JP4063710B2 - 電力供給装置および誘導加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱コイルに異なる周波数の電力を供給して被加熱物を誘導加熱させる電力供給装置および誘導加熱装置に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、異なる周波数の電圧を1つの誘導コイルに印加して、例えば歯車などの複雑な被加熱物を加熱処理する誘導加熱装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載の誘導加熱装置は、高周波を供給する第1の変換器と、中周波を供給する第2の変換器とを、1つの誘導コイルに並列に接続している。すなわち、高周波を供給する第1の変換器を直列共振回路として、誘導コイルの無効電力を直列補償するコンデンサにて、中周波を供給する第2の変換器からの中周波の帰還を減衰させている。また、第2の変換器に並列にコンデンサを接続して誘導コイルの無効電力を補償させるとともに、第2の変換器と、第1の変換器および第2の変換器の共通接点との間に、高周波の帰還を抑制させるリアクトルおよびこのリアクトルの無効電力を補償する追加補償のコンデンサの直列回路を直列に接続している。
【0004】
【特許文献1】
特許第3150968号公報(第2頁右欄−第3頁右欄、第3図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載の誘導加熱装置では、高周波を供給する第1の変換器と、中周波を供給する第2の変換器の2つの異なる周波数を供給する変換器が必要で、構造の簡略化が望まれる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて、簡単な構成で異なる周波数による誘導加熱が得られる電力供給装置および誘導加熱装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、誘導加熱コイルに異なる周波数の電力を供給して被加熱物を加熱させる電力供給装置であって、所定の周波数の電圧方形波を供給する発振器と、この発振器の出力側および前記誘導加熱コイル間に直列に接続され前記電圧方形波の基本波で前記誘導加熱コイルとにより直列共振する直列共振回路、および、前記発振器の出力側に接続され前記電圧方形波の高調波成分で前記誘導加熱コイルとにより並列共振する並列共振回路を有した整合回路と、を具備し、前記直列共振回路は、前記発振器の出力側に接続されリアクトルと第1のコンデンサとの直列回路であり、前記並列共振回路は、前記発振器の出力側に前記誘導加熱コイルと並列に接続される第2のコンデンサであることを特徴とした電力供給装置である。
【0008】
この発明では、発振器から所定の周波数の電圧方形波を供給し、発振器の出力側および誘導加熱コイル間に直列に接続した直列共振回路と誘導加熱コイルとにより、電圧方形波の基本波で直列共振させて被加熱物を誘導加熱するとともに、発振器の出力側に接続した並列共振回路と誘導加熱コイルとにより、電圧方形波の高調波成分で直列共振と異なる周波数で並列共振させて被加熱物を誘導加熱する。このことにより、1つの発振器および1つの誘導加熱コイルでも、異なる周波数で異なる加熱状態の誘導加熱が得られる。
そして、リアクトルと第1のコンデンサとの直列回路を発振器の出力側に接続して直列共振回路を構成し、誘導加熱コイルに並列に第2コンデンサを接続して並列共振回路を構成する。このことにより、2つのコンデンサと1つのリアクトルにより、電圧方形波の基本波による誘導加熱と、電圧方形波を構成する高調波成分による誘導加熱との異なる周波数での誘導加熱が得られ、構成の簡略化が容易に図れる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電力供給装置において、前記第2のコンデンサは、前記直列共振回路のリアクトルおよび第1のコンデンサの接続点と、前記発振器の出力側および前記誘導加熱コイルの接続点との間に接続されたことを特徴とする。
【0010】
この発明では、並列共振回路を構成する第2のコンデンサを、直列共振回路のリアクトルおよび第1のコンデンサの接続点と、発振器の出力側および誘導加熱コイルの接点との間に接続する。このことにより、発振器および第2のコンデンサ間における静電容量を第2のコンデンサの静電容量の一部として利用可能となり、第2のコンデンサの静電容量を小さい値に設定可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電力供給装置において、前記第2のコンデンサは、前記直列共振回路の第1のコンデンサおよび前記誘導加熱コイルの接続点と、前記発振器の出力側および前記誘導加熱コイルの接続点との間に接続されたことを特徴とする。
【0012】
この発明では、並列共振回路を構成する第2のコンデンサを、直列共振回路の第1のコンデンサおよび誘導加熱コイルの接続点と、発振器の出力側および誘導加熱コイルの接続点との間に接続する。このことにより、第2のコンデンサが比較的に誘導加熱コイルに対して近い位置に設けられることとなり、高調波成分の電力損失が抑制され、共振による効率的な励起にて効率的な誘導加熱が得られる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電力供給装置において、前記並列共振回路は、静電容量が並列共振の際の共振周波数を所定の高調波成分の周波数に対応する値に設定されたことを特徴とする。
【0014】
