JP4069521B2 - 流量計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガスなどの流量を計測する流量計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の流量計測装置は図8に示すように流体管路1の一部に熱式のフローセンサのような流量検出手段2を備え、制御手段7の信号によって流量計測を開始し、その出力信号を信号処理手段10で増幅あるいはデジタル化し、流量算出手段により流量を算出する。このように電子的に流量を計測する際、流路を流れる実際の流量がゼロでも信号処理手段10を構成する電子部品の様々な要因(特性、バラツキ等)により、その流量算出結果がある値(オフセット量)を示すことがある。
【0003】
この値は本来の流量値に上乗せされて出力され、その値自体が誤差となり流量計測の精度を低下させる。そのため、これを補正し精度を確保するために一般に流路の上流側に設けられる流路開閉手段を閉じて流路の流量をゼロにして計測した流量測定値を、以後(流路開閉手段を開に戻した状態)の流量測定値からキャンセルしていた。
【0004】
そして、このような流量ゼロ時の流量計測(ゼロ点補正量計測)を一定時間毎または、一定積算流量に達する毎に行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば家庭用のガス消費量を計量するガスメーターでは、流路開閉手段は一般に流路の上流側に設けられ、流路開閉手段を閉じても近くでガスエンジンが運転されると圧力変動により流量がゼロにはならない。このような状態で流量を計測しても圧力変動による流量を計測するため、流路開閉手段を開状態に戻した後の流量計測値からこの流量測定値をキャンセルしても前述の回路のオフセット量をキャンセルできず、むしろ測定精度を低下させる原因となる。
【0006】
また、流体中に超音波を送信又は受信する送受信器の間の超音波の伝搬時間より流量を検出する流量測定装置に於いて、超音波の受信波の電圧レベルが変動している不安定な状態に、ゼロ点の補正量の計測を行うと上記の場合と同様に以降の流量測定精度を低下させる可能性がある。
【0007】
従って、ゼロ点補正量の計測を正しく行い測定精度を向上させるには、上記のようなゼロ点補正量の計測に適さない状態を認識し、正しくゼロ点補正量の計測が行える状態の時のみ、補正量の計測を行うことが課題となっていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、流路を開閉する流路開閉手段と、流体中に設けられ超音波信号を送信または受信する第1送受信器及び第2送受信器と、前記第1送受信器から前記第2送受信器に送信する第1送信モードと前記第2送受信器から前記第1送受信器に送信する第2送信モードを変更する切換手段と、受信波形を所定の電圧に増幅する増幅手段と、増幅後の受信波形と基準信号とを比較する比較手段と、前記増幅手段の増幅度の変化を監視する増幅監視手段と、前記第1送信モード及び前記第2送信モードのそれぞれの伝搬時間を計測する計時手段と、前記計時手段のそれぞれの計時値の差に基づいて流量を検出する流量検出手段と、前記流路開閉手段が閉時の前記流量検出手段の測定値を記憶する誤差記憶手段と、前記流量検出手段の測定値と前記誤差記憶手段の記憶値とから流量を補正する流量補正手段と、前記増幅度監視部、前記流量検出手段からの入力により前記流路開閉手段の制御と前記流量検出手段の計測を開始させる制御手段とからなり、前記増幅手段で受信信号のピーク電圧を所定の電圧に増幅した際の増幅度が変化した旨を前記増幅監視手段により検知した際に、前記誤差記憶手段の更新を行わないようにしたものであり、以降の流量測定において回路のオフセット量をキャンセル出来、流量計測の精度を向上することが出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の流量計測装置は、流路を開閉する流路開閉手段と、流体中に設けられ超音波信号