JP4066763B2 - バイポーラー電池とその製造方法並びに車両 - Google Patents

バイポーラー電池とその製造方法並びに車両 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極活物質と負極活物質とが集電体の両側に配置されてなるバイポーラー電池に関し、より詳しくは、実質的に溶液を含まない高分子固体電解質を電解質として用いてなるバイポーラー電池とその製造方法並びに車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気自動車等の大容量電源として、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン二次電池が開発され使用されている。リチウムイオン二次電池の基本構成は、アルミニウム集電体にコバルト酸リチウム等の正極活物質とアセチレンブラック等の導電助剤をバインダーを用いて塗布した正極と、銅集電体にカーボン微粒子をバインダーを用いて塗布した負極を、ポリオレフィン系の多孔質膜セパレーターを介して配置し、これにLiPF6等を含む非水電解液を満たしている。
【0003】
リチウムイオン二次電池を電気自動車等の電源として使用する場合は、大出力を確保するために、複数の二次電池を直列に接続して用いる必要がある。前記基本構成の単電池(セル)を直列接続した電池モジュール単位、更にこの電池モジュール単位を直列接続して組電池として用いる。
【0004】
しかし、接続部を介して電池を接続した場合、接続部の電気抵抗によって出力が低下することになる。また、接続部を有する電池は空間的にも不利益を有する。即ち、接続部の占有体積によって、電池の出力密度やエネルギー密度が低下する。
【0005】
この問題を解決するものとして、セル間接続の抵抗を低減し、コンパクト化したバイポーラー電池が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
このバイポーラー電池では、集電体として2種類の金属箔を圧延加工した、いわゆるクラッド材を使用し、電解質に液体を用いているので、各セルでの密閉シールが不可欠であり、セル間で液絡が起こる可能性がある。そこで、この電解液のかわりに、高分子固体電解質を用いると、密閉シールが不要となり現実的なバイポーラー電池とすることができる。
【0007】
このような構造を有する例として、導電性基板の一面に正極活物質層を、他面に負極活物質層を配置してバイポーラー電極を構成し、この電極を高分子固体電解質層を介して複数積層した構造のバイポーラー電池、つまり、正極活物質6、固体電解質4、負極活物質7、導電性基板本体5を複数個積層したバイポーラー電池も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
このバイポーラー電池は、活物質の利用率を高めるために、導電性基板、正極活物質層、負極活物質層、電解質層をきわめて薄肉としている。例えば、導電性基板が0.5μm、正極活物質層が1μm、負極活物質層が1.5μm、電解質層が1μm程度としている。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−7926号公報(段落「0007」〜「0009」、図1〜2)
【特許文献2】
実開平4−54148号公報(第2図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような薄肉の部材を、相互の密着性を確保しながら積層することは、作業性がきわめて面倒である。特に、固体電解質はゲル電解質と比べると、イオン伝導度が低く、しかも、電極層と高分子固体電解質層との間が十分に密着性が保持されないと、さらにイオン伝導性が低下し、この層間部分で抵抗が増大する虞もある。
【0011】
この密着を確保するためには、例えば、積層部材をケース等に入れ、弾性体により当該積層部材に圧力を掛けることもできるが、薄肉のものが多数積層されたものに対し全面に渡り均一に圧力を掛けることは、面倒であり困難でもある。また、前記電解質層又は電極層のいずれかが粘着性を有していれば、前記密着性は向上するが、このようにしても長期にわたって密着性を保持するには、やはり何らかの方法で圧力を掛け続ける必要がある。
【0012】
本発明は、これらの問題点に鑑み、成形された積層部材に対し圧力を加える手段を別途設けなくても、電極層や電解質層間での密着性を保持することができるバイポーラー電池を提供することを第1の目的とする。
【0013】
本発明の第2の目的は、同バイポーラー電池の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の第3の目的は、同バイポーラー電池を搭載した車両を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0016】
(1) 集電体の一面に正極活物質層を他面に負極活物質層を有するバイポーラー電極に高分子固体電解質層を設けた単位積層電極を積層してなるバイポーラー電池において、円弧状若しくは円環状であり、その表面に凹部が設けられた芯材と、所定の幅と長さを有する前記単位積層電極を少なくとも2層以上積層して、その一端部が前記凹部に挿入されて前記芯材に巻き回されて、曲率を持つ断面形状となる積層部材と、を有することを特徴とするバイポーラー電池。
