JP4061763B2 - 動力出力装置およびその制御方法 - Google Patents

動力出力装置およびその制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力源としてエンジンと電動機とを備える動力出力装置およびその制御方法に関し、詳しくは、上記電動機を上記エンジンの出力軸と駆動軸とに切り換えて結合可能な結合手段を有する動力出力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンと電動機とを動力源とする動力出力装置を搭載したハイブリッド車両が提案されている(例えば特開平9−47094に記載の技術等)。ハイブリッド車両の一種としていわゆるパラレルハイブリッド車両がある。パラレルハイブリッド車両では、搭載した動力出力装置によって、エンジンから出力された動力は、一部が動力調整装置により駆動軸に伝達され、残余の動力が電力として回生される。この電力はバッテリに蓄電されたり、エンジン以外の動力源としての電動機を駆動するのに用いられる。このような動力出力装置は、上述の動力の伝達過程において、動力調整装置および電動機を制御することによって、エンジンから出力された動力を任意の回転数およびトルクで駆動軸に出力することができる。駆動軸から出力すべき要求出力に関わらずエンジンは運転効率の高い動作点を選択して運転することができるため、ハイブリッド車両はエンジンのみを駆動源とする従来の車両に比べて省資源性および排気浄化性に優れている。
【0003】
上記の動力出力装置おける電動機の回転軸の結合先は、駆動軸とエンジンの出力軸の2通りが可能である。これらの結合について、電動機の回転軸を駆動軸に結合した構成では、エンジンの回転数よりも駆動軸の回転数が低いアンダードライブ動作時(アンダードライブ走行時)に運転効率が高くなる特性がある。電動機の回転軸をエンジンの出力軸に結合した構成は、逆に、エンジンの回転数よりも駆動軸の回転数が高いオーバードライブ動作時(オーバードライブ走行時)に運転効率が高くなる特性がある。
【0004】
そこで、従来では、電動機の回転軸の結合状態を、駆動軸側とエンジンの出力軸側とで切り換え可能に構成した動力出力装置を搭載するハイブリッド車両が提案されている(例えば、特開平10−75501記載のハイブリッド車両)。かかる動力出力装置では、電動機の回転軸と駆動軸またはエンジンの出力軸との結合/切り離しを、クラッチを備えた切換装置や、シンクロナイズドギヤを備えた切換装置を用いて行なっていた。ここで、シンクロナイズドギヤとは、軸方向に直列に配置された2つ以上のギヤと、これらのギヤと選択的に噛合可能な可動ギヤとから構成される機構をいう。
【0005】
それでは、このような動力出力装置における結合状態の切換装置について簡単に説明する。なお、ここでは、動力調整装置として、対ロータ電動機であるクラッチモータ30を用い、切換装置として、シンクロナイズドギヤを備えた装置を用いる場合を例にとって説明する。
【0006】
図12は電動機の回転軸の結合状態を切り換え可能に構成した一般的な動力出力装置の要部を示す構成図である。
【0007】
図12に示すように、エンジン50の出力軸であるクランクシャフト56と、車輪26を駆動するための動力を出力する伝達軸22との間には、ハイブリッドユニット20が配設されている。ハイブリッドユニット20内には、対ロータ電動機であるクラッチモータ30と、電動機であるアシストモータ40と、そのアシストモータ40のロータ軸43の結合先を選択的に切り換える切換装置80と、が設けられている。
【0008】
これらのうち、クラッチモータ30は、インナロータ32とアウタロータ34とを備えており、通常の電動機におけるロータに相当するインナロータ32のみならず、アウタロータ34も自由に回転することができる。クラッチモータ30のインナロータ32には、インナロータ軸33が結合されており、アウタロータ34には、駆動軸であるアウタロータ軸35が結合されている。インナロータ軸33は、図示しないダンパを介してクランクシャフト56に結合されている。アウタロータ軸35は、出力用ギヤ21,チェーン23を介して伝達軸22に結合されている。この伝達軸22は、更に減速機24およびディファレンシャルギヤ25を介して、駆動輪26R,26Lを備えた車軸26に結合されている。
【0009】
アシストモータ40はロータ42とステータ44とを備えている。このうち、ステータ44はケースに固定され、ロータ42は中空のロータ軸43に結合されている。中空のロータ軸43の軸中心は、クランクシャフト56に結合されたインナロータ軸33が貫通している。
【0010】
