ(テルモ社製)に採取した正常ヒト血液をFicollに重層し、比重遠心(800G、室温15分間)により単核細胞を分離した。中間層を単核球として抽出してPBSで希釈して200Gで10分間遠心分離を3回繰り返し、上清中に残留した血小板を除去した。以上の方法で正常ヒト末梢血由来単核球(以下PBMCという)を取得し、実施例12のPBMCとして使用した。さらに、PBMCからCD4+ T cell Isolation kit II(ミルテニバイオテック社製)を用い、付属の説明書に従ってCD4+ T細胞を単離した残りの細胞群も実施例12のPBMCとして使用した。
実施例12 各モノクローナル精製抗体での細胞傷害性試験
抗体を介した細胞傷害性活性は、NK細胞或いは好中球などのキラー活性を有する細胞と抗体の存在下でターゲット細胞への傷害活性(抗体依存性細胞性細胞傷害活性(Antibody−Dependent Cellular Cytotoxicity)、以下、ADCC)、及び補体と抗体の存在下でターゲット細胞への傷害活性(補体依存性細胞傷害活性(Complement−Dependent Cytotoxicity)以下、CDC)の測定を実施した。抗体は、実施例8で作製した各モノクローナル精製抗体と抗A33抗体のコントロールとしてcA33組換え型抗体を用いた。さらに、陰性コントロールとして抗DNP IgG1抗体を用いた。
方法は簡単には、ターゲット細胞に放射性クロム(51Cr)を細胞質内に取り込ませ、細胞死により培養液中に遊離される51Cr量をγ線量で測定した。
具体的には、ターゲット細胞として大腸癌細胞株COLO205(ATCC No.CCL−86)及びNCI−H508細胞(ATCC No.CCL−253)を106個を15μLのFetal Calf Serum(FCS)に懸濁し、50μL(37MBq/mL)の51Crラベルされたクロム酸ナトリウム(パーキエルマー社製:以下、51Crと書く)を添加し、1時間37℃で培養した。次に、培地を10mL添加し、遠心して培地を捨てることを3回繰り返すことで、細胞内に取り込まれていない51Crを除いた。
ADCCアッセイは、51Crラベルしたターゲット細胞5000個に対して、実施例11記載の方法で取得した健常人末梢血単核球500000個を、V底96ウェルプレート(コースター社製)中で全体容量200μLで、各抗体濃度とともに37℃、5% CO2存在下で4時間培養した。
CDCアッセイは、51Crラベルしたターゲット細胞5000個に対して、最終濃度5%のヒト血清由来補体(シグマ社製)を、V底96ウェルプレート中で全体容量200μLで、各抗体濃度とともに37℃、5% CO2存在下で4時間培養した。
ADCC・CDCアッセイともに培養後、プレートを遠心して細胞を沈めた後、各モノクローナル精製抗体を0.4−500ng/mlに調製し50μLを粉末シンチレーター含有の96穴プレート(LumaplateTM−96:パッカード社製)に移し、55℃、1.5時間で乾燥した。乾燥を確認後、専用カバー(TopSealTM−A:96−Well Microplates:パッカード社製)でプレートをカバーし、シンチレーションカウンター(トップカウント:パッカード社製)でγ線量を測定した。
その結果を図1A〜図1D、表4に示す。ADCCは、COLO205細胞の場合は、特異的溶解率半値を15%とし、そこに達する抗体濃度が1<=x<10ng/mlのときは+++、10<=x<100ng/mlのときは++、100<=x<1000ng/mlのときは+、特異的溶解率が認められなかった場合は、−と示した。また、NCI−H508細胞の場合は、特異的溶解率半値を15%とし、そこに達する抗体濃度が1<=x<10ng/mlのときは+++、10<=x<100ng/mlのときは++、100<=x<1000ng/mlのときは+、特異的溶解率が認められなかった場合は、−と示した。
CDCでは、COLO205細胞の場合は、特異的溶解率半値を10%とし、そこに達する抗体濃度が10<=x<100ng/mlのときは+++、100<=x<1000ng/mlのときは++、x>=1000ng/mlのときは+、特異的溶解率が認められなかった場合は、−と示した。また、NCI−H508細胞の場合は、特異的溶解率半値を25%とし、そこに達する抗体濃度が10<=x<100ng/mlのときは+++、100<=x<1000ng/mlのときは++、x>=1000ng/mlのときは+、特異的溶解率が認められなかった場合は、−と示した。
ADCCでは、cA33及び125Q54AAAAが高い傷害活性を示した。一方、CDCでは、125M10AAが高い傷害活性を示した。
(1)各モノクローナル抗体のcDNA合成
ハイブリドーマ263A17、125M10AA、125M165DAAA、125M96ABA、125N26F6AA、125Q47BA、125Q54AAAA及び125R5AAAAを10ng/mL IL−6または10% HCF(バイオベース社製)、10% Fetal Bovine Serum(ハイクローン社製)含有DMEM培地(ギブコ・ビーアールエル社製)で培養し、遠心分離により細胞を集めた後ISOGEN(日本ジーン社製)を添加し、取扱説明書にしたがってTotal RNAを抽出した。抗体cDNAの可変領域のクローニングは、SMART RACE cDNA amplification Kit(ベクトン・ディキンソン・バイオサイエンス・クローンテック社製)を用い、添付の説明書にしたがって行った。
5μgのtotal RNAを鋳型として、1st strand cDNAを作製した。
1st strand cDNAの合成
Total RNA 5μg/3μl
5’ CDS 1μl
SMART oligo 1μl
上記組成の反応液を70℃で2分間インキュベートした後、
5×Buffer 2μl
DTT 1μl
DNTP mix 1μl
PowerScript Reverse Transcriptase 1μl
を加え42℃で1.5時間インキュベートした。
さらに、100μlのTricine Bufferを加えた後、72℃で7分間インキュベートし、1st strand cDNAを取得した。
(2)PCRによる重鎖遺伝子、軽鎖遺伝子の増幅と塩基配列の確認
(2)−1;ハイブリドーマ263A17のPCRによる重鎖遺伝子、軽鎖遺伝子の増幅cDNAの増幅は、KOD−Plus−DNAポリメラーゼ(トーヨーボー社製)を用いて下記の反応液を調製して実施した。
sterile H2O 29.5μl
cDNA 2.5μl
KOD−Plus−buffer(10X) 5μl
dNTP Mix(2mM) 4μl
MgSO4(25mM) 2μl
KOD−Plus−(1unit/μl) 1μl
Universal primer A mix(UPM)(10X) 5μl
Gene specific primers(GSP) 1μl
Total volume 50μl
上記組成の反応液を再蒸留水にて最終容量50μlとし、PCRに供した。
263A17の重鎖遺伝子の増幅は、SMART RACE cDNA Amplification Kit付属のUPMプライマとIgG1pプライマー(5’−TCTTGTCCACCTTGGTGTTGCTGGGCTTGTG−3’)(配列番号16)を用い、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを30回繰り返した。一方、263A17の軽鎖遺伝子の増幅は、UPMプライマーとhk−2(5’−GTT GAA GCT CTT TGT GAC GGG CGA GC−3’)(配列番号17)プライマーを使って、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを30回繰り返して増幅した。
(2)−2;ハイブリドーマ125M10AA、125M96ABA、125Q47BA、125Q54AAAA及び125R5AAAAのPCRによる重鎖遺伝子、軽鎖遺伝子の増幅
反応条件は、(2)−1と同様に行った。125M10AA、125M96ABA、125Q47BA、125Q54AAAA及び125R5AAAAの重鎖遺伝子の増幅は、UPMプライマーとIgG1pプライマー(配列番号16)を用い、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを30回繰り返した。さらに、この反応液1μlを鋳型とし、NUPMプライマー(SMART RACE cDNA amplification Kit;ベクトン・ディキンソン・バイオサイエンス・クローンテック社製)とIgG2p/G134プライマー(5’−TGC ACG CCG CTG GTC AGG GCG CCT GAG TTC C−3’)(配列番号18)を用いて、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを20回繰り返した。一方、125M10AA、125M96ABA、125Q47BA、125Q54AAAA及び125R5AAAAの軽鎖遺伝子の増幅は、UPMプライマーとhk−2プライマー(配列番号17)を使って、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを30回繰り返して増幅した。さらに、この反応液1μlを鋳型とし、NUPMプライマーとhk−5プライマー(5’−AGG CAC ACA ACA GAG GCA GTT CCA GAT TTC−3’)(配列番号19)を用いて、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを20回繰り返した。