(2)集電体の一面に正極活物質層を他面に負極活物質層を有するバイポーラー電極に高分子固体電解質層を設けた単位積層電極を積層してなるバイポーラー電池において、
円弧状若しくは円環状の芯材と、
所定の幅と長さを有する前記単位積層電極を少なくとも2層以上積層して、前記芯材に巻き回されて、曲率を持つ断面形状となる積層部材と、
前記積層部材の巻回開始端部とその外周の巻回層との間に設けられた挿入物と、を有することを特徴とするバイポーラー電池。
【0017】
) 前記積層部材は、重ね合わした各積層部材相互間に、電気的導通を阻止する絶縁層を設けたことを特徴とする前記(1)又は(2)のバイポーラー電池。
【0018】
) 前記積層部材は、前記曲率を持つ断面形状を保持する保持手段を設けたことを特徴とする前記(1)〜(3)のバイポーラー電池。
【0020】
(5) 前記積層部材は、最外部に位置する層の外周面と、最内部に位置する層の内周面に、他の集電体よりも厚肉の端部集電体を設けたことを特徴とする前記(1)〜(4)のバイポーラー電池。
【0021】
(6) 前記曲率を持つ断面形状とされた積層部材の内部空間に発熱体を設けたことを特徴とする前記(1)〜(5)のバイポーラー電池。
【0022】
(7) 集電体の一面に正極活物質層を他面に負極活物質層を有するバイポーラー電極に高分子固体電解質層を設けた単位積層電極を積層してなるバイポーラー電池の製造方法において、円弧状若しくは円環状をし、外周面に凹部が形成された芯材に、所定の幅と長さの前記単位積層電極が少なくとも2層以上積層された積層部材を、前記凹部にその一端部を入れて前記心材の外周面に密に巻回することを特徴とするバイポーラー電池の製造方法。
(8) 集電体の一面に正極活物質層を他面に負極活物質層を有するバイポーラー電極に高分子固体電解質層を設けた単位積層電極を積層してなるバイポーラー電池の製造方法において、所定の幅と長さの前記単位積層電極が少なくとも2層以上積層された積層部材を、円弧状若しくは円環状をした芯材の外周面に、巻回開始端部とその外周の巻回層との間に挿入物を入れて、密に巻回することを特徴とするバイポーラー電池の製造方法。
【0023】
) 前記積層部材は、重なり合った各層間に、電気的導通を阻止する絶縁層を設けたことを特徴とする前記(7)又は(8)のバイポーラー電池の製造方法。
【0024】
10) 前記積層部材は、前記曲率を持つ形状を保持する保持手段を設けたことを特徴とする前記(7)〜(9)のバイポーラー電池の製造方法。
【0025】
11) 前記積層部材は、複数枚の単位積層電極を環状に成形するときの各単位積層電極の始端が同位置で重合状態となるようにしたことを特徴とする前記()〜(10)のバイポーラー電池の製造方法。
【0026】
12) 前記単位積層電極は、始端位置調節する絶縁性の始端位置調節部材を有することを特徴とする前記(11)のバイポーラー電池の製造方法。
【0027】
13) 前記積層部材は、前記単位積層電極を重ね合わした複数層の束全体を絶縁性フィルムにより覆いシールしたものを前記芯材の外周面に巻回したことを特徴とする前記(7)(12)のバイポーラー電池の製造方法。
【0029】
(14) 前記段差防止手段は、前記芯材の外周面に形成した凹部である前記(13)のバイポーラー電池の製造方法。
【0031】
14(1)〜(6)のバイポーラー電池を1つ又は複数接続して電源としたことを特徴とする車両。
【0032】
【発明の効果】
請求項1及び2の発明は、積層部材が曲率を持つ断面形状としたので、積層部材を構成する単位積層電極は、成形された積層部材に対し圧力を加える手段を別途設けなくても、その形状から各単位積層電極相互間での電極層や電解質層間での密着性を保持することができ、イオン伝導性の低下や内部抵抗の増大が防止された高性能のバイポーラー電池となる。また、曲率を持つ断面形状を巻回することにより形成すれば、その巻回量あるいは巻回長さにより電池の容量も調節することができ、さらに、巻回した積層部材の内部から芯材を除去すれば、形状的にも自由な形状設定が可能となる。そして、芯材に、積層部材の巻回開始端部とその外周の巻回層との間で段差が生じないようにする段差防止手段として、心材に小部を設けたり、または挿入物を入れたことで、この段差部分で生じやすい短絡を確実に防止できる。
【0033】
請求項の発明は、重ね合わした各積層部材相互間に、電気的導通を阻止する絶縁層を設けたので、各層の重なりによる短絡が防止され、より安全性の高いバイポーラー電池となる。
【0034】
請求項の発明は、曲率を持つ積層部材の断面形状を保持手段により保持すれば、イオン伝導性の低下や内部抵抗の増大が防止されたバイポーラー電池の性能を高い状態で維持できる。
【0036】
請求項5の発明は、最外部と最内部に、他の集電体よりも厚肉の端部集電体を設けたので、バイポーラー電池の電流の流れから集電体の面方向の抵抗を低減でき、電池各部でのインピーダンスを同程度にすることができる。
【0037】
請求項6の発明は、積層部材の内部空間に発熱体を設けたので、高分子固体電解質層を活性化でき、電流の流れを円滑にし、電池の性能を高めることができる。
【0038】
