JP4075409B2 - 接着フィルム及びそれを用いた電極の接続構造 - Google Patents

接着フィルム及びそれを用いた電極の接続構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極と電極を電気的、機械的に接続するのに好適な接着フィルムに関する。特に、ICチップとチップ搭載基板との接着や電気回路相互の接続・接着用の接着フィルムとして好適な接着フィルム及び電極の接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の小型薄型化に伴い、これらに用いる回路や電極(以下電極)は高密度、高精細化している。
これらの電極の接続に、絶縁性接着剤中にカーボン、ニッケル、金属被覆プラスチック粒子等の導電粒子を分散した異方導電性の接着剤や膜状物を用いて、加熱加圧により接着剤の厚み方向に電気的接続を得る方法(例えば特開昭55−104007号公報)が知られている。
また、導電粒子を含有せずに接続時の加圧により電極面の微細な凹凸により電気的接続を得て残余の接着剤を電極外に排除して接続する方法(例えば特開昭60−262430号公報)とがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
異方導電性の接着剤の場合、導電粒子を含んでいるために、電極間距離以下の導電粒子を用いることや、一つの電極に少なくとも1個の導電粒子が必要なこと等の制限から、高密度高精細化に制限があった。すなわち、微少な電極上の導電粒子の存在確立を向上させるために粒子径を小さくすると粒子の凝集が起こり電極間で短絡してしまい、一方、粒子径を大きくすると微細電極上に粒子が存在しなくなるというものである。
また、導電粒子を含有しない場合、電極高さのばらつきに対応できずに多数電極の接続信頼性が不十分となる欠点があった。
本発明は、従来用いられていた導電粒子を用いることなく、高密度高精細化に対応して導電接続することができ、また、電極高さのばらつきに対応できる接着フィルム及びそれを用いた電極の接続構造を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、[1] 接着剤とポリフタリドよりなる接着フィルムであって、上記ポリフタリドが式(1)で示される接着フィルムである。
【化5】
Figure 0004075409
(式(1)中、Rは、二価の芳香族炭化水素基または二価の複素環含有芳香族基を示し、Rは、水素、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシ基またはハロゲンで、これは複数個(2〜4個)であってもよく、Xは、OまたはN−R(但し、R次の基を示す。)を示し、Yは、SOまたはCOを示し、nはポリマの繰り返し単位の数を示す。)
【化6】
Figure 0004075409
また、本発明は、[2] 接着剤と、ポリフタリドからなるポリフタリド粉体よりなる接着フィルムであって、上記接着フィルム中に上記ポリフタリド粉体が分散されており、上記ポリフタリド粉体の粒径が10nm〜50000nmである接着フィルムである。
また、本発明は、[3] 接着剤からなる接着フィルム層と、該接着フィルム上に積層一体化された、ポリフタリドからなるポリフタリド薄層と、を有する接着フィルムである。
また、本発明は、[4] 上記ポリフタリド薄層の厚みが10nm〜50000nmである、上記[3]に記載の接着フィルムである。
さらに、本発明は、[5] 上記ポリフタリド薄層の要部に貫通孔を形成した、上記[3]または[4]に記載の接着フィルムである。
さらに、本発明は、[6] 対向する電極間にポリフタリドが存在し、両電極が接着剤により固定されてなる電極の接続構造であって、上記ポリフタリドが上記式(1)で示される接続構造である。
また、本発明は、[7] 対向する電極間に上記[1]ないし上記[5]のいずれかに記載の接着フィルム中のポリフタリドが存在し、両電極が接着フィルム中の接着剤により固定されてなる電極の接続構造である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる式(1)のポリフタリドについて、更に具体的に説明する。
(1)中のR(二価の芳香族炭化水素基又は二価の複素環含有芳香族基)としては、次の基などが挙げられる。
【化7】
Figure 0004075409
【0006】
ここで、R2は、前記R1と同様で水素、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン(フッ素や塩素など)で、これは複数個(2〜4個)であってもよい。
また、Ar1は、次の基などである。
【化8】
Figure 0004075409
【0007】
また、Ar2は、次の基などである。
【化9】
Figure 0004075409
【0008】
ポリフタリドは、単独重合物であっても、共重合物であっても、あるいは、これらのブレンド物であってもよい。
また、フタリド環を有するフェノール樹脂やフタリド環を有するエポキシ樹脂を添加することができる。
フタリド環を有するフェノール樹脂としては、フェノールフタレイン、フェノールレッド、o−クレゾールフタレイン、チモールフタレイン、クレゾールレッド等とホルムアルデヒドとを反応させて得られる樹脂で、通常、反応に際してフェノールやクレゾール等を加えてコオリゴマーとしたもの(生成物)を用いることができる。
【0009】
フタリド環を有するエポキシ樹脂としては、式(1)で示されたフタリド環(又はスルホフタリド環)を有するフェノール化合物とエピクロルヒドリンとを反応させて得られた樹脂を用いることができる。
【0010】
フタリド環を有するフェノール樹脂やフタリド環を有するエポキシ樹脂は、50重量%を超えない範囲で配合することができる。50重量%を超えて使用すると、成形後の皮膜がもろくなりやすい。なお、ここで重量%とは、溶媒を除く不揮発成分の量を100としたときの百分率である。
【0011】
式(1)で示したポリフタリド(以下総称してポリフタリドという)は厚みが10nm〜50000nm程度の厚みのときに、厚み方向に圧力を加えると、厚み方向の電気抵抗が大きく変化し導電性を発揮する特徴がある。
また、式(1)で示したポリフタリドにフタリド環を含むフェノール樹脂、フタリド環を含むエポキシ樹脂、シランカップリング剤等を添加することができる。
【0012】
以下、本発明を図面を用いて説明する。
図1は、接着剤1とポリフタリド2よりなる接着フィルムを示す断面模式図である。
接着剤1は、通常の熱可塑性を含めた電子部品用が適用できるが、接続後の耐熱性や耐湿性に優れるので、熱や光により硬化性を示す反応性接着剤が好ましい。なかでもエポキシ系接着剤は短時間硬化が可能で接続作業性がよく、分子構造上接着性に優れるなどの特徴から好ましく適用てきる。また、アクリル系などの反応性接着剤をラジカル硬化させた系も同様な特性が得られるので好ましい。硬化剤としては、保存性と速硬化性の両立を得るため、潜在性であることが好ましい。
図1の場合、粉体のポリフタリドを必要に応じて溶剤を用い接着剤中に分散し、ロールコータ等でフィルム状に形成し、揮発分を乾燥することで比較的簡単に得られる。また、この場合の使用方法は図5に示すように、基板3に形成された凸状電極4を有する電子部品同士を接続する時、ポリフタリド2の粉体が接着フィルム中に分散しているので電極4の密度に応じて粉体数を設計でき、又接続時に電極4の位置を選ばないで単に電極間におくだけで接続可能である。ここに凸状電極4は、半導体チップや配線板等の電気的に接続を必要とする電子部品そのものであっても良い。
【0013】
ポリフタリド2は、粉体もしくは溶液状で接着剤中に混合分散したペースト状でも適用可能であるが、図1~4のようなフィルム状であると、一定厚みの連続体であることから自動化が図かれる利点を有し好ましい。
