JP4082814B2 - 可変容量型圧縮機用制御弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等の空調装置に使用される可変容量型圧縮機用の制御弁に係り、特に、必要に応じて吐出圧領域からクランク室内における冷媒ガスの供給を制御する可変容量型圧縮機用制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からシリンダ、ピストン、斜板等を備えた可変容量型圧縮機は、例えば、自動車用の空気調和装置の冷媒ガスを圧縮して吐出するために用いられており、該可変容量型圧縮機は、吐出圧領域とクランク室とを連通する冷媒ガス通路を備え、前記クランク室内の圧力を調整することにより、斜板の傾斜角度を変更して、吐出容量を変更するように構成されたものが知られている。クランク室内の圧力調整は、冷媒ガス通路の途中に設けられた制御弁の開度調整により、前記吐出圧領域から前記クランク室に高圧の圧縮冷媒ガスを供給することで行われる。
【0003】
このような制御弁としては、例えば、図8及び図9に示すような可変容量型圧縮機用の制御弁100′(以下「制御弁」という。)がある(特開平9−268974号公報参照)。該制御弁100′は、可変容量型圧縮機200のリヤハウジング210側に設けられるものであって、可変容量型圧縮機200のシリンダブロック220に連接されているフロントハウジング230内のクランク室231の圧力調整を行うものである。
【0004】
クランク室231内部には、斜板240が駆動シャフト250の軸線方向にスライド、かつ斜動可能に支持され、斜板240のガイドピン241が回転支持体251の支持アーム252にスライド自在に支持される。
また、斜板240は、該斜板240の一対のシュー242を介してシリンダボア221内に摺動自在に配設されるピストン260に連結されている。
【0005】
シリンダボア221内の吸入圧力Psとクランク室231内のクランク室圧力Pcとの差に応じて、前記斜板240は、矢印方向に回動し、傾斜角度を変更する。該傾斜角度に基づいてピストン260のシリンダボア221内における前後動のストローク幅が決定される。そして、斜板240の矢印方向の回動に伴って、斜板240の中腹部に当接する遮断体270が収容孔222内を前後動する。
【0006】
リヤハウジング210には、吸入圧領域を構成する吸入室211a,211b及び吐出圧領域を構成する吐出室212a,212bが区画形成され、前記斜板240の回転に基づいてピストン260が前後動することによって、吸入室211a内の冷媒ガスが、吸入ポート213からシリンダボア221内に吸入され、所定の圧力に圧縮された後、吐出ポート214から吐出室212aに吐出される。
【0007】
さらに、リヤハウジング210の中心部分に形成される吸入通路215は、前記収容孔222に連通するとともに、通孔216を介して前記吸入室211bに連通する。ここで、斜板240が遮断体270側に移動すると、該遮断体270は、前記吸入通路215側に移動し、通孔216を閉鎖する。
【0008】
吸入通路215と制御弁100′の上部側は、制御弁100′内に吸入圧力Psを導く検圧通路217によって連通され、また、吐出室212bとクランク室231は、制御弁100′の給気通路218,219を介して連通され、該給気通路218,219は、制御弁100′の弁体106′によって開閉される。
【0009】
吐出室212bの吐出圧力Pdは、給気通路218を介して弁室ポート113′に、クランク室内圧力Pcは、弁孔ポート114′を通って給気通路219に導かれ、吸入圧力Psは、検圧通路217を介して吸入圧導入ポート115′に導かれる。
【0010】
空調装置の作動スイッチ280がオンの場合、例えば、室内センサ281の検出温度が室温設定器282の設定温度以上であるときには、制御コンピュータ283は制御弁100′のソレノイド101′の励磁を指令し、駆動回路284を介して所定の電流がソレノイド101′に供給され、該ソレノイド101′の吸引力及びばね103′の付勢力によって、可動鉄心102′が固定鉄心104′側に引き寄せられる。
【0011】
可動鉄心102′の移動に伴い、ソレノイドロッド105′に取り付けられている弁体106′は、強制開放ばね107′の付勢力に抗しつつ弁孔108′の開度を減少する側に移動する。この移動に伴い、弁体106′と一体の感圧ロッド109′も上昇し、感圧ロッド受け部110′を介して、接離自在に連結されているベローズ111′が押し付けられる。
【0012】
該ベローズ111′は、検圧通路217を介して感圧部112′内に導入される吸入圧力Psの変動に応じて変位するものであり、前記感圧ロッド109′に対して負荷を与える。すなわち、制御弁100′は、前記ソレノイド101′による吸引力、前記ベローズ111′の付勢力及び前記強制開放ばね107′の付勢力等とのバランスによって、弁体106′による弁孔108′の弁開度を決定する。
【0013】
室内センサ281の検出温度と室温設定器282の設定温度との差が上述のように大きい(冷房負荷が大きい)ときには、電流値の増加によって可動鉄心102′が固定鉄心104′により吸引され、弁体106′の弁孔108′の開度を減少させる力が増し、制御弁100′は、より低い吸入圧力Psを保持するように作動し、この圧力にて前記弁体106′の開閉が行われる。
【0014】
