JP4062059B2 - 低熱膨張セラミックス部材およびその製造方法ならびに半導体製造装置用部材 - Google Patents

低熱膨張セラミックス部材およびその製造方法ならびに半導体製造装置用部材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路あるいは液晶集積回路などを作製する際に、半導体ウェーハあるいは液晶ガラス基板に露光処理を施す際に用いられる半導体あるいは液晶露光装置用部材、具体的には真空チャック、ステージあるいはステージ位置測定ミラーなどの半導体製造プロセスにおける治具などに適した、コーディエライト、スポジューメンまたはユークリプタイトを主体とする低熱膨張セラミックス部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIなどの高集積化に伴い、回路の超微細化が進められ、その線幅は半導体においては0.1ミクロンを切るレベルにまで到達しようとしている。そして、このような回路を形成するための露光装置に要求される精度も年々高くなってきており、それに伴い、露光装置に使用される部材として熱膨張係数の低いものが開発されてきている。たとえば、コーディエライトを80質量%以上、望ましくは希土類元素を酸化物換算で1〜20質量%含有し、気孔率が0.1%以下、10〜40℃における熱膨張係数が1×10-6/℃以下である緻密質低熱膨張セラミックスからなる半導体製造装置用部材が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、コーディエライトを80質量%以上、望ましくは希土類元素を酸化物換算で1〜20質量%含有し、気孔率が0.5%以下、カーボン含有量が0.1〜2.0質量%であり、10〜40℃における熱膨張係数が0.5×10-6/℃以下である低熱膨張性黒色セラミックスおよびそのような緻密質低熱膨張セラミックスからなる半導体製造装置用部材が開示されている(特許文献2参照)。
【0004】
さて、回路の超微細化が進むにつれて、半導体あるいは液晶ガラス基板の露光精度を確保するため、たとえば、露光装置用真空チャック、ステージ位置測定ミラー向けの材料には、低い熱膨張係数および高い剛性(ヤング率)が求められる。従来より、低熱膨張材として利用されてきた材料のうち、石英、β−スポジューメン、チタン酸アルミニウム、結晶化ガラスなどは、剛性に問題がある。一方、従来の緻密質コーディエライト材、あるいは、コーディエライトを主成分とする低熱膨張セラミックス(特許文献1、特許文献2参照)、あるいは、ユークリプタイトを主成分とする低熱膨張セラミックス(特許文献3参照)は、低い熱膨張係数および製品として使用し得るレベルの高い剛性という上記の条件を満たし得る。
【0005】
これらのセラミックスは、一般には常圧焼結、高圧付与のホットプレス焼結あるいはHIP焼結などの手法により、焼結される。しかし、この焼結により素材には応力が残留する。また、焼結後の加工においても、加工面には応力が残留する。かかる残留応力により、製品は変形および割れなどの影響を受けることとなる。
【0006】
たとえば、変形においては、これらのセラミックスは前述のとおり製品として使用しうるレベルの剛性を備えてはいるが、アルミナまたはSiCセラミックスに比べて約1/2〜1/3程度のヤング率しか備えておらず、付加された応力により変形しやすい。また、焼結または加工工程で製品に付与された残留応力が瞬間的にあるいは長期間をかけて解放される際に、製品は変形し、たとえば、平面度が変化するなど、精度が狂いやすい。さらに、このように長期間をかけて製品平面度などの製品精度の経時変化が発生した場合、折角、初期に高精度に加工したとしても残留応力解放要因による製品精度が変化し、あらためて修正加工が必要とされるケースが生じうる。一方、割れにおいては、焼結体を所望の形状に加工する際に加工応力が素材に付与され、素材中に残留応力があれば、加工割れが発生するリスクが高まる。
【0007】
さて、研削加工により製品表層に生じたマイクロクラックによる素材強度回復策としては、たとえば、セラミックス焼結体を所定の形状に研削加工した後、800〜1100℃で1〜24時間の熱処理を施す方法があり、これにより研削加工の際に生じたミクロな鋭角状の切欠きが丸められ、機械的強度が向上することができる(特許文献4参照)。また、研削加工が施された焼結体に最後に加熱処理として1000〜1550℃の温度で0.1〜6時間にわたり加熱処理する方法があり、マイクロクラックの先端部が丸みを帯びるようになり、割れ感受性が低下し、プラズマイオンの照射を受けてもセラミックス粒子の飛散を抑止することが可能である(特許文献5参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−209171号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平11−343168号公報