(2)−3;ハイブリドーマ125M165DAAA及び125N26F6AAのPCRによる重鎖遺伝子、軽鎖遺伝子の増幅
反応条件は、(2)−1と同様に行った。125M165DAAA及び125N26F6AAの重鎖遺伝子の増幅は、UPMプライマーとhh−2プライマー(5’−GCT GGA GGG CAC GGT CAC CAC GCT G−3’)(配列番号20)を用い、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを30回繰り返した。さらに、この反応液1μlを鋳型とし、NUPMプライマーとhh−4プライマー(5’−GGT GCC AGG GGG AAG ACC GAT GG−3’)(配列番号21)を用いて、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを20回繰り返した。一方、125M165DAAA及び125N26F6AAの軽鎖遺伝子の増幅は、UPMプライマーとhk−2プライマー(配列番号17)を使って、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを30回繰り返して増幅した。さらに、この反応液1μlを鋳型とし、NUPMプライマーとhk−5プライマー(配列番号19)を用いて、98℃1秒、68℃30秒のサイクルを20回繰り返した。
以上のように増幅した各々の重鎖及び軽鎖のPCR断片は、エタノール沈殿で回収した後、アガロースゲル電気泳動で回収し、メンブランを用いるDNA精製キットであるQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)にて精製した。精製したHV増幅断片あるいはLV増幅断片は、それぞれZero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(インビトロジェン社製)のPCR 4 Blunt−TOPOベクターにサブクローニングを行い、得られたクローンのプラスミドDNAについてインサートDNAの塩基配列を解析した。DNA塩基配列決定のためにプライマーとして、M13FW(配列番号3)及びM13RV(配列番号4)を用いた。
263A17の重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
重鎖核酸配列(配列番号22)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は429番目のアデニン(A)と430番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号23)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は143番目のセリン(S)と144番目のアラニン(A)の間に位置する。また、重鎖核酸配列(配列番号22)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は57番目のチミン(T)と58番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号23)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は19番目のシステイン(C)と20番目のグルタミン酸(E)の間に位置する。
以上より、263A17抗体重鎖の可変領域の核酸配列(配列番号22)は58番目のグアニン(G)から429番目のアデニン(A)までである。また、重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号23)は20番目のグルタミン酸(E)から143番目のセリン(S)までである。
軽鎖核酸配列(配列番号24)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は387番目のアデニン(A)と388番目のシトシン(C)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号25)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は129番目のリジン(K)と130番目のアルギニン(R)の間に位置する。また、軽鎖核酸配列(配列番号24)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は66番目のシトシン(C)と67番目のグアニン(G)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号25)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は22番目のシステイン(C)と23番目のアスパラギン酸(D)の間に位置する。
以上より、263A17抗体軽鎖の可変領域の核酸配列(配列番号24)は67番目のグアニン(G)から387番目のアデニン(A)までである。また、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号25)は23番目のアスパラギン酸(D)から129番目のリジン(K)までである。
125M10AAの重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
重鎖核酸配列(配列番号26)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は441番目のアデニン(A)と442番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号27)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は147番目のセリン(S)と148番目のアラニン(A)の間に位置する。また、重鎖核酸配列(配列番号26)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は78番目のシトシン(C)と79番目のシトシン(C)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号27)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は26番目のセリン(S)と27番目のグルタミン(Q)の間に位置する。
以上より、125M10AA抗体重鎖の可変領域の核酸配列(配列番号26)は79番目のシトシン(C)から441番目のアデニン(A)までである。また、重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号27)は27番目のグルタミン(Q)から147番目のセリン(S)までである。
軽鎖核酸配列(配列番号28)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は381番目のアデニン(A)と382番目のシトシン(C)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号29)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は127番目のリジン(K)と128番目のアルギニン(R)の間に位置する。また、軽鎖核酸配列(配列番号28)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は60番目のアデニン(A)と61番目のグアニン(G)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号29)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は20番目のグリシン(G)と21番目のグルタミン酸(E)の間に位置する。
以上より、125M10AA抗体軽鎖の可変領域の核酸配列(配列番号28)は61番目のグアニン(G)から381番目のアデニン(A)までである。また、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号29)は21番目のグルタミン酸(E)から127番目のリジン(K)までである。
125M165DAAA重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
重鎖核酸配列(配列番号30)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は420番目のアデニン(A)と421番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号31)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は140番目のセリン(S)と141番目のアラニン(A)の間に位置する。また、重鎖核酸配列(配列番号30)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は57番目のチミン(T)と58番目のシトシン(C)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号31)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は19番目のシステイン(C)と20番目のグルタミン(Q)の間に位置する。