弁開度が小さくなると、吐出室212bから給気通路218,219を介してクランク室231に流れる冷媒ガス量が少なくなり、同時にクランク室231のガスは吸入室211a,211bに流出するので、クランク室内圧力Pcが低くなる。そして、冷房負荷が大きいときには、前記シリンダボア221内の吸入圧力Psが高く、該吸入圧力Psと前記クランク室内圧力Pcとに差を生じ、前記斜板240の傾斜角度が大きくなることで、前記遮断体270が前記吸入通路215側から離れて通路216を開くものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の制御弁100′では、図8及び図9に示したように、制御弁100′の弁室ポート113′に前記給気通路218を介して吐出圧力Pdが導かれるようになっている。該吐出圧力Pdは高圧であり、しかも吐出圧力Pdをもたらす冷媒ガスは、前記ピストン260の前後動作により所定の圧力に達するまで圧縮されることで高熱を放つため、該高熱により前記制御弁100′自体が高温となり、前記弁体106′による前記弁孔108′の開閉精度が低下してしまうという問題がある。
【0016】
また、前記ソレノイド101′によるソレノイドロッド105′の吸引力の作用点と前記ベローズ111′による付勢力の作用点とが離れた状態にあるため、閉弁時における前記ソレノイドロッド105′の移動時に該ソレノイドロッド105′にガタ付きが生じるおそれがあり、弁開閉精度を向上させる上で妨げとなっている。
【0017】
これを解決するために、本出願人は特願平10−250156号において、ソレノイドロッドの下側にベローズを備え、前記ソレノイドロッドの吸引力の作用点と前記ベローズの付勢力の作用点とを近付ける技術を提案しているが、低圧の吸入圧力Psが前記ベローズ側に冷媒だまりとして留まり易くなるために、制御弁本体の下端部とプランジャの上端面との面接触による貼り付き等の該プランジャの動きの阻害要因、及び冷媒のダンパー作用による前記プランジャ及びステムの動きの阻害要因等については、格別の配慮がなされたものではなかった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、制御弁のプランジャ及びステムの動きをスムーズに行って、弁開閉精度を向上させる可変容量型圧縮機用制御弁を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、本発明に係る可変容量型圧縮機用制御弁は、中央部に配置したソレノイド励磁部と、該ソレノイド励磁部の上側に配置した制御弁本体と、下側に配置した感圧部と、を備えた可変容量型圧縮機用制御弁において、前記ソレノイド励磁部は、ソレノイドと、該ソレノイドの励磁によって上下方向に移動するプランジャと、該プランジャに前記感圧部の動きを伝達するステムとを備え、前記プランジャは、該プランジャにより開閉作動する弁体の下端と前記制御弁本体の下端に接触する上端面を有する上部と、前記ステムの上部をその下端面から挿通する主部とを有するとともに、前記上端面は、前記制御弁本体との接触面積を少なくするべく、前記プランジャの主部の断面積よりも小なる表面積に形成すること、前記プランジャの内部には、該プランジャの長手軸方向の冷媒抜き孔を形成すること、又は該長手軸に交差する方向に他の冷媒抜き孔を形成することを特徴としている。
【0019】
そして、本発明に係る可変容量型圧縮機用制御弁における好ましい具体的な態様は、前記プランジャの内部は、該プランジャの長手軸方向の冷媒抜き孔及び該長手軸に交差する方向に他の冷媒抜き孔を形成し、前記プランジャの長手軸方向の冷媒抜き孔は、前記長手軸の交差方向の冷媒抜き孔と連通していること、前記プランジャの長手軸方向に貫通していること、又は前記長手軸の交差方向の冷媒抜き孔と同径の孔であることを特徴としている。
【0020】
さらに、本発明に係る可変容量型圧縮機用制御弁における好ましい他の具体的な態様は、前記プランジャは、前記主部の側面にスリットを備えていることを特徴としている。
さらにまた、前記ステムは、内部に該ステムの長手軸方向の冷媒抜き孔を備え、該ステムの長手軸方向の冷媒抜き孔は、前記ステムの長手軸方向に貫通していること、又は前記ステムは、側面にスリットを備えていることを特徴としている。
【0021】
前記の如く構成された本発明に係る可変容量型圧縮機用制御弁は、プランジャ又はステムの内部に、プランジャの長手軸方向及び該長手軸に交差する方向に冷媒抜き孔を備える構成としたことによって、プランジャの下方に貯まった冷媒をプランジャ室の上部に移動させることができ、弁の開閉精度を向上させることができる。
また、プランジャ又はステムの側面にスリットを備える構成とすることと相俟って、弁体動作の不具合をを防ぐことができ、弁の開閉精度をさらに向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明に係る可変容量型圧縮機用制御弁の一実施形態について説明する。 図1及び図2は、本実施形態の制御弁100を備えた可変容量型圧縮機1を示しており、図1は、該可変容量型圧縮機1の吐出通路が開いた状態を示す縦断面図、図2は、吐出通路が閉じた状態を示す縦断面図である。
可変容量型圧縮機1のシリンダブロック2の一端面には、バルブプレート2aを介してリヤハウジング3が、他端面には、フロントハウジング4がそれぞれ固定される。シリンダブロック2には、シャフト(回転軸)5を中心に周方向の所定間隔おきに複数のシリンダボア6が配設される。該シリンダボア6内には、それぞれピストン7が摺動可能に収容される。
【0023】
フロントハウジング4内には、クランク室8が形成され、該クランク室8内には、斜板10が収納される。該斜板10の摺動面10aには、コネクティングロッド11の球体状の一端部11aを相対転動可能に支持するシュー50がリテーナ53で保持される。リテーナ53は、ラジアル軸受55を介して斜板10のボス部10bに装着され、斜板10に対して相対回転可能である。ラジアル軸受55は、ねじ45で固定されたストッパ54によってボス部10bに抜け止めされている。コネクティングロッド11の他端部11bはピストン7に固定されている。