【0010】
【特許文献3】
特開2000−219572号公報
【0011】
【特許文献4】
特開昭63−55180号公報
【0012】
【特許文献5】
特許3126635号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらはいずれもアルミナ、窒化ケイ素、SiCなど高いヤング率を有し、応力により変形しにくいセラミックスに対するマイクロクラック対策であり、コーディエライトなどの低熱膨張セラミックスのように比較的ヤング率が低く、応力の解放により変形が生じやすいセラミックス製品について精度の向上を図るという課題認識はない。
【0014】
本発明の課題は、コーディエライト、スポジューメンおよびユークリプタイトなどを含む低熱膨張セラミックス部材において、加工による割れを抑え、高精度に仕上げた表面の残留応力を極小にし、かつ精度の変化を極小にするための処理方法を明らかにし、高精度を維持した部材を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に対し鋭意研究を重ねた結果、10〜40℃における熱膨張係数が0.5×10-6/℃以下で、気孔率が0.5%以下のセラミックスの焼結後、最終の加工工程までの間に、500〜1200℃で0.3〜200時間の熱処理を少なくとも1回行なうことにより、加工による割れを抑え、セラミックス部材の表面における残留応力を低減し、高精度を維持した低熱膨張セラミックス部材を製造することができることを見出した。かかる熱処理は、セラミックスの焼結後、最初の加工工程までの間に、500〜1200℃で0.3〜200時間の熱処理を行ない、最終の加工工程の直前に、500〜1100℃で0.3〜200時間の熱処理をさらに行なう態様が望ましい。また、熱処理においては、加熱後、600℃以下の温度までの冷却速度を毎時20℃以下とすることが望ましい。
【0016】
本発明の低熱膨張セラミックス部材は、10〜40℃における熱膨張係数が0.5×10-6/℃以下で、気孔率が0.5%以下の低熱膨張セラミックスからなり、残留応力が20MPa以下であることを特徴とし、かかるセラミックスとしては、コーディエライトと、スポジューメンと、ユークリプタイトとからなる群より選択された少なくとも1種を含むものが好適である。また、本発明の半導体製造装置用部材は、10〜40℃における熱膨張係数が0.5×10-6/℃以下で、気孔率が0.5%以下で、残留応力が20MPa以下である低熱膨張セラミックス部材からなることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
(低熱膨張セラミックス部材の製造方法)
本発明の低熱膨張セラミックス部材の製造方法は、セラミックスの焼結後、最終の加工工程までの間に、500〜1200℃で0.3〜200時間の熱処理を少なくとも1回行なうことを特徴とする。かかる熱処理を施すことにより、焼結時あるいは加工時に付与された残留応力を緩和して、加工時の割れのリスクを低減し、セラミックス部材の製品精度を高く維持することができるようになる。セラミックス部材の表面における残留応力を20MPa以下にすると、精度変化を低減することができる。部材表面の残留応力は、加工時の割れをより少なくし、製品精度をより高める点で、15MPa以下が望ましい。ここに加工とは、セラミックスの焼結後に行なう厚み加工、外径加工、両面粗研磨加工または両面精度出し研磨加工などを指す。コーディエライト、ユークリプタイトなどの低熱膨張セラミックスは低強度材であるため、残留応力があると、加工時の加工応力により割れが生じやすい。
【0018】
熱処理の温度は、500〜1200℃とする。500℃未満では応力の解放は少なくなり、1200℃より高温では、素材の変形が大きくなる。なお、最高温度については、たとえば、コーディエライトを主成分とする場合は、1200℃を上限とし、スポジューメンを主成分とする場合は、1150℃を上限とし、また、ユークリプタイトを主成分とする場合は、1100℃を上限とするのが望ましい。
【0019】
熱処理の時間は、0.3〜200時間とする。たとえば、外径30mm程度の小型製品であれば0.3時間が最低必要で、0.3時間未満では充分な効果が望めない。また、外径300mm以上の大型製品においては、2時間以上が望ましく、より望ましくは3時間以上である。処理時間は長い方が効果があるが、200時間を超える処理時間は実用上困難である。
【0020】
熱処理の回数は、少なくとも1回である。たとえば、加工毎に予め熱処理を実施するなど、製品の特性に影響を及ぼさない範囲内で、何度実施しても良い。また、製品の要求精度により、たとえば、1回だけの熱処理としてもよい。