請求項7および8の発明は、単位積層電極が少なくとも2層以上積層された積層部材を、円弧状若しくは円環状をした芯材の外周面に密に巻回したので、薄肉の単位積層電極でも曲率のある積層部材を簡単に形成でき、バイポーラー電池の製造が極めて容易となる。しかも、芯材に、積層部材の巻回開始端部とその外周の巻回層との間で段差が生じないように段差防止手段として凹部または挿入物を設けて巻き回すこととしたので、この段差部分で生じやすい短絡を確実に防止できる。
【0039】
請求項の発明は、積層部材の重なり合った各層間に、電気的導通を阻止する絶縁層を設ければ、各層の重なりによる短絡が防止され、より安全性の高いバイポーラー電池を極めて容易に製造できる。
【0040】
請求項10の発明は、曲率を持つ積層部材の断面形状を保持手段により保持すれば、イオン伝導性の低下や内部抵抗の増大が防止された高性能のバイポーラー電池を極めて容易に製造できる。
【0041】
請求項11の発明は、複数枚の単位積層電極の始端が同位置で重合状態となるように、芯材の外周面に密に巻回すれば、薄肉の材料でも簡単に積層部材を形成でき、また、巻回された各層相互間での密着性も向上する。
【0042】
請求項12の発明は、各単位積層電極に絶縁性の始端位置調節部材を設ければ、巻回された各層相互間で段差がなく、スムーズに巻回でき、密着性も向上する。
【0043】
請求項13の発明は、単位積層電極を重ね合わした複数層の束全体を絶縁性フィルムにより覆いシールしたものを芯材の外周面に巻回すれば、積層部材の取り扱いや巻回作業が容易で、作業性が向上する。特にヒートシーラによりヒートシールすれば、巻き付けがさらに簡単にできる。
【0045】
請求項14の発明は、小型、軽量で、成形性が良く、形状的にも厳密に特定されないバイポーラー電池を、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、燃料電池車、内燃機関自動車等の車両に搭載すれば、スペース的にも車両の性能面でも有効な電源として使用でき、省エネルギとなり、環境衛生面で寄与するところ大である。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0047】
図1は本発明の実施形態の一部破断概略斜視図、図2は単位積層電極等の平面図、図3は図2の3−3線に沿う断面図である。
【0048】
図1において、本実施形態のバイポーラー電池について概説すれば、基本的には、単位積層電極1を2層以上積層した積層部材Sを円筒状の芯材2の周りに巻きつけ、断面形状が曲率を持つようにしている。
【0049】
なお、本明細書においては、単位積層電極1とは、図2,3に示すように、集電体3の一面に正極活物質層4を他面に負極活物質層5を保持したバイポーラー電極Pに高分子固体電解質層6を積層したものをいい、積層部材Sは、この単位積層電極を少なくとも2層以上積層したものをいう。
【0050】
このように積層部材Sを、曲面を有する芯材2の周りに巻回すると、芯材2の周囲に形成された積層部材Sの各層は、軸直角断面形状が曲率を持つ形状となる。この結果、積層部材Sは、圧力を加えなくても、各単位積層電極1相互間での密着性を保持でき、イオン伝導性の低下や内部抵抗の増大が防止される。
【0051】
図4は図1の4−4線に沿う断面相当図であるが、本図では複数枚の単位積層電極1が積層された積層部材Sを1本の線として示しており、図5は図4の5−5線に沿う概略断面図で、主として1つの積層部材Sのみを詳示している。
【0052】
このバイポーラー電池は、基本的には、図2に示すように、所定の幅Wと長さLを有する短冊状の単位積層電極1を多数作製し、所定の方法で少なくとも2層以上積層して積層部材Sを形成する。なお、積層方法は、単に積み重ねても良いが、後に詳述する手法を用いても良い。そして、図4に示すように、この積層部材Sを円筒状の芯材2の周りに巻回し、長さ方向断面形状が曲率を持つ形状とするが、この形状を保持するため、テープあるいは接着剤などの適当な保持手段7により保持している。
【0053】
積層部材Sが曲率を持つ断面形状となるように巻回すれば、その巻回量あるいは巻回長さにより電池の容量も調節することができ、場合によっては、巻回した積層部材Sの内部から芯材を除去すれば、全体形状が変形自在となり、形状的にも自由な形状設定が可能となる。
【0054】
ただし、積層部材Sを芯材2の周りに重積するように巻回すると、各層間で電気的に導通する虞があるので、各層間には絶縁層8(図4では破線で示す)を設けることが好ましい。この絶縁層8は、巻回された単位積層電極1の層が隣位の層に接触しないように絶縁するものである。なお、使用する絶縁層8としては、カプトン粘着フィルム、ポリエステル粘着フィルム、ポリオレフィン粘着フィルム等がある。
【0055】
バイポーラー電池では、電流は、図5の矢印で示すように、正極活物質層4から負極活物質層5に向かって、高分子固体電解質層6を通って流れる特性がある。つまり、積層部材Sを貫通するように流れるので、巻回した積層部材Sは、積層部材Sの最外部と最内部に位置する端部集電体9の肉厚Tを、他の集電体3の肉厚tよりも厚肉とすることが好ましい。このようにすれば、端部集電体9の面方向に流れる電流の抵抗を低減でき、電池各部でのインピーダンスを同程度にすることができる。
【0056】
前記積層部材Sは、全体をラミネートフィルムのような絶縁性フィルム10で覆っても良い。このようにすると、バイポーラー電池から不必要に漏電することはなく、効率よく電流を取り出すことができ、電池も長寿命となり、好ましい。