ポリフタリド2は、図2〜4に示すように薄層にして接着フィルム層と積層一体化した複合フィルムとすることができる。図2、3の場合、接着フィルムの表面にポリフタリド溶液を塗布し溶剤を乾燥すれば良く、また、接着フィルム層とポリフタリド薄層をそれぞれ形成してからラミネートしてもよい。さらに、ポリフタリドの粉体や溶液を気体と共に高圧下で噴射形成しても良い。また、必要に応じて用いるセパレータなどの基材フィルム上にポリフタリド薄層を形成し、その上に接着フィルム層を構成しても良い。
ポリフタリド2の厚みや粒子径は10nm〜50000nm程度が好ましい。10nm未満では導電効果が十分でなく、50000nmを超すと導電性が不十分となる。このようなことから、30nm〜40000nmがより好ましく、50nm〜30000nmが更に好ましく、100nm〜2000nmが特に好ましい。
【0014】
図2の構成は、接着フィルム層1の片面にポリフタリド薄層2を構成すればよいので製造が比較的容易であり、図6に示すように接続する電極4が凸状のときに、凸状電極側に接着剤1を配置して接続することができる。図示してないがポリフタリド薄層2の表面に別途電極を構成してもよく、その場合電極はクランプ等の機械的な手段によれば繰り返し使用可能であり例えば検査用の用途等に有用である。また、この例はマルチチップモジュール(MCM)のように、一つの面上に、大きさや高さの異なる多数の電子部品を配置し、接続するような場合に特に有用である。
【0015】
図3は、図2のポリフタリド薄層2の要部に貫通孔5を設けその部分を接着剤1で充填した場合である。これにより図7に示すように、接続時の加熱加圧で接着剤はポリフタリド薄層2を超えて基板3’側にも流動し、この面での接着剤による接続が可能となる。すなわち対向する電子部品同士の信頼性に優れた電気的及び機械的な同時接続が可能となる。この場合、貫通孔5は図7(a)のように電極のピッチに合わせて形成しても、あるいは図7(b)のようにピッチに関係なく任意に設けても良い。任意に設けると電極の位置に関係なく接続操作が可能であり好ましい。
【0016】
図4はポリフタリド薄層2を接着フィルム層1、1’でサンドイッチした構成であり、両面が接着フィルム層1、1’で覆われた構成である。接着剤1及び1’の厚みは、接続後に電極が接着剤で覆われスペース部を充填可能となる厚みを基本に、用いる電極高さに応じて適宜設計可能である。この場合は、ポリフタリド薄層2が接着剤で覆われて存在するので脱落などの不都合を生じ難く、接続する電極の両者共に凸状の場合に好適である。この場合は、図8に示すように基板3、3’に形成された凸状電極4,4’を有する電子部品同士を接続する時、電極4−4’間にポリフタリド薄層2を介して両基板の接続が可能である。図4及び図8においては図示しないが、図3のように要部に貫通孔を設けその部分を接着剤1で充填することで、電極高さのばらつきの影響を吸収できるので好ましい。
【0017】
前記で説明したように、図5〜8に示す対向する電極間にポリフタリドが存在し、両電極が固定されてなる電極の接続構造が極めて簡単に得られる。
図5〜8では、相対峙する双方の電極が突出した場合を示したが、凸・平、凸・凹等、少なくとも一方が凸状であれば任意の組み合わせが可能である。この時、ポリフタリドは電極間に存在すれば良く、接着剤を介在させることで電極の接続の保持と基板間の接着による長期的な接続信頼性が得られる。
【0018】
本発明の接着剤とポリフタリドよりなる接着フィルムによれば、ポリフタリドは厚み方向に圧力を加えると、厚み方向の導電性が得られるので、両電極の加圧部のみに電気的接続が可能であり、高密度電極の接続に有用である。この時、接着フィルム中の接着剤は、加圧下で電子部品や電極を機械的に固定できるので電気的接続と共に機械的な接続が一度の操作により同時に得られるので、微細な回路接続に極めて有用である。接着剤は加圧下で流動するので、接続部の凹凸を充填し、防湿、汚染防止などの封止材的な作用も期待できる。すなわち、本発明の接着剤とポリフタリドよりなる接着フィルムによれば、加圧による電気的接続と接着剤による固定を一度の操作で同時に行なえるので、接続工程が極めて簡単である。
【0019】
本発明の接着剤は、熱硬化系接着剤、ラジカル硬化系接着剤、光硬化系接着剤、熱可塑系接着剤(ホットメルト)を用いることができる。
熱硬化系接着剤は、エポキシ樹脂、潜在性硬化剤、フィルム形成材を含むことが好ましい。エポキシ樹脂は、エピクロルヒドリンとビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂やナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル、脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等を単独にあるいは2種以上を混合して用いることが可能である。これらのエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na+、Cl-等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることがエレクトロンマイグレーション防止のために好ましい。
【0020】
潜在性硬化剤は、イミダゾール系、ヒドラジド系、アミンイミド、ジシアンジアミド等が挙げられる。これらは、単独または混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。潜在性硬化剤の配合量は充分な反応率を得るために、フィルム形成材とエポキシ樹脂の合計100重量部に対して、0.1〜60重量部とするのが好ましく1〜20重量部がより好ましい。潜在性硬化剤の配合量が0.1重量部未満では、充分な反応率を得ることができず良好な接着強度や小さな接続抵抗が得られにくくなる傾向にある。潜在性硬化剤の配合量が60重量部を超えると、接着剤の流動性が低下したり、接続抵抗が上昇したり、接着剤のポットライフが短くなる傾向にある。
【0021】
フィルム形成材は、液状物を固形化し、構成組成物をフィルム形状とした場合に、そのフィルムの取り扱いが容易で、容易に裂けたり、割れたり、ベたついたりしない機械特性等を付与するものであり、通常の状態でフィルムとしての取り扱いができるものである。
フィルム形成材としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂等が拳げられる。フィルム形成材の中でも接着性、相溶性、耐熱性、機械強度に優れることからフェノキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂は2官能フェノール類とエピハロヒドリンを高分子量まで反応させるか、又は2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール類を重付加させることにより得られる樹脂である。具体的には、2官能フェノール類1モルとエピハロヒドリン0.985〜1.015とをアルカリ金属水酸化物の存在下で非反応性溶媒中で40〜120℃の温度で反応させることにより得ることができる。