【0024】
シュー50は、コネクティングロッド11の一端部11aの先端面を相対転動可能に支持するシュー本体51と、コネクティングロッド11の一端部11aの後端面を相対転動可能に支持するワッシャ52とで構成されている。
リヤハウジング3には、吐出室12と吸入室13とが形成される。該吸入室13は、吐出室12を包囲するように配置されている。前記リヤハウジング3には、エバポレータ(図示省略)の出口に通じる吸入口(図示省略)が設けられている。 図1は、吐出通路39が開いた状態を示し、図2は該吐出通路39が閉じた状態を示している。前記吐出室12と吐出口1aとを連通する吐出通路39の途中には、スプール弁(吐出制御弁)31が設けられており、吐出通路39は、リヤハウジング3に形成された通路39aと、バルブプレート2aに形成された通路39bとで構成され、該通路39bは、シリンダブロック2に形成された吐出口1aに通じている。
【0025】
有底筒状のスプール弁31内には、ばね(付勢部材)32が収容され、前記リヤハウジング3にキャップ59で固定されたストッパ56には、ばね32の一端が当接し、該ばね32の他端は、スプール弁31の底面に当接している。該スプール弁31の内部空間33は、通路34を介してクランク室8に連通している。
【0026】
前記スプール弁31の一方(上側)には、ばね32の付勢力とクランク室8の圧力が閉弁方向(弁開度が小さくなる方向)に作用する。一方、前記スプール弁31の開弁時には吐出口1aと吐出室12は、吐出通路39を介して連通しているため(図1参照)、このときのスプール弁31の他方(下側)には、吐出口1aの圧力及び吐出室12の圧力が開弁方向(弁開度が大きくなる方向)に作用する。但し、クランク室8と吐出口1aの圧力差が所定値以下になったときには、スプール弁31が閉弁方向に移動して吐出通路39を遮断し、スプール弁31の下側には、吐出室12の圧力だけが開弁方向に作用する。すなわち、スプール弁31の下側には、吐出口1aの圧力が作用しなくなる。
【0027】
吐出室12とクランク室8とは、第二の通路57を介して連通する。該通路57の途中には、詳細を後述する本実施形態の制御弁100が圧縮機1の中心位置よりも下側に設けられている。第二の通路57は、熱負荷が大きいときには、制御弁100のソレノイド131Aの通電により弁体132が着座することによって遮断され、熱負荷が小さいときには、ソレノイド131Aへの通電停止により弁体132が弁座125aから離れることによって解放される。前記制御弁100の作動はコンピュータ(図示省略)によって制御される。
【0028】
前記吸入室13とクランク室8とは、第一の通路58を介して連通する。該通路58は、バルブプレート2aに形成されたオリフィス(第二のオリフィス)58aと、シリンダブロック2に形成された通路58bと、シャフト5に固定されたリング(環状体)9に形成された孔58cとで構成される。吸入室13とクランク室8とは第三の通路60を介して連通している。該通路60は、フロントハウジング4に形成された通路60aと、フロント側軸受収容空間60bと、シャフト5に形成された通路60cと、シリンダブロック2に形成されたリヤ側軸受収容空間60dと、シリンダブロック2の通路58bと、バルブプレート2aのオリフィス58aとで構成される。よって、前記シリンダブロック2の通路58bと前記バルブプレート2aのオリフィス58aは、第一の通路58の一部を構成するとともに、第三の通路60の一部をも構成する。
【0029】
前記通路60cのリヤ側端部の内周面には、雌ねじ61が形成され、該雌ねじ61には、スクリュー62がねじ込まれている。該スクリュー62には、オリフィス(第一のオリフィス)62aが形成され、該オリフィス62aの通路面積は、前記第一の通路58の一部を構成するバルブプレート2aにおける第二のオリフィス58aの通路面積よりも小さい。したがって、斜板10のボス部10bがリング9の孔58cをほぼ塞ぎ、第一の通路58の通路断面積が大幅に減少した場合にのみ、第三の通路60を通じてクランク室8の冷媒が吸入室13に導かれる。
【0030】
前記バルブプレート2aには、圧縮室82と吐出室12とを連通させる吐出ポート16と、圧縮室82と吸入室13とを連通させる吸入ポート15とが、それぞれ周方向に所定間隔おきに設けられている。吐出ポート16は、吐出弁17により開閉され、該吐出弁17は、バルブプレート2aのリヤハウジング側端面に弁押さえ18とともにボルト19、ナット20により固定される。一方、吸入ポート15は吸入弁21により開閉され、該吸入弁21は、バルブプレート2aとシリンダブロック2との間に配設される。
【0031】
シャフト5のリヤ側端部は、シリンダブロック2のリヤ側軸受収納空間60dに収納されたラジアル軸受(リヤ側軸受)24及びスラスト軸受(リヤ側軸受)25によって回転可能に支持され、シャフト5のフロント側端部は、フロントハウジング4のフロント側軸受収容空間60bに収容されたラジアル軸受(フロント側軸受)26によって回転可能に支持される。フロント側の軸受収納空間60bには、ラジアル軸受26の他にシャフトシール46が収容されている。
【0032】
シリンダブロック2の中央部には、雌ねじ1bが設けられ、この雌ねじ1bには、アジャストナット83が螺合する。該アジャストナット83を締め込むことによって、スラスト軸受25を介してシャフト5にプレロードを与える。また、シャフト5のフロント側端部にはプーリ(図示省略)が固定される。
