JP4068007B2 - トナー用マスターバッチの評価方法 - Google Patents
トナー用マスターバッチの評価方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4068007B2 JP4068007B2 JP2003132047A JP2003132047A JP4068007B2 JP 4068007 B2 JP4068007 B2 JP 4068007B2 JP 2003132047 A JP2003132047 A JP 2003132047A JP 2003132047 A JP2003132047 A JP 2003132047A JP 4068007 B2 JP4068007 B2 JP 4068007B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- toner
- carbon black
- master batch
- masterbatch
- binder resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Developing Agents For Electrophotography (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法等に使用されるトナー用カーボンブラックのマスターバッチの評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法としては、特許文献1に記載されている如く多数の方法が知られているが、一般には、光導電性物質を利用して種々の手段で感光体上に電気的潜像を形成し、該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の被記録材上にトナー画像を静電的に転写した後、加熱、圧力あるいは溶剤蒸気等によりトナー画像を定着して複写物を得ている。また、トナーを用いて現像する方法あるいはトナー画像を定着させる方法としては、従来より各種の方法が提案されており、夫々の画像形成プロセスに適した方法が採用されている。さらに近年では、上記した電子写真法に対し、高速複写化、高画質化および高安定性等の、より高度の技術が要求されてきている。
【0003】
一方、上記電子写真法に用いられるトナーは、結着樹脂、着色剤である染顔料、荷電制御剤およびワックス等が含有された原材料を、混合、溶融混練した後、粉砕、分級して得られる。この際の重要な点は、染顔料や荷電制御剤等の添加剤を結着樹脂中に均一な状態にまで分散させることにある。即ち、これらの添加剤の分散不良が生じると、帯電特性が悪化し、画像特性の変動や、カブリやトナー飛散等の画像劣化の発生の原因となる。
【0004】
ここで、トナーの代表的な製法としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂等の結着樹脂中に、着色剤、オフセット防止剤および荷電制御剤等の原料を溶融混練により分散させた後、混練物を微粉砕装置で粉砕して、粉砕物を分級機で分級することにより、所望の粒径を有するトナーを得る方法が用いられている。この際、黒色トナー用着色剤としては、カーボンブラックが汎用されている。
【0005】
しかしながら、このようにして製造されたトナー中に、カーボンブラックが充分に分散されていない場合には、入射光に対して乱反射が起こりにくく、結果としてトナー自体が黒く見えないことがわかっている。その結果ある一定の濃度の画像を得る場合、多量のトナーを消費しなければならない。また、トナー表面にカーボンブラックが露出し易く、このカーボンブラックは一般に導体であるため、トナーの抵抗が部分的に低下することがあり、トナーの帯電量に変動を生じる。その結果、画像特性の変動、カブリまたはトナー飛散等が発生し易くなって、記録安定性に乏しいものとなる。
【0006】
こういった分散不良の問題に対して、いくつかの方法が提案されている。例えば、トナー中の染顔料濃度よりも高い濃度の染顔料をバインダ樹脂中に含有させた所謂マスターバッチを予め作製しておき、該マスターバッチを着色剤として使用する方法がある。
【0007】
従来より、このマスターバッチは、バインダ樹脂と染顔料とを前混合し、それを更に二本ロール等で混練する製造方法を主として作製されていた。
【0008】
その他のマスターバッチの製造方法としては、例えば、特許文献2に示すように、溶剤中に原材料を溶解して混合した後に、溶剤を蒸発させてマスターバッチを作製する方法が記載されている。
【0009】
また、これらのマスターバッチからトナーを製造する方法としては、例えば、特許文献3に示すように、上記のような方法で作製したマスターバッチを微粉砕した後に、残りの樹脂を配合し、溶融混練を行う方法が記載されている。
【0010】
さらに、特許文献4では、高い濃度の染顔料をバインダ樹脂中に含有させるマスターバッチの作製時に、強い剪断力をかける一方、希釈練り工程においては弱い剪断力をかけてトナーを製造する方法が記載されている。
【0011】
【特許文献1】
米国特許第2297691号
【特許文献2】
特開昭61−156054号
【特許文献3】
特開昭62−30259号
【特許文献4】
特開昭63−205664号
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
