JP4061923B2 - 半透過型液晶表示装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半透過型の液晶表示装置およびその製造方法に関し、さらに詳しくはバックライトからの光の利用効率を高めた半透過型液晶表示装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信機器等への液晶表示装置の応用が急速に普及している。特に携帯型のものについては反射型の液晶表示装置が多く用いられている。この反射型の液晶表示装置は外光を光源として表示を行うため、室内などの暗い場所では見えにくくなってしまう。そこで透過型と反射型の性質を併せ持った半透過型の液晶表示装置が知られている。
【0003】
この半透過型液晶表示装置はバックライトを備えており、画素に透過部と非透過部を設けている。透過部ではバックライトの光を利用し、非透過部では外光を利用して表示を行っている。しかし、バックライトからの光がすべて透過部を通過し利用されるわけではないので、透過型として見た場合輝度が十分ではない。そこでバックライトからの光の利用効率を向上させる必要があり、このような公知な技術として特開2001−318377等が知られている。
【0004】
これは非透過部の下に反射層を設けておくものである。この反射層はガラス基板や下層の上に直接形成してある。そのため反射層のバックライト側が平坦な状態となっている。そしてバックライトから発せられた光の内、非透過部に向かってくる光をこの反射層でそのままバックライト側へ反射させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
エッジ式のバックライトは導光板の端面に蛍光管等の光源を置き、導光板の下面に反射板を置いている。光源からの光は導光板に入射し、導光板内部で全反射を繰り返すうちに直接または反射板で反射されて導光板の上面から出射される。この出射された光の多くは導光板の上面に対して小さい角度で出射される。したがって通常バックライトには導光板の上にプリズムシートが置かれている。このプリズムシートによって導光板から出射された光が液晶パネルに対して垂直に入射するように集光される。
【0006】
したがって特開2001−318377のように非透過部の下に反射層を設けておき、反射層とバックライトの反射板との間で反射を繰り返させておいても、反射層での反射光はほぼ同じ場所で反射を繰り返しているだけか、プリズムシートや導光板を通過する間にこれらに吸収されてしまうだけである。これでは反射層で反射した光はほとんど透過部を通過しないため、光の利用効率の向上としては十分とは言えない。表示品位を向上させるため半透過型液晶表示装置においては、外光の利用率を向上すると共に、バックライトからの光の利用率をより一層向上する必要である。
【0007】
そこで本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、バックライトからの光の利用効率を向上させ、より一層表示品位を向上させた半透過型の液晶表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、バックライトと、前記バックライトの上に位置すると共に、前記バックライトからの光を通す透過部と外光を反射する非透過部から成る画素を複数有する半透過型液晶パネルと、を備えた半透過型液晶表示装置であって、
前記非透過部には、前記画素に形成された画素電極よりも前記バックライト側に、前記バックライトからの光を乱反射させる乱反射層が設けられており、前記乱反射層は前記バックライト側に凹凸部を形成してなることを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は、バックライトと、前記バックライトからの光を通す透過部と外光を反射する非透過部から成る画素を複数有する半透過型液晶パネルと、を備えた半透過型液晶表示装置の製造方法であって、前記半透過型液晶パネルの製造工程に、基板の上に複数の走査線を形成する工程と、前記走査線の上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の上に前記走査線と直交する複数の映像線を形成すると共に、前記バックライトからの光を乱反射させる乱反射層を形成する工程と、前記映像線と前記反射層の上に保護膜を介して画素電極を形成する工程と、が含まれていると共に、前記乱反射層を形成する工程の前に、前記非透過部の前記絶縁膜部分に複数の凹凸を形成する工程が含まれていることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1は本発明の半透過型液晶表示装置を構成するバックライト10と半透過型液晶パネル20との断面図を示す。