【0033】
シャフト5には、該シャフト5の回転を斜板10に伝達するスラストフランジ40が固定され、該スラストフランジ40は、スラスト軸受33を介してフロントハウジング4の内壁面に支持されている。スラストフランジ40と斜板10とは、ヒンジ機構41を介して連結され、斜板10は、シャフト5と直角な仮想面に対して傾斜可能である。斜板10は、シャフト5に摺動かつ傾斜可能に装着されている。
【0034】
ヒンジ機構41は、斜板10のフロント面10cに設けられたブラケット10eと、該ブラケット10eに設けられた直線状ガイド溝10fと、スラストフランジ40の斜板側側面40aに螺合されたロッド43とで、構成されている。ガイド溝10fの長手軸は、斜板10のフロント面10cに対して所定角度傾いている。ロッド43の球状部43aは、前記ガイド溝10fに相対摺動可能に嵌合している。
【0035】
次に、本実施形態の可変容量型圧縮機用制御弁(以下「制御弁」という。)100について詳細に説明する。図3は、制御弁100を可変容量型圧縮機1に組み込んだ状態を示す縦断面図、図4は、図3の制御弁の詳細を示す縦断面図である。
図3に示す制御弁100は、図1及び図2の可変容量型圧縮機1のリヤハウジング3側に設けられ、該リヤハウジング3の空間84,85内に、Oリング121a,121b,131bを介して気密性を保った状態で配設される。
【0036】
図4に示すように、制御弁100は、制御弁本体120と、ソレノイド励磁部130と、感圧部145とで形成されており、前記ソレノイド励磁部130は、中央部に配置され、該ソレノイド励磁部130の両側には、前記制御弁本体120と前記感圧部145とが配置されている。
前記ソレノイド励磁部130は、その外周にソレノイドハウジング131を備え、該ソレノイドハウジング131の内部には、ソレノイド131Aと、該ソレノイド131Aの励磁によって上下方向に移動するプランジャ133と、吸引子141とを備え、前記プランジャ133を配置したプランジャ室130aは、前記制御弁本体120に備えられた吸入冷媒ポート129と連通している。
【0037】
前記感圧部145は、ソレノイドハウジング131の下側に配置され、その内部に感圧室145aを備え、該感圧室145aは、ステム138等を介して前記プランジャ133を作動するベローズ146とばね159とを配設している。
前記制御弁本体120は、弁室123を備え、該弁室123内には前記プランジャ133によって開閉作動する弁体132が配置されており、弁室123には、高圧の吐出圧力Pdの冷媒ガスが、通路81、吐出冷媒ポート126を介して導かれている。弁室123の底面には、クランク室冷媒ポート128に連通する弁孔125が穿設されているとともに、弁室123の上部の空間はストッパ124により閉鎖されている。該ストッパ124は、その中心部に、弁孔125と対向して該弁孔125と等しい断面積の有底縦孔の圧力室151が穿設されており、該有底縦孔の圧力室151は、ばね収納室151aとしても形成され、その底部には弁体132を弁室123の底面側に付勢する閉弁ばね127が配置されている。
【0038】
前記弁体132は、上部132a、拡大弁体部132b、細径部132c及び下部132dからなる棒状体で、上部132aと下部132dとが前記弁孔125と等しい断面積とされており、前記上部132aが圧力室151を有するストッパ124に嵌合支持され、前記拡大弁体部132bが弁室123内に配置され、前記細径部132cが前記弁孔内においてクランク室(クランク室圧力Pc)に連通するクランク室冷媒ポート128と対向し、前記下部132dは制御弁本体120に嵌合支持し、その端部が吸入圧力Psの冷媒ガスが導かれるプランジャ室130aに挿入されて前記プランジャ133に接触している。該プランジャ133が上下動することで、前記弁体132が上下動し、該弁体132の拡大弁体部132bが、弁孔125の上面の弁座125aとの間の間隙を調整する。
【0039】
そして、プランジャ室130aに導かれた低温の吸入圧力Psは、後述する感圧部145内に導かれるとともに、前記リヤハウジング3とソレノイドハウジング131間の吸入圧力導入空間85にも導かれる(図3)。該吸入圧力導入空間85は、ソレノイドハウジング131の側部に設けられる突部131aのOリング131bを介して密閉されており、前記吸入室13側からの低温の冷媒ガスによってソレノイドハウジング131の側面全体の冷却を図っている。
【0040】
ソレノイドハウジング131内部には、図4に示すように、前記弁体132を接触固定するプランジャ133が配設され、該プランジャ133は、前記制御弁本体120の端部にOリング134aを介して密接状態に接するパイプ136に摺動自在に支持されている。プランジャ133の下端部に形成される収容孔137には、ステム138の上部138Aが挿通固定されるとともに、前記ステム138の下部138Bは、吸引子141の上端部収容孔142側から下端部収容孔143側に突き出す状態で、吸引子141に対し摺動自在に支持されている。前記プランジャ133と前記吸引子141の上端部収容孔142との間には、プランジャ133を吸引子141側から離す方向に付勢する開弁ばね144が設けられている。
【0041】
また、ステム138の下部138Bには、感圧室145a内に配設されるベローズ146内部の一対のストッパ147,148のうち、ストッパ147側が接離自在に装着され、該ストッパ147のフランジ149と前記吸引子141側の下端部収容孔143との間には、ストッパ147を吸引子141側から離す方向に付勢するばね150が設けられている。
【0042】
