JP4087800B2 - 溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、めっき皮膜中のAl含有量が20〜95mass%である溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法に関する。
55%Al−Zn系めっき鋼板に代表される、めっき皮膜中にAlを20〜95mass%含有する溶融Al−Zn系めっき鋼板(以下、「55%Al−Zn系めっき鋼板」を例に説明する)は、特公昭46−7161号に示されるように溶融亜鉛めっき鋼板に較べて優れた耐食性を示すことから、近年、建材分野を中心に需要が増加しつつある。
この55%Al−Zn系めっき鋼板は、酸洗脱スケールした熱延鋼板又はこれをさらに冷間圧延して得られた冷延鋼板を下地鋼板とし、連続式溶融めっき設備において以下のようにして製造される。
連続式溶融めっき設備では、下地鋼板は還元性雰囲気に保持された焼鈍炉内で所定温度に加熱され、焼鈍と同時に鋼板表面に付着する圧延油等の除去、酸化膜の還元除去が行われた後、下端がめっき浴に浸漬されたスナウト内を通って所定濃度のAlを含有した溶融亜鉛めっき浴中に浸漬される。めっき浴に浸漬された鋼板はシンクロールを経由してめっき浴の上方に引き上げられた後、めっき浴上に配置されたガスワイピングノズルから鋼板の表面に向けて加圧した気体を噴射することによりめっき付着量が調整され、次いで冷却装置により冷却され、所定のめっき皮膜が形成された55%Al−Zn系めっき鋼板が得られる。
連続式溶融めっき設備における焼鈍炉の熱処理条件及び雰囲気条件、めっき浴組成やめっき後の冷却速度等の操業条件は、所望のめっき品質や材質を確保するために所定の管理範囲で精度よく管理される。
上記のようにして製造された55%Al−Zn系めっき鋼板のめっき皮膜は、主としてZnを過飽和に含有したAlがデンドライト凝固した部分と、残りのデンドライト間隙の部分からなっており、デンドライトはめっき皮膜の膜厚方向に積層している。このような特徴的な皮膜構造により、55%Al−Zn系めっき鋼板は優れた耐食性を示す。
また、めっき浴には通常1.5mass%程度のSiが添加されているが、このSiの働きにより、55%Al−Zn系めっき鋼板はめっき皮膜/下地鋼板界面の合金相成長が抑えられ、合金相厚さは約1〜2μm程度である。この合金相が薄ければ薄いほど優れた耐食性を示す特徴的な皮膜構造の部分が多くなるので、合金相の成長抑制は耐食性の向上に寄与する。
通常、めっき浴には不可避的不純物、鋼板やめっき浴中の機器等から溶出するFe、合金相抑制のためのSiが含まれるが、それら以外にも何らかの元素が添加されている場合もあり、合金相やめっき皮膜中にはそれら元素が合金或いは単体の形で存在している。
上述したように55%Al−Zn系めっき鋼板は優れた耐食性を有する反面、機械的特性、特に伸び特性が他のめっき鋼板、例えばめっき皮膜中にAlを5mass%程度含有する溶融Al−Zn系めっき鋼板(以下、「5%Al−Zn系めっき鋼板」という)に較べて劣る傾向があり、このため厳しい加工を行う用途には使用しにくい難点がある。一方、5%Al−Zn系めっき鋼板は伸び特性に優れているため加工が容易であるものの、55%Al−Zn系めっき鋼板に較べて耐食性に劣っており、このため最近では55%Al−Zn系めっき鋼板への置き替えが行われようになりつつある。
上述したように55%Al−Zn系めっき鋼板は伸び特性値が小さいために、同程度の加工を行った場合でも同一めっき皮膜厚の5%Al−Zn系めっき鋼板に較べて加工性に劣る傾向がある。そのため折り曲げ等の加工を行うと、加工の程度によっては被加工部のめっき鋼板部分に亀裂が生じ、使用上大きな問題となる場合がある。