高着色力を持つトナー(より黒いトナー)を得るためには、着色用顔料であるカーボンブラックの分散性が重要になるが、カーボンブラックは、一次粒子径が小さければ小さい程その黒さが増す一方、粒子同士の凝集力も大きくなる。すなわち、高着色力を持つトナーを製造することと、十分な分散性を持つトナーを製造することは、相反する関係を両立させることである。
【0013】
したがって、上記従来の製造方法のように、良好なトナー用マスターバッチやトナーの製造方法であっても、製造方法による効果が発揮されて良好な製品が製造されているか否かは、実際にその都度確認しない限り、十分な性能が発揮できる製品であるとは断言できない。
【0014】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、良好なトナー用マスターバッチであるか否かを評価する方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。
【0016】
少なくとも結着樹脂と着色剤とからなるマスターバッチの評価方法であって、結着樹脂の体積抵抗Rr(Ω・cm)とマスターバッチの体積抵抗Rm(Ω・cm)との間に、−6≦logRm−logRrを満足する関係が成立するか否かを確認するものである。
【0017】
本発明者らは、上記関係を満たすカーボンブラックマスターバッチをトナー製造時に用いることにより、トナー中に分散させた状態におけるカーボンブラックを均一な状態で分散させることが可能となることを見出し、このトナーを使用すれば、トナー自体の黒さを向上させることが出来、その結果今までのトナーよりも少ない付着量(消費量)で所望の画像濃度を得ることが出来る。また、良好な分散性であるためトナー飛散や画像カブリを生じることのない良好な画像特性が安定に維持され得ることを見出した。
【0018】
トナー用カーボンブラックマスターバッチとは、基本的には、バインダ樹脂と高配合のカーボンブラックを主体とする配合物を予備混合した後、溶融混練して製造されるものである。このカーボンブラックのマスターバッチの製造においては、先ず、製造の際に使用されるバインダ樹脂は、トナー用結着樹脂を基本として選択されるため、組成的にかなりの制限を受ける。また、上記の製造工程においては、個々の1次粒子が凝集した状態にあるカーボンブラックを、再凝集を防ぎながら、できうる限り細かく、且つ均一な状態でバインダ樹脂中に分散させる必要があるので、分散した状態のカーボンブラックの凝集力に打ち勝つように、バインダ樹脂とカーボンブラックとの相互作用を強くする等の工夫が必要となる。このような工夫としては、例えば、カーボンブラックのpHと樹脂の酸価の組み合わせを最適化する、または、カーボンブラックの表面処理により、表面に存在する官能基と化学的に結合しやすい官能基を多く持つ結着樹脂を選択するなどの方法が挙げられる。
【0019】
一般に、カーボンブラックのような導電体を結着樹脂のような絶縁体に分散させた場合、得られた分散体自身の体積抵抗値は、導電体の絶縁体への分散の程度によって決まることが知られている。つまり導電体の分散が良好であればあるほど、分散体の体積抵抗値は結着樹脂単体の体積抵抗値に近づいていく。これは、結着樹脂中に導電体が均一に分散されることによって、分散体中に導電経路が形成されにくくなるためである。一方、導電体の分散が悪ければ、導電経路が形成されやすく、したがって分散体の体積抵抗は低くなっていく。
【0020】
よって分散体の体積抵抗値を測定することで、結着樹脂中の導電体の分散状態を評価できることになる。
【0021】
本願発明のマスターバッチの評価方法は、その結着樹脂の体積抵抗R rとマスターバッチの体積抵抗Rmとの間に、−6 ≦logRm −logRr の関係を満足させるか否かを確認するものである。
【0022】
すなわち、分散性の目安として、マスターバッチの体積抵抗R とが結着樹脂Rrとが上記の関係を満たしている場合はマスターバッチ中のカーボンブラックの分散状態は良好でありことを示しており、このようなカーボンブラックマスターバッチから製造されたトナーを使用して画像を形成した場合には、より黒いトナーを得ることが出来、結果としてある一定の画像濃度を得るのに必要なトナー量が少なくてすむ。
【0023】
以上のように、本発明のトナー用カーボンブラックマスターバッチにおいては、カーボンブラックがマスターバッチ中に、分散粒径が小さく且つ均一な状態で分散されているため、これを利用することによって、画像特性に優れた本発明の静電荷像現像用トナーを得ることができる。以下、これについて説明する。
【0024】
結着樹脂としては、スチレン‐アクリル系共重合体、アクリル系重合体、ポリエステル樹脂等が公知の材料である。
【0025】
アクリル樹脂は、アクリル系樹脂と称されるものが使用されるが、通常はメチルアクリレート、エチルアクリレート、n −ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリルレート、n −ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアクリル酸エステルまたは、メタクリル酸エステルの単重合体から選択される。また、スチレン−アクリル樹脂は、上記アクリル樹脂を構成する単量体とスチレンとの共重合体が使用される。これらの樹脂のうち、n −ブチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合体が好ましく、特にn −ブチルメタクリレート樹脂が好ましい。