以上より、125M165DAAA抗体重鎖の可変領域の核酸配列(配列番号30)は58番目のシトシン(C)から420番目のアデニン(A)までである。また、重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号31)は20番目のグルタミン(Q)から140番目のセリン(S)までである。
軽鎖核酸配列(配列番号32)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は381番目のアデニン(A)と382番目のシトシン(C)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号33)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は127番目のリジン(K)と128番目のアルギニン(R)の間に位置する。また、軽鎖核酸配列(配列番号32)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は60番目のアデニン(A)と61番目のグアニン(G)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号33)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は20番目のグリシン(G)と21番目のグルタミン酸(E)の間に位置する。
以上より、125M165DAAA抗体軽鎖の可変領域の核酸配列(配列番号32)は61番目のグアニン(G)から381番目のアデニン(A)までである。また、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号33)は21番目のグルタミン酸(E)から127番目のリジン(K)までである。
125M96ABA重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
重鎖核酸配列(配列番号34)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は420番目のアデニン(A)と421番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号35)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は140番目のセリン(S)と141番目のアラニン(A)の間に位置する。また、重鎖核酸配列(配列番号34)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は57番目のシトシン(C)と58番目のシトシン(C)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号35)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は19番目のセリン(S)と20番目のグルタミン(Q)の間に位置する。
以上より、125M96ABA抗体重鎖の可変領域の核酸配列(配列番号34)は58番目のシトシン(C)から420番目のアデニン(A)までである。また、重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号35)は20番目のグルタミン(Q)から140番目のセリン(S)までである。
軽鎖核酸配列(配列番号36)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は381番目のアデニン(A)と382番目のシトシン(C)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号37)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は127番目のリジン(K)と128番目のアルギニン(R)の間に位置する。また、軽鎖核酸配列(配列番号36)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は60番目のアデニン(A)と61番目のグアニン(G)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号37)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は20番目のグリシン(G)と21番目のグルタミン酸(E)の間に位置する。
以上より、125M165DAAA抗体軽鎖の可変領域の核酸配列(配列番号36)は61番目のグアニン(G)から381番目のアデニン(A)までである。また、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号37)は21番目のグルタミン酸(E)から127番目のリジン(K)までである。
125N26F6AA重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
重鎖核酸配列(配列番号38)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は420番目のアデニン(A)と421番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号39)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は140番目のセリン(S)と141番目のアラニン(A)の間に位置する。また、重鎖核酸配列(配列番号38)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は57番目のチミン(T)と58番目のシトシン(C)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号39)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は19番目のシステイン(C)と20番目のグルタミン(Q)の間に位置する。
以上より、125M96ABA抗体重鎖の可変領域の核酸配列(配列番号38)は58番目のシトシン(C)から420番目のアデニン(A)までである。また、重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号39)は20番目のグルタミン(Q)から140番目のセリン(S)までである。
軽鎖核酸配列(配列番号40)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は388番目のアデニン(A)と389番目のシトシン(C)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号41)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は126番目のリジン(K)と127番目のアルギニン(R)の間に位置する。また、軽鎖核酸配列(配列番号40)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は57番目のチミン(T)と58番目のグアニン(G)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号41)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は19番目のグリシン(G)と20番目のグルタミン酸(E)の間に位置する。
以上より、125M96ABA抗体軽鎖の可変領域の核酸配列(配列番号40)は58番目のグアニン(G)から388番目のアデニン(A)までである。また、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号41)は20番目のグルタミン酸(E)から126番目のリジン(K)までである。
125Q47BAの重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
重鎖核酸配列(配列番号42)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は420番目のアデニン(A)と421番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号43)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は140番目のセリン(S)と141番目のアラニン(A)の間に位置する。また、重鎖核酸配列(配列番号42)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は57番目のチミン(T)と58番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号43)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は19番目のシステイン(C)と20番目のグルタミン酸(E)の間に位置する。
以上より、125Q47BA抗体重鎖の可変領域の核酸配列(配列番号42)は58番目のグアニン(G)から420番目のアデニン(A)までである。また、重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号43)は20番目のグルタミン酸(E)から140番目のセリン(S)までである。