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、55%Al−Zn系めっき鋼板に所定の熱処理を施すことによってその延性を改善する方法が示されている。しかしながら、本発明者らが実験などにより確認したところによれば、このような熱処理をバッチ処理によりめっき鋼板コイルに対して実施した場合、熱処理中にコイル内の鋼板間に焼付き(密着)が発生し、この結果、製品であるめっき鋼板の美麗な表面外観が著しく損なわれるという問題を生じることが判った。
また、特許文献2には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板をバッチ焼鈍によって400〜480℃に加熱する際に、加熱雰囲気を微酸化性にして鋼板間での焼付けを防止する方法が示されているが、55%Al−Zn系めっき鋼板のバッチ加熱を上記温度範囲で実施すると鋼板間での焼付けの発生は避けられない。
特公昭61−28748号公報 特公昭53−9176号公報
したがって本発明の目的は、55%Al−Zn系めっき鋼板に代表される、めっき皮膜中のAl含有量が20〜95mass%である溶融Al−Zn系めっき鋼板であって、伸び特性が優れしかも美麗な表面外観を有するめっき鋼板を安定して製造することができる溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法を提供することにある。
上記課題の解決のために、本発明者らは実用製品としての優れためっき表面外観を確保するという観点から、55%Al−Zn系めっき鋼板の伸び特性を向上させ、且つ美麗なめっき表面外観を得るための最適な製造方法について鋭意検討を行った。その結果、55%Al−Zn系めっき鋼板を連続溶融めっきラインで製造する際に、めっき表面粗さRaが0.20μm以上のめっき皮膜を形成させた上で、このめっき鋼板を連続溶融めっきラインの巻取装置の直前で300℃未満の温度に連続加熱し、コイル巻取り張力3.0kg/mm以下で巻き取った後、このコイルをその保有熱により自己保熱するか又は加熱炉において300℃未満の温度に加熱保持することにより、加熱処理による伸び特性の適切な改善が図られるとともに、コイル内でのめっき鋼板間の焼付けが適切に防止され、伸び特性に優れ且つ美麗な表面外観を有する55%Al−Zn系めっき鋼板を製造できることが判った。
すなわち、本発明の溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法は以下のような特徴を有する。
[1]めっき皮膜中のAl含有量が20〜95mass%である溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法であって、めっき金属が凝固した後の溶融Al−Zn系めっき鋼板を加熱処理することにより伸び特性の改善を図る方法において、
めっき表面粗さRaが0.20μm以上2.0μm以下のめっき皮膜が形成された溶融Al−Zn系めっき鋼板を、連続溶融めっきラインの巻取装置の直前で100℃以上300℃未満の温度に連続加熱し、コイル巻取り張力0.3kg/mm 以上3.0kg/mm以下、鋼板加熱温度マイナス10〜20℃(板温)で巻き取った後、該コイルをその保有熱により保熱開始時の板温を100℃以上であって、且つ前記連続加熱での鋼板加熱温度−50℃以上として自己保熱することを特徴とする溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法。
[2]めっき皮膜中のAl含有量が20〜95mass%である溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法であって、めっき金属が凝固した後の溶融Al−Zn系めっき鋼板を加熱処理することにより伸び特性の改善を図る方法において、