【0026】
ポリエステル樹脂は、次に例示するような多価アルコールと多価カルボン酸とから合成することができるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
多価アルコールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ならびにポリオキシエチレン化ビスフェノールAおよびポリオキシプロピレン化ビスフェノールA(ビスフェノールAプロピレンオキサイド)などのビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物などの2価アルコールが挙げられる。
【0028】
また、ポリマーをテトラヒドロフラン不溶分が発生しない程度に非線状化するために3価以上の多価アルコールを用いることもできる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンおよび1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。
【0029】
一方、多価カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸およびアルキルコハク酸(例えば、n−オクチルコハク酸およびn−ドデセニルコハク酸)などの2塩基性カルボン酸、トリメリト酸ならびにそれらの酸無水物およびアルキルエステルが挙げられる。上記の多価アルコールと多価カルボン酸との組み合わせとしては、例えば、ビスフェノールAプロピレンオキサイドと、テレフタル酸、フマル酸もしくは無水トリメリト酸またはこれらの混合物との組み合わせが挙げられる。
【0030】
本発明に使用できるカーボンブラックの市販品として、例えば米国キャボット社製リーガル(REGAL)400R,500R,660R;コロンビヤン・カーボン日本(株)製ラベン(RAVEN)H20,ラベン16,ラベン14,ラベン430,ラベン450,ラベン500;***デグサ社製プリンテクス(Printex)200,プリンテクスA,スペシャルブラック4,プリンテクスG;等が挙げられるがこれらに限られるものではない。また、これらのカーボンブラックは単独であるいは二種以上を種々の組成に組み合わせて用いることができる。
【0031】
カーボンブラックの一次粒径が10nmより小さいと、カーボンブラックの比表面積が大きく、凝集力が強くなるため、結着樹脂中に分散させるのが非常に困難である。また、一方、カーボンブラックの一次粒径が100nmより大きいとカーボンブラック自体の黒味が低くなり、このようなカーボンブラックを用いてマスターバッチを作製し、トナーを作製しても十分な画像濃度を得ることは出来ない。以上のことからカーボンブラックの一次粒径としては10nmから100nmが好ましく、さらに好ましくは10nmから60nmの範囲である。
【0032】
本発明においては、このようなカーボンブラックがマスターバッチ中のカーボンブラック濃度として5〜60重量%となる量で配合されたものであるが、カーボンブラックの濃度が30重量%よりも低い場合には、カーボンブラックを結着樹脂に均一に分散させることが困難である。そういった場合、一旦30%以上の濃度のマスターバッチを調製し、これ希釈して所望の濃度のマスターバッチを得る。またマスターバッチ中のカーボンブラックの濃度が60%を越えると、マスターバッチ自体の粘度が高くなり結着樹脂への均一な拡散性が低くなり、分散性が低下する。そのためマスターバッチ中のカーボンブラックの濃度があまりに高濃度であるものは好ましくなく、マスターバッチ中のカーボンブラック濃度は30〜60重量%となる量であることが好ましい。
【0033】
本発明のマスターバッチは種々の混合方法により得ることができる。一般的には例えば、マスターバッチの結着樹脂の粉末またはペレットと着色用顔料カーボンブラックをタンブラーまたはスーパーミキサー等で混合したのち、押出機やバンバリーミキサーのような混練機により、加熱溶融混練してペレット化または粗粒子化する方法である。
【0034】
また別の方法として、ポリカーボネートオリゴマーの合成時に混合する方法もある。例えば、反応後の溶液状態のポリカーボネートオリゴマーに、カーボンブラックを添加混合後、溶媒を除き押出機やバンバリーミキサーのような混練機により、混練してマスターバッチとすることもできる。
【0035】
本発明のマスターバッチ中には、所望に応じて、樹脂組成物に添加される公知の種々の添加剤類、補強剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、染料、顔料、その他の難燃剤や、耐衝撃性改良用のエラストマ−などを配合することも可能である。これらのうち特に滑剤、離型剤または耐衝撃性改良用のエラストマ−等の添加はマスターバッチの粘度を低下させるのに好適である。
【0036】
これらの添加剤の配合は、添加剤の種類、量により異なるが予めカーボンブラックまたはポリカーボネートオリゴマーと混合することもできるし、またカーボンブラックをベース樹脂のポリカーボネートオリゴマーと溶融混練する時にまたは溶融混練後混合することもできる。滑剤、離型剤等の添加はカーボンブラックをベース樹脂のポリカーボネートオリゴマーと溶融混練する時にまたは溶融混練後混合することが好ましい。