この発明では、並列共振回路の静電容量を、並列共振の際の共振周波数が所定の高調波成分の周波数に対応する値に設定する。このことにより、電圧方形波の所定の高調波成分による共振が得られ、電圧方形波の基本波による共振周波数より高い共振周波数での誘導加熱が容易に得られる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の電力供給装置において、前記第2のコンデンサは、前記第1のコンデンサとの直列回路における等価コンデンサの静電容量を並列共振の際の共振周波数が所定の高調波成分の周波数に対応する値となる静電容量に設定されたことを特徴とする。
【0016】
この発明では、第2のコンデンサの静電容量が、第1のコンデンサとの直列回路における等価コンデンサの静電容量を並列共振の際の共振周波数が所定の高調波成分の周波数に対応する値となる状態の値に設定する。このことにより、電圧方形波の基本波による誘導加熱の共振に影響することなく、電圧方形波の所定の高調波成分による共振が容易に得られる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の電力供給装置において、前記第2のコンデンサは、静電容量が並列共振の際の共振周波数を所定の高調波成分の周波数に対応する値に設定されたことを特徴とする。
【0018】
この発明では、第2のコンデンサの静電容量を、並列共振の際の共振周波数を所定の高調波成分の周波数に対応する値に設定する。このことにより、電圧方形波の基本波による誘導加熱の共振に影響することなく、電圧方形波の所定の高調波成分による共振が容易に得られる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、誘導加熱コイルに異なる周波数の電力を供給して被加熱物を加熱させる電力供給装置であって、所定の周波数の電圧方形波を供給する発振器と、この発振器の出力側に接続され前記電圧方形波の基本波で前記誘導加熱コイルとにより直列共振する第1の直列共振回路、および、前記発振器の出力側に接続され前記電圧方形波の高調波成分で前記誘導加熱コイルとにより直列共振する第2の直列共振回路を有した整合回路と、を具備し、前記第1の直列共振回路は、前記発振器の出力側に接続されリアクトルと第1のコンデンサとの直列回路であり、前記第2の直列共振回路は、前記リアクトルに並列でかつ前記第1のコンデンサと直列に接続される第2のコンデンサと前記第1のコンデンサとの直列回路であることを特徴とした電力供給装置である。
【0020】
この発明では、発振器から所定の周波数の電圧方形波を供給し、発振器の出力側に接続した第1の直列共振回路と誘導加熱コイルとにより、電圧方形波の基本波で直列共振させて被加熱物を誘導加熱するとともに、発振器の出力側に接続した第2の直列共振回路と誘導加熱コイルとにより、電圧方形波の高調波成分で直列共振させて被加熱物を誘導加熱する。このことにより、1つの発振器および1つの誘導加熱コイルでも、異なる周波数による異なる加熱状態の誘導加熱が得られる。
そして、リアクトルと第1のコンデンサとの直列回路を発振器の出力側に接続して第1の直列共振回路を構成し、リアクトルに並列でかつ第1のコンデンサと直列に第2のコンデンサを接続して第1のコンデンサとにて直列回路を構成する第2の直列共振回路を構成する。このことにより、2つのコンデンサと1つのリアクトルにより、電圧方形波の基本波による誘導加熱と、電圧方形波を構成する高調波成分による誘導加熱との異なる周波数での誘導加熱が得られ、構成の簡略化が容易に図れる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の電力供給装置において、前記第2の直列共振回路は、静電容量が直列共振の際の共振周波数を所定の高調波成分の周波数に対応する値に設定されたことを特徴とする。
【0022】
この発明では、第2の直列共振回路の静電容量を、直列共振の際の共振周波数が所定の高調波成分の周波数に対応する値となる状態に設定する。このことにより、電圧方形波の所定の高調波成分による共振が得られ、電圧方形波の基本波による共振周波数より高い共振周波数での誘導加熱が容易に得られる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の電力供給装置において、前記第2のコンデンサは、前記第1のコンデンサとの直列回路における等価コンデンサの静電容量を直列共振の際の共振周波数が所定の高調波成分の周波数に対応する値となる静電容量に設定されたことを特徴とする。
【0024】
この発明では、第2のコンデンサの静電容量を、第1のコンデンサとの直列回路における等価コンデンサの静電容量が直列共振の際の共振周波数を所定の高調波成分の周波数に対応する状態の値となるような値に設定する。このことにより、電圧方形波の基本波による誘導加熱の共振に影響することなく、電圧方形波の所定の高調波成分による共振が容易に得られる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、誘導加熱コイルに異なる周波数の電力を供給して前記被加熱物を加熱させる電力供給装置であって、所定の周波数の電圧方形波を供給する発振器と、この発振器の出力側に接続され前記電圧方形波で前記誘導加熱コイルとにより直列共振する共振部と、前記発振器の出力側および前記共振部間に直列に接続され前記電圧方形波のうちの高調波成分を排除して前記誘導加熱コイルに前記電圧方形波を供給させる第1のフィルタ部と、前記発振器の出力側および前記共振部間に直列でかつ前記第1のフィルタ部に並列に接続され前記電圧方形波のうちの基本波成分を排除して前記誘導加熱コイルに前記電圧方形波を供給させる第2のフィルタ部と、を具備し、前記第1のフィルタ部は、リアクトルで、前記電圧方形波の基本波により前記誘導加熱コイルおよび前記共振部とにより直列共振し、前記第2のフィルタ部は、コンデンサで、前記電圧方形波の高調波成分により前記誘導加熱コイルおよび前記共振部とにより直列共振することを特徴とした電力供給装置である。
【0026】
