JP4065360B2 - コレステロール低下剤及び飲食品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血中や肝臓のコレステロールを低下させ、動脈硬化指数を改善し得るコレステロール低下剤及び飲食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、循環器疾患による死亡率は年々増加しており、心筋梗塞、脳梗塞など動脈硬化に起因した疾患を合わせると、成人の死亡原因中第一位を占めている。
動脈硬化の原因としては様々なものがあるが、血漿脂質、特に血漿コレステロール値の上昇が最も重要な危険因子の一つとされている。
血漿コレステロール値の上昇原因としては、まず遺伝的な疾患がある。この場合、重篤な患者に対しては食事療法と同時にコレステロール合成阻害剤、ニコモール、クロフィブレート、イオン交換樹脂、蛋白同化ステロイド等の薬剤が使用されているが、これらの薬剤は、肝毒性、胃腸障害、発ガン性等の副作用がある。
【0003】
血漿コレステロール値上昇のもう一つの大きな原因として、近年の卵、バター、肉等を大量に摂取する食生活による脂肪の過剰摂取があげられており、これは、若年齢層にも顕著になりつつある。食事性の高コレステロール血症の場合、通常は重篤な高コレステロール血症には至らないが、若齢期より血管に徐々にコレステロールが蓄積し、成人にいたって動脈硬化を引き起こすことが問題であり、高トリグリセライド血症とあいまって、心筋梗塞や脳梗塞を招く危険性がある。この種の高脂血症に対しては、副作用があるなど問題の多い薬物療法よりも、脂質摂取量を適正範囲に制限した食事療法が重視される。しかしながら、食事制限は精神的苦痛を伴うと共に食生活の楽しみをうばうため厳格な実施は困難であり、効果には限界があることが多い。
【0004】
血漿中に過剰に存在するコレステロールは血管壁に蓄積して動脈硬化を招くが、コレステロールが肝臓に取り込まれた後、そこに蓄積されることなく胆汁酸に変換されるかそのままの形で腸管に排出され、糞便と共に体外に***されるならば、体内コレステロールのプールも低下し、上記機構による動脈硬化は予防される。そこで、血漿コレステロール値の低下作用だけでなく、肝臓コレステロール値の低下作用を併せ持つものが期待されている。
【0005】
一方、副作用が少なくコレステロール低下作用を示す微生物は、これまで種々の報告があるが、酵母に関する報告は意外に少ない。酵母といえば、古くからビール酵母が知られているが、その脂質代謝改善効果については、クロムを補添したビール酵母(1日当たり9g)を8週間、老人に投与した結果、血清コレステロール値の低下を認めたとの報告〔Ester G. Offenbacher and F. Xavier Pi-Sunyer, Beneficial effect of chromium-rich yeast on glucose tolerance and blood lipids in elderly subjects. Diabetes, 29, 919,(1980)〕があるが、塩化クロムと5gのビール酵母を10週間、老人に投与した結果、血清コレステロール値やTGに対して影響を与えなかったとの報告〔Caral J Rinko, and F. Xavier Pi-Sunyer, The effects of inorganic chromium and brewer's yeast on glucose tolerance, plasma lipids, and plasma chromium in elderly subjects., Am. J. Clin. Nutr., 42, 454,(1985)〕やクロムを補添していないビール酵母を使用した対人試験では血清コレステロール値の低下効果はなかったとの報告〔Arne T. Hostmark, Einar Eilertsen and Ole Gronnerod, Plasma lipid and lipoprotein responses of rats to starch and sucrose diets with and without brewer's yeast., J. Nutri., 109, 1073,(1978)〕がある。また、ウサギの餌に大豆蛋白を混ぜて投与すると血清コレステロール値が低下するが、その大豆蛋白の50%をビール酵母で置換すると血清コレステロール値が逆に若干上昇したとの報告〔Jorge De Abreu and Nancy Millan, Effect of addition of brewer's yeast to soy protein and casein on plasma cholesterol levels of rabbits. Archivos Latinoamericanos de Nutricion., 44, 18,(1994)〕もある。