軽鎖核酸配列(配列番号44)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は387番目のアデニン(A)と388番目のシトシン(C)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号45)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は129番目のリジン(K)と130番目のアルギニン(R)の間に位置する。また、軽鎖核酸配列(配列番号44)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は66番目のチミン(T)と67番目のグアニン(G)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号45)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は22番目のシステイン(C)と23番目のアスパラギン酸(D)の間に位置する。
以上より、125Q47BA抗体軽鎖の可変領域の核酸配列(配列番号44)は67番目のグアニン(G)から387番目のアデニン(A)までである。また、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号45)は23番目のアスパラギン酸(D)から129番目のリジン(K)までである。
125Q54AAAAの重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
重鎖核酸配列(配列番号46)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は420番目のアデニン(A)と421番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号47)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は140番目のセリン(S)と141番目のアラニン(A)の間に位置する。また、重鎖核酸配列(配列番号46)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は57番目のチミン(T)と58番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号47)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は19番目のシステイン(C)と20番目のグルタミン酸(E)の間に位置する。
以上より、125Q54AAAA抗体重鎖の可変領域の核酸配列(配列番号46)は58番目のグアニン(G)から420番目のアデニン(A)までである。また、重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号47)は20番目のグルタミン酸(E)から140番目のセリン(S)までである。
軽鎖核酸配列(配列番号48)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は387番目のアデニン(A)と388番目のシトシン(C)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号49)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は129番目のリジン(K)と130番目のアルギニン(R)の間に位置する。また、軽鎖核酸配列(配列番号48)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は66番目のチミン(T)と67番目のグアニン(G)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号49)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は22番目のシステイン(C)と23番目のアスパラギン酸(D)の間に位置する。
以上より、125Q54AAAA抗体軽鎖の可変領域の核酸配列(配列番号48)は67番目のグアニン(G)から387番目のアデニン(A)までである。また、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号49)は23番目のアスパラギン酸(D)から129番目のリジン(K)までである。
125R5AAAAの重鎖可変領域、及び軽鎖可変領域をコードするDNA並びに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
重鎖核酸配列(配列番号50)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は420番目のアデニン(A)と421番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号51)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は140番目のセリン(S)と141番目のアラニン(A)の間に位置する。また、重鎖核酸配列(配列番号50)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は57番目のチミン(T)と58番目のグアニン(G)の間に位置し、重鎖アミノ酸配列(配列番号51)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は19番目のシステイン(C)と20番目のグルタミン酸(E)の間に位置する。
以上より、125R5AAAA抗体重鎖の可変領域の核酸配列(配列番号50)は58番目のグアニン(G)から420番目のアデニン(A)までである。また、重鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号51)は20番目のグルタミン酸(E)から140番目のセリン(S)までである。
軽鎖核酸配列(配列番号52)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は387番目のアデニン(A)と388番目のシトシン(C)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号53)における抗体可変領域と抗体定常領域の境界は129番目のリジン(K)と130番目のアルギニン(R)の間に位置する。また、軽鎖核酸配列(配列番号52)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は66番目のチミン(T)と67番目のグアニン(G)の間に位置し、軽鎖アミノ酸配列(配列番号53)におけるシグナル配列と抗体可変領域の境界は22番目のシステイン(C)と23番目のアスパラギン酸(D)の間に位置する。
以上より、125R5AAAA抗体軽鎖の可変領域の核酸配列(配列番号52)は67番目のグアニン(G)から387番目のアデニン(A)までである。また、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号53)は23番目のアスパラギン酸(D)から129番目のリジン(K)までである。
実施例14 ハイブリドーマ125N26F6AA及び125M10AAに発現するヒト抗体重鎖遺伝子、軽鎖遺伝子の定常領域を含む全長配列の決定
実施例13において、各抗体の抗体可変領域のDNA塩基配列及びアミノ酸配列を決定したが、KMマウス由来ハイブリドーマ125N26F6AA及び125M10AAについて定常領域を含む全長配列の解析を実施した。cDNAの合成は実施例13に従って、ハイブリドーマ125N26F6AA及び125M10AAより調製したTotal RNAを材料としてSMART RACE cDNA amplification Kit(ベクトン・ディキンソン・バイオサイエンス・クローンテック社製)を用いて行なった。
1st strand cDNAの合成
Total RNA 5μg/3μl
3’CDS primer 1μl
H2O 1μl
上記組成の反応液を70℃で2分間インキュベートした後、
5×Buffer 2μl
DTT 1μl
dNTP mix 1μl
PowerScript Reverse Transcriptase 1μl
を加え42℃で1.5時間インキュベートした。
さらに、50μlのTricine Bufferを加えた後、72℃で7分間インキュベートし、1st strand cDNAを取得した。
定常領域のコード領域全体を含むDNAを取得するために、上記の合成したcDNAをテンプレートとし、また各抗体遺伝子の5’端のATGイニシエーションコドン付近に結合する配列を有する合成DNA(5‘プライマー)とヒト抗体遺伝子3’非翻訳領域に特異的に結合する合成DNA(3’プライマー)をプライマーセットとして用いて、PCRによる増幅反応を行った。この増幅反応により、抗体遺伝子(cDNA)のATGイニシエーションコドンから、ストップコドンを含む3’非翻訳領域までの全長配列を得ることができる。