【0021】
熱処理の時期は、セラミックスの焼結後、最終の加工工程までの間である。焼結や加工により付与された残留応力を緩和し、割れおよび変形を抑制するためである。熱処理の時期は、セラミックスの焼結後、最初の加工工程までの間、および最終の加工工程の直前に行なうことが望ましい。セラミックスの焼結後、最初の加工工程までの間に熱処理を行なうことにより、焼結時に焼結体に残留している応力を解放し、以降の加工時に付与される加工応力による製品の割れを抑えることができる。
【0022】
焼結後、最初の加工工程までの間に熱処理を行なうことにより、焼結体中の残留応力を緩和できるが、その後の加工工程で製品表面に応力が付与されるため、加工工程における残留応力によって、製品加工中の精度、あるいは製品化後の製品精度を高く維持することができなくなる可能性がある。そのため、製品化直前において、たとえば、最終の精度出し加工前に熱処理を行なうのが望ましい。熱処理により応力が解放し、これに伴い加工品の形状がわずかに変形するから、熱処理後に最終の精度出し加工を行なうことにより、所期の形状寸法に調整することができる。なお、最終の精度出し加工によっても製品に応力が付与されるが、かかる応力は微小であるため、影響は小さい。
【0023】
最終の加工工程の直前に行なう熱処理は、500〜1100℃で0.3〜200時間とするのが望ましい。処理温度が、500℃未満では応力の解放は少なく、製品の変形を抑えるためには1100℃以下とするのが望ましい。処理時間は、0.3〜200時間とするのが望ましい。外径30mm程度の小型製品でも0.3時間未満では充分な効果が望めない。また、外径300mm以上の大型製品においては、2時間以上が望ましく、より望ましくは3時間以上である。処理時間は長い方が効果があるが、200時間を超える処理時間は実用上困難である。
【0024】
熱処理における冷却操作は、加熱後、600℃以下の温度までの冷却速度を、毎時20℃以下で徐冷することが望ましい。加熱により残留応力は緩和するが、冷却時の温度勾配が大きいと、製品に温度分布が大きく生じ、それにより残留応力が付与されるためである。最高温度から毎時20℃以下の温度で徐冷する温度範囲(以下、「徐冷区間」という。)は、600℃あるいは、それ以下の温度までとするのが望ましい。徐冷区間の下限は、600℃以下の温度まで行なえば、残留応力が付与されるのを低減することができるが、たとえば、下記に示す転移点を下回る温度とすると、より望ましい。
【0025】
図2に、温度変化と熱膨張係数の変化の関係を示す。図2は、純度99%以上で平均粒径3μmのコーディエライト粉末、平均粒径1μmの窒化珪素粉末、平均粒径0.1μmのカーボン粉末を、各々96.5vol%、2vol%、1.5vol%となるように調合し、焼結して得たサンプル(3mm×3mm×15mm)について、線膨張計により熱膨張係数を測定して作成したものである。測定条件は、
(1)測定区間:RT〜1350℃
(2)加熱速度:10℃/分
(3)測定環境:N2ガスフロー中
コーディエライトなどの低熱膨張セラミックスの場合、図2に示すように温度の上昇に従い、熱膨張係数は直線的に増加するが、たとえば、300〜600℃の間でグラフに屈曲が見られる。この屈曲が生じる温度(以下、「転移点」と称する。)以下まで徐冷することが望ましい。転移点以下の温度では、徐冷による残留応力の緩和や製品平面度の抑制効果はあまり見られないため、たとえば100℃以下の温度まで徐冷しても時間がかかるばかりであり、転移点以下で、300〜400℃程度の温度を徐冷区間の下限とすることが望ましい。
【0026】
熱処理炉は、主原料以外の添加材が非酸化物である場合、または、カーボン分を添加材として使用している場合においては、窒素またはアルゴン雰囲気に置換が可能な炉を使用する。真空炉に、これらの不活性ガスを置換する手法が望ましいが、製品の導電性や膨張係数などの特性に悪影響がない範囲ならば、たとえば真空構造でなく、ガスフローのみの炉であっても使用は可能である。真空炉を使用する場合には、炉内は真空ではなく、少なくとも0.5気圧以上のガス圧がある方が望ましい。これは、真空ならば、製品への熱伝達が輻射および熱伝導に頼る必要があって、炉内の位置により温度分布が生じやすくなり、製品に温度分布が発生すると、製品の残留応力が強くなりやすいためである。一方、ガス圧があれば、熱伝達に炉内の対流が加わるため、製品への熱伝達が比較的均一に進行し、製品の温度分布を小さくし、製品の残留応力を抑えることができる。主原料以外の添加材が酸化物である場合には、大気雰囲気炉、たとえばガス炉や電気炉を使用することができる。
【0027】
本発明の低熱膨張セラミックス部材の製造方法において使用するセラミックスは、10〜40℃における熱膨張係数が0.5×10-6/℃以下であり、気孔率が0.5%以下である。10〜40℃における熱膨張係数を0.5×10-6/℃以下と限定しているのは、高精度が要求される部材においては使用時の温度変化による精度への影響が無視できないからである。たとえば、露光装置用真空チャックまたはステージ位置測定ミラー向け材料では、10〜40℃における熱膨張係数が0.5×10-6/℃以下、より望ましくは0.3×10-6/℃以下である。一方、気孔率を0.5%以下と限定しているのは、0.5%より大きくなると、強度およびヤング率などの特性が低下するためであり、また、たとえば、製品をSiウェーハ搭載用の治具として使用した場合においては、気孔へのパーティクル付着によるウェーハ自体の精度変化、および製品の吸水による精度変化が問題となるからである。
【0028】
かかるセラミックスは、コーディエライト、スポジューメン、ユークリプタイトまたはそれらの組合せを主材とするものが好適である。低熱膨張材として知られているチタン酸アルミニウムは、緻密化が困難であり、緻密化できたとしても剛性が低く使用に耐えることができない。前述したとおりスポジューメンは、それ自体剛性が比較的低いが、比較的高い剛性を有するコーディエライトまたはユークリプタイトとともに焼結体を構成することにより、剛性の高いセラミックス材料をもたらすことができる。
【0029】
かかるセラミックスには、必要な特性に応じて、4a族元素、5a族元素もしくは6族の炭化物、窒化物、硼化物、珪化物、SiC、B4C、窒化珪素またはカーボン源を、低熱膨張性を阻害しない程度に添加しても良い。また、セラミックスは、希土類元素を含んでいても、含まなくともよい。希土類元素の化合物、典型的には希土類元素酸化物を使用しなくとも、下記に示すような製造方法により十分緻密な低熱膨張セラミックスを得ることができる。
【0030】
かかるセラミックスは、具体的には、つぎの方法により焼結する。主材としては、平均粒径が10μm以下、たとえば、2〜3μmのコーディエライト粉末、β−スポジューメン粉末、β−ユークリプタイト粉末のうちの少なくとも1種を使用する。特性上、必要に応じて、4a族元素、5a族元素もしくは6族の炭化物、窒化物、硼化物、珪化物、SiC、B4C、窒化珪素またはカーボン源を低熱膨張性を阻害しない程度に添加する。これらは市販されているが、カーボン源については粉末カーボンでもフェノール樹脂やフラン樹脂などを使用しても良い。
【0031】
熱処理前の焼結体の調製方法には、たとえば、つぎの3種の方法がある。第1の方法としては、常圧で焼結する方法がある。まず、原料を調合し、アルコールまたは水などの溶媒を加え、必要に応じて、PVAやアクリル樹脂などの樹脂バインダを配合してボールミル混合し、乾燥させて、原料粉末を得る。得られた粉末から、金型プレス成形あるいはCIP成形などの手法によって、成形体を得る。その成形体を所望の形状に生加工し、焼結を実施する。
【0032】
焼結は、大気雰囲気、不活性雰囲気または非酸化性雰囲気下で実施し、たとえば、コーディエライト主材においては1300〜1450℃、β−スポジューメン主材においては1200〜1350℃、β−ユークリプタイト主材においては1150〜1300℃などの焼結温度が適している。得られた焼結体は、研削や研磨などにより所望の製品形状に機械加工することができる。
【0033】
焼結体の別の調製方法としては、ホットプレス焼結をする方法がある。この方法は、まず、原料を調合し、アルコールや水などの溶媒でボールミル混合する。それを乾燥させて、原料粉末を得、この原料粉末を窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下でホットプレスにより焼結する。たとえば、コーディエライト主材においては1300〜1450℃で4.9〜49MPa、β−スポジューメン主材においては1200〜1350℃で4.9〜49MPa、β−ユークリプタイト主材においては1150〜1300℃で4.9〜49MPaなどの条件が適している。得られた焼結体は、研削や研磨などにより所望の製品形状に機械加工することができる。
【0034】
焼結体の別の調製方法としては、高温等方加圧焼結(HIP)をする方法がある。この方法によれば、たとえば、常圧で焼結したコーディエライト主材の焼結体を、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下、1250〜1400℃、雰囲気圧力が20〜200MPaなどの条件で焼結する。得られた焼結体は、研削や研磨などにより所望の製品形状に機械加工することができる。
【0035】
(低熱膨張セラミックス部材)
本発明の低熱膨張セラミックス部材は、10〜40℃における熱膨張係数が0.5×10-6/℃以下で、気孔率が0.5%以下のセラミックスからなり、残留応力が20MPa以下であることを特徴とする。焼結時または加工時に付与された残留応力が緩和されているため、セラミックス部材の製品精度を高く維持することができる。セラミックスとしては、コーディエライトと、スポジューメンと、ユークリプタイトとからなる群より選択された少なくとも1種を含むものが好適である。
【0036】
(半導体製造装置用部材)
本発明の半導体製造装置用部材は、10〜40℃における熱膨張係数が0.5×10-6/℃以下で、気孔率が0.5%以下のセラミックスで、残留応力が20MPa以下である低熱膨張セラミックス部材からなることを特徴とする。かかる半導体製造装置用部材は、表面の残留応力が低いため変形が少なく、精度の経時変化も小さい。したがって、特に、高精度が要求される露光装置用真空チェック、ステージ部材などの半導体製造装置用部材あるいは液晶製造装置用部材、加えて、光学精密部品や精密測定治具類など幅広い分野に適用することができる。
【0037】
【実施例】
実施例1
純度99%以上で平均粒径3μmのコーディエライト粉末、平均粒径1μmの窒化珪素粉末、平均粒径0.1μmのカーボン粉末を、各々96.5vol%、2vol%、1.5vol%となるように調合した後、溶媒としてエタノールを使用し、ボールミルで24時間混合した。得られた混合物を乾燥した後、1380℃で窒素雰囲気下、49MPaの圧力下でホットプレス焼結した。得られた焼結体のサイズは外径320mm×高さ23mmであり、気孔率は0.1%以下であり、10〜40℃における熱膨張係数は0.1×10-6/℃であった。
【0038】
焼結体の気孔率は、外径320mm×高さ23mmの試料について、アルキメデス法により測定した。また、焼結体の熱膨張係数は、3mm×3mm×15mmの試料について、レーザ干渉法により測定した。レーザ干渉法は、レーザ熱膨張計を用いて、ヘリウム中、温度10〜40℃、昇温速度1℃/分で測定した。
【0039】
得られた焼結体を、図1の製法1に示す方法で処理した。すなわち、焼結体に、第1回目の熱処理を施した後、厚み加工、外径加工、両面粗研磨加工、第2回目の熱処理をし、最後に両面精度出し加工を行なった。また、第1回目の熱処理は、1100℃で5時間、400℃までの冷却速度15℃/時とした。厚み加工は、ロータリ平面研削盤により、素材の厚さ20.1mm、平面度10μm程度になるように粗加工を実施した。平面度は、接触型真直度測定機(測定子は電気マイクロメータを使用した。)を用いて評価した。
【0040】
外径加工は、万能研削盤により、外径300mmに仕上げた。両面粗研磨加工は、両面研磨機で平均粒径10μmのダイヤモンド砥粒を使用し、素材の両面を同時に研磨をした。加工後の両面の平面度は2〜3μmであった。第2回目の熱処理は、1000℃で20時間、350℃までの冷却速度15℃/時とした。最後の両面精度出し加工は、片面研磨機により、平均粒径4μmのダイヤモンド砥粒を使用し、素材の片面ずつ研磨した。加工後の両面の平面度は、0.5〜1.0μmであり、加工後、外径300mm×高さ20mmの円板状になるようにした。
【0041】
得られたセラミックス部材について、平面度の変化と残留応力を測定した。平面度の変化は、最終加工日から1日後と、10日後の平面度を測定し、両面の平面度の平均値を計算し、最初の平面度からの変化量で表した。残留応力は、表1に示す条件で測定し、最終加工直後の表面の残留応力を、表、裏の各面について、外周部2方向(箇所)、中心部2方向(箇所)測定し、表裏全8方向(箇所)の平均値を計算し、この絶対値をもって残留応力とした。平面度の変化と残留応力の測定結果を表2に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004062059
【0043】
【表2】
Figure 0004062059
【0044】
実施例2
実施例1における第1回目の熱処理条件を、900℃で40時間、400℃までの冷却速度10℃/時とし、また、第2回目の熱処理条件を、400℃で100時間、350℃までの冷却速度10℃/時とした以外は、実施例1と同様にして、セラミックス部材を製造し、平面度変化および残留応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0045】
実施例3
実施例1で実施した製造方法を、図1における製法2とし、第1回目の熱処理時間を8時間とした以外は、実施例1と同様にして、セラミックス部材を製造し、平面度変化および残留応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
実施例4
実施例3で実施した熱処理条件を、800℃で100時間、400℃までの冷却速度10℃/時とした以外は、実施例3と同様にして、セラミックス部材を製造し、平面度変化および残留応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0047】
