JP4075804B2 - 希土類金属イオンと錯形成可能な官能基含有フッ素ポリマーを含んでなる含フッ素光学材料 - Google Patents

希土類金属イオンと錯形成可能な官能基含有フッ素ポリマーを含んでなる含フッ素光学材料 Download PDF

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Description

本発明は、希土類金属イオンと錯形成可能な官能基含有フッ素ポリマーからなる光学材料に関する。詳しくは光学材料として有用な組成物および光通信分野において用いられる光増幅技術や発光現象を利用する分野に好適な材料に関する。
光ファイバ網を用いた光通信システムは、大容量かつ高速のデータ伝送を可能にする。光ファイバとしては一般的には、石英系光ファイバが用いられている。しかし、近年、プラスチック光ファイバ(POF:Plastics Optical Fiber)において、広帯域(100m伝送で400Mbps)、低損失なGI(Graded Index)型と呼ばれるPOFが開発され、今後、各家庭内での光ネットワークの構築も考えられている。それぞれのファイバでは伝送に用いられている光の波長帯域が異なり、石英系では主に1300nm帯域および1500nm帯域が、プラスチック(アクリル)では650nm帯域が主として用いられている。
ところで、光ファイバが石英系、プラスチック系いずれのものであっても、光通信システムでは、伝播、分岐、接続、スイッチングの際に生ずる損失が原因で、光信号の減衰が生じる。光信号の減衰は、長距離伝送を行う場合に特に問題となる。そこで、光信号の減衰を補償するため、光増幅器が必要になる。
石英系光ファイバ網を用いた光通信システム用の光増幅器としては、例えば文献(「Erドープ光ファイバによる光増幅とその応用」、中沢正隆、応用物理第59巻、第9号、pp.1175-1192(1990))に開示されている、いわゆるファイバ型光増幅器がある。これは、エルビウム(Er)陽イオン原子中の電子の可視〜近赤外領域の光線による励起と、約1500nm帯域の波長の蛍光発生現象を応用したものである。
一方、発光体としては、希土類金属イオンを含有させた無機のガラスやレーザー光線用電子デバイスなどに実用化されている。しかし、製造が難しく加工も困難であるため、用途が限られているのが現状である。また、ポリマー組成物に関しては特許文献1に提案がなされているが、発光強度が低い。
しかし、Erドープ光ファイバによる光増幅器(EDFA)は30dB(1000倍)の利得を得るために20〜30メートルの長さの増幅用光ファイバが必要である。その理由は、例えば1550nm帯域用のファイバ型光増幅器はエルビウムイオン(Er3+)を石英系ファイバにドープしたものであるが、ドープ量を多くするとドープイオン同士の会合によるクラスターが形成され、増幅作用が低下してしまうからである。そのため、ドープ量を10〜1000ppmと希薄にした上で、ファイバ長を長くすることで増幅作用を得るようにしている。このように、ファイバ型光増幅器(ガラス系)では、光増幅器の作用長を短縮するには限界がある。すなわち、光増幅器の小型化、低価格化を図るにも限界がある。
また、ベース材料が無機ガラス材料であるため、靱性や成形加工性は必ずしも満足できるものではなかった。
さらに、ファイバ型光増幅器(ガラス系)の場合、平面型の光増幅器を実現することが難しい。これは、光増幅器と他の光素子とにより光集積回路を構築する場合などに弊害になる。
発光体としての無機系デバイスでも、製造が難しく加工も困難であるため、用途が限られている。
一方、有機高分子材料への希土類金属陽イオンの添加も検討されている。例えば、特許文献2には、有機基を有するクロロシラン類と希土類元素の塩化物を原料として得られる希土類金属イオンが、高分子鎖中に取り込まれたポリシロキサンが開示されている。また、特許文献3には、希土類金属イオンのアセチルアセトン錯体のような有機溶媒への溶解性や耐酸化性に優れた錯体を、ポリアクリレートやポリシロキサン中に含む材料が開示されている。さらに、高分子学会予稿集,Vol.43(1), 29(1994)には、アクリル酸やメタクリル酸のような重合性有機酸の希土類元素陽イオン塩を合成し、かかる希土類陽イオン担持モノマーを重合または共重合させ、陽イオン濃度を10重量%程度まで高めることができる材料が報告されている。これらの方法により、成形加工性に優れる有機高分子材料に対して希土類元素陽イオンを高濃度で添加することができる。しかし、合成法が煩雑であり、産業上の応用において経済的制約となり得ること、および使用される樹脂が比較的耐熱性の低い樹脂に限られているといった欠点がある。
また、希土類金属イオンの樹脂中への分散性を高めるためには、アクリル系樹脂を構成するポリマーの構造中に高い割合でカルボン酸基を含有させることが必要であるが、このようなアクリル系樹脂は吸水性が大きいものとなるため、実用上、水分の存在を嫌う光学材料として用いることができない。
また、耐熱性も充分ではなく、光増幅型素子の製造工程中、あるいは使用環境下において、増幅特性の低下を生じていた。
さらに光源の波長として1300nm帯域および1500nm帯域のものが使用される場合は、有機材料中の炭素−水素および酸素−水素結合がこの領域に吸収をもつため、光の透過性が低下するという本質的な欠点をかかえていた。そこで従来より、かかる水素原子を重水素(D)置換したり、フッ素置換をする検討がなされてきた。その結果、透明性はある程度改善できるが、重水素置換の場合では材料のもつ吸水性は変わらず、またフッ素置換の場合、透明性に効果をもたらす程度置換した場合、希土類金属イオンの分散性が著しく低下したり、溶剤溶解性が低下するなどの欠点を有している。また、フッ素置換では、ガラス転移点は向上せず、耐熱性の問題は解決されない。また、こうした発光現象を利用した発光体への応用に関しても、使用するポリマーの耐光性などに問題がある。
このように光増幅材料や発光材料の分野における問題がすべて解決されたわけではなく、上記の問題を解決できる新規な光増幅材料および発光材料が望まれている。
特開昭64−26583号公報 特開平5−86189号公報 特開平5−88026号公報
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研究を行なった結果、ポリマー中に希土類金属イオンと錯形成可能な構造を有する新規な官能基含有フッ素ポリマーを見出し、この官能基含有フッ素ポリマーを用い、これに希土類金属イオンを組み合わせることで高性能の光学材料、すなわち光増幅材料および発光材料が得られること、特に側鎖に希土類金属イオンと錯形成可能な官能基を有する特定のフッ素ポリマーに希土類金属イオンを組み合わせることが光学材料、すなわち光増幅材料および発光材料として有用であることを見出した。
かかる知見に基づき、本発明者らは以下の本発明を完成するに至った。
本発明は、(I)官能基含有フッ素ポリマーおよび
(II)希土類金属イオン
とからなる樹脂組成物であって、官能基含有フッ素ポリマー(I)における官能基Yが、元素周期表における14族、15族および16族元素の群より選ばれる異なった2種以上のヘテロ原子を含み、かつ当該異なった2種以上のヘテロ原子を介して希土類金属イオン(II)と配位結合を形成しうることを特徴とする。
官能基含有フッ素ポリマー(I)中の官能基Yと希土類金属イオン(II)との配位結合の取り得る構造としては、例えばつぎのi)、ii)などが例示される。
i)1つの官能基Y中に含まれる2種以上のヘテロ原子と配位結合をし、希土類金属イオン(II)を介して4、5あるいは6員環のいずれかを形成した構造:
例えば具体的には、
Figure 0004075804
(Mn+は希土類金属イオン、Y1、Y2、Zは後述するY1、Y2、Zと同じ)
が例示できる。
ii)官能基Y中のヘテロ原子と、その官能基Yと隣接する官能基Y1中のヘテロ原子とが、希土類金属イオン(II)を介して配位結合した構造:
例えば具体的には、
分子内での配位:
Figure 0004075804
および分子間での配位:
Figure 0004075804
などが例示できる。
上記i)、ii)の構造は、1つの官能基Y(またはY1)に対し2個以上の希土類金属イオン(Mn+)が配位結合した構造であっても当然かまわない。
これらの構造のなかでも上記i)の構造であるものが、比較的容易に希土類金属イオンと配位結合(錯体化)を形成することができる点で好ましく、増幅効率、発光効率を高めかつ持続できる点で好ましい。また希土類金属イオンと配位結合(錯体)形成した後の含フッ素ポリマーの加工性、成形性が良好となり得る点でもi)の構造が好ましい。
ポリマー中に含まれる希土類金属イオン(II)と配位結合を形成しうる官能基Yは、
Figure 0004075804
(式中、d、f,g,h,j,k,l,mは同じかまたは異なり、0または1:e,iは同じかまたは異なり、1または2;Y1、Y2は独立して14族、窒素を除く15族または酸素を除く16族元素の群から選ばれる原子;ZはC、N、O、P、As、SbまたはBiのいずれかの原子;ただしZがC原子のときgおよびhは1;ZがO原子のときgおよびhは0;ZがO原子でかつlが0のときkは0;X6はH、Dまたはハロゲンから選ばれる原子;R1、R2は同じかまたは異なり、H、Dのいずれかの原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基;R4は、H、D、ハロゲンのいずれかの原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部またはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基;ただしY1がS原子の場合、mまたはlのいずれか一方が1;ただし、Y1がC原子のとき、eは1でありかつfは0;Y2がC原子のとき、iは1でありかつjは0;fが1のとき、eは1;jが1のときiは1;官能基YとしてY1、Z、Y2が同時に炭素ということはなく、かつY1、Z、Y2のうち少なくとも1つは酸素以外のヘテロ原子である)の構造を含むことが好ましい。
希土類金属イオンと錯形成可能な官能基含有フッ素ポリマー(I)の好ましい具体例は式(1):
Figure 0004075804
[式中、構造単位Mは式(2):
Figure 0004075804
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfはポリマーの側鎖を形成し官能基Yを側鎖途中または側鎖末端に少なくとも1種以上有する1価の有機基であって、官能基Yが14族、15族および16族元素からなる群より選ばれる異なった2種以上のヘテロ原子からなるもの;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)であり、官能基Y中の当該異なった2種以上のヘテロ原子を介して希土類金属イオン(II)と配位結合を形成しうることを特徴とするエチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位Aは構造単位Mと共重合可能な単量体に由来する構造単位)であり、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含むフッ素ポリマーである。
これら本発明の組成物は光学材料、すなわち光増幅材料および発光材料に用いた場合、フッ素含有量が高いのにもかかわらず、希土類金属イオンの分散性が優れ、増幅率、発光強度が大きく、かつ、耐光性、耐熱性に優れている。また、屈折率が低いので発光体としての特性が向上する。
また、官能基含有フッ素ポリマー(I)としては、式(10):
−Rf5−Y7(=O)t−NX8−Y8(=O)u−Rf6− (10)
(式中、t、uは同じかまたは異なり、1または2;Y7、Y8は独立してC原子またはS原子;X8はH、Dまたはハロゲン原子;ただしY7がC原子のときtが1;Y8がC原子のときuが1;Rf5は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;Rf6は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;Rf5が炭素数1〜50の含フッ素アルキレン基でかつRf6が炭素数1〜50の含フッ素アルキレン基である場合はRf5およびRf6の炭素数の合計が51以下であり、Rf5およびRf6のいずれか一方が炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である場合はRf5およびRf6の炭素数の合計が101以下、また、Rf5が炭素数1〜48の含フッ素アルキレン基でかつRf6が炭素数1〜48の含フッ素アルキレン基である場合はRf5およびRf6の炭素数の合計が49以下であり、Rf5およびRf6のいずれか一方が炭素数2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である場合はRf5およびRf6の炭素数の合計が99以下)で示される部位をポリマー中に含有するフッ素ポリマーであってもよい。
さらに、官能基含有フッ素ポリマー(I)は、硬化部位をポリマー中に有していてもよい。
かかるフッ素樹脂組成物としては、官能基含有フッ素ポリマー(I)と希土類金属イオン(II)とからなる光学材料、すなわち光増幅材料および発光材料用の組成物であって、該官能基含有フッ素ポリマー(I)が、フッ素含有率が25重量%以上、好ましくは40重量%以上の非晶性フッ素ポリマーであるのが好ましく、また、側鎖中に少なくとも2つのヘテロ原子を構造単位内に有し、かつ1290〜1320nmおよび/または1530〜1570nmおよび/または600〜900nmの各波長範囲における吸光度係数の最大値が1cm-1以下であるものが好ましく、さらに希土類金属イオン(II)が、エルビウム(Er)イオン、ツリウム(Tm)イオン、プラセオジウム(Pr)イオン、ホルミウム(Ho)イオン、ネオジウム(Nd)イオン、ユーロピウム(Eu)イオン、ジスプロシウム(Dy)イオン、サマリウム(Sm)イオン、セリウム(Ce)イオンおよびテルビウム(Tb)イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であるフッ素樹脂組成物が好ましい。
また、さらに活性エネルギー線硬化開始剤(III)を加えて硬化型のフッ素樹脂組成物としてもよい。
本発明はまた、この光学材料、すなわち光増幅材料および発光材料に用いるフッ素樹脂組成物よりなる光学素子、すなわち光増幅素子および発光素子にも関する。