【0057】
また、芯材2の内部空間Mに発熱体(不図示)を設けると、発熱体の熱で高分子固体電解質層を活性化でき、電流の流れを円滑にし、電池の性能を高めることができる。なお、発熱体としては、電池を使用する対象物により異なるが、例えば、エンジンとモータを持ったハイブリッドカーでは、エンジンマフラーなどが考えられる。
【0058】
さらに、前記単位積層電極1の構成要素を個別に説明し、電池の製法について述べる。
【0059】
<集電体>
集電体3は、その表面材質がアルミニウムである。表面材質がアルミニウムであると、形成される活物質層が高分子固体電解質を含む場合であっても、高い機械的強度を有する活物質層となる。集電体3は、表面材質がアルミニウムであれば、その構成については特に限定されない。集電体3がアルミニウムそのものであってもよい。また、集電体3の表面がアルミニウムで被覆されている形態であってもよい。つまり、アルミニウム以外の物質(銅、チタン、ニッケル、SUS、これらの合金など)の表面に、アルミニウムを被覆させた集電体であってもよい。場合によっては、2以上の板を張り合わせた集電体を用いてもよい。耐蝕性、作り易さ、経済性などの観点からは、アルミニウム箔単体を集電体として用いることが好ましい。
【0060】
<正極活物質層>
正極活物質層は、正極活物質、高分子固体電解質を含む。この他にも、イオン伝導性を高めるためにリチウム塩、電子伝導性を高めるために導電助剤などが含まれ得る。
【0061】
正極活物質としては、溶液系のリチウムイオン電池でも使用される、遷移金属とリチウムとの複合酸化物を使用できる。具体的には、LiCoO2などのLi・Co系複合酸化物、LiNiO2などのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMn24などのLi・Mn系複合酸化物、LiFeO2などのLi・Fe系複合酸化物などが挙げられる。この他、LiFePO4などの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V25、MnO2、TiS2、MoS2、MoO3などの遷移金属酸化物や硫化物;PbO2、AgO、NiOOHなどが挙げられる。
【0062】
正極活物質の粒径は、バイポーラー電池の電極抵抗を低減するために、電解質が固体でない溶液タイプのリチウムイオン電池で一般に用いられる粒径よりも小さいものを使用するとよい。
【0063】
<高分子固体電解質>
高分子固体電解質は、イオン伝導性を有する高分子であれば、特に限定されるものではない。イオン伝導性を有する高分子としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体などが挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252などのリチウム塩をよく溶解しうる。また、架橋構造を形成することによって優れた機械的強度が発現する。
【0064】
本発明において高分子固体電解質は、正極活物質層または負極活物質層の少なくとも一方に含まれる。ただし、バイポーラー電池の電池特性をより向上させるためには、双方に含まれることが好適である。
【0065】
リチウム塩としては、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0066】
導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0067】
<負極活物質層>
負極活物質層は、負極活物質、高分子固体電解質を含む。この他にも、イオン伝導性を高めるためにリチウム塩、電子伝導性を高めるために導電助剤などが含まれ得る。負極活物質の種類以外は、基本的に「正極活物質」の項で記載した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0068】
負極活物質としては、溶液系のリチウムイオン電池でも使用される負極活物質を用いることができる。ただし、本発明のバイポーラー電池は高分子固体電解質が用いられるため、高分子固体電解質での反応性を考慮すると、金属酸化物または金属とリチウムとの複合酸化物が好ましい。より好ましくは、負極活物質は遷移金属酸化物または遷移金属とリチウムとの複合酸化物である。さらに好ましくは、前記遷移金属はチタンである。つまり、負極活物質は、チタン酸化物またはチタンとリチウムとの複合酸化物であることがさらに好ましい。
【0069】
<高分子固体電解質層>
高分子固体電解質層は、イオン伝導性を有する高分子から構成される層であり、イオン伝導性を示すのであれば材料は限定されない。高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体系高分子で、分子内に架橋性の炭素―炭素の二重結合を持った原料高分子を用いてラジカル重合法で合成した高分子固体電解質が挙げられる。
【0070】
高分子固体電解質層中には、イオン伝導性を確保するためにリチウム塩が含まれる。リチウム塩としては、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。PEO、PPOのようなポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252などのリチウム塩をよく溶解しうる。また、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度が発現する。