【0037】
また、このようにマスターバッチに種々の添加剤を配合する場合、その添加量は、カーボンブラックの量に比べ、かなり少量となる。したがって、カーボンブラックと同様に導電性のある添加剤を配合したとしても、マスターバッチの体積抵抗値には影響を与えないものとして考えることができる。仮にマスターバッチの体積抵抗値に影響を与える程の特定の添加剤を配合するような場合には、その添加剤の種類や配合量に応じて、測定されたマスターバッチの体積抵抗値を補正してもよい。
【0038】
上記のようにして得られたカーボンブラックマスターバッチは、適当な粒径にまで粉砕された後、トナーに要求される現像性、転写性及び定着性等といった種々の特性が満たされるように選択された、結着樹脂、荷電制御剤、その他の添加剤と共に予備混合された後、常法におけるトナーの製造手段に準じて、溶融混練、冷却、粗・微粉砕、分級、外添処理等の工程を経てトナー化される。
【0039】
本発明のトナーにおいては、場合により、離型剤を含有させても良い。離型剤としては、それ自体公知の任意の離型剤、例えば脂肪族系樹脂、脂肪族系金属塩、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物類等の脂肪族系化合物が挙げられる。具体的には、例えば低分子量ポリプロピレン、高分子量ポリエチレン、パラフィンワックス、炭素数4以上のオレフィン単体からなる低分子量オレフィン重合体、シリコーンオイル、各種ワックス等を使用することもできる。
【0040】
本発明のトナーには、更に流動性向上のために、外添処理が施されていてもよい。外添剤としては、トナー粒子に添加することにより、添加後の流動性を向上させ得るものであれば特に限定されるものではない。例えば、シリカ微粉体、酸化チタン微分体、アルミナ微分体、それらの表面を疎水化処理したもの等を、単体あるいは2種以上併用して用いることが出来る。
【0041】
本発明のトナーには、必要に応じて帯電制御剤を加えることが出来る。例えば、ニグロシン染料、オイルブラック、スピロンブラック等の油溶性染料;ナフテン酸、オクチル酸、脂肪酸、樹脂酸のマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、鉛、亜鉛、セリウム、カルシウム等の金属塩である金属石ケン;含金属アゾ染料、ピリミジン化合物;サリチル酸或いはその誘導体のクロム、アルミニウム、鉄等の金属化合物等が挙げられる。通常これらの添加剤は、現像剤に対して0.1〜10重量部の範囲で使用される。
【0042】
トナー粒子としては、平均粒径が7μm以下 の粒子を使用する。トナー平均粒径が小さくなれば成る程、トナー粒子が紙(メディア)をより隙間無く埋めることが出来るようになり、紙(メディア)が透けて見えなくなるので、隠蔽性が向上する。すなわち、同じ付着量でもトナー粒子径が小さければ、画像濃度を上げることが出来る。一方、トナー粒子径が4μm より小さいと、取り扱いが非常に困難になり、人体に悪影響を及ぼす。以上よりトナー粒子径は7μm 以下が好ましい。
【0043】
一般にトナー自体の黒さが黒いほど、そのようなトナーで形成された画像の画像濃度は高くなり、ひいてはある一定の画像濃度を得るためのトナー量は少なくなる。トナー自体の黒さを高くするには、トナーを高顔料、高分散に設計する必要がある。
【0044】
トナー中に多くのカーボンブラックを含有させると、入射光の散乱が多くなり、トナーの黒さを向上させることが可能となる。しかし、カーボンブラックは導電性物質であるため、あまり多量に含有させると、トナーとしての帯電能が低くなり、カブリやトナー飛散などの問題が生じてしまう。またカーボンブラックの分散性も悪くなる。
【0045】
また、トナー中のカーボンブラックの分散性を向上させるという方法でも、入射光の散乱が多くなり、トナー自体の黒さは向上する。高分散を達成するためには、トナー化時に高せん断をかけて顔料を分散させる方法もとり得るが、この方法であると結着樹脂の分子切断が生じやすく、トナーとしての他の特性(定着性)などを損なう可能性がある。そこで予め高分散を達成したマスターバッチを用いることにより、上記の問題を解決することができる。
【0046】
二成分現像用として用いる場合においては、このトナーを、ガラスビーズや酸化または未酸化の鉄粉、フェライト等の未被覆キャリア、または鉄、ニッケル、コバルト、フェライト等の磁性体をアクリル系重合体、フッ素樹脂系重合体、ポリエステル、変性シリコーン樹脂等の重合体で被覆した被覆キャリアと混合して現像剤とする。上記キャリアは一般に30〜500μmの平均粒径を有しており、トナー濃度(T/D)は、1〜15%であるのが望ましい。
【0047】
得られたトナーは、公知の静電荷像現像法の全てに適用できる。例えば、カスケード法、磁気ブラシ法、マイクロトーニング法などの二成分現像法;導電性一成分現像法、絶縁性一成分現像法、ジャンピング現像法などの磁性トナーを使用する一成分現像法;粉末雲法およびファーブラシ法;トナー担持体上に静電気的力によって保持されることによって現像部へ搬送され、現像される非磁性一成分現像法;電界カーテンにより現像部へ搬送され現像される電界カーテン現像法などに用いられる。また、トナージェット方式の画像形成方法にも用いることができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