本発明によれば、可視光から近赤外線領域での透明性を維持しながら、特定の官能基により希土類金属イオンと安定な構造を形成した好適な光増幅材料および発光材料を得ることができる。このフッ素樹脂組成物を用いるときは、比較的簡単な工程で優れた光増幅素子および発光素子を製造することができる。
本発明のフッ素樹脂組成物は
(I)官能基含有フッ素ポリマーおよび
(II)希土類金属イオン
とからなる組成物であって、官能基含有フッ素ポリマー(I)における官能基Yが、元素周期表における14族、15族および16族元素の群より選ばれる異なった2種以上のヘテロ原子を含み、かつ当該異なった2種以上のヘテロ原子を介して希土類金属イオン(II)と配位結合を形成しうることを特徴とする。
官能基含有フッ素ポリマー(I)の官能基Yに含まれる少なくとも2つのヘテロ原子は、希土類金属イオン(II)を介して4員環、5員環あるいは6員環のいずれかの構造の錯体を形成する能力を有するものが好ましく、希土類金属イオン(II)と安定な構造体を得ることができるものである。
つまり本発明によると、たとえば溶液中における希土類金属塩と官能基含有フッ素ポリマー(I)分子間で、容易に錯形成反応が進み、希土類金属イオン(II)と官能基含有フッ素ポリマー(I)とが高度に分散した、安定な錯体構造体を形成することができる。これら樹脂組成物を光学用途に用いた場合、例えば光増幅強度、発光強度、発光寿命、量子収率などの点で優れた性能を与え得る点で好ましいものである。
官能基含有フッ素ポリマー(I)中の官能基Yとしては、下式、
Figure 0004075804
(式中、d、f,g,h,j,k,l,mは同じかまたは異なり、0または1:e,iは同じかまたは異なり、1または2;Y1、Y2は独立して14族、窒素を除く15族または酸素を除く16族元素の群から選ばれる原子;ZはC、N、O、P、As、SbまたはBiのいずれかの原子;ただしZがC原子のとき、gおよびhは1;ZがO原子のとき、gおよびhは0;ZがO原子でかつlが0のとき、kは0;X6はH、Dまたはハロゲンから選ばれる原子;R1、R2は同じかまたは異なり、H、Dのいずれかの原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基;R4は、H、D、ハロゲンのいずれかの原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基;ただしY1がS原子の場合、mまたはlのいずれか一方が1;ただし、Y1がC原子のとき、eは1でありかつfは0;Y2がC原子のとき、iは1でありかつjは0;fが1のとき、eは1;jが1のとき、iは1;官能基YとしてY1、Z、Y2が同時に炭素ということはなく、かつY1、Z、Y2のうち少なくとも1つは酸素以外のヘテロ原子である)の構造を含むことが好ましい。
異なった2種以上のヘテロ原子とは、上記式においてY1、Y2、Zで表されており、つまりY1、Y2、Zのうち2種を含む場合は当然異なった原子から選ばれ、3種のヘテロ原子を含む場合、Y1、Y2、Zが共に同一にならないように選ばれるものである。
官能基含有フッ素ポリマー(I)中の官能基Yの第一の具体例としては、下式
−Y3(=O)n−NX7−Y4(=O)o
(式中、n、oは同じかまたは異なり、1または2;Y3、Y4は独立してC原子またはS原子;X7はH、Dまたはハロゲン原子;ただしY3がC原子のときnが1、Y4がC原子のときoが1)の構造を含むものが好ましく挙げられる。
より具体的には、
Figure 0004075804
などの構造を含むものが好ましく挙げられる。
官能基Yの第二の具体例としては、
Figure 0004075804
(式中、d、qは同じかまたは異なり、0または1;pは0〜20の整数;R5、R6は同じかまたは異なり、H、D、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基)の構造を含むものが挙げられる。
より具体的には、
Figure 0004075804
などの構造を含むものが好ましく挙げられる。
官能基Yの第三の具体例としては、
Figure 0004075804
(式中、r、sは同じかまたは異なり、1または2;Y5、Y6は独立してC原子またはS原子を示す。ただし、Y5がC原子のときrが1、Y6がC原子のときsが1;R8、R9は同じかまたは異なり、H、D、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基)の構造を含むものが挙げられる。
より具体的には、
Figure 0004075804
などの構造を含むものが好ましく挙げられる。
その他、官能基Yは、
Figure 0004075804
などの構造を含むものが好ましく挙げられる。これら例示の官能基は希土類金属イオン(II)と良好な配位結合(錯形成)能力を有している点で好ましい具体例である。
一方、官能基として取り得る−SO3H基、−COOH基などはそれのみでは希土類金属イオン(II)と良好な配位結合(錯形成)能力を有していないため好ましくない。
本発明のフッ素樹脂組成物に用いる官能基含有フッ素ポリマー(I)は、前記のとおり、式(1):
Figure 0004075804
[式中、構造単位Mは式(2):
Figure 0004075804
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfはポリマーの側鎖を形成し官能基Yを側鎖途中または側鎖末端に少なくとも1種以上有する1価の有機基であって、官能基Yが14族、15族および16族元素からなる群より選ばれる異なった2種以上のヘテロ原子からなるもの;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)であり、官能基Y中の当該異なった2種以上のヘテロ原子を介して希土類金属イオン(II)と配位結合を形成しうることを特徴とするエチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位Aは構造単位Mと共重合可能な単量体に由来する構造単位)であり、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含むフッ素ポリマーである。
つまり、側鎖のRfの少なくとも2つのヘテロ原子と希土類金属イオンとが相ともなって4員環、5員環あるいは6員環を形成してなる希土類錯体を構成することを特徴とする含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位Mのホモポリマー、またはその含フッ素エチレン性単量体構造単位Mを必須成分として有する共重合体である。
本発明において、式(1)の官能基含有フッ素ポリマー(I)における構造単位Mは、なかでも式(3)で示される構造単位M1:
Figure 0004075804
(式中、X1、X2、X3、X4、X5、Rf、aおよびcは前記と同じ)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位が好ましい。
この構造単位M1を含む重合体は、特に近赤外領域における透明性(以下、「近赤外透明性」ということもある)が高く、構造単位M1のみからなるホモポリマーに限らず、構造単位M1を増やした組成の共重合体においても近赤外透明性を高くすることができ、好ましいものである。
さらに構造単位M1のより好ましい具体例の1つは、式(4)で示される構造単位M2:
Figure 0004075804
(式中、Rfは前記と同じ)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位である。
この構造単位M2は少なくとも2つのヘテロ原子を構造単位内に有する含フッ素アリルエーテル由来の構造単位であり、近赤外透明性を高くできるだけでなく、重合性が良好であり、特にホモ重合性および他の含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好であるため好ましい。
また、構造単位M1の別の好ましい具体例は、式(5)で示される構造単位M3:
Figure 0004075804
(式中、Rfは前記と同じ)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位である。
この構造単位M3は少なくとも2つのヘテロ原子を構造単位内に有する含フッ素ビニルエーテル由来の構造単位であり、近赤外透明性を高くでき、また他の含フッ素エチレン系単量体との共重合性が良好である点で好ましい。
本発明で使用する式(1)の官能基含有フッ素ポリマー(I)において構造単位M、M1、M2およびM3に含まれるRfは、前記のとおり、少なくとも2つのヘテロ原子を構造単位内に有し、炭素数1〜50の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。
これら−Rf中の官能基Yに含まれる少なくとも2つのヘテロ原子は、希土類金属イオン(II)を介して4員環、5員環或いは6員環のいずれかの構造の錯体を形成する能力を有するものが好ましく、希土類金属イオン(II)と安定な構造体を得ることができるものである。
つまり本発明によると、たとえば溶液中における希土類金属塩と官能基含有フッ素ポリマー(I)分子間で、容易に錯形成反応が進み、希土類金属イオン(II)と官能基含有フッ素ポリマー(I)とが高度に分散した、安定な錯体構造体を形成することができる。これら樹脂組成物を光学用途に用いた場合、例えば光増幅強度、発光強度、発光寿命などの点で優れた性能を与え得る点で好ましいものである。
式(2)〜(5)におけるRfは具体的には、
Figure 0004075804
(式中、d、d'、f,g,h,j,k,l,mは同じかまたは異なり、0または1;e,iは同じかまたは異なり、1または2;Y1、Y2は独立して14族、窒素を除く15族または酸素を除く16族元素の群から選ばれる原子;ZはC、N、O、P、As、SbまたはBiのいずれかの原子、ただしZがC原子のとき、gおよびhは1、ZがO原子のとき、gおよびhは0、ZがO原子でかつlが0のとき、kは0;X6はH、Dまたはハロゲンから選ばれる原子;R1、R2は同じかまたは異なり、H、Dのいずれかの原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基;R3、R4は同じかまたは異なり、H、D、ハロゲンのいずれかの原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基;Rf1は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;ただしY1がS原子の場合、mまたはlのいずれか一方が1;ただし、Y1がC原子のとき、eは1でありかつfは0;Y2がC原子のとき、iは1でありかつjは0;また、fが1のとき、eは1;jが1のとき、iは1;官能基YとしてY1、Z、Y2が同時に炭素ということはなく、かつY1、Z、Y2のうち少なくとも1つは酸素以外のヘテロ原子である)が好ましく挙げられる。
式(2)〜(5)における−Rfの第1の好ましい具体例としては、
−(Rf2d'−Y3(=O)n−NX7−Y4(=O)o−R4
(式中、d'は0または1:n、oは同じか異なり、1または2;Y3、Y4は独立してC原子またはS原子;X7はH、Dまたはハロゲン原子;ただしY3がC原子のときnが1、Y4がC原子のときoが1;Rf2は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;R4はH、D、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基)があげられる。
より具体的には、
Figure 0004075804
Figure 0004075804
などが好ましく挙げられる。
−Rfの第2の好ましい具体例としては、
Figure 0004075804
(式中、d、d'は同じかまたは異なり、0または1;pは0〜20の整数;qは0または1;Rf3は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;R5、R6、R7は同じかまたは異なり、H、D、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基)が挙げられる。
より具体的には、
Figure 0004075804
Figure 0004075804
などが挙げられる。
−Rfの第3の好ましい具体例としては、
Figure 0004075804
(式中、d'は0または1;r、sは同じかまたは異なり、1または2;Y5、Y6は独立してC原子またはS原子、ただしY5がC原子のときrが1、Y6がC原子のときsが1;Rf4は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;R8、R9は同じかまたは異なり、H、D、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基)が挙げられ、
さらに具体的には、
Figure 0004075804
などがあげられる。
その他に−Rfの具体例としては、
Figure 0004075804
Figure 0004075804
などがあげられる。
本発明で用いる式(1)の官能基含有フッ素ポリマー(I)において、構造単位M、M1、M2およびM3の−Rfにおける−Rf1−、−Rf2−、−Rf3−、−Rf4−は、それぞれ有していても(d'=1)または有していなくとも(d'=0)よく、有している場合に含まれる−Rf1−、−Rf2−、−Rf3−、−Rf4−(以下、これらを合わせて「Rfn基」という)は、炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。このRfn基は含まれる炭素原子にフッ素原子が結合していればよく、一般に、炭素原子にフッ素原子と水素原子または塩素原子が結合した含フッ素アルキレン基またはエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であるが、フッ素原子をより多く含有する(フッ素含有率が高い)ものが好ましく、Rfn基の酸素原子を除く分子量に対し、フッ素含有率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくはパーフルオロアルキレン基またはエーテル結合を有するパーフルオロアルキレン基である。これらによって、官能基含有フッ素ポリマー(I)の近赤外領域の透明性を高くすることが可能となり、特に希土類金属イオン(II)の含有量を高くする目的で官能基含有量を高くしても、近赤外透明性を高いまま維持できるため好ましい。
Rfn基の炭素数は大きすぎると、含フッ素アルキレン基の場合は官能基含有フッ素ポリマー(I)の溶剤への溶解性が低下することがあり、またエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の場合は官能基含有フッ素ポリマー(I)自身やその硬化物のガラス転移点や機械特性を低下させることがあるため好ましくない。含フッ素アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10である。エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は好ましくは2〜30、より好ましくは2〜20である。
Rfn基の好ましい具体例としては、
Figure 0004075804
(以上、l:1〜10の整数、m:1〜10の整数、n:0〜5の整数)
Figure 0004075804
または
Figure 0004075804
(以上、X9、X12はFまたはCF3;X10、X11はHまたはF;
o+p+qは1〜30の整数;rは0または1;s、tは0または1)
などがあげられる。
前述のとおり、本発明で用いる官能基含有フッ素ポリマー(I)を構成する構造単位Mは構造単位M1が好ましく、構造単位M1はさらに構造単位M2および構造単位M3が好ましい。そこで、つぎに構造単位M2およびM3の具体例について述べる。
構造単位M2を与える単量体として好ましい具体例としては、少なくとも2つのヘテロ原子を構造単位内に含有する部分(たとえば前記の第1〜第3のRf)をRf′で示すと、
Figure 0004075804
Figure 0004075804
(以上、nは1〜30の整数)
があげられる。
より具体的には、
Figure 0004075804
(以上、n:0〜30の整数)
などがあげられる。
構造単位M3を与える単量体として好ましい具体例としては、少なくとも2つのヘテロ原子を構造単位内に含有する部分をRf′で示すと、
Figure 0004075804
(以上、n:1〜30の整数)、
Figure 0004075804
などがあげられる。
より具体的には、
Figure 0004075804
Figure 0004075804
(以上、m:0〜30の整数;n:1〜3の整数)
などがあげられる。
これらの構造単位M2およびM3以外に、官能基含有フッ素ポリマー(I)の構造単位Mを構成する単量体の好ましい具体例としては、たとえば少なくとも2つのヘテロ原子を構造単位内に含有する部分(たとえば前記の第1〜第3のRf)をRf′で示すと、
Figure 0004075804
(以上、Rfnは前記と同じ)
などがあげられる。
より具体的には、
Figure 0004075804
Figure 0004075804
などがあげられる。
本発明で用いる官能基含有フッ素ポリマー(I)において、構造単位Aは任意成分であり、構造単位M、M1、M2またはM3と共重合し得る単量体であれば特に限定されず、目的とする官能基含有フッ素ポリマー(I)の要求特性などに応じて適宜選択すればよい。
構造単位Aとして、たとえばつぎの構造単位が例示できる。
(1) 少なくとも2つのヘテロ原子を構造単位内に含有していない官能基を有する含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位
これらは、官能基含有フッ素ポリマー(I)およびその組成物の近赤外領域での透明性を維持しながら、基材への密着性や溶剤、特に汎用溶剤への溶解性を付与できる点で好ましく、そのほか架橋性などの機能を付与できる点で好ましい。官能基を有する好ましい含フッ素エチレン性単量体の構造単位は、式(6):
Figure 0004075804
(式中、X11、X12およびX13は同じかまたは異なり、HまたはF;X14はH、FまたはCF3;hは0〜2の整数;iは0または1;Rf13は炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;Z1は−OH、−CH2OH、エポキシ基、シアノ基から選ばれる少なくとも1種)で示される構造単位であり、なかでも、
CH2=CFCF2ORf13−Z1
(式中、Rf13およびZ1は前記と同じ)から誘導される構造単位が好ましい。
より具体的には、
Figure 0004075804
(以上、Z1は前記と同じ)などの含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位が好ましくあげられる。
また、
CF2=CFORf13−Z1
(式中、Rf13およびZ1は前記と同じ)から誘導される構造単位も好ましく例示でき、より具体的には、
CF2=CFOCF2CF2−Z1 、 CF2=CFOCF2CF2CH2−Z1
Figure 0004075804
(以上、Z1は前記と同じ)などの単量体から誘導される構造単位があげられる。
その他、官能基含有含フッ素エチレン性単量体としては、
CF2=CFCF2−O−Rf20−Z1 、CF2=CF−Rf20−Z1
CH2=CH−Rf20−Z1 、CH2=CHO−Rf20−Z1
(以上、Z1は前記と同じ;Rf20は炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基)などがあげられ、より具体的には、
Figure 0004075804
CH2=CHOCH2CF2CF2CH2−Z1
(以上、Z1は前記と同じ)などがあげられる。
(2) 官能基を含まない含フッ素エチレン性単量体から誘導される構造単位
これらは官能基含有フッ素ポリマーまたはその硬化物の屈折率を低く維持できる点で、またさらに低屈折率化することができる点で好ましい。また単量体を選択することでポリマーの機械的特性やガラス転移点などを調整でき、特に構造単位Mと共重合してガラス転移点を高くすることができ、好ましいものである。
この含フッ素エチレン性単量体(2)の構造単位としては、式(7):
Figure 0004075804
(式中、X15、X16およびX18は同じかまたは異なり、HまたはF;X17はH、FまたはCF3;h1、i1およびjは同じかまたは異なり、0または1;Z2はH、FまたはCl;Rf14は炭素数1〜20の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基)で示されるものが好ましい。
具体例としては、
Figure 0004075804
CH2=CHOCH2(CF2)n2 (Z2は式(7)と同じ、n:1〜10)
などの単量体から誘導される構造単位が好ましくあげられる。
(3) フッ素を有する脂肪族環状の構造単位
これらの構造単位(3)を導入すると、透明性を高くでき、また、より低屈折率化が可能となり、さらに高ガラス転移点の官能基含有フッ素ポリマーが得られる点で好ましい。
含フッ素脂肪族環状の構造単位(3)としては式(8):
Figure 0004075804
(式中、X19、X20、X23、X24、X25およびX26は同じかまたは異なり、HまたはF;X21およびX22は同じかまたは異なり、H、F、ClまたはCF3;Rf15は炭素数1〜10の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜10のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;n2は0〜3の整数;n1、n3、n4およびn5は同じかまたは異なり、0または1)で示されるものが好ましい。
たとえば、
Figure 0004075804
(式中、Rf15、X21およびX22は前記と同じ)で示される構造単位があげられる。
具体的には、
Figure 0004075804
(式中、X19、X20、X23およびX24は前記と同じ)などがあげられる。
そのほかの含フッ素脂肪族環状構造単位としては、たとえば
Figure 0004075804
などがあげられる。
(4) フッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される構造単位
屈折率を悪化(高屈折率化)させない範囲でフッ素を含まないエチレン性単量体から誘導される構造単位(4)を導入してもよい。
それによって、汎用溶剤への溶解性が向上したり、添加剤、たとえば光触媒や必要に応じて添加する硬化剤との相溶性を改善できるので好ましい。
非フッ素系エチレン性単量体の具体例としては、
αオレフィン類:
エチレン、プロピレン、ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど
ビニルエーテル系またはビニルエステル系単量体:
CH2=CHOR、CH2=CHOCOR(R:炭素数1〜20の炭化水素基)など
アリル系単量体:
CH2=CHCH2Cl、CH2=CHCH2OH、CH2=CHCH2COOH、CH2=CHCH2Brなど
アリルエーテル系単量体:
CH2=CHCH2OR (R:炭素数1〜20の炭化水素基) 、
CH2=CHCH2OCH2CH2COOH 、
Figure 0004075804
アクリル系またはメタクリル系単量体:
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類のほか、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル類など
などがあげられる。これら非フッ素系エチレン性単量体の水素原子を重水素原子に一部または全部置換したものは近赤外透明性の点でより好ましい。
(5) 脂環式単量体から誘導される構造単位
構造単位Mの共重合成分として、より好ましくは構造単位Mと前述の含フッ素エチレン性単量体または非フッ素エチレン性単量体(前述の(3)、(4))の構造単位に加えて、第3成分として脂環式単量体構造単位(5)を導入してもよく、それによって高ガラス転移点化、高硬度化が図られるので好ましい。
脂環式単量体(5)の具体例としては、
Figure 0004075804
(式中、mは0〜3の整数;A、B、CおよびDは同じかまたは異なり、H、F、Cl、COOH、CH2OHまたは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基など)で示されるノルボルネン誘導体、
Figure 0004075804
などの脂環式単量体や、これらに置換基を導入した誘導体などがあげられる。
本発明の組成物に用いる官能基含有フッ素ポリマー(I)のうち、式(20):
Figure 0004075804
[式中、構造単位Mは式(21):
Figure 0004075804
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfxは後述する式(22)、(23)、(24)、または(25)で示される基;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位Aは構造単位Mと共重合可能な単量体に由来する構造単位]であり、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含むフッ素ポリマーは、文献未記載の新規ポリマーである。
Rfxとしては、つぎのものがあげられる。
式(22):
Figure 0004075804
(式中、d'、d、f,g,h,j,k,l,mは同じかまたは異なり、0または1;e,iは同じかまたは異なり、1または2;Y1、Y2は独立して14族、窒素を除く15族または酸素を除く16族元素の群から選ばれる原子;ZはC、N、O、P、As、SbまたはBiのいずれかの原子、ただしZがC原子のときgおよびhは1、ZがO原子のときgおよびhは0、ZがO原子でかつlが0のときkは0;X6はH、Dまたはハロゲンから選ばれる原子;R1、R2は同じかまたは異なり、H、Dのいずれかの原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基;R3、R4は同じかまたは異なり、H、D、ハロゲンのいずれかの原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基;Rf1は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;ただしY1がS原子の場合、mまたはlのいずれか一方が1;ただし、Y1がC原子のときeは1でありかつfは0;Y2がC原子のときiは1でありかつjは0;また、fが1のときeは1;jが1のときiは1;官能基YとしてY1、Z、Y2が同時に炭素ということはなく、かつY1、Z、Y2のうち少なくとも1つは酸素以外のヘテロ原子である)。
式(23):
−(Rf2)d'−Y3(=O)n−NX7−Y4(=O)o−R4 (23)
(式中、d'は0または1;n、oは同じかまたは異なり、1または2;Y3、Y4は独立してC原子またはS原子;X7はH、Dまたはハロゲン原子;ただしY3がC原子のときnが1、Y4がC原子のときoが1;Rf2は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;R4はH、D、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基)。
式(24):
Figure 0004075804
(式中、d、d'は同じかまたは異なり、0または1;pは0〜20の整数;qは0または1;Rf3は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;R5、R6、R7は同じかまたは異なり、H、D、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基)。
式(25):
Figure 0004075804
(式中、d'は0または1;r、sは同じかまたは異なり、1または2;Y5、Y6は独立してC原子またはS原子、ただしY5がC原子のときrが1、Y6がC原子のときsが1;Rf4は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;R8、R9は同じかまたは異なり、H、D、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基)。
また、式(20)における構造単位Mとしては、つぎの式(27)、(28)および(29)でそれぞれ示される構造単位M1、M2およびM3が好ましい。
式(27)で示される構造単位M1:
Figure 0004075804
(式中、X1、X2、X3、X4、X5、Rfx、aおよびcは前記式(21)と同じ)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M1。
さらに式(28)で示される構造単位M2:
Figure 0004075804
(式中、Rfxは前記と同じ)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M2。
特に式(29)で示される構造単位M3:
Figure 0004075804
(式中、Rfxは前記と同じ)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位M3。
式(20)中の構造単位Mを与える単量体の具体的例示としては、前述の官能基含有フッ素ポリマー(I)中の例示と重複するが、つぎのものが非限定的にあげられる。
Figure 0004075804
Figure 0004075804
また、式(20)中の構造単位Mを与える単量体である式(21):
Figure 0004075804
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はH、F、CH3またはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfxは前記式(22)、(23)、(24)または(25)で示される基;aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体は、文献未記載の新規化合物である。なお、この新規単量体の具体例としては上述したものが例示できる。
本発明はさらに、(I)官能基含有フッ素ポリマーと(II)希土類金属イオンとからなる組成物であって、官能基含有フッ素ポリマー(I)が、式(10):
−Rf5−Y7(=O)t−NX8−Y8(=O)u−Rf6− (10)
(式中、t、uは同じかまたは異なり、1または2;Y7、Y8は独立してC原子またはS原子;X8はH、Dまたはハロゲン原子;ただしY7がC原子のときtが1;Y8がC原子のときuが1;Rf5は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;Rf6は炭素数1〜50、好ましくは1〜48の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100、好ましくは2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;Rf5が炭素数1〜50の含フッ素アルキレン基でかつRf6が炭素数1〜50の含フッ素アルキレン基である場合はRf5およびRf6の炭素数の合計が51以下であり、Rf5およびRf6のいずれか一方が炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である場合はRf5およびRf6の炭素数の合計が101以下、また、Rf5が炭素数1〜48の含フッ素アルキレン基でかつRf6が炭素数1〜48の含フッ素アルキレン基である場合はRf5およびRf6の炭素数の合計が49以下であり、Rf5およびRf6のいずれか一方が炭素数2〜98のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である場合はRf5およびRf6の炭素数の合計が99以下)で示される部位をポリマー中に含有することを特徴とするフッ素樹脂組成物にも関する。
式(10)で示される構造部位の具体例は、
Figure 0004075804
などがあげられる。なお、以下の説明において、式(10)で示される構造部位を構造単位Mと称する。
本発明で用いる官能基含有フッ素ポリマー(I)において、構造単位M(M1、M2、M3)と構造単位Aとの組み合わせや組成比率は、上記の例示から目的とする用途、物性(特にガラス転移点、硬度など)、機能(透明性、屈折率)などによって種々選択できる。
本発明で用いる官能基含有フッ素ポリマー(I)においては、構造単位M(M1、M2、M3)を必須成分として含むものであり、構造単位M自体で近赤外領域での透明性を付与する機能と希土類金属イオン(II)と錯体を形成し安定な構造体を形成する機能を併せもつという特徴を有している。したがって官能基含有フッ素ポリマー(I)は、構造単位Mを多く含む組成、極端には構造単位Mのみ(100モル%)からなる重合体であっても近赤外領域での透明性を高く維持できる。さらに同時に希土類金属イオン(II)と錯体を形成し安定な構造体を形成する点でも好ましい。
またさらに、官能基含有フッ素ポリマー(I)の構造単位Mと構造単位Aとからなる共重合体の場合、構造単位Aを前述の例示から選択することによって、さらに高硬度で、ガラス転移点が高く近赤外透明性の高いポリマーとすることができる。
官能基含有フッ素ポリマー(I)が構造単位Mと構造単位Aとの共重合体の場合、構造単位Mの含有量は、官能基含有フッ素ポリマー(I)を構成する全構造単位に対し0.1モル%以上であればよいが、希土類金属イオン(II)と安定な構造を得るためには2.0モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上とすることが好ましい。
特に高効率の光増幅材料もしくは発光材料を形成するには、10モル%以上、好ましくは20モル%以上、さらには50モル%以上含有することが好ましい。上限は100モル%未満である。
本発明で用いる官能基含有フッ素ポリマー(I)は、構成単位Mの比率を増やしても(希土類金属イオン(II)の配位場所を増やしても)透明性は低下しないため、特に近赤外領域における光増幅材料用途、および可視光から近赤外線領域における発光体用途において好ましい特性を有している。
またさらに官能基含有フッ素ポリマー(I)は、光通信用途における光増幅材料および可視光から近赤外線領域における発光材料など高い透明性を必要とする場合、構造単位Mと構造単位Aの組合せが非晶性となり得る組合せと組成を有することが重要である。ここで、非晶性とはDSC分析において、昇温速度10℃/minの条件で測定(ASTM D3418−99)した際に実質的に融解に基づく吸熱ピークが観測されないか、もしくは融解熱量が1J/g以下である性質を示す。
また、官能基含有フッ素ポリマー(I)のフッ素含有率は25重量%以上が好ましい。
フッ素含有率が低いと、近赤外領域での透明性が低下する。また、フッ素含有率が低いと吸水性も高くなり、光通信用などの光学材料としては実質的には使用できなくなる。光増幅材料および発光材料用途としては、最も好ましいフッ素含有率は40重量%以上である。フッ素含有率の上限はフッ素ポリマー(I)の組成によって異なるが、水素原子が全てフッ素原子に置き換わったときのフッ素含有率であり、75重量%程度である。
本発明で用いる官能基含有フッ素ポリマー(I)は、特定の通信帯域(1290〜1320nmおよび1530〜1570nmおよび600〜900nm)における吸光度係数の最大値が1cm-1以下のものが好ましい。これより高い吸光度係数を示すものは光通信に用いる光増幅材料としては適さない。
本発明のフッ素樹脂組成物におけるもう一方の成分である希土類金属イオン(II)は、樹脂組成物に光機能性、すなわち光増幅作用および発光作用を付与する機能を果たすために配合される。
ここで組成物中における希土類金属イオンは通常のイオン結合をした状態、もしくは配位結合をした状態、また錯体を形成した状態のいずれかの状態で組成物中に存在している。
本発明に用いられる希土類金属イオン(II)としては、エルビウム(Er)イオン、ツリウム(Tm)イオン、プラセオジウム(Pr)イオン、ホルミウム(Ho)イオン、ネオジウム(Nd)イオン、ユーロピウム(Eu)イオン、ジスプロシウム(Dy)イオン、サマリウム(Sm)イオン、セリウム(Ce)イオンおよびテルビウム(Tb)イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種があげられる。本発明のフッ素樹脂組成物は、希土類金属イオン(II)を陽イオンの形で含むが、希土類金属陽イオンは単独でも、複数種混合してもよい。
希土類金属陽イオンの価数には制限はなく、通常2価または3価陽イオンとして用いられ、また通常、希土類金属化合物や錯体の形態で配合される。希土類金属化合物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物;硝酸塩、過塩素酸塩、臭素酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの塩などが、官能基含有フッ素ポリマー(I)への分散性が良好である点で好適である。また、複硝酸塩、複硫酸塩、キレート化物、錯体も使用可能である。例えばスルホンアミド類、スルホンイミド類、βジケトン類、スルホン酸類、リン酸類などがあげられる。なかでもそれらの含フッ素化合物が好ましい。
本発明に好適な希土類金属イオンを含むハロゲン化物または塩としては、塩化プラセオジウム、臭化プラセオジウム、ヨウ化プラセオジウム、硝酸プラセオジウム、過塩素酸プラセオジウム、臭素酸プラセオジウム、酢酸プラセオジウム、硫酸プラセオジウム、リン酸プラセオジウム等のプラセオジウム塩、塩化ネオジウム、臭化ネオジウム、ヨウ化ネオジウム、硝酸ネオジウム、過塩素酸ネオジウム、臭素酸ネオジウム、酢酸ネオジウム、硫酸ネオジウム、リン酸ネオジウム等のネオジウム塩、塩化ユーロピウム、臭化ユーロピウム、ヨウ化ユーロピウム、硝酸ユーロピウム、過塩素酸ユーロピウム、臭素酸ユーロピウム、酢酸ユーロピウム、硫酸ユーロピウム、リン酸ユーロピウム等のユーロピウム塩、塩化エルビウム、臭化エルビウム、ヨウ化エルビウム、硝酸エルビウム、過塩素酸エルビウム、臭素酸エルビウム、酢酸エルビウム、硫酸エルビウム、リン酸エルビウム等のエルビウム塩、塩化テルビウム、臭化テルビウム、ヨウ化テルビウム、硝酸テルビウム、過塩素酸テルビウム、臭素酸テルビウム、酢酸テルビウム、硫酸テルビウム、リン酸テルビウム等のテルビウム塩、塩化サマリウム、臭化サマリウム、ヨウ化サマリウム、硝酸サマリウム、過塩素酸サマリウム、臭素酸サマリウム、酢酸サマリウム、硫酸サマリウム、リン酸サマリウム等のサマリウム塩などをあげることができる。
また、好適な希土類金属イオンを含む錯体としては、たとえばトリス(ジベンゾイルメチド)エルビウム(III)、トリス(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)エルビウム(III)、トリス(ヘキサフルオロアセトナト)エルビウム(III)、トリス(ジベンゾイルメチド)ネオジウム(III)、トリス(ベンゾイルトリフルオロアセトナト)ネオジウム(III)、トリス(ヘキサフルオロアセトナト)ネオジウム(III)などがあげられ、また、それらはテトラキス(ヘキサフルオロアセトナト)ネオジウム(III)のようなテトラキス錯体であってもかまわない。そのほか、Nd[C817SO2NSO28173、Nd[C49SO2NSO2493、Nd[C65SO2NSO2653、Nd[C49SO2NSO2653、Nd[C49SO2NSO28173、Nd[C613SO2NSO26133、Nd[C25SO2NSO2253、Nd[CF3SO2NSO2CF33、Nd[C49SO2NCOC373、Nd[C49SO2NCOCF33、Nd[O3SC8173、Nd[O3SCF33などがあげられる。
このうち、光通信用の光増幅器の用途では、近赤外領域の蛍光発生能を有するプラセオジウム塩、ネオジウム塩およびエルビウム塩およびそれらの錯体などが特に好適であり、なかでもシリカガラスなどの無機ガラスの光ファイバに好適な信号波長である1300〜1550nm程度の波長の蛍光を発生する能力を有するネオジウム塩、プラセオジウム塩およびエルビウム塩およびそれらの錯体が最も好適である。また、有機高分子材料を光ファイバとして用いる場合に使用される可視波長域である650nm帯域の増幅にはユーロピウム塩およびその錯体が最も好適である。発光素子としての用途では、青色発光のツリウム塩およびサマリウム塩、緑色発光のテルビウム塩、赤色発光のユーロピウム塩が好適である。
本発明のフッ素樹脂組成物は、希土類金属イオン(II)を0.001〜25重量%(イオンとしての重量%。希土類金属イオン(II)含有量に関しては、以下同様)含有することが好ましい。使用する希土類金属イオン(II)および官能基含有フッ素ポリマー(I)の種類などによって異なるが、希土類金属イオン(II)含有量が0.001重量%未満であると目的とする光増幅作用等の望ましい性質が発揮されなくなり、一方、25重量%を超えるとこの希土類金属イオンの分散性が悪くなることがあり、いずれも好ましくない。光増幅器や光導波路等の光通信用部品や発光体として利用する場合には、この希土類金属イオンの含有量は、蛍光強度の観点から0.01〜20重量%の範囲で選ぶのが好ましく、さらに好ましくは0.1〜15重量%、最も好ましくは0.5〜10重量%である。なお、希土類金属イオンの含有量は、約600℃の温度の電気炉中で有機成分を燃焼してその灰分を定量するか、または蛍光X線分析などの物理化学的手法により定量的に測定することができる。
本発明のフッ素樹脂組成物は、光通信で使用される場合、各通信帯域、すなわち600〜900nm、1290〜1320nm、1530〜1570nmのいずれかの増幅対象波長領域の吸光度係数が1cm-1以下である必要がある。この波長領域で吸光度係数が1cm-1を超えると光信号そのものを吸収してしまい、到底、光増幅器として作用することができなくなる。したがって、官能基含有フッ素ポリマー(I)には、前記のとおり、600〜900nm、1290〜1320nm、1530〜1570nmのいずれかの増幅対象波長領域の吸光度係数が1cm-1以下であることが要求される。なお、希土類金属イオン(II)を含有した組成物は、希土類自身が特定の波長で鋭敏な吸収を示すため、その波長では組成物の吸光度係数が1cm-1を超えることがある。すなわち、希土類金属イオンの特性吸収波長としては、たとえばエルビウムでは980nmや1480nmなど、ネオジウムでは820nmなど、プラセオジウムでは1017nmなどである。可視発光材料として用いる場合は、可視帯域で透明であることが望ましい。
通信光の減衰を回復せしめる役目を果たす光ファイバー増幅器などの光増幅器においては、通信光波長の蛍光を発生する希土類金属イオンを有効に励起せしめる励起光(ポンプ光)を常時通過させ続け、通信光パルスによる誘導放出現象によりこのパルス波形と同一の蛍光を発生せしめ増幅作用とする。したがって、本発明のフッ素樹脂組成物を光増幅器用途として用いる場合には、希土類金属イオン(II)由来の励起光における蛍光発生能を有することが必要である。
また、発光素子においては、可視光から近赤外帯域の波長に蛍光を発生する希土類金属イオンを含有させ、励起光を照射し、目的とする波長の発光を得る。したがって、本発明のフッ素樹脂組成物を発光体用途として用いる場合には、希土類金属イオン(II)由来の励起光における蛍光発生能を有することが必要である。
かかる観点からは、光増幅材料または発光材料に用いるフッ素樹脂組成物は、使用する官能基含有フッ素ポリマー(I)が、
(a)元素周期表における14族、15族および16族元素の群より選ばれてなる異なった2種以上のヘテロ原子を含み、かつ当該異なった2種以上のヘテロ原子を介して希土類金属イオンと配位結合を形成しうる官能基含有フッ素ポリマーであって、
(b)1290〜1320nmおよび/または1530〜1570nmおよび/または600〜900nmの各波長範囲における吸光度係数の最大値が1cm-1以下であり、かつ
(c)希土類金属イオンがエルビウム(Er)イオン、ツリウム(Tm)イオン、プラセオジウム(Pr)イオン、ホルミウム(Ho)イオン、ネオジウム(Nd)イオン、ユーロピウム(Eu)イオン、ジスプロシウム(Dy)イオン、サマリウム(Sm)イオン、セリウム(Ce)イオンおよびテルビウム(Tb)イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であるフッ素樹脂組成物であればよい。
本発明のフッ素樹脂組成物は、希土類金属イオン(II)を官能基含有フッ素ポリマー(I)に含有させることによって調製できる。希土類金属イオン(II)を官能基含有フッ素ポリマー(I)に含有させる方法には、特に制限はない。希土類金属イオン(II)を含む前記化合物や錯体を官能基含有フッ素ポリマー(I)に溶解または分散させるか、好ましくは官能基含有フッ素ポリマー(I)中の少なくとも2つのヘテロ原子と希土類金属イオンとが相ともなって4員環、5員環あるいは6員環を形成してなる希土類錯体を構成することによって希土類金属イオン(II)を担持させるのがよい。
たとえば、(1)構造単位Mを与える官能基含有フッ素単量体に前記希土類金属イオン(II)を含む化合物や錯体を添加した後、構造単位Mを与える官能基含有フッ素単量体と必要に応じて錯形成反応をおこなった後に、溶融重合法やアニオン重合法等の公知の合成法で官能基含有フッ素ポリマー(I)を生成せしめる方法、(2)官能基含有フッ素ポリマー(I)を溶剤に溶解して調製した溶液に前記希土類金属イオン(II)を含む化合物や錯体を添加混合した後、必要に応じて錯形成反応をおこない、溶剤を除去する方法、または(3)官能基含有フッ素ポリマー(I)と前記希土類金属イオン(II)を含む化合物や錯体とを溶融混練する方法、などがあげられる。
これらのうち、上記(2)の方法が、官能基含有フッ素ポリマー中における希土類金属イオンを含む化合物や錯体の分散性が良好である点で最も好適である。特に好適な方法は、前記希土類金属イオンを含む化合物や錯体の溶液に官能基含有フッ素ポリマーを溶解し、必要に応じて錯形成反応をおこなった後、得られた均一溶液を昇温して溶媒を留去する方法である。なお、溶剤を留去せず、溶液または分散液の状態の組成物を光学素子形成プロセスにおける溶液の原体として使用してもよい。
したがって、官能基含有フッ素ポリマー(I)は有機溶剤、特に汎用溶剤に可溶であることが好ましく、たとえばケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤の少なくとも1種の汎用溶剤に可溶、または前記汎用溶剤を少なくとも1種含む混合溶剤に可溶であることが好ましい。溶剤溶解性は、構造単位Mの種類、含有率、必要に応じて用いられる共重合構造単位Aの種類を選ぶことによって適宜調整できる。
汎用溶剤に可溶であると、本発明の組成物を用いて光増幅素子等の光学素子を形成する場合、基板上に成膜する際にスピンコーティングやディップコーティングが可能となり、特に高度な膜厚制御が要求されるシングルモード用の導波路を形成する場合、成膜性や均質性に優れた材料が提供でき、光増幅素子等の光学素子形成における生産性の面でも有利である。
かかる溶剤としては、たとえばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶剤;ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶剤;2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類あるいはこれらの2種以上の混合溶剤などがあげられる。
またさらに、官能基含有フッ素ポリマー(I)の溶解性を向上させるために、必要に応じてフッ素系の溶剤を用いてもよい。
フッ素系の溶剤としては、たとえばCH3CCl2F(HCFC−141b)、CF3CF2CHCl2/CClF2CF2CHClF混合物(HCFC−225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ−ノナフルオロブタン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンなどのほか、
H(CF2CF2)nCH2OH (n:1〜3の整数)、
F(CF2)nCH2OH (n:1〜5の整数)、
CF3CH(CF3)OH
などのフッ素系アルコール類;
ベンゾトリフルオライド、パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(トリブチルアミン)、ClCF2CFClCF2CFCl2などがあげられる。
これらフッ素系溶剤は単独でも、またフッ素系溶剤同士、非フッ素系とフッ素系の1種以上との混合溶剤として用いてもよい。
これらのなかでも前記のように、ケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、アルコール系溶剤、芳香族系溶剤などが、塗装性、塗布の生産性などの面で好ましいものである。
本発明の官能基含有フッ素ポリマー(I)は近赤外領域での透明性を損なわない範囲で硬化部位を有していてもよい。ここで硬化部位とは、それ自身または他の種類の架橋部位または架橋剤などとの結合を形成する部位であれば特に制限はなく、ビニル基、アクリロイル基、エポキシ基などの重合性基;シラノール基、トリフルオロビニル基のほか酸クロライドと水酸基の組合せといった縮合反応を生ずる硬化基;シアノ基、アミノ基と−OCN基の組合せといった付加反応を生ずる硬化基;ヨウ素末端構造や臭素末端構造、アジド構造などの光照射や熱開始剤などにより分解してラジカル、カルベン、ナイトレンなどの活性な化学種を生成する化学構造などがあげられる。
硬化部位は官能基含有フッ素ポリマー(I)中に存在すればよいが、ポリマーの側鎖中および/またはポリマー主鎖末端に有していることが好ましい。また、この硬化部位は、前述した少なくとも2つのヘテロ原子を構造単位内に含有する部分であるRf'に含まれていてもよい。
これらの硬化部位のなかでも、反応効率が良好な点から重合性硬化基が好ましく、さらには付加重合性炭素−炭素二重結合を有する硬化基が特に好ましい。また、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖末端に存在するものが好ましい。付加重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれでもよい。
ポリマー側鎖末端に存在する付加重合性炭素−炭素二重結合を有する硬化基の具体例としては、つぎのものがあげられる。
−O−CF=CF2 、−O−(C=O)CF=CH2
−O−(C=O)CF=CF2 、−O−CH=CH2
−O−(C=O)CH=CH2
−O−(C=O)C(CF3)=CF2
−(C=O)−O−CH=CH2
−O−(C=O)C(CH3)=CH2 、−O−CH=CF2
−O−(C=O)C(CF3)=CH2
−O−CF=CF2
本発明のフッ素樹脂組成物は、官能基含有フッ素ポリマー(I)と希土類金属イオン(II)だけでも得られるが、官能基含有フッ素ポリマー(I)が硬化部位を有する場合、さらに活性エネルギー線硬化開始剤(III)である光ラジカル発生剤(III−1)または光酸発生剤(III−2)を加えて光硬化型の組成物の形態としてもよい。
活性エネルギー線硬化開始剤(III)は、たとえば350nm以下の波長領域の電磁波、つまり紫外線、電子線、X線、γ線などの活性エネルギー線を照射することによって初めてラジカルやカチオン(酸)などを発生し、フッ素ポリマーの硬化部位を介しての硬化(架橋反応)を開始させる触媒として働くものであり、通常、紫外線でラジカルやカチオン(酸)を発生させるもの、特にラジカルを発生するものを使用する。
官能基含有フッ素ポリマー(I)が硬化部位を有する場合、本発明の光増幅材料用または発光材料用のフッ素樹脂組成物によると、前記活性エネルギー線により容易に硬化反応を開始でき、高温で加熱する必要がなく、比較的低温で硬化反応が可能であるので、耐熱性が低く、熱で変形や分解、着色が起こりやすい基材、たとえば透明樹脂基材などにも適応できる点で好ましい。
本発明の組成物における活性エネルギー線硬化開始剤(III)は、官能基含有フッ素ポリマー(I)中の硬化部位の種類(ラジカル反応性か、カチオン(酸)反応性か)、使用する活性エネルギー線の種類(波長域など)と照射強度などによって適宜選択される。
一般に紫外線領域の活性エネルギー線を用いてラジカル反応性の硬化部位を有する官能基含有フッ素ポリマー(I)を硬化させる開始剤(光ラジカル発生剤)としては、たとえばつぎのものが例示できる。
アセトフェノン系
アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンなど
ベンゾイン系
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなど
ベンゾフェノン系
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ−プロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトンなど
チオオキサンソン類
チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソンなど
その他
ベンジル、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノンなど
また、必要に応じてアミン類、スルホン類、スルフィン類などの光開始助剤を添加してもよい。
また、カチオン(酸)反応性の硬化部位を有する官能基含有フッ素ポリマー(I)を硬化させる開始剤(光酸発生剤)としては、つぎのものが例示できる。
オニウム塩
ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩など
スルホン化合物
β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物など
スルホン酸エステル類
アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネートなど
その他
スルホンイミド化合物類、ジアゾメタン化合物類など
なお、ラジカル反応性の硬化部位としては、たとえば式:
−O−(C=O)CF=CH2
−O−(C=O)CH=CH2
−O−(C=O)C(CF3)=CH2
などで示されるものが、カチオン反応性の硬化部位としては、たとえば式:
−O−CH=CH2
−(C=O)−O−CH=CH2
などで示されるものがあげられる。
本発明の光増幅材料または発光材料に用いるフッ素樹脂組成物は、前記のとおり、官能基含有フッ素ポリマー(I)が硬化部位を有する場合、官能基含有フッ素ポリマー(I)と希土類金属イオン(II)からなり、さらに要すれば、活性エネルギー線硬化開始剤(III)を加えて硬化性含フッ素樹脂組成物を形成し、さらに後述する溶剤を含めた塗工用の含フッ素樹脂組成物塗工液に、これらにさらに必要に応じて硬化剤を添加してもよい。
硬化剤としては、炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有しかつラジカルまたは酸で重合できるものが好ましく、具体的にはアクリル系モノマーなどのラジカル重合性の単量体、ビニルエーテル系モノマーなどのカチオン重合性の単量体があげられる。これら単量体は、炭素−炭素二重結合を1つ有する単官能であっても炭素−炭素二重結合を2つ以上有する多官能の単量体であってもよい。
これらの炭素−炭素不飽和結合を有するいわゆる硬化剤は、本発明の組成物中の活性エネルギー線硬化開始剤と光などの活性エネルギー線との反応で生じるラジカルやカチオンで反応し、本発明の組成物中の官能基含有フッ素ポリマー(I)が硬化部位として炭素−炭素二重結合を有する場合、炭素−炭素二重結合と共重合によって架橋を達成することができるものである。
単官能のアクリル系単量体としては、アクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類、α−フルオロアクリル酸、α−フルオロアクリル酸エステル類、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類のほか、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などを有する(メタ)アクリル酸エステル類などが例示される。
なかでも硬化物の近赤外透明性を高く維持するために、フルオロアルキル基を有するアクリレート系単量体が好ましく、たとえば一般式:
Figure 0004075804
(XはH、CH3またはF;Rfは炭素数2〜40の含フッ素アルキル基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表わされる化合物が好ましい。
具体的には、
Figure 0004075804
Figure 0004075804
(以上、XはH、CH3またはF;nは1〜5の整数)
などがあげられる。
多官能アクリル系単量体としては、ジオール、トリオール、テトラオールなどの多価アルコール類のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α−フルオロアクリレート基に置き換えた化合物が一般的に知られている。
具体的には、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどのそれぞれの多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基がアクリレート基、メタクリレート基、α−フルオロアクリレート基のいずれかに置き換えられた化合物があげられる。
また、含フッ素アルキル基または含フッ素アルキレン基を有する多価アルコールの2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基、α−フルオロアクリレート基に置き換えた多官能アクリル系単量体も利用でき、特に硬化物の近赤外透明性を高く維持できる点で好ましい。
具体例としては
Figure 0004075804
(Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基)、
Figure 0004075804
(Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキル基;RはHまたは炭素数1〜3のアルキル基)、
HO−CH2−Rf'−CH2OH 、
Figure 0004075804
(以上、Rf'は炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基、RはHまたは炭素数1〜3のアルキル基)
などの一般式で示される含フッ素多価アルコール類の2個以上のヒドロキシル基をアクリレート基、メタアクリレート基またはα−フルオロアクリレート基に置き換えた構造のものが好ましくあげられる。
また、これら例示の単官能、多官能アクリル系単量体を硬化剤として本発明の組成物に用いる場合、なかでも特にα−フルオロアクリレート化合物が硬化反応性が良好な点で好ましい。
本発明の光増幅材料用または発光材料用のフッ素樹脂組成物において、活性エネルギー線硬化開始剤の添加量は、フッ素ポリマー(I)中の硬化部位の含有量、硬化剤の使用の有無や硬化剤の使用量によって、さらには用いる開始剤、活性エネルギー線の種類や、照射エネルギー量(強さと時間など)によって適宜選択されるが、硬化剤を使用しない場合では、フッ素ポリマー(I)100重量部に対して0.01〜30重量部、さらには0.05〜20重量部、最も好ましくは、0.1〜10重量部である。
詳しくは、フッ素ポリマー(I)中に含まれる硬化部位の含有量(モル数)に対し、0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは、0.5〜10モル%である。
硬化剤を使用する場合は、フッ素ポリマー(I)中に含まれる硬化部位の含有量(モル数)と硬化剤の炭素−炭素不飽和結合のモル数の合計モル数に対して0.05〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%、最も好ましくは0.5〜10モル%である。
本発明の組成物には、前述の化合物のほかに、必要に応じて種々の添加剤を配合してもよい。
そうした添加剤としては、たとえばレベリング剤、粘度調整剤、光安定剤、水分吸収剤、顔料、染料、補強剤などがあげられる。
本発明は、以上に説明したフッ素樹脂組成物をコア部に使用した光学素子、すなわち、光増幅素子および発光素子にも関する。
本発明のフッ素樹脂組成物を用いて光学素子、すなわち、光増幅素子または発光素子を作製する方法としては、フッ素樹脂組成物を適当な溶剤に溶解させて塗布液を調製し、この塗布液を所定の基板上に塗布することで、本発明のフッ素組成物の膜を形成し、つぎに、この膜を定法により光増幅部または発光部の形状にパターニングすることで光増幅部または発光部を形成する方法が採用できる。
この光増幅部および発光部のパターンを形成するための本発明の組成物を含む塗布液には、必要に応じて活性エネルギー線硬化開始剤、硬化剤、レベリング剤、光安定剤などの添加剤が含まれていてもかまわない。また、塗布液を調製する溶剤としては本発明の組成物を均一に溶解または分散するものであれば特に制限はなく、特に官能基含有フッ素ポリマー(I)を均一に溶解する前記の汎用溶剤が好ましい。
光増幅素子とはコア部とクラッド部を有する光導波路デバイスの一種で、基板上に形成された光導波路のコア部中を光信号が通過中に信号強度が増幅される素子のことを一般的にいう。この光増幅素子ではコア部を光増幅作用をもつ材料で形成する必要がある。
本発明の光増幅素子はそのコア部(光増幅作用を有する光導波路の部分)を前記の本発明の希土類金属イオンを含むフッ素樹脂組成物で構築したものである。
本発明のフッ素樹脂組成物を光増幅素子のコア部として使用するには適切なクラッド材が必要となる。クラッド部用材料としてはコア部の材料よりも屈折率の低いものを使用する必要があるが、本発明のフッ素樹脂組成物をコア部として使用する場合、クラッド部用材料は特に制限はなく、既存の有機材料が用いられる。もちろん、前記の官能基含有フッ素ポリマー(I)を希土類金属イオンを配合せずに使用してもかまわない。
本発明の発光素子とは、たとえばEL素子、ポリマー発光ダイオード、発光ダイオード、光ファイバーレーザー、レーザー素子、光ファイバー、液晶バックライト、光検知器等であり、大型ディスプレイ、照明、液晶、光ディスク、レーザープリンター、医療用レーザー、レーザー加工、印刷、コピー機器等に応用される。
コア部とクラッド部とから構成される発光素子の場合、光増幅型素子と同様に、コア部に本発明の発光材料を使用し、クラッド部には既存の有機材料、たとえば前記の官能基含有フッ素ポリマー(I)をそのまま使用することができる。本発明の光増幅素子および発光素子は、本発明のフッ素樹脂組成物をコア部として使用する以外は、従来公知の製法で作製できる。
光導波路デバイス(光増幅素子および発光素子)の一般的な作製工程を図1に示す。まず基板1上に下部クラッド層2を形成する。このクラッド層2はコア層3に対して屈折率が低い材料を用いる。つぎに下部クラッド層2上へ、本発明のフッ素樹脂組成物をコア層3として形成する。さらにコア層3上へフォトリソグラフ法によって光導波路のマスクパターン4を形成する。マスクパターン4が形成されたコア層3に対して、RIE(Reactive Ion Etching)法を用いてエッチングを行い光導波路のコアパターン5を形成する。マスクを除去した後、光導波路のコアパターン5上に上部クラッド層6を形成して光導波路デバイス(光増幅素子および発光素子)が形成される。
また、本発明の光増幅素子および発光素子は、他の光素子と集積化することでより多機能な光回路を構築することができる。他の光素子としては、光スイッチ、光フィルタ、光分岐素子など任意のものをあげることができる。特に、本発明の光増幅素子と、該光増幅素子のコア部の出力端に接続され該コア部と同じ材料で構成されたN分岐導波路(Nは2以上の整数)を含む光分岐素子とを同一基板に一体に具える光回路は、光損失の少ない分岐素子となり得るので、好ましい。
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限られるものではない。
合成例1(ヘテロ原子を有する含フッ素アリルエーテルの合成1)
窒素雰囲気下、メチルトリフルオロメチルスルホン(14.8g/100mmol)のテトラヒドロフラン溶液を水素化ナトリウム(2.4g/100mmol)を懸濁させたテトラヒドロフラン溶液に10℃で滴下し、滴下後その温度で10分間撹拌した。その後その溶液に9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸エチル(45g/100mmol)
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CO225
を0℃で滴下し、滴下後2時間、加熱還流させた。反応液を水にあけ、有機相を分離、水相をエーテルにて抽出、有機相と合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下、溶媒を留去した。得られた粗生成物を減圧下精留し、9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネニル1−(トリフルオロメチルスルホニル)メチルケトン
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COCH2SO2CF3
を得た(34.8g/63mmol)。
合成例2(ヘテロ原子を有する含フッ素アリルエーテルの合成2)
冷却環付きの300ml三口フラスコに、THF100ml、9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸アミド(42.1g,100mmol)
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CONH2
および水素化ナトリウム(24g,100mmol)を加え、窒素雰囲気下室温で一時間撹拌した。その後、C817SO2F(50.2g,100mmol)を加え、3時間還流させた。反応液を水にあけ、有機相を分離、水相をエーテルにて抽出、有機相と合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下、溶媒を留去し、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CONHSO2817(63.0g,70mmol)を得た。
合成例3(ヘテロ原子を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネニル1−(トリフルオロメチルスルホニル)メチルケトン:
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COCH2SO2CF3
を10.0gと
Figure 0004075804
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を5.2g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下30℃で5時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体6.8gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖にヘテロ原子を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は5200、重量平均分子量は6500であった。
合成例4(ヘテロ原子を有する含フッ素アリルエーテルのコポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネニル1−(トリフルオロメチルスルホニル)メチルケトン:
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COCH2SO2CF3
を9.9gと9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノイック酸メチル:
Figure 0004075804
を10.1g入れ、よく攪拌し、
Figure 0004075804
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を2.0g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下20℃で20時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものを、HCFC225/n−ヘキサン=1/1溶液に注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体15.4gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記のカルボキシル基含有含フッ素アリルエーテルと、メチルエステル構造を有する含フッ素アリルエーテルの構造単位からなる含フッ素重合体であった。
その組成比はNMRより47:53(モル比)と求められた。
また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は9500、重量平均分子量は12000であった。
合成例5(ヘテロ原子を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CONHSO2817
を10.0gと
Figure 0004075804
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を5.1g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下30℃で5時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体7.2gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖にヘテロ原子を有する含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は6200、重量平均分子量は7800であった。
合成例6(比較合成例)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、下式で示される官能基を含有していない化合物
Figure 0004075804
を10.0gと
Figure 0004075804
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を4.1g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下30℃で6.5時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体6.62gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなる含フッ素重合体であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は13000、重量平均分子量は20000であった。
実施例1(希土類金属含有フッ素樹脂組成物の製造)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、合成例3で得たヘテロ原子を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマー2.0gとメタノール15gを入れ、攪拌しながら、酢酸ユウロピウム(III)四水和物(Eu(CH3COO)3・4H2O)0.62g(1.54mmol)を8gの水に溶かしたものを、5分間かけて滴下した。滴下後、約60℃で2時間攪拌を続けた後、30分間静置し生成した粘性の固体を沈殿させた。上澄みのメタノール溶液をデカンテーションして除き、アセトンで3回、固体を洗浄した。その後、60℃で12時間真空乾燥し、無色透明の固体2.1gを得た。
実施例2(希土類金属含有フッ素樹脂組成物の製造)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、合成例3で得たヘテロ原子を有する含フッ素アリルエーテルのホモポリマー2.0gとメタノール15gを入れ、攪拌しながら、塩化エルビウム六水和物(ErCl3・6H2O)0.61g(1.61mmol)を3gのメタノールに溶かしたものを、5分間かけて滴下した。滴下後2時間攪拌を続けた後、溶液をエバポレータで濃縮しながら60℃まで加熱し、1時間加熱を続けた。淡桃色の固体2.2gを得た。
実施例3(希土類金属含有フッ素樹脂組成物の製造)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、合成例4で得たヘテロ原子を有する含フッ素アリルエーテルのコポリマー2.0gとメタノール15gを入れ、撹拌しながら、酢酸ユウロピウム(III)四水和物(Eu(CH3COO)3・4H2O)0.31g(0.77mmol)を8gの水に溶かしたものを、5分間かけて滴下した。滴下後、約60℃で2時間攪拌を続けた後、30分間静置し生成した粘性の固体を沈殿させた。上澄みのメタノール溶液をデカンテーションし除き、アセトンで3回、固体を洗浄した。その後、60℃で12時間真空乾燥し、無色透明の固体1.8gを得た。
実施例4(希土類金属含有フッ素樹脂組成物の製造)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、合成例4で得たヘテロ原子を有する含フッ素アリルエーテルのコポリマー2.2gとメタノール15gを入れ、撹拌しながら、塩化エルビウム六水和物(ErCl3・6H2O)0.30g(0.80mmol)を3gのメタノールに溶かしたものを、5分間かけて滴下した。滴下後2時間攪拌を続けた後、溶液をエバポレータで濃縮しながら60℃まで加熱し、1時間加熱を続けた。淡桃色の固体2.0gを得た。
比較例1(官能基を含有していないフッ素樹脂組成物の製造)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、合成例6で得た官能基を含有しない含フッ素アリルエーテルのホモポリマー2.00gとメタノール15gを入れ、撹拌しながら、酢酸ユウロピウム(III)四水和物(Eu(CH3COO)3・4H2O)0.62g(1.54mmol)を8gの水に溶かしたものを、5分間かけて滴下した。滴下後、約60℃で2時間攪拌を続けた後、30分間静置し生成した粘性の固体を沈殿させた。上澄みのメタノール溶液をデカンテーションし除き、アセトンで3回、固体を洗浄した。その後、60℃で12時間真空乾燥したところ、白濁し、光学用途には使用できなかった。
参考例1(官能基含有フッ素ポリマーの物性評価)
(1)含フッ素樹脂組成物の調製
合成例3、4、5でそれぞれ得られた官能基含有フッ素ポリマーをメチルエチルケトン(MEK)に溶解し、ポリマー濃度50重量%に調整した。
(2)官能基含有フッ素ポリマーのフィルム作成
官能基含有フッ素ポリマーの50%MEK溶液をアプリケーターを用いPETフィルム上に乾燥後膜厚が所定の厚さになるように塗布し、50℃で10分間真空乾燥後、PETフィルムから得られたキャスト膜を剥離し、膜厚が約1mmのものと約100μmのフィルムを得た。
(3)フィルムの物性測定
得られたフィルムに関して以下の物性の評価を行なった。
(1) 吸光度係数の測定
自記分光光度計((株)日立製作所製のU−3410)を用いて、波長300〜1700nmにおける約1mm厚のフィルムの分光透過率曲線を測定した。得られたスペクトルより、吸光度係数の値を下式に従って算出した。
吸光度係数=吸光度/サンプルフィルムの厚み
結果を表1に示す。
(2) 屈折率の測定
アッベ屈折計を用いて約100μm厚のフィルムについて25℃で550nmの波長の光について屈折率を測定した。結果を表1に示す。
(3) 熱的特性(DSC)
示差熱量計((株)島津製作所製のDSC−50)を用い、昇温速度10℃/分の条件で熱的特性を測定しところ、明確な結晶融点のピークは観測されず、いずれのフィルムも非晶性であった。
(4)熱分解温度
熱重量計((株)島津製作所製のTGA−50)を用い、窒素雰囲気の条件で昇温速度10℃/minの条件で測定し、10%重量減の温度で評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004075804
得られた官能基含有フッ素ポリマーはいずれも高い透明性と耐熱性を備えた材料であった。
実施例5(官能基含有フッ素ポリマーと希土類金属との組成物の物性評価)
実施例1〜4で得たフッ素樹脂組成物について以下の物性の評価を行なった。
(1) 蛍光スペクトルの測定
自記分光光度計((株)日立製作所製のU−34110)により、300〜1700nmの波長領域の吸光スペクトルを測定し、吸光度のピークに相当する吸光波長を求め、以下で行う蛍光測定の励起波長とした。ユーロピウムを含む試料では、上記の吸光スペクトル測定で得られたユーロピウム由来の吸光波長を励起波長とし、蛍光光度計((株)日立製作所製のF−3040)により、300〜700μmの波長領域の蛍光スペクトルを測定した。エルビウムを含む試料では、1500nm付近の近赤外領域の蛍光を発生することが知られているので、近赤外カメラ(浜松ホトニクス(株)製のC−5840)により、近赤外蛍光の有無を観察した。結果を表2に示す。
(2) 屈折率の測定
アッベ屈折計を用いて25℃で550nmの波長の光について屈折率を測定した。結果を表2に示す。
(3) 希土類元素陽イオンの含有量
試料約2gを精秤し、600℃の電気炉内で完全に灰化させた残差の重量分率より算出した。結果を表2に示す。
(4) 蛍光寿命の測定
実施例1のサンプルに関し発光寿命を測定したところ約0.8msであった。この発光寿命は、通常の色素系化合物(例えばフルオレセイン、ローダミン等)の場合に比べ、104〜106倍程度長いことから、光増幅作用を起こすのに必要な反転分布状態を容易に形成できることを示している。
(5) 耐久試験
実施例1のサンプルを温度80℃、湿度85%の環境下で1週間保存したが、透明性は全く低下しなかった。
Figure 0004075804
実施例6
合成例5で得られた重合体をMEKに溶解させ5重量%とした。その溶液に塩化ユーロピウム水溶液を加え、ユーロピウムイオン濃度がポリマーに対して1重量%になるように調整した。その後、約60℃で5時間加熱攪拌した。溶液は無色透明であった。通例に従ってキャストしたところ得られたポリマーフィルムも無色透明であった。ユーロピウムの励起波長である394nmの光を照射したところ赤色に発光した。
また615nm帯の発光の面積強度を蛍光分光器((株)日立製作所製のF−4010)にて励起波長394nmにて測定したところ、基準とする塩化ユーロピウムの0.3mM濃度の水溶液中における面積強度を1とすると、約50という高い値を示した。
比較例2(官能基をもたない高分子に対する分散性)
ポリメチルメタクリレート(三菱レーヨン社製のアクリペット)を酢酸ブチルに溶解させ5重量%とした。その溶液に塩化ユーロピウムを加え、濃度がポリマーに対して1重量%になるように調整した。溶液は無色透明であった。しかしながら、通例に従ってキャストしたところ得られたポリマーフィルムは白濁した。
また615nm帯の発光の面積強度を蛍光分光器((株)日立製作所製のF−4010)にて励起波長394nmにて測定したところ、基準とする塩化ユーロピウムの0.3mM濃度の水溶液中における面積強度を1とすると、1以下という低い値を示した。
比較例3(官能基をもたないフッ素系高分子に対する分散性)
テフロンAF1600(デュポン社製。官能基をもたないフッ素系高分子)をフッ素系溶剤(スリーエム社製のFC−75)に溶解させ5重量%とした。その溶液に塩化ユーロピウムを加え、濃度がポリマーに対して1重量%になるように調整した。溶液は白濁し、通例に従ってキャストしたところ得られたポリマーフィルムも白濁した。
合成例7(ヘテロ原子およびヒドロキシル基を有する含フッ素アリルエーテルのコポリマーの合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネニル1−(トリフルオロメチルスルホニル)メチルケトン:
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COCH2SO2CF3
を10.0gと
パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)(OH基含有含フッ素アリルエーテル):
Figure 0004075804
を10.0g入れ、よく撹拌し、
Figure 0004075804
の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を10.0g入れ、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下30℃で5時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体14.2gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端にケトン基およびヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。組成比はヘテロ原子含有含フッ素アリルエーテル/OH基含有含フッ素アリルエーテル=52/48(モル比)であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は6900、重量平均分子量は8000であった。
合成例8(ヘテロ原子および硬化部位を有する含フッ素アリルエーテルのコポリマーの合成)
環流冷却器、温度計、撹拌装置、滴下漏斗を備えた200ml四つ口フラスコにジエチルエーテル80ml、合成例5で得たヘテロ原子およびヒドロキシル基を含有する含フッ素アリルエーテル共重合体5.0gとピリジン2.0gを仕込み5℃以下に氷冷した。
窒素気流下、撹拌を行いながら、さらにα−フルオロアクリル酸フルオライド:CH2=CFCOFの2.2gをジエチルエーテル20mlに溶解したものを約30分間かけて滴下した。
滴下終了後、室温まで温度を上げさらに4.5時間撹拌を継続した。
反応後のエーテル溶液を分液漏斗に入れ、水洗、2%塩酸水洗浄、5%NaCl水洗浄、さらに水洗を繰り返した後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ついでエーテル溶液を濾過により分離し、ヘテロ原子および硬化部位を有する含フッ素アリルエーテルのコポリマーを得た。
このエーテル溶液を19F−NMR分析により調べたところ、転化率はほぼ100%であり、フッ素含有率は57重量%であった。IR分析により炭素−炭素二重結合の吸収が1661cm-1に観測された。またDSCによる分析によって非晶性が確認された。
実施例7(硬化フィルムの作製)
合成例8で得られたヘテロ原子および硬化部位(α−フルオロアクリロイル基)を有するフッ素ポリマー(エーテル溶液)にMEKを加えたのちに、エーテルをエバポレーターにより留去し、ポリマー濃度50重量%に調整した。その溶液に塩化ユーロピウム水溶液を加え、ユーロピウムイオン濃度がポリマーに対して5重量%になるように調整し、約60℃で5時間加熱攪拌した。次に、この溶液10gに活性エネルギー線硬化開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンを0.1g加えた。
溶液は無色透明であった。また、アルミ箔上にアプリケーターを用いて膜厚が約100μmとなるように塗布し、50℃で10分間真空乾燥した。乾燥後の被膜に高圧水銀灯を用い、1000mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射したのち、アルミ箔を希塩酸で溶かし、サンプルフィルムとした。
得られたフィルムは無色透明で、ユーロピウムの励起波長である394nmの光を照射したところ赤色に強く発光した。
合成例9(ビニリデンフルオライドとCF2=CFCF2CF2PO(OH)2のコポリマー)
CF2=CFCF2CF2PO(OH)2、6.5gをH2O100mlと共に、ガラス製内容器を有する400mlステンレス製オートクレーブに入れ、窒素置換を十分に行い、ビニリデンフルオライドを17.5kg/cm2G仕込んだ。温度を60℃に上昇させたところで、過硫酸アンモニウム(APS)水溶液(APS 300mg含有)を加えた。19時間後反応を終了させ、水、塩酸、メタノールでそれぞれ洗浄後、蒸発乾固させ、ポリマーを回収した。回収したポリマーは無色透明であった。ポリマーはアセトンには溶けないがDMFには溶けた。19F−NMRによれば、ポリマーのホスホン酸モノマー含有量は6モル%であった。ポリマーのフッ素含量は58重量%であった。
合成例10(ビニリデンフルオライドとCF2=CFPO(OCH32のコポリマー)
CF2=CFPO(OCH32 10g、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン30mlおよびイソプロピルパーオキシカーボネート(IPP)50mgをオートクレーブに仕込み、窒素置換、脱気を行った後、ビニリデンフルオライド32gを加え、50℃で9時間反応させた。得られた混合物をアセトンに溶解し、過剰の1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンに投入し、ポリマー7.0gを得た。ポリマーのホスホン酸モノマー含有量は19F−NMRによれば、42モル%であった。ポリマーのフッ素含量は36重量%であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は5200、重量平均分子量は6000であった。