また、樹脂の機械的特性や熱的特性の点からは、特に2官能性エポキシ樹脂と2官能性フェノール類の配合当量比をエポキシ基/フェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1としアルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒の存在下で沸点が120℃以上のアミド系、エーテル系、ケトン系、ラクトン系、アルコール系等の有機溶剤中で反応固形分が50重量部以下で50〜200℃に加熱して重付加反応させて得たものが好ましい。2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などが挙げられる。2官能フェノール類は2個のフェノール性水酸基を持つもので、例えば、ハイドロキノン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等のビスフェノール類などが挙げられる。フェノキシ樹脂は、ラジカル重合性の官能基やエポキシ基,カルボキシル基などで変成されていても良く、この場合耐熱性が向上する。 また、フェノキシ樹脂は、その分子内に多環芳香族化合物に起因する分子構造を有するものでもよい。例えばナフタレン、ビフェニル、アセナフテン、フルオレン、ジベンゾフラン、アントラセン、フェナンスレン等のジヒドロキシ化合物であり、特に好ましくは9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンである。
フィルム形成材の配合量は、2〜80重量%であり、5〜70重量%が好ましく、10〜60重量%が特に好ましい。2重量%未満では、応力緩和や接着力が十分でなく、80重量%を超えると流動性が低下する。
【0022】
ラジカル硬化系接着剤は、ラジカル重合性化合物、重合開始剤、フィルム形成性を含有することが好ましい。
ラジカル重合性化合物は、ラジカルにより重合する官能基を有する化合物で、(メタ)アクリレート樹脂、マレイミド樹脂、シトラコンイミド樹脂、ナジイミド樹脂などがあり、2種類以上を混合して使用してもよい。またラジカル重合性化合物は、モノマー、オリゴマーいずれの状態でも使用することができ、モノマーとオリゴマーを混合して用いてもよい。
(メタ)アクリレート樹脂としては、(メタ)アクリレートをラジカル重合させることで得られるもので、(メタ)アクリレートとしてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールテトラ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性ジアクリレートなどが挙げられ、単独または2種類以上を混合して用いても良い。また、必要によっては、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン等のラジカル重合禁止剤を硬化性が損なわれない範囲で使用しても良い。
【0023】
さらに、ラジカル重合性化合物としてリン酸エステル化合物を使用した場合、金属等無機物に対する接着力を向上することができる。このリン酸エステル化合物の使用量は、0.1〜10重量部であり、好ましくは0.5〜5重量部である。リン酸エステル化合物は、無水リン酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの反応生成物として得られる。具体的には、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等が有り、単独でも混合して使用しても良い。
【0024】
マレイミド樹脂としては、分子中にマレイミド基を少なくとも1個有しているもので、例えば、フェニルマレイミド、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N'−m−フェニレンビスマレイミド、N,N'−p−フェニレンビスマレイミド、N,N'−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N'−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N'−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N'−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N'−4,4−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4'−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられ、単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
【0025】
シトラコンイミド樹脂としては、分子中にシトラコンイミド基を少なくとも1個有しているシトラコンイミド化合物を重合させたもので、シトラコンイミド化合物としては、例えば、フェニルシトラコンイミド、1−メチル−2,4−ビスシトラコンイミドベンゼン、N,N'−m−フェニレンビスシトラコンイミド、N,N'−p−フェニレンビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−ビフェニレンビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−ジフェニルプロパンビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−ジフェニルエーテルビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−ジフェニルスルホンビスシトラコンイミド、2,2−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4'−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが有り、単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
【0026】
ナジイミド樹脂としては、分子中にナジイミド基を少なくとも1個有しているナジイミド化合物を重合したもので、ナジイミド化合物としては、例えば、フェニルナジイミド、1−メチル−2,4−ビスナジイミドベンゼン、N,N'−m−フェニレンビスナジイミド、N,N'−p−フェニレンビスナジイミド、N,N'−4,4−ビフェニレンビスナジイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスナジイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスナジイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスナジイミド、N,N'−4,4−ジフェニルメタンビスナジイミド、N,N'−4,4−ジフェニルプロパンビスナジイミド、N,N'−4,4−ジフェニルエーテルビスナジイミド、N,N'−4,4−ジフェニルスルホンビスナジイミド、2,2−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4'−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−ナジイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが有り、単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
【0027】