【0071】
高分子電解質膜は、前記と同様例えばポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)及びそれらの共重合体系高分子で、分子内に架橋性の炭素―炭素の二重結合を持った原料高分子とリチウム塩をNMPのような溶媒に溶解させてスペサーで厚さを決めた光透過性のギャップに流し込み紫外線を照射して架橋させて薄膜を作製できるが、この方法に限られるわけではない。放射線重合、電子線重合、熱重合法によっても高分子電解質膜を作製できる。紫外線重合の場合には適当な光重合開始剤を用い、熱重合法の場合にも熱重合開始剤を用いてもよい。溶解させるリチウム塩としては、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252及びこれらの2種以上の混合物等を使用できるが、これらに限られるわけではない。
【0072】
<単位積層電極の作製>
本実施形態に係る単位積層電極1を構成するためには、まず、上記した負極活物質層5における原料高分子と、負極活物質、導電助材、リチウム塩、溶媒と少量のアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等の熱重合開始剤からスラリーを調製し、これを集電体3の一面に塗布して加熱して負極活物質層5を作製する。
【0073】
次に、正極活物質層4をこの集電体3の他面に同様にして形成することによりバイポーラー電極Pを作製する。なお、この正極活物質層4と負極活物質層5の形成の順序は逆でもよい。
【0074】
このバイポーラー電極Pの上に高分子固体電解質層6を形成する。この形成に当っては、リチウム塩と原料高分子と紫外線重合開始剤を含む溶液を単位積層電極1上に直接塗布して、PET等の透明フィルムをかぶせて、10分間から20分間紫外線照射することによって単位積層電極1が形成できる。
【0075】
この結果、図3に示すように、下から高分子固体電解質層6、負極活物質層5、集電体3、正極活物質層4の順で層状に形成された単位積層電極1が形成される。
【0076】
なお、集電体3の両側に絶縁層(一点鎖線で示す)を設け、各単位積層電極1相互間を絶縁しても良い。
【0077】
<バイポーラー電池の製造方法>
本製造方法の第1の実施形態は、複数枚の単位積層電極1を1枚ずつ芯材2の周囲に巻回することにより積層し、積層部材Sを形成するバイポーラー電池の製造方法である。
【0078】
ここで使用する芯材2としては、曲率をもったものであればどのようなものであっても良い。例えば、単に円弧状のものあるいは筒状楕円、円環状等でもよいが、特に、巻きつけ圧力がより均一にかかるものであって、かつ軽量なものとしては、軸方向に前記積層部材Sの幅、つまり各単位積層電極1の幅Wと同程度の長さを有し、アルミニウムからなる軸直角断面が円弧状若しくは円環状をしたものが好ましい。ただし、電池の効率を高めるために、芯材2の外周面は絶縁層(不図示)で覆うことが好ましい。
【0079】
図6は本発明に係る製造方法の第1の実施形態の要部を示す概略説明図である。この芯材2を使用してバイポーラー電池を製造する場合は、図6において、まず、芯材2の軸線が直立に立設するように、モータなどの回転軸に取り付ける。
【0080】
本実施形態では、芯材2の周囲に5枚の単位積層電極1a〜1eと、最外部及び最内部の端部集電体9、9と、絶縁層8とを配置する。
【0081】
なお、芯材2の周りには、単位積層電極1を供給するローラ(不図示)を複数配置し、単位積層電極1の両端に位置する単位積層電極1aと1eとの間には、端部集電体9や絶縁層8を供給するローラも配置し、これらローラにより単位積層電極1等を供給しつつ巻回作業を行なう。
【0082】
巻回作業は、まず第1番目の単位積層電極1aを芯材2の周囲に巻き付けた後に、第2番目の単位積層電極1bの始端が第1番目の単位積層電極1aの始端と一致するように重ね、各単位積層電極1に張力をかけつつ、芯材2に巻き取る。以下同様に各単位積層電極1c〜1eを、始端及び終端が一致するように巻回する。
【0083】
この場合、各単位積層電極1の始端部分に絶縁性の粘着フィルム等のような始端調節部材11(図2参照)を設けておき、長さを調節し、巻き付け用の芯材2の適当な位置から順次貼り付けると、始端を一致させて層状に巻回したときにも、この始端で段差が生じることがなく、スムーズな巻回が可能となる。しかも、このようにすれば、段差部分で生じやすい短絡も確実に防止でき、巻回された各層相互間での密着性が向上し、イオン伝導性の低下や内部抵抗の増大が防止される。
【0084】
このようにして積層部材Sが形成されると、保持手段7により当該曲率を有する形状を保持し、最外部を絶縁性フィルム10で覆うと共に端部集電体9に接続されたリード線12(図1,4参照)を突出させる。
【0085】
このバイポーラー電池では、電流は、各積層部材S内では、いわば各単位積層電極1を貫通して流れるが、ここでは、単位積層電極1相互間が密に当接された状態となるので、イオン伝導性の低下や内部抵抗の増大が防止され、高性能のバイポーラー電池となる。
【0086】