を送信または受信する第1送受信器及び第2送受信器と、前記第1送受信器から前記第2送受信器に送信する第1送信モードと前記第2送受信器から前記第1送受信器に送信する第2送信モードを変更する切換手段と、受信波形を所定の電圧に増幅する増幅手段と、増幅後の受信波形と基準信号とを比較する比較手段と、前記増幅手段の増幅度の変化を監視する増幅監視手段と、前記第1送信モード及び前記第2送信モードのそれぞれの伝搬時間を計測する計時手段と、前記計時手段のそれぞれの計時値の差に基づいて流量を検出する流量検出手段と、前記流路開閉手段が閉時の前記流量検出手段の測定値を記憶する誤差記憶手段と、前記流量検出手段の測定値と前記誤差記憶手段の記憶値とから流量を補正する流量補正手段と、前記増幅度監視部、前記流量検出手段からの入力により前記流路開閉手段の制御と前記流量検出手段の計測を開始させる制御手段とからなり、前記増幅手段で受信信号のピーク電圧を所定の電圧に増幅した際の増幅度が変化した旨を前記増幅監視手段により検知した際に、前記誤差記憶手段の更新を行わないようにしたもので、流量の変化、圧力または温度の変化により増幅手段の増幅度が変化した時にオフセット量の測定を行い、誤ったオフセット量を以降の流量計測の補正に用いることを防ぐことが出来、流量計測の精度を確保することが出来る。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0011】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の流量計測装置を示すブロック図である。
【0012】
図1において、流路8の流れの中に、例えば発熱体の温度変化によって流量を検出する熱式フローセンサのような流量検出部2を配置する。制御手段7の信号によって流量検出部2を加熱させ、流量検出部2の出力信号を信号処理手段10で増幅、フィルタ、あるいはA/Dコンバータでデジタル化する。この信号処理手段10の信号は流量算出手段4で流路8の大きさや流量サンプリングの時間などを考慮して流量値に変換される。前記流量検出部2、信号処理手段10、流量算出手段4とで流量検出手段21を構成している。流路8内の流れが安定している場合、すなわち大きく変動していない状態では、低消費電力化をはかるため流量サンプリングは数秒間に1回行われている。この状態で制御手段7により一定時間経過または一定の積算流量を測定する毎に、流路開閉手段1を閉じて、その時の流量算出手段4の値を流量ゼロ時のオフセット量として誤差記憶手段5に記憶して、流量補正手段6により以降の流量算出手段4の流量値よりキャンセルする。
【0013】
しかし流路8内の流れに周期的な変動がある場合には、図2に示すように流量測定値がQ1、Q2、Q3のように変動が生じる。そこで流量検出手段4において流量測定値Q1〜Q3までの変動値が所定レベルより大きく流量変動があると判断したときは、オフセット量算出禁止の信号を制御手段7に出力し、これにより制御手段7では前述の流量ゼロ時の測定タイミングが到来しても、この測定は実行せず誤差記憶手段5の記憶値の更新は行わない。このように、流量オフセットのキャンセルのための流量誤差記憶手段5の記憶値は流量変動の少ないときに限り更新されるものである。それにより、近くでガスエンジンが使用され、流量変動の大きい場合に誤差記憶手段5の記憶値が更新され、それ以降の流量の測定値に影響することはない。
【0014】
(実施例2)
図3は本発明の実施例2の流量計測装置のブロック図である。実施例1と異なるところは、流量検出手段の測定値の変動に基づいて周期を検出する周期検出手段を設けた点にある。すなわち、図2に示すように流量検出手段の測定値の変動所定レベルより大きい流量変動がある判断した場合には、図4に示すように小さい周期でt0〜tnまで流量サンプリングを行う。このサンプリングにより周期検出手段3で周期Tを求め、この周期Tが所定より大きい値であればオフセット量算出禁止の信号を制御手段7に出力する。制御手段7ではこれにより、実施例1で述べた制御手段7による流量ゼロ時の測定タイミングが到来しても、オフセット量の測定は実行せず、従って誤差記憶手段5の記憶値の更新も行わない。
