JP4082270B2 - 電気光学装置及び電気光学装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐蝕性金属配線と、非耐蝕性金属配線と、を電気接続するための電気配線構造、電気配線構造の製造方法、電気配線構造を備えた光学装置用基板、および電気光学装置、ならびに電気光学装置の製造方法に関する。特に、耐蝕性金属配線や非耐蝕性金属配線を含む特定構造の二端子型非線形素子(薄膜ダイオード)を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である電気配線構造、電気配線構造の製造方法、電気配線構造を備えた光学装置用基板、および電気光学装置、ならびに電気光学装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示装置は、対向する第1の電気光学装置用基板と、第2の電気光学装置用基板とを含む一対の電気光学装置用基板との間に、液晶材料を注入して構成されている。
ここで、かかる液晶表示装置等が、アクティブマトリクス方式の場合には、図20に例示されるように、第2の電気光学装置用基板上に、複数の画素電極がマトリクス状に配列されるとともに、これらの画素電極のそれぞれに非線形素子(スイッチング素子)、例えば、薄膜ダイオード(TFD素子)が設けられており、第1の電気光学装置用基板上に、対向電極が設けられている。そして、非線形素子としての薄膜ダイオードに対して、しきい値以上の電圧を印加し、当該非線形素子を導通状態にするとともに、当該非線形素子と、対向電極との間に電圧をさらに印加することにより、液晶材料の配向性を制御して、所定の画像表示を行っている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献1に開示された液晶表示装置の場合、シール材の外側に位置する外部配線が腐蝕しても、シール材の内側に位置する内部配線に腐蝕が進行しないように、外部配線と、内部配線とを電気的に接続するためのバイパス部が設けてあり、当該バイパス部を、タンタルやITO等の耐蝕性金属材料から構成することを特徴としている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−75118号公報 (第3頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された液晶表示装置の場合、タンタルやITO等の耐蝕材料からなるバイパス部を設けて、外部配線としてのタンタル配線上に、内部配線としてのクロム配線を電気接続すると、接続抵抗が大きく、液晶表示装置における消費電力が大きくなったり、抵抗のばらつきが大きく、表示むらとなったりするという問題が見られた。
また、電気光学装置用基板の製造工程において、タンタルは酸化しやすく、その表面に容易に酸化タンタル層を形成するために、タンタル配線と、クロム配線とを直接的に電気接続しようとしても、安定した接続抵抗が得られないという問題が見られた。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、耐蝕性金属配線や非耐蝕性金属配線を含む特定構造の二端子型非線形素子(薄膜ダイオード)を形成する工程等を利用して、タンタル等の耐蝕性金属の酸化層を有する耐蝕性金属配線と、クロム等の非耐蝕性金属配線と、を電気接続する場合であっても、低い接続抵抗が得られる電気配線構造、電気配線構造の製造方法、および電気配線構造を備えた光学装置用基板、および電気光学装置ならびに電気光学装置の製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、一対の基板がシール材を介して貼り合わされ、該シール材の内側に液晶材料が狭持されてなり、一方の前記基板上に、耐蝕性金属配線と、非耐蝕性金属配線と、を電気接続するための電気配線構造を備えた電気光学装置であって、前記電気配線構造は、前記耐蝕性金属配線の表面に、当該耐蝕性金属の酸化層を形成するとともに、前記耐蝕性金属配線および前記非耐蝕性金属配線の接合箇所に、前記耐蝕性金属配線及び前記酸化層を貫通するスルーホ−ルを形成し、前記スルーホ−ル内に前記非耐蝕性金属配線を延設することにより、前記スルーホ−ル内において、前記非耐蝕性金属配線は、前記耐蝕性金属配線の側面と接合することにより前記耐蝕性金属配線と電気接続しており、前記耐蝕性金属配線は、前記シール材の外側から内側に引き回され、前記非耐蝕性金属配線は、前記シール材の外側に形成される共に、前記シール材の外側に形成された前記非耐蝕性金属配線と離間して前記シール材の内側で引き回されており、前記耐蝕性金属配線と、前記非耐蝕性金属配線とが、前記シール材の外側および内側に形成された前記スルーホールを介してそれぞれ電気接続されており、前記シール材の外側のスルーホールが形成された接合箇所において、前記非耐蝕性金属配線の表面を覆うように透明導電性酸化物層が形成されてなることを特徴とする電気光学装置が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、耐蝕性金属の酸化層を貫通するスルーホ−ルの側面を介して、耐蝕性金属配線と、非耐蝕性金属配線とを直接的に電気接続することから、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線を、確実に電気接続することができる。また、このような構成であれば、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0006】
また、本発明の電気配線構造を構成するにあたり、非耐蝕性金属配線の表面に、透明導電性酸化物層を形成することが好ましい。
このように構成することにより、非耐蝕性金属配線の耐蝕性を向上させることができる。また、このような構成であれば、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程、およびそれに次ぐ、画像表示部を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0007】
また、本発明の電気配線構造を構成するにあたり、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線の接合箇所における非耐蝕性金属配線の線幅を、非接合面以外の線幅よりも大きくすることが好ましい。
このように構成することにより、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線の接合箇所における接続抵抗をより小さくすることができる。
【0008】
