JP4082172B2 - トルクコンバータの制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータの制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無段変速機を含む自動変速機の動力伝達系に挿入されたトルクコンバータのロックアップ制御装置は、トルクコンバータのすべりに起因する燃費の悪化を低減するために、トルク増大作用や変速ショック吸収機能を必要としない運転領域において、トルクコンバータの入出力要素間を直結状態とするロックアップクラッチを備えている。これをロックアップモードと呼び、この他に、入出力要素間を完全解放し、流体を介してトルク伝達を行なうコンバータモード(トルコン状態)と、ロックアップクラッチを半締結状態とし、所定のスリップ状態を維持するスリップモードの合わせて3つのモードを備え、運転状態により適宜切り替えている。
【0003】
この動作モードの切り替えは、ロックアップ差圧(ロックアップクラッチに供給される油圧のサプライ圧とレリーズ圧の差)を変化させることにより行い、最小圧の場合はトルコン状態、最大圧の場合は、ロックアップ状態となるように設計されている。スリップ制御は、両状態の中間においてスリップ回転が所定値となるように、例えば、特開平11−141678号公報のようにフィードバック制御を用いて最適なロックアップ差圧を算出することで、スリップ回転を制御するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来技術ではロックアップ差圧が、コントローラから出力される制御信号によりロックアップ制御弁を制御して調圧されるため、差圧指令値と実差圧との間にヒステリシスが存在すると指令差圧の変化に対してリニアなバルブ応答性を確保することができず、スリップ制御性能が著しく低下するという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、ヒステリシスの影響を抑制し、応答性のよいトルクコンバータの制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジンからの回転を自動変速機に伝達するトルクコンバータと、このトルクコンバータの入出力要素間の回転伝達を制御するロックアップクラッチと、前記ロックアップクラッチの締結状態を制御するロックアップ制御弁と、車両の運転状態に応じてロックアップクラッチの締結状態をロックアップ制御弁に指令するコントローラとを備えたトルクコンバータの制御装置において、前記ロックアップクラッチがスリップ制御を実施するときに、前記コントローラが前記ロックアップ制御弁に出力する指令値に進み補償を行う補償手段を備え、進み補償後の指令値は下式で表され、
ここでTden:進み補償の時定数、Tnum:予め測定しておいたロックアップ制御弁の特性により設定される固定値(但し、Tnum>Tden)であり、前記進み補償の時定数Tdenは、前記指令値の変化に応じて設定される
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、トルクコンバータのスリップ制御時に、ロックアップ制御弁へのコントローラからの指令値に対して進み補償を行うため、指令値の変化に対して補償後の指令値の変化を大きく設定し、補償前の指令値を大きくすることなく、ロックアップ制御弁のヒステリシス範囲を越えて差圧指令値が設定できる。したがって、ロックアップ制御弁の応答性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、本発明のシステム構成を示す概略図である。
【0010】
この図1において、1は無段変速機を含む自動変速機等の動力伝達系に介装されたトルクコンバータを示し、内部作動流体を介して入出力要素間での動力伝達を行うものである。
【0011】
トルクコンバータ1は、更にトルクコンバータ出力要素(タービン)と共に回転するロックアップクラッチ2を内蔵し、このロックアップクラッチ2は、トルクコンバータ入力要素(インペラ)に締結されるとき、トルクコンバータ1を入出力要素間が直結されたロックアップ状態にするものとする。
【0012】
ロックアップクラッチ2は、その両側(前後)におけるトルクコンバータアプライ圧PAとトルクコンバータレリーズ圧PRとの差圧PA−PRに応動し、レリーズ圧PRがアプライ圧PAよりも高いとロックアップクラッチ2は開放されてトルクコンバータ入出力要素間を直結せず、レリーズ圧PRがアプライ圧PAよりも低くなる時ロックアップクラッチ2は締結されてトルクコンバータ入出力要素間を直結するものである。