感圧室145a内の吸入圧力Psが高くなり、ベローズ146の収縮により一対のストッパ147,148同士が当接することにより、ベローズ146の変位位置が規制され、この最大変位量は、前記ステム138の下部138Bとベローズ146のストッパ147との最大嵌合量よりも小さくなるように設定される。なお、前記ソレノイド131Aには、制御コンピュータ(図示省略)によって制御される励磁電流を供給できるコード158が接続されている(図3)。
【0043】
図5は、前記プランジャ133の詳細を示したものであり、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
プランジャ133は、上部たる頭部133Aと、主部たる胴部133Bとからなり、前記上部133Aは前記制御弁本体120の端部と向かい合い、前記主部133Bは前記パイプ136内を摺動している。なお、前記主部133Bの下端部133Cは前記ステム138の上部138Aを挿通している。
【0044】
前記上部たる頭部133Aは、前記主部133Bよりも小径の略円柱形をしており、制御弁本体120の下端部に接するとともに、弁体132の下部132dと接する上端面133Aaを有し(図4)、該上端面133Aaはその中央にプランジャの長手軸(Z軸)方向に伸びる冷媒抜き孔133dを備えている。また、前記上部133Aの側面には、プランジャの長手軸(Z軸)と交差して半径方向に伸びる冷媒抜き孔133cを備え、該半径方向冷媒抜き孔133cと前記長手軸方向冷媒抜き孔133dは、プランジャ上部133Aにおいて連通する構造とされている。前記冷媒抜き孔133dの径は、前記冷媒抜き孔133cの径の約半分程度の小径のものである。
【0045】
前記主部たる胴部133Bは、略円柱形をなし、その外側面にはプランジャの長手軸(Z軸)方向と平行に伸びる一本のスリット133aを有するとともに、主部133Bの内部にはプランジャの長手軸(Z軸)方向に伸びる冷媒抜き孔133bを備え、該長手軸方向冷媒抜き孔133bと前記半径方向冷媒抜き孔133cは、プランジャ上部133Aにおいて連通する構造とされている。前記冷媒抜き孔133bと前記冷媒抜き孔133cの径は同一径のものである。よって、前記冷媒抜き孔133dの径は、前記冷媒抜き孔133b及び前記冷媒抜き孔133cの径よりも小径となっている。
【0046】
前記主部たる胴部133Bの下端部133Cは、プランジャ下端面133Caに向けて先細りになる形状をなし、その内部には前記収容孔137を有している。該収容孔137は前記冷媒抜き孔133bと連通している。したがって、プランジャ133の上端面133Aaと下端面133Caとの間は、前記長手軸方向冷媒抜き孔133b、133dによって貫通されている。
図6は、前記ステム138の詳細を示したものであり、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
【0047】
ステム138は、上述のように、収容孔137に挿通される上部たる頭部138Aと、下部たる胴部138Bとからなり、前記上部138Aは、略円筒形であり、ステムの長手軸(Z軸)方向に伸びる空洞部としての冷媒抜き孔138bを形成している。前記下部138Bは、前記上部138Aよりも小径の略円筒形をなし、ステムの長手軸(Z軸)方向に伸びる空洞部は、前記冷媒抜き孔138bと同様に、冷媒抜き孔138cとして形成されている。また、ステム138は、外側面にステムの長手軸(Z軸)方向と平行に伸びるスリット138aを有しており、ステム138の外周面と収容孔137及び吸引子141の内周面との貼り付きを防止している。
【0048】
図7は、本実施形態の他のステムの斜視図であり、該ステム140も上部たる頭部140A及び下部たる胴部140Bとからなるが、該部分に各々平坦部140a,140bを有することによって、断面略半月状の形状をしており、ステム140の外周面が収容孔137及び吸引子141の内周面の全周にわたって接触させないようにして、ステム140の貼り付きを防止している。
【0049】
上述のプランジャ133及びステム138,140の構成により、制御弁本体120の下端部との貼り付きが少なくなるとともに、プランジャ133が圧縮機1の中心位置よりも下にある場合において、プランジャ133下方のベローズ146側に低圧の吸入圧力Psを有する冷媒ガスが導入されて、プランジャ133の下側が冷媒だまりとなっても、該貯まった冷媒が移動し易くなることにより、プランジャ及びステムの動作が遅れてしまう等の現象を防ぐことができる。
【0050】
次に、本実施形態の可変容量型圧縮機1と制御弁100との作動について説明する。
車載エンジンの回転動力は、ベルト(図示省略)を介してプーリ(図示省略)から前記シャフト5に常時伝達され、シャフト5の回転力は、スラストフランジ40、ヒンジ機構41を経て斜板10に伝達され、該斜板10を回転させる。
【0051】
斜板10の回転によりシュー50が斜板10の摺動面10a上を相対回転し、ピストン7の直線往復運動に変換され、その結果シリンダボア6内の圧縮室82の容積が変化し、この容積変化によって冷媒ガスの吸入、圧縮及び吐出が順次行われ、斜板10の傾斜角度に応じた容量の冷媒ガスが吐出される。
【0052】
まず、熱負荷が大きくなる場合には、吐出室12からクランク室8に冷媒ガスの流入が阻止され、クランク室8の圧力は低く、圧縮行程中のピストン7のリヤ面に生じる力は小さくなり、ピストン7のリヤ面に生じる力の総和が、ピストン7のフロント面(トップ面)に生じる力の総和を下回ることによって、斜板10の傾斜角度が大きくなる。
【0053】