また、本発明の電気配線構造を構成するにあたり、スルーホ−ルを複数設けるとともに、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線の接合箇所に、当該スルーホ−ルをマトリックス状に配列することが好ましい。
このように構成することにより、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線の接合箇所における接続抵抗をより小さくすることができるとともに、接合箇所における機械的接合力を著しく高めることができる。
【0009】
また、本発明の電気配線構造を構成するにあたり、スルーホ−ルの側面に、傾斜部を設けることが好ましい。
このように構成することにより、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線の接合箇所における接続抵抗をより小さくすることができるとともに、接合箇所における機械的接合力をさらに高めることができる。
【0010】
また、腐蝕環境に応じて、耐蝕性が異なる複数の接合箇所を配置することができる。例えば、電気光学装置に設けたシール材の内部には、構造が比較的簡易な第1の接合箇所を配置し、腐蝕環境が激しいシール材の外部には、耐蝕性により優れた第2の接合箇所を配置することができる。
【0011】
また、本発明の電気配線構造を構成するにあたり、耐蝕性金属がタンタルであるとともに、非耐蝕性金属がクロムであることが好ましい。
このように構成することにより、配線構造の耐蝕性と、接続抵抗の低下性とのバランスをさらに良好なものとすることができる。
【0012】
また、本発明の別の態様は、一対の基板がシール材を介して貼り合わされ、該シール材の内側に液晶材料が充填されてなり、一方の前記基板上に、耐蝕性金属配線と、非耐蝕性金属配線と、を電気接続するための電気配線構造を備えた電気光学装置の製造方法において、前記耐蝕性金属配線を、一方の前記基板上に形成した後、その表面に、当該耐蝕性金属配線の酸化層を形成する工程と、前記耐蝕性金属配線および前記非耐蝕性金属配線の接合箇所に、前記耐蝕性金属配線及び酸化層を貫通するスルーホ−ルを形成する工程と、前記非耐蝕性金属配線を形成するとともに、前記スルーホ−ル内に、前記非耐蝕性金属配線を延設する工程とを含み、前記電気配線構造は、前記スルーホ−ル内に前記非耐蝕性金属配線を延設し、前記スルーホ−ル内において、前記非耐蝕性金属配線を、前記耐蝕性金属配線の側面と接合させることにより前記耐蝕性金属配線と電気接続しており、前記耐蝕性金属配線を、前記シール材の外側から内側に引き回し、前記非耐蝕性金属配線を、前記シール材の外側に形成する共に、前記シール材の外側に形成された前記非耐蝕性金属配線と離間させて前記シール材の内側で引き回しており、前記耐蝕性金属配線と、前記非耐蝕性金属配線とを、前記シール材の外側および内側に形成された前記スルーホールを介してそれぞれ電気接続させており、前記シール材の外側のスルーホールが形成された接合箇所において、前記非耐蝕性金属配線の表面を覆うように透明導電性酸化物層が形成されてなることを特徴とする電気光学装置の製造方法である。
すなわち、このように実施することにより、低抵抗性や耐蝕性に優れた電気配線構造を効率的に提供することができる。また、このような製造方法であれば、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0014】
また、本発明の別の態様は、対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とがシール材を介して貼り合わされてなる一対の電気光学装置用基板、およびその間であって該シール材の内側に電気光学的物質を含む電気光学装置において、前記第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、着色層と、遮光層としてのブラックマトリクスと、その上に設けられた電気配線と、を備え、前記第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、かつ、前記第2の電気光学装置用基板は、第2のガラス基板に形成された耐蝕性金属配線と、前記素子第1電極および素子第2電極に電気接続される非耐蝕性金属配線と、を電気接続するための電気配線構造を備えており、前記電気配線構造は、前記耐蝕性金属配線の表面に、当該耐蝕性金属の酸化層を形成するとともに、前記耐蝕性金属配線および前記非耐蝕性金属配線の接合箇所に、前記耐蝕性金属配線及び前記酸化層を貫通するスルーホ−ルを形成し、前記スルーホ−ル内に前記非耐蝕性金属配線を延設することにより、前記スルーホ−ル内において、前記非耐蝕性金属配線は、前記耐蝕性金属配線の側面と接合することにより前記耐蝕性金属配線と電気接続しており、前記耐蝕性金属配線は、前記シール材の外側から内側に引き回され、前記非耐蝕性金属配線は、前記シール材の外側に形成される共に、前記シール材の外側に形成された前記非耐蝕性金属配線と離間して前記シール材の内側で引き回されており、前記耐蝕性金属配線と、前記非耐蝕性金属配線とが、前記シール材の外側および内側に形成された前記スルーホールを介してそれぞれ電気接続されており、前記シール材の外側のスルーホールが形成された接合箇所において、前記非耐蝕性金属配線の表面を覆うように透明導電性酸化物層が形成されてなることを特徴とする電気光学装置である。
すなわち、このように構成することにより、低抵抗性や耐蝕性に優れた電気配線構造を備えた電気光学装置用基板を用いた電気光学装置を容易に提供することができる。また、このような電気配線構造の構成であれば、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程を利用して、同時に形成することが可能である。
【0015】
また、電気光学装置のシール部の内外において、低抵抗性や耐蝕性に優れた電気配線構造をそれぞれ容易に提供することができる。
【0016】
また、低抵抗性や耐蝕性に優れた電気配線構造を備えた電気光学装置を効率的に提供することができる。また、このような製造方法であれば、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線を含む特定構造の二端子型非線形素子を形成する工程を利用して、同時に低抵抗性や耐蝕性に優れた電気配線構造を形成することが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の電気配線構造、その製造方法、電気配線構造を備えた電気光学装置用基板、および電気光学装置ならびに電気光学装置の製造方法に関する実施形態について具体的に説明する。
ただし、かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