125N26F6AAの重鎖のDNA増幅は、H鎖5’プライマー:N26H5Sal1(配列番号58)とH鎖3’プライマー:H_3UTR1848(5’−CGGGGTACGTGCCAAGCATCCTCGTG−3’、配列番号74)のプライマーセット、または、H鎖5’プライマー:N26H5Sal1(配列番号58)とH鎖3’プライマー:H_3UTR1875(5’−ATGCTGGGCGCCCGGGAAGTATGTAC−3’、配列番号75)のプライマーの組合せで、94℃15秒、68℃2分のインキュベーションサイクルを35回繰り返した。一方、125N26F6AAの軽鎖(κ)の増幅は、L鎖5’用プライマー:N26KA10Minor L Bgl(配列番号64)とL鎖3’用プライマー:L_3UTR_823(5’−GAAAGATGAGCTGGAGGACCGCAATA−3’、配列番号76)のプライマーセットを用いて行なった。プライマー以外の反応液組成は実施例13の(2)−1と同じ組成にて実施した。
125M10AAの重鎖のDNA増幅用としては、H鎖5’用プライマー:M10H5Sal(配列番号70)とH鎖3’用プライマー:H_3UTR1848(配列番号74)のプライマーセット、または、H鎖5’プライマー:M10H5Sal(配列番号70)とH鎖3’プライマー:H_3UTR1875(配列番号75)であり、125M10AAの軽鎖(κ)のDNA増幅用としては、L鎖5’用プライマー:M10KBgl(配列番号66)とL鎖3’用プライマー:L_3UTR_823(配列番号76)のプライマーセットである。
増幅した各PCR断片は、エタノール沈殿で回収した後、アガロースゲル電気泳動で回収し、QIAquick Gel Extraction Kit((株)キアゲン社製)にて精製した。精製した増幅断片は、それぞれZero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen社製)のPCR 4 Blunt−TOPOベクターにサブクローニングした。取得したクローンについて、シーケンシング鋳型用DNA調製試薬であるTempliPhi DNA Amplification Kit(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)を使用して、添付のプロトコールに従ってシーケンシング鋳型用DNAを調製して、インサートDNAの塩基配列を決定した。ヒト抗体重鎖のDNA塩基配列解析のプライマーとして、M13FW(配列番号3)、M13RV(配列番号4)、hh4(配列番号21)、hh1(5’−CCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCAC−3’)(配列番号77)、CMVH903F(5’−GACACCCTCATGATCTCCCGGACC−3’)(配列番号78)、CMVHR1303(5’−TGTTCTCCGGCTGCCCATTGCTCT−3’)(配列番号79)、hh−6(5’−GGTCCGGGAGATCATGAGGGTGTCCTT−3’)(配列番号80)、hh−2(配列番号20)、H_3UTR1848(配列番号74)、及びH_3UTR1875(配列番号75)を、また、ヒト抗体軽鎖(κ)のDNA塩基配列解析用のプライマーとして、M13FW(配列番号3)、M13RV(配列番号4)、hk−5(配列番号19)、及びhk−1(5’−TGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTC−3’)(配列番号81)を用いた。
125N26F6AA抗体の重鎖、及び軽鎖全領域をコードするDNA並びに重鎖及び軽鎖全領域のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
125M10AA抗体の重鎖、及び軽鎖全領域をコードするDNA並びに重鎖及び軽鎖全領域のアミノ酸配列をそれぞれ以下に示す。
実施例15 組換え抗体発現ベクターの構築
263A17、125M10AA、125M165DAAA、125N26F6AA及び125Q54AAAA抗体については、組換え抗体発現ベクターを構築した。
263A17、125M165DAAA及び125N26F6AA抗体については、取得した抗体のHV鎖を含むプラスミドDNAを鋳型として、末端に連結のための制限酵素部位(5’末側SalI、3’末側NheI)を付加するように設計したプライマーを用いた。具体的なプライマーは、以下のとおり。
263A17;
HV鎖5’用プライマー:A33 2−6A2 H VH3−23 Sal I(配列番号54)
5’−GCG ACT AAG TCG ACC ATG GAG TTT GGG CTG AGC TG−3’
HV鎖3’用プライマー:A33 2−6A2 H VH3−23 Nhe I(配列番号55)
5’−TGG GCC CTT GGT GCT AGC TGA GGA GAC GGT GAC CG−3’
125M165DAAA;
HV鎖5’用プライマー:M165H5Sal(配列番号56)
5’−AGA GAG AGA GGT CGA CCA CCA TGG AGT TTG GGC TGA GCT GGG TTT−3’
HV鎖3’用プライマー:M165H3Nhe(配列番号57)
5’−AGA GAG AGA GGC TAG CTG AGG AGA CGG TGA CCA GGG TGC−3’
125N26F6AA;
HV鎖5’用プライマー:N26H5Sal1(配列番号58)
5’−AGA GAG AGA GGT CGA CCA CCA TGG AGT TTG GGC TGA GCT GGG TTT−3’
HV鎖3’用プライマー:N26H3Nhe1(配列番号59)
5’−AGA GAG AGA GGC TAG CTG AGG AGA CGG TGA CCA GGG TTC CC−3’
各A33抗体のHVをPCRで増幅(94℃ 3分→94℃ 10秒、68℃ 45秒(35サイクル)→72℃ 7分)した。増幅されたDNA断片をSalI、NheIで消化し、同一酵素で解裂されていたN5KG1−Val Larkベクター(IDEC Pharmaceuticals,N5KG1(USpatent 6001358)の改変ベクター)に導入した。挿入された配列がサブクローニングしたHVのDNA塩基配列解析によって決定されたものと同一であることを、ベクターを鋳型として配列を決定することにより確認した。
引き続いて、得られたHVが挿入されたプラスミドベクターにLVの挿入を行なった。取得した抗体のLV鎖を含むプラスミドDNAを鋳型として、末端に連結のための制限酵素部位(5’末側BglII、3’末側BsiWI)を付加するように設計したプライマーを用いた。具体的なプライマーは、以下のとおり。
263A17;
LV鎖5’用プライマー:A33 2−6A2 K L19 BglII(配列番号60)
5’−ATC ACA GAT CTC TCA CCA TGG ACA TGA GGG TCC CC−3’
LV鎖3’用プライマー:A33 2−6A2 K L19 BsiWI(配列番号61)
5’−ACA GAT GGT GCA GCC ACC GTA CGT TTA ATC TCC AG−3’
125M165DAAA;
LV鎖5’用プライマー:M165K5L6Bgl2(配列番号62)
5’−AGA GAG AGA GAG ATC TCA CCA TGG AAG CCC CAG CTC AGC TTC TCT−3’
LV鎖3’用プライマー:M165K3L6BsiW1(配列番号63)
5’−AGA GAG AGA GCG TAC GTT TGA TTT CCA CCT TGG TCC CTT GGC−3’
125N26F6AA;
LV鎖5’用プライマー:N26KA10Minor L Bgl(配列番号64)
5’−AGA GAG AGA GAT CTC TCA CCA TGT CGC CAT CAC AAC TCA TTG GG−3’
LV鎖3’用プライマー:N26KA10Minor L Bsi(配列番号65)
5’−AGA GAG AGA GCG TAC GTT TGA TAT CCA CTT TGG TCC CAG GG−3’、
各A33抗体のLVをPCRで増幅(94℃ 3分→94℃ 10秒、68℃ 45秒(35サイクル)→72℃ 7分)した。増幅したDNA断片をBglII、BsiWIで消化し、同一酵素で解裂されていたN5KG1−HVベクターに導入した。挿入された配列がサブクローニングしたLVのDNA塩基配列解析によって決定されたものと同一であることを、ベクターを鋳型として配列を決定することにより確認した。
125M10AA及び125Q54AAAA抗体については、取得した抗体のLV鎖を含むプラスミドDNAを鋳型として、末端に連結のための制限酵素部位(5’末側BglII、3’末側BsiWI)を付加するように設計したプライマーを用いた。具体的なプライマーは、以下のとおり。
125M10AA;
LV鎖5’用プライマー:M10KBgl(配列番号66)
5’−AGAGAGAGAGAGATCTCACCATGGAAGCCCCAGCTCAGCTTCTCT−3’
LV鎖3’用プライマー:M10KBsi(配列番号67)
5’−AGAGAGAGAGCGTACGTTTGATCTCCACCTTGGTCCCTCCG−3’
125Q54AAAA;
LV鎖5’用プライマー:Q54K5Bgl(配列番号68)
5’−AGAGAGAGAGAGATCTCACCATGGACATGAGGGTCCTCGCTCAGC−3’
LV鎖3’用プライマー:Q54K3Bsi(配列番号69)
5’−AGAGAGAGAGCGTACGTTTGATCTCCAGCTTGGTCCCCTGG−3’