ここで、吐出室12の圧力が高くなって、吐出室12とクランク室8との圧力差が所定値以上になり、スプール弁31の下側に作用する吐出室12の冷媒ガスの圧力が、スプール弁31の上側に作用するクランク室8の冷媒ガスの圧力とばね32の付勢力の合力に打ち勝つ場合には、スプール弁31が開弁方向に移動して吐出通路39が開き(図1)、吐出室12の冷媒ガスが、吐出口1aからコンデンサ88に流出する。なお、斜板10の傾斜角度が最小から最大になるときには、斜板10のボス部10bがリング9の孔58cから離れ、第一の通路58が全開になり、クランク室8の冷媒ガスが第一の通路58を介して吸入室に流れるため、クランク室8の圧力低下が起こる。また、第一の通路58の通路面積が最大になると、第三の通路60から吸入室13には冷媒ガスがほとんど流れない。
【0054】
このように、熱負荷が大きくなり、制御弁100のソレノイド131Aが励磁される場合には、プランジャ133が、吸引子141側に引き込まれ、プランジャ133に接触されている弁体132が弁孔125を閉じる方向に移動し、クランク室8の流入は阻止される。一方、低温の冷媒ガスは、吸入室13に連通する通路80側から制御弁本体120の吸入冷媒ポート129及びプランジャ室130aを介して感圧部145に導かれ、感圧部145のベローズ146は、吸入室13の吸入圧力Psである前記冷媒ガスの圧力に基づいて変位し、該変位が前記ステム138、前記プランジャ133を介して前記弁体132に伝達される。すなわち、前記弁体132の前記弁孔125に対する開度位置は、前記ソレノイド131Aによる吸引力と、前記ベローズ146の付勢力と、前記閉弁ばね127及び開弁ばね144の付勢力とによって決定される。
【0055】
そして、前記感圧室145a内の圧力(吸入圧力Ps)が高くなると、前記ベローズ146が収縮し、これが前記ソレノイド131Aによる前記プランジャ133の吸引方向と一致するため、ベローズ146の変位に前記弁体132の移動が追従し、前記弁孔125の開度が減少する。これにより、吐出室12から弁室123内に導かれる高圧の冷媒ガスの量は減少(クランク室圧力Pcが低下)し、斜板10の傾斜角度が増加する(図1)。また、前記感圧室145a内の圧力が低くなると、前記ベローズ146は、ばね159とベローズ146自身の復元力により伸長し、弁体132が弁孔125の開度を増加する方向に移動して、弁室123内に導かれる高圧の冷媒ガスの量が増大(クランク室圧力Pcが増加)し、図1の状態における斜板10の傾斜角度は減少する。
【0056】
これに対し、熱負荷が小さくなる場合には、高圧の冷媒ガスが吐出室12からクランク室8に流出し、該クランク室8の圧力が高くなる。そして、圧縮行程中のピストン7のリヤ面に生じる力が大きくなり、ピストン7のリヤ面に生じる力の総和が、ピストン7のフロント面に生じる力の総和を上回ることによって斜板10の傾斜角度が小さくなる。
【0057】
ここで、前記吐出室12とクランク室8との圧力差が所定値以下になり、スプール弁31の上側に作用するクランク室8の圧力とばね32の付勢力との合力が、スプール弁31の下側に作用する吐出室12の冷媒ガスの圧力に打ち勝つ場合には、スプール弁31が閉弁方向に移動して吐出通路39を遮断し(図2)、吐出口1aからコンデンサ88への冷媒ガスの流出が阻止される。なお、斜板10の傾斜角度が最大から最小となるときには、斜板10のボス部10bがリング9の孔58cをほぼ塞ぎ、第一の通路58の通路断面積を大幅に減少させるが、クランク室8内の冷媒ガスは第三の通路60を通じて吸入室13に流れるため、クランク室8内の過度の圧力上昇は抑制され、圧縮機1内における冷媒ガスの循環が可能になる。すなわち、この場合に冷媒ガスは、吸入室13、圧縮室82、吐出室12、第二の通路57、クランク室8及び第三の通路60を経て再び吸入室13に戻る。本実施形態では、吐出制御弁としてのスプール弁31の一方に、クランク室8の圧力を作用させ、スプール弁31の他方に吐出室12の圧力を作用させる構造を採用し、スプール弁31として閉弁方向に付勢する比較的小さなばね力を有するばね32を用いており、熱負荷が小さくなって吐出室12の圧力が次第に低下したときには最小ピストンストローク(極低負荷)になり、斜板10が第一の通路58の通路面積を減少させるまで、スプール弁31は開いた状態に保たれる。
【0058】
このように、熱負荷が小さくなり、前記ソレノイド131Aが消磁される場合には、プランジャ133に対する吸引が消失され、前記開弁ばね144の付勢力により、前記プランジャ133が前記吸引子141側から離れる方向に移動し、弁体132が、制御弁本体120の弁孔125を開放する方向に移動し、クランク室8への流入が促進される。
【0059】
ここで、前記感圧部145内の圧力が上昇すると、前記ベローズ146が収縮し、弁体132の開度が減少するが、前記ステム138の下部138Bは、前記ベローズ146のストッパ147に対して接離自在に装着されているため、前記ベローズ146の変位が弁体132に対して影響を与えることはない。
【0060】
以上のように本実施形態の制御弁100は、中央部に、ソレノイド131Aの励磁によって上下方向に移動するプランジャ133を備えたソレノイド励磁部130と、該ソレノイド励磁部130の下側にステム138等を介してプランジャ133と連動するベローズ146を配設した感圧部145と、前記ソレノイドハウジング131の上側にプランジャ133と連動する弁体132等を配設した弁室123を有する制御弁本体120とによって形成されているため、感圧室145aとソレノイド131Aとが接近配設され、ソレノイド131Aの吸引による作用点とベローズ146による作用点とが近づき、作動杆を構成する弁体132及びステム138の閉弁方向への移動時におけるガタ付きを必要最小限に抑えることができる。