【0018】
[第1実施形態]
第1実施形態は、図1に例示されるように、耐蝕性金属配線158と、非耐蝕性金属配線152と、を電気接続するための電気配線構造160であって、耐蝕性金属配線158の表面に、耐蝕性金属の酸化層156を形成するとともに、耐蝕性金属配線158および非耐蝕性金属配線152の接合箇所に、耐蝕性金属の酸化層156を少なくとも貫通するスルーホ−ル150をさらに形成し、かつ、当該スルーホ−ル150内に非耐蝕性金属配線152を延設することにより、耐蝕性金属配線158と、非耐蝕性金属配線152とを電気接続してなる電気配線構造100である。
なお、本実施形態においては、耐蝕性金属としてタンタルを、非耐蝕性金属としてクロムを例に採って説明するが、言うまでもなく、他の耐蝕性金属や非耐蝕性金属であっても、電気配線構造の用途等に応じて、適宜使用することができる。
【0019】
1.タンタル配線
(1)種類
タンタル配線を構成する種類としては、タンタルを主成分としたものであれば特に制限されるものでないが、例えば、タンタル単独や、タンタルと、モリブデン、クロム、タングステン、またはチタン等と、からなるタンタル合金が挙げられる。
なお、耐蝕性金属として、タンタル以外に、タングステン等を単独または合金化して使用することも好ましい。
【0020】
(2)線幅
また、タンタル配線の線幅を2〜300μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるタンタル配線の線幅が2μm未満の値になると、クロム配線の接合が困難になって、接続抵抗が大きくなる場合があるためである。一方、かかるタンタル配線の線幅が300μmを越えると、電気光学装置用基板上での配線の引き回しが困難になったり、狭ピッチ化が困難になったりする場合があるためである。
したがって、タンタル配線の線幅を5〜100μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜50μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0021】
(3)厚さ
また、タンタル配線の厚さを0.01〜1μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるタンタル配線の厚さが0.01μm未満の値になると、薄膜抵抗が高くなったり、クロム配線の接合が困難になって、接続抵抗が大きくなったりする場合があるためである。一方、かかるタンタル配線の厚さが1μmを越えると、電気光学装置用基板上での配線の引き回しが困難になったり、精度良くエッチングすることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、タンタル配線の厚さを0.05〜0.3μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜0.15μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0022】
(4)シール材との関係
また、タンタル配線は、クロム配線と比較して、より耐蝕性に優れている。したがって、例えば、図2(a)に示すように、電気光学装置に設けたシール材170の内部配線(A部)には、クロム配線152を採用し、腐蝕環境が激しいシール材170の外部配線(B部)に、耐蝕性により優れたタンタル配線158を配置することが好ましい。
【0023】
2.クロム配線
(1)種類
クロム配線を構成する種類としては、クロムを主成分としたものであれば特に制限されるものでないが、例えば、クロム単独や、クロムと、モリブデン、タンルタル、またはチタン等と、からなるクロム合金が挙げられる。
なお、クロムの他、アルミニウム、モリブデン、チタン、またはそれらの合金等も好適に使用できる。
【0024】
(2)線幅
また、クロム配線の線幅を2〜300μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるクロム配線の線幅が2μm未満の値になると、タンタル配線との接合が困難になって、接続抵抗が大きくなる場合があるためである。一方、かかるクロム配線の線幅が300μmを越えると、電気光学装置用基板上での配線の引き回しが困難になったり、狭ピッチ化が困難になったりする場合があるためである。
したがって、クロム配線の線幅を5〜100μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜50μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0025】
(3)厚さ
また、クロム配線の厚さを0.01〜1μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるクロム配線の厚さが0.01μm未満の値になると、タンタル配線との接合が困難になって、接続抵抗が大きくなる場合があるためである。一方、かかるクロム配線の厚さが1μmを越えると、電気光学装置用基板上での配線の引き回しが困難になったり、精度良くエッチングすることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、クロム配線の厚さを0.03〜0.5μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜0.3μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0026】
(4)表面処理
また、図3に示すように、クロム配線152の外表面に、透明導電性酸化物層154を形成することが好ましい。
この理由は、透明導電性酸化物層の被覆によって、クロム配線の耐蝕性を向上させることができるとともに、異方性導電フィルム等による実装接続信頼性を向上させることができるためである。
より具体的には、例えば、多結晶インジウムスズ酸化物、アモルファスインジウムスズ酸化物、アモルファスインジウム亜鉛酸化物、アモルファスインジウムゲルマニウム酸化物等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、透明性無機酸化物層の厚さを0.01〜0.3μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる透明性無機酸化物層の厚さが0.01μm未満の値になると、被覆したとしても、クロム配線の耐蝕性を向上させることが困難になる場合があるためである。一方、かかる透明性無機酸化物層の厚さが0.3μmを越えると、電気光学装置用基板上での配線の引き回しが困難になったり、精度良くエッチングすることが困難になったりする場合があるためである。