各A33抗体のLVをPCRで増幅(94℃ 3分→94℃ 10秒、68℃ 45秒(35サイクル)→72℃ 7分)した。増幅したDNA断片をBglII、BsiWIで消化し、同一酵素で解裂されていたN5KG1−Val Larkベクターに導入した。挿入された配列がサブクローニングしたLVのDNA塩基配列解析によって決定されたものと同一であることを、ベクターを鋳型として配列を決定することにより確認した。
引き続いて、得られたLVが挿入されたプラスミドベクターにHVの挿入を行なった。取得した抗体のHV鎖を含むプラスミドDNAを鋳型として、末端に連結のための制限酵素部位(5’末側SalI、3’末側NheI)を付加するように設計したプライマーを用いた。具体的なプライマーは、以下のとおり。
125 M10AA;
HV鎖5’用プライマー:M10H5Sal(配列番号70)
5’−AGA GAG AGA GGT CGA CCA CCA TGG ATC TCA TGT GCA AGA AAA TGA AGC−3’
HV鎖3’用プライマー:M10H3Nhe(配列番号71)
5’ AGA GAG AGA GGC TAG CTG AGG AGA CGG TGA CCG TGG TCC CT−3’
125 Q54AAAA;
HV鎖5’用プライマー:Q54H5Sal(配列番号72)
5’−AGA GAG AGA GGT CGA CCA CCA TGG AGT TTG GGC TGA GCT GGC TTT−3’
HV鎖3’用プライマー:Q54H3Nhe(配列番号73)
5’−AGA GAG AGA GGC TAG CTG AGG AGA CGG TGA CCA GGG TTC CC−3’
各A33抗体のHVをPCRで増幅(94℃ 3分→94℃ 10秒、68℃ 45秒(35サイクル)→72℃ 7分)した。増幅したDNA断片をSalI、NheIで消化し、同一酵素で解裂されていたN5KG1−LVベクターに導入した。挿入された配列がサブクローニングしたHVのDNA塩基配列解析によって決定されたものと同一であることを、ベクターを鋳型として配列を決定することにより確認した。
表5に合成DNAの塩基配列を、表6に組換えベクター及び産生される抗体の名称を示す。
実施例15で構築した組換え型抗体発現ベクターを宿主細胞に導入し、組換え型抗体発現細胞を作製した。発現のための宿主細胞には、例えばCHO細胞のdhfr欠損株(ATCC CRL−9096)、CHO−Ras(Katakura Y.,et al.,Cytotechnology,31:103−109,1999)、HEK293T(ATCC CRL−11268)などが用いられる。
宿主細胞へのベクターの導入はエレクトロポレーションやリポフェクションになどにより実施した。エレクトロポレーションは抗体発現ベクター約2μgを制限酵素で線状化し、Bio−Rad electrophoreterをもちいて350V、500μFの条件で、4×106個のCHO細胞に遺伝子を導入し、96well culture plateに播種した。リポフェクションは、LipofectAMINE Plus(ギブコ・ビーアールエル社製)を用いてマニュアルに従って実施した。ベクターの導入処理後、発現ベクターの選択マーカーに対応した薬剤を添加して培養を継続した。コロニーを確認した後、実施例6に示した方法によって、抗体発現株を選別した。選別した細胞からの抗体精製は、吸着後PBSで洗浄して、Mab Select Protein A 3.2×10cmカラム(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い、吸着後PBSで洗浄して、20mM(グリシン)クエン酸ナトリウム、50mMNaCl(pH2.7)緩衝液で溶出した。溶出液を50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)にて中和した。次に、陰イオン交換カラムであるHitrap Q HP Sepharoseカラム(アマシャムファルマシアバイオテク社製)で、さらに同じく陽イオンカラムであるHitrap SP HP Sepharoseカラム(アマシャムファルマシアバイオテク社製)で精製した。調製された抗体溶液は、透析膜(10000カット、Spectrum Laboratories社製)を用いてPBSに置換し、孔径0.22μmのメンブランフィルターMILLEX−GV(ミリポア社製)でろ過滅菌し、純度を少なくとも95%以上、エンドトキシン0.1EU/mg以下の精製抗体を取得した。組換え型の精製抗A33抗体の濃度は280nmの吸光度を測定し、1mg/mLを1.4ODとして算出した。
実施例17 組換え型抗体による反応試験
A33抗原を発現するヒト大腸癌細胞株COLO205細胞、LS174T細胞(ATCC No.CL−188)及びNCI−H508細胞(ATCC No.CCL−253)に対する実施例16で取得した組換え型抗体の反応性の検討を、FCMで行った。また、陰性コントロール細胞としてA33抗原を発現していないヒト大腸癌細胞株HT−29細胞(ATCC No.HTB−38)も行った。試験方法は、実施例9と同様に行った。
その結果を表7に示す。COLO205細胞では、平均蛍光強度半値を45、LS174T細胞では、平均蛍光強度半値を100、NCI−H508細胞では、平均蛍光強度半値を175とし、そこに達する抗体濃度が10<=x<100ng/mlのときは+++、100<=x<1000ng/mlのときは++、1000<=x<10000ng/mlのときは+、結合が認められなかった場合は、−と示した。A33抗原を発現しているどの細胞に対しても、組換え型抗体は結合を示した。
実施例16で取得した組換え型抗体をマウス抗A33抗体と同様なエピトープを認識するか否かをFCMを用いた競合実験にて検討した。試験方法は、実施例10と同様に行った。
実施例10の各モノクローナル精製抗体の結果と同様に、rec263及びrecM10は、「ノンブロッカー」、recM165及びrecN26は「ブロッカー」、recQ54は、「パーシャルブロッカー」と分類された。その結果を表8に示す。
実施例16で取得した組換え型抗体でのADCC及びCDCの測定を実施した。ADCCアッセイは、51Crラベルしたターゲット細胞(COLO205あるいはNCI−H508)5000個に対して、実施例11記載の方法で取得した健常人末梢血単核球50万個を、V底96ウェルプレート(コースター社製)中で全体容量200μLで、各抗体濃度とともに37℃、5% CO2存在下で4時間培養した。
CDCアッセイは、51Crラベルしたターゲット細胞(COLO205あるいはNCI−H508)5000個に対して、最終濃度5%のヒト血清由来補体(シグマ社製)を、V底96ウェルプレート中で全体容量200μLで、各抗体濃度とともに37℃、5% CO2存在下で4時間培養した。
試験方法は、実施例12と同様に行った。
その結果を図2A〜図2Dおよび表9に示す。ADCCは、特異的溶解率半値をCOLO205細胞をターゲットとしたときは、12.5%とし、NCI−H508細胞をターゲットとしたときは、30%とした。そこに達する抗体濃度が1<=x<10ng/mlのときは+++、10<=x<100ng/mlのときは++、100<=x<1000ng/mlのときは+、特異的溶解率が認められなかった場合は、−と示した。CDCでは、特異的溶解率半値をCOLO205細胞をターゲットとしたときは、7%とし、NCI−H508細胞をターゲットとしたときは、20%とした。そこに達する抗体濃度が10<=x<100ng/mlのときは+++、100<=x<1000ng/mlのときは++、x>=1000ng/mlのときは+、特異的溶解率が認められなかった場合は、−と示した。ADCCでは、cA33,recM10及びrecQ54が高い傷害活性を示した。一方、CDCでは、recM10が高い傷害活性を示した。
マウス抗A33抗体及びhumanized A33抗体は、コンフォメーショナルなエピトープを認識すると報告されている。すなわち、ウエスタンブロッティング解析で、還元条件(5% β−メルカプトエタノール)下では、反応性が認められないと報告されている。そこで、ヒト抗A33精製抗体及び組換え型抗体の反応性について調べることを目的とし、ウエスタンブロット解析を実施した。
実施例3で調製したshA33EX−hFcタンパク質を還元(5% β−メルカプトエタノール)及び非還元条件下で、10〜20%ポリアクリルアミドグラジェントゲル(第一化学薬品社製)によるSDS−PAGEによって分離した。このとき、1レーンあたりshA33EX−hFcタンパク質が2.5ngになるように希釈した。一方、マーカーとしてビオチン化SDS−PAGEスタンダード ブロードレンジ(バイオラッド社製)も1レーンにアプライした。shA33EX−hFcタンパク質をPVDF膜にパンザーセミドライエレクトロブロッター(第一化学薬品)にて150mA/枚、1時間ブロットした。TBS緩衝液及び0.05%Tween入りTBS(TTBS)にて、タンパク質がブロッティングされた膜を洗浄し、ブロックエース(大日本製薬社製)にてブロッキングを行った。TTBSにて2回を洗浄した。125M10AA、125Q54AAAA、125M96ABA、125Q47BA、及び125R5AAAAは、ハイブリドーマ精製抗体を1μg/mlで、室温60分にて反応させた。一方、キメラ抗A33抗体、125M165DAAA(すなわちrecM165)及び125N26F6AA(すなわちrecN26)は、組換え型抗体を1μg/mlで、室温60分にて反応させた。TTBSで洗浄した後、検出用抗体として、1000倍希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されたヤギ抗ヒトKappa鎖F(ab’)2抗体(バイオソース社製)を用いた。このとき、マーカーを検出するために3000倍希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されたストレプトアビジンも加えて反応させた。TTBSで2回、PBSで1回洗浄したのち、ウエスタンブロッティングディテクションシステムECL−plus(アマシャム・バイオサイエンス社製)を用い、バンドの検出を行った。イメージアナライザーLAS−100(フジフィルム社製)を用い、化学発光を取り込み、画像処理を行った。
