JP4064378B2 - 導波路ホログラムにおける外部光の結合方法及び結合装置 - Google Patents
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Description
製造後の物品に対して何らかのシールを貼付することで、物品の偽造を防止すると同時に、安全性を向上させるには、貼付するシールは以下の基準を満たしていることが望ましい。
(2)正当な製造者は安価に製造することができること。
(3)真贋の判別が容易であること。
(4)簡単に貼ることができるが、剥がすことは困難であること。
(5)たとえ剥がすことができたとしても、剥がすと二度と使えなくなること。
(6)重要度に応じて安全性のレベルを変更することができること。
等々である。
しかしながら、従来のホログラム情報記録媒体においては、記憶容量に優れたものは大量生産ができず、印刷技術を応用した大量生産が可能なものは記憶密度が制限されるために大きな記憶容量を確保することができない等、様々な問題点がある。そこで、本発明者等は、偽造が困難でしかも大量生産可能な平面ホログラムの原理を用いる一方で、この平面ホログラムを多層に重ね、かつ、各層からのホログラムを独立に再生することを可能とした再生専用多重ホログラムカードを提案した(特許文献2参照)。
この再生専用多重ホログラムカード1では、屈折率が1.48程度の通常の高分子材料を用いてコアとクラッドを作製する場合、シングルモード条件からコアの厚みを2.4μm以下にする必要がある。また、コア間のクロストークを押さえるため、クラッドの厚みを6μmより十分厚くする必要がある。
すなわち、本発明の導波路ホログラムにおける外部光の結合方法は、平面型光導波路に外部から該平面型光導波路内に入射する外部光を該平面型光導波路に結合させて導波光とするグレーティングからなる外部光結合用ホログラムを有する導波路ホログラムにおける外部光の結合方法であって、レーザ光源または光ファイバの出射端から出射される光をレンズを用いて前記外部光結合用ホログラムの入力部にて平面波とすると共に、前記レーザ光源または前記出射端を振動手段を用いて前記レンズの光軸に対し垂直方向に振動させることにより、前記平面波の前記入力部に入射する入射方向を振動させ、この入射方向の振動の方向を前記導波光の進行方向に一致させることにより、前記平面波を外部光として前記平面型光導波路に結合させることを特徴とする。
本発明の第2の導波路ホログラムにおける外部光の結合装置は、平面型光導波路に外部から該平面型光導波路内に入射する外部光を該平面型光導波路に結合させて導波光とするグレーティングからなる外部光結合用ホログラムを有する導波路ホログラムにおける外部光の結合装置であって、レーザ光源と、このレーザ光源からの出射光を導波する光ファイバと、この光ファイバの出射端から出射される光を前記外部光結合用ホログラムの入力部にて平面波とするレンズと、前記出射端を前記レンズの光軸に対し垂直方向に振動させることにより、前記平面波の前記入力部に入射する入射方向を振動させる振動手段と、を備え、前記入射方向の振動の方向を前記導波光の進行方向に一致させることにより、前記平面波を外部光として前記平面型光導波路に結合させることを特徴とする。
ここで、可視光用レーザーを用いることは、一般の使用者には、どの様な情報が書かれているか知ることが困難であるから、セキュリティの向上に資する。
さらに、光導波路を形成する技術が必要であるから、微細加工技術と導波路化技術を同時に有する必要がある。この様な技術が一般に広まるためには、なお10年単位の時間が必要になろう。
一方、原盤作製と導波路化技術を有する機関であれば、大量生産可能であることが導波路ホログラムのメリットであるから、上述した基準(1)および基準(2)は、導波路ホログラムそのものの特性として、ある程度満たされているものである。
[第1の参考の形態]
図1は、本発明の前提となる第1の参考の形態の導波路ホログラム型偽造防止シールを示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は入力部を拡大した一部拡大断面図であり、図において、符号11は入力部、12はホログラムが形成された出力部、13は導波路を構成するクラッド、14は同コア、15は同クラッド、16は周期がλ/nの微細な凹凸からなるグレーティングである。また、21は平面波からなる外部光、22は導波光、23は回折光である。
この偽造防止シールは、上述した基準(3)を満足するために、導波路ホログラムヘの外部光の結合方法に細工を施したもので、グレーティング16による外部光の結合を行う構成である。