【0027】
(5)シール材との関係
また、クロム配線は、タンタル配線と比較して、耐蝕性には若干劣るものの、低抵抗性を有している。したがって、例えば、図2(a)に示すように、電気光学装置に設けたシール材170の内部配線(A部)には、低抵抗のクロム配線152を採用し、腐蝕環境が激しいシール材170の外部配線(B部)に、耐蝕性により優れたタンタル配線158を配置することが好ましい。また、図2(b)に示すように、シール材170の外部配線(B部)にクロム配線152を採用する場合には、その外表面に、透明性無機酸化物層を被覆することが好ましい。
【0028】
3.電気配線構造
(1)スルーホ−ル
▲1▼直径
図1等に示す酸化タンタル層156を少なくとも貫通するスルーホ−ル150(円相当)の直径を0.5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるスルーホ−ルの直径が0.5μm未満の値になると、タンタル配線との接合が困難になって、接続抵抗が大きくなる場合があるためである。一方、かかるスルーホ−ルの直径が100μmを越えると、電気光学装置用基板上での配線の引き回しが困難になったり、精度良くエッチングすることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、スルーホ−ルの直径を1〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、3〜20μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0029】
▲2▼平面形状
また、スルーホ−ルの平面形状は特に制限されるものではないが、例えば、図4(a)〜(h)に示すように、円、楕円、長方形、正方形、星形、ひし形、多角形、および異形とすることが好ましい。
このうち、スルーホ−ルの平面形状を円形または楕円形にすることにより、精度良く形成することができるとともに、比較的小面積であっても、クロム配線を確実に延設して、タンタル配線と電気接続することができる。
また、スルーホ−ルの平面形状を長方形または正方形にすることにより、直線状のタンタル配線の形状に沿って、精度良く形成することができるとともに、比較的小面積であっても、クロム配線を確実に延設して、タンタル配線と電気接続することができる。さらに、スルーホ−ルの平面形状を星形、ひし形、多角形、および異形とすることにより、タンタル配線の形状に合わせて、スルーホ−ルを形成することができる。
【0030】
▲3▼側面形状
また、スルーホ−ルの形状に関して、図5に示すように、スルーホ−ル150の側面に、傾斜部151を設けることが好ましい。
このように構成することにより、タンタル配線およびクロム配線の接合箇所における接続抵抗をより小さくすることができるとともに、接合箇所における機械的接合力をさらに高めることができる。
また、スルーホ−ルの側面に傾斜部を設ける場合、水平面に対する傾斜部の角度を、30〜80°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるスルーホ−ルの傾斜部の角度が30°未満の値になると、電気光学装置用基板上での配線の引き回しが困難になったり、精度良くエッチングすることが困難になったりする場合があるためである。一方、かかるスルーホ−ルの傾斜部の角度が80°を越えると、クロム配線との接合が困難になって、接続抵抗が大きくなる場合があるためである。
したがって、スルーホ−ルの傾斜部の角度を35〜75°の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜70°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0031】
▲4▼配列
また、スルーホ−ルの配列に関して、スルーホ−ルを複数設けるとともに、図6に示すように、タンタル配線158およびクロム配線152の接合箇所157に、当該スルーホ−ル150をマトリックス状に配列することが好ましい。
この理由は、このようにスルーホ−ルをマトリックス状に配列することにより、より多くのスルーホールを設けることができるため、タンタル配線およびクロム配線の接合箇所における接続抵抗をより小さくすることができるとともに、接合箇所における機械的接合力を著しく高めることができるためである。
【0032】
(2)線幅
また、図6に示すように、タンタル配線158およびクロム配線152の接合箇所157におけるクロム配線152の線幅(W2)を、非接合面以外のクロム配線152の線幅(W1)よりも大きくすることが好ましい。
この理由は、このようにクロム配線の線幅を考慮した構成にすることにより、スルーホール部だけでなく、タンタル配線側面部でもクロム配線と接続することができ、タンタル配線およびクロム配線の接合箇所における接続抵抗をより小さくすることができるためである。
【0033】
(3)第1の接合箇所および第2の接合箇所
また、タンタル配線の表面に、酸化タンタル層を形成するとともに、タンタル配線と、クロム配線とを接合してなる接合箇所を複数設けることが好ましい。すなわち、図7に示すように、タンタル配線158およびクロム配線152の接合箇所(第1の接合箇所157および第2の接合箇所157´)を二つ設け、それぞれ、酸化タンタル層156を貫通するスルーホ−ル150を形成するとともに、当該スルーホ−ル150内にクロム配線152を延設し、これらの接合箇所157、157´のタンタル配線158とは別のタンタル配線、またはそれに連なる一体的なタンタル配線によって電気的に接続した状態で設けることが好ましい。
この理由は、このように複数の接合箇所を設けることにより、腐蝕の起こりやすいB領域では耐蝕性の強いタンタル配線とし、腐蝕の起こりにくいA領域では比較的抵抗が低い金属配線とすることができるとともに、実装部のC領域では、クロムまたはITOを用いて、信頼性の高い電気的接続を得ることが可能な電気配線構造を構成することができるためである。
【0034】
また、第1の接合箇所および第2の接合箇所の構成を若干変えることも好ましい。すなわち、図2(b)に示すように、第1の接合箇所157におけるクロム配線152の表面は未処理とする一方、第2の接合箇所157´におけるクロム配線152の表面には、透明導電性酸化物層154を形成し、さらに耐蝕性を向上させることが好ましい。
この理由は、このように構成が異なる複数の接合箇所を設けることにより、腐蝕環境に応じて、配置することができるためである。例えば、電気光学装置に設けたシール材の内部には、構造が比較的簡易な第1の接合箇所を配置し、腐蝕環境が激しいシール材の外部には、耐蝕性により優れた第2の接合箇所を配置することが好ましい。