この発明では、発振器から所定の周波数の電圧方形波を供給し、発振器の出力側および共振部間に直列に接続した並列となる第1のフィルタ部および第2のフィルタ部のうち、第1のフィルタ部を透過した電圧方形波の基本波で共振部および誘導加熱コイルとにより直列共振させて被加熱物を誘導加熱するとともに、第2のフィルタ部を透過した電圧方形波の高調波成分で共振部および誘導加熱コイルとにより直列共振させて被加熱物を誘導加熱する。このことにより、1つの発振器および1つの誘導加熱コイルでも、異なる周波数による異なる加熱状態の誘導加熱が得られる。
そして、リアクトルで第1のフィルタ部を構成し、コンデンサにて第2のフィルタ部を構成する。このことにより、電圧方形波の基本波および高調波成分の異なる周波数での誘導加熱が簡単な構成で容易に得られる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の電力供給装置において、前記発振器は、スイッチング素子を有した変圧器を備え、前記スイッチング素子の開閉動作により所定の周波数の電圧方形波を出力することを特徴とする。
【0028】
この発明では、発振器としてスイッチング素子を有した変圧器を設け、スイッチング素子の開閉動作により所定の周波数の電圧方形波を出力させる。このことにより、フーリエ級数にて高調波成分の複合した所定の周波数の電圧方形波として出力させることで、構成が簡単で製造が容易なスイッチング素子を有した変圧器を用いて異なる周波数での誘導加熱が得られる。
【0029】
請求項12に記載の発明は、被加熱物を誘導加熱する誘導加熱コイルと、この誘導加熱コイルに電力を供給して前記被加熱物を誘導加熱させる請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の電力供給装置と、を具備したことを特徴とした誘導加熱装置である。
【0030】
この発明では、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の電力供給装置から誘導加熱コイルに電力を供給して被加熱物を誘導加熱する。このことにより、1つの発振器および1つの誘導加熱コイルでも、異なる周波数で異なる加熱状態の誘導加熱が得られる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の誘導加熱装置における実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態における誘導加熱装置は、例えば被加熱物として表面に複数の凹凸を有した複雑な形状の歯車やねじ、ボルト、ナットなどのほか、複合材料の部材などを加熱処理する構成にて説明するが、これに限らず、いずれの被加熱物をも対象とすることができる。
【0032】
〔第1の実施の形態〕
(誘導加熱装置の構成)
図1は、第1の実施の形態における誘導加熱装置の概略構成を示す回路図である。図1において、100は誘導加熱装置で、この誘導加熱装置100は、被加熱物101を誘導加熱する誘導加熱コイル110と、この誘導加熱コイル110に所定の異なる周波数の電圧を印加して誘導加熱させる電力供給装置120と、を備えている。
【0033】
誘導加熱コイル110は、電力供給装置120に直列に接続されている。そして、誘導加熱コイル110は、電力供給装置120から異なる周波数の交流電力が供給されて被加熱物101を誘導加熱する。また、電力供給装置120は、発振器121と、直列共振回路122Aおよび並列共振回路122Bを備えた整合回路122と、を備えている。
【0034】
そして、発振器121は、基本波が例えば10kHz以上30kHz以下の中周波の電圧方形波を供給する。この発振器121は、コンバータ121Aと、変圧器である電圧形のインバータ121Bと、平滑コンデンサCfと、を備えている。コンバータ121Aは、例えば各種のブリッジ整流回路が用いられる順変換回路で、商用交流電源eに接続されて商用交流電源eを直流電源に変換する。この変換した直流電源は、平滑コンデンサCfを介して適宜平滑されてインバータ121Bへ出力される。インバータ121Bは、電圧形インバータで、コンバータ121Aから出力される直流電源を、一定の周波数、例えば10kHz以上30kHz以下の電圧方形波の単相交流電力に変換する。具体的には、インバータ121Bは、スイッチング素子である図示しないトランジスタなどを有し、スイッチング素子のオンオフ制御により、フーリエ級数により第n高調波(n:奇数の自然数)が重畳した電圧方形波を出力させる。
【0035】
また、直列共振回路122Aは、発振器121から出力される交流電力の電圧方形波の基本波により、誘導加熱コイル110と直列共振して被加熱物101を誘導加熱する。そして、直列共振回路122Aは、リアクトルLと、第1のコンデンサC1と、を備え、リアクトルLと第1のコンデンサC1との直列回路を発振器121のインバータ121Bの出力側と誘導加熱コイル110との間に直列に接続して構成されている。
【0036】
第1のコンデンサC1は、リアクトルLを介して通過するインバータ121Bから出力される交流電力の電圧方形波の基本波で誘導加熱コイル110およびリアクトルLとにより直列共振状態となり、被加熱物101を誘導加熱させる。すなわち、第1のコンデンサC1は、静電容量が電圧方形波の基本波による共振周波数が例えば10kHz以上30kHz以下となる条件に設定されている。この第1のコンデンサC1は、リアクトルLおよび誘導加熱コイル110の無効電力を補償する。ここで、周波数が10kHzより低くなると、高調波も連動して低くなり、誘導加熱効果も弱くなり、良好な誘導加熱が得られにくくなるおそれがある。一方、30kHzより高くなると、高調波も連動して高くなり、誘導加熱効果も弱くなり、良好な誘導加熱が得られなくおそれがある。このことから、直列共振による共振周波数を10kHz以上30kHz以下に設定することが好ましい。
【0037】