上記ラジカル重合性化合物を使用した場合には、重合開始剤を使用する。重合開始剤としては、光または加熱によってラジカルを発生する化合物であれば特に制限はなく、過酸化物、アゾ化合物などがあり、目的とする接続温度、接続時間、保存安定性等を考慮し適宜選択されるが、高反応性と保存安定性の点から、半減期10時間の温度が、40℃以上かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましく、半減期10時間の温度が、50℃以上かつ、半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物が特に好ましい。接続時間を10秒とした場合、十分な反応率を得るための重合開始剤の配合量は、1〜20重量%が好ましく、2〜15重量%が特に好ましい。使用される有機過酸化物の具体的な化合物としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドなどから選定できるが、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドは、開始剤中の塩素イオンや有機酸が5000ppm以下であり、分解後に発生する有機酸が少なく、電極の腐食を抑えることができるため特に好ましい。
【0028】
ジアシルパーオキサイド類としては、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0029】
パーオキシジカーボネート類としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
【0030】
パーオキシエステル類としては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−へキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−へキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−へキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−へキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等を挙げることができる。
【0031】
パーオキシケタール類では、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
【0032】
ジアルキルパーオキサイド類では、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0033】
ハイドロパーオキサイド類では、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0034】
シリルパーオキサイド類としては、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が挙げられる。
【0035】
また、電極の腐食を抑えるために、硬化剤中に含有される塩素イオンや有機酸は5000ppm以下であることが好ましく、さらに、加熱分解後に発生する有機酸が少ないものがより好ましい。また、作製した接着剤の安定性が向上することから室温(25℃)、常圧下で24時間の開放放置後に20重量%以上の重量保持率を有することが好ましい。これらは適宜混合して用いることができる。
これらの遊離ラジカル発生剤は単独または混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いても良い。
また、これらの遊離ラジカル発生剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
【0036】
フィルム形成材は、上記と同様である。
ラジカル重合性化合物以外に熱硬化性樹脂として上記のエポキシ樹脂を配合することもできる。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。
また、このエポキシ樹脂の硬化剤としては、アミン類、フェノール類、酸無水物類、イミダゾール類、ジシアンジアミド等通常のエポキシ樹脂の硬化剤として使用されているものが挙げられる。さらには、硬化促進剤として通常使用されている3級アミン類、有機リン系化合物を適宜使用しても良い。
また、エポキシ樹脂を反応させる方法として、前記硬化剤を使用する以外に、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等使用して、カチオン重合させても良い。
【0037】
光硬化系接着剤は、光カチオン重合性化合物、主に180〜750nmの波長成分を含む光照射または加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤を含むことが好ましい。
光カチオン重合性化合物として、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物及び環状エーテル化合物から1つ以上選ばれる。
主に180〜750nmの波長成分を含む光照射または加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤として、芳香族スルホニウム塩、ヨードニウム塩、鉄−アレーン錯体、芳香族スルホニウム塩、脂肪族スルホニウム塩などから選ばれる少なくとも一種である。
主に180〜750nmの波長成分を含む光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤は、主として180〜750nmの波長成分を含む光照射によってカチオン種を発生する重合開始剤であり、光照射により発生するカチオン種を指すが、加熱によって発生したカチオン種を含んでも良く、光照射により発生するカチオン種が多いとの意味である。また、主に加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤は、主として加熱によってカチオン種を発生する重合開始剤であり、加熱により発生するカチオン種を指すが、光照射によって発生したカチオン種を含んでも良く、加熱により発生するカチオン種が多いとの意味である。光カチオン重合性化合物としては、主に180〜750nmの波長成分を含む光照射、または主に加熱により発生したカチオン種によって重合する官能基を有する化合物であり、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物及び環状エーテル化合物等が挙げられる。
【0038】
エポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用しうる。例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノールAやビスフェノールF等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂や、ポリグリシジルエーテル、ポリグリシジルエステル、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、ビフェニルジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリグリシジルメタクリレート、グリシジルメタクリレートとこれと共重合可能なビニル単量体との共重合体等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0039】
ビニルエーテル化合物としては、アルキルビニルエーテル化合物、アルケニルビニルエーテル化合物、アルキニルビニルエーテル化合物、アリールビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0040】
オキセタン化合物としては、オキセタンアルコール、脂肪族オキセタン化合物、芳香族オキセタン化合物等が挙げられる。
環状エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン化合物、テトラヒドロピラン化合物等が挙げられる。