【0035】
[第2実施形態]
第2実施形態は、図8に例示するように、耐蝕性金属配線158と、非耐蝕性金属配線152と、を電気接続するための電気配線構造100の製造方法であって、以下の工程(A)〜(C)を含むことを特徴とする電気配線構造100の製造方法である。
(A)耐蝕性金属配線を、電気絶縁基材上に形成した後、その表面に、耐蝕性金属の酸化層を形成する工程(以下、タンタル配線形成工程と称する場合がある。)
(B)耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線の接合予定箇所に、耐蝕性金属の酸化層を少なくとも貫通するスルーホ−ルを形成する工程(以下、スルーホ−ル形成工程と称する場合がある。)
(C)非耐蝕性金属配線を形成するとともに、スルーホ−ル内に、非耐蝕性金属配線を延設する工程(以下、クロム配線形成工程と称する場合がある。)
なお、本実施形態においても、耐蝕性金属としてタンタルを、非耐蝕性金属としてクロムを例に採って説明するが、言うまでもなく、他の耐蝕性金属や非耐蝕性金属であっても、電気配線構造の用途等に応じて、適宜使用することができる。
【0036】
1.(A)タンタル配線形成工程
図8(a)に示すように、電気絶縁基材211上に、所定形状のタンタル配線158を形成する方法は特に制限されるものではないが、例えば、蒸着法やスパッタリング法、あるいはラミネート法により、全面的にタンタル層を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて形成することが好ましい。
次いで、図8(b)に示すように、タンタル配線158の表面を酸化することにより、酸化タンタル層156を形成することが好ましい。
なお、電気絶縁基材上に、所定形状のタンタル配線を形成するにあたり、製造工程の簡便上、図9(a)〜図10(b)に示すように、TFDを構成する第1素子および第2素子のタンタル電極156を形成するのと同時に、当該タンタル配線を形成することがより好ましい。
また、同様に製造工程の簡便上、所定形状のタンタル配線上に、酸化タンタル層を形成するにあたり、図10(c)に示すように、TFDを構成する第1素子および第2素子の酸化タンタル層156を陽極酸化にて形成するのと同時に、当該酸化タンタル層を形成することがより好ましい。
【0037】
2.(B)スルーホ−ル形成工程
次いで、図8(c)に示すように、タンタル配線158およびクロム配線152の接合予定箇所に、機械的切削法やドライエッチング等の化学的エッチング法を用いて、酸化タンタル層156を少なくとも貫通するスルーホ−ル150を形成することが好ましい。
また、製造工程の簡便上、酸化タンタル層を貫通するスルーホ−ルを形成するにあたり、図11(a)に示すように、TFDを構成する第1素子および第2素子の酸化タンタル層156およびタンタル配線158を、エッチングにより形成するのと同時に、当該スルーホ−ルを形成することがより好ましい。
【0038】
3.(C)クロム配線形成工程
次いで、図8(d)に示すように、クロム配線152を、蒸着法やスパッタリング法と、フォトリソグラフィ法とを組み合わせて、形成することが好ましい。そして、クロム配線152を形成すると同時に、スルーホ−ル150内に、クロム配線150を延設することが好ましい。
なお、電気絶縁基材上の所定箇所に、所定形状のクロム配線を形成するにあたり、製造工程の簡便上、図11(b)に示すように、TFDを構成する第1素子および第2素子のクロム配線152を形成するのと同時に、当該クロム配線を形成することがより好ましい。
【0039】
[第3実施形態]
第3実施形態は、電気光学装置に対向使用されるとともに、第1の電気光学装置用基板および第2の電気光学装置用基板からなる一対の電気光学装置用基板およびそれを用いた電気光学装置であって、
第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、その上に設けられた電気配線と、を備え、
第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、かつ、第2の電気光学装置用基板は、第2のガラス基板に形成された耐蝕性金属配線と、素子第1電極および素子第2電極に電気接続される非耐蝕性金属配線と、を電気接続するための電気配線構造を備えており、
当該電気配線構造は、耐蝕性金属配線の表面に、耐蝕性金属の酸化層を形成するとともに、耐蝕性金属配線および非耐蝕性金属配線の接合箇所に、耐蝕性金属配線の酸化層を少なくとも貫通するスルーホ−ルをさらに形成し、かつ、当該スルーホ−ル内に非耐蝕性金属配線を延設することにより、耐蝕性金属配線と、耐蝕性金属配線とを電気接続してなることを特徴とする電気光学装置用基板およびそれを用いた電気光学装置である。
以下、カラーフィルタ基板(第1の電気光学装置用基板)、二つの二端子型非線形素子を備えた対向基板(第2の電気光学装置用基板)、およびそれらを用いた液晶パネルを例に採って説明する。
【0040】
1.液晶パネルの基本構造
まず、図12〜図16を参照して、本発明の第1実施形態の電気光学装置用基板を用いた電気光学装置の基本構造、すなわち、セル構造や配線、あるいは位相差板および偏光板について具体的に説明する。なお、図12は、本発明に係る電気光学装置を構成する液晶パネル200の外観を示す概略斜視図であり、図13は、液晶パネル200の模式的な概略断面図であり、図14は、アクティブマトリクス配線の電気的構成を示す図であり、図15および図16は、それぞれ二端子型非線形素子としてのTFD(Thin Film Diode)の構成を説明するために供する図である。
また、図12に示される電気光学装置を構成する液晶パネル200は、TFDを用いたアクティブマトリクス型構造を有する液晶パネル200であって、図示しないもののバックライトやフロントライト等の照明装置やケース体などを、必要に応じて、適宜取付けることが好ましい。
【0041】
(1)セル構造
図12に示すように、液晶パネル200は、ガラス板や合成樹脂板等からなる透明な第1のガラス基板221(図15中、第1のガラス基板13に相当)を基体とするカラーフィルタ基板220(第1の電気光学装置用基板と称する場合がある。)と、これに対向配置される第2のガラス基板211(図15中、第2のガラス基板27に相当)を基体とする対向基板210(第2の電気光学装置用基板と称する場合がある。)とが、接着剤等のシール材230を介して貼り合わせられていることが好ましい。そして、カラーフィルタ基板220と、対向基板210とが形成する空間であって、シール材230の内側部分に対して、開口部230aを介して液晶材料232を注入した後、封止材231にて封止されてなるセル構造を備えていることが好ましい。