めっき表面粗さRaが0.20μm以上2.0μm以下のめっき皮膜が形成された溶融Al−Zn系めっき鋼板を、連続溶融めっきラインの巻取装置の直前で100℃以上300℃未満の温度に連続加熱し、コイル巻取り張力0.3kg/mm 以上3.0kg/mm以下、鋼板加熱温度マイナス10〜20℃(板温)で巻き取った後、該コイルを加熱炉においてコイル最高温度部の板温が100℃以上300℃未満、加熱保持開始時の板温が100℃以上であって、且つ前記連続加熱での鋼板加熱温度−50℃以上になるような条件で加熱保持することを特徴とする溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法。
本発明法によれば、55%Al−Zn系めっき鋼板に代表される、めっき皮膜中のAl含有量が20〜95mass%である溶融Al−Zn系めっき鋼板であって、伸び特性が優れしかも美麗なめっき表面外観を有するめっき鋼板を安定して製造することができる。
本発明が製造の対象とするめっき鋼板は、めっき皮膜中にAlを20〜95mass%含有する溶融Al−Zn系めっき鋼板であり、また、めっき皮膜のより好ましい成分組成は、Al:45〜65mass%、Si:0.7〜2.0mass%、Fe:10mass%未満、残部が不可避的不純物を含む実質的なZnであり、このような組成の場合に特に優れた耐食性を発揮する。
また、溶融Al−Zn系めっき鋼板のめっき付着量は特に限定されないが、一般に片面当たり30〜120g/m程度が適当である。
本発明の第1の方法では、連続溶融めっきラインにおいて、鋼板面にめっき表面粗さRaが0.20μm以上の溶融Al−Zn系めっき皮膜を形成するとともに、この溶融Al−Zn系めっき鋼板を連続溶融めっきラインの巻取装置の直前で300℃未満の温度に連続加熱し、コイル巻取り張力3.0kg/mm以下で巻き取った後、このコイルをその保有熱により保熱処理(自己保熱)する。
ここで、溶融Al−Zn系めっき鋼板のめっき表面粗さRaを0.20μm以上とするのは、めっき表面粗さRaが0.20μm未満ではめっき鋼板をコイルに巻き取った際にめっき鋼板どうしの接触面積が大きくなり、コイル保熱の際にめっき鋼板間に焼付きが発生し、製品としての使用に耐え得るめっき表面外観が得られなくなるためである。
但し、めっき表面粗さRaの値があまり大きいとめっき表面の凹凸感が大きくなり、めっき表面外観が劣化する傾向がある。このためめっき表面粗さRaは2.0μm以下とすることが好ましい。
めっき表面粗さRaを支配する要因としては、鋼板のめっき浴中への侵入板温、めっき浴温度、めっき浴組成などの他に、スパングルを形成させるめっき鋼板にあってはめっき後の冷却速度などが、スパングル模様を目立たなくさせるめっき鋼板にあってはめっき後の調質圧延の条件などが挙げられ、したがって、これらを適宜調整することによりめっき表面粗さRaが0.20μm以上のめっき皮膜を得ることができる。
この方法では、めっき鋼板を加熱処理するために、連続溶融めっきラインの巻取装置の直前のめっき鋼板(当然、このめっき鋼板のめっき金属は凝固している)を300℃未満、好ましくは250℃以下の温度に連続加熱するが、このように連続通板するめっき鋼板を加熱するようにしたのは、コイル状態でのバッチ加熱ではコイル内外やコイルの厚み方向、板幅方向で加熱温度が不均一になりやすく、また加熱時間も長くなるのに対して、通板するめっき鋼板の連続加熱では板長手方向及び幅方向での加熱を均一に行うことができるため、めっき鋼板の加熱温度範囲を狭くすることができるからである。この結果、コイル内での温度のバラツキを低減させて均一な品質の製品を得ることができる。また、加熱昇温時間もバッチ加熱に較べて格段に短くでき、加熱処理時間の短縮化による生産の効率化が可能となる。
通板するめっき鋼板の連続加熱の加熱方式には特に制約はなく、ガス加熱方式、電熱ヒーター方式、誘導加熱方式、蒸気加熱方式など適宜な加熱方式を採用することができるが、これらの中でも特に誘導加熱方式が鋼板幅方向の均一加熱を行う上で適している。