これらの中では、他の化合物と比較すると分子量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性、硬化特性等を任意に設定できる点から、エポキシ化合物が好ましい。
【0041】
光カチオン重合性化合物の含有量としては、接着剤全体に対して10〜90重量%とするのが好ましく、25〜75重量%とするのがより好ましい。
含有量が10重量%未満の場合、硬化物の物性に乏しい接着剤しか得ることができず、含有量が90重量%を超えると、例えば硬化収縮率の大きな光カチオン重合性化合物を使用した場合、これを他の配合成分によって緩和する等の手段を用いることが困難になる。
【0042】
エポキシ化合物のエポキシ当量は、43〜1000が好ましく、50〜800がより好ましく、73〜600が特に好ましい。エポキシ当量が43未満又は1000を超えると、電極の接続時に、接着強度が低下する傾向がある。これらのエポキシ化合物は、不純物イオン(Na+、Cl-等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが、エレクトロンマイグレーション防止のために好ましい。
【0043】
主に180〜750nmの波長成分を含む光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤、主に加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、脂肪族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩、セレノニウム塩等のオニウム塩や金属アレーン錯体、シラノール/アルミニウム錯体等の錯体化合物、ベンゾイントシレート、o−ニトロベンジルトシレート等を用いることができる。また、塩を形成する際の対アニオンとしてはヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が反応性の点で好適に用いられる。
主に加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤としては、100℃以下の温度で熱触媒活性の低い化合物が、接着剤の保存安定性を高める点で好ましい。また、主に180〜750nmの波長成分を含む光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤が、主に加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤と同等の熱活性を有していたり、その反対に、主に加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤が、主に180〜750nmの波長成分を含む光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤と同等の光活性を有している化合物である場合は、接着剤の反応性が向上する点で好ましい。
【0044】
主に180〜750nmの波長成分を含む光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤としては、分子内に芳香族環が1個以上含まれる化合物が好ましく、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)−フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ−フェニル]スルフィドビス−ヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ−フェニル]スルフィドビス−ヘキサフルオロアンチモネート等といった芳香族スルホニウム塩やη−5,2,4−(シクロペンタジエニル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(メチルエチル)−ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロペニル)ボレート、ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート及びこれらの混合物を用いることができ、アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−170(旭電化工業株式会社製商品名)、サイラキュアUVI−6990(ユニオンカーバイド社製商品名)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L(三新化学工業株式会社製商品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社製商品名)、RHODORSIL PHOTOINITIATOR2074(ローディアジャパン社製商品名)等といった市販品としてこれらの化合物及びその溶液を用いることができる。
【0045】
主に加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤としては、芳香族スルホニウム塩、脂肪族スルホニウム塩やジアルキルフェナシルスルホニウム塩等の化合物が好適に用いられ、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L(三新化学工業株式会社製商品名)、アデカオプトンCP−66、アデカオプトンCP−77(旭電化工業株式会社製商品名)、CI−2624(日本曹達株式会社製商品名)等といった市販品としてこれらの化合物及びその溶液を用いることができる。
【0046】
主に180〜750nmの波長成分を含む光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤、及び、主に加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤を使用する場合、各々、その使用量は、光カチオン重合性化合物の100重量%に対して0.05〜30重量%とすることが好ましく、0.1〜15重量%とすることがより好ましく、0.5〜10重量%とすることが特に好ましい。この量が、0.05重量%未満では、硬化促進効果が不十分となる傾向があり、30重量%を超えると相溶性が低下する傾向がある。
【0047】
また、主に180〜750nmの波長成分を含む光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤の含有量と主に加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤の含有量の重量比率は、1/50〜50/1であるのが好ましい。この範囲外の比率の場合、他方の重合開始剤の含有量が極端に少なくなるために、充分な硬化物が得られなくなる恐れがある。
【0048】
主に180〜750nmの波長成分を含む光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤、及び、主に加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤を使用する場合、それぞれを単独あるいは複数種を併用することもできる。また、カチオン重合を促進して接着剤の硬化性を高めるために、光増感剤を適宜組み合わせて使用することもできる。光増感剤としては、用いる励起光の吸収波長を有効に利用するためのものであれば特に制限されるものではなく、公知の化合物を使用することができ、具体的には、アントラセン、フェノチアジン、ペリレン、カルバゾール、ベンゾフェノン、チオキサントン、フルオレノン、アントラキノン等の化合物及びこれらの誘導体等を用いることができる。
【0049】