なお、前記電流は、端部集電体9に至ると当該端部集電体9の面、つまり周方向に沿って流れ、リード線12を通って外部に導かれる。
【0087】
次に、本製造方法の第2の実施形態について述べる。
【0088】
図7は第2の実施形態で使用する複数の単位積層電極を積み重ねた積層部材の断面図、図8,9は段差防止手段を示す断面図である。
【0089】
第2の実施形態は、所定の幅Wと長さを有する単位積層電極1を、予め複数枚積み重ね、この積み重ねた束を積層部材Sとして用い、前記芯材2の外周面に密に巻回するようにしている。前述の場合と同様の芯材2を使用するが、この芯材2の外周面に予め複数枚積層した単位積層電極1を巻回すれば、多数の単位積層電極1を芯材2の周囲に個々に巻回する場合に比し、一括して巻回でき、巻回作業性が向上する。
【0090】
この場合、積層部材Sとしては、長さ1m程度のものを使用しているが、芯材2の周囲に巻回した場合、1巻き目と2巻き目との間に段差が生じ、この段差部分で短絡が生じる虞があることから、本実施形態では、段差防止手段15を設けることが好ましい。
【0091】
この段差防止手段15は、段差を解消できるものであればどのようなものでも良いが、本実施形態では、図8に示すように、前記芯材2の外周面に凹部15aを形成することにより段差防止手段としている。このような凹部15aを形成すれば、1巻き目の始端部がここに入り込むことになり、2巻き目が巻かれても両者間に段差の発生が防止される。
【0092】
特に、このような凹部15aを設けると、積層部材Sの巻きつけがスムーズにかつ素早くでき、作業性が向上するのみでなく、巻回時の締め付けも防止される。段差部分を有するものの外周に次位の層を巻きつけると、この巻き締めにより1巻き目の始端部は強力に加圧され締め付けられることになり、内部の各単位積層電極1相互間等で短絡が発生しやすいが、前記凹部15aの形成により、このような短絡が確実に防止できる。
【0093】
また、図9に示すような他の段差防止手段でもよい。図示のものは、ゴムなどにより構成された、いわば枕状部材15bを前記段差部分に挿入したものであるが、このような絶縁性を備えた枕状部材15bの挿入によっても、前記短絡が防止できる。なお、この枕状部材15bは、流動性がある状態で隙間に注入した後に固化させても良い。
【0094】
前記第2の実施形態は、単に各単位積層電極1を複数枚積層したものであるが、取り扱いの容易性あるいは作業性を考慮すれば、この単位積層電極1の束を、予めアルミラミネートフィルム等の絶縁性フィルム10により覆い、密封シールした状態で芯材2の周囲に巻回しても良い。この場合も、絶縁性フィルム10からは集電体3あるいは端部集電体9に接続されたリード線を出しておくことが好ましい。
【0095】
このように絶縁性フィルム10により覆われた単位積層電極1の束を芯材2に巻きつける場合には、芯材2の曲率が大きい方が作業性は良いが、この曲率は単位積層電極1の束の厚さ、長さとの関係から適宜設定する。
【0096】
また、前記絶縁性フィルム10により単位積層電極1の束をシールするとき、巻き付けやすいように曲率をもったヒーターのシーラーでヒートシールすれば、後の巻き付け作業も行ないやすい。
【0097】
上述したように、単位積層電極1を積層した積層部材Sの長さ方向断面形状が曲率を持つものを、バイポーラー電池として用いれば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、燃料電池車、内燃機関車用の電源として極めてコンパクトなものとすることができる。
<実施例>
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例に限定されるものではない。
【0098】
<実施例1>
集電体として、厚さ20μmのアルミニウム箔を用いて、図2、3に示すバイポーラー電極Pを作製する。電極の幅としては、図2に示すように、正極活物質層4の幅Wを電極の幅とし、集電体3の正極活物質層4より突出部分の幅を3mmとする。
【0099】
1.負極活物質層5の作製
まず、集電体3上に負極活物質層5を形成する。負極活物質としてLi4Ti512を準備した。この二次粒子の平均粒径は10μmで、0.2〜0.5μmの一次粒子がある程度ネッキングした構造になっていた。
【0100】
前記負極活物質[28質量%]、導電助剤としてアセチレンブラック[3質量%]、前記高分子原料[17質量%]、リチウム塩としてBETI[8質量%]、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル[高分子原料に対して0.1質量%]、および、溶媒としてNMP[44質量%]を含む溶液を充分に撹拌して、スラリーを得た。
【0101】
該スラリーを、集電体3の一方の面上にコーターで塗布した。真空乾燥機中にて、90℃で2時間以上、スラリーが塗布されたアルミニウム箔を加熱乾燥し、一方の面上に負極活物質層5が形成された集電体3を得た。
【0102】
2.正極活物質層4の作製
次に、同集電体3の反対側の面上に正極活物質層4を形成した。
【0103】
平均粒子径2μmのスピネルLiMn24を正極活物質として準備した。
【0104】