さらに、並列共振回路122Bは、発振器121から出力される交流電力の電圧方形波の高調波成分により、誘導加熱コイル110と並列共振して被加熱物101を誘導加熱する。すなわち、基本波に対する第n高調波で誘導加熱コイル110と並列して被加熱物101を誘導加熱する。そして、並列共振回路122Bは、第2のコンデンサC2が直列共振回路122のリアクトルLおよび第1のコンデンサC1の接続点と、インバータ121Bの出力側および誘導加熱コイル110の接点との間に接続に誘導加熱コイル110に対して並列に接続され、直列共振回路122Aと共有の第1のコンデンサC1と、第2のコンデンサC2と、にて構成されている。
【0038】
この並列共振回路122Bは、インバータ121Bから出力される交流電力の電圧方形波の高調波成分である第n高調波で第2のコンデンサC2と誘導加熱コイル110とにより並列共振状態となり、被加熱物101を誘導加熱させる。ここで、直列共振回路122AのリアクトルLおよび第1のコンデンサC1と、並列共振回路122Bを構成する第2のコンデンサC2と、誘導加熱コイル110との回路構成に対応する図2に示すLC等価回路において、インピーダンス(X)と周波数(f)との特性は、以下の数1に示す式および図3に示すグラフのようになる。なお、コンデンサC1,C2の等価コンデンサをCとする。
【0039】
【数1】
第1共振:fs1=1/2π×((L0+L)×C1)1/2
第2共振:fp=1/2π×(L0×C)1/2
第3共振:fs2=1/2π×(L×C2)1/2
【0040】
これら数1および図3に示すように、図2に示すLC等価回路においては、理論上3つの共振回路が構成され、周波数の低い側から、リアクトルL0,LおよびコンデンサC2の直列共振となる第1の共振周波数fs1、リアクトルL0およびコンデンサC1,C2の等価コンデンサCの並列共振となる第2の共振周波数fp、および、リアクトルLおよびコンデンサC2の直列共振となる第3の共振周波数fs2が存在する。
【0041】
このことから、第1のコンデンサC1および第2のコンデンサC2との等価コンデンサの静電容量Cを、並列共振させる周波数が電圧方形波を構成する第n高調波の周波数と対応する条件の値に設定する。具体的には、第1のコンデンサC1および第2のコンデンサC2との等価コンデンサの静電容量をCとした場合、数1からC=C1*C2/(C1+C2)となる。このため、第1のコンデンサC1は直列共振のために静電容量が特定されることから、第2のコンデンサC2の静電容量を適宜設定し、第n次の高調波に対応させればよい。なお、第2のコンデンサC2は、誘導加熱コイル110の無効電力を補償する程度に設定されていればよく、高調波の交流電流にとって低いインピーダンスに設定されることとなる。
【0042】
(誘導加熱装置の動作)
次に、上記第1の実施の形態における誘導加熱装置100の動作を説明する。
【0043】
発振器121から基本波が所定の周波数となる電圧方形波の交流電力が出力されると、直列共振回路122AのリアクトルLおよび第1コンデンサC1と誘導加熱コイル110とが電圧方形波の基本波で直列共振状態となり、被加熱物101を誘導加熱する。また、電圧方形波の交流電力の出力により、並列共振回路122Bの第2のコンデンサC2および第1のコンデンサC1の等価コンデンサと誘導加熱コイル110とが電圧方形波の所定の第n高調波で並列共振状態となり、被加熱物101を誘導加熱する。
【0044】
そして、基本電力となる低周波側となる基本波による電力は発振器121の出力にて調整でき、高周波側となる高調波による電力は低周波側の電力のある一定の比率、すなわち高調波の共振周波数によって例えば20%や30%などと低周波側の電力に追随して制御される。このことから、共振周波数を励起する高周波により近づけることで高周波側の電力が占める比率を高く設定することが可能となる。すなわち、高周波側の電力を適宜調整できる。このように、1つの発振器121および1つの誘導加熱コイル110で、電圧方形波の基本波と第n高調波との異なる周波数、すなわち図4に示す電圧波形で誘導加熱することができる。
【0045】
(第1の実施の形態の効果)
上述したように、上記第1の実施の形態では、発振器121から第n高調波が重畳した所定の周波数の電圧方形波の交流電力を供給し、発振器121の出力側および誘導加熱コイル110間に直接に接続した直列共振回路122Aと誘導加熱コイル110とにより電圧方形波の基本波で直列共振させて誘導加熱するとともに、発振器121の出力側に接続した並列共振回路122Bと誘導加熱コイル110とにより、直列共振と異なる周波数となる電圧方形波の高調波成分である所定の第n高調波で並列共振させて誘導加熱する。このため、1つの発振器121および1つの誘導加熱コイル110でも、異なる周波数で誘導加熱でき、構成が簡略化して製造性の向上およびコストの低減を図ることが容易にできるとともに、構成が簡単なことから保守管理も容易にできる。
【0046】
さらに、1つの発振器121にて誘導加熱するため、従来の異なる周波数をそれぞれ出力する複数の発振器の互いの干渉を防止するための構成が不要となり、構成の簡略化および安定した効率的な誘導加熱が得られる。また、複数の発振器での複雑な電力比例配分のための制御が不要で、安定した良好な誘導加熱ができる。
【0047】
そして、リアクトルLと第1のコンデンサC1との直列回路を発振器121のインバータ121Bの出力側に接続して直列共振回路122Aを構成し、誘導加熱コイル110に並列に第2コンデンサC2を接続して並列共振回路122Bを構成させる。このため、2つの第1のコンデンサC1および第2のコンデンサC2と1つのリアクトルLにより、電圧方形波の基本波による誘導加熱と、電圧方形波を構成する高調波成分のうちの第n高調波による誘導加熱との異なる周波数で誘導加熱でき、容易に構成を簡略化できる。
【0048】