すなわち、図13に示すように、カラーフィルタ基板220と対向基板210との間に液晶材料232が充填されていることが好ましい。
【0042】
(2)配線
▲1▼マトリクス
図12に示すように、第2のガラス基板211の内面(第1のガラス基板221に対向する表面)上に、マトリクス状の透明電極216と配線218Aを形成し、第1のガラス基板221の内面上には、当該透明電極218Aに直交する方向に並列した、複数のストライプ状の透明電極222を形成することが好ましい。また、透明電極216を、非線形素子271を介して配線218Aに対して導電接続するとともに、もう一方の透明電極222を、配線228に対して導電接続することが好ましい。
そして、透明電極222と直交する配線218AにTFD素子271を介して接続された透明電極216がマトリクス状に配列された多数の画素を構成し、これら多数の画素の配列が、全体として液晶表示領域Aを構成することになる。
また、図14に、ドライバICおよびTFD素子を用いたアクティブマトリクス配線の具体的な電気的構成例を示す。すなわち、Y方向に延在する複数のデータ電極26と、X方向に延在する複数の走査電極19とから構成されており、各交差部分において画素50が構成されている。また、各画素50において、液晶表示要素51と、TFD素子31とが直列接続されている。
【0043】
▲2▼入力端子部
また、図12に示すように、第2のガラス基板211は、第1のガラス基板221の外形よりも外側に張り出してなる基板張出部210Tを有し、この基板張出部210T上には、配線228に対して、シール材230の一部で構成される上下導通部を介して導電接続された配線218B、および、独立して形成された複数の配線パターンからなる入力端子部219が形成されていることが好ましい。
また、基板張出部210T上には、これら配線218A、218Bおよび入力端子部219に対して導電接続されるように、液晶駆動回路等を内蔵した半導体IC261が実装されていることが好ましい。
さらに、基板張出部210Tの端部には、入力端子部219に導電接続されるように、フレキシブル配線基板110が実装されていることが好ましい。
【0044】
(3)位相差板および偏光板
図12に示される液晶パネル200において、図13に示すように、第1のガラス基板221の所定位置に、鮮明な画像表示が認識できるように、位相差板(1/4波長板)250および偏光板251が配置されていることが好ましい。
そして、第2のガラス基板211の外面においても、位相差板(1/4波長板)240および偏光板241が配置されていることが好ましい。
【0045】
2.カラーフィルタ基板(第1の電気光学装置用基板)
(1)基本的構成
カラーフィルタ基板220は、図13に示すように、基本的に、ガラス基板221と、着色層214と、透明電極222と、配向膜217と、から構成してあることが好ましい。
また、カラーフィルタ基板220において、反射機能が必要な場合、例えば、携帯電話等に使用される反射半透過型の液晶表示装置においては、ガラス基板221と、着色層214との間に、図13に示すように、反射層212を設けることが好ましい。
さらに、カラーフィルタ基板220において、図13に示すように、その表面を平坦化するための平坦化層315や、電気絶縁性を向上させるための絶縁層を設けることも好ましい。
【0046】
(2)着色層
▲1▼構成
また、図13に示す着色層214は、通常、透明樹脂中に顔料や染料等の着色材を分散させて所定の色調を呈するものとされている。着色層の色調の一例としては原色系フィルタとしてR(赤)、G(緑)、B(青)の3色の組み合わせからなるものがあるが、これに限定されるものではなく、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)等の補色系や、その他の種々の色調で形成することができる。
通常、基板表面上に顔料や染料等の着色材を含む感光性樹脂からなる着色レジストを塗布し、フォトリソグラフィ法によって不要部分を欠落させることによって、所定のカラーパターンを有する着色層を形成する。ここで、複数の色調の着色層を形成する場合には上記工程を繰り返すことになる。
【0047】
▲2▼遮光膜
また、図13に示すように、画素毎に形成された着色層214の間の画素間領域に、ブラックマトリクス(黒色遮光膜、あるいはブラックマスクと称する場合もある。)214BMが形成してあることが好ましい。
このようなブラックマトリクス214BMとしては、例えば黒色の顔料や染料等の着色材を樹脂その他の基材中に分散させたものや、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の着色材を共に樹脂その他の基材中に分散させたものなどを用いることができる。
なお、図13に示すブラックマトリクス214BMにおいては、加色法を利用して、R(赤)層17、G(緑)層16、B(青)層15の三層構造としてある。このように構成することにより、カーボン等の黒色材料を使用しなくとも、優れた遮蔽効果を得ることができる。
【0048】
▲3▼配列パターン
また、着色層の配列パターンとして、ストライプ配列を採用することが多いが、このストライプ配列の他に、斜めモザイク配列や、デルタ配列等の種々のパターン形状を採用することができる。
【0049】
(3)透明電極
図13に示すように、平坦化層315の上には、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体からなる透明電極222を形成することが好ましい。かかる透明電極222は、複数の透明電極222が並列したストライプ状に構成されていることが好ましい。
【0050】
(4)配向膜
また、図13に示すように、透明電極222の上には、ポリイミド樹脂等からなる配向膜217が形成されていることが好ましい。
この理由は、このように配向膜217を設けることにより、カラーフィルタ基板220を液晶表示装置等に使用した場合に、液晶材料の配向駆動を電圧印加によって容易に実施することができるためである。
【0051】
3.対向基板(第2の電気光学装置用基板)
(1)基本構造
また、図12および図13に示すように、カラーフィルタ基板220と対向するもう一方の対向基板(第2の電気光学装置用基板)210は、ガラス等からなる第2のガラス基板211上に、第1のガラス基板と同様の透明電極216や配向膜224を順次積層させたものであることが好ましい。
なお、このカラーフィルタ基板220の例では、着色層が第1のガラス基板221に設けてあるが、着色層を、かかる対向基板210の第2のガラス基板211上に設けることも好ましい。