−体積抵抗値測定方法−
マスターバッチ70gを粉砕機(IKA社製 A10 )にて60秒粉砕し、300メッシュのふるいを通す。次にふるいを通ったものを、1.0g秤量し、プレス成型機でプレスして円形のディスクを作成する。このディスクの体積抵抗値を測定機(三菱化学株式会社製 ロレスターGP)で測定する。
−トナーの摩擦帯電量の測定方法−
図1 は摩擦帯電量を測定する装置1の説明図である。底に500メッシュのスクリーン13のある金属製の測定容器12に、複写機又はプリンターの現像スリーブ上から採取した二成分系現像剤を約0.5〜1.5g入れ金属製のフタ14をする。この時の測定容器12全体の重量を秤りW1 (g)とする。次に吸引機11(測定容器12と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口17から吸引し風量調節弁16を調整して真空計15の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。この時の電位計19の電位をV(ボルト)とする。ここで18はコンデンサーであり容量をC(mF)とする。また、吸引後の測定容器全体の重量を秤りW2 (g)とする。この試料の摩擦帯電量(mC/kg)は下式の如く算出される。
試料の摩擦帯電量(mC/kg)=C×V/(W1 −W2 )
(但し、測定条件は23℃,60%RHとする。)
測定に用いるキャリアは、250メッシュパス・350メッシュオンのキャリア粒子が70〜90質量%有するコートフェライトキャリアを使用する。
−カーボンブラックの面積率の測定方法−
トナー混練後の混練物をミクトロームのようなカッターで0.2μm程度の厚さに切り、透過型電子顕微鏡で5000倍の写真を撮り、40μm×80μmの視野を有する画像解析装置で20cm×40cmの範囲の着色剤の凝集体の面積率を測定した。ここで、凝集体は0.05μm以上の粒径のものをカウントした。凝集体が少なく、1次分散径近傍まで分散が進んでいるものは面積率が小さくなる。なお、面積率の値が2.5%以下のものを1次分散径近傍まで分散されていると判断した。測定結果は表1 に記載した。
−マスターバッチの製造例−
結着樹脂とカーボンブラックをスーパーミキサーで均一に混合した後、MS式加圧ニーダー(モリヤマ製)を用い100℃で30分間溶融混練した。次いで該混練物を冷却後、粗粉砕機で1mm以下に粉砕し、マスターバッチを得た。
溶融混練において、混練温度を高い状態で混練を行うと、樹脂の粘度が下がるため、シェアがかかりにくく、分散性は悪くなる。逆に低い混練温度で混練を行うと、分散性は良好になる。
【0049】
また、混練時間を長くすると、樹脂とカーボンブラックにかかるせん断力が大きくなるため、分散性は良好となる。逆に混練時間が短いと分散性は悪くなる。
【0050】
【実施例1】
結着樹脂として三洋化学社製ポリエステル樹脂50重量部(体積抵抗値2×10 9 Ω・cm)にカーボンブラックとして三菱化学社製#970(粒径16nm)50重量部を、前記製造例に従いマスターバッチ1を得た。得られたマスターバッチの体積抵抗値とTEM観察により、カーボンブラックの面積率を測定した。結果を表1に示す。
【0051】
【実施例2】
カーボンブラックとして三菱化学社製#25(粒径47nm)を用いる以外は作成例1と同様にして、マスターバッチ2を得、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
【0052】
【実施例3】
溶融混練の条件を変える以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ3を得、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
【0053】
【実施例4】
溶融混練の条件を変える以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ4を得、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
【0054】
【実施例5】
溶融混練の条件を変える以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ5を得、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
【0055】
【実施例6】
溶融混練の条件を変える以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ6を得、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
【0056】
【実施例7】
結着樹脂として三井化学社製スチレン−アクリル樹脂(体積抵抗値1.5×10 8 Ω・cm)を用いること以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ7を得、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
【0057】
【実施例8】
溶融混練の条件を変える以外は実施例7と同様にして、マスターバッチ8を得、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
【0058】
【実施例9】