さらに、並列共振回路122Bを構成する第2のコンデンサC2を、直列共振回路122AのリアクトルLおよび第1のコンデンサC1の接続点と、発振器121の出力側および誘導加熱コイル110の接点との間に接続している。このため、発振器121および第2のコンデンサC2間におけるブスバーの静電容量を第2のコンデンサC2の静電容量の一部として利用でき、第2のコンデンサC2の静電容量を小さい値に設定可能となり、第2のコンデンサC2としてコストが安価な小さい静電容量のものを用いることにより、誘導加熱装置100を安価に提供できる。
【0049】
そして、誘導加熱コイル110と並列共振状態となる並列共振回路122Bの等価コンデンサの静電容量Cを、並列共振の際の共振周波数が電圧方形波の所定の高調波成分である第n高調波の周波数に対応する値となるように設定することで、1つの発振器121および誘導加熱コイル110でも、異なる周波数で誘導加熱することが容易にできる。
【0050】
この等価コンデンサの静電容量Cの設定は、並列共振回路122Bを構成する第2のコンデンサC2の静電容量とこの第2のコンデンサC2に直列に接続する第1のコンデンサC1の静電容量とに基づいて求められる。このため、電圧方形波の基本波で直列共振する共振周波数に対応して第1のコンデンサC1の静電容量が設定されるので、第2のコンデンサC2の静電容量が容易に設定され、この第2のコンデンサC2の静電容量を適宜第n高調波の周波数に対応する共振周波数に設定することで、高調波成分のn値が変更されて異なる加熱状態に設定でき、汎用性も向上できる。
【0051】
そして、発振器121としてスイッチング素子を有したインバータ121Bを設け、スイッチング素子の開閉動作により基本波が所定の周波数の電圧方形波を出力させる。このため、フーリエ級数にて高調波成分の複合した所定の周波数の電圧方形波として出力させることで、構成が簡単で製造が容易なスイッチング素子を有したインバータ121Bを用いて異なる周波数での誘導加熱が得られる。すなわち、発振器121として、従来から利用されている構成が簡単で小型のインバータを利用でき、製造性の向上および装置コストの低減を容易に図ることができる。
【0052】
〔第2の実施の形態〕
(誘導加熱装置の構成)
図5は、第2の実施の形態における誘導加熱装置の概略構成を示す回路図である。図5において、200は誘導加熱装置で、この誘導加熱装置200は、図1ないし図4に示す第1の実施の形態と同様の誘導加熱コイル110と、この誘導加熱コイル110に所定の異なる周波数で電圧を印加して誘導加熱させる電力供給装置220と、を備えている。なお、誘導加熱装置200において、図1に示す誘導加熱装置100と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
そして、電力供給装置220は、第1の実施の形態と同様の発振器121と、整合回路222と、を備えている。そして、整合回路222は、第1の実施の形態と同様の直列共振回路122Aと、並列共振回路222Bと、を備えている。この並列共振回路222Bは、第2のコンデンサC2にて構成され、この第2のコンデンサC2が第1の実施の形態の誘導加熱装置100における並列共振回路122Bの等価コンデンサに対応する。すなわち、誘導加熱装置200は、第1の実施の形態の誘導加熱装置100の並列共振回路122Bを構成する第2のコンデンサC2を、第1のコンデンサの2次側に接続、具体的には第1のコンデンサC1と誘導加熱コイル110との接続点と、インバータ121Bの出力側および誘導加熱コイル110の接点との間に接続し誘導加熱コイル110に対して並列に接続した構成である。そして、第2のコンデンサC2の静電容量は、並列共振させる周波数が電圧方形波を構成する第n高調波の周波数と対応する条件の値に設定される。この並列共振回路222Bは、発振器121から出力される交流電力の電圧方形波の高調波成分により、誘導加熱コイル110と並列共振、すなわち誘導加熱コイル110と第2のコンデンサC2との並列共振にて被加熱物101を誘導加熱する。
【0054】
(誘導加熱装置の動作)
次に、上記第2の実施の形態における誘導加熱装置200の動作を説明する。
【0055】
発振器121から基本波が所定の周波数となる電圧方形波の交流電圧が出力されると、直列共振回路122AのリアクトルLおよび第1のコンデンサC1と誘導加熱コイル110とが電圧方形波の基本波で直列共振状態となり、被加熱物101を誘導加熱する。また、電圧方形波の交流電力の出力により、並列共振回路222Bの第2のコンデンサC2と誘導加熱コイル110とが電圧方形波の所定の第n高調波で並列共振状態となり、被加熱物101を誘導加熱する。
【0056】
そして、基本電力となる低周波側となる基本波による電力は発振器121の出力にて調整でき、高周波側となる高調波による電力は低周波側の電力のある一定の比率、すなわち高調波の共振周波数によって例えば20%や30%などと低周波側の電力に追随して制御される。このことから、共振周波数を励起する高周波により近づけることで高周波側の電力が占める比率を高く設定することが可能となる。すなわち、高周波側の電力を適宜調整できる。このように、1つの発振器121および1つの誘導加熱コイル110で、電圧方形波の基本波と第n高調波との異なる周波数で誘導加熱することができる。
【0057】
(第2の実施の形態の効果)
上述したように、上記第2の実施の形態では、1つの発振器121および誘導加熱コイル110でも、第1の実施の形態と同様に、電圧方形波の基本波で直列共振回路122Aおよび誘導加熱コイル110による直列共振と、電圧方形波の第n高調波で並列共振回路222Bと誘導加熱コイル110による並列共振との異なる周波数での誘導加熱が得られ、構成が簡略化して製造性の向上およびコストの低減を図ることが容易にできる。さらに、2つの第1のコンデンサC1および第2のコンデンサC2と1つのリアクトルLにより、電圧方形波の基本波による誘導加熱と、電圧方形波を構成する高調波成分のうちの第n高調波による誘導加熱との異なる周波数で誘導加熱でき、容易に構成を簡略化できる。
