JP4078625B2 - 二軸配向ポリイミドフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
二軸配向ポリイミドフィルムおよびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は二次加工時にカールを生じることが少なくて平面性に優れ、特に金属箔または金属薄膜が積層された電気配線板の支持体(TAB)、IC用リードフレーム固定テープ、フレキシブル印刷回路保護用カバーレイフィルム、ワイヤまたはケーブルの絶縁フィルムおよびフィルム表面に接着剤をコーティングした粘着テープなどの、打ち抜き時に寸法精度が狂ったり、カールによる平面性の悪化を嫌う用途に対して好適に適用できる二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
二軸配向ポリイミドフィルムに対する要求性能としては、一般にコーティングや蒸着あるいはスリットや特定の形状への打ち抜きといった2次加工の際に、フィルムの進行方向に向かってカールの少ない平坦なフィルムであることが要求される。
【0003】
しかしながら、従来の二軸配向フィルムでは、フィルム製造時の残留応力、表裏の配向の度合い、および巻き取り時の張力などに起因して、フィルムの縦方向でカールが発生し、平面性不良から加工時での操作性不良や収率低下などの問題をを起こすことが多い。
【0004】
そこで、一般的にポリエステルでは、特開平1−131550号公報に記載されるように、フィルム表裏の延伸温度を変えることにより、カールをコントロールする方法、および特公昭54−26582号公報に記載されるように、フィルムの片面だけに特定の湿温風を所定時間吹きつけることにより、カールをコントロールする方法が知られている。
【0005】
一方、ポリイミドフィルムについては、特開平7−41556号公報および特開平7−41557号公報に記載されるように、銅箔との接着時のカールを防止するために、ポリマ組成を変更することによって、得られるポリイミドの熱膨張係数を変える方法が提案されている。
【0006】
しかしながら、上述した従来のポリエステルフィルムのカール改良方法では、延伸ムラや温度ムラなどにより、フィルムに局部的なタルミが生じて平面性が悪化する場合がある。
【0007】
また、ポリイミドのポリマ組成を変更する方法では、特定のポリマ組成物にしか有効性が認められず、さらにポリマの巻張力を下げて、巻癖を少なくした場合には、輸送中の振動で巻きずれが生じることが多々あるため、平面性が優れ、本質的にカールしにくい二軸配向ポリイミドフィルムの実現がしきりに望まれているのが実情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0009】
したがって、本発明の目的は、二次加工時にカールを生じることが少なくて平面性に優れ、特に金属箔または金属薄膜が積層された電気配線板の支持体(TAB)、IC用リードフレーム固定テープ、フレキシブル印刷回路保護用カバーレイフィルム、ワイヤまたはケーブルの絶縁フィルムおよびフィルム表面に接着剤をコーティングした粘着テープなどの、打ち抜き時に寸法精度が狂ったり、カールによる平面性の悪化を嫌う用途に対して好適に適用できる二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法は、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とから得られるポリアミド酸溶液を回転する支持体にフィルム状に連続的に押出し又は塗布したゲルフィルムを、前記支持体から剥離し、二軸延伸、乾燥、熱処理することにより、二軸配向ポリイミドフィルムを製造する方法において、前記支持体の表面温度を雰囲気温度+35℃以下、かつ50〜75℃の範囲に制御するとともに、前記支持体からゲルフィルムを剥離する際に、前記支持体から剥離したフィルムの延伸倍率が1.01〜1.2倍になるような張力で剥離することを特徴とするフィルム表裏の配向比が1.3以下で、かつフィルム表裏の配向主軸方向の角度差が40度以下である二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法である。
【0011】
本発明の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法においては、フィルムの厚さが12.5〜175μmの範囲にあることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の二軸配向ポリイミドフィルムおよびその製造方法について、具体的に説明する。
【0014】
本発明の二軸配向ポリイミドフィルムは、ポリアミド酸溶液を回転する支持体にフィルム状に連続的に押出し又は塗布したゲルフィルムを、前記支持体から剥離し、二軸延伸、乾燥、熱処理することにより製造されたものであり、フィルム表裏の配向の比が1.3以下であること、またはフィルム表裏の配向の比が1.3以下で、かつ配向主軸方向の角度差0〜90度におけるフィルム表裏の配向主軸の方向の差が40度以下であることを特徴とし、この規定を満たすことによって、二次加工時にカールを生じることが少なくて平面性に優れるという性能を発揮する。
【0015】
そして、本発明の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法によれば、二次加工時にカールを生じることが少なくて平面性に優れるポリイミドフィルムを、安定して安価に製造することができる。
【0016】
本発明でいうフィルムの表裏の配向の比とは、フィルム長手方向および幅方向に対して垂直方向から見た場合のフィルム表面とその反対面のフィルム表面の配向比、つまりフィルム製造時の延伸工程で発生するフィルムの表裏の高分子鎖の配向状態の比を表わすものである。
【0017】