結果を図3Aおよび図3Bに示す。その結果、125Q54AAAAのみ還元条件下でも約67kDタンパク質のバンドと反応した。その他の抗体は、キメラ抗A33抗体と同様に非還元条件下でのみ反応が認められた。
実施例21 精製抗体及び組換え型抗体での免疫組織化学
ヒト抗A33抗体の特異性、選択性がキメラ抗A33抗体と同等か否かを評価するために、免疫組織化学によって腫瘍組織切片及び正常組織切片との反応性を解析した。
(1)精製抗体及び組換え型抗体の蛍光標識
実施例8によって調製された各モノクローナル精製抗体あるいは実施例16で調製された組換え型抗体、rec263、125M10AA、recM165、recN26及び125Q54AAAをAlexa FlourTM488(モリキュラー・プローブ社製)で直接標識した。陽性コントロールとしてキメラ抗A33抗体、陰性コントロールとして抗DNP−IgG1抗体も同様に直接標識した。精製抗体及び組換え型抗体の蛍光標識化は以下のように行った。Alexa FluorTM488を付属の説明書に従い、実施例8あるいは実施例16で調製した抗A33抗体に結合させた。2mg/mlの精製抗体及び組換え型抗体0.5mlに50μlの1M炭酸緩衝液を添加後、Alexa FluorTM488と混合し、撹拌しながら室温1時間反応させた。ヒドロキシルアミンを添加し反応を止め、ゲルろ過カラム(NAP5、アマシャム・ファルマシア・バイオテック社製)に混合液を供し、抗体に未結合のAlexa FluorTM488を除去した。この条件で抗体1分子に4−6つの蛍光物質が結合した。蛍光標識された抗体はCOLO205細胞に結合し、その結合活性は標識されていない抗体と同等であった。
(2)免疫組織化学
使用した組織切片は、ヒト成人結腸癌凍結組織切片(バイオチェーン社製)、ヒト成人正常結腸凍結組織切片(バイオチェーン社製)、ヒト***腸凍結組織切片(バイオチェーン社製)及びヒト成人胃凍結組織切片(バイオチェーン社製)である。10%ヤギ血清(ギブコ・ビーアールエル社製)含有PBSで、室温にて1−2時間ブロッキングした。PBSにて2回洗浄し、実施例21(1)でAlexa FluorTM488にて標識された各モノクローナル精製抗体あるいは組換え型抗体を1μg/mlで室温30〜60分反応させた。その後、封入し、蛍光顕微鏡(BX51、オリンパス社製)で観察し、画像はオリンパス社製DP70にて解析した。
その結果を図4〜6に示す。Garin−Chesa P.らの報告している大腸癌組織の免疫組織染色(Int.J.Oncology 1996 9:465−471)と同様にキメラ抗A33抗体、rec263、125M10AA、recM165、recN26及び125Q54AAAとも結腸癌組織の腺上皮細胞や形成異常腺構造に幅広く、均一に強く染色することが認められた(図4)。また、正常小腸組織(図5)、正常結腸組織(図6)にもキメラ抗A33抗体と同様な染色が認められた。一方、正常胃組織では、論文でも染色が認められなったのと同様本抗体でも染色が認められなかった。また、陰性コントロールの抗DNP−IgG1抗体では、すべての組織で染色は認められなかった。
実施例22 マウス担癌モデルに対するハイブリドーマ精製抗体及び組換え型抗体の効果
実施例16から得られたヒト抗A33組換え型抗体の効果を、以下に記載する方法に従ってマウス担癌モデルを用いて検討した。使用した大腸癌細胞株は、COLO205細胞とNCI−H508細胞である。
COLO205細胞株を使用したマウス担癌モデルの作製方法は、以下のとおりである。6週齢のBalb/cヌードマウス(日本クレア社より購入)の背部皮下に、大腸癌細胞株COLO205を5×106/マウス個体で移植した。移植後1、2、7及び10日後に10匹1群として、担癌マウスの腹腔内に、キメラ抗A33及びrec263抗体10、100μg/マウス個体(200μlの1%ヌードマウス血清含有PBSに溶解したもの)を投与し、移植7、9、11、14、17、21日後の腫瘍の大きさを測定した。抗体の陰性コントロール(Control)として、同量のヒト抗DNP−IgG1抗体を使用した。「vehicle」は抗体投与をするにあたり溶解するための媒体として使用した1%ヌードマウス血清含有PBS(200μl)を示す。
NCI−H508細胞株を使用したマウス担癌モデルの作製方法は、以下のとおりである。6週齢のBalb/cヌードマウス(日本クレア社より購入)の背部皮下に、大腸癌細胞株NCI−H508を腫瘍細胞の生着性を高めるマウス悪性肉腫からなるマトリジェル(ベクトン・ディキンソン・バイオサイエンス社製)と1:1の容量になるように、1×107/マウス個体で移植した。移植後1,4及び7日後に10匹1群として、担癌マウスの腹腔内に、キメラ抗A33及びrec263抗体10、100μg/マウス個体(200μlの1%ヌードマウス血清含有PBSに溶解したもの)を投与し、移植7、11、14、18、21、27、33、40、48、55、62日後の腫瘍の大きさを測定した。抗体の陰性コントロール(Control)として、同量のヒト抗DNP−IgG1抗体を使用した。「vehicle」は抗体投与をするにあたり溶解するための媒体として使用した0.1%ヌードマウス血清含有PBS(200μl)を示す。
以上の実験の結果を図7に示す。
COLO205細胞株を移植した系では、rec263抗体を10μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後7、9、11日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。抗DNP−IgG1抗体投与群と比較して、移植後7、9、11、14日後に腫瘍の大きさに有意な差が認められた(p<0.05)。また、100μg/マウス個体で投与した群では、抗DNP−IgG1抗体投与群と比較して、移植後14,17日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。一方、キメラ抗A33組換え型抗体を10μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後7、11日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。抗DNP−IgG1抗体投与群と比較して、移植後7、9、11、14、17、21日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。また、100μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後7,9,14日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。抗DNP−IgG1抗体投与群と比較して、移植後7、9、11、14、17、21日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)(図7A)。
一方、NCI−H508細胞株を移植した系では、rec263抗体を10μg/マウス個体で投与した群では、抗腫瘍効果を全く示さなかった。一方、100μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後18日後以降で腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。また、抗DNP−IgG1抗体投与群と比較して、ほぼすべての測定日で腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。一方、キメラ抗A33組換え型抗体を10μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後21、55、62日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。また、抗DNP−IgG1抗体投与群と比較して、移植後7、21、33日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。また、100μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、ほぼすべての測定日で腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。また、抗DNP−IgG1抗体投与群と比較して、移植後33日後まで腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。
以上のことから、本発明の抗体は2種類の大腸癌細胞株を用いたマウス担癌モデルで高い抗腫瘍効果を有することが示された(図7B)。
ヒト抗A33産生ハイブリドーマ精製抗体及びヒト抗A33組換え型抗体の効果を、マウス担癌モデルを用いて検討した。使用した大腸癌細胞株は、COLO205細胞とNCI−H508細胞である。