この連続溶融めっきラインの巻取装置直前でのめっき鋼板の加熱温度を300℃未満としているのは、加熱温度が300℃以上になるとめっき表面の粘性低下が発生し、コイルへの巻取り後、保熱中にめっき鋼板間で焼付きが発生し、製品としての使用に耐え得るめっき表面外観が得られなくなるためである。また、このような観点から加熱温度は250℃以下がより好ましい。
また、加熱温度の下限については、100℃、好ましくは150℃とすることが適当である。加熱温度が100℃未満では加熱による伸び特性の改善効果が十分に得られない。
また、連続溶融めっきラインにおいてめっき鋼板をコイルに巻取る際に、コイル巻取り張力を3.0kg/mm以下とするのは、巻取り張力が3.0kg/mmを超えるとコイル内でのめっき鋼板間の接触力が大きくなり、コイル保熱時にめっき鋼板間に焼付きが発生し、製品としての使用に耐え得るめっき表面外観が得られなくなるためである。但し、コイル巻取り張力があまり低いとコイル状態に保持する力が弱まり、コイルの変形若しくは潰れが発生しやすい。このためコイル巻取り張力は0.3kg/mm以上とすることが好ましい。
連続溶融めっきラインから取り出されためっき鋼板のコイルは、直ちにその保有熱により保熱処理される。コイルは保熱容器などに収納することなくそのまま大気下で自己保熱してもよいが、蓋付きの保熱容器などに収納して保熱すれば、保熱時間を確保できるため効率的な自己保熱を行うことができる。
巻取装置の直前で連続加熱されためっき鋼板は、一般に鋼板加熱温度マイナス10〜20℃(板温)で巻き取りを完了した後、直ちに保熱されるが、保熱開始時の板温は100℃以上、好ましくは150℃以上であって、且つ[鋼板加熱温度−50]℃以上とすることが好ましい。保熱開始温度が[鋼板加熱温度−50]℃未満では十分な伸び特性改善効果が得られない。
この保熱処理は5分以上行うことが好ましい。保熱時間が5分未満では保熱することによる伸び特性の改善効果が十分に得られない。また、通常300℃未満の温度に加熱されたコイルは保熱開始後24時間程度で常温となるので、保熱は24時間程度を限度に実施すればよい。
図1及び図2に、この方法で行う加熱処理の代表的な昇温・保持・冷却温度パターンを示す。このうち図1はコイルを保熱容器に収納することなく大気中で保熱した場合、図2はコイルを蓋付きの保熱容器に収納して保熱した場合の各温度パターンを示している。
図4は本発明の上記第1の方法の実施状況を模式的に示したもので、Aは連続溶融めっきライン(焼鈍炉から出側巻取装置までのライン構成)である。この連続溶融めっきラインAにおいて、焼鈍炉1を出た鋼板は溶融めっきポット2内に導かれて溶融めっきされた後、ガスワイピングノズル3によりめっき付着量が調整され、引き続き図示しない冷却帯で冷却されることによりめっき金属が完全に凝固する。このめっき鋼板は必要に応じて調質圧延などが施され、引き続き加熱装置4に導かれて300℃未満の温度に連続加熱された後、直ちに巻取装置5によりコイル巻取り張力3.0kg/mm以下でコイルxに巻き取られる。そして、このコイルxはライン外に取り出され、必要に応じて保熱容器6に入れられて、直ちにその保有熱による保熱処理が行われる。
本発明の第2の方法では、上述した第1の方法がコイルをそれ自体の保有熱により保熱処理するのに対して、コイルを加熱炉で加熱保持するものである。
すなわち、本発明の第2の方法では、連続溶融めっきラインにおいて、鋼板面にめっき表面粗さRaが0.20μm以上の溶融Al−Zn系めっき皮膜を形成するとともに、この溶融Al−Zn系めっき鋼板を連続溶融めっきラインの巻取装置の直前で300℃未満の温度に連続加熱し、コイル巻取り張力3.0kg/mm以下で巻き取った後、このコイルを加熱炉においてコイル最高温度部の板温が300℃未満になるような条件で加熱保持する。
ここで、溶融Al−Zn系めっき鋼板のめっき表面粗さRaを0.20μm以上とする理由及びめっき表面粗さRaの好ましい上限などは、先に述べた第1の方法と同様である。