このフィルムの表裏の配向の比は、フィルムの表、裏面のATRスペクトルを測定して各面について配向パラメータを下記の式で求め、計算した値である。この場合のフィルムの面は溶液製膜時にドラムまたはベルト面に接した面を裏面、その反対面を表面とした。
【0018】
配向パラメータ=d1248cm-1/d1717cm-1
d1248cm-1=ATRスペクトルで測定した1248cm-1の吸収バンドの吸光度
d1717cm-1=ATRスペクトルで測定した1717cm-1の吸収バンドの吸光度
表裏配向の比=片方のフィルム表面の配向パラメータ/他の面のフィルム表面の配向パラメータ(但し表裏の配向の比≧1.0)
本発明の二軸配向ポリイミドフィルムにおいては、フィルムの表裏の配向の比が1.3以下、好ましくは1.2以下であることが必要である。表裏の配向の比が1.3より大きいと、フィルムのカールが大きくて取り扱いにくくなり、二次加工時の寸法性が悪くなるため好ましくない。
【0019】
本発明の二軸配向ポリイミドフィルムにおいて、配向主軸の方向とは、同一表面上で配向パラメーターが最も大きくなる方向である。また、表裏の配向主軸の差とは、フィルムの長手方向及び幅方向に対し垂直方向から見た表裏のポリイミドフィルムの配向主軸方向の角度差であり、本発明においてはこれが40度以下である必要がある。表裏の配向の差が1.3〜1.1の範囲であっても、配向主軸の方向の差が40度より大きい場合は、配向の差に応じてツイスト(ねじれ)が発生しやすくなるため好ましくない。
【0020】
本発明におけるポリイミドの先駆体であるポリアミド酸とは、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とからなり、次式Iで示される繰り返し単位で構成されるものである。
【0021】
そして、本発明において使用するポリイミドとは、次の式Iに示される繰り返し単位で構成されるものである。
【0022】
【化1】
上記式において、R1は少なくとも1個の芳香族環を有する4価の有機基で、その炭素数は25以下で有るものとし、R2は少なくとも1個の芳香族環を有する2価の有機基で、その炭素数は25以下である。
【0023】
上記の芳香族テトラカルボン酸類の具体例としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’ービフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’ービフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’ーベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7ーナフタレンジカルボン酸、2,2ービス(3,4ージカルボキシフェニル)エーテル、ピリジンー2,3,5,6ーテトラカルボン酸またはその酸無水物、あるいはその酸のエステル化合物またはハロゲン化物から誘導される芳香族テトラカルボン酸類などが挙げられる。
【0024】
上記の芳香族ジアミン類の具体例としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンチジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジニフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジナフタレン、3,3’−ジメトキシベンチジン、1,4−ビス(3−メチル−5−アミノフェニル)ベンゼンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。
【0025】
本発明の方法におけるポリイミドに特に適合する芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分の組み合わせとしては、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの組み合わせが挙げられ、さらにこれらの共重合および/またはパラフェニレンジアミンの共重合が好ましい。
【0026】
ポリイミドの固有粘度(25℃硫酸中で測定)は0.2〜3.0であり、より好ましくは0.8〜2の範囲のものが通常用いられる。
【0027】
固有粘度が0.2以下のポリマは製膜時の延伸工程でフィルムの強度不足により破れが生じ、効率的に製膜できないため好ましくない。また、固有粘度が3.0より大きいと、ポリマ粘度の上昇が激しく、高重合度ゲルの発生や口金からの吐出圧力が高くなりすぎて、製膜が不可能になるなどの問題を生じるため好ましくない。
【0028】
本発明において、ポリアミド酸溶液を形成するために使用される有機溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンなどの有機極性アミド系溶媒が挙げられ、これらの有機溶媒は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用するか、あるいはベンゼン、トルエンおよびキシレンのような非溶媒と組み合わせて使用してもよい。
【0029】
本発明で用いるポリアミド酸の有機溶媒溶液は、固形分を5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%を含有するものであって、またその粘度はブルックフィールド粘度計による測定値で100〜20000ポイズ、好ましくは1000〜10000ポイズのものが、安定した送液が可能であることから好ましい。
【0030】
また、有機溶媒溶液中のポリアミド酸は、部分的にイミド化されてもよく、少量の無機化合物を含有してもよい。
【0031】
本発明において、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とは、それぞれのモル数が大略等しくなる割合で重合されるか、その一方が10モル%、好ましくは5モル%の範囲内で、他方に対して過剰に配合されてもよい。