切換装置80はシンクロナイズドギヤであって、クラッチモータ30のアウタロータ軸35に結合された第1ギヤ81と、インナロータ軸33に結合された第2ギヤ82と、何れの軸にも結合されていない第3ギヤ83と、可動部材87と、で構成されている。可動部材87の片側には、第1ないし第3ギヤ81〜83に噛合し得る可動ギヤ84が設けられおり、他の片側はスプライン85を介してアシストモータ40のロータ軸43に摺動自在に結合されている。したがって、可動ギヤ84は、ロータ軸43と回転を共にしながら、ロータ軸43に対してその軸方向に移動することができる。切換装置80には、可動部材87を駆動して、可動ギヤ84の位置を切り換えるアクチュエータ86が設けられている。アクチュエータ86は、モータあるいはソレノイドなどにより実現可能であり、図示していない制御ユニットにより制御される。
【0011】
可動ギヤ84が、図12中の位置aにあるときは、第1ギヤ81と可動ギヤ84とが噛合し、アシストモータ40のロータ軸43は、駆動軸であるクラッチモータ30のアウタロータ軸35に結合されることになる。この結果、エンジン50から出力された動力は、クラッチモータ30を経て、駆動軸であるアウタロータ軸35に出力されるが、このアウタロータ軸35に対して、アシストモータ40が動力をやり取りすることが可能となる。この構成を模式的に示したのが図13である。切換装置80が、可動ギヤ84を位置aに切り換えたときは、図13の構成と等価である。以下、この結合状態をアンダードライブ結合と呼ぶ。
【0012】
他方、切換装置80が可動ギヤ84を、図12中の位置cに切り換えたときは、第2ギヤ82と可動ギヤ84とが噛合し、アシストモータ40のロータ軸43はクラッチモータ30のインナロータ軸33に結合され、延いてはエンジン50の出力軸であるクランクシャフト56に結合されることになる。この結果、エンジン50からクラッチモータ30を経て駆動軸であるアウタロータ軸35に出力される動力の出力系統に対して、アシストモータ40はインナロータ軸33やクランクシャフト56との間で動力のやり取りを行なうことが可能となる。この構成を模式的に示したのが図14である。切換装置80が可動ギヤ84を位置cに切り換えたときは、図14の構成と等価である。以下、この結合状態をオーバードライブ結合と呼ぶ。
【0013】
切換装置80は、可動ギヤ84を、第3ギヤ83と噛合する位置bに切り換えることも可能である。この位置では、可動ギヤ84は、第1ギヤ81および第2ギヤ82のいずれとも噛合してない中立状態になる。このときエンジン50から出力された動力は、クラッチモータ30を経てそのまま駆動軸であるアウタロータ軸35に出力される。
【0014】
制御ユニット(図示せず)は、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、切換装置80を制御して、アシストモータ40のロータ軸43の結合状態を切り換える。基本的には、エンジン50の回転数が駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数よりも大きくなった場合には、切換装置80を制御して、アンダードライブ結合(アシストモータ40のロータ軸43を駆動軸であるアウタロータ軸35に結合)にする。逆に、エンジン50の回転数が駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数よりも小さくなった場合には、オーバードライブ結合(アシストモータ40のロータ軸43をエンジン50の出力軸であるクランクシャフト56に結合)にする。こうすることによってアンダードライブ動作、オーバードライブ動作の双方において、効率の高い運転を実現している。
【0015】
さて、このような電動機の回転軸の結合状態を切り換え可能な動力出力装置においては、電動機の回転軸の結合状態を、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合に切り換える場合、従来では、次のような手順で行なっていた。
【0016】
図15は従来の動力出力装置におけるオーバードライブ結合からアンダードライブ結合へ切り換える際の各構成要素の動作状態の時間的推移を示すタイミングチャートである。
【0017】
このようなオーバードライブ結合からアンダードライブ結合へ切り換えは、例えば、ハイブリッド車両を定常走行させている場合に、運転者がアクセルペダルを踏み込んで、駆動軸であるアウタロータ軸35からの出力トルクを増加して、車両を加速させる場合などに生じる。
【0018】
図15において、aは制御ユニットが出す切換指令、b,cは制御ユニットの制御モード、d,e,fは切換装置80の動作状態、gはエンジン出力、hはエンジン50、駆動軸であるアウタロータ軸35,アシストモータ(AM)40の回転数、i,j,kはクラッチモータ(CM)30の動作状態、l,m,nはアシストモータ(AM)40の動作状態をそれぞれ示す。
なお、切換装置80の切換許容差速範囲は約300r.p.m以下であるとする。切換装置80において、可動ギヤ84にはアシストモータ40のロータ軸43が、第2ギヤ82にはエンジン50のクランクシャフト56及びクラッチモータ30のインナロータ軸33が、第1ギヤ81にはクラッチモータ30のアウタロータ軸35が、それぞれにつながっているため、何れも、イナーシャが大きくなっている。従って、可動ギヤ84を第2ギヤ82または第1ギヤ81に結合させる場合、可動ギヤ84と第2ギヤ82または第1ギヤ81との差速があまりに大きいと、両者の間で大きな磨耗が生じてしまう。そのため、切換装置80には、上記したような切換許容差速範囲が設定されている。
【0019】
それでは、図15を用いて、切り換え手順を順次説明する。運転者がアクセルペダルを踏み込む(キックダウン)と、制御ユニットは、その踏込量から、駆動軸であるアウタロータ軸35から出力すべき要求出力を算出し、その要求出力が所定の条件を満たしている場合に切換指令を発する(aの手順▲1▼)。
【0020】
次に、制御ユニットは、図示せざる燃料噴射制御ユニットを介してエンジン50の出力をアップする(gの手順▲2▼)。続いて、制御ユニットは、駆動軸であるアウタロータ軸35とエンジン50の出力軸であるクランクシャフト56との差速が切換許容差速範囲である約300r.p.m以下になったかどうかを判定し、差速が約300r.p.m以下になったら(hの手順▲3▼)、切換装置80のアクチュエータ86を始動し(dの手順▲4▼)、オーバードライブ(OD)結合状態から中立状態へ移行させるために、可動ギヤ84を第2ギヤ82から切り離す。そのとき同時に、制御ユニットは、アシストモータ40を発電状態から(n参照)、発電(回生)も駆動(力行)も行なわれないニュートラル状態に移行させ、可動ギヤ84の第2ギヤ82からの切り離しがスムーズに行なわれるようにする(mの手順▲5▼)。
【0021】
次に、制御ユニットは、アクチュエータ86を制御して、可動ギヤ84を第3ギヤ83に結合させ、中立状態に移行させる(eの手順▲6▼)。また、この間、制御ユニットは、アシストモータ40を駆動状態にして(l参照)、アシストモータ40を一定のトルクで回転数を徐々に上昇させる(h参照)。そして、制御ユニットは、アクチュエータ86を制御して、可動ギヤ84を第3ギヤ83から切り離し(eの手順▲7▼)、第1ギヤ81へ結合して、中立状態からアンダードライブ(UD)結合状態に移行させる(fの手順▲8▼)。そして、制御ユニットは、アシストモータ40のトルクアップを図るとともに(l参照)、エンジン50の回転数が駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数に一致したら(hの手順▲9▼)、クラッチモータ30を駆動状態から発電状態へと移行させる(iおよびk参照)。
【0022】
以上のようにして、従来においては、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切り換えを行なっていた。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来においては、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切り換える際に、制御ユニットにおいて、算出した要求出力が所定の条件を満たし後、駆動軸であるアウタロータ軸35とエンジン50の出力軸であるクランクシャフト56との差速が、切換装置80の切換許容差速範囲内になるのを確認してから、切換装置80のアクチュエータ86を始動していたので、その分、切換時間が長くなるという問題があった。また、そのため、運転者がアクセルペダルを踏み込んでから、その踏込量に見合ったトルクが駆動軸であるアウタロータ軸35から実際に出力されるまでに、1秒以上もの長い時間がかかってしまい、運転者にとってレスポンスの悪いものとなっていた。
【0024】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合へ切り換える場合に、その切換時間を短縮することが可能な動力出力装置およびその制御方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の動力出力装置は、出力軸を有するエンジンと、動力を出力するための駆動軸と、前記出力軸及び駆動軸に結合され電力のやりとりによって前記エンジンから出力された動力を増減して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置と、回転軸を有する電動機と、該電動機の回転軸を前記駆動軸または前記出力軸に選択的に結合させることが可能な結合手段と、を備えた動力出力装置であって、
前記結合手段によって前記電動機の回転軸が前記出力軸に結合されている場合に、外部から要求された要求出力に基づいて、前記電動機の回転軸を前記出力軸に代えて前記駆動軸に結合させるべきか否かを判定する判定手段と、
該判定手段が前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させるべきであると判定した場合に、前記結合手段を制御して、前記電動機の回転軸を前記出力軸から切り離すべく、前記結合手段の駆動を開始させる切り離し制御手段と、
前記電動機の回転軸が前記出力軸から切り離された場合に、前記電動機の回転軸の回転数を上昇させて、前記駆動軸の回転数に合わせ込む同期化手段と、
前記電動機の回転軸の回転数が前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなった場合に、前記結合手段を制御して、前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させる結合制御手段と、
をさらに備えることを要旨とする。
【0026】
従って、本発明の動力出力装置によれば、判定手段が電動機の回転軸を駆動軸に結合させるべきであると判定した場合に、エンジンの出力軸と駆動軸の差速が切換許容差速範囲内になるのを確認することなく、直ちに、結合手段の駆動を開始させるため、従来に比較して、電動機の回転軸の結合状態を切り換える際の切換時間を短縮することができる。また、電動機の回転軸が出力軸から切り離された場合に、電動機の回転軸の回転数を上昇させて、駆動軸の回転数に合わせ込むよう、積極的に回転数の同期化を図り、できる限り早く、電動機の回転軸を駆動軸に結合させるようにしているため、さらに上記切換時間を短縮することができる。
【0027】
また、本発明の動力出力装置において、前記判定手段が前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させるべきであると判定した場合に、前記エンジンを制御して、該エンジンから出力される動力を上昇させる動力上昇手段をさらに備えるようにしても良い。
【0028】
このように、電動機の回転軸の結合先を出力軸から駆動軸に切り換える際に、エンジンから出力される動力を上昇させ、そのエンジンから得られたトルクを動力調整装置を介してそのまま駆動軸に伝達させることにより、駆動軸においてトルク抜けが生じるのを防ぐことができる。
【0029】
また、本発明の動力出力装置において、
トルクと回転数との関係で表される前記動力出力装置の動作領域を、所定の境界によって分割して、前記電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第2の領域とを設定する領域設定手段をさらに備えると共に、
前記決定手段は、
前記要求動力から前記駆動軸の目標動作点を設定する目標動作点設定手段と、設定した前記駆動軸の目標動作点が前記境界を越えて前記第2の領域にある場合に、前記電動機の回転軸を前記出力軸に代えて前記駆動軸に結合させるべきであると決定する切換決定手段と、
を備えることが好ましい。
【0030】
このように、要求出力から駆動軸の目標動作点を設定し、その設定した目標動作点が境界を越えて第2の領域にある場合に、電動機の回転軸を駆動軸に結合させるべきと決定することによって、要求出力に基づいて電動機の回転軸を的確に切り換えることができる。
【0031】
本発明における動力調整装置としては種々の装置を適用可能である。
例えば、前記動力調整装置は、前記出力軸に結合された第1のロータと、前記駆動軸に結合された第2のロータとを有する対ロータ電動機を備えるものとすることができる。
【0032】
かかる対ロータ電動機によれば、第1のロータと第2のロータとの電磁的な結合により一方のロータから他方のロータに動力を伝達することが可能である。また、両者間の相対的な滑りによって動力の一部を電力として回生することも可能である。上述の対ロータ電動機は、これらの2つの作用によって動力調整装置として機能することができる。
【0033】
また、前記動力調整装置は、
ロータ軸を有する発電機と、
3つの回転軸を有し、該回転軸が前記出力軸、駆動軸、およびロータ軸にそれぞれ結合されたプラネタリギヤとを備えるものとすることもできる。
【0034】
かかる構成によれば、プラネタリギヤの一般的な動作に基づいて、出力軸の回転による動力を駆動軸とロータ軸に分配して伝達することができる。従って、出力軸に入力された動力の一部を駆動軸に伝達するとともに、ロータ軸に分配された動力を発電機によって電力として回生することができる。上述の装置は、これらの2つの作用によって動力調整装置として機能することができる。
【0035】
本発明は、以下に示す動力出力装置の制御方法として構成することもできる。
本発明の動力出力装置の制御方法は、出力軸を有するエンジンと、動力を出力するための駆動軸と、前記出力軸及び駆動軸に結合され電力のやりとりによって前記エンジンから出力された動力を増減して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置と、回転軸を有する電動機と、該電動機の回転軸を前記駆動軸または前記出力軸に選択的に結合させることが可能な結合手段と、を備えた動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記結合手段によって前記電動機の回転軸が前記出力軸に結合されている場合に、外部から要求された要求出力に基づいて、前記電動機の回転軸を前記出力軸に代えて前記駆動軸に結合させるべきか否かを判定する工程と、
(b)前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させるべきであると判定した場合に、前記結合手段を制御して、前記電動機の回転軸を前記出力軸から切り離すべく、前記結合手段の駆動を開始させる工程と、
(c)前記電動機の回転軸が前記出力軸から切り離された場合に、前記電動機の回転軸の回転数を上昇させて、前記駆動軸の回転数に合わせ込む工程と、
(d)前記電動機の回転軸の回転数が前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなった場合に、前記結合手段を制御して、前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させる工程と、
を備えることを要旨とする。
【0036】
従って、かかる制御方法によれば、上記した本発明の動力出力装置と同様に、電動機の回転軸の結合状態を切り換える際の切換時間を短縮することができる。
【0037】
また、本発明の動力出力装置の制御方法において、
(e)前記工程(a)にて前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させるべきであると判定した場合に、前記エンジンを制御して、該エンジンから出力される動力を上昇させる工程
をさらに備えるようにしても良い。
【0038】
従って、かかる制御方法によれば、上記した本発明の動力出力装置と同様に、駆動軸においてトルク抜けが生じるのを防ぐことができる。
【0039】
以上で説明した本発明は、直接には、動力出力装置およびその制御方法に適用されている。その他、そのような動力出力装置を搭載した種々の装置、例えば、ハイブリッド車両として本発明を構成することも可能である。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
(1)実施例の構成:
はじめに、実施例の構成について図1を用いて説明する。図1は本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載したハイブリッド車両の概略構成を示す構成図である。なお、前述の図12に示した構成要素と同一のものには、同一の符号を付してある。
【0041】
本実施例の動力出力装置10は、動力系統であるエンジン50およびハイブリッドユニット20と、制御系統である燃料噴射制御ユニット(以下、EFIECUと言う)と、制御ユニット90と、を主として備えている。
【0042】
これらのうち、動力系統であるエンジン50は、通常のガソリンエンジンであり、出力軸であるクランクシャフト56を回転させる。
【0043】
エンジン50の運転は、制御系統であるEFIECU70により制御されている。EFIECU70は内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムに従い、主に、エンジン50の燃料噴射量、吸排気バルブの進角制御、その他の制御を実行する。これらの制御を可能とするために、EFIECU70には、燃料噴射弁51,スロットルバルブ53の開度を制御するスロットルバルブモータ54,あるいは吸排気バルブ(図示せず)の開閉タイミングを制御するVVT57などが設けられている。また、EFIECU70には、これらの制御を行なうために必要なセンサであって、エンジン50の運転状態を示す種々のセンサが接続されている。その一つとしてクランクシャフト56の回転数を検出する回転数センサ52がある。その他のセンサおよびスイッチなどの図示は省略した。
【0044】
エンジン50のクランクシャフト56と、車輪26を駆動するための動力を出力する伝達軸22との間には、図12の場合と同様に、ハイブリッドユニット20が配設されている。ハイブリッドユニット20内には、主として、対ロータ電動機であるクラッチモータ30と、電動機であるアシストモータ40と、そのアシストモータ40のロータ軸43の結合先を選択的に切り換える切換装置80と、が設けられている。
【0045】
これらのうち、クラッチモータ30は、基本的には永久磁石を用いた同期電動機として構成されているが、磁界を発生させる三相コイルが巻回された部材が、ケースに固定されたいわゆるステータではなく、回転可能なロータとして構成されている点で通常の電動機と異なる。即ち、クラッチモータ30では、図12で述べたとおり、通常の電動機におけるロータに相当するインナロータ32のみならず、三相コイル36が巻回されたアウタロータ34も、自由に回転することができる。このように構成された電動機を前述したように対ロータ電動機と呼ぶ。このような対ロータ電動機では、三相コイル36が設けられたアウタロータ34も回転するから、回転するコイル36に対して電力を供給するための機構が必要になる。本実施例では、この機構としてスリップリング38を設けて、三相コイル36への電力を供給しているが、スリップリング38に代えて、差動トランスなど、他の構成を用いることも可能である。クラッチモータ30では、インナロータ32に備えられた永久磁石による磁界とアウタロータ34に備えられた三相コイル36によって形成される磁界との相互作用により、両者は相対的に回転する。なお、かかる作用は、可逆的なものなので、クラッチモータ30を発電機として動作させ、両ロータの回転数差に応じた電力を、クラッチモータ30から回生することもできる。
【0046】
また、図12の場合と同様に、クラッチモータ30のインナロータ32には、インナロータ軸33が結合されており、アウタロータ34には、駆動軸であるアウタロータ軸35が結合されている。インナロータ軸33は、図示しないダンパを介してクランクシャフト56に結合されている。アウタロータ軸35は、出力用ギヤ21,チェーン23を介して伝達軸22に結合されている。この伝達軸22は、更に減速機24およびディファレンシャルギヤ25を介して、駆動輪26R,26Lを備えた車軸26に結合されている。
【0047】
クラッチモータ30はインナロータ32とアウタロータ34の双方が回転可能であるため、インナロータ軸33およびアウタロータ軸35の一方から入力された動力を他方に伝達することができる。クラッチモータ30自体では、トルクは作用・反作用の関係にあるため変えられないが、クラッチモータ30を電動機として力行運転すれば他方の軸の回転数は高くなり、結果的に他方の軸から出力する動力(=回転数×トルク)は高くなる。クラッチモータ30を発電機として回生運転すれば他方の軸の回転数は低くなり、回転数差に対応した電力(=回転数差×トルク)が取り出される。即ち、クラッチモータ30を用いることで、動力の一部を電力の形で取り出しつつ残余の動力を伝達することができる。また、力行運転も回生運転も行なわなければ、動力が伝達されない状態となる。この状態は機械的なクラッチを解放にした状態に相当することから、この対ロータ電動機を、クラッチモータと呼ぶのである。
【0048】
一方、ハイブリッドユニット20内に設けらているアシストモータ40も、クラッチモータ30と同様に、永久磁石を用いた同期電動機として構成されており、本実施例では、ロータ42側に永久磁石が、ステータ44側に三相コイル46が、それぞれ設けられている。図12の場合と同様に、アシストモータ40のステータ44はケースに固定され、ロータ42は中空のロータ軸43に結合されている。中空のロータ軸43の軸中心は、クランクシャフト56に結合されたインナロータ軸33が貫通している。
【0049】
上述したクラッチモータ30およびアシストモータ40を駆動するために、バッテリ94に接続された第1の駆動回路91および第2の駆動回路92が設けられている。第1の駆動回路91は、内部にスイッチング素子としてのトランジスタを複数備えたトランジスタインバータであり、制御ユニット90と電気的に接続されている。制御ユニット90が第1の駆動回路91のトランジスタのオン・オフの時間をPWM制御すると、バッテリ94とクラッチモータ30のアウタロータ34に巻回された三相コイル36との間には、両者に接続された第1の駆動回路91およびスリップリング38を介して、三相交流が流れる。この三相交流によりアウタロータ34には回転磁界が形成され、クラッチモータ30の回転は制御される。この結果、バッテリ94の電力を用いてクラッチモータ30を力行する動作や、あるいはクラッチモータ30から回生する電力をバッテリ94に蓄える動作などを行なうことができる。
【0050】
他方、アシストモータ40は、第2の駆動回路92を介してバッテリ94に接続されている。第2の駆動回路92もトランジスタインバータにより構成されており、制御ユニット90に接続されて、その制御を受けて動作する。制御ユニット90の制御信号により駆動回路92のトランジスタをスイッチングすると、ステータ44に巻回された三相コイル46に三相交流が流れて回転磁界を生じ、アシストモータ40は回転する。アシストモータ40も、回生動作を行なうことができることは勿論である。
【0051】
また、ハイブリッドユニット20内に設けられている切換装置80は、シンクロナイズドギヤであって、アシストモータ40のロータ軸43を、クラッチモータ30のアウタロータ軸35およびインナロータ軸33のうち、何れか一方の軸に結合させるか、あるいは何れの軸にも結合させない状態にするかを切り換えるものである。なお、この切換装置80の構成およびその動作については、図12の場合と同様であるので、説明は省略する。
【0052】
制御ユニット90は、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、後述するように、切換装置80を制御して、アシストモータ40のロータ軸43の結合先を切り換える。これにより、アシストモータ40のロータ軸43が、駆動軸であるクラッチモータ30のアウタロータ軸35に結合された場合は、図13に示したようなアンダードライブ結合となり、アシストモータ40のロータ軸43がクラッチモータ30のインナロータ軸33に、延いてはエンジン50の出力軸であるクランクシャフト56に結合された場合は、図14に示したようなオーバードライブ結合になる。
【0053】
なお、本実施例において用いられる切換装置80は、複数のクラッチにより構成することも可能である。つまり、第1ないし第3ギヤ81〜83と可動ギヤ84との組み合わせに代えて、アウタロータ軸35とロータ軸43の結合および解放を行う第1のクラッチを設け、またインナロータ軸33とロータ軸43の結合および解放を行う第2のクラッチを設けるものとしてもよい。この場合、スプライン85を設ける必要はない。
【0054】
本実施例において、ハイブリッド車両の運転状態は制御ユニット90により制御されている。制御ユニット90もEFIECU70と同様、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムに従い、後述する種々の制御処理を行うよう構成されている。これらの制御を可能とするために、制御ユニット90には、各種のセンサおよびスイッチが電気的に接続されている。制御ユニット90に接続されているセンサおよびスイッチとしては、アクセルペダル65の踏み込み量を検出するためのアクセルペダルポジションセンサ65aや、シフトレバー66のポジションを検出するためのシフトポジションセンサ66aの他、図示してはいないアウタロータ軸35の回転数を検出する回転数センサや、アシストモータ40のロータ軸43の回転数を検出する回転数センサなどがある。
【0055】
制御ユニット90は、EFIECU70とも通信回線により接続されており、EFIECU70との間で種々の情報を、通信によってやりとりしている。制御ユニット90からエンジン50の制御に必要な情報をEFIECU70に出力することにより、エンジン50を間接的に制御することができる。逆にエンジン50の回転数などの情報をEFIECU70から入力することもできる。
【0056】
図1に示す動力出力装置10は、エンジン150から出力された動力を電力のやりとりによって増減して伝達する動力調整装置として、クラッチモータ30を適用しており、動力の分配をそのクラッチモータ30のインナロータ32とアウタロータ34との滑りにより実現する。エンジン50からの動力の一部は、クラッチモータ30を介して駆動軸であるアウタロータ軸35に機械的な形態で直接出力され、一部は、二つのロータ32,34の滑り回転によりクラッチモータ30から電力の形態で取り出される。電気的に取り出されたエネルギは、バッテリ94に蓄積することもできるし、もう一つのモータであるアシストモータ40に出力し、駆動軸であるアウタロータ軸35のトルクアップに用いることもできる。即ち、この動力出力装置10は、動力を出力するエンジン50、滑り回転により動力をやり取りするクラッチモータ30、力行・回生可能なアシストモータ40の三者により、駆動軸であるアウタロータ軸35に出力する動力を自由に制御することができるのである。
【0057】
(2)一般的動作:
次に、本実施例の動力出力装置の一般的動作として、エンジン50から出力された動力を要求された回転数およびトルクに変換して駆動軸であるアウタロータ軸35に出力する動作について説明する。本実施例の動力出力装置10では、エンジン50の回転数Neとアウタロータ軸35の回転数Ndとの大小関係、およびアシストモータ40のロータ軸43の結合状態に応じて、上記変換の経路が異なる。
【0058】