【0013】
そして、上記後者の締結に際して、ロックアップクラッチ2の締結力、つまりロックアップ容量は、上記の差圧PA−PRにより決定し、この差圧が大きい程ロックアップクラッチ2の締結力が増大してロックアップ容量を増大する。
【0014】
差圧PA−PRは、周知のロックアップ制御弁3により制御し、このロックアップ制御弁3には、アプライ圧PAおよびレリーズ圧PRを相互に対向するように作用させ、更にアプライ圧PAと同方向にばね3aの付勢力を、またレリーズ圧PRと同方向にばね力を作用させ、同時にレリーズ圧PRと同方向に信号圧PSをそれぞれ作用させる。
【0015】
ロックアップ制御弁3は、これら油圧とバネの付勢力が釣り合うよう差圧PA−PRを決定する。
【0016】
ここでロックアップ制御弁3にかかる信号圧Psは、ポンプ圧PPを元圧としてロックアップソレノイド4がロックアップデューティDに応じて作り出すもので、マイクロコンピュータなどで構成されるコントローラ5は、ロックアップソレノイド4を介して差圧PA−PRを制御する。
【0017】
コントローラ5には、車両の走行状態やドライバーの運転状況を示す信号、例えば、電源電圧センサ6からの信号、トルクコンバータ1への入力回転速度を検出するインペラ回転センサ7からの信号、トルクコンバータ1のタービン回転センサ8からの信号、自動変速機に設けた出力軸回転センサ9からの信号、スロットル開度センサ10からの信号、油温センサ11からの信号などが入力され、これらの検出信号によりロックアップクラッチ2の締結や解放あるいはスリップなどの制御を行う。
【0018】
コントローラ5は、図2に示す制御系構成図に沿った演算により、ロックアップソレノイド4を駆動するロックアップデューティDを決定するとともに、電源電圧信号6に応じてロックアップデューティDの補正を行う。
【0019】
次に、図2の制御系構成図に基づき、コントローラ内部の演算について説明する。
【0020】
目標スリップ回転演算部S100では、車速とスロットル開度(またはアクセル操作量)と油温等に基づき、トルク変動やこもり音の発生がもっとも少ないところに目標スリップ回転ωSLPTを決定する。
【0021】
実スリップ回転演算部S103では、ポンプインペラの回転速度ωiRからタービンランナの回転速度ωTRを減算してトルクコンバータ1の実スリップ回転ωSLPRを算出する。
【0022】
ここで、インペラの回転速度はエンジン回転速度と等価であり、また、タービン回転速度は変速機の入力軸回転速度と等価な速度である。
【0023】
前置補償器S101では、目標スリップ回転ωSLPTを、設計者の意図する応答になるように設定した補償用フィルタを通過させることにより、目標スリップ回転補正値ωSLPTCを算出する。
【0024】
スリップ回転速度偏差演算部S102では、目標スリップ回転補正値ωSLPTCと実スリップ回転速度ωSLPRとの間のスリップ回転偏差ωSLPERを、
【0025】
【数1】
ωSLPER = ωSLPTC − ωSLPR ………(1)
より算出する。
【0026】
スリップ回転指令値演算部S104(フィードバック補償器)では、スリップ回転偏差ωSLPERをなくすために、比例・積分制御(以下、PI制御)により構成されたフィードバック補償器により、スリップ回転指令値ωSLPCを、
【0027】
【数2】
ωSLPC = Kp×ωSLPER+(Ki/S)×ωSLPER …(2)
ただし、Kp:比例制御定数(比例ゲイン)
Ki:積分制御定数(積分ゲイン)
S:微分演算子
より算出する。なお、ゲインKp、Kiは予め実験などで求めた値を用いる。
【0028】
スリップ回転速度ゲイン演算部S106では、図3に示したマップから現在のタービン回転速度ωTRに対応したスリップ回転ゲインgSLPCを検索して求める。
【0029】
目標コンバータトルク演算部S105では、タービン回転速度ωTRのときに、スリップ回転指令値ωSLPCを達成するための目標コンバータトルクtCNVCを、
【0030】
【数3】
CNVC = ωSLPC / gSLPC ………(3)
より算出する。
【0031】
エンジントルク推定部S108では、図4に示したエンジン全性能マップを用いて、エンジン回転速度Neおよびスロットル開度TVOから、エンジントルクマップ値tESを検索し、これにエンジンの動特性を時定数TEDの一次遅れとした場合のフィルターを通過させて、エンジントルク推定値tEHを、
【0032】
【数4】
【0033】
より算出する。
【0034】