この方法では、めっき鋼板を加熱処理するために、連続溶融めっきラインの巻取装置の直前のめっき鋼板(当然、このめっき鋼板のめっき金属は凝固している)を300℃未満、好ましくは250℃以下の温度に連続加熱するが、このように連続通板するめっき鋼板を加熱するようにしたのは、コイル状態でのバッチ加熱ではコイル内外やコイルの厚み方向、板幅方向で加熱温度が不均一になりやすく、また加熱時間も長くなるのに対して、通板するめっき鋼板の連続加熱では板長手方向及び幅方向での加熱を均一に行うことができるため、めっき鋼板の加熱温度範囲を狭くすることができるからである。この結果、コイル内での温度のバラツキを低減させて均一な品質の製品を得ることができる。また、加熱昇温時間もバッチ加熱に較べて格段に短くでき、加熱処理時間の短縮化による生産の効率化が可能となる。
通板するめっき鋼板の連続加熱の加熱方式には特に制約はなく、ガス加熱方式、電熱ヒーター方式、誘導加熱方式、蒸気加熱方式など適宜な加熱方式を採用することができるが、これらの中でも特に誘導加熱方式が鋼板幅方向の均一加熱を行う上で適している。
この連続溶融めっきラインの巻取装置直前でのめっき鋼板の加熱温度を300℃未満としているのは、加熱温度が300℃以上になるとめっき表面の粘性低下が発生し、コイルへの巻取り後、保熱中にめっき鋼板間で焼付きが発生し、製品としての使用に耐え得るめっき表面外観が得られなくなるためである。また、このような観点から加熱温度は250℃以下がより好ましい。
また、加熱温度の下限については、100℃、好ましくは150℃とすることが適当である。加熱温度が100℃未満では加熱による伸び特性の改善効果が十分に得られない。
また、連続溶融めっきラインにおいてめっき鋼板をコイルに巻取る際に、コイル巻取り張力を3.0kg/mm以下とするのは、巻取り張力が3.0kg/mmを超えるとコイル内でのめっき鋼板間の接触力が大きくなり、コイル保熱時にめっき鋼板間に焼付きが発生し、製品としての使用に耐え得るめっき表面外観が得られなくなるためである。但し、コイル巻取り張力があまり低いとコイル状態に保持する力が弱まり、コイルの変形若しくは潰れが発生しやすい。このためコイル巻取り張力は0.3kg/mm以上とすることが好ましい。
連続溶融めっきラインからめっき鋼板のコイルを取り出した後、直ちに加熱炉においてコイル最高温度部の板温が300℃未満となるような条件で加熱保持する。先に述べた本発明の第1の方法のようにコイルをそれ自体の保有熱により保熱する方法では、コイル内外周やコイルエッジで温度低下が起こり易く、その部分の加熱が不足するおそれがあるが、この方法によればこのようなコイル内での温度が不均一化を生じることなく、加熱処理を行うことができる。
使用する加熱炉としては簡易なものでよく、またその加熱方式にも特に制約はない。したがって、ガス加熱方式、電熱ヒーター方式、誘導加熱方式、蒸気加熱方式など適宜な加熱方法を採用することができる。また、加熱炉は密閉型でも開放型でもよい。
巻取装置の直前で連続加熱されためっき鋼板は、一般に鋼板加熱温度マイナス10〜20℃(板温)で巻き取りを完了した後、直ちに加熱炉に装入されて加熱保持されるが、加熱保持開始時の板温は100℃以上、好ましくは150℃以上であって、且つ[鋼板加熱温度−50]℃以上とすることが好ましい。保熱開始温度が[鋼板加熱温度−50]℃未満では十分な伸び特性改善効果が得られない。
加熱炉内での加熱保持では、コイル最高温度部の板温が300℃未満の範囲内であれば、コイルを昇温させてもよいし、加熱保持開始温度のまま保持してもよい。また、場合によっては緩い温度降下を生じるような加熱保持であってもよい。
この加熱炉内での加熱保持温度をコイル最高温度部の板温で300℃未満としているのは、コイル最高温度部の板温が300℃以上になるとめっき表面の粘性低下が発生し、加熱保持中にめっき鋼板間で焼付きが発生し、製品としての使用に耐え得るめっき表面外観が得られなくなるためである。また、このような観点からコイル最高温度部の板温は250℃以下がより好ましい。