後述する半透過型液晶パネル20はアレイ基板37とカラーフィルタ基板38を備えている。また半透過型液晶パネル20の下にはバックライト10が位置している。エッジ式のバックライト10は、蛍光管11、導光板12、ランプリフレクタ13、反射板14、拡散シート15、プリズムシート16を備えている。本発明のような半透過型液晶表示装置は一般に携帯用として用いられるため、小型化、薄型化する上で、直下式のバックライトよりもエッジ式のバックライトの方がよい。導光板12の下には導光板12の下面を覆うようにして反射板14が配置されている。導光板12の側面の横には光源となる蛍光管11が位置している。蛍光管11の周りには対向する導光板12の側面部分を除き、蛍光管11を囲むようにしてランプリフレクタ13が配置されている。導光板12の上には導光板12の上面を覆うようにして拡散シート15が配置されており、拡散シート15の上にはさらにプリズムシート16が配置されている。
【0018】
蛍光管11から出た光は直接またはランプリフレクタ13で反射されて、導光板12の対向する側面部分から導光板12の内部へと入射していく。入射した光は導光板12と空気との屈折率の差によって全反射し、導光板12内部を進んで行く。そして全反射を繰り返すうちに導光板12に印刷された所定パターンにより散乱して、直接または反射板14によって反射されて拡散シート15側に出射する。この出射した光は導光板12の出射面に対してきわめて小さい角度となっている。そして拡散シート15に入射した光は適度に拡散されて拡散シート15から出射する。しかしこの出射した光はまだ出射面に対してかなり小さい角度のままでプリズムシート16に入射する。
【0019】
プリズムシート16はポリカーボネート、ポリエステルなどの透明な樹脂で作られており、その表面には所定のピッチで傾斜が形成されている。プリズムシート16は1枚または、傾斜の方向を直交させるようにして2枚用いている。このプリズムシート16に入射した光は半透過型液晶パネル20に対して略垂直に入射するような方向(図1の半透過型液晶パネル20とバックライト10との間の矢印で示すような方向)に集光して出射する。このように出射光に指向性を持たせることで使用者の見る方向に効率よくバックライト10からの光を出射でき、半透過型液晶表示装置全体の輝度を向上させることができる。
【0020】
図2は半透過型液晶パネル20のアレイ基板の平面図であり、図3は図2のA−A断面図を示す。21はガラスなどの透明な絶縁性を有している基板である。基板21上にはアルミニウムやクロムなどの金属からなる複数の走査線22が略等間隔で平行に形成されている。走査線22からはゲート電極23が分かれて伸びている。また走査線22やゲート電極23を覆うようにして窒化シリコンや酸化シリコンなどから成るゲート絶縁膜24が積層されている。ゲート電極23の上にはゲート絶縁膜24を介して非晶質シリコンや多結晶シリコンなどからなる半導体層25が形成されている。またゲート絶縁膜24上にはアルミニウムなどの反射率の高い金属からなる複数の映像線26が走査線22と直交するようにして形成されている。走査線22と映像線26で囲まれた領域が1画素に相当する。映像線26からはソース電極27が分かれて伸びており半導体層25と接続している。また映像線26、ソース電極27と同一の材料で且つ同時形成されたドレイン電極28が設けられており半導体層25と接続している。このゲート電極23、ゲート絶縁膜24、半導体層25、ソース電極27、ドレイン電極28によってスイッチング素子となるTFT29が構成され、それぞれの画素にこのTFT29が配置される。
【0021】
また、ゲート絶縁膜24の上には後述する乱反射層30(図2では斜線を付した領域で示す)が形成されている。そして映像線26、TFT29、乱反射層30を覆うようにして有機絶縁物から成る膜厚2μm程度の保護膜31が積層されている。保護膜31にはそれぞれのTFT29のドレイン電極28に対応する部分にコンタクトホール32が設けられている。さらに保護膜31には後述する透過部33を形成するための溝が設けられており、この溝はゲート絶縁膜24も貫通して設けられている。また保護膜31の表面には複数の凹凸が設けられている。
【0022】