目標ロックアップクラッチ締結容量演算部S107では、エンジントルク推定値tEHから目標コンバータトルクtCNVCを減算して目標ロックアップクラッチ締結容量tLUを算出する。
【0035】
【数5】
LU = tEH − tCNVC ………(5)
ロックアップクラッチ締結圧指令値演算部S109では、図5に示したロックアップクラッチ容量マップから現在の目標ロックアップクラッチ締結容量tLUを達成するためのロックアップクラッチ締結圧指令値PLUCを検索するが、その際、図6に示すようなフィルターS109aによる補償を施す。このフィルターの時定数の設定方法については後述する。
【0036】
ソレノイド駆動信号演算部S110では、実際のロックアップクラッチ締結圧をロックアップクラッチ締結圧指令値PLUCにするためのロックアップデューティSDUTYを決定する。
【0037】
次に、コントロールユニット5における制御内容のうち、今回の発明のポイントである、制御演算結果の差圧指令値に対して補償を施し、指令値により駆動されるロックアップ制御弁の特性を改善する方法について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0038】
まずステップ1(図ではS1と略記する。以下同様)では、現在行うべき制御がスリップ制御なのかどうかを、スロットル開度や車速等に基づき判定し、スリップ制御であると判定した場合はステップ4へ進み、スリップ制御ではないと判定した場合はステップ2へ進む。
【0039】
ステップ2では、現在行なうべき制御がロックアップ制御なのかどうかを、前記同様に判定し、ロックアップ制御であると判定した場合はステップ3へ進み、ロックアップ制御ではないと判定した場合はステップ16へ進む。
【0040】
ステップ3では、ロックアップ制御において、完全ロックアップ状態(差圧指令が最大の状態)に移行できているかどうか判定し、移行できている場合はロックアップ完了であるため、ステップ15へ進む。移行できていない場合は、スリップ制御を併用してロックアップ状態へ移行する制御を行なうため、ステップ4へ進む。
【0041】
現在の制御状態がスリップ制御もしくはロックアップ制御と判定したステップ4において、前回の制御状態がコンバータ制御の場合はステップ5へ進み、コンバータ制御以外の場合はステップ7へ進む。
【0042】
ステップ5では、現在のスロットル開度に応じた初期差圧のマップ値を図8から算出し、マップ値と現在の差圧指令値とを比較し、大きい方を初期差圧として設定する。そして、ステップ6においてオープン制御によるロックアップクラッチ締結圧の昇圧動作を実行中であることを示すフラグ(FLAG1)をセットする。以上、ステップ5、6において、運転領域がコンバータ状態からスリップ状態もしくはロックアップ状態へ移行した初回のみ、オープン制御で昇圧処理を開始するための準備処理を行ない、2回目以降は行なわない。
【0043】
ステップ7においては、現在、オープン制御による昇圧動作を実行中なのかどうかをステップ6で設定したフラグ(FLAG1)により判定し、昇圧動作を実行中の場合(FLAG1=1)はステップ8へ進み、昇圧中でない場合(FLAG1=0)はステップ13へ進む。
【0044】
ステップ8では、オープン制御による昇圧動作を終了して良いかどうか判定するための判定用スリップ回転ωSLPENDを、図9のマップより、現在のスロットル開度に応じて算出し、現在のスリップ回転ωSLPRと判定用スリップ回転ωSLPENDの比較を行ない、
【0045】
【数6】
ωSLPR≦ωSLPEND …(6)
の場合は、昇圧動作によりスリップ回転が差圧指令に反応し始め,差圧制御が可能な状態になったと判定し、オープン制御による昇圧動作を終了してステップ11へ進み、通常のフィードバック制御への切替処理を行なう。この(6)式を満足しない場合は,まだスリップ回転が差圧指令の増加に対して反応していないと判定してステップ9へ進む。
【0046】
ステップ9では、オープン制御中における単位時間あたりの昇圧量を、予め設定しておいた図10のマップより、現在のスロットル開度に応じて設定する。なお、単位時間とは制御サイクルと等価であり、例えば20ms毎にオープン制御を行なうように構成した場合は、20ms間あたりの昇圧量を設定する事になる。つぎに、ステップ10では、現在の差圧指令値にステップ9にて算出した単位時間あたりの昇圧量を加算する事で、オープン制御中の差圧指令値を算出する。
【0047】