この加熱保持は5分以上、24時間以内で行うことが好ましい。加熱保持時間が5分未満では十分な伸び特性改善効果が得られず、一方、24時間を超えるとめっき鋼板間の焼付きが発生しやすくなり、また生産性も低下する。
図3に、この方法で行う加熱処理の代表的な昇温・保持・冷却温度パターンを示す。
図5は本発明の上記第2の方法の実施状況を模式的に示したものである。この方法では、連続溶融めっきラインAにおいて、焼鈍炉1を出た鋼板は溶融めっきポット2内に導かれて溶融めっきされた後、ガスワイピングノズル3によりめっき付着量が調整され、引き続き図示しない冷却帯で冷却されることによりめっき金属が完全に凝固する。めっき鋼板は必要に応じて調質圧延などが施され、引き続き加熱装置4に導かれて300℃未満の温度に連続加熱された後、直ちに巻取装置5によりコイル巻取り張力3.0kg/mm以下でコイルxに巻き取られる。そして、このコイルxはライン外に取り出されて、加熱炉9に装入され、コイル最高温度部の板温が300℃未満となるような条件で加熱保持が行われる。
本発明法により製造されるめっき鋼板は、めっき表面にスパングルを形成してもよいし、またスパングル模様を目立たなくさせるようにしてもよい。一般に、めっき表面にスパングルを有するめっき鋼板はその外観性から裸使用する用途に、また、めっき表面のスパングル模様を目立たなくさせためっき鋼板は塗装下地用途に、それぞれ適している。
めっき表面のスパングル模様を目立たなくさせるには、常法に従ってめっき後に調質圧延などを実施すればよい。
[実施例1]
常法で製造した冷延鋼板(板厚0.5mm)を連続式溶融めっき設備に通板し、55mass%Al−1.5mass%Si−Znめっき浴を用いて溶融めっきを行い、溶融Al−Zn系めっき鋼板を製造した。連続式溶融めっき設備では、めっき金属が凝固しためっき鋼板を巻取装置直前で加熱装置(誘導加熱方式)により連続加熱した後、コイルに巻き取った。次いで、このコイルを大気中で所定時間保熱処理し、溶融Al−Zn系めっき鋼板の製品とした。
なお、溶融めっきラインのラインスピードは160m/secとし、片面めっき付着量はめっき鋼板間でのバラツキが75〜90g/mの範囲内に収まるようにした。
得られた製品について、下記の方法に基づいて焼付け発生の有無、めっき表面外観及び伸び特性を評価した。その結果を、溶融めっき条件、保熱条件、めっき皮膜の構成とともに表1及び表2に示す。
なお、表1に示す各実施例(本発明例及び比較例)では、加熱処理前に調質圧延を実施することによりめっき表面のスパングル模様を目立たなくさせためっき鋼板を、また表2に示す各実施例(本発明例及び比較例)でめっき表面にスパングルを有するめっき鋼板を、それぞれ製造した。
(1) 焼付けの発生の有無
加熱処理後のコイル巻き戻し時において、めっき鋼板どうしが剥がれる際に発生する音の有無により、下記の通り焼付け発生の有無を評価した。
無し:コイル巻き戻し時にバリバリという音が発生しない。
発生:コイル巻き戻し時にバリバリという音が発生する。
(2) めっき表面外観
加熱処理後のめっき鋼板の表面外観を目視観察し、下記の通りに評価した。
良い:めっき表面は加熱処理前と変化がなく、美麗なめっき表面外観を有する。
悪い:コイル総面積の1%以上の部分に、めっき鋼板間の焼付けによるめっき剥離又は溶着が発生し、劣悪なめっき表面外観を有する。
(3) 伸び特性
JIS Z 2201(1998)金属材料引張試験片に規定されている5号試験片を用いて、JIS Z 2241(1998)金属材料引張試験方法により試験を行い、破断時全伸びにより評価した。具体的な評価方法としては、加熱処理を行う前の鋼板のめっき破断時全伸びに対する破断時全伸びの増加量(%)で評価を行った。
Figure 0004087800
Figure 0004087800
[実施例2]