【0052】
(2)二端子型非線形素子
二端子型非線形素子としては、図15および図16に例示するように、TFD素子31、32が典型的である。
そして、かかるTFD素子31、32は、素子第1電極としての第1金属膜24、絶縁膜23、および素子第2電極としての第2金属膜22、25からなるサンドイッチ構成を有することが好ましい。ここで、第1金属膜24や第2金属膜22、25としては、タンタル(Ta)を使用することが好ましい。また、絶縁膜23としては、このような金属材料を陽極酸化させて構成してあることが好ましく、例えば、酸化タンタル(Ta2O5)を使用することが好ましい。
そして、正負方向のダイオードスイッチング特性を示し、しきい値以上の電圧が、第1金属膜24および第2金属膜22、25の両端子間に印加されると導通状態となるアクティブ素子である。
【0053】
なお、二端子型非線形素子の配置方法に関して、図15(c)に示すように、二個のTFD素子31、32は、走査電極19またはデータ電極26と、画素電極20との間に介在するように、ガラス基板27上に形成され、反対のダイオード特性を有する第1のTFD素子32および第2のTFD素子31から構成してあることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、印加する電圧波形として、正負対称なパルス波形を使用することができ、液晶表示装置等における液晶材料の劣化を防止することができるためである。すなわち、液晶材料の劣化を防止するために、ダイオードスイッチング特性が、正負方向において対称的であることが望まれ、図11(b)に例示するように、二個のTFD素子31、32を逆向きに直列接続することにより、正負対称なパルス波形を使用することができるためである。
【0054】
[第4実施形態]
本発明に係る第4実施形態としての電気光学装置を、電子機器における表示装置として用いた場合について具体的に説明する。
【0055】
(1)電子機器の概要
図17は、本実施形態の電子機器の全体構成を示す概略構成図である。この電子機器は、液晶パネル200と、これを制御するための制御手段1200とを有している。また、図17中では、液晶パネル200を、パネル構造体200Aと、半導体IC等で構成される駆動回路200Bと、に概念的に分けて描いてある。また、制御手段1200は、表示情報出力源1210と、表示処理回路1220と、電源回路1230と、タイミングジェネレータ1240とを有することが好ましい。
また、表示情報出力源1210は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等からなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ1240によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路1220に供給するように構成されていることが好ましい。
【0056】
また、表示情報処理回路1220は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等の周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路200Bへ供給することが好ましい。さらに、駆動回路200Bは、走査線駆動回路、データ線駆動回路および検査回路を含むことが好ましい。また、電源回路1230は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する機能を有している。
【0057】
(2)他の電子機器
本発明に係る電気光学装置としての液晶表示装置を適用可能な電子機器としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機が代表的であるが、そのほかにも、液晶テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電気泳動装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた電子機器などが挙げられる。
【0058】
さらに、本発明の電気光学装置および電子機器は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、第3実施形態に示す液晶パネルは、TFD(薄膜ダイオード)を用いたアクティブマトリクス方式を採用しているが、図18に示すように、TFT(薄膜トランジスタ)のアクティブマトリクス方式の電気光学装置にも適用することができ、あるいは、図19に示すように、単純マトリックス方式の電気光学装置にも適用することができる。
また、第3実施形態に示す液晶パネルは、いわゆるCOGタイプの構造を有しているが、ICチップを直接実装する構造ではない液晶パネル、例えば液晶パネルにフレキシブル配線基板やTAB基板を接続するように構成されたものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の電気配線構造を説明するために供する図である。
【図2】 第1実施形態の電気光学装置におけるシール材と、電気配線構造との関係を説明するために供する図である。
【図3】 第1実施形態の電気光学装置用基板における別の電気配線構造を説明するために供する図である。
【図4】 スルーホールの平面形状を説明するために供する図である。
【図5】 スルーホールの側面を説明するために供する図である。
【図6】 接続箇所を説明するために供する図である。
【図7】 複数の接続箇所を説明するために供する図である。
【図8】 電気配線構造の製造方法を説明するために供する図である。
【図9】 TFDの製造方法を説明するために供する図である(その1)。
【図10】 TFDの製造方法を説明するために供する図である(その2)。
【図11】 TFDの製造方法を説明するために供する図である(その3)。
【図12】 第3実施形態に係る液晶パネルの外観を示す概略斜視図である。
【図13】 第3実施形態のパネル構造を模式的に示す概略断面図である。
【図14】 TFDの電気配線を説明するために供する図である。
【図15】 TFDを説明するために供する図である(その1)。
【図16】 TFDを説明するために供する図である(その2)。
【図17】 本発明に係る電子機器の実施形態における構成ブロックを示す概略構成図である。
【図18】 TFTの電気配線を説明するために供する図である。
【図19】 単純マトリックスタイプの液晶パネルの外観を示す概略斜視図である。
【図20】 従来の液晶パネルにおける電気配線構造を説明するために供する図である。