このとき、周期がλ/nのグレーティング16と外部光21との相互作用により、ほぼグレーティングベクトルの方向に進行する導波光22が発生する。ここで、入力部11のグレーティングベクトルの方向に、ホログラムが形成されている出力部12を形成しておけば、回折光23を得ることができる。
図2は、本発明の前提となる第2の参考の形態の導波路ホログラム型偽造防止シールを示す断面図であり、(a)は入力光が導波路に結合しない場合、(b)は入力光が導波路に接合する場合をそれぞれ示している。
ここで、位相変調と、その暗号鍵化について説明する。
入力光が導波路に結合しない場合(a)と、入力光が導波路に結合する場合(b)とは、入力光41、43の位相が異なるために、結果が異なる。
図3は、本発明の前提となる第3の参考の形態の導波路ホログラム型偽造防止シールを示す断面図であり、(a)は入力光が導波路に結合しない場合、(b)は入力光が導波路に接合する場合をそれぞれ示している。
入力光が導波路に結合しない場合(a)、入力光61は平面波であって、ここでは図2と異なりクラッド51の表面には凹凸が無いので、クラッド51を進む入力光62も平面波である。しかし、コア52に形成されている領域Aと領域Bで反転したグレーティング54が変調され、領域Aと領域Bで180°異なる位相の導波光を生成するため、うち消しあう。したがって、外部光である入力光61が導波路に結合しないので、再生像も得られない。
この偽造防止シールにおいても、外部光の変調を伴って初めて再生像を得るようにすることができる。
偽造が疑われる時には、通常は使わない層と波長と位相パターンを用いる。
この構成を第2の参考の形態の偽造防止シールに付加する場合には、入力部の位置は互いに重ならないように配置する必要があるが、この構成を第3の参考の形態の偽造防止シールに付加する場合には、入力部は互いに重なりがあっても良い。
図4は、本発明の前提となる第4の参考の形態の導波路ホログラム型偽造防止シールを備えた物品を示す部分断面図であり、図において、符号71は被接着物、72は導波路ホログラム型偽造防止シール、73は透明カバーシール(透明シール)、74は被接着物71と透明カバーシール73との接着部、75は偽造防止シール72と透明カバーシール73との接着部、76は偽造防止シール72と被接着物71との接着部である。
偽造防止シール72は、クラッド81、コア82及びクラッド83により構成されている。ここでは、偽造防止シール72のコア82は1層しか示していないが、複数あってもよい。
Asb>>Acc ……(2−1)
Awb>>Acc ……(2−2)
Asw>>Acc ……(2−3)
を満たしている。
以上により、透明カバーシール73を剥がそうと試みると、この透明カバーシール73が剥がれる前に、コア82とクラッド81、83との間の接着部分で剥がれることになり、二度と光を導波することはない。したがって、上述した基準(5)を満たすことができる。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る外部光の結合方法及び結合装置とその前提となる導波路ホログラム型偽造防止シールを示す図で、(a)は上面図、(b)は側面図であり、図において、符号91は偽造防止シールの入力部、92は同出力部である。この偽造防止シールは、ポリカーボネートシート93上に、クラッド94、コア95、クラッド96が順次積層され、このポリカーボネートシート93の裏面が接着面とされている。また、符号97は半導体レーザ、98は凸レンズ、99は導波光、100は回折光、101はボイスコイル等の振動手段により半導体レーザ97に与えられた振動である。
この偽造防止シールは、厚み221μm×幅1mm×長さ3cmの細長いシートである。このシートの長手方向の一方の端部に1mm×1mmの大きさの一様グレーティングからなる入力部91が、もう一方の端部に1mm×1mmの大きさの出力部92が形成されている。入力部91の一様グレーティングは、ピッチ0.44μm×深さ0.2μm×デューティ50%のグレーティングであり、入力部91のクラッド94にスタンパを押しつける事により形成される。
この偽造防止シールは、コア95を屈折率1.52、クラッド94、96を屈折率1.50のともに紫外線硬化樹脂を用いて作製する。コア95の厚みは1μm、クラッド94、96各々の厚みは10μmである。これらコア95及びクラッド94、96全体の厚みは21μmであるが、この厚みでは薄すぎて皺が寄るのを防げないので、厚み200μmのポリカーボネートシート93で裏打ちされている。
ここで、入力部91への外部光の結合には注意を要する。
一般に、薄膜型ホログラムにおいては、導波路型ホログラムから外部への回折にはブラッグ条件が課せられなかった。その理由は、外部への回折光の回折角度に自由度があったためである。
出力部92は、回折光100が導波路から10cm離れた位置に、1cm×1cmの大きさの像を結ぶように設計される。このように、導波路から10cm程度離せば、像の大きさを1mm×1mmの大きさから1cm×1cmの大きさに拡大結像させることは容易である。また、人間の目による観察も、1cm×1cmの大きさであれは容易である。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る外部光の結合方法及び結合装置とその前提となる導波路ホログラム型偽造防止シールを示す図で、(a)は上面図、(b)は側面図であり、図において、符号111は偽造防止シールの波長680nm用入カ部、112は同532nm用入力部、113は同出力部である。この偽造防止シールは、ポリカーボネートシート93上に、厚み10μmのクラッド114、厚み0.7μmの532nm用コア115、厚み10μmのクラッド116、厚み1μmの680nm用コア117、厚み10μmのクラッド118が順次積層され、このポリカーボネートシート93の裏面が接着面とされている。
また、上層のコア117が波長680nm用、下層のコア115が波長532nm用で、YAG・SHGレーザのレーザ光が好適である。波長680nm用入カ部111は、532nm用入力部112に重ならないように形成される。出力部113は、上層のコア117及び下層のコア115に共通であるが、もちろん、層が異なる。
クラッド114、116、118の厚みはすべて10μmであるが、コア115の厚みは0.7μm、コア117の厚みは1μmであるから、200μmの厚みのポリカーボネートシート93と併せると、トータルで231.7μm厚となる。
680nm用入カ部111は、ピッチ0.44μm×深さ0.2μm×デューティ50%のグレーティングにより構成され、532nm用入力部112は、ピッチ0.35μm×深さ0.2μm×デューティ50%のグレーティングにより構成されている。
また、凸レンズ123およびボイスコイル等の振動手段が必要な点は、上述した第1の実施の形態と同様である。凸レンズ123の口径や焦点距離、ボイスコイルによる振動条件等は、第1の実施の形態と同様でよい。
図7は、本発明の前提となる第5の参考の形態の導波路ホログラム型偽造防止シールの位相変調のパターンを示す模式図であり、(a)は2×2ピクセルからなる直交位相の全種類(ここでは、4種類)のパターンを示し、(b)は4×4ピクセルからなる直交位相の全種類(ここでは、16種類)のパターンを示し、(c)及び(d)は16×16ピクセルからなる直交位相の256種類のうち2種類のパターンを示している。特に、(c)は本実施の形態での使用を仮定した直交位相パターンである。
これらの図では、白抜きの部分と、斜線の部分とで、位相が180°異なる。すなわち、白抜きの部分同士、斜線の部分同士では、それぞれ同位相である。
この参考の形態の偽造防止シールでは、導波路ホログラムの形状は、入力部91に形成されたグレーティング、および入力レンズ系である半導体レーザ97及び凸レンズ98を除いて、上述した第1の実施の形態の前提となる偽造防止シールと同一である。
一般に、N×Nのピクセルによる位相変調を用いた場合、N2種類の直交位相パターンが存在しうる。図7では、(a)2×2ピクセルによる4パターン、(b)4×4ピクセルによる16パターン、(c)及び(d)16×16ピクセルによる256パターンのうち2パターン、をそれぞれ示している。
ここで、(c)に示されるような市松模様の位相パターンを選んだとする。この図では、白と黒では180°位相が異なる。
入力部91は1mm×1mmの大きさであるから、16×16ピクセルである位相パターンは、各ピクセルサイズが62.5μm×62.5μmである。
図において、131は偽造防止シールの入力部、132は位相マスク(位相変調手段)、133は凸レンズ、134は半導体レーザ、135は図示しないボイスコイルによる振動、136はフーリエ変換レンズ、137はコリメートレンズである。凸レンズ133は直径1.5mm、焦点距離f=3mm程度のものが用いられる。
また、第3の参考の形態においては、図7(c)の黒部分が領域Aに、白部分が領域Bにそれぞれ相当しており、領域Aと領域Bとでグレーティングの位相が反転する構成とされている。
ただし、この方法のメリットは、入力ビームの位置ずれに対して許容度が大きくなるという点にある。
さらに、複数のホログラムが積層された偽造防止シールを用いれば、安全性のレベルを上げることができる。
本発明の前提となる第6の参考の形態の導波路ホログラム型偽造防止シールは、第1の実施の形態の前提となる偽造防止シールとほぼ同等の偽造防止シールを用いる。ただし、コアの材料が異なる。
接着部74〜76は全て二液混合タイプのエポキシ系接着剤を用いる。また、コア82にフッ素添加の紫外線硬化樹脂を用いることで、コア82とクラッド81、83との間の接着強度を弱める。
2−1〜2−n クラッド
3−1〜3−n−1 コア
4 反射面
5 レーザー光
6 凸レンズ
7 導波光
8 散乱要因
9 回折光
10 ホログラム像
11 入力部
12 出力部
13 クラッド
14 コア
15 クラッド
16 グレーティング
21 外部光
22 導波光
23 回折光
31、33、36、38 クラッド
32、37 コア
34、39 凹凸
35、40 一様グレーティング
41 平面波の入力光
42 変調された入力光
43 予め位相変調された入力光
44 平面波に変換された入力光
45 導波光
51、53、56、58 クラッド
52、57 コア
54、59 反転したグレーティング
61、62 平面波の入力光
63、64 予め位相変調された入力光
65 導波光
71 被接着物
72 導波路ホログラム型偽造防止シール
73 透明カバーシール(透明シール)
74〜76 接着部
81、83 クラッド
82 コア
91 入力部
92 出力部
93 ポリカーボネートシート
94、96 クラッド
95 コア
97 半導体レーザ
98 凸レンズ
99 導波光
100 回折光
101 振動
111 680nm用入カ部
112 532nm用入力部
113 出力部
114、116、118 クラッド
115 532nm用コア
117 680nm用コア
121 680nm用半導体レーザ
122 光ファイバ出射端
123 凸レンズ
124、125 振動
Claims (3)
- 平面型光導波路に外部から該平面型光導波路内に入射する外部光を該平面型光導波路に結合させて導波光とするグレーティングからなる外部光結合用ホログラムを有する導波路ホログラムにおける外部光の結合方法であって、
レーザ光源または光ファイバの出射端から出射される光をレンズを用いて前記外部光結合用ホログラムの入力部にて平面波とすると共に、
前記レーザ光源または前記出射端を振動手段を用いて前記レンズの光軸に対し垂直方向に振動させることにより、前記平面波の前記入力部に入射する入射方向を振動させ、
この入射方向の振動の方向を前記導波光の進行方向に一致させることにより、前記平面波を外部光として前記平面型光導波路に結合させることを特徴とする導波路ホログラムにおける外部光の結合方法。 - 平面型光導波路に外部から該平面型光導波路内に入射する外部光を該平面型光導波路に結合させて導波光とするグレーティングからなる外部光結合用ホログラムを有する導波路ホログラムにおける外部光の結合装置であって、
レーザ光源と、
このレーザ光源から出射される光を前記外部光結合用ホログラムの入力部にて平面波とするレンズと、
前記レーザ光源を前記レンズの光軸に対し垂直方向に振動させることにより、前記平面波の前記入力部に入射する入射方向を振動させる振動手段と、
を備え、
前記入射方向の振動の方向を前記導波光の進行方向に一致させることにより、前記平面波を外部光として前記平面型光導波路に結合させることを特徴とする導波路ホログラムにおける外部光の結合装置。 - 平面型光導波路に外部から該平面型光導波路内に入射する外部光を該平面型光導波路に結合させて導波光とするグレーティングからなる外部光結合用ホログラムを有する導波路ホログラムにおける外部光の結合装置であって、
レーザ光源と、
このレーザ光源からの出射光を導波する光ファイバと、
この光ファイバの出射端から出射される光を前記外部光結合用ホログラムの入力部にて平面波とするレンズと、
前記出射端を前記レンズの光軸に対し垂直方向に振動させることにより、前記平面波の前記入力部に入射する入射方向を振動させる振動手段と、
を備え、
前記入射方向の振動の方向を前記導波光の進行方向に一致させることにより、前記平面波を外部光として前記平面型光導波路に結合させることを特徴とする導波路ホログラムにおける外部光の結合装置。
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