一方、ステップ11においては、オープン制御による昇圧動作を終了し、従来のフィードバック制御に切り替えるために、制御系の初期化処理を行なう。この初期化処理は、図2の制御系構成図において、前置補償器S101の出力を、フィードバック制御への切り替え時点の実スリップ回転で初期化し、回転指令値演算部S104におけるフィードバック補償器を、同じく実差圧相当のスリップ回転で初期化する事により行なう。続くステップ12では、オープン制御による昇圧動作中である事を示すフラグFLAG1をクリアし、ステップ13へ進む。
【0048】
ステップ13では、図2の制御系構成図に基づいたフィードバック制御演算を行ない、スリップ制御中における差圧指令値を算出し、ステップ14へ進む。例えば、ドライブスリップを行なう場合は、目標スリップ演算部S100にて、目標スリップ回転ωSLPTとして40rpmを設定し、ロックアップ状態にする場合は、0rpmを設定する。そして、この設定した目標スリップ回転に一致するようにフィードバック制御系が作用する構成となっている。
【0049】
以上、ステップ8〜10にて、オープン制御時の差圧指令値の設定を行ない、ステップ8、11、12にて、オープン制御から通常のフィードバック制御への切替処理を行ない、ステップ7、13にて、通常のフィードバック制御時の差圧指令値の算出を行なう。
【0050】
続くステップ14では、差圧指令値の変化具合を評価して、差圧指令値に対して補償を行なうべきかどうか判定し、補償する際の時定数を設定する。ステップ15では、ステップ14にて設定した時定数に従い、差圧指令値に補償を施すことでロックアップ制御弁の特性を改善する。これらの詳細は図11および図12のフローチャートを用いて後述する。
【0051】
ステップ16は、ロックアップ制御における締結動作(完全ロックアップ)が完了し、差圧を最高圧に保っている状態である。また、ステップ17は、コンバータ制御におけるロックアップクラッチの開放動作(アンロックアップ)が完了し、差圧を最低圧に保っている状態である。
【0052】
次に、図7のステップ14における差圧指令値の変化具合を評価することによる補償用時定数の設定について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
まず、ステップ30にて、制御系を初期化したかどうか判定する。これは図7のフローチャートのステップ11にて、初期化を行なったかどうかであるが、初期化を行なった場合はステップ42へ進み、初期化を行なっていない場合はステップ31へ進む。
【0054】
ステップ42では、差圧指令値が想定したロックアップ制御弁3のヒステリシス範囲(HYS_WDH)を越えたかどうか判定するための基準値(HYS_CNTR)を指令値で初期化し、通常のスリップ制御はオープン制御によりロックアップ締結圧を昇圧する方向で開始するため、差圧の変化方向(HYS_DIR_NEW)を上昇方向(UP、差圧が昇圧する方向)で初期化する。また、後述する時定数設定用のタイマ(TMER)をゼロクリアする。
【0055】
ステップ31では、今回の指令値が「基準値+ヒステリシス範囲」(HYS_CNTR+HYS_WDH)を越えたかどうか判定する。越えている場合はステップ33へ進み、越えてない場合はステップ32へ進む。ステップ33では、判定基準値(HYS_CNTR)を、「指令値−ヒステリシス範囲」(PLUC1−HYS_WDH)で更新するとともに、差圧の変化方向(HYS_DIR_NEW)を上昇方向(UP)に更新し、ステップ36へ進む。
【0056】
ステップ32では、今回の指令値が「基準値−ヒステリシス範囲」(HYS_CNTR−HYS_WDH)を下回っているかどうか判定する。下回っている場合はステップ34へ進み、下回っていない場合はステップ35へ進む。ステップ34では、判定基準値(HYS_CNTR)を、「指令値+ヒステリシス範囲」(PLUC1+HYS_WDH)で更新するとともに、差圧の変化方向(HYS_DIR_NEW)を下降方向(DOWN、差圧が減圧する方向)に更新し、ステップ36へ進む。
【0057】
ステップ35は、前記判定条件をどちらも満足しなかった場合であり、差圧の変化方向(HYS_DIR_NEW)を変化なし(NONE)に更新し、ステップ36へ進む。
【0058】
ステップ36では、差圧の変化方向の前回値(HYS_DIR_OLD)と今回値(HYS_DIR_NEW)を比較し、前回が上昇方向(UP)以外で今回が上昇方向(UP)の場合は、差圧指令値の変化方向が上昇方向に変わったと判定し、ステップ38へ進む。そうでない場合は、ステップ37へ進む。
【0059】
ステップ37では、同様に差圧の変化方向の前回値(HYS_DIR_OLD)と今回値(HYS_DIR_NEW)を比較し、前回が下降方向(DOWN)以外で今回が下降方向(DOWN)の場合は、差圧指令値の変化方向が下降方向に変わったと判定し、ステップ38へ進む。そうでない場合は、ステップ40へ進む。
