JP4087720B2 - 円弧のまわりに羽根を支持するディストリビュータセクタを取付ける装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円弧のまわりにディストリビュータセクタを取付ける装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
本明細書で検討されるディストリビュータは、ターボマシンに使用され、かつ気体の流れを真っ直ぐにする機能をもつ固定子に固定された羽根が取付けられる。ディストリビュータセクタは、フックをかみ合わせることにより固定子ケーシング内側に設置され、ディストリビュータセクタを支承面に載置することができる。支承面の幾つかは、ディストリビュータ羽根に作用する力に耐えなければならない。
【０００３】
図１の知られている例では、ディストリビュータセクタは符号１で示され、固定子ケーシングは符号２で示される。ディストリビュータセクタ１の外側リング３は、上流側タブ４及び下流側タブ５を備え、これらのタブはフック形態である。またケーシング２は、所定のディストリビュータと対で組合さった同様のフック形態の上流側タブ６及び下流側タブ７を備えている。上流側において、セクタ１のタブ４は、ケーシング２のタブ６のまわりに係合され、下流側においては、ケーシング２のタブ７は、セクタ１のタブ５のまわりに係合されている。ディストリビュータに作用する力Ｆが、本質的に下流側方向に向き、かつ上流側における径方向向心力Ｒ１及び下流側における遠心力Ｒ２から成るモーメントの形態で、部分的にケーシング２に伝達されると仮定するなら、これは正当化される。従って、セクタ１のタブ４、５は、力に耐える面である接触面８、９において、ケーシング２のタブ６、７を押圧している。力Ｆの軸方向成分は、タブ７の湾曲したフック形状の端部１０において、タブ５の下流側に作用する軸方向力Ｘによってケーシング２にも伝達され、従って、タブ５と端部１０との間の接触面は、軸方向力に耐える面１１である。
【０００４】
この構造の一つの欠点は、ケーシング２のタブ６、７が非常に強い負荷を受け、それらのフック形状がタブを弱くさせるので、このことが特に問題となり、またタブが気体の流れの中に突出するので、タブが動作条件のもとで特に熱くなり、タブを構成している材料の固有の強度が弱められ得ることにある。ケーシングの重量は、中実にされなければならないタブによって増大され、複雑な形状のため製造は一層困難となる。実際には、ケーシングは、タブから離れた領域で耐えなければならない力では正当化されない、かなり高価な材料で構成されなければならない。
【０００５】
この構造の別の欠点は、組立て中に明らかとなる。すなわちセクタ１の下流側におけるタブ５が、湾曲したフック形状の端部１０の下を通るので、セクタ１は、斜めに提供されなければならず、その後、下流側の力に耐える面９と接触するように、湾曲したフック形状の端部１０の背後に係合された後に回転されなければならない。偏向Ｚ１、Ｚ２はこの傾斜を示し、組立て中にセクタ１の動きを真っ直ぐにする。セクタ１の内側リング１２と回転子１５の羽根１４の段の内側リング１３との間に、十分な隙間が許されなければならないことが分かり、従って漏れ密封性は、この配置ではあまり良好ではない。
【０００６】
ディストリビュータセクタが所定の位置に配置されると、下流側に、“磨耗性”材料のリング１７を含むシーリングセクタ１６を設けることができる。リング１７は、移動羽根１４のリップシール１８と協働してラビリンスシールを形成し、また端部がケーシング２のタブ６、７に嵌合するような形状にされる支持リング１９を備えている。支持リング１９は、上流側ではケーシング２の一方のタブ７の径方向外側面に、また下流側では他方のタブ６の径方向内側面に支持されるので、取付けシステムは、ディストリビュータセクタ１の取付けシステムと同様である。最後に、ディストリビュータセクタ１及びシーリングセクタ１６は、軸方向においてマシンに交互に配列して組立てられる。なぜなら、ディストリビュータセクタ１の外側リング３には、上流側にタブ２０が設けられ、このタブは、隣接したシーリングセクタ１６の下流端に係合され、またシーリングセクタ１６は、ディストリビュータセクタ１の隣接したリング３の下側流タブ５の下側に係合する上流側タブ２１を備えているからである。タブ２０、２１は、セクタ１、１６を適切な位置に保持する。