【0015】
つまり誤差記憶手段5の記憶値の更新は周期検出手段3よりオフセット量算出禁止信号が出力されていない流量の変動が少ない場合に限られる。こうする事により、流量変動の大きい場合に誤差記憶手段5の記憶値を更新して、それ以降の流量の測定値に影響するということはなくなる。
【0016】
(実施例3)
図5は本発明の実施例3の流量計測装置のブロック図である。実施例1と異なるところは、流れの変動を直接検出する検出器を設けた点にある。すなわち流路8の流れの中に流量変動検出手段11を設ける。この流量変動検出手段11によって周期的な流量の変動を検出し、その変動値がある値を超えた場合には、その旨のオフセット量算出禁止の信号を制御手段7に出力し、制御手段7ではこれにより、実施例1で述べた制御手段7による流量ゼロ時の測定タイミングが到来しても、オフセット量の測定は実行せず、従って誤差記憶手段5の記憶値の更新も行わない。つまり、誤差記憶手段5の記憶値の更新は流量変動検出手段11よりオフセット量算出禁止信号が出力されていない流量の変動が少ない場合に限られる。こうする事により、流量変動の大きい場合に誤差記憶手段5の記憶値を更新して、それ以降の流量の測定値に影響するということはなくなる。
【0017】
流量変動検出手段11として圧力検出器を使用することができる。
【0018】
圧力検出器は流路8内の圧力を検出し、圧力変動と流量変動の関係をあらかじめ求めておけば流量変動の大きさに換算でき、周期的な圧力変化の大きさが所定レベルを越えたときに、制御手段7にオフセット量測定禁止信号を出力する。
【0019】
圧力検出器が流体の供給圧力の異常や流路8から外部への漏洩を検出するために設けられている場合には兼用することもできる。また、流量変動検出手段11は常時流体の変動を監視している必要はなく、流量算出手段4によって周期的な変動がある場合のみ変動を監視すればよい。すなわち、図6に示すように流量算出手段4によって流量が周期的な変動を起こしたと判断されたとき、制御手段7で流量変動検出手段11を起動して流路を流れる流体の変動を測定する。そして、流量変動検出手段11により周期的な流量の変動を検出し、その変動値がある値を超えた場合には、その旨のオフセット量算出禁止の信号を制御手段7に出力し、制御手段7では、流量ゼロ時の測定タイミングが到来しても、オフセット量の測定を実行しない。
【0020】
(実施例4)
図7は本発明の実施例4を示すもので、実施例1と異なるところは流量検出手段として超音波を使用している点にある。すなわち図7において、流路8の途中に超音波を送信する第1送受信器11と受信する第2送受信器12が流れ方向に配置されている。13は第1送受信器11への送信回路、14は第2送受信器12で受信した信号の増幅回路で、この増幅された信号は基準信号と比較回路15で比較され、基準信号以上の信号が検出されたとき回数設定手段16で設定された回数だけ繰り返し手段17で、制御手段7で超音波信号を繰り返し発信する。繰り返しの回数設定手段16で設定された回数が繰り返されたときの時間をタイマカウンタのような計時手段18で求める。
【0021】
次に切操手段19で第1送受信器11と第2送受信器12の送受信を切り換えて、第2送受信器12から第1送受信器11すなわち下流から上流に向かって超音波信号を送信し、この送信を前述のように繰り返し、その時間を計時する。そしてその時間差から流路の大きさや流れの状態を考慮して流量算出手段4で流量値を求める。この流量値が周期的に変動している場合にはオフセット量算出禁止の信号を制御手段7に出力し、これにより制御手段7では前述の流量ゼロ時の測定タイミングが到来しても、オフセット量の測定は実行せず、従って誤差記憶手段5の記憶値の更新も行わない。
【0022】
つまり流量変動検出手段3よりオフセット量測定の可否の信号が出力され、誤差記憶手段5の記憶値の更新は流量変動検出手段3よりオフセット量算出禁止信号が出力されていない流量の変動が少ない場合に限られる。