溶融混練の条件を変える以外は実施例7と同様にして、マスターバッチ9を得、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
−トナーの製造例−
【0060】
【実施例10】
結着樹脂(三洋化学社製ポリエステル樹脂)80部
マスターバッチ120部
帯電制御剤保土谷化学社製スピロンブラックTRH2部
ポリプロピレンワックス三井化学社製NP5054部
上記材料をスーパーミキサーで均一混合したあと、内温150℃の二軸押出機で混練、冷却物をジェットミルで微粉砕し、ディスパージョンセパレータで分級し平均粒径6.5μmの着色剤含有粒子を得た。このこの着色剤含有粒子に市販シリカ(一次平均粒子径が0.1μm、疎水化度50%)を1部混合分散し、トナー1を得た。
【0061】
【実施例11】
マスターバッチ2を用いること以外、実施例10と同様にしてトナー2を得た。
【0062】
【実施例12】
マスターバッチ3を用いること以外、実施例10と同様にしてトナー3を得た。
【0063】
【実施例13】
マスターバッチ4を用いること以外、実施例10と同様にしてトナー4を得た。
【0064】
【実施例14】
結着樹脂(三井化学社製スチレン−アクリル系樹脂)80部
マスターバッチ720部
帯電制御剤保土谷化学社製スピロンブラックTRH2部
ポリプロピレンワックス三井化学社製NP5054部
上記材料をスーパーミキサーで均一混合したあと、内温150℃の二軸押出機で混練、冷却物をジェットミルで微粉砕し、ディスパージョンセパレータで分級し平均粒径6.5μmの着色剤含有粒子を得た。このこの着色剤含有粒子に市販シリカ(一次平均粒子径が0.1μm、疎水化度50%)を1部混合分散し、トナー5を得た。
【0065】
【実施例15】
マスターバッチ8を用いること以外、実施例14と同様にしてトナー6を得た。
【0066】
【比較例1】
マスターバッチ5を用いること以外、実施例10と同様にしてトナー7を得た。
【0067】
【比較例2】
マスターバッチ6を用いること以外、実施例10と同様にしてトナー8を得た。
【0068】
【比較例3】
マスターバッチ9を用いること以外、実施例14と同様にしてトナー9を得た。
【0069】
−トナーの評価−
(1)黒色度
トナー1〜10にフェライトキャリア(パウダーテック(株)製F−150)を均一混合し、市販複写機(シャープ(株)AR−505)に、得られた現像剤を実装し、下記に示す評価を行った。
【0070】
複写機AR−505(シャープ社製)に現像剤を実装し、現像剤中のトナー濃度を変化させながら、全面黒の画像をとり、その画像濃度を光学反射密度を反射濃度計 RD−915(マクベス社製)で測定し、画像濃度1.40を越えるトナー濃度を求め、以下の基準で判定した。
【0071】
◎ : 3.5%未満
○ : 3.5%以上 4%未満
△ : 4%以上 5%未満
× : 5%以上
結果を表2に示す。
【0072】
(2)帯電性
トナー1〜10の各々4部にフェライトキャリア(パウダーテック(株)製F−150)96部を均一混合し、複写機AR−505(シャープ社製)に現像剤を実装し、温度25℃/湿度50%の環境での帯電量を測定し、その後、温度35℃/湿度80%の環境での帯電量を測定した。その変化率
{(25℃/50%での帯電量)−(35℃/80%での帯電量)} / (25℃/50%での帯電量)を以下の基準で判定した。
【0073】
◎ : 5 %未満
○ : 5 %以上 10%未満
△ : 10%以上 20%未満
× : 20%以上
結果を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によると、良好なトナー用マスターバッチであるか否かを評価することができ、少ないトナー量でも高い画像濃度を達成できる良好なトナー用マスターバッチや、それを用いた電子写真用トナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦帯電量測定装置の全体構成の概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 摩擦帯電量測定装置
Claims (1)
- 少なくとも結着樹脂と着色剤とからなるマスターバッチの評価方法であって、
結着樹脂の体積抵抗Rr(Ω・cm)とマスターバッチの体積抵抗Rm(Ω・cm)との間に、−6≦logRm−logRrを満足する関係が成立するか否かを確認することを特徴とするトナー用マスターバッチの評価方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003132047A JP4068007B2 (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | トナー用マスターバッチの評価方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003132047A JP4068007B2 (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | トナー用マスターバッチの評価方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004334041A JP2004334041A (ja) | 2004-11-25 |
JP4068007B2 true JP4068007B2 (ja) | 2008-03-26 |