【0006】
このように現在のところ、ビール酵母(brewer's yeast)の脂質代謝改善効果については統一的な見解が得られていない。
【0007】
一方、他の酵母では、酵母のメタノール抽出物が、赤色酵母(Sporobolomyces ruberrinus)とSaccharomyces uvarumにおいて、わずかにコレステロール負荷ラットの血清コレステロール値及びトリグリセライド値を減少させたとの報告〔長 修司、藤井久雄、白石淳、納豆菌産生多糖類あるいは酵母のアルコール抽出物がラットの脂質代謝に及ぼす影響、福岡女子大学家政学部紀要、16, 65,(1984)〕があり、更にSaccharomyces cerebisiaeの培養上清がマウスの血清コレステロールを低下させたという報告〔岸田忠昭、Saccharomyces cerebisiae培養物の血清コレステロール低下作用について、栄養と食糧、26, 371,(1973)〕がある。
【0008】
しかしながら、ビール酵母以外にコレステロール低下作用を示す酵母の報告は、いまだ少なくまた、酵母の菌体そのもの、或いはその菌体構成成分が脂質代謝改善効果を示したという報告はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、副作用が少なく安全な酵母を用い、血中や肝臓のコレステロールを有効に低下し得るコレステロール低下剤及び飲食品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
斯かる実情に鑑み本発明者は鋭意研究を行った結果、下記に示す特定の属に属する酵母が、副作用が少なく、血中及び肝臓中のコレステロールを有効に低下する作用を有することを見出し本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明はイサチェンキア・オリエンタリス、ハンセニアスポラ・ウヴァラム、クロエッケラ・アフリカーナ、クルイベロマイセス・マルキシアナス、クルイベロマイセス・ラクチス、ピチア・ファリノサ及びトルラスポラ・デルブルエッキーYIT8114(生命工学工業技術研究所菌寄第17477号)から選ばれる酵母の1種又は2種以上を有効成分して含有するコレステロール低下剤、並びにイサチェンキア オリエンタリスYIT8266(生命工学工業技術研究所菌寄第17481号)、ハンセニアスポラ ウヴァラムYIT8164(生命工学工業技術研究所菌寄第17478号)、クロエッケラ アフリカーナYIT8165(生命工学工業技術研究所菌寄第17479号)、クルイベロマイセス マルキシアナスYIT8292(生命工学工業技術研究所菌寄第17483号)、クルイベロマイセス ラクチスYIT8263(生命工学工業技術研究所菌寄第17482号)、ピチア ファリノサYIT8058(生命工学工業技術研究所菌寄第17476号)及びトルラスポラ デルブルエッキーYIT8114(生命工学工業技術研究所菌寄第17477号)から選ばれる酵母の1種又は2種以上を含有する飲食品を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のコレステロール低下剤又は飲食品に用いる酵母は、イサチェンキア属、ハンセニアスポラ属、クロエッケラ属、クルイベロマイセス属、ピチア属又はトルラスポラ属に属する酵母であり、これらは1種でも、2種以上を混合して用いてもよい。上記酵母は生菌であっても加熱菌体であってもよく、また加熱後凍結乾燥したものであってもよい。
【0013】
上記の属に属する酵母のうち、好ましいものとしては、例えば、イサチェンキア・オリエンタリス、ハンセニアスポラ・ウヴァラム、クロエッケラ・アフリカーナ、クルイベロマイセス・マルキシアナス、クルイベロマイセス・ラクチス、ピチア・ファリノサ、トルラスポラ・デルブルエッキーが挙げられ、更にこれらのうち次の酵母が最適である。
【0014】
ハンセニアスポラ ウヴァラム(Hanseniaspora uvarum)YIT8164(生命工学工業技術研究所菌寄第17478号)、イサチェンキア オリエンタリス(Issatchenkia orientalis)YIT8266(生命工学工業技術研究所菌寄第17481号)、クロエッケラ アフリカーナ(Kloeckera africana)YIT8165(生命工学工業技術研究所菌寄第17479号)、クルイベロマイセス マルキシアナス(Kluyveromyces marxianus)YIT8292(生命工学工業技術研究所菌寄第17483号)、クルイベロマイセス ラクチス(Kluyveromyces lactis)YIT8263(生命工学工業技術研究所菌寄第17482号)、ピチア ファリノサ(Pichia farinosa)YIT8058(生命工学工業技術研究所菌寄第17476号)、トルラスポラ デルブルエッキー(Torulaspora delbrueckii)YIT8114(生命工学工業技術研究所菌寄第17477号)。
【0015】
なお、これらの微生物は食品(ワイン、乳酒、チーズ)の製造に使用される酵母として古くから知られており、人体に対して極めて安全な菌株である。
上記菌株の性状を示すと表1〜表5の通りであって、「ザ イースト(The yeast)、第3版 N. J. W. Kreger-Van Rij, Elsevier Science Publishers B. V., Amsterdam, 1984」に記載の同種微生物の性状とほぼ同様である。
【0016】
【表1】
Figure 0004065360
【0017】
【表2】
Figure 0004065360
【0018】
【表3】
Figure 0004065360
【0019】
【表4】
Figure 0004065360
【0020】
【表5】
Figure 0004065360
【0021】
本発明に用いる酵母は、通常の方法、例えば酵母エキスやポリペプトンを含む複合培地又は無機塩を主体とする合成培地で培養することによって製造することができる。
【0022】
このようにして得られた酵母は、生菌もしくはその凍結乾燥物、又は加熱処理等を施した死菌体、更にはそれらの破砕物として、医薬組成物又は飲食品に用いることができる。また、本発明に用いる酵母は、市販のものであってもよい。
【0023】
上記酵母は、常法に従って薬学的に許容される担体とともに種々の剤型の医薬組成物とすることができる。例えば、経口用固形製剤を調製する場合には、上記酵母に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。そのよう添加剤としては、当該分野で一般的に使用されるものでよく、例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、硅酸等を、結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等を、崩壊剤としては乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等を、滑沢剤としては精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等を、矯味剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が例示できる。
【0024】
経口用液体製剤を調製する場合は、上記酵母に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。この場合矯味剤としては上記に挙げられたもので良く、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
【0025】
また、本発明の飲食品は、上記酵母を種々の飲食品に添加せしめることにより製造することができる。ここで好ましい飲食品としては、発酵乳、果汁飲料、スープ、せんべい、クッキー等が例示される。なお飲食品には動物の飼料も含まれる。
【0026】
上記の各製剤中に配合されるべき酵母の量は、これを適用すべき患者の症状によりあるいはその剤型等により一定ではないが、一般に製剤中1〜100重量%とするのが望ましい。また、上記製剤又は飲食品の1日あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、酵母として通常成人1日あたり約10mg〜30g、好ましくは約1〜5gとすれば良く、これを1日1回又は2〜4回程度に分け投与するのが好ましい。
【0027】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。なお、「%」は「重量%」を示す。
【0028】
実施例1
(イ)酵母の調製
ポテトデキストロース寒天スラントで保存しているキャンジダ・ケフィア、イサチェンキア・オリエンタリス、ハンセニアスポラ・ウヴァラム、クロエッケラ・アフリカーナ、クルイベロマイセス・マルキシアナス、クルイベロマイセス・ラクチス、ピチア・ファリノサ及びトルラスポラ・デルブルエッキーのそれぞれの1白金耳を、表6に示す培地100mlを含むそれぞれの坂口フラスコ(500ml)に植菌し、30℃で振とう培養(120spm)した。
2日後に10リッター発酵槽(実働容積7L)に坂口フラスコ2本分を接種して30℃にて、通気速度0.5vvm、回転速度250rpm、pH6.0(5Nの水酸化ナトリウムで自動制御)の条件下で2日間、通気攪拌培養した。
【0029】
培養終了後、冷却遠心分離機を使用して菌体と上清を分けたのち、菌体を蒸留水で2度洗浄した。この洗浄菌体を2リッターの三角フラスコに入れ、蒸留水1リッターを加えた後、115℃にて10分間オートクレーブで加熱した。この加熱菌体をそのまま凍結乾燥し、ラットの経口投与試料に供した。
【0030】
【表6】
Figure 0004065360
【0031】
(ロ)試験飼料の調製
(イ)で製造した酵母を用い、下記表7の組成の飼料を常法により混合し調製した。各試験飼料ともコレステロール0.5%、コール酸ナトリウム0.25%を含むコレステロール添加食とし、酵母含有飼料には酵母凍結乾燥菌体5%又は10%を添加した。
【0032】
【表7】
Figure 0004065360
【0033】
試験方法 コレステロール低下作用
▲1▼ 試験飼料
実施例1(ロ)で調製したものを用いた。
【0034】
▲2▼ 動物及び飼育方法
a)10%酵母含有飼料投与群
5週齢のWistar系雄ラット(日本クレア製)を、オリエンタル酵母製F−2粉末飼料で7日間予備飼育した後、1群8匹ずつ群分けし、表7の10%酵母含有飼料を7日間投与した。ラットは金属製ケージで群飼いし、飼料及び水は自由に摂取させた。
【0035】
b)5%酵母含有飼料投与群
5週齢のWistar系雄ラット(日本クレア製)を、オリエンタル酵母製F−2粉末飼料で7日間予備飼育した後、1群8匹ずつ群分けし、表7の5%酵母含有飼料を14日間投与した。ラットは金属製ケージで個別飼いし、飼料投与量は1日15gの制限食とし、水は自由に摂取させた。
【0036】
▲3▼ 血漿脂質の測定
a)10%酵母含有飼料投与群
投与開始から7日目にネンブタール麻酔下(非絶食)で腹部大動脈よりカニューレ採血し、血漿コレステロール濃度及び血漿HDL濃度を測定した。総コレステロール濃度は日立7170型生化学自動分析機を使用して測定した。
HDLコレステロール濃度は協和メディックス製デタミナHDLを使用してHDL成分以外のリポ蛋白成分を沈降させた後、日立7170型生化学自動分析機を使用して測定した。
【0037】
b)5%酵母含有飼料投与群
投与開始から7日目に尾静脈から採血し、血漿コレステロール濃度及び血漿HDL濃度を測定した。総コレステロール濃度は日立7170型生化学自動分析機を使用して測定した。
HDLコレステロール濃度は協和メディックス製デタミナHDLを使用してHDL成分以外のリポ蛋白成分を沈降させた後、日立7170型生化学自動分析機を使用して測定した。
【0038】
▲4▼ 肝臓脂質の測定
生理食塩水で肝臓を灌流した後、採取した肝臓を凍結乾燥した。脂質の抽出はFolch らの方法に従い、クロロホルム:メタノール(2:1)で行った。その後、クロロホルム下層を濃縮乾固し、エタノールで再度希釈して各種肝臓脂質成分の測定に供した。肝臓脂質のうちコレステロール量はデタミナTC555を用いて測定した。
【0039】
動物試験成績の評価法
▲1▼ 統計手法
各動物試験の結果は、Bartlett法によ分散の均一性を検定した後、等分散の場合は、一次元配置の分散分析を経てDunnett型の多重比較検定を、不等分散の場合(Bartlett法により有意水準5%で検定を行い、有意差が得られた検定対象)はKruskal-Wallisの検定を経てDunnett型の多重比較検定を行った。Dunnett型の多重比較検定では有意水準を5%及び1%に設定し、各水準で検定を行った。
【0040】
▲2▼ 各脂質成分の低下率の求め方
<血漿中のコレステロール低下率>
血漿コレステロール低下率100%とは、コレステロールを含まない餌を投与した普通食群のラットの血漿コレステロール値と同じレベルまで血漿コレステロール値が低下したことを示す。また、血漿コレステロール低下率0%とは、コレステロール添加食を投与した対照群のラットの血漿コレステロール値と同じレベルまで血漿コレステロール値が上昇したことを示す。
【0041】
▲3▼ 動脈硬化指数(Atherosclerotic Index)
動脈硬化指数(AI)は、
【0042】
【数1】
AI=(VLDLコレステロール値+LDLコレステロール値)/HDLコレステロール値
【0043】
で表されるが、血漿脂質の値から具体的に計算する場合には、血漿総コレステロール値と血漿HDLコレステロール値を用いて、次式から求めた。
【0044】
【数2】
AI=(血漿総コレステロール値−血漿HDLコレステロール値)/血漿HDLコレステロール値
【0045】
動脈硬化指数の改善率は、各酵母含有飼料投与群のAI値とコレステロール添加食投与群(対照群)及び普通食群のAI値とから算出した。ここで動脈硬化指数改善率100%とは、コレステロール非添加食群のAI値と同じ値であることを示す。また、動脈硬化指数改善率0%とは、コレステロール添加食群(対照群)と同じAI値であることを示す。
【0046】
▲4▼ 体重測定
ラットの体重は入荷時に測定し、各群間で有意な体重差が出ないように群分けして、予備飼育を開始した。また、本試験開始時と試験終了時に体重測定を行った。
【0047】
上記の試験方法は、以下の予備試験や実施例に使用する。
【0048】
予備試験:
採血はコレステロール添加食の投与開始後、0日目、5日目及び8日目に尾静脈から、また、14日目にはネンブタール麻酔下に腹部大動脈から行った。採取した血液から血漿を分離した後、各脂質成分を酵素法で測定した。
その結果、図1に示すように、コレステロール投与群の血漿コレステロール値は5日目には最大値近くまで上昇した。その後、14日目まで若干の上昇が認められたものの、ほとんど大きな変化は認められなかった。一方、コレステロール非添加食(コレステロール添加食からコレステロールとコール酸ナトリウムを除いたもの)投与群の血漿コレステロール値は試験期間中も上昇せず、やや漸減する傾向が認められた。
【0049】
表8に、コレステロール添加食投与開始後14日目の血漿脂質の値を示した。コレステロール非添加食群のコレステロール値が72.5mg/dlであるのに対して添加食群のそれは325.3mg/dlであり、約4.5倍上昇しているのがわかる。それに反して、血漿HLDコレステロール値はそれぞれ45.9mg/dlに対して31.4mg/dlと有意に低下している。
【0050】
【表8】
Figure 0004065360
【0051】
表9に、コレステロール添加食投与開始後14日目の肝臓中の脂質含量を示した。コレステロール添加食群のコレステロール値は非添加食群のそれに比べて約20倍高い値を示している。
【0052】
【表9】
Figure 0004065360
【0053】
実施例2
実施例1に示す方法でジャー培養を行い、各200gの凍結乾燥菌体(110℃にて10分加熱処理したもの)を調製した。これをコレステロール添加食にそれぞれ10%混餌(表7の10%酵母群)して、1群8匹の群飼いで、7日間、自由に摂餌させた。
表10〜表12に高コレステロール食を投与した対照群の血漿コレステロール値に比較したときのコレステロール低下率及び動脈硬化指数の改善率(%)を示した。なお、いずれの群も体重に有意な変化は認められなかった。
【0054】
【表10】
Figure 0004065360
【0055】
【表11】
Figure 0004065360
【0056】
【表12】
Figure 0004065360
【0057】
実施例3:10%酵母添加食投与試験
試験方法;
実施例1(イ)に示す方法でジャー培養を行い、各200gの凍結乾燥菌体を調製した。この調製した凍結乾燥菌体をコレステロール添加食にそれぞれ10%混餌(表7の10%酵母群)して、1群8匹の群飼いで、7日間、自由に摂取させた。表13に血漿脂質の測定結果を示す。
【0058】
【表13】
Figure 0004065360
【0059】
コレステロールを添加した高脂肪食を与えることにより、対照群では総コレステロール値が増加し、動脈硬化指数は7.97〜9.62まで上昇したが、同じ高脂肪食でも本願発明にかかる酵母菌体を10%添加した試験群では、上記分析項目のすべてにおいて数値の上昇が顕著に抑制されているのがわかる。このように、クルイベロマイセス マルキシアナス YIT8292、クルイベロマイセス ラクチス YIT8263、ハンセニアアスポラ ウヴァラム YIT8164、イサチェンキア オリエンタリス YIT8266、キャンジダ ケフィア YIT8237、ピチア ファリノサ YIT8058はいずれも極めて高い血漿コレステロール低下率を示し、動脈硬化指数を改善した。
【0060】
実施例4:5%酵母添加食投与試験
5週齢の雄ウイスターラットを用いて実施例3と同様の試験を行った。ただし、試験群の飼料に添加する酵母凍結乾燥菌体をそれぞれ5%混餌(表7の5%酵母群)して、1群8匹の個別飼いで、14日間、1日15gの制限食を与えた。血漿脂質の分析結果は表14に示す通りであって、高脂肪食を与えることにより対照群では総コレステロール値、動脈硬化指数が上昇したが、同じ高脂肪食でも5%の酵母菌体を添加した試験群では上記分析項目のすべてにおいて上昇が顕著に抑制された。
【0061】
【表14】
Figure 0004065360
【0062】
表15に肝臓脂質の測定結果を示した。肝臓総コレステロール量は対照群に比べていずれの試験群も有意に低下した。このように、本願発明にかかる酵母は、その経口投与によって血漿脂質の低下作用だけでなく、肝臓脂質の低下作用も示す優れた抗コレステロール素材であることが分かる。
【0063】
【表15】
Figure 0004065360
【0064】
実施例5
実施例1で得た酵母菌体を使用し、下記の飲食物を製造した。
【0065】
【表16】
1)健康向け食品(錠剤)
次の添加物を含有する組成物を打錠し、錠剤とした。
Figure 0004065360
【0066】
【表17】
2)健康向け飲料
次の処方により健康飲料を製造した。
Figure 0004065360
【0067】
【表18】
3)果汁飲料
次の処方により健康飲料を製造した。
Figure 0004065360
【0068】
4)発酵乳
次の処方により加熱酵母菌体入り発酵乳を製造した。
10%の脱脂粉乳と5%のグルコースを滅菌し、ラクトバチラス属細菌を植菌してヨーグルトを製造した。これに実施例1で得た加熱酵母菌体を0.1〜20%混合し、発酵乳を製造した。
【0069】
5)乳酒
次の処方により乳酒を製造した。
10%の脱脂粉乳と5%のグルコースを滅菌し、ラクトバチラス属細菌を植菌すると同時に実施例1で得た酵母を植菌し、48時間37℃にて静置培養して乳酒を製造した。
【0070】
【発明の効果】
上述の酵母の菌体又はその構成物からなる本願発明のコレステロール低下剤は顕著な血漿コレステロール低下作用、肝臓コレステロール低下作用を示し、動脈硬化その他コレステロール蓄積が原因の疾患の予防に極めて有効なものである。
【0071】
しかも、本願発明に用いる酵母は古くからチーズや馬乳酒、ワイン製造等に使用されていることから明らかなように病原性のない安全な酵母であり、その菌体あるいは構成物からなる本願発明のコレステロール低下剤も、ラットに経口投与した場合8g/kgの投与量でも死亡例は認められず、長期間投与しても安全性には問題がない。
従って、本発明のコレステロール低下剤は経口投与する医薬として利用するほか、食品に混合して日常的に摂取させ、動脈硬化予防と健康増進に役立たせるのにも適した極めて有利なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】コレステロール添加食と無添加食投与群の血漿コレステロール値を示す図である。

Claims (3)

  1. イサチェンキア・オリエンタリス、ハンセニアスポラ・ウヴァラム、クロエッケラ・アフリカーナ、クルイベロマイセス・マルキシアナス、クルイベロマイセス・ラクチス、ピチア・ファリノサ及びトルラスポラ・デルブルエッキーYIT8114(生命工学工業技術研究所菌寄第17477号)から選ばれる酵母の1種又は2種以上を有効成分して含有するコレステロール低下剤。
  2. イサチェンキア オリエンタリスYIT8266(生命工学工業技術研究所菌寄第17481号)、ハンセニアスポラ ウヴァラムYIT8164(生命工学工業技術研究所菌寄第17478号)、クロエッケラ アフリカーナYIT8165(生命工学工業技術研究所菌寄第17479号)、クルイベロマイセス マルキシアナスYIT8292(生命工学工業技術研究所菌寄第17483号)、クルイベロマイセス ラクチスYIT8263(生命工学工業技術研究所菌寄第17482号)、ピチア ファリノサYIT8058(生命工学工業技術研究所菌寄第17476号)及びトルラスポラ デルブルエッキーYIT8114(生命工学工業技術研究所菌寄第17477号)から選ばれる酵母の1種又は2種以上を有効成分して含有するコレステロール低下剤。
  3. イサチェンキア オリエンタリスYIT8266(生命工学工業技術研究所菌寄第17481号)、ハンセニアスポラ ウヴァラムYIT8164(生命工学工業技術研究所菌寄第17478号)、クロエッケラ アフリカーナYIT8165(生命工学工業技術研究所菌寄第17479号)、クルイベロマイセス マルキシアナスYIT8292(生命工学工業技術研究所菌寄第17483号)、クルイベロマイセス ラクチスYIT8263(生命工学工業技術研究所菌寄第17482号)、ピチア ファリノサYIT8058(生命工学工業技術研究所菌寄第17476号)及びトルラスポラ デルブルエッキーYIT8114(生命工学工業技術研究所菌寄第17477号)から選ばれる酵母の1種又は2種以上を含有する飲食品。
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