【0058】
また、第2の実施の形態では、並列共振回路222Bの第2のコンデンサC2を、直列共振回路122Aの第1のコンデンサC1および誘導加熱コイル110の接続点と、インバータ121Bの出力側および誘導加熱コイル110の接続点との間に接続している。このため、第2のコンデンサC2が比較的に誘導加熱コイル110に対して近い位置に設けられることとなり、高調波成分の電力損失を抑制でき、共振による効率的な励起にて効率的な誘導加熱を得ることができる。
【0059】
さらに、第2のコンデンサC2の静電容量を並列共振の際の共振周波数が第n高調波の周波数に対応する値に設定して、第n高調波で並列共振させて誘導加熱することができ、適宜第n高調波の周波数に対応する共振周波数に設定することで、高調波成分のn値が変更されて異なる加熱状態に設定でき、汎用性も向上できる。
【0060】
〔第3の実施の形態〕
図6は、第3の実施の形態における誘導加熱装置の概略構成を示す回路図である。図6において、300は誘導加熱装置で、この誘導加熱装置300は、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の誘導加熱コイル110と、この誘導加熱コイル110に所定の異なる周波数で電圧を印加して誘導加熱させる電力供給装置320と、を備えている。そして、電力供給装置320は、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様の発振器121と、第1の直列共振回路322Aおよび第2の直列共振回路322Bを備えた整合回路322と、を具備している。なお、誘導加熱装置300において、誘導加熱装置100,200と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
そして、第1の直列共振回路322A、発振器121から出力される交流電力の電圧方形波の基本波により、誘導加熱コイル110と直列共振して被加熱物101を誘導加熱する。この第1の直列共振回路322Aは、第1のフィルタ部となるリアクトルLと、共振部となる第1のコンデンサC1と、を備え、リアクトルLおよび第1のコンデンサC1の直列回路を発振器121のインバータ121Bの出力側と誘導加熱コイル110との間に直列に接続して構成されている。
【0062】
そして、第1のコンデンサC1は、リアクトルLを介して通過するインバータ121Bから出力される交流電圧の電圧方形波の基本波で誘導加熱コイル110およびリアクトルLとにより直列共振状態となり、被加熱物101を誘導加熱させる。すなわち、第1のコンデンサC1は、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に、静電容量が電圧方形波の基本波による共振周波数が例えば10kHz以上30kHz以下となる条件に設定されている。
【0063】
また、第2の直列共振回路322Bは、第2のフィルタ部となる第2のコンデンサC2が第1の直列共振回路322AのリアクトルLに並列でかつ第1のコンデンサC1に直列に接続され、第1の直列共振回路322Aと共有の第1のコンデンサC1と、第2のコンデンサC2と、にて構成されている。そして、第2の直列共振回路322Bは、発振器121から出力される交流電圧の電圧方形波の高調波成分により、誘導加熱コイル110と直列共振して被加熱物101を誘導加熱する。すなわち、電圧方形波の高調波成分の第n高調波で、第1のコンデンサC1および第2のコンデンサC2の等価コンデンサと誘導加熱コイル110とが直列共振状態となり、被加熱物101を誘導加熱させる。
【0064】
ここで、リアクトルL、第1のコンデンサC1、第2のコンデンサC2および誘導加熱コイル110との回路構成に対応する図7に示すLC等価回路において、インピーダンスと周波数との特性は、以下の数2に示す式のようになる。コンデンサC1,C2の等価コンデンサをCとする。そして、インピーダンス(X)と周波数(f)との関係のグラフは、図3に示す関係と同様となるので省略する。
【0065】
【数2】
第1共振:fs1=1/2π×((L0+L)×C1)1/2
第2共振:fp=1/2π×(L×C2)1/2
第3共振:fs2=1/2π×(L0×C)1/2
【0066】
これら数2に示すように、図7に示すLC等価回路においては、理論上3つの共振回路が構成され、周波数の低い側から、リアクトルL0,LおよびコンデンサC1の直列共振となる第1の共振周波数fs1、リアクトルLおよびコンデンサC2の並列共振となる第2の共振周波数fp、および、リアクトルL0およびコンデンサC1,C2の等価コンデンサCの直列共振となる第3の共振周波数fs2が存在する。
【0067】
このことから、第1のコンデンサC1および第2のコンデンサC2との等価コンデンサの静電容量Cを、直列共振させる周波数が電圧方形波を構成する第n高周波の周波数と対応する条件の値に設定する。具体的には、第1のコンデンサC1および第2のコンデンサC2との等価コンデンサの静電容量をCとした場合、数2からC=C1*C2/(C1+C2)となる。このため、第1のコンデンサC1は電圧方形波の基本波による直列共振のために静電容量が特定されることから、第2のコンデンサC2の静電容量を適宜設定し、第n次の高調波の周波数となる共振周波数にするように設定すればよい。
【0068】
(誘導加熱装置の動作)
次に、上記第3の実施の形態における誘導加熱装置300の動作を説明する。
【0069】