【0060】
ステップ38では、差圧指令値の補償用フィルタの時定数を設定するタイマ(TIMER)をセットし、ステップ39へ進む。
【0061】
ステップ39では、タイマ(TIMER)をステップ38でセットされた値からゼロに向けてカウントダウンし、ステップ40へ進む。
【0062】
ステップ40では、差圧の変化方向の前回値(HYS_DIR_OLD)を今回値(HYS_DIR_NEW)で更新する。続くステップ41では、前述の条件でセット、カウントダウンしたタイマ(TIMER)に従い、図13のような相関で補償用フィルタの時定数を設定する。つまり時定数自体は、予め専用の定数テーブル(TDEN_TBL)に設定しておき、タイマの値をインデックスとして参照するように構成する。つまり、図13の設定の場合は、タイマが7の場合は、テーブルより時定数Tdenを0.05と設定し、タイマが4の場合は0.12と設定し、タイマのカウントダウンが終了し、0になった場合は、それ以降を0.5と設定する、という具合である。
【0063】
図14に図11のフローチャートで説明した変数のタイミングチャートの一例を示す。これは、制御系の初期化後、差圧指令値の変化方向が上昇から下降に切り替わった場合の例である。
【0064】
次に、図7のステップ15における差圧指令値の補償方法について、図12のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップ50にて、制御系を初期化したかどうか判定する。これは図7のフローチャートのステップ11にて、初期化を行なったかどうかであるが、初期化を行なった場合はステップ52へ進み、初期化を行なっていない場合はステップ51へ進む。
【0065】
ステップ52では、補償後の差圧指令値が、現在の差圧指令値になるように、補償用フィルタ109aを初期化する。
【0066】
ステップ51では、図7のステップ14(詳細フローは図11)に設定した時定数を使い、差圧指令値の補償用フィルタ109aの演算を行なう。補償用フィルタ109aを1次のフィルタで構成した場合は、式(7)のような進み補償の伝達関数として表され、前述の補償用フィルタの時定数を分母部分の時定数Tdenとして使い、分子部分のTnumは予め測定しておいたロックアップ制御弁3の特性により、固定値として設定する。
【0067】
【数7】
【0068】
但し、Tnum>Tdenである。
【0069】
したがって本発明においては、トルクコンバータのスリップ制御時において、ロックアップクラッチを制御するロックアップ制御弁3の応答性にヒステリシスを有する場合に、ロックアップ制御弁3へのコントローラ5からの差圧指令値に対して進み補償を行う。具体的には差圧指令値を式(7)の補償用フィルタで補正することで、補償後差圧指令値を算出する。このように差圧指令値に対して進み補償を行うことで、差圧指令値の変化に対して補償後の差圧指令値の変化を大きく設定し、補償前の差圧指令値を大きくすることなく、ロックアップ制御弁3のヒステリシス範囲を越えて差圧指令値が設定できる。したがって、ロックアップ制御弁3の応答性を向上することができる。
【0070】
また、進み補償の時定数Tdenは差圧指令値の変化に応じて設定されるため、例えば、差圧が減少から増加、または増加から減少に変化する、差圧変化の傾向が変化する場合にロックアップ制御弁3のヒステリシスの大きさが問題となるが、このような変化が生じる場合に時定数を小さく設定し、進み補償が強く作用するようにして制御弁3の応答性を向上できる。式(7)においてTnum>Tdenと設定することで、補償後の差圧指令値は補償前の差圧指令値より大きく設定でき、かつ位相も進んだ状態となる。
【0071】
また差圧指令値が、増加を維持、または減少を維持する指令の場合には、制御弁3のヒステリシスの影響がなく進み補償の作用を小さくするような時定数を設定することができる。たとえば、Tnum>Tdenの関係を徐々にTnum=Tdenとする(Tnumを徐々に小さくする)ことで、進み補償なし状態とできる。この場合には、差圧指令値を補償することなく出力され、位相差も0(ゼロ)の状態となる。
【0072】
また、差圧指令値の変化を検出した場合のみTnum>Tdenの関係としてその後、段階的にTnum=Tdenとなるように収束させることができる。このような制御は、例えば、ヒステリシスの影響のみを除去したい場合に適用することができる。
【0073】
なお、差圧指令値の変化が一定(例えば増加から増加)の場合でも、ロックアップ制御弁3の摺動抵抗が大きく、動きが渋く差圧指令値に対して制御弁3の追従性が悪い場合に、Tnum=Tdenとなる収束時間を長く設定することで進み補償が作用する期間を長く設定でき、制御弁3の影響を抑制することができる。