【0023】
(実施例5)
図8は本発明の実施例5を示すもので、実施例3と異なるところは増幅手段の増幅度を監視し、制御手段に信号を送出する増幅監視手段を備えた点にある。すなわち図8において、増幅手段14の増幅度を監視し、増幅度に変化があればその旨を制御手段7に知らせる増幅監視手段20が設けられている。
【0024】
図8は増幅手段14の動作の説明図である。増幅手段14は第1送受信器11、及び第2送受信器12で受信した信号が後段の比較手段15において正確に比較が行われるように、図のように所定の電圧幅に信号のピーク又は平均値が入るように増幅する。この増幅度は流体の条件、例えば流量、流体の温度、圧力に変化がなければほぼ一定である。増幅監視手段20では増幅手段14の増幅度を監視していて、変化があれば制御手段7にその旨の信号を出力する。制御手段7ではこの増幅監視手段20より増幅度に変化があった旨の信号を入力してから後、一定時間は、流量ゼロ時の測定タイミングが到来しても、この測定を実行せず誤差記憶手段5の記憶値の更新は行わない。誤差記憶手段5の記憶値が更新されないので、誤差記憶手段5の記憶値は前回測定されたオフセット量の測定値のままである。つまり、増幅手段14の増幅度が何らかの原因で変化した時に、オフセットのキャンセルのための流量ゼロ時の測定を行わないようにするものである。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように本発明に係る流量計測装置は、増幅監視手段により増幅手段の増幅度の変化を検出し、増幅度の変化がある場合にはオフセットキャンセル量の測定を行わないようにしたもので、流量の変化、圧力または温度の変化により増幅手段の増幅度が変化した時にオフセット量の測定を行い、誤ったオフセット量を以降の流量計測の補正に用いることを防ぐことが出来、流量計測の精度を確保できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における流量計測装置のブロック図
【図2】 同装置における流量変動の波形図
【図3】 本発明の実施例2における流量計測装置のブロック図
【図4】 同装置における周期検出手段の動作を説明する波形図
【図5】 本発明の実施例3における流量計測装置のブロック図
【図6】 同装置に於いて流量変動検出装置を制御手段により起動する場合を示すブロック図
【図7】 本発明の実施例4における流量計測装置のブロック図
【図8】 同装置における流量計測装置のブロック図
【図9】 従来の流量計測装置のブロック図
【符号の説明】
1 流路開閉手段
4 流量算出手段
5 誤差記憶手段
6 流量補正手段
7 制御手段
8 流路
Claims (1)
- 流路を開閉する流路開閉手段と、流体中に設けられ超音波信号を送信または受信する第1送受信器及び第2送受信器と、前記第1送受信器から前記第2送受信器に送信する第1送信モードと前記第2送受信器から前記第1送受信器に送信する第2送信モードを変更する切換手段と、受信波形を所定の電圧に増幅する増幅手段と、増幅後の受信波形と基準信号とを比較する比較手段と、前記増幅手段の増幅度の変化を監視する増幅監視手段と、前記第1送信モード及び前記第2送信モードのそれぞれの伝搬時間を計測する計時手段と、前記計時手段のそれぞれの計時値の差に基づいて流量を検出する流量検出手段と、前記流路開閉手段が閉時の前記流量検出手段の測定値を記憶する誤差記憶手段と、前記流量検出手段の測定値と前記誤差記憶手段の記憶値とから流量を補正する流量補正手段と、前記増幅度監視部、前記流量検出手段からの入力により前記流路開閉手段の制御と前記流量検出手段の計測を開始させる制御手段とからなり、前記増幅手段で受信信号のピーク電圧を所定の電圧に増幅した際の増幅度が変化した旨を前記増幅監視手段により検知した際に、前記誤差記憶手段の更新を行わない流量計測装置。
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