Family
ID=33507063
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003132047A Expired - Fee Related JP4068007B2 (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | トナー用マスターバッチの評価方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4068007B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007000818A1 (ja) * | 2005-06-29 | 2007-01-04 | Konica Minolta Business Technologies, Inc. | 静電荷像現像用トナー |
TW200907612A (en) * | 2007-06-08 | 2009-02-16 | Cabot Corp | Carbon blacks, toners, and composites and methods of making same |
JP2016173568A (ja) * | 2015-03-17 | 2016-09-29 | 三菱化学株式会社 | 静電荷像現像用ブラックトナー |
-
2003
- 2003-05-09 JP JP2003132047A patent/JP4068007B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004334041A (ja) | 2004-11-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS6323166A (ja) | 電子写真用トナ− | |
JP2008197288A (ja) | 電子写真用トナーおよびその製造方法 | |
JP4068007B2 (ja) | トナー用マスターバッチの評価方法 | |
JP2007047607A (ja) | 電子写真用トナーの製造方法 | |
JP2004157272A (ja) | マスターバッチ及び電子写真用トナー | |
JPH0695229B2 (ja) | 絶縁性磁性トナ− | |
JP3217936B2 (ja) | 非磁性一成分トナー | |
JP3227627B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 | |
JP2003122044A (ja) | トナー | |
JP4091468B2 (ja) | トナー、それを用いた現像剤、現像方法、現像装置、画像形成方法、および画像形成装置 | |
JP2003345067A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JPS62209542A (ja) | 電子写眞用トナーの製造方法 | |
JP3449001B2 (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP3862499B2 (ja) | 電子写真用トナー | |
JP2687378B2 (ja) | トナー | |
JPH09204074A (ja) | 静電荷像現像用トナー | |
JP2590962B2 (ja) | 静電荷像現像用キャリア | |
JPH0731412B2 (ja) | 静電荷像現像用正荷電性トナー | |
JPH08123093A (ja) | 静電潜像現像剤用トナーおよびその製法 | |
JPH09204073A (ja) | 電子写真用トナー | |
JPH11202552A (ja) | 電子写真用トナーの製造方法および電子写真用トナー | |
JP5437212B2 (ja) | 電子写真用トナー | |
JP3262892B2 (ja) | 電荷制御剤組成物および電子写真用トナー | |
JPS63305368A (ja) | 電子写真用トナ− | |
JPH09204063A (ja) | 電子写真用トナー |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050810 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071004 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071016 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071217 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080108 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080109 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120118 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130118 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |