JP4062371B2 - カチオン性水性顔料分散組成物を用いた吸尽染色法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料による繊維材料の染色に関するものであり、更に詳細には、既縫製、未縫製に関わらず希望する染色濃度で均一に染色材料を染色でき、しかも染色装置を汚染することがなく、かつ染色廃液の着色のない顔料分散組成物、これを用いた染浴、並びにこの染浴を用いた繊維材料の染色方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
顔料による繊維材料の染色は、顔料が優れた日光堅牢性、ドライクリーニング性を付しているため有用である。しかし、顔料自身が染着性に乏しいため、適当なバインダーを用いることにより繊維と結合させることが必要である。その方法として、捺染法、パディング染色法等が公知である。また、繊維材料をカチオン性助剤で予備処理し、次いでこれを吸尽法により染色する方法が、特開平2−221470号公報、特開平6−136672号公報で提案されている。
【0003】
しかしながら、捺染やパディング染色は、既縫製の衣服類には適用することができないという欠点を有している。また、繊維材料をカチオン性助剤で予備処理する方法は、繊維材料のカチオン化度を均一化することが難しく、そのためにムラ染や染色設備の汚染が発生したり、染色廃液が着色するという欠点を有している。更に、予備工程を別途に設けて繊維材料のカチオン化を行う必要があるばかりではなく、カチオン化処理、吸尽染色及びバインダー処理を別々の設備で行わなければならないという煩雑さを有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の捺染、パディング染色、カチオン性助剤による予備処理後の吸尽染色等の染色方法に於ける前述の不都合を解決するものであり、本発明の目的は、未縫製、既縫製に関わりなく均一な染色を行うことができ、カチオン化のための工程及び設備が不要で、しかも、染色設備の汚染がなく、かつ染色廃液の着色がない顔料分散組成物、これを用いた染浴、並びにこの染浴を用いた繊維材料の染色方法を提供するものである。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、カチオン性重合体を顔料分散剤として含有するカチオン性水性顔料分散組成物を含有する染浴を用いれば、繊維材料を直接浸漬するだけで上記目的が達成できることを見出したものである。
【0006】
即ち、本発明のカチオン性重合体を顔料分散剤として含有するカチオン性水性顔料分散組成物を、希望する染色濃度となるように任意に水と混合希釈して染浴を調製し、あるいは必要によりカチオン性重合体及び/又はカチオン性化合物を添加した染浴を調製し、これに繊維材料を浸漬し、染色終了後に染液を除去し、繊維材料を取り出すことなく同じ装置内で水洗し、更に必要な場合にはバインダー処理を行うことによって、繊維材料が既縫製、未縫製に関係なく希望する染色濃度で均一に染色できることを見出したものである。即ち、本発明の分散組成物を含有する染浴を用いれば、従来の方法によるカチオン化のように、工程でのカチオン化処理剤によるカチオン化を行うことなく染色できる。しかも染色装置の汚染と染色廃液の着色がない。
【0007】
なお、本発明の顔料分散組成物を用いれば上述のように一つの染色装置で全ての染色工程をおこなうことができるが、作業性等を考慮して工程ごとに別々の装置を用いてもなんら問題はない。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のによるカチオン性水性顔料分散組成物は、全ての天然繊維及び合成繊維の染色に適用可能であり、例えば綿、ウール、シルク、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリアクリル、レーヨン、ポリノジックレーヨン、テンセル及び種々の繊維が混紡若しくは交織されたものに適用できる。また、本発明の染色方法は、織布、メリヤスまたはニットウェアーの他、種々の繊維材料の染色に適用できる。本発明の顔料分散組成物の染色の対象は特に限定されるものではないが、綿及び混紡品のジーンズ、またはカジュアルウェアー用品で、既に縫製された衣類を染色するのに好適に使用され得る。
【0009】
本発明のカチオン性水性顔料分散組成物は、顔料およびカチオン性水性重合体を水系で混合した後、公知の顔料分散機、例えば高圧ホモジナイザー、ビーズミル型分散機、アトライター、ボールミル、高速攪拌分散機などにより、分散処理することによって調製される。顔料とカチオン性重合体の比率は、使用する両者の性質により異なるが、概ね100:5〜100:300が好ましい。
【0010】
カチオン性水性顔料分散組成物に含有される顔料としては、公知の有機顔料、無機顔料、蛍光増白顔料、蛍光顔料を挙げることができる。例えば、有機顔料としてアゾ系顔料、染付レーキ系顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料(アントラキノン系など)、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料およびイソインドリノン顔料などがあげられ、無機顔料としては弁柄、酸化チタン、黄色酸化鉄、カーボンブラック、沈降性バリウムなどが挙げられる。
【0011】
また、蛍光増白顔料としてはジフェニルエチレン誘導体があげられ、蛍光顔料としてはベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂に塩基性染料、油性染料、有機顔料を含有させたものがあげられる。
【0012】
カチオン性水性顔料分散組成物の調製に使用されるカチオン性重合体として、分子中に第3級アミノ基または第4級アンモニウム基または両者を含有している公知のポリマー又はプレポリマーを用いることができる。
【0013】
このカチオン性重合体は、上述のようにカチオン性水性顔料分散組成物の調製に使用してもよく、また、この分散組成物を希釈した染浴中に別途添加するのに使用してもよい。また、カチオン性水性顔料分散組成物に使用するカチオン性重合体と、これとは別に染浴に添加するカチオン性重合体とは同じでもよく、また互いに異なったものであってもよい。
【0014】
更に、本発明では、染浴にカチオン性化合物を添加してもよい。染浴に添加するカチオン性化合物は、カチオン化剤として一般に使用されているものでもよい。
【0015】
カチオン性重合体として使用される第3級アミノ基含有重合体としては、以下のものが例示できる。即ち、(a)アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの重合体、例えば、ジメチル又はジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド,ジメチル又はジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの重合体、(b)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの重合体、例えば、ジメチルまたはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート,ジメチルまたはジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの重合体、(c)アクリルアミド・スチレン共重合体、(d)第3級アミノ基含有ウレタン系重合体等である。
【0016】
カチオン性重合体として使用される第4級アンモニウム基含有重合体としては、次のものが例示できる。即ち、(a)(メタ)アクリロイロキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩の重合体、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの重合体など、(b)(メタ)アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩の重合体、例えば、(3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリロイルアミノ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの重合体、(c)2−(メタ)アクリロイロキシアルキルベンジルアンモニウム塩の重合体、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルベンジルアンモニウムクロライド,2−(メタ)アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドの重合体,前2者の単量体とアクリルアミド,ジメチルアミノエチルアクリレートなどの共重合体、(d)アクリルアミドプロピルジメチルベンジルクロライドとN,N−ジメチルアクリルアミド及びN−メチル−N−ベンジルアリルアミン塩とN−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノプロピルアクリルアミドとの共重合体など、(e)その他、例えば、ジメチルまたはジエチルジアリルアンモニウムクロライド,β−ビニルオキシエチルトリアルキルアンモニウム塩、ビニルベンジルアンモニウム塩などの重合体等である。
【0017】
カチオン性化合物としては、(f)4級アンモニウム基含有化合物、例えば、ヘキサメチレン−ビス(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−ジメチルアンモニウムクロライド)、トリメチレン−ビス(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−ジメチルアンモニウムクロライド)、ヘキサメチレン−ビス(2,3−エポキシプロピル−ジメチルアンモニウムクロライド)、トリメチレン−ビス(2,3−エポキシプロピル−ジメチルアンモニウムクロライド)、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−トリメチルアンモニウムクロライド、2,3−エポキシプロピル−トリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン化剤を使用できる。
【0018】
上述のカチオン性重合体のうち、カチオン性水性顔料分散組成物の調製により好ましいのは、ポリジアルキルアミノ(メタ)アクリレート,ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド,第3級アミノ基含有ウレタン系重合体である。
【0019】
また、本発明でカチオン性水性顔料分散組成物の染浴中に別に添加するカチオン性重合体及びカチオン性化合物としてより好ましいのは、上記で例示した(c)(d)(e)(f)の化合物である。
【0020】