接着剤には、さらにフィルム形成材を添加してもよい。その使用量としては、光カチオン重合性化合物100重量部に対して20〜320重量部とすることが好ましい。この使用量が、20重量部未満又は320重量部を超える場合は、フィルム形成性が低下する傾向がある。
【0050】
熱可塑系接着剤(ホットメルト)は、基本的には絶縁性を示す通常の凝集力を付与するポリマと、その他必要に応じて用いる粘着付与剤、粘着性調整剤、架橋剤、老化防止剤、分散剤等を含むと好ましい。
これらポリマ種としては、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体変性物、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸エステル系ゴム、ポリイソブチレン、アタクチックポリプロピレン、ポリビニルブチラール、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、ポリブタジエン、エチレンセルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、天然ゴム、シリコン系ゴム、ポリクロロプレン等の合成ゴム類、ポリビニルエーテルなどが適用可能であり、単独あるいは2種以上併用して用いられる。
【0051】
粘着付与剤としては、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、キシレン樹脂、テルペン−フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂等があり、これらを必要に応じて、単独あるいは2種以上併用して用いる。粘着性調整剤としてはたとえばジオクチルフタレートをはじめとする各種可塑剤類等が代表的である。
架橋剤はポリマの凝集力を高めることが必要な場合に用いられ、ポリマの官能基と反応する多官能性物質であり、たとえばポリイソシアネート、メラミン樹脂尿素樹脂、フェノール樹脂等があげられる。
老化防止剤は、ポリマーバインダの熱、酸素、光等に対する安定性を高めることが必要な場合に用いるものでたとえば金属石ケン類を代表とする安定剤や、アルキルフェノール類などの酸化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤等が挙げられ、やはり必要に応じて単独あるいは2種以上併用して用いられる。
分散剤は、粒子の分散性向上のために用いる場合があり、この例としてたとえば界面活性剤が挙げられ、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性のうち1種あるいは2種以上併用して用いることができる。
【0052】
本発明の接着フィルムには、適宜充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃剤、カップリング剤を添加しても良い。
【0053】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
(1)接着フィルム
フィルム形成材としてフェノキシ樹脂(PKHC、ユニオンカーバイド株式会社製商品名、平均分子量45,000)、潜在性硬化材としてマイクロカプセル型硬化剤(HX3941HP、旭化成エポキシ株式会社製商品名、熱活性温度120℃、DSCピーク温度)を含有する液状エポキシ樹脂、応力緩和材としてアクリルゴム及びビスフェノールA型エポキシを用い、アクリルゴム30g、フェノキシ樹脂10g、ビスフェノールA型エポキシ10g、マイクロカプセル型硬化剤50g、シランカップリンダ剤(東レ・ダウシリコーン株式会社製商品名;SH6040)1gのトルエン/酢酸エチル=50/50重量比に溶解ないし分散させ下記のポリフタリドを上記の固形分100体積に対し3体積%分散配合し、剥離性を有するように表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)上に塗布乾燥し厚み20μmの図1のフィルム状接着剤(セパレータは図示せず)を用意した。
式(1)において、R=ビフェニル、R=H、X=O、Y=SOであるポリ(4,4−ジフェニレンスルホフタリド)の粉体は、ポリ(4、4’−ジフェニレンスルホフタリド)をシクロヘキサノンに溶解して3重量%溶液を作製し、これをホモジナイザーで激しく撹拌したメタノール(100倍容積)中に滴下して得られた粉体を200℃で30分窒素雰囲気中で乾燥処理した後、分級し、粒子径0.1〜3μm、平均粒径1.5μmのポリフタリド粉体を得た。
【0054】
(2)配線板
厚みが0.4mmのガラス・エポキシ基板に、後述する半導体チップの電極パッドに対応する回路電極を、厚みが15μmの銅箔のエッチング法により形成した。
(3)半導体チップ
半導体チップとして、2mm×10mm、厚み300μm、接続面は厚み2μmの窒化珪素で覆われ、4辺の周縁部に50μm角で高さ15μmのバンプ(突起電極)200個を形成した試験用チップを用いた。
【0055】
(4)接続
前記配線板と半導体チップの電極の間に、前記の接着フィルムを載置し、両電極の位置合わせ行った後、180℃、5MPa(50kg/cm)、10秒間、加熱加圧した。電極間の接着剤はバンプのないスペース部に排除され、配線板の回路電極と半導体チップの電極は、ポリ(4,4−ジフェニレンスルホフタリド)の粉体を介して接触していた。接着剤はマイクロカプセル型硬化剤のカプセルが破壊し硬化が十分に行なわれていた。
(5)評価
相対峙する電極間の接続抵抗と隣接電極間の絶縁抵抗を測定した、接続抵抗は0.1Ω以下、絶縁抵抗は10Ω以上と良好な特性を示した。これらは85℃、85%RH、1000時間処理後(以下高温高湿試験後という)もほとんど変化なく良好な接続信頼性を示した。この接続構造体の断面を研磨し顕微鏡観察を行なったところ、図5に示したような接続構造であった。
【0056】
(実施例2)
実施例1と同様であるが、接着フィルムの構成を変えた。すなわち図2に示す構成のように接着フィルム層の片面にポリフタリド薄層を構成した。接着剤として実施例1と同じフィルム形成材としてフェノキシ樹脂(PKHC、ユニオンカーバイド株式会社製商品名、平均分子量45,000)、潜在性硬化材としてマイクロカプセル型硬化剤(HX3941HP、旭化成エポキシ株式会社製商品名、熱活性温度120℃、DSCピーク温度)を含有する液状エポキシ樹脂、応力緩和材としてアクリルゴム及びビスフェノールA型エポキシを用い、アクリルゴム30g、フェノキシ樹脂10g、ビスフェノールA型エポキシ10g、マイクロカプセル型硬化剤50g、シランカップリンダ剤(東レ・ダウシリコーン株式会社製商品名;SH6040)1gのトルエン/酢酸エチル=50/50重量比に溶解ないし分散させた配合液を、剥離性を有するように表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)上に塗布乾燥し厚み20μmの接着剤(セパレータは図示せず)を用意した。さらに、剥離性を有するように表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)上にポリフタリドであるポリ(4,4−ジフェニレンスルホフタリド)をシクロヘキサノンに溶解した6重量%溶液を塗布し、100℃で乾燥し厚み2μmのポリフタリド薄層を形成した。ラミネータを用いて、上記接着剤層とポリフタリド薄層が面するようにラミネート(80℃)し、接着剤層の上にポリフタリド薄層が形成された接着フィルムを得た(図2の構成、但し、セパレータは図示せず。)。