ここで、プランジャ133の上部たる頭部133Aの上端面133Aaと制御弁本体120の下端部との貼り付き荷重の実験の測定値を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 0004082814
【0062】
No.1〜No.3は、冷媒抜き孔を備えていないものであり、No.4,No.5は、プランジャ133の内部に、該プランジャの長手軸(Z軸)方向の冷媒抜き孔133dを備え、該長手軸方向冷媒抜き孔133dと前記半径方向冷媒抜き孔133c若しくは前記長手軸方向冷媒抜き孔133bとを連通させたものである。該表1は、雰囲気温度20℃において、プランジャ133の上部133Aの上端面133Aaの直径φを変化させて、オイルを張った平板にプランジャの上端面を貼り付け、引き離しに要する引張り荷重を測定し、この値からプランジャの自重を引くことによって、プランジャの吸引方向の引き離しに要する抵抗値たる貼り付き荷重(単位:g)を求めたものである。
プランジャ上端面133Aaの直径φを約1/2にすることによって前記抵抗値は約1/130に低減できることが判る(No.1,No.3)。
特にNo.5については、引き離しに要する前記抵抗値は約0になり、この構成によって、弁体132の閉弁時にも、プランジャ上端面133Aaと弁体132の下部132dとの間に冷媒が貯まらなくなり、確実な閉弁動作等を達成できることが判る。
【0063】
よって、プランジャ133の上部たる頭部133Aの径を主部たる胴部133Bに対して小さくすることで、プランジャ133の上端面133Aaと制御弁本体120の下端部との接触面積を減らすことができ(図4参照)、プランジャ133と制御弁本体120との貼り付きをなくし、弁体132をスムーズに動かすことができる。
また、前記長手軸方向冷媒抜き孔133b、133dを設けることで弁体132の閉弁時にも、プランジャ上端面133Aaと弁体132の下部132dとの間に冷媒が貯まらなくなり、前記半径方向冷媒抜き孔133cを設けることにより冷媒をプランジャ室130a内で無理なく移動させることができる。
【0064】
したがって、プランジャ133の内部には、前記長手軸方向の冷媒抜き孔133b、133d及びこれと交差する半径方向の冷媒抜き孔133cを備え、前記長手軸方向冷媒抜き孔133bと同一径の前記半径方向冷媒抜き孔133cとが連通する構成にすることによって、弁体132の閉弁時にも、プランジャ上端面133Aaと弁体132の下部132dとの間に冷媒が貯まらなくなるとともに、プランジャ133の下方に貯まった冷媒をプランジャ室130aの上部に無理なく移動させることができるので、プランジャ133の動作に遅れが生じること等を防ぐことができる。
また、オイルのダンパー効果及びパイプ136の内周面とプランジャ133の外周面との間における粘性摺動抵抗の実験の測定値を表2に示す。
【0065】
【表2】
Figure 0004082814
【0066】
No.1は、プランジャ133の主部たる胴部133Bの側面に、プランジャの長手軸方向と平行に伸びる一本のスリット133aを有するものであり、No.2は、前記スリットを二本にしたものであり、No.3は、前記スリットを一本にするとともに、プランジャ133内に前記冷媒抜き孔133b、133c、133dを備えたものである。該表2は、雰囲気温度20℃において、オイルを入れたパイプ内にプランジャ133を挿入し、プランジャ133の上下方向の移動に要する引張り荷重又は圧縮荷重を測定し、この値からプランジャの自重を引く又は加えることによって、プランジャ133の移動に要する抵抗値たる摺動抵抗(単位:g)を求めたものである。
【0067】
No.2における弁体132の開弁方向(プランジャ133を引張り上げる方向)に要する力は、No.1に比べて、スリットを増やすことにより引張力で約1/2に低減できることが判る。
No.3における弁体132の開弁方向(プランジャ133を引張り上げる方向)、及び閉弁方向(プランジャ133を圧縮して下げる方向)に要する力は、No.1に比べて、それぞれ引張力で約1/60、圧縮力で約1/10に低減できることが判る。
【0068】
よって、プランジャ133の主部たる胴部133Bの側面にスリット133aを備える構成とすると、パイプ136の内周面とプランジャ133の外周面の全周にわたる圧力のバランスを崩すことができ、プランジャ133の貼り付き防止し、弁体132をスムーズに動かすことができる。
さらに、プランジャ133の内部に、冷媒抜き孔133b、133c、133dを備える構成によって、貯まった冷媒をプランジャ室130aの上部に無理なく移動させることができ、プランジャ133の動作に遅れが生じること等を防ぐことができる。
【0069】
また、ステム138の内部には冷媒抜き孔138b、138cを備え、該冷媒抜き孔138b、138cが、前記ステム138の長手軸方向に貫通する構成にすることによって、ステム138の下方に貯まった冷媒をプランジャ133の冷媒抜き孔133b、133cを介してプランジャ室130aの上部に移動させ易くなり、ステム138の動作に遅れが生じること等を防ぐことができる。
【0070】
さらに、ステム138の側面にスリット138aを備えること等により、ステムの断面を切り欠いた環状にし、ステム138の外周面とプランジャ133及び吸引子141の内周面との貼り付きを防止して、プランジャ133、さらに弁体132をスムーズに動かすことができる。
【0071】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明に係る可変容量型圧縮機用制御弁は、冷媒ガスに基づく弁体の作動の悪影響をなくして弁孔の開閉精度を向上させることができる。