保護膜31の表面にはそれぞれの画素に画素電極39が形成されている。この画素電極39は、ITOなどの透明電極34を一画素の全体に積層して形成すると共に、透明電極34の上にアルミニウム、銀などの反射率の高い金属からなる反射電極35を、上述した透過部33を形成するための溝部分を除いて一画素の全体に積層して形成している。また画素電極39は隣接する画素電極39と接しないで、且つ保護膜31を介して走査線22と映像線26と若干重なるようにして形成されている。画素電極39のうち透明電極34が表面に露出した範囲が透過部33であり、この透過部33においてバックライト10からの光が通過する。本実施例においては、1つの画素で透過部33の占める割合は大体10〜20%となっている。また反射電極35が表面に露出した範囲が非透過部36であり、この非透過部36において外光が反射される。保護膜31表面に設けられた凹凸によって非透過部36の表面にも凹凸が形成されることになり、この凹凸により外光の反射特性が向上する。なお本実施例では透明電極34を一画素全体に形成しているが、透過部33を形成する溝にだけ透明電極34を形成し、他の部分については反射電極35だけを形成してもよい。
【0023】
そして、総ての画素を覆うように配向膜(図示せず)を形成して半透過型液晶パネル20のアレイ基板37となる。またカラーフィルタ、透明電極等を形成したカラーフィルタ基板38をこのアレイ基板37と対向させ、両基板を貼り合せ、両基板間に液晶を注入して半透過型液晶パネル20が完成する。
【0024】
アレイ基板37には非透過部36の一部に乱反射層30が形成されている。この乱反射層30は基板21と画素電極39との間に形成されており、本実施例ではゲート絶縁膜24の上に設けられている。乱反射層30にはゲート絶縁膜24側に凹凸部が形成されている。乱反射層30は各画素に形成されている。乱反射層30は透過部33を囲むように形成されている。乱反射層30はTFT29部分には形成されていない。乱反射層30は走査線22と重ならないように、また映像線26と接しないように間をあけて形成されている。
【0025】
バックライト10のプリズムシート16から出射し、半透過型液晶パネル20に対して略垂直に入射する光の内、非透過部36に向かう光の一部は乱反射層30に向かってくる。この乱反射層30に向かってくる光は乱反射層30によって反射されるが、その際には進行してきた経路の方向とは異なる経路の方向へ反射される。
【0026】
乱反射層30で反射した光の一部はそのまま透過部33へ向かい、プリズムシート16の透過部33部分に達する。この光はプリズムシート16へ再度入射しまたプリズムシート16から出射してくるか、またはプリズムシート16の表面で半透過型液晶パネル20側に反射する。
【0027】
乱反射層30で反射した光の一部はプリズムシート16から出射した位置とは異なる位置に再入射し、またプリズムシート16から出射してくる。乱反射層30で反射した光の一部はプリズムシート16の表面で半透過型液晶パネル20側に反射する。
【0028】
このようなことを繰り返すことにより乱反射層30で反射した光は、プリズムシート16の表面で反射して透過部33を通過し、またはプリズムシート16の透過部33部分から出射して透過部33を通過することになる。また乱反射層30で反射した光はバックライト10と乱反射層30との間でそれほど反射を繰り返さないうちに透過部33を通過してしまうので、導光板12やプリズムシート16に吸収されてしまう光は減少する。
【0029】
半透過型液晶パネル20のアレイ基板37を製造する工程を説明する。最初に基板21上に2500Åの厚さのアルミニウムを形成しパターニングにより走査線22、ゲート電極23を形成する。次ぎに4000Åの厚さで窒化シリコンを塗布しゲート絶縁膜24を積層する。非透過部36の一部には、ゲート絶縁膜24の上に複数の凹凸部が形成されている。
【0030】
この凹凸部はゲート絶縁膜24の上にレジストを塗布し、凹凸部を形成するためのマスクを用いて露光し、エッチングした後レジストを取り除いて形成されている。このマスクには凹凸部を形成するために所定のパターンが描かれており、本実施例では不規則にならんだ小さな円が描かれたものを用いている。凹凸部はゲート絶縁膜24の内TFT29を構成する部分には形成されていない。また走査線22、映像線26の位置には形成されていない。次ぎにゲート絶縁膜24を介してゲート電極23の上に半導体層25を形成する。
【0031】
次ぎに、基板21の全面に2500Åの厚さのアルミニウムを形成しパターニングにより映像線26、ソース電極27、ドレイン電極28を形成すると共に乱反射層30を形成する。この乱反射層30はゲート絶縁膜24上の凹凸部を覆うようにして形成されている。この乱反射層30は各画素に形成されている。乱反射層30はTFT29と接しないで、透過部33を囲むように形成されている。乱反射層30は走査線22と重ならないように、また映像線26と接しないように間をあけて形成されている。乱反射層30を映像線26等と同一材料で且つ同一工程中に形成しているので、わざわざ乱反射層30だけを設ける工程を必要としない。さらには乱反射層30を独立した層として設けた場合よりも半透過型液晶パネル20を薄くすることができる。また乱反射層30はアルミニウムでできているので反射率が高い。また乱反射層30のバックライト10側はゲート絶縁膜24上に形成した凹凸部形状をしているので、乱反射層30に向かってくるバックライト10からの光を乱反射させることができる。