【0074】
この状態を示すタイミングチャートが図15と図16である。図16は図15に比べ、時定数TdenがTnumに収束する時間を長く設定した場合である。比較すると、進み補償の効果の継続時間が、図16の方が長い事がわかる。
【0075】
また、差圧指令値に対して、その変化に応じて進み補償の時定数のみを適宜切り替えることにより、ロックアップ制御弁3自体を交換することなく、設計者の意図する弁特性を達成することができる。
【0076】
なお、説明した実施例では、変化方向の検出レベルを定数として設定するヒステリシス範囲(HYS_WDH)を変える事で対応可能であり、変化検出後の補償用フィルタの強さは、図13に示す時定数テーブル(TDEN_TBL)を変える事で、任意に設定可能である。また、タイマの設定値については、差圧指令値の変化方向を問わず、共通の値を設定するようにしたが、指令値の変化方向によりタイマの設定値を変える事で、方向別のバルブ特性を設定する事も可能である。
【0077】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内でさまざまな変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態の構成を示すシステム構成図である。
【図2】制御系構成図である。
【図3】スリップ回転ゲインマップである。
【図4】エンジン全性能マップである。
【図5】ロックアップクラッチ容量マップである。
【図6】補償用フィルタの概略図である。
【図7】本実施例のロックアップ制御弁の特性改善のフローチャートである。
【図8】初期差圧マップである。
【図9】オープン制御終了スリップ回転マップである。
【図10】オープン制御昇圧量マップである。
【図11】指令変化分の評価および時定数設定フローチャートである。
【図12】指令値補償フローチャートである。
【図13】時定数設定マップである。
【図14】ヒステリシス判定タイムチャートである。
【図15】本発明タイミングチャートである。
【図16】本発明タイミングチャート(定常的に進み補償する場合)である。
【符号の説明】
1:トルクコンバータ
2:ロックアップクラッチ
3:ロックアップ制御弁
4:ロックアップソレノイド
5:コントローラ
S109:ロックアップクラッチ締結圧指令値演算部
S109a:補償フィルタ
S110:ソレノイド駆動信号演算部

Claims (4)

  1. エンジンからの回転を自動変速機に伝達するトルクコンバータと、
    このトルクコンバータの入出力要素間の回転伝達を制御するロックアップクラッチと、
    前記ロックアップクラッチの締結状態を制御するロックアップ制御弁と、
    車両の運転状態に応じてロックアップクラッチの締結状態をロックアップ制御弁に指令するコントローラとを備えたトルクコンバータの制御装置において、
    前記ロックアップクラッチがスリップ制御を実施するときに、前記コントローラが前記ロックアップ制御弁に出力する指令値に進み補償を行う補償手段を備え、
    進み補償後の指令値は下式で表され、
    ここでTden:進み補償の時定数、Tnum:予め測定しておいたロックアップ制御弁の特性により設定される固定値(但し、Tnum>Tden)であり、
    前記進み補償の時定数Tdenは、前記指令値の変化に応じて設定されることを特徴とするトルクコンバータの制御装置。
  2. 実スリップ回転数が目標スリップ回転数に一致するよう前記ロックアップ制御弁に指令値を出力し、前記ロックアップ制御弁が応答性にヒステリシスを有し、該ヒステリシスによる遅れを打ち消すよう進み補償を行うことを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータの制御装置。
  3. 前記指令値の傾向が変化する場合に、前記進み補償の時定数Tdenは進み補償が強く作用するように設定されることを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータの制御装置。
  4. 前記指令値の傾向が変化しない場合に、固定値Tnumは段階的に前記進み補償の時定数Tdenと一致するように設定されることを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータの制御装置。
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