前記正極活物質[29質量%]、導電助剤としてアセチレンブラック[8.7質量%]、前記高分子原料[17質量%]、リチウム塩としてBETI[7.3質量%]、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル[高分子原料に対して0.1質量%]、および、溶媒としてNMP[41質量%]を含む溶液を充分に撹拌して、スラリーを得た。該スラリーを、前記一方の面上に負極活物質層等が形成された集電体3の、他方の面上にダイコーターを用いて集電体3の周辺部がのこるような図2に示すパターン様式で塗布した。真空乾燥機中にて、90℃で2時間以上、加熱乾燥し、一方の面上に負極活物質層5が、他方の面上に正極活物質層4が形成されたバイポーラー電極Pを得た。
【0105】
3.高分子固体電解質層6の作製
前記負極活物質層5上に高分子電解質層6を形成した。
【0106】
高分子電解質としては、J.Electrochem.Soc.,145(1998)1521に記載の方法に従って合成されたポリエーテル形のネットワーク高分子を高分子原料として準備した。
【0107】
前記高分子原料[53質量%]、リチウム塩としてLiN(SO2252(以下、「BETI」と記載)[26質量%]、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール[高分子原料に対して0.1質量%]、および、溶媒としてドライアセトニトリルを含む溶液を調製したあとアセトニトリルを真空蒸留で除いた。ダイコーターを用いて、前記負極活物質層5上にこの粘性の高い溶液をパターン塗布し、その上を剥離剤をコートしたPETフィルムで覆い、紫外線を照射して光重合(架橋)した。作製された膜を真空容器に入れ、90℃の高真空下で12時間、膜を加熱乾燥し、溶媒を除去した。得られた高分子固体電解質層6は、弾性に富み、強い粘着性を有していた。
【0108】
4.成形
次に、先に製造した単位積層電極1を成形し、電池とする。各単位積層電極1a〜1eの正極活物質層4の長さLは100cmとした。表面を絶縁塗装したアルミニウム製の円筒状芯材2を回転軸に固定し、図4示すように、芯材2の周りに単位積層電極1a〜1eをセットした。この場合、PETフィルムを剥がして、各始端が一致して巻き込まれるようにセットした。
【0109】
同様にして集電体3,3(通常の薄肉のもの)間に絶縁層8が位置するようにセットした。この絶縁層8は巻回したとき各積層部材Sが重なるときの短絡を防止する。
【0110】
そして、円筒状芯材2を回転すると、セットされた単位積層電極1a〜1eの巻き始めから絶縁層8も貼り付けた。
【0111】
この単位積層電極1a〜1eの巻き付けが完了した時の終端上に保持手段7であるカプトン粘着テープを巻いて、単位積層電極1a〜1e等が動かないように固定した。
【0112】
端部の集電体3からリード線12が外部に突出するように、アルミニウム製の円筒状芯材2を含めて、アルミニウム製の絶縁性フィルム10により密封した。
【0113】
<実施例2>
実施例2は、実施例1において、端部の集電体3,3を厚さ30μmのアルミニウム製の端部集電体9,9とした以外は実施例1と同様のバイポーラー電池とした。
【0114】
<実施例3>
実施例3は、実施例1と同様なアルミニウム製の円筒状芯材2の外表面上に、図9に示す段差防止用のゴムを貼り付けた状態で、10セル分の単位積層電極1を重ねて巻いた。単位積層電極1の巻き始めの部分が膨らんで、この部分に過大な圧力がかかる虞がなくなり、スムーズに巻けた。この積層部材Sを実施例1と同様に成形してバイポーラー電池とした。
【0115】
<実施例4>
図7に示すような平坦形状のものであって、長さ100cmの単位積層電極1を6層重ねてアルミニウムの絶縁性フィルム10に封入し、最上段と最下段の端部集電体9からリード線12を取り出した。この絶縁性フィルム10に封入した積層部材Sを、実施例1と同様なアルミニウム製の円筒状芯材2に巻きつけて、最外周を保持手段7であるテフロン(登録商標)の粘着テープで固定して、バイポーラー電池とした。
【0116】
<比較例1>
比較例1は、図7に示すような積層部材Sを絶縁性フィルムで密封した平板状の電池とした。
【0117】
実施例と比較例の各電池を、単セル当り1Vと2.7Vの間で充放電して、充電状態で交流インピーダンス法により内部抵抗を測定した。
【0118】
電池の内部抵抗としては、周波数0.1Hzでのインピーダンスの実部の値を採用した。各電池で求めた内部抵抗を単セルの単位面積あたりに換算して、その値について、比較例の場合を1.00として比を表1に示した。
【0119】
【表1】
Figure 0004066763
【0120】
表1からわかるように、本発明によれば、単位積層電極1が曲率を有する構造とすることにより、電極と電解質間の密着性を良好にできるため、電池の内部抵抗を低くできることが分かった。
【0121】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、図2に示す単位積層電極1において、高分子固体電解質層6を正極活物質層4あるいは負極活物質層5の上にそれぞれ形成した場合でも、密着性を向上させることができる。また、バイポーラー電池の電気容量を増加する場合には、巻回構造のバイポーラー電池は、巻く単位積層電極1の長さを長くするだけで、容量を容易に増大させることができるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の一部破断概略斜視図である。