実施例1と同様の配線板を用い、接着剤側のセパレータを剥離して、接着剤面を配線板に180℃、5MPa(50kg/cm)、15秒間、加熱加圧し、図6に示すように配線板の隣接する回路電極の空間を接着剤で充填し表面がポリフタリド薄層となる構成とした。ポリフタリド薄層側から実施例1と同じ半導体チップを用い、位置合わせした後、室温23℃で、0.3MPa/バンプの圧力を加えたまま、接続抵抗と絶縁抵抗を測定した。その結果、接続抵抗は0.1Ω以下、絶縁抵抗は10Ω以上と良好な値が得られた。このように、この方法は、例えば半導体チップの電気特性を予め評価するのに(いわゆるKGDチップ)有用である。
【0057】
(実施例3)
実施例1と同様であるが接着フィルムの構成を変えて、図3の構成とした。すなわち、剥離性を有するように表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)上にポリフタリドであるポリ(4,4−ジフェニレンスルホフタリド)をシクロヘキサノンに溶解した6重量%溶液を塗布し、100℃で乾燥し厚み2μmのポリフタリド薄層を形成した。この上に厚み25μmのネガ型感光性フィルムをラミネートし、10個/mmの割合で直径100μmの透孔部を有するマスクを積層し、露光、現像した後、後露光と後加熱した。そして、シクロヘキサノンで露出部分を溶解させ、感光性フィルムを剥離した。この面に、実施例1で用いたと同じ接着剤(ポリフタリドを除く)を塗布乾燥し(80℃、5分)厚み20μmの接着フィルムを形成した。
この接着フィルムを用い、実施例1と同じ配線板と半導体チップを用い、それらの電極の間に、配線板側に接着剤層となるように接着フィルムを載置し、両電極の位置合わせ行った後、180℃、5MPa(50kg/cm)、10秒間、加熱加圧した。
実施例1と同様な評価を行なった結果、良好な接続抵抗(0.32Ω)と絶縁抵抗(10Ω以上)を示し、また、高温高湿試験後も良好な接続信頼性を示した。この場合は図7に示す接続断面であり、接続時の加熱加圧で接着剤はポリフタリド薄層側にも流動し、この面での接着剤による接続が可能となり対向電極の接着剤による固定が得られた。すなわち対向する電子部品同士の電気的及び機械的な接続が可能であった。
【0058】
(実施例4)
実施例1と同様であるが、接着フィルムの構成を図4の構成である厚み2μmのポリフタリドの両面を電極高さの厚みである厚み15μmの接着フィルムでサンドイッチした形とした。接着剤は実施例1で用いたと同じ接着剤(ポリフタリドを除く)を表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)上に塗布乾燥(70℃、10分)し厚み15μmの接着剤(セパレータは図示せず)を用意した。これとは別に、剥離性を有するように表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)上にポリフタリドであるポリ(4,4−ジフェニレンスルホフタリド)をシクロヘキサノンに溶解した6重量%溶液を塗布し、100℃で乾燥し厚み2μmのポリフタリド薄層を形成した。ラミネータを用いて、上記接着剤層とポリフタリド薄層が面するようにラミネート(80℃)し、接着剤層の上にポリフタリド薄層が形成された接着フィルムを得た、さらに、接着剤層とポリフタリド薄層の積層体に接着剤層をラミネート(80℃)し図4に示す構成の接着フィルムを得た。
実施例1と同様な配線板と半導体チップの電極の間に、前記の接着フィルムを載置し、両電極の位置合わせ行った後、180℃、5MPa(50kg/cm)、10秒間、加熱加圧した。接続体は図8の構成であるが、良好な接続抵抗(0.7Ω)と絶縁抵抗(10Ω以上)を示し、また、高温高湿試験後の良好な接続信頼性を示した。本実施例によれば、ポリフタリド薄層を介して両基板の接続が可能である。
【0059】
(実施例5〜7)
実施例1と同様であるが、ポリフタリドの種類を変えた。
すなわち、実施例5は式(1)のR、R、X、Yとして表1のNo.2を用いた。
同様に実施例6は表1のNo.3を、実施例7は表1のNo.4を用いた。
【表1】
Figure 0004075409
実施例5〜7は、いずれも良好な接続抵抗(1Ω以下)と絶縁抵抗(10Ω以上)を示し、また、高温高湿後の良好な接続信頼性を示した。
【0060】
(実施例8)
フィルム形成剤としてフェノキシ樹脂(PKHC、ユニオンカーバイド株式会社製商品名、平均分子量45,000) 50g、ラジカル重合性化合物としてジシクロヘキシルメタアクリレート 48g、りん酸エステル化合物としてりん酸エステルアクリレート 2g、有機化酸化物として2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン 3gをメチルエチルケトンを溶媒として溶解配合し、さらに実施例1と同じポリフタリド粉体を3体積%配合分散した。厚さ50μmの片面を表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工機を用いて塗布し、70℃、10分間乾燥させ、厚み30μmの接着フィルムを得た。そして、実施例1と同じ配線板と半導体チップの電極の間に、前記の接着フィルムを載置し、両電極の位置合わせ行った後、150℃、4MPa、20秒間、加熱加圧した。接続抵抗は0.1Ω以下、絶縁抵抗は10Ω以上と良好な特性を示した。これらは85℃、85%RH、1000時間処理後もほとんど変化なく良好な接続信頼性を示した。
【0061】
(実施例9)
光カチオン重合性化合物として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828;油化シェルエポキシ株式会社製商品名、エポキシ当量184)50gを、主に180〜750nmの波長成分を含む光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤として、トリアリールスルホニウムのヘキサフルオロリン塩混合物50重量%炭酸プロピレン溶液(サイラキュアUVI−6990;ユニオンカーバイド社製商品名)を1.0g、主に加熱によりカチオン種を発生する重合開始剤として、ベンジルスルホニウムのヘキサフルオロアンチモン塩の50重量%酢酸エチル溶液(サンエイドSI−60L;三新化学工業株式会社製商品名)を3.0g用いた。フィルム形成材としてビスフェノールA、F共重合型フェノキシ樹脂(平均分子量20,000)50gを用い、さらに実施例1と同じポリフタリド粉体を3体積%配合分散した。厚さ50μmの片面を表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工機を用いて塗布し、70℃、10分間乾燥させ、厚み25μmの接着フィルムを得た。
ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC、絶縁基板:ポリイミドフィルム、厚み;125μm)と、0.2μmの酸化インジウム(ITO)の薄層を形成したガラス(厚み1.1mm、表面抵抗20Ω/□)とを、紫外線照射併用型熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて120℃、2MPaで20秒間の加熱加圧およびITOガラス側からの紫外線照射を同時に行って幅2mmにわたり接続し、時間経過後圧力開放して、接続体を作製した。回路接続材料に照射される紫外線照射量は2.0J/cm2とした。この時、あらかじめITOガラス上に、接着フィルムの接着面を貼り付けた後、70℃、0.5MPaで5秒間加熱加圧して仮接続し、その後、PETフィルムを剥離し、接着フィルムからなるフィルム面に、高圧水銀ランプを有する紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社製)を用いて2.0J/cm2の紫外線を照射した。その後にもう一方のFPCと位置合わせを行い接続し接続体を得た。また20秒間の接続の際、加熱加圧のみを開始して3秒経過した後17秒間の紫外線照射を開始し、加熱加圧20秒後に2工程が同時に終了するようにした。接続抵抗は0.1Ω以下、絶縁抵抗は10Ω以上と良好な特性を示した。これらは85℃、85%RH、1000時間処理後もほとんど変化なく良好な接続信頼性を示した。
【0062】
(実施例10)
タフプレン(スチレン−ブタジエンブロックポリマー(旭化成工業株式会社製商品名)60重量部、YSポリスターT−115(テルペンフェノール樹脂、安原油脂株式会社製商品名)40重量部、トルエン200重量部の接着剤溶液に、さらに実施例1と同じポリフタリド粉体を3体積%配合分散した。厚さ50μmの片面を表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工機を用いて塗布し、100℃、20分間乾燥させ、厚み25μmの接着フィルムを得た。そして、実施例1と同じ配線板と半導体チップの電極の間に、前記の接着フィルムを載置し、両電極の位置合わせ行った後、150℃、3MPa、20秒間、加熱加圧した。接続抵抗は0.1Ω以下、絶縁抵抗は10Ω以上と良好な特性を示した。これらは85℃、85%RH、1000時間処理後もほとんど変化なく良好な接続信頼性を示した。
【0063】
(参考例)
接着剤として実施例1と同じフィルム形成材としてフェノキシ樹脂(PKHC、ユニオンカーバイド株式会社製商品名、平均分子量45,000)、潜在性硬化材としてマイクロカプセル型硬化剤(HX3941HP、旭化成エポキシ株式会社製商品名、熱活性温度120℃、DSCピーク温度)を含有する液状エポキシ樹脂、応力緩和材としてアクリルゴム及びビスフェノールA型エポキシを用い、アクリルゴム30g、フェノキシ樹脂10g、ビスフェノールA型エポキシ10g、マイクロカプセル型硬化剤50g、シランカップリンダ剤(東レ・ダウシリコーン株式会社製商品名;SH6040)1gのトルエン/酢酸エチル=50/50重量比に溶解ないし分散させた配合液に導電粒子(ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.04μmの金層を設けた平均粒径5μmの導電粒子を使用)を3体積%分散させ、剥離性を有するように表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)上に塗布乾燥し厚み20μmの接着フィルム(セパレータは図示せず)を用意した。
実施例1と同じ配線板と半導体チップを用い、それらの電極の間に、上記の接着フィルムを載置し、両電極の位置合わせ行った後、180℃、5MPa(50kg/cm)、10秒間、加熱加圧した。
実施例1と同様な評価を行なった結果、良好な接続抵抗(1Ω以下)と絶縁抵抗(10Ω以上)を示し、また、高温高湿試験後も良好な接続信頼性を示した。
【0064】
以上のように、電極間の導電接続にポリフタリドを用いることにより、従来の導電粒子を用いることなく接続抵抗が低く、しかも高温高湿後においても、その接続抵抗の低さを維持しており、また、面方向においては、絶縁性を示している。ポリフタリドは、圧力が加わることによりわずかに変形し絶縁性から導電性に変化するので、接続すべき電極−電極間を加圧して、その状態を接着剤により固定することで電気的な接続を確保することができる。一方、面方向に隣接する電極と電極の間では、圧力が掛からないので絶縁性を維持している。ポリフタリドが粒子で接着剤中に分散している場合、面方向に隣接する電極と電極の間では、圧力が加わらず絶縁性を示し、例え、粒子同士が接触していても圧力が加わらず変形がないので絶縁性を示す。このことは、従来の導電粒子を絶縁物で被覆した場合と同様な効果を生じるが、本願の場合、導電処理することなく、絶縁物を被覆することもなく、絶縁物の膜厚の均一性に注意する必要がないなどの利点がある。
【0065】
【発明の効果】
本発明の接着剤とポリフタリドよりなる接着フィルムによれば、加圧による電気的接続と接着剤による固定を一度の操作で同時に行なえるので、接続工程が極めて簡単であり、ポリフタリドは厚み方向の圧力により導電性を示すので電極ピッチに応じた高密度高精細な電極接続が可能である。また、電極表面にポリフタリドが存在することで電極高さのばらつきの吸収が可能で信頼性に優れた電極の接続構造がきわめて簡単に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す接着フィルムを示す断面模式図である。
【図2】 本発明の一実施例を示す接着フィルムを示す断面模式図である。
【図3】 本発明の一実施例を示す接着フィルムを示す断面模式図である。
【図4】 本発明の一実施例を示す接着フィルムを示す断面模式図である。
【図5】 本発明の一実施例を示す接続構造を示す断面模式図である。
【図6】 本発明の一実施例を示す接続構造を示す断面模式図である。
【図7】 本発明の一実施例を示す接続構造を示す断面模式図である。
【図8】 本発明の一実施例を示す接続構造を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1.接着剤(接着フィルム層)
1’.接着剤(接着フィルム層)
2.ポリフタリド(ポリフタリド薄層)
3.基板
3’基板
4.凸状電極(電極)
4’.凸状電極(電極)
5.貫通孔

Claims (7)

  1. 接着剤とポリフタリドよりなる接着フィルムであって、
    前記ポリフタリドが下記式(1)で示される接着フィルム。
    Figure 0004075409
    (式(1)中、Rは、二価の芳香族炭化水素基または二価の複素環含有芳香族基を示し、R は、水素、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシ基またはハロゲンで、これは複数個(2〜4個)であってもよく、Xは、OまたはN−R (但し、R は次の基を示す。)を示し、Yは、SO またはCOを示し、nはポリマの繰り返し単位の数を示す。)
    Figure 0004075409
  2. 接着剤と、ポリフタリドからなるポリフタリド粉体とよりなる接着フィルムであって、
    前記接着フィルム中に前記ポリフタリド粉体が分散されており、
    前記ポリフタリド粉体の粒径が10nm〜50000nmである接着フィルム。
  3. 接着剤からなる接着フィルム層と、該接着フィルム上に積層一体化された、ポリフタリドからなるポリフタリド薄層と、を有する接着フィルム。
  4. 前記ポリフタリド薄層の厚みが10nm〜50000nmである、請求項3記載の接着フィルム。
  5. 前記ポリフタリド薄層の要部に貫通孔を形成した、請求項3または請求項4に記載の接着フィルム。
  6. 対向する電極間にポリフタリドが存在し、両電極が接着剤により固定されてなる電極の接続構造であって、
    前記ポリフタリドが下記式(1)で示される接続構造。
    Figure 0004075409
    (式(1)中、Rは、二価の芳香族炭化水素基または二価の複素環含有芳香族基を示し、R は、水素、アルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシ基またはハロゲンで、これは複数個(2〜4個)であってもよく、Xは、OまたはN−R (但し、R は次の基を示す。)を示し、Yは、SO またはCOを示し、nはポリマの繰り返し単位の数を示す。)
    Figure 0004075409
  7. 対向する電極間に請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の接着フィルム中のポリフタリドが存在し、両電極が接着フィルム中の接着剤により固定されてなる電極の接続構造。
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