発振器121から基本波が所定の周波数となる電圧方形波の交流電力が出力されると、比較的に低周波となる基本波は、第2のコンデンサC2を通過することなくリアクトルLを通過して誘導加熱コイル110に供給される。このことにより、第1の直列共振回路322AのリアクトルLおよび第1のコンデンサC1と誘導加熱コイル110とが電圧方形波の基本波で直列共振状態となり、誘導加熱コイル110が被加熱物101を誘導加熱する。また、電圧方形波の交流電力の出力により、比較的に高周波となる高調波成分の第n高調波は、リアクトルLを通過することなく第2のコンデンサC2を通過して誘導加熱コイル110に供給される。このことにより、第2の直列共振回路322Bの第2のコンデンサC2および第1のコンデンサC1の等価コンデンサと誘導加熱コイル110とが電圧方形波の所定の第n高調波で直列共振状態となり、誘導加熱コイル110が被加熱物101を誘導加熱する。
【0070】
そして、基本電力となる低周波側となる基本波による電力は発振器121の出力にて調整でき、高周波側となる高調波による電力は低周波側の電力のある一定の比率、すなわち高調波の共振周波数によって例えば10%や20%などと低周波側の電力に追随して制御される。このことから、共振周波数を励起する高周波により近づけることで高周波側の電力が占める比率を高く設定することが可能となり、高周波側の電力を適宜調整できる。このように、1つの発振器121および誘導加熱コイル110で、電圧方形波の基本波と第n高調波との異なる周波数で誘導加熱することができる。
【0071】
(第3の実施の形態の効果)
上述したように、上記第3の実施の形態では、発振器121から所定の周波数の電圧方形波を供給し、発振器121の出力側に接続した第1の直列共振回路322Aと誘導加熱コイル110とにより電圧方形波の基本波で直列共振させて誘導加熱するとともに、発振器121の出力側に接続した第2の直列共振回路322Bと誘導加熱コイル110とにより電圧方形波の高調波成分で直列共振させて誘導加熱する。このため、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に、1つの発振器121および1つの誘導加熱コイル110でも、異なる周波数で誘導加熱でき、構成が簡略化して製造性の向上およびコストの低減を図ることが容易にできるとともに、構成が簡単なことから保守管理も容易にできる。さらに、1つの発振器121にて誘導加熱するため、複数の発振器の互いの干渉を防止するための構成が不要で構成が簡略化でき、複雑な電力比例配分のための制御も不要で、安定した効率的な誘導加熱ができる。
【0072】
そして、リアクトルLと第1のコンデンサC1との直列回路を発振器121の出力側に接続して第1の直列共振回路322Aを構成し、リアクトルLに並列でかつ第1のコンデンサC1と直列に第2のコンデンサC2を接続して第1のコンデンサC1とにて直列回路を構成する第2の直列共振回路322Bを構成する。このため、2つのコンデンサC1,C2と1つのリアクトルLにより、電圧方形波の基本波による誘導加熱と、電圧方形波を構成する高調波成分のうちの第n高調波による誘導加熱との異なる周波数で誘導加熱でき、容易に構成を簡略化できる。
【0073】
また、第2の直列共振回路322の等価コンデンサの静電容量Cを、直列共振の際の共振周波数が所定の高調波成分である第n高調波の周波数に対応する値となるように設定することで、1つの発振器121および誘導加熱コイル110でも、異なる周波数で誘導加熱することが容易にできる。
【0074】
そして、この等価コンデンサの静電容量Cの設定は、第2の直列共振回路322Bを構成する第2のコンデンサC2の静電容量と、この第2のコンデンサC2に直列に接続する第1のコンデンサC1の静電容量とに基づいて求められる。このため、電圧方形波の基本波で直列共振する共振周波数に対応して第1のコンデンサC1の静電容量が設定されるので、第2のコンデンサC2の静電容量が容易に設定され、この第2のコンデンサC2の静電容量を適宜第n高調波の周波数に対応する共振周波数に設定することで、高調波成分のn値が変更されて異なる加熱状態に設定でき、汎用性も向上できる。
【0075】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明の誘導加熱装置は、上記各実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0076】
例えば被加熱物101として表面に複数の凹凸を有した複雑な形状の歯車や複合材料の部材などを加熱処理する構成に限らず、いずれの被加熱物101を誘導加熱してもよい。
【0077】
また、高調波成分の高周波と基本波の中周波とを供給する構成について説明したが、他の周波数を供給する構成としてもよい。
【0078】
そして、発振器121の構成としては、上述した構成に限らず、基本波と高調波成分とが含まれた電圧方形波を供給するいずれの構成のものでもできる。
【0079】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構成に変更するなどしてもよい。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、電圧方形波の基本波および高調波成分による異なる周波数での共振により被加熱物を誘導加熱するため、1つの発振器および1つの誘導加熱コイルでも異なる周波数で誘導加熱でき、構成が簡略化して製造性の向上およびコストの低減を図ることが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の誘導加熱装置の第1の実施の形態の概略構成を示す回路図である。
【図2】 前記第1の実施の形態における対応したLC等価回路を示す回路図である。
【図3】 前記第1の実施の形態におけるインピーダンスと周波数との特性関係を示すグラフである。
【図4】 前記第1の実施の形態における誘導加熱コイルに供給する2つの周波の電圧波形を示すグラフである。
【図5】 本発明の誘導加熱装置の第2の実施の形態の概略構成を示す回路図である。
【図6】 本発明の誘導加熱装置の第3の実施の形態の概略構成を示す回路図である。
【図7】 前記第3の実施の形態における対応するLC等価回路を示す回路図である。
【符号の説明】
100,200,300 誘導加熱装置
101 被加熱物
110 誘導加熱コイル
120,220,320 電力供給装置
121 発振器
121A コンバータ
121B 変圧器としてのインバータ
122,222,322 整合回路
122A 直列共振回路
122B,222B 並列共振回路
322A 第1の直列共振回路
322B 第2の直列共振回路
C 等価コンデンサ
C1 共振部である第1のコンデンサ
C2 第2のフィルタ部である第2のコンデンサ
Cf 平滑コンデンサ
L 第1のフィルタ部であるリアクトル
Claims (12)
- 誘導加熱コイルに異なる周波数の電力を供給して被加熱物を加熱させる電力供給装置であって、
所定の周波数の電圧方形波を供給する発振器と、
この発振器の出力側および前記誘導加熱コイル間に直列に接続され前記電圧方形波の基本波で前記誘導加熱コイルとにより直列共振する直列共振回路、および、前記発振器の出力側に接続され前記電圧方形波の高調波成分で前記誘導加熱コイルとにより並列共振する並列共振回路を有した整合回路と、を具備し、
前記直列共振回路は、前記発振器の出力側に接続されリアクトルと第1のコンデンサとの直列回路であり、
前記並列共振回路は、前記発振器の出力側に前記誘導加熱コイルと並列に接続される第2のコンデンサである
ことを特徴とした電力供給装置。 - 請求項1に記載の電力供給装置において、
前記第2のコンデンサは、前記直列共振回路のリアクトルおよび第1のコンデンサの接続点と、前記発振器の出力側および前記誘導加熱コイルの接続点との間に接続された
ことを特徴とした電力供給装置。 - 請求項1に記載の電力供給装置において、
前記第2のコンデンサは、前記直列共振回路の第1のコンデンサおよび前記誘導加熱コイルの接続点と、前記発振器の出力側および前記誘導加熱コイルの接続点との間に接続された
ことを特徴とした電力供給装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電力供給装置において、
前記並列共振回路は、静電容量が並列共振の際の共振周波数を所定の高調波成分の周波数に対応する値に設定された
ことを特徴とした電力供給装置。 - 請求項2に記載の電力供給装置において、
前記第2のコンデンサは、前記第1のコンデンサとの直列回路における等価コンデンサの静電容量を並列共振の際の共振周波数が所定の高調波成分の周波数に対応する値となる静電容量に設定された
ことを特徴とした電力供給装置。 - 請求項3に記載の電力供給装置において、
前記第2のコンデンサは、静電容量が並列共振の際の共振周波数を所定の高調波成分の周波数に対応する値に設定された
ことを特徴とした電力供給装置。 - 誘導加熱コイルに異なる周波数の電力を供給して被加熱物を加熱させる電力供給装置であって、
所定の周波数の電圧方形波を供給する発振器と、
この発振器の出力側に接続され前記電圧方形波の基本波で前記誘導加熱コイルとにより直列共振する第1の直列共振回路、および、前記発振器の出力側に接続され前記電圧方形波の高調波成分で前記誘導加熱コイルとにより直列共振する第2の直列共振回路を有した整合回路と、を具備し、
前記第1の直列共振回路は、前記発振器の出力側に接続されリアクトルと第1のコンデンサとの直列回路であり、
前記第2の直列共振回路は、前記リアクトルに並列でかつ前記第1のコンデンサと直列に接続される第2のコンデンサと前記第1のコンデンサとの直列回路である
ことを特徴とした電力供給装置。 - 請求項7に記載の電力供給装置において、
前記第2の直列共振回路は、静電容量が直列共振の際の共振周波数を所定の高調波成分の周波数に対応する値に設定された
ことを特徴とした電力供給装置。 - 請求項7に記載の電力供給装置において、
前記第2のコンデンサは、前記第1のコンデンサとの直列回路における等価コンデンサの静電容量を直列共振の際の共振周波数が所定の高調波成分の周波数に対応する値となる静電容量に設定された
ことを特徴とした電力供給装置。 - 誘導加熱コイルに異なる周波数の電力を供給して前記被加熱物を加熱させる電力供給装置であって、
所定の周波数の電圧方形波を供給する発振器と、
この発振器の出力側に接続され前記電圧方形波で前記誘導加熱コイルとにより直列共振する共振部と、
前記発振器の出力側および前記共振部間に直列に接続され前記電圧方形波のうちの高調波成分を排除して前記誘導加熱コイルに前記電圧方形波を供給させる第1のフィルタ部と、
前記発振器の出力側および前記共振部間に直列でかつ前記第1のフィルタ部に並列に接続され前記電圧方形波のうちの基本波成分を排除して前記誘導加熱コイルに前記電圧方形波を供給させる第2のフィルタ部と、を具備し、
前記第1のフィルタ部は、リアクトルで、前記電圧方形波の基本波により前記誘導加熱コイルおよび前記共振部とにより直列共振し、
前記第2のフィルタ部は、コンデンサで、前記電圧方形波の高調波成分により前記誘導加熱コイルおよび前記共振部とにより直列共振する
ことを特徴とした電力供給装置。 - 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の電力供給装置において、
前記発振器は、スイッチング素子を有した変圧器を備え、前記スイッチング素子の開閉動作により所定の周波数の電圧方形波を出力する
ことを特徴とした電力供給装置。 - 被加熱物を誘導加熱する誘導加熱コイルと、
この誘導加熱コイルに電力を供給して前記被加熱物を誘導加熱させる請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の電力供給装置と、
を具備したことを特徴とした誘導加熱装置。
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