常法で製造した冷延鋼板(板厚0.5mm)を連続式溶融めっき設備に通板し、55mass%Al−1.5mass%Si−Znめっき浴を用いて溶融めっきを行い、溶融Al−Zn系めっき鋼板を製造した。連続式溶融めっき設備では、めっき金属が凝固しためっき鋼板を巻取装置直前で加熱装置(誘導加熱方式)により連続加熱した後、コイルに巻き取った。次いで、このコイルを簡易加熱炉(電熱ヒーター方式)で所定時間加熱保持し、溶融Al−Zn系めっき鋼板の製品とした。
なお、溶融めっきラインのラインスピードは160m/secとし、片面めっき付着量はめっき鋼板間でのバラツキが75〜90g/mの範囲内に収まるようにした。
得られた製品について、[実施例1]と同様の方法に基づいて焼き付け発生の有無、表面外観及び伸び特性を評価した。その結果を、溶融めっき条件、タイトコイル加熱処理条件、めっき皮膜の構成とともに表3及び表4に示す。
なお、表3に示す各実施例(本発明例及び比較例)では、加熱処理前に調質圧延を実施することにより、めっき表面のスパングルを目立たなくさせためっき鋼板を、また表4に示す各実施例(本発明例及び比較例)ではめっき表面にスパングルを有するめっき鋼板を、それぞれ製造した。
Figure 0004087800
Figure 0004087800
本発明の第1の方法で行う加熱処理の代表的な昇温・保持・冷却温度パターンを示す説明図 本発明の第1の方法で行う加熱処理の代表的な昇温・保持・冷却温度パターンを示す説明図 本発明の第2の方法で行う加熱処理の代表的な昇温・保持・冷却温度パターンを示す説明図 本発明の第1の方法の実施状況を模式的に示す説明図 本発明の第2の方法の実施状況を模式的に示す説明図
符号の説明
1…焼鈍炉、2…溶融めっきポット、3…ガスワイピングノズル、4…加熱装置、5…巻取装置、6…保熱容器、9…加熱炉、A…連続溶融めっきライン、B…連続処理設備、

Claims (2)

  1. めっき皮膜中のAl含有量が20〜95mass%である溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法であって、めっき金属が凝固した後の溶融Al−Zn系めっき鋼板を加熱処理することにより伸び特性の改善を図る方法において、
    めっき表面粗さRaが0.20μm以上2.0μm以下のめっき皮膜が形成された溶融Al−Zn系めっき鋼板を、連続溶融めっきラインの巻取装置の直前で100℃以上300℃未満の温度に連続加熱し、コイル巻取り張力0.3kg/mm 以上3.0kg/mm以下、鋼板加熱温度マイナス10〜20℃(板温)で巻き取った後、該コイルをその保有熱により保熱開始時の板温を100℃以上であって、且つ前記連続加熱での鋼板加熱温度−50℃以上として自己保熱することを特徴とする溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法。
  2. めっき皮膜中のAl含有量が20〜95mass%である溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法であって、めっき金属が凝固した後の溶融Al−Zn系めっき鋼板を加熱処理することにより伸び特性の改善を図る方法において、
    めっき表面粗さRaが0.20μm以上2.0μm以下のめっき皮膜が形成された溶融Al−Zn系めっき鋼板を、連続溶融めっきラインの巻取装置の直前で100℃以上300℃未満の温度に連続加熱し、コイル巻取り張力0.3kg/mm 以上3.0kg/mm以下、鋼板加熱温度マイナス10〜20℃(板温)で巻き取った後、該コイルを加熱炉においてコイル最高温度部の板温が100℃以上300℃未満、加熱保持開始時の板温が100℃以上であって、且つ前記連続加熱での鋼板加熱温度−50℃以上になるような条件で加熱保持することを特徴とする溶融Al−Zn系めっき鋼板の製造方法。
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