(125M10AA,125M165DAAA及び125M96ABAハイブリドーマより精製した抗体のCOLO205細胞株を使用したときの抗腫瘍効果)
6週齢のBalb/cヌードマウス(日本クレア社より購入)の背部皮下に、大腸癌細胞株COLO205を5×106/マウス個体で移植した。移植後1、3、7、10、14、17日後に10匹1群として(Vehicle投与群は、15匹1群)、担癌マウスの腹腔内に、125M10AA、125M165DAAA及び125M96ABA抗体20μg/マウス個体(200μlの1%ヌードマウス血清含有PBSに溶解したもの)を投与し、移植7、10、12、14、17日後の腫瘍の大きさを測定した。「Vehicle」は抗体投与をするにあたり溶解するための媒体として使用した1%ヌードマウス血清含有PBS(200μl)を示す。
以上の実験の結果を図7Cに示す。図7C中、M10は125M10AA抗体を、M96は125M96ABA抗体を、M165は125M165DAAA抗体を示す。125M10AA抗体を投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後すべての測定日において腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。また、125M165DAAA抗体を投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後12、14、17日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。一方、125M96ABA抗体を投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後12、14日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。
(N26及びM165組換え型抗体のCOLO205及びNCI−H508細胞株を使用したときの抗腫瘍効果)
6週齢のBalb/cヌードマウス(日本クレア社より購入)の背部皮下に、大腸癌細胞株COLO205を5×106/マウス個体で移植した。移植後1、3、6日後に10匹1群として、担癌マウスの腹腔内に、recN26及びrecM165抗体10及び100μg/マウス個体(200μlの1%ヌードマウス血清含有PBSに溶解したもの)を投与し、移植8、10、13、15、17、20、23日後の腫瘍の大きさを測定した。
以上の実験の結果を図7Dに示す。図7D中、M165−10はrecM165抗体(10μg/匹投与)を、M165−100はrecM165抗体(100μg/匹投与)を、N26−10はrecN26抗体(10μg/匹投与)を、N26−100はrecN26抗体(100μg/匹投与)を示す。recN26抗体を10μg/headで投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後10、13日後において腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。recN26抗体を100μg/headで投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後8、10、13、15、17、20日後において腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。また、recM165抗体を100μg/headで投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後8、10、13、15、17、20日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。
6週齢のBalb/cヌードマウス(日本クレア社より購入)の背部皮下に、大腸癌細胞株NCI−H508を腫瘍細胞の生着性を高めるマウス悪性肉腫からなるマトリジェル(ベクトン・ディキンソン・バイオサイエンス社製)と1:1の容量になるように、1×107/マウス個体で移植した。移植後1、4及び7日後に10匹1群(Vehicle投与群は、12匹1群)として、担癌マウスの腹腔内に、recN26及びrecM165抗体10及び100μg/マウス個体(200μlの1%ヌードマウス血清含有PBSに溶解したもの)を投与し、移植後11、18、28、36、43、50、57、64日後の腫瘍の大きさを測定した。
以上の実験の結果を図7Eに示す。図7E中、N26−10はrecN26抗体(10μg/匹投与)を、N26−100はrecN26抗体(100μg/匹投与)を、M165−10はrecM165抗体(10μg/匹投与)を、M165−100はrecM165抗体(100μg/匹投与)を示す。NCI−H508細胞株を移植した系では、recN26抗体を10μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後11、18、36、43日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。また、100μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後11、18、28、36、50日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。一方、recM165抗体を10μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後11、18日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。また、100μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後全ての測定日において腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。
(M10及びQ54組換え型抗体のNCI−H508細胞株を使用したときの抗腫瘍効果)
6週齢のBalb/cヌードマウス(日本クレア社より購入)の背部皮下に、大腸癌細胞株NCI−H508を腫瘍細胞の生着性を高めるマウス悪性肉腫からなるマトリジェル(ベクトン・ディキンソン・バイオサイエンス社製)と1:1の容量になるように、1×107/マウス個体で移植した。移植後1、4及び7日後に10匹1群として、担癌マウスの腹腔内に、reeM10及びrecQ54抗体10及び100μg/マウス個体(200μlの1%ヌードマウス血清含有PBSに溶解したもの)を投与し、移植後14、21、28、35、42、49、56、63日後の腫瘍の大きさを測定した。
以上の実験の結果を図7Fに示す。図7F中、M10−10はrecM10抗体(10μg/匹投与)を、M10−100はrecM10抗体(100μg/匹投与)を、Q54−10はrecQ54抗体(10μg/匹投与)を、Q54−100はrecQ54抗体(100μg/匹投与)を示す。NCI−H508細胞株を移植した系では、recM10抗体を10μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後14、21、28、42、49、56日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。また、100μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後14、21、28、35、42、49、56日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。一方、recQ54抗体を10μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後28、42日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)。また、100μg/マウス個体で投与した群では、Vehicle投与群と比較して、移植後14、21、28、35、42、56日後に腫瘍を有意に抑制することが認められた(p<0.05)
本明細書に引用されたすべての刊行物は、その内容の全体を本明細書に取り込むものとする。また、添付の請求の範囲に記載される技術思想及び発明の範囲を逸脱しない範囲内で本発明の種々の変形及び変更が可能であることは当業者には容易に理解されるであろう。本発明はこのような変形及び変更をも包含することを意図している。
現在A33のmRNAには9つの多型が知られているが、そのうちの7つは非翻訳領域における多型である。また、残りの2つのうちの1つは3番目のコドンにおける多型であるためアミノ酸置換をしないサイレントミューテーションである。また、残りの2つのうちのもう1つはアミノ酸置換を伴う多型であるがシグナル配列内にある。以上のことから、本抗体は、A33の多型にかかわらず治療、予防剤に有効である。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
Claims (3)
- 配列番号 39 で示される重鎖アミノ酸配列の可変領域および配列番号 41 で示される軽鎖アミノ酸配列の可変領域を有する、 A33 に結合する組換えヒト抗体。
- 抗体重鎖定常領域のクラスがIgGである、請求項1に記載の組換えヒト抗体。
- 請求項1または2に記載の組換えヒト抗体を有効成分とする、医薬組成物。
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