【0032】
重合反応は、有機溶媒中で撹拌および/または混合しながら、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して進められるが、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。
【0033】
この場合に、両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸類を添加するのが好ましい。
【0034】
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効な方法である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合反応を制御することを行ってもよい。
【0035】
本発明で使用される閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミンなどの脂肪族第3級アミンおよびイソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどの複素環式第3級アミンなどが挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンを使用するのが好ましい。
【0036】
本発明で使用される脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、および無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられるが、無水酢酸および/または無水安息香酸が好ましい。
【0037】
ポリアミド酸に対する閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が、0.5〜8となる範囲が好ましい。
【0038】
また、ポリアミド酸に対する脱水剤の含有量は、脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が、0.1〜4となる範囲が好ましい。
【0039】
なお、この場合には、アセチルアセトンなどのゲル化遅延剤を併用してもよい。
【0040】
本発明の二軸配向ポリイミドフィルムは、ポリアミド酸溶液を回転する支持体にフィルム状に連続的に押出し又は塗布したゲルフィルムを、前記支持体から剥離し、二軸延伸、乾燥、熱処理することにより製造されるが、ポリアミド酸の有機溶媒からポリイミドフィルムを製造する代表的な方法としては、閉環触媒および脱水剤を含有しないポリアミド酸の有機溶媒溶液をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルムに成形し、支持体上で加熱乾燥することにより自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、更に高温下で乾燥熱処理することによりイミド化する熱閉環法、および閉環触媒および脱水剤を含有せしめたポリアミド酸の有機溶媒をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う化学閉環法が挙げられる。
【0041】
本発明では、上記のいずれの閉環方法を採用してもよいが、化学閉環法はポリアミド酸の有機溶媒溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させる設備を必要とするものの、自己支持性を有するゲルフィルムを短時間で得られる点で、より好ましい方法といえる。
【0042】
本発明の二軸配向ポリイミドフィルムを製造するに際しては、支持体から剥離した直後のフィルムの延伸倍率が1.01〜1.2倍になるように剥離すること、または
支持体の表面温度を雰囲気温度+35℃以下、かつ50〜100℃の範囲に制御することが重要な条件である。
【0043】
すなわち、ポリイミドの先駆体であるポリアミド酸溶液をドラム又はベルト状の金属などの支持体に流延附形した後、この支持体からゲルフィルムを剥離する際には、剥離に大きな張力をかけないようにすべきである。
【0044】
このためには、ニップロール、バキュウムロール、多段張力カットロール等を用いて極力延伸張力がかからないようにすることが好ましい。
【0045】
フィルムの剥離張力を少なくすることにより、剥離直後のフィルムの延伸倍率を1.2倍以下、好ましくは1.1倍以下にすることができる。
【0046】
剥離直後の延伸倍率が1.2より大きくなるとフィルム表裏で配向の差が大きくなる。
【0047】
また、支持体の表面温度もフィルムの剥離張力に影響するため、支持体の表面温度を、雰囲気温度+35℃以下、かつ50〜100℃の範囲に制御することが肝要である。
【0048】
支持体の表面温度が雰囲気温度より35℃以上になると、フィルム表裏で配向差が生じ易くなる。また、支持体の表面温度が50℃未満では、ポリアミド酸のイミド化が進まないため、ゲルフィルムと金属との接着性が高くなり、フィルムの表裏で配向差が生じる。一方、支持体の表面温度が100℃を越えると、支持体との接触面でイミド化が急速に起こり、フィルム表裏で配向差が生じるため好ましくない。
【0049】
このように、支持体からフィルムを剥離した後、二軸延伸、加熱処理してポリイミドフィルムを得る。
【0050】
延伸は、2軸同時または1軸づつ延伸してもよい。また、フィルムは単体もしくは積層体であってもよい。
【0051】
このようにして得られるフィルムの厚さは、一般にカールが発生しやすいといわれる12.5〜175μm、好ましくは20〜70μmの範囲が好適であり、カールが発生し易いフィルム厚さのものでもカールの発生を押さえることができる。
【0052】