【0072】
また、弁孔の開閉精度の向上によって、圧縮機のクラッチレス運転の維持を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の制御弁を備えた可変容量圧縮機の吐出通路が開いた状態を示す縦断面図。
【図2】図1の可変容量圧縮機の吐出通路が閉じた状態を示す縦断面図。
【図3】図1の可変容量型圧縮機用の制御弁の拡大縦断面図。
【図4】図3の可変容量型圧縮機用の制御弁の詳細を示す縦断面図。
【図5】(a)は、図3の可変容量型圧縮機用の制御弁のプランジャの斜視図、(b)は、前記プランジャの縦断面図。
【図6】(a)は、図3の可変容量型圧縮機用の制御弁のステムの斜視図、(b)は、前記ステムの縦断面図。
【図7】本実施形態の他のステムの斜視図。
【図8】従来の制御弁を備えた可変容量型圧縮機を示す縦断面図。
【図9】図8の可変容量型圧縮機用制御弁の詳細を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 可変容量型圧縮機
100 可変容量型圧縮機用制御弁
120 制御弁本体
130 ソレノイド励磁部
131A ソレノイド
132 弁体
133 プランジャ
133A プランジャ上部
133Aa プランジャ上端面
133B プランジャ主部
133Ca プランジャ下端面
133a プランジャ側面スリット
133b プランジャ長手軸方向冷媒抜き孔
133c プランジャ長手軸の交差方向冷媒抜き孔
133d プランジャ長手軸方向冷媒抜き孔
138 ステム
138a ステム側面スリット
138b ステム長手軸方向の冷媒抜き孔
138c ステム長手軸方向の冷媒抜き孔
145 感圧部

Claims (10)

  1. 中央部に配置したソレノイド励磁部と、該ソレノイド励磁部の上側に配置した制御弁本体と、下側に配置した感圧部と、を備えた可変容量型圧縮機用制御弁において、
    前記ソレノイド励磁部は、ソレノイドと、該ソレノイドの励磁によって上下方向に移動するプランジャと、該プランジャに前記感圧部の動きを伝達するステムとを備え、
    前記プランジャは、該プランジャにより開閉作動する弁体の下端と前記制御弁本体の下端に接触する上端面を有する上部と、前記ステムの上部をその下端面から挿通する主部とを有するとともに、前記上端面は、前記制御弁本体との接触面積を少なくするべく、前記プランジャの主部の断面積よりも小なる表面積に形成することを特徴とする可変容量型圧縮機用制御弁。
  2. 中央部に配置したソレノイド励磁部と、該ソレノイド励磁部の上側に配置した制御弁本体と、下側に配置した感圧部と、を備えた可変容量型圧縮機用制御弁において、
    前記ソレノイド励磁部は、ソレノイドと、該ソレノイドの励磁によって上下方向に移動するプランジャと、該プランジャに前記感圧部の動きを伝達するステムとを備え、
    前記プランジャは、該プランジャにより開閉作動する弁体の下端と前記制御弁本体の下端に接触する上端面を有する上部と、前記ステムの上部をその下端面から挿通する主部とを有するとともに、前記プランジャの内部には、該プランジャの長手軸方向の冷媒抜き孔を形成することを特徴とする可変容量型圧縮機用制御弁。
  3. 中央部に配置したソレノイド励磁部と、該ソレノイド励磁部の上側に配置した制御弁本体と、下側に配置した感圧部と、を備えた可変容量型圧縮機用制御弁において、
    前記ソレノイド励磁部は、ソレノイドと、該ソレノイドの励磁によって上下方向に移動するプランジャと、該プランジャに前記感圧部の動きを伝達するステムとを備え、
    前記プランジャは、該プランジャにより開閉作動する弁体の下端と前記制御弁本体の下端に接触する上端面を有する上部と、前記ステムの上部をその下端面から挿通する主部とを有するとともに、前記プランジャの内部には、該プランジャの長手軸に交差する方向に冷媒抜き孔を形成することを特徴とする可変容量型圧縮機用制御弁。
  4. 前記プランジャの内部は、該プランジャの長手軸方向の冷媒抜き孔及び該長手軸に交差する方向に他の冷媒抜き孔を形成することを特徴とする請求項1記載の可変容量型圧縮機用制御弁。
  5. 前記プランジャの長手軸方向の冷媒抜き孔は、前記長手軸の交差方向の他の冷媒抜き孔と連通していることを特徴とする請求項4記載の可変容量型圧縮機用制御弁。
  6. 前記プランジャの長手軸方向の冷媒抜き孔は、前記プランジャの長手軸方向に貫通していることを特徴とする請求項2又は5記載の可変容量型圧縮機用制御弁。
  7. 前記プランジャの長手軸方向の冷媒抜き孔は、前記長手軸の交差方向の冷媒抜き孔と同径の孔であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の可変容量型圧縮機用制御弁。
  8. 前記プランジャは、前記主部の側面にスリットを備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の可変容量型圧縮機用制御弁。
  9. 前記ステムは、内部に該ステムの長手軸方向の冷媒抜き孔を備え、該ステムの長手軸方向の冷媒抜き孔は、前記ステムの長手軸方向に貫通していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の可変容量型圧縮機用制御弁。
  10. 前記ステムは、側面にスリットを備えていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の可変容量型圧縮機用制御弁。
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