【符号の説明】
10:電気光学装置用基板、12:第1の電気光学装置用基板、13:第1のガラス基板、14:第2の電気光学装置用基板、18:ブラックマトリクス、19:電気配線(走査電極)、20:画素電極、22:第1の素子第2電極、23:絶縁膜、24:素子第1電極、25:第2の素子第2電極、26:データ電極、27:第2のガラス基板、31:第1のTFD素子、32:第2のTFD素子、150:スルーホール、151:傾斜部、152:クロム層、154:透明性無機酸化物層、156:タンタル層、158:酸化タンタル層、160:多層配線構造、170:シール材、200:液晶パネル、210:対向基板、211:第2基板、212:反射層、212a:開口部、212r:反射部、214:着色層、215a:開口部、216:透明電極、220:カラーフィルタ基板、221:第1基板、222:透明電極、315:平坦化層
Claims (7)
- 一対の基板がシール材を介して貼り合わされ、該シール材の内側に液晶材料が狭持されてなり、一方の前記基板上に、耐蝕性金属配線と、非耐蝕性金属配線と、を電気接続するための電気配線構造を備えた電気光学装置であって、
前記電気配線構造は、
前記耐蝕性金属配線の表面に、当該耐蝕性金属の酸化層を形成するとともに、前記耐蝕性金属配線および前記非耐蝕性金属配線の接合箇所に、前記耐蝕性金属配線及び前記酸化層を貫通するスルーホ−ルを形成し、前記スルーホ−ル内に前記非耐蝕性金属配線を延設することにより、前記スルーホ−ル内において、前記非耐蝕性金属配線は、前記耐蝕性金属配線の側面と接合することにより前記耐蝕性金属配線と電気接続しており、
前記耐蝕性金属配線は、前記シール材の外側から内側に引き回され、前記非耐蝕性金属配線は、前記シール材の外側に形成される共に、前記シール材の外側に形成された前記非耐蝕性金属配線と離間して前記シール材の内側で引き回されており、
前記耐蝕性金属配線と、前記非耐蝕性金属配線とが、前記シール材の外側および内側に形成された前記スルーホールを介してそれぞれ電気接続されており、
前記シール材の外側のスルーホールが形成された接合箇所において、前記非耐蝕性金属配線の表面を覆うように透明導電性酸化物層が形成されてなることを特徴とする電気光学装置。 - 前記耐蝕性金属配線および前記非耐蝕性金属配線の接合箇所における非耐蝕性金属配線の線幅を、非接合面以外の線幅よりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
- 前記スルーホ−ルを複数設けるとともに、前記耐蝕性金属配線および前記非耐蝕性金属配線の接合箇所に、当該スルーホ−ルをマトリックス状に配列することを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
- 前記スルーホ−ルの側面に、傾斜部を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記耐蝕性金属がタンタルであるとともに、前記非耐蝕性金属がクロムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 一対の基板がシール材を介して貼り合わされ、該シール材の内側に液晶材料が充填されてなり、一方の前記基板上に、耐蝕性金属配線と、非耐蝕性金属配線と、を電気接続するための電気配線構造を備えた電気光学装置の製造方法において、
前記耐蝕性金属配線を、一方の前記基板上に形成した後、その表面に、当該耐蝕性金属配線の酸化層を形成する工程と、
前記耐蝕性金属配線および前記非耐蝕性金属配線の接合箇所に、前記耐蝕性金属配線及び酸化層を貫通するスルーホ−ルを形成する工程と、
前記非耐蝕性金属配線を形成するとともに、前記スルーホ−ル内に、前記非耐蝕性金属配線を延設する工程とを含み、
前記電気配線構造は、
前記スルーホ−ル内に前記非耐蝕性金属配線を延設し、前記スルーホ−ル内において、前記非耐蝕性金属配線を、前記耐蝕性金属配線の側面と接合させることにより前記耐蝕性金属配線と電気接続しており、
前記耐蝕性金属配線を、前記シール材の外側から内側に引き回し、前記非耐蝕性金属配線を、前記シール材の外側に形成する共に、前記シール材の外側に形成された前記非耐蝕性金属配線と離間させて前記シール材の内側で引き回しており、
前記耐蝕性金属配線と、前記非耐蝕性金属配線とを、前記シール材の外側および内側に形成された前記スルーホールを介してそれぞれ電気接続させており、
前記シール材の外側のスルーホールが形成された接合箇所において、前記非耐蝕性金属配線の表面を覆うように透明導電性酸化物層が形成されてなることを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 対向する第1の電気光学装置用基板と第2の電気光学装置用基板とがシール材を介して貼り合わされてなる一対の電気光学装置用基板、およびその間であって該シール材の内側に電気光学的物質を含む電気光学装置において、
前記第1の電気光学装置用基板は、基板としての第1のガラス基板と、着色層と、遮光層としてのブラックマトリクスと、その上に設けられた電気配線と、を備え、
前記第2の電気光学装置用基板は、対向基板としての第2のガラス基板と、二端子型非線形素子を構成する素子第1電極、絶縁膜および素子第2電極と、を備え、
かつ、前記第2の電気光学装置用基板は、第2のガラス基板に形成された耐蝕性金属配線と、前記素子第1電極および素子第2電極に電気接続される非耐蝕性金属配線と、を電気接続するための電気配線構造を備えており、
前記電気配線構造は、
前記耐蝕性金属配線の表面に、当該耐蝕性金属の酸化層を形成するとともに、前記耐蝕性金属配線および前記非耐蝕性金属配線の接合箇所に、前記耐蝕性金属配線及び前記酸化層を貫通するスルーホ−ルを形成し、前記スルーホ−ル内に前記非耐蝕性金属配線を延設することにより、前記スルーホ−ル内において、前記非耐蝕性金属配線は、前記耐蝕性金属配線の側面と接合することにより前記耐蝕性金属配線と電気接続しており、
前記耐蝕性金属配線は、前記シール材の外側から内側に引き回され、前記非耐蝕性金属配線は、前記シール材の外側に形成される共に、前記シール材の外側に形成された前記非耐蝕性金属配線と離間して前記シール材の内側で引き回されており、
前記耐蝕性金属配線と、前記非耐蝕性金属配線とが、前記シール材の外側および内側に形成された前記スルーホールを介してそれぞれ電気接続されており、
前記シール材の外側のスルーホールが形成された接合箇所において、前記非耐蝕性金属配線の表面を覆うように透明導電性酸化物層が形成されてなることを特徴とする電気光学装置。
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