比較例1
実施例1で実施した製造方法を、図1における製法3とし、熱処理を一切行なわなかった以外は、実施例1と同様にして、セラミックス部材を製造し、平面度変化および残留応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0048】
比較例2
実施例1における第1回目の熱処理を、250℃で200時間、150℃までの冷却速度10℃/時とし、また、第2回目の熱処理を、250℃で200時間、100℃までの冷却速度10℃/時とした以外は、実施例1と同様にして、セラミックス部材を製造し、平面度変化および残留応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0049】
比較例3
実施例3で実施した熱処理を、250℃で200時間とした以外は、実施例3と同様にして、セラミックス部材を製造し、平面度変化および残留応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0050】
表2の結果から明らかなとおり、実施例1〜実施例4においては、最終加工日から1日後の平面度変化は0.0〜0.15μmであり、また、最終加工から10日後の平面度変化はいずれも0.3μm以下であり、精度が高く維持されていた。これに対して、比較例1〜比較例3においては、10日後の平面度変化が1.5〜2μmであり、本発明の実施例と比較して精度の維持が困難であることがわかった。
【0051】
また、残留応力については、実施例1〜実施例4では5〜15MPaであるのに対して、比較例1〜比較例3では25〜40MPaであり、本発明の実施例では熱処理により製品表面の残留応力が十分に緩和されていることがわかった。また、セラミックス部材の表面の残留応力を20MPa以下とすることにより、精度変化を低減できることがわかった。
【0052】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0053】
【発明の効果】
本発明の低熱膨張セラミックス部材は、焼結時または加工時に付与された残留応力が緩和されているため、セラミックス部材の製品精度を高く維持することができる。かかる低熱膨張セラミックス部材は、セラミックスの焼結後、最終の加工工程までの間に、500〜1200℃で0.3〜200時間の熱処理を少なくとも1回行なうことにより製造することができる。本発明の半導体製造装置用部材は、表面の残留応力が低いため変形が少なく、精度の経時変化も小さい。したがって、特に、高精度が要求される半導体製造装置用部材、液晶製造装置用部材、光学精密部品および精密測定治具類などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 焼結後、最終加工工程が終了するまでの、低熱膨張セラミックス部材の製造方法を示す工程図である。
【図2】 温度変化と熱膨張係数の変化の関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 10〜40℃における熱膨張係数が0.5×10-6/℃以下で、気孔率が0.5%以下の低熱膨張セラミックスからなり、残留応力が20MPa以下であることを特徴とする低熱膨張セラミックス部材。
  2. 前記低熱膨張セラミックスが、コーディエライトと、スポジューメンと、ユークリプタイトとからなる群より選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の低熱膨張セラミックス部材。
  3. セラミックスの焼結後、最終の加工工程までの間に、500℃以上、1200℃以下の温度で0.3〜200時間の熱処理を少なくとも1回行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の低熱膨張セラミックス部材の製造方法。
  4. セラミックスの焼結後、最初の加工工程までの間に、500℃以上、1200℃以下の温度で0.3〜200時間の熱処理を行ない、最終の加工工程の直前に、500℃以上、1100℃以下の温度で、0.3〜200時間の熱処理をさらに行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の低熱膨張セラミックス部材の製造方法。
  5. 前記熱処理において、加熱後、600℃以下の温度までの冷却速度が、毎時20℃以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の低熱膨張セラミックス部材の製造方法。
  6. 請求項1または2に記載の低熱膨張セラミックス部材からなる半導体製造装置用部材。
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