【0032】
次ぎに、ゲート絶縁膜24やTFT29、乱反射層30の上に有機絶縁物から成る保護膜31を積層し、所定個所にコンタクトホール32、透過部33を形成するための溝をエッチングして形成する。そして非透過部36部分の保護膜31上に凹凸部を形成する。次ぎにITOを積層し透明電極34を形成する。そしてアルミニウムを積層し反射電極35を形成して画素電極39を完成させる。なお本実施例では、反射電極35は透過部33を形成するための溝の側壁にも形成されている。このようにすることにより側壁部分でも半透過型液晶パネル20内に入射してきた外光を反射できる。さらには乱反射層30で反射し透過部33へ向かう光のうち、透過部33を通過するまでに保護膜31に入射してしまう光を反射電極35によって反射させることができる。
【0033】
なお、本発明の要旨は、半透過型液晶パネル20の非透過部36にバックライト10からの光を透過部33に向ける反射層を設けることにより、光の利用効率の向上を図るものであり、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば上記実施形態以外の形態も可能である。反射層の一実施形態である乱反射層30は映像線26等と同一材料を用いて同一工程中に作成したが、たとえば反射率のよい別の材料を用いて、別工程により設けてもよい。またたとえば、最初に走査線22の下に絶縁膜を形成しておき、この絶縁膜に凹凸部を形成して、その上に走査線22を形成する際に走査線22と同じ材料を用いて乱反射層30を形成してもよい。またたとえば、乱反射層30に向かってくる光が効率的に透過部33へ向かっていくように、乱反射層30の凹凸部の形状を設計してもよい。さらに乱反射層30のバックライト10側に凹凸部を設けなくても、乱反射層30の材料に光を散乱させるような物質を混ぜたものを用いてもよい。
【0034】
また、反射層としては乱反射層30ではなく、たとえば平面上の反射層を透過部33へ向けて傾斜させ、反射層に向かってくるバックライト10からの光を透過部33側へ反射させてもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、バックライトから出射され指向性を持つ光の内、半透過型液晶パネルの透過部を通過しないで非透過部に向かっていく光は反射層によって透過部へ向かうことになる。したがって、バックライトからの光の利用効率を向上することができ、より一層表示品位を向上させた半透過型の液晶表示装置およびその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半透過型液晶表示装置を構成するバックライトと半透過型液晶パネルの断面図である。
【図2】半透過型液晶パネルのアレイ基板側の平面図である。
【図3】アレイ基板側のA−A断面図である。
【符号の説明】
10 バックライト
20 半透過型液晶パネル
21 基板
22 走査線
24 ゲート絶縁膜
26 映像線
29 TFT
30 乱反射層
33 透過部
34 透明電極
35 反射電極
36 非透過部
39 透明電極
Claims (2)
- バックライトと、前記バックライトの上に位置すると共に、前記バックライトからの光を通す透過部と外光を反射する非透過部から成る画素を複数有する半透過型液晶パネルと、を備えた半透過型液晶表示装置であって、
前記非透過部には、前記画素に形成された画素電極よりも前記バックライト側に、前記バックライトからの光を乱反射させる乱反射層が設けられており、前記乱反射層は前記バックライト側に凹凸部を形成してなることを特徴とする半透過型液晶表示装置。 - バックライトと、前記バックライトからの光を通す透過部と外光を反射する非透過部から成る画素を複数有する半透過型液晶パネルと、を備えた半透過型液晶表示装置の製造方法であって、
前記半透過型液晶パネルの製造工程に、基板の上に複数の走査線を形成する工程と、前記走査線の上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の上に前記走査線と直交する複数の映像線を形成すると共に、前記バックライトからの光を乱反射させる乱反射層を形成する工程と、前記映像線と前記反射層の上に保護膜を介して画素電極を形成する工程と、が含まれていると共に、前記乱反射層を形成する工程の前に、前記非透過部の前記絶縁膜部分に複数の凹凸を形成する工程が含まれていることを特徴とする半透過型液晶表示装置の製造方法。
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