また、このポリマーはアセトン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解し、キャスト法により透明なフィルムが得られた。
実施例8
合成例9で得られた重合体をDMFに溶解させ5重量%とした。その溶液に塩化ユーロピウム水溶液を加え、ユーロピウムイオン濃度がポリマーに対して1重量%になるように調整した。その後、約60℃で5時間加熱攪拌した。溶液は無色透明であった。通例に従ってキャストしたところ得られたポリマーフィルムも無色透明であった。ユーロピウムの励起波長である394nmの光を照射したところ赤色に発光した。
実施例9
合成例10で得られた重合体をMEKに溶解させ5重量%とした。その溶液に塩化テルビウム水溶液を加え、テルビウムイオン濃度がポリマーに対して1重量%になるように調整した。その後、約60℃で5時間加熱攪拌した。溶液は無色透明であった。通例に従ってキャストしたところ得られたポリマーフィルムも無色透明であった。テルビウムの励起波長である304nmの光を照射したところ緑色に発光した。
実施例10(光増幅型素子の作製)
光増幅型素子の形成は以下の手順で行なった。
コア部用材料として実施例1で調製したフッ素樹脂組成物を用い、クラッド部用材料として合成例2で調製したフッ素ポリマーを用いて光増幅素子を作製した。
これら2種の材料をそれぞれメチルイソブチルケトンに溶かし溶液とした。まず、クラッド部用材料をプラスチック基板あるいはシリコン基板上に約15μmの厚さに塗布した。これをベークし、乾燥処理した後、クラッド部用材料の膜上にコア部用材料を約8μmの厚さに塗布した。つぎに、フォトマスク4を用いフォトリソグラフ法により、コア層の上にマスクパターンを形成する。マスクパターンが形成されたコア層に対し、RIE法を用いてエッチングを行ない、コアパターンを形成する。マスクを除去し、コア部として長さ50mm、幅8μm、高さ8μmの直線矩形パターンに加工した。加工後、クラッド部を図1にしたがって説明したように、コア部上に塗布して光増幅素子を作製した。
つぎに、作製した光増幅素子の伝播損失の測定を、コア部に波長633nmの光を通すことによって、伝播損失の測定を行った。その結果、0.3dB/cmであった。
また、このように形成した光増幅素子に紫外線ランプを照射し光増幅素子の主面上方より観察したところ、コア部に対応する線状のEuイオンに特有な赤色発光パターンが観察できた。このことはコア部にのみ、光増幅作用に必要な希土類Euイオンが含有されていることを示している。
本発明の光増幅素子または発光素子を製造する工程図である。

Claims (33)

  1. (I)官能基含有フッ素ポリマーおよび
    (II)希土類金属イオン
    とからなる組成物であって、官能基含有フッ素ポリマー(I)が式(1):
    Figure 0004075804
    (式中、構造単位Mは式(2):
    Figure 0004075804
    (式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、HまたはF;X3はFまたはCF3;X4およびX5は同じかまたは異なり、H、FまたはCF3;Rfは式:
    −(Rf1d'−Y−R3
    (式中、Rf1は炭素数1〜50の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;R3はH、D、ハロゲンのいずれかの原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基;d'は0または1;Yは式:
    Figure 0004075804
    (式中、d、f,g,h,j,k,l,mは同じかまたは異なり、0または1:e,iは同じかまたは異なり、1または2;Y1、Y2は独立してC原子、P原子またはS原子;ZはC、N、OまたはPのいずれかの原子;ただしZがC原子のときgおよびhは1;ZがO原子のときgおよびhは0;ZがO原子でかつlが0のときkは0;X6はH、Dまたはハロゲンから選ばれる原子;R1、R2は同じかまたは異なり、H、Dのいずれかの原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基;R4は、H、D、ハロゲンのいずれかの原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基;ただしY1がS原子の場合、mまたはlのいずれか一方が1;ただし、Y1がC原子のときeは1でありかつfは0;Y2がC原子のときiは1でありかつjは0;fが1のときeは1;jが1のときiは1;Y1、Z、Y2のうち少なくとも1つはN原子、S原子またはP原子である));aは0〜3の整数;bおよびcは同じかまたは異なり、0または1)で示され、官能基Y中のO原子、N原子、S原子およびP原子のうちの異なった2種以上の原子を介して希土類金属イオン(II)と配位結合を形成しうることを特徴とするエチレン性単量体に由来する構造単位、構造単位Aは構造単位Mと共重合可能な単量体に由来する構造単位)で示され、構造単位Mを0.1〜100モル%および構造単位Aを0〜99.9モル%含むフッ素ポリマーであるフッ素樹脂組成物。
  2. 官能基含有フッ素ポリマー(I)における官能基Yが、該官能基に含まれるO原子、N原子、S原子およびP原子のうちの異なった2種以上の原子を介して希土類金属イオン(II)と4員環、5員環あるいは6員環のいずれか少なくとも1種を形成しうることを特徴とする請求項1記載のフッ素樹脂組成物。
  3. 官能基含有フッ素ポリマー(I)が、式(1)における構造単位Mが構造単位M1であるフッ素ポリマーであり、
    構造単位M1が式(3):
    Figure 0004075804
    (式中、X1、X2、X3、X4、X5、Rf、aおよびcは前記と同じ)で示されるエチレン性単量体に由来する構造単位である請求項1または2記載のフッ素樹脂組成物。
  4. 官能基含有フッ素ポリマー(I)が、式(1)における構造単位Mが構造単位M2であるフッ素ポリマーであり、
    構造単位M2は式(4):
    Figure 0004075804
    (式中、Rfは前記と同じ)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位である請求項1または2記載のフッ素樹脂組成物。
  5. 官能基含有フッ素ポリマー(I)が、式(1)における構造単位Mが構造単位M3であるフッ素ポリマーであり、
    構造単位M3は式(5):
    Figure 0004075804
    (式中、Rfは前記と同じ)で示される含フッ素エチレン性単量体に由来する構造単位である請求項1または2記載のフッ素樹脂組成物。
  6. 前記式(2)、(3)、(4)および(5)におけるRfが、
    −(Rf2)d'−Y3(=O)n−NX7−Y4(=O)o−R4
    (式中、d'は0または1;n、oは同じかまたは異なり、1または2;Y3、Y4は独立してC原子またはS原子;X7はH、Dまたはハロゲン原子;ただしY3がC原子のときnが1、Y4がC原子のときoが1;Rf2は炭素数1〜50の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;R4はH、D、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基)である請求項1〜5のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物。
  7. 前記式(2)、(3)、(4)および(5)におけるRfが、
    Figure 0004075804
    (式中、d、d'は同じかまたは異なり、0または1;pは0〜20の整数;qは0または1;Rf3は炭素数1〜50の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;R5、R6、R7は同じかまたは異なり、H、D、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基)である請求項1〜5のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物。
  8. 前記式(2)、(3)、(4)および(5)におけるRfが、
    Figure 0004075804
    (式中、d'は0または1;r、sは同じかまたは異なり、1または2;Y5、Y6は独立してC原子またはS原子、ただしY5がC原子のときrが1、Y6がC原子のときsが1;Rf4は炭素数1〜50の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;R8、R9は同じかまたは異なり、H、D、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子の一部もしくはすべてが重水素またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基)である請求項1〜5のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物。
  9. 官能基含有フッ素ポリマー(I)が、フッ素含有率25重量%以上の非晶性フッ素ポリマーである請求項1〜8のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物。
  10. 官能基含有フッ素ポリマー(I)のフッ素含有率が40重量%以上である請求項9記載のフッ素樹脂組成物。
  11. 官能基含有フッ素ポリマー(I)が、1290〜1320nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下のポリマーである請求項1〜10のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物。
  12. 官能基含有フッ素ポリマー(I)が、1530〜1570nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下のポリマーである請求項1〜11のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物。
  13. 官能基含有フッ素ポリマー(I)が、600〜900nmの波長範囲での吸光度係数の最大値が1cm-1以下のポリマーである請求項1〜12のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物。
  14. 希土類金属イオン(II)が、エルビウム(Er)イオン、ツリウム(Tm)イオン、プラセオジウム(Pr)イオン、ホルミウム(Ho)イオン、ネオジウム(Nd)イオン、ユーロピウム(Eu)イオン、ジスプロシウム(Dy)イオン、サマリウム(Sm)イオン、セリウム(Ce)イオンおよびテルビウム(Tb)イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜13のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物を用いてなる光学物品。
  16. 請求項1〜14のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物を用いてなる光増幅用光学物品。
  17. 請求項1〜14のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物を用いてなる光増幅素子。
  18. 請求項1〜14のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物を用いてなる発光用光学物品。
  19. 請求項1〜14のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物を用いてなる発光素子。
  20. 官能基含有フッ素ポリマー(I)がさらに硬化部位を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物。
  21. 硬化部位が官能基含有フッ素ポリマー(I)の側鎖末端および/またはポリマー主鎖末端に存在する請求項20記載のフッ素樹脂組成物。
  22. 硬化部位が炭素−炭素二重結合である請求項20または21記載のフッ素樹脂組成物。
  23. 硬化部位がラジカル反応性を有するエチレン性炭素−炭素二重結合である請求項22記載のフッ素樹脂組成物。
  24. 硬化部位がカチオン反応性を有するエチレン性炭素−炭素二重結合である請求項22記載のフッ素樹脂組成物。
  25. さらに(III)活性エネルギー線硬化開始剤を含む請求項2024のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物。
  26. 活性エネルギー線硬化開始剤(III)が光ラジカル発生剤(III−1)である請求項25記載のフッ素樹脂組成物。
  27. 活性エネルギー線硬化開始剤(III)が光酸発生剤(III-2)である請求項25記載のフッ素樹脂組成物。
  28. 請求項2027のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物を硬化してなる光学物品。
  29. 請求項2527のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物を光硬化してなる光学物品。
  30. 請求項2027のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物を硬化してなる光増幅用光学物品。
  31. 請求項2027のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物を硬化してなる光増幅素子。
  32. 請求項2027のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物を硬化してなる発光用光学物品。
  33. 請求項2027のいずれかに記載のフッ素樹脂組成物を硬化してなる発光素子。
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