かくして得られる本発明の二軸配向ポリイミドフィルムは、二次加工時にカールを生じることが少なくて平面性に優れることから、特に金属箔または金属薄膜が積層された電気配線板の支持体(TAB)、IC用リードフレーム固定テープ、フレキシブル印刷回路保護用カバーレイフィルム、ワイヤまたはケーブルの絶縁フィルムおよびフィルム表面に接着剤をコーティングした粘着テープなどの、打ち抜き時に寸法精度が狂ったり、カールによる平面性の悪化を嫌う二次加工用途に対して好適に適用することができる。
【0053】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0054】
なお、実施例中の特性の測定方法および評価方法は下記のとおりである。
【0055】
[配向比測定]
前記の配向パラメータから算出した。なお、前記吸光度は下記条件で測定した。
【0056】
[配向主軸の方向の差]
同一表面上で上記の方法で測定された配向パラメータが最も大きくなる角度を配向主軸の方向の差とした。
【0057】
[ツイスト・カール測定]
長手方向(以下MD方向と略称する)に120mm、幅方向(以下TD方向と略称する)に35mm、短冊状にフィルムを切り出したサンプルを、温度25℃、湿度60%に調整された部屋で12時間以上調整する。調整されたサンプルを平坦な台上に置き、台からカール・ツイストしたサンプルの浮き高さ(mm)を測定し次の4ランクに分けた。
【0058】
◎:5mm未満
○:5mm以上10mm未満
△:10mm以上20mm未満
×:20mm以上
上記ランク中◎、○が実用に供することが可能なものである。
【0059】
[実施例1]
乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド190.6Kg中に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.024kg(0.1kmol)を溶解し、20℃で撹拌しながら、精製した粉末状のピロメリット酸二無水物21.812kg(0.1kmol)を少量づつ添加し、1時間撹拌し続け、透明なポリアミド酸溶液を得た。この溶液は、20℃で3500ポイズの粘度であった。
【0060】
このポリアミド酸に、無水酢酸をポリアミド酸単位に対して2.5mol、ピリジンをポリアミド酸に対して2.0mol、それぞれ冷却しながら混合し、ポリアミド酸の有機溶媒溶液を得た。
【0061】
このポリアミド酸の有機溶媒溶液を、スリット付口金に定量供給し、90℃の金属ドラム上に流延し、自己支持性のあるゲルフィルムを得た。ゲルフィルムを金属ドラムから剥離し、金属ロールとシリコーンゴムロールからなる2組のニップロールで温度65℃で走行方向(MD)に延伸し、次いでテンタに導入した。
【0062】
走行方向の延伸倍率、すなわち金属ドラムと各ニップロールおよびテンタとの速度比は、金属ドラム速度に対して1組目のニップロールの速度比は1.14、2組目のニップロールのそれは1.18、テンタのそれは1.31に調整した。
【0063】
テンタで幅方向(TD)に1.61倍延伸し、260℃の温度で40秒間乾燥し、ついで430℃で1分間熱処理し、冷却ゾーンでリラックスさせながら30秒間冷却し、フィルムのエッジをカットすることにより、幅1997mm、厚さ25μmの二軸延伸ポリフィルム得た。
【0064】
このフィルムから幅35mm、長さ120mmのテストフィルムを短冊状に切り出し、25℃、60%で12時間調湿後カールを測定し、表1にその結果を示した。
【0065】
[実施例2および3]
フィルムの厚み、金属ドラム温度等を表1に示すように変更して実施例1と同様のテストを行い、結果を表1に示した。
【0066】
[比較例1〜4]
フィルムの厚み、金属ドラム温度等を表1に示すように変更して実施例1と同様のテストを行い、結果を表1に示した。
【0067】
【表1】
表1の結果から明らかなように、本発明の条件を満たす実施例1〜3のフィルムは、配向主軸の差および配向主軸の方向の差が小さく、カールを生じることがない。
【0068】
一方、ドラム温度が高すぎたり、剥離直後の延伸倍率が高いフィルム(比較例1〜4)は、配向主軸の差および配向主軸の方向の差が大きく、カールを生じやすいため、二次加工性に劣っている。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、二次加工時にカールを生じることが少なくて平面性に優れ、特に金属箔または金属薄膜が積層された電気配線板の支持体(TAB)、IC用リードフレーム固定テープ、フレキシブル印刷回路保護用カバーレイフィルム、ワイヤまたはケーブルの絶縁フィルムおよびフィルム表面に接着剤をコーティングした粘着テープなどの、打ち抜き時に寸法精度が狂ったり、カールによる平面性の悪化を嫌う用途に対して好適に適用できる二軸配向ポリイミドフィルムを得ることができる。
Claims (2)
- 4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とから得られるポリアミド酸溶液を回転する支持体にフィルム状に連続的に押出し又は塗布したゲルフィルムを、前記支持体から剥離し、二軸延伸、乾燥、熱処理することにより、二軸配向ポリイミドフィルムを製造する方法において、前記支持体の表面温度を雰囲気温度+35℃以下、かつ50〜75℃の範囲に制御するとともに、前記支持体からゲルフィルムを剥離する際に、前記支持体から剥離したフィルムの延伸倍率が1.01〜1.2倍になるような張力で剥離することを特徴とするフィルム表裏の配向比が1.3以下で、かつフィルム表裏の配向主軸方向の角度差が40度以下である二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。
- フィルムの厚さが12.5〜175μmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリイミドフィルムの製造方法。
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