【０００７】
米国特許第４５２９３５５号明細書には、ケーシングが、ケーシングにねじ込まれたスペーサーを介してシーリングセクタ及びディストリビュータセクタを支持している装置が開示されている。従って、この従来構造はあまり魅力的でないように思われる。
【０００８】
【特許文献１】
米国特許第４５２９３５５号明細書
【特許文献２】
英国特許出願公開第８５６５９９号明細書
【特許文献３】
米国特許第２８５８１０４号明細書
【特許文献４】
米国特許第２９４２８４４号明細書
【特許文献５】
米国特許第５２８８２０６号明細書
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、異なる形式のディストリビュータセクタの取付け装置に関するものであり、その基本的な目的は、ケーシングを簡単化しかつディストリビュータの組立てを一層有利にするために、ケーシングに属するフック型タブの使用を避けることにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明の基本的な概念は、径方向外側及び軸方向の力に耐える面がシーリングセクタに配置され、耐える必要のある力が極めて大きく低減されるように、ケーシングが、本質的に殆ど又は全く負荷に耐えない単なる支承面を提供する。
【００１１】
本発明の一つの重要な形態では、ディストリビュータセクタ及びシーリングセクタは、二つの軸方向両端にタブを備え、ディストリビュータセクタのタブは、シーリングセクタのタブとケーシングとの間に締付けられ、またシーリングセクタは、中間位置でケーシングに固定されることを特徴としている。
【００１２】
本発明のある特定の実施の形態では、シーリングセクタによってケーシングに伝達される力、及び特に異なる支承面に生じる力から派生するモーメントを低減するようにされる。
【００１３】
以下、本発明の全ての態様を、添付図面を参照して説明する。
【００１４】
【発明の実施の形態】
全体を符号２５で示すディストリビュータセクタの全体形状は、殆ど変更されず、それでもなお、上流側にタブ２７、および下流側にタブ２８を備えた外側リング２６を有している。タブ２７、２８は、符号３１で示すケーシングの内側に面した径方向面２９、３０で、外側面を押圧している。符号３２で示すシーリングセクタは、ディストリビュータセクタ２５と交互に配置され、かつ磨耗性リング３３に加えて外側リング３４を有する。外側リング３４の下流端３５及び上流端３６は、タブ２７、２８を互いにかつケーシング３１の支承面２９、３０の間にそれぞれ締め付けている。より正確には、下流端３５は、径方向向心力Ｒ１の加わる外側３７に面した径方向支承面を支持し、また上流端３６は、外側に面した径方向支承面３８及び軸方向力Ｘに耐える軸方向支承面３９を支持している。外側リング３４は、中間部分を介してケーシング３１に接続される。中間部分には、シーリングセクタ３２の位置を正確に調整するために、ケーシング３１における相補形状の溝４１（すなわち中空部）に貫入するリブ４０（すなわち突起部）が形成されている。突起部４０及びケーシング３１にはねじ４２が嵌合され、シーリングセクタ３２をケーシングに固定している。これらのねじ４２は、ナット４６によってケーシングに固定されている。押嵌型ピンのような別の取付け装置も、同じ機能を満たし得る。
【００１５】
ディストリビュータセクタ２５に加わる殆どの力は、シーリングセクタ３２で耐えられる。従って、これらのシーリングセクタは、そのように構成されなければならないが、知られている例によるケーシング２のフック型タブより負荷が少ない。
【００１６】
実際にケーシング３１及びシーリングセクタ３２から、複雑で弱い形状は消える。ケーシング３１の支承面２９、３０は、中実及び従って丈夫な部品に構成される。下流側のタブ２８に作用する径方向力Ｒ２及び軸方向力Ｘは、異なる部分に働き、これにより二つの部分の負荷は軽減される。
【００１７】
さらに、力Ｒ_１及びＸは、ケーシング３１に対するねじ４２の取付け点のまわりで、外側リング３４に反対方向のモーメントＲ_１×Ｌ、Ｘ×ｌを働かせ、力Ｒ及びＸのレバーアームＬ、ｌはそれぞれ、それらのモーメントが同じような値をもち、かつねじ４２に生じる曲げが非常に低減されるように、ねじ４２の位置を慎重に選択することにより調整され得る。さらに、ディストリビュータセクタ２５は、純粋に軸方向の動きで組み込まれ得、その後、シーリングセクタ３２はディストリビュータセクタ２５の背後に組み込まれることが分かる。このことは一層有利であり、マシンのレイアウトを決めるのにより大きな自由度が与えられる。ピン４４によってケーシング３１に固定された張出し部材４３は、ディストリビュータセクタ２５に対する軸方向止め面４５を形成するように付加され得る。
【００１８】
さらに、この代表的な軸方向組立体は、固定子羽根（図１のセクタ１の内側リング１２）と回転子羽根（図１の回転子羽根１５の内側リング１３）との間の軸方向隙間を減させる手段であり、その結果、これは、回転子と固定子との間の漏れ部分４７を減少し、羽根組立体は効率的となる。
【００１９】
図２の図面は、図１の図面のすべての部分を含んでいないが、本発明は、ディストリビュータセクタ２５及びシーリングセクタ３２の一群の段に拡張され得、そして特にディストリビュータセクタ２５の一段は、二つの端部で上記した方法でシーリングセクタ３２の二つの連続する段を押圧していることが理解されるべきである。ディストリビュータセクタ２５は図１のものと本質的に同じであるので、シーリングセクタ３２を示すために特別の努力がなされた。
【図面の簡単な説明】
【図１】知られているタイプのディストリビュータセクタの取付け装置を示す。
【図２】本発明の好ましい実施の形態による装置を示す。
【符号の説明】
２５ ディストリビュータセクタ
２６ 外側リング
２７、２８ タブ
２９、３０ 径方向面
３１ ケーシング
３２ シールセクタ
３３ 磨耗性リング
３４ 外側リング
３５ 下流端
３６ 上流端
３７ 支承面
３９ 軸方向支承面
４０ リブ
４２ ねじ
４３ 張出し部材
４５ 軸方向止め面
４６ ナット

Claims (4)

1. 円弧のまわりに固定子ケーシング（３１）に対して羽根支持ディストリビュータセクタを取付ける装置であって、ケーシング及び独立した取付け部材に分配されたディストリビュータセクタに対する径方向及び軸方向の支承面（２９、３０、３７、３８、３９）を含み、該支承面は、径方向外側に向いた少なくとも一つの面（３７）と軸方向に向いた別の面（３９）とを含み、当該両面がセクタの羽根に加わる力に耐え、シーリングセクタ（３２）が、ケーシングに固定され、かつ軸方向にディストリビュータセクタと交互に配置され、
   前記力に耐える径方向外側に向いた面及び軸方向に向いた面が、シーリングセクタに配置され、ディストリビュータセクタ及びシーリングセクタが、二つの軸方向両端にタブを備え、ディストリビュータセクタのタブ（２７、２８）が、シーリングセクタ（３２）のタブ（３５、３６）とケーシング（３１）との間に締付けられ、シーリングセクタが、中間位置でケーシングに固定されることを特徴とする、円弧のまわりに固定子ケーシングに対して羽根支持ディストリビュータセクタを取付ける装置。
2. シーリングセクタが、ケーシングを通りかつケーシングにおける位置決め手段を備える要素（４２）によって、ケーシングに固定されることを特徴する、請求項１に記載の円弧のまわりに羽根支持ディストリビュータセクタを取付ける装置。
3. 力に耐える軸方向に向いた面（３９）が、シーリングセクタの上流側に軸方向に配置され、また力に耐える径方向外側に向いた面（３７）が、シーリングセクタの下流側に軸方向に配置されていることを特徴する、請求項２に記載の円弧のまわりに羽根支持ディストリビュータセクタを取付ける装置。
4. 力に耐える面で耐えられる力が、ケーシングを通る要素にほぼ等しい値の反対方向モーメント（Ｒ１×Ｌ、Ｘ×ｌ）を作用させるように、シーリングセクタが構成されることを特徴する、請求項３に記載の円弧のまわりに羽根支持ディストリビュータセクタを取付ける装置。

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