また、本発明の染色方法では、発明者が特開平5−331780号公報で提案しているように、これらのカチオン性重合体にアニオン活性剤を添加してポリソルトとしてもよい。その場合のアニオン活性剤は、カチオン性重合体を構成するカチオン性単量体の5〜70モル%に相当する量で使用することが好ましい。この場合に併用するアニオン性活性剤としては、アルキルベンゼンスルフォン酸塩,アルキルナフタレンスルフォン酸塩,アルキルスルフォコハク酸塩,アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩,ナフタレンスルフォン酸塩ホルマリン縮合物,アルキルナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物,芳香族スルフオン酸ホルマリン縮合物,リグニンスルフォン酸塩などがある。これらの中で好ましいのは、芳香族スルフォン酸及びナフタレンスルフォン酸のホルマリン縮合物である。
【0021】
公知の方法で湿潤処理された繊維材料は、カチオン性水性顔料分散組成物、水、必要に応じてカチオン性重合体、カチオン性化合物等を添加した染浴中に浸漬され、染色される。
【0022】
染浴は、浴比1:10〜1:50(好ましくは1:20)となるように水、カチオン性水性顔料分散組成物及び必要に応じてカチオン性重合体、カチオン性化合物等を更に追加して調製される。
【0023】
繊維に対するカチオン性水性顔料分散組成物の添加率は、所望する染色濃度に合わせて適宜選択すればよい。必要に応じて染浴に更に添加するカチオン性水性重合体及び/又はカチオン性化合物は、カチオン性水性顔料分散組成物に対し、1〜100重量%、好ましくは1〜20重量%が選ばれる。
【0024】
染色は上記染浴中に湿潤、脱水、水洗された繊維材料を浸漬することにより行われる。染色条件は特に限定されないが、35〜70℃で10〜30分間保持するのが好ましい。
【0025】
染色終了後、染液を除去し、水洗、脱水することにより、均一で期待どうりの色調、濃度の染色物が得られる。
【0026】
本発明の顔料分散組成物を用いた染色では、上記染浴に直接染料、酸性染料、又は反応性染料を加えて、顔料による染色と同時に上記染料による染色を同時に行うことができる。この場合に於いても、上述と同様の方法で繊維材料を処理すればよいが、公知の均染剤、ボウ硝などの無機塩を併用するのが好ましい。
【0027】
また、本発明の顔料分散組成物を用いた染色では、好ましい染色強度を得るために、バインダー処理を行うことが好ましい。このバインダー処理には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリル酸エステルなど公知のバインダーが用いられる。
【0028】
バインダー処理は、繊維材料に対して0.5〜30重量%(好ましくは1〜10重量%)のバインダーの添加量で、浴比を1:5〜1:50(好ましくは1:20から1:30)のバインダー処理液を使用する。染色後水洗、脱水した繊維材料を180℃で5〜30分乾燥させ、キュアリングする。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
なお、前述のカチオン性重合体、アニオン性活性剤類は各種工業用として市販され、そして本発明の方法におけるカチオン性水性顔料分散組成物の調製に使用でき、またカチオン性重合体又はカチオン性化合物は本発明における染浴に添加する添加剤として使用できる。
【0031】
(実施例1)(カチオン性水性顔料分散組成物の調製(1))
ポリウレタン系カチオン性プレポリマー(市販品:BYK社製、Disperbyk-182又はDisperbyk-185)22部(重量部、以下同じ)、水40部、防腐剤0.4部、消泡剤0.2部、及びC.I.Pigment Blue 15 の30部を攪拌機付の予備分散機で60分間攪拌分散して予備分散を施したスラリーを1m/mガラスビーズを用いたサンドミル中に移し、1000rpmにて60分間分散させ、トータル200部となるように水を添加し、C.I.Pigment Blue 15のカチオン性水性顔料分散組成物を得た。
【0032】
(参考例1)(カチオン性水性顔料分散組成物の調製(2))
ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド(市販品:Merck社製、Merquat 100)104部、水820部を十分混合し、その中にアルキルベンゼンスルフオン酸ソーダ16部を水36部に溶解した溶液を添加して十分に混合する。次に、C.I.Pigment Green 7の200部を添加して60分間予備分散し、1m/mガラスビーズを仕込んだサンドミル中に移して1000rpmで60分間分散後、水200部を追加希釈して1370部の C.I.Pigment Green 7 のカチオン性水性顔料分散組成物を得た。
【0033】
(実施例2)
実施例1で調製したC.I.Pigment Blue 15のカチオン性水性顔料分散組成物を用い、浴比1:20、繊維に対してカチオン性水性顔料分散組成物を1重量%添加した染浴を調製し、本実施例の染浴を得た。
【0034】
この染浴を用いて以下の工程の染色を行った。まず、縫製されたコットンジーンズをワッシャー染色機中で、50℃の温水により浴比1:20で10分間湿潤処理を行い、遠心脱水した。同じ染色機中で、本実施例の染浴を40℃で添加し、10分間で60℃に昇温させた後、同温度で20分間染色した。染液を流出させた後、同じ染色機で水洗、脱水後、浴比1:20となるように水を入れ、アクリル系バインダーをコットンジーンズに対して3重量%添加し、バインダー処理を40℃で5分間行った。これを脱水後、100〜110℃のタンブラー乾燥を行うことにより、濃厚均一に染色されたコットンジーンズが得られた。この染色されたコットンジーンズに公知のバイオ処理、柔軟処理(ストーンウォッシング等)を施すことにより、青色のコットンジーンズが得られた。また、染色処理後のワッシャー染色機は青色に汚染されることはなく、染色廃液は無色透明であった。
【0035】
(実施例3)