【図2】 単位積層電極等の平面図である。
【図3】 図2の3−3線に沿う断面図である。
【図4】 図1の4−4線に沿う断面相当図である。
【図5】 図4の5−5線に沿う概略断面図である。
【図6】 本発明方法の第1の実施形態の要部を示す概略説明図である。
【図7】 本発明方法の第2の実施形態における積層部材を示す概略断面図である。
【図8】 段差防止手段の一例を示す概略断面図である。
【図9】 段差防止手段の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1,1a〜1e…単位積層電極、
2…芯材、
3…集電体、
4…正極活物質層、
5…負極活物質層、
6…高分子固体電解質層、
7…保持手段、
8…絶縁層、
9…端部集電体、
10…絶縁性フィルム、
11…始端位置調節部材、
15,15a,15b…段差防止手段。
M…積層部材の内部空間、
P…バイポーラー電極、
S…積層部材、
W…幅。

Claims (14)

  1. 集電体の一面に正極活物質層を他面に負極活物質層を有するバイポーラー電極に高分子固体電解質層を設けた単位積層電極を積層してなるバイポーラー電池において、
    円弧状若しくは円環状であり、その表面に凹部が設けられた芯材と、
    所定の幅と長さを有する前記単位積層電極を少なくとも2層以上積層して、その一端部が前記凹部に挿入されて前記芯材に巻き回されて、曲率を持つ断面形状となる積層部材と、を有することを特徴とするバイポーラー電池。
  2. 集電体の一面に正極活物質層を他面に負極活物質層を有するバイポーラー電極に高分子固体電解質層を設けた単位積層電極を積層してなるバイポーラー電池において、
    円弧状若しくは円環状の芯材と、
    所定の幅と長さを有する前記単位積層電極を少なくとも2層以上積層して、前記芯材に巻き回されて、曲率を持つ断面形状となる積層部材と、
    前記積層部材の巻回開始端部とその外周の巻回層との間に設けられた挿入物と、を有することを特徴とするバイポーラー電池。
  3. 前記積層部材は、重ね合わした各積層部材相互間に、電気的導通を阻止する絶縁層を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のバイポーラー電池。
  4. 前記積層部材は、前記曲率を持つ断面形状を保持する保持手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバイポーラー電池。
  5. 前記積層部材は、最外部に位置する層の外周面と、最内部に位置する層の内周面に、他の集電体よりも厚肉の端部集電体を設けたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のバイポーラー電池。
  6. 前記曲率を持つ断面形状とされた積層部材の内部空間に発熱体を設けたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のバイポーラー電池。
  7. 集電体の一面に正極活物質層を他面に負極活物質層を有するバイポーラー電極に高分子固体電解質層を設けた単位積層電極を積層してなるバイポーラー電池の製造方法において、
    円弧状若しくは円環状をし、外周面に凹部が形成された芯材に、所定の幅と長さの前記単位積層電極が少なくとも2層以上積層された積層部材を、前記凹部にその一端部を入れて前記心材の外周面に密に巻回することを特徴とするバイポーラー電池の製造方法。
  8. 集電体の一面に正極活物質層を他面に負極活物質層を有するバイポーラー電極に高分子固体電解質層を設けた単位積層電極を積層してなるバイポーラー電池の製造方法において、
    所定の幅と長さの前記単位積層電極が少なくとも2層以上積層された積層部材を、円弧状若しくは円環状をした芯材の外周面に、巻回開始端部とその外周の巻回層との間に挿入物を入れて、密に巻回することを特徴とするバイポーラー電池の製造方法。
  9. 前記積層部材は、重ね合わした各積層部材相互間に、電気的導通を阻止する絶縁層を設けたことを特徴とする請求項7又は8に記載のバイポーラー電池の製造方法。
  10. 前記積層部材は、前記曲率を持つ形状を保持する保持手段を設けたことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のバイポーラー電池の製造方法。
  11. 前記積層部材は、複数枚の単位積層電極を環状に成形するときの各単位積層電極の始端が同位置で重合状態となるようにしたことを特徴とする請求項10のいずれかに記載のバイポーラー電池の製造方法。
  12. 前記単位積層電極は、始端位置調節する絶縁性の始端位置調節部材を有することを特徴とする請求項11に記載のバイポーラー電池の製造方法。
  13. 前記積層部材は、前記単位積層電極を重ね合わした複数層の束全体を絶縁性フィルムにより覆いシールしたものを前記芯材の外周面に巻回したことを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のバイポーラー電池の製造方法。
  14. 請求項1〜6のいずれかに記載のバイポーラー電池を1つ又は複数接続して電源としたことを特徴とする車両。
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