JP4083667B2 - 光記録媒体 - Google Patents
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Description
例えば、DVD+RではCD−Rと同様に、基板上に色素をスピンコーティングして光記録層を設け、その背後に金属反射層を設けた情報記録用基板を、貼り合せ材を介して同形状の基板と貼り合せるという構成が採用されている。この場合、光記録層としては色素系材料が用いられる。CD−RはCDの規格を満足する高反射率(65%)を有することが特徴の一つであるが、上記構成において高反射率を得るためには、光吸収層が記録再生光波長で特定の複素屈折率を満足する必要があり、色素の光吸収特性が適していたからである。これはDVDでも同様である。
表面に第1の記録層及び第1の反射層を順次形成した光案内溝を有する第1の情報基板と、表面に第2の反射層、第2の記録層、無機保護層を順次形成した光案内溝を有する第2の情報基板とを、有機透明中間層を介して基板が外側になるように貼り合わせたのもので、第2の記録層からも良好な信号反射率が得られる。即ち、無機保護層により有機透明中間層との密着による第2の記録層のダメージを抑制し、色素記録層両界面の多重干渉効果により、第2の記録層から高反射率を得る構成となっている。2層の記録層から信号を読み取ることができるので、最大8.5GB程度の記憶容量が得られる。
第1及び第2の基板の厚みは約0.6mmであり、有機透明中間層の厚みは約50μmである。第1の反射層となる半透明膜は、その反射率が30%程度となるように形成されており、第2の記録層に記録するために照射されるレーザー光は、第1の反射層で全光量の約30%が反射されて減衰したのち、第2の記録層に隣接する第2の反射層で反射され、再度第1の反射層で減衰してディスクから出ていく。再生用レーザー光を、第1の記録層又は第2の記録層上に焦点が位置するように絞り、反射光を検出することにより、それぞれの記録層に記録された情報を読み取ることができる。なお、DVDの場合記録再生に用いるレーザー光波長は約650nmである。
本発明は、この問題点を解消すると共に、2層の記録層を有するデュアルレイヤータイプの光記録媒体を元にして、非2P法(フォトポリマー法)で作成でき、有機色素を主成分とする追記可能な記録層を3層有する両面記録再生タイプの光記録媒体の提供を目的とする。
1) 光案内溝を有する第1の基板上に、有機色素を主成分とする追記可能な第1の記録層、第1の反射層、第1の保護層を順次形成した第1の情報基板と、光案内溝を有する第2の基板上に、有機色素を主成分とする追記可能な第3の記録層、第2の反射層、有機色素を主成分とする追記可能な第2の記録層、無機保護層を順次形成した第2の情報基板とが、有機透明中間層(接着層)を介して、基板が外側になるように貼り合わされた光記録媒体であって、第1、第2の記録層の記録再生は第1の基板方向からレーザー光を照射することにより行われ、第3の記録層の記録再生は第2の基板方向からレーザー光を照射することにより行われるものであることを特徴とする光記録媒体。
2) 第3の記録層と第2の反射層の間に第2の保護層を有することを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 第1の基板がグルーブにウォブルを有し、グルーブトラッキングにより第1の記録層を内周から外周に向けて記録再生することができ、ランドトラッキングにより第2の記録層を外周から内周に向けて記録再生することができ、かつ第2の基板がランドにウォブルを有することを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
4) 第3の記録層がランドトラッキングにより内周から外周に向けて記録再生されることを特徴とする3)記載の光記録媒体。
5) 無機保護層の膜厚が500〜2000Åであることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体
本発明は、従来の2枚の基板を貼り合わせた2層光記録媒体に対して、第2の基板上に、反射層を間に挟んで有機色素を主成分とする追記可能な2層の記録層を形成し、両面から記録再生できるようにした、記録層を3層有する、記録容量が単層光記録媒体の約3倍の高密度光記録媒体である。
図3に、本発明の光記録媒体の構成例を示す。21は第1の基板、22は第2の基板、23は有機色素を主成分とする追記可能な第1の記録層、24は第1の反射層、25は第1の保護層、26は有機透明中間層(透過性を有する接着層)、27は有機色素を主成分とする追記可能な第2の記録層、28は第2の反射層、29は無機保護層、30は有機色素を主成分とする追記可能な第3の記録層である。第1、第2の記録層23、27に関しては第1の基板面側から、第3の記録層30に関しては第2の基板面側から光を照射することにより記録再生が行われる。なお、以後の説明において、有機透明中間層を境にして、第1の基板側にある部分を第1の情報基板、第2の基板側にある部分を第2の情報基板ということにする。
即ち、本発明では第1の基板方向からレーザー光を照射した際に、無機保護層によって有機透明中間層との密着による第2の記録層のダメージを抑制できると共に、色素記録層両界面の多重干渉効果により、第2の記録層から高反射率を得ることができ、また第2の基板方向からレーザー光を照射することで、第3の記録層からも高反射率を得ることができる構成となっている。なお、第2の記録層と第3の記録層の距離が近いので、第1の基板方向から照射するレーザー光が第3の記録層に影響を与えたり、第2の基板方向から照射するレーザー光が第2の記録層に影響を与えたりしないようにするため、第2の記録層と第3の記録層の間に、第2の反射層に加えて第2の保護層を設けることが好ましい。
第1、第2の保護層には、紫外線硬化樹脂などの有機材料を用いる。第1の保護層の膜厚は、2〜3μmとする。また、第2の保護層の膜厚は、100〜400Å程度とする。第2の反射層の膜厚は後述するように通常50〜3000Å程度であるから、第2の保護層と併せて150〜3400Åとなる。
DVDの記録再生波長(約650nm)では、基板の好ましい溝深さは300〜1400Å、溝幅は0.1〜0.35μmである。この範囲よりも溝深さが深いか又は溝幅が広いと反射率が低下し易く、この範囲よりも溝深さが浅いか又は溝幅が狭いと形成する記録マークの形状が揃い難くジッターが増加し易い。
中でも、膜の光吸収スペクトルの最大吸収波長が550〜650nmにありレーザー光波長(約650nm)において所望の光学特性が得易い色素化合物としては、溶剤塗布による製膜性、光学特性の調整のし易さから、テトラアザポルフィラジン色素、シアニン色素、アゾ色素、スクアリリウム色素が挙げられる。
なお、有機色素を主成分とするとは、良好な記録再生特性を確保するのに十分な量の色素を用いることを意味するが、通常は必要に応じて添加するバインダーや安定剤などの添加剤を除き、色素のみからなる記録層とする。
記録層の膜厚は、100〜5000Åが好ましく、特に500〜2000Åが望ましい。膜厚がこの範囲より薄くなると記録感度が低下し、厚くなると反射率が低下する。
反射層の膜厚は一般に50〜3000Åとするが、第1反射層については、光透過率が40%以上になるように膜厚を調整する必要がある。好ましくは50〜300Åである。膜厚が厚くなると光透過率は減衰し易い。これらの反射層上には化学的・物理的保護のために保護層を設けても良く、その材料としては紫外線硬化樹脂などが用いられる。
有機透明中間層は透過性を有する接着層として用いることが好ましく、その材料としては既存のアクリレート系、エポキシ系、ウレタン系の紫外線硬化型又は熱硬化型接着剤等が使用できる。厚さは通常50〜65μm程度とする。
図3に示す層構成例の場合、表面にグルーブが形成された第1の基板上に、第1の記録層を塗布成膜手段により形成し、その上に第1の反射層を真空成膜手段により形成し、その上に第1の保護層を塗布製膜手段により形成して第1の情報基板を作成する。
一方、表面にグルーブが形成された第2の基板上に、第3の記録層及び第2の保護層を塗布製膜手段により形成し、その上に第2の反射層を真空製膜手段により形成し、その上に第2の記録層を塗布製膜手段により形成し、更にその上に無機保護層を真空製膜手段により形成して第2の情報基板を作成する。
次いで、第1の情報基板と第2の情報基板を、接着剤からなる有機透明中間層を介して貼り合わせれば本発明の光記録媒体を容易に作成できる。
<第1の情報基板の製造>
(イ) 表面にグルーブが形成されている第1の基板上に、第1の記録層を塗布成膜
手段により設ける工程。
(ロ) 第1の記録層の上に第1の反射層を真空成膜手段により設ける工程。
(ハ) 第1の反射層の上に第1の保護層を塗布成膜手段により設ける工程。
なお、上記第1の情報基板の製造工程は、従来のDVD+RやDVD−ROMの場合と同様である。
<第2の情報基板の製造>
(ニ) 表面にグルーブが形成されている第2の基板上に、第3の記録層を塗布成膜
手段により設ける工程。
(ホ) 第3の記録層の上に第2の保護層を塗布成膜手段により設ける工程。
(ヘ) 第2の保護層の上に第2の反射層を真空成膜手段により設ける工程。
(ト) 第2の反射層の上に第2の記録層を塗布成膜手段により設ける工程。
(チ) 第2の記録層の上に無機保護層を真空成膜手段により設ける工程。
<貼り合わせ工程>
(リ) 第1の情報基板と第2の情報基板を、接着層を介して貼り合わせる工程。
<記録層形成工程>
本発明では、通常、有機色素を主成分とする記録層を塗布成膜手段により設ける。即ち、有機色素化合物を溶媒に溶かした塗布液を基板上に塗布することにより形成する。塗布液を調整するための溶媒としては、公知の有機溶媒(例えばアルコール、セロソルブ、ハロゲン化炭素、ケトン、エーテル等)を使用することができる。また、コート方法としては、塗布液の濃度、粘度、溶剤の乾燥温度を調節することにより膜厚を制御できるため、スピンコート法が望ましい。
<反射層形成工程>
本発明では、通常、反射層を真空成膜手段により設ける。即ち、反射層材料を、例えば蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより形成する。
<無機保護層形成工程>
本発明では、通常、第2の記録層上に無機保護層を真空成膜手段により設ける。即ち、無機保護層材料を、例えば蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより形成する。
<保護層形成工程>
本発明では、通常、第1、第2の保護層を塗布成膜手段により設ける。塗布液の調整や塗布手段は記録層の場合と同様である。
<貼り合わせ工程>
本発明では、第1と第2の情報基板を、接着層を介して貼り合わせる。即ち、無機保護層の表面に接着剤を滴下し、第1の情報基板を上から被せると共に接着剤を均一に広げた後、紫外線照射により硬化させる。
本発明2によれば、第2の記録層と第3の記録層の情報を明瞭に区別して記録再生できる。
本発明3〜4によれば、2つの記録面にまたがる時間的に連続した情報を続けて記録再生できる。
本発明5によれば、良好な記録信号変調度が得られる。
直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート円板の表面上に深さ1600Å、トラックピッチ0.74μmの案内溝凸凹パターンを有する第1の基板を用意し、その上に、下記〔化1〕のスクアリリウム色素化合物を2,2,3,3−テトラフルオルプロパノールに溶解した塗布液をスピンコートして、厚さ700Åの第1の記録層を形成し、その上に、Arをスパッタガスとしたスパッタ法によりAgからなる厚さ110Åの第1の反射層を形成し、その上に紫外線硬化樹脂からなる厚さ3μmの第1の保護層を形成して、第1の情報基板を得た。
一方、直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート円板の表面上に深さ900Å、トラックピッチ0.74μmの案内溝凸凹パターンを有する第2の基板を用意し、その上に、下記〔化1〕のスクアリリウム色素化合物を2,2,3,3−テトラフルオルプロパノールに溶解した塗布液をスピンコートして、厚さ800Åの第3の記録層を形成し、その上に、Arをスパッタガスとしたスパッタ法によりAgからなる厚さ1400Åの第2の反射層を形成し、その上に、下記〔化1〕のスクアリリウム色素化合物を2,2,3,3−テトラフルオルプロパノールに溶解した塗布液をスピンコートして、厚さ1000Åの第2の記録層を形成し、その上に、Arをスパッタガスとしたスパッタ法によりZnS・SiO2からなる厚さ1000Åの無機保護層を形成して、第2の情報基板を得た。
次いで、上記第1と第2の情報基板を、厚さ50μmの有機透明中間層となる紫外線硬化型接着剤(日本化薬製 KARAYAD DVD003)で貼り合わせ、図3に示す層構成の光記録媒体を作成した。
この光記録媒体について、パルステック社のDDU1000を評価装置に用いて、第2の基板方向から波長657nmのレーザー光を照射し、NA:0.65、線速度3.49m/sの条件で、第3の記録層におけるDVD(8−16)信号を記録/再生評価した。
その結果、記録後の反射率(I14H)64%、変調度(I3/I14)31%が得られた。この2つの項目は、DVD−Video/ROMの物理フォーマット規格と比較したときに、反射率(single layer、シングル・レイヤー):45〜85%、変調度(I3/I14):15%以上の規格を満たしており、再生DVDとの物理的な互換を確保している。
次に、第1の基板方向からレーザー光を照射した点以外は上記と同様にして第1の記録層について評価した結果、記録後の反射率(I14H)23%、変調度(I3/I14)36%が得られた。ここで第1、第2の記録層はdual layer(デュアル・レイヤー)に相当し、DVD−Video/ROMの物理フォーマット規格では、反射率(dual layer):18〜30%となっており、記録後の反射率は再生DVDとの物理的な互換を確保している。
第2の基板の溝深さを1100Åに変更した点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作成し、実施例1と同様にして第3の記録層について評価した結果、記録後の反射率(I14H)58%、変調度(I3/I14)32%が得られた。
第2の基板の溝深さを300Åに変更し、第1の反射層を厚さ110ÅのAuに変更した点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作成し、第2の記録層を評価対象として第1の基板方向からレーザー光を照射した点以外は実施例1と同様にして評価した結果、記録後の反射率(I14H)20%、変調度(I3/I14)43%が得られた。
2 第2の基板
3 有機色素を主成分とする追記可能な第1の記録層
4 有機色素を主成分とする追記可能な第2の記録層
5 有機透明中間層(透過性を有する接着層)
6 第1の反射層
7 第2の反射層
8 無機保護層
11 光ディスク
12 ディスク基板
13 下部信号層
14 多層構造
15 感圧性粘着シート層
16 紫外線硬化樹脂層
17 上部信号層
18 光学的に透明なカバー層
21 第1の基板
22 第2の基板
23 有機色素を主成分とする追記可能な第1の記録層
24 第1の反射層
25 第1の保護層
26 有機透明中間層(透過性を有する接着層)
27 有機色素を主成分とする追記可能な第2の記録層
28 第2の反射層
29 無機保護層
30 有機色素を主成分とする追記可能な第3の記録層
Claims (5)
- 光案内溝を有する第1の基板上に、有機色素を主成分とする追記可能な第1の記録層、第1の反射層、第1の保護層を順次形成した第1の情報基板と、光案内溝を有する第2の基板上に、有機色素を主成分とする追記可能な第3の記録層、第2の反射層、有機色素を主成分とする追記可能な第2の記録層、無機保護層を順次形成した第2の情報基板とが、有機透明中間層(接着層)を介して、基板が外側になるように貼り合わされた光記録媒体であって、第1、第2の記録層の記録再生は第1の基板方向からレーザー光を照射することにより行われ、第3の記録層の記録再生は第2の基板方向からレーザー光を照射することにより行われるものであることを特徴とする光記録媒体。
- 第3の記録層と第2の反射層の間に第2の保護層を有することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 第1の基板がグルーブにウォブルを有し、グルーブトラッキングにより第1の記録層を内周から外周に向けて記録再生することができ、ランドトラッキングにより第2の記録層を外周から内周に向けて記録再生することができ、かつ第2の基板がランドにウォブルを有することを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
- 第3の記録層がランドトラッキングにより内周から外周に向けて記録再生されることを特徴とする請求項3記載の光記録媒体。
- 無機保護層の膜厚が500〜2000Åであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体
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