実施例2において、C.I.Pigment Blue 15 のカチオン性水性顔料分散組成物を添加後さらにカチオン性重合体として、2−(メタ)アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドの重合体をコットンジーンズに対して1重量%となるように追加し、本実施例の染浴を得た。
【0036】
この染浴を用い、実施例2と同様にコットンジーンズの染色を行った結果、更に濃青色のコットンジーンズが得られた。この場合もワッシャー染色機の汚染はなく、染色廃液は無色透明であった。
【0037】
(実施例4)
実施例1に於けるC.I.P igment Blue 15に代えて、C.I.Pigment white 6(酸化チタン)を用いることにより、本実施例のカチオン性顔料分散組成物を得、これを用いて実施例3と同様にして本実施例の染浴を得た。
【0038】
この染浴を用い、実施例3と同様の操作により、縫製されたポリノジックレーヨンとポリエステル混紡のカジュアルパンツの染色を行った。その結果、均一に染色されたカジュアルパンツは、透け防止に優れた効果を示した。また、この場合も染色機の汚染はなく、染色廃液は無色透明であった。
【0039】
(参考例2)
参考例1で調製したC.I.Pigment Green 7 のカチオン性水性顔料分散組成物を用い、実施例2と同様にして染浴を調製した。
【0040】
この染浴を用い、実施例2と同様の操作により、縫製された綿ニットウェアーの染色を行った。その結果、均一で緑色に染色された綿ニットウェアーが得られた。また、この場合も染色機の汚染はなく、染色廃液は無色透明であった。
【0041】
(参考例3)
参考例2においてC.I.Pigment Green 7のカチオン性水性顔料分散組成物を添加後、更にカチオン性重合体としてアクリルアミドプロピルジメチルベンジルクロライドとN,N−ジメチルアミドの共重合体とを、綿ニットウェアーに対して1重量%となるように追加することにより、本参考例の染浴を調製した。
【0042】
この染浴を用い、実施例2と同様の操作により、縫製された綿ニットウェアーの染色を行った。その結果、濃緑色の綿ニツトウェアーが得られた。また、この場合も染色機の汚染はなく、染色廃液は無色透明であった。
【0043】
(実施例5)(直接染料との共染め)
実施例1の C.I.Pigment Blue 15 のカチオン性水性顔料分散組成物と、直接染料であるKayarus Supra Blue 4BL Conc (日本化薬(株)製)とを用いて表1に示す本実施例の染浴を調製した。この染浴を用いて綿ニツトシルケット加工布を表1の条件で染色し、バインダー処理した。
【0044】
【表1】
【0045】
得られたシルケット加工布青色染色物は、染料だけを使用して得られた染色物に比し、より鮮明で耐光性も向上していた。
【0046】
(参考例4)
参考例1のC.I.Pigment Green 7 に代えて C.I.Pigment Red 146 を用いてカチオン性水性顔料分散組成物を調製し、実施例3と同様にして本参考例の染料を調製した。
【0047】
この染浴を用い、実施例3と同様の操作により、分解酵素処理したテンセル(レーヨン)を染色した。その結果、ムラのない青赤色染色物が得られた。また、染色設備の汚れも認められなかった。
【0048】
(比較例)
アニオン性アクリル系分散剤で分散したC.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment white 6 のアニオン性水性顔料分散組成物を用いて染浴を調製し、この染浴を用いて公知の吸尽染色法で染色を行い比較例の染色物を得た。各比較例の染色物と実施例2〜4及び参考例2〜4の染色物とを比較し、その結果を表2に示した。いずれの場合も本発明のカチオン性水性顔料分散組成物を用いて染色したものの方が、比較例の染浴を用いて染色したものより優れていた。
【0049】
【表2】
【0050】
本発明のカチオン性水性顔料分散組成物を用いた場合の染色と、従来の吸尽法による染色との差異を明らかにするための比較を表3に示した。
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】
本発明のカチオン性水性顔料分散組成物を繊維材料の染色に用いた場合、被染物が未縫製であると既縫製であるとに関わりなく均一な染色を行うことができる。また、従来の染色に際して行われる吸尽染色に於いて必要であったカチオン化のための工程が不要となり、少ない工程で染色を行うことができる。また、カチオン化のための設備が不要となり、染色を行う際に必要となる設備の低減を図ることができる。更に、染色設備の汚染が殆どなく、洗浄などの工程を短縮することができる。そして、染色廃液に着色はなく、無色透明であり、排水着色の問題はない。
Claims (6)
- 第3級アミノ基含有ウレタン系重合体からなるカチオン性重合体を顔料分散剤として含有する染浴に、未縫製又は既縫製の繊維材料を浸漬することを特徴とする吸尽染色法。
- 前記染浴は、前記カチオン性重合体を、該カチオン性重合体を構成するカチオン性単量体の5〜70モル%のアニオン性活性剤を添加したポリソルトとして含有していることを特徴とする請求項1記載の吸尽染色法。
- 前記カチオン性重合体とは別にカチオン性重合体及び/又はカチオン性化合物を染浴に添加したことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸尽染色法。
- 前記染浴は、直接染料を更に含有している請求項1乃至3の何れかに記載の吸尽染色法。
- 前記染浴は、酸性染料を更に含有している請求項1乃至3の何れかに記載の吸尽染色法。
- 前記染浴は、反応性染料を更に含有している請求項1乃至3の何れかに記載の吸尽染色法。
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