最初にアンダードライブ結合(図13)において、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン50の回転数Neよりも小さい場合について説明する。かかる場合のトルクの変換の様子を図2に示す。図2は、横軸に回転数N、縦軸にトルクTを採り、エンジン50の動作点Peとアウタロータ軸35の動作点Pdを示した図である。図2中の曲線Pは動力、つまり回転数とトルクの積が一定の曲線である。回転数Ne、トルクTeでエンジン50から出力された動力Peを、Neよりも低い回転数Nd、Teよりも高いトルクTdの動力Pdに変換してアウタロータ軸35から出力する場合を考える。
【0059】
図2に示した変換を行う場合、アウタロータ軸35の回転数Ndはエンジン50の回転数Neよりも小さい。クラッチモータ40はアウタロータが回転数Ndで回転し、インナロータがそれよりも高い回転数Neで回転するから、クラッチモータ30は、相対的に逆転することになり、クラッチモータ30の回転数Ncは負の値となる。クラッチモータ30のトルクTcは作用・反作用の原理からエンジン50の出力トルクTeと等しく、正の値である。つまり、クラッチモータ30はエンジン50から出力された動力の一部を駆動軸であるアウタロータ軸35に伝達しつつ、残りを電力として回生する状態で運転される。このとき、回生される電力はクラッチモータ130の回転数NcとトルクTcの積に等しく、図2中のハッチングを施した領域GU1の面積に等しい。
【0060】
一方、アウタロータ軸35のトルクTdはエンジン50のトルクTeよりも大きい。従って、アシストモータ40は正のトルク、正の回転数で運転される。つまり、アシストモータ40は電力の供給を受け力行される。このとき供給される電力はアシストモータ40の回転数とトルクの積に等しく、図2中のハッチングを施した領域AU1の面積に等しい。両モータでの運転効率を100%と仮定すれば、クラッチモータ30で回生される電力とアシストモータ40に供給される電力とは等しくなる。つまり、クラッチモータ30で領域GU1に相当する分のエネルギを電力の形で取り出し、領域AU1に相当する分のエネルギとして供給することによりエンジン50の動作点Peで表される動力を、動作点Pdの状態に変換する。実際には運転効率が100%になることはないため、バッテリ94からの電力の持ち出しを伴ったり、損失に相当する動力をエンジン50から余分に出力したりして、上記変換を実現する。かかる変換では、上流側に位置するクラッチモータ30で回生された電力が下流側に位置するアシストモータ40に供給される。
【0061】
次に、アンダードライブ結合において、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン50の回転数Neよりも高い場合について説明する。かかる場合のトルクの変換の様子を図3に示した。図3に示した変換を行う場合、アウタロータ軸35の回転数Ndはエンジン50の回転数Neよりも大きい。従って、クラッチモータ30は、正の回転数Nc、正のトルクTcで回転する。つまり、クラッチモータ30は電力の供給を受けて力行される。このとき、供給される電力はクラッチモータ30の回転数とトルクの積に等しく、図3中のハッチングを施した領域「GU2+GU3」の面積に等しい。一方、アウタロータ軸35のトルクTdはエンジン50のトルクTeよりも小さい。従って、アシストモータ40は負のトルク、正の回転数で運転される。つまり、アシストモータ40は回生運転される。このとき回生される電力はアシストモータ40の回転数とトルクの積に等しく、図3中のハッチングを施した領域「AU2+GU3」の面積に等しい。両モータでの運転効率を100%と仮定すれば、アシストモータ40で回生される電力とクラッチモータ30に供給される電力とが等しくなる。かかる変換では、下流側に位置するアシストモータ40で回生された電力が上流側に位置するクラッチモータ30に供給され、そのクラッチモータ30に供給された電力が、再び機械的な動力として下流側に位置するアシストモータ40に供給されるため、動力の循環が生じる。動力の循環が生じると、エンジン50から出力された動力のうち、有効に駆動軸であるアウタロータ軸35に伝達される動力が低減するため、動力出力装置10の運転効率は低下する。
【0062】
アンダードライブ結合において、上述の変換を実現するための、アシストモータ40およびクラッチモータ30の動作点は、それぞれ以下の通りとなる。
【0063】
クラッチモータ30の回転数Nc=Nd−Ne;
トルクTc=Te;
アシストモータ40の回転数Na=Nd;
トルクTa=Td−Te;・・・(1)
【0064】
次に、オーバードライブ結合の場合(図14)において、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン50の回転数Neよりも小さい場合について説明する。かかる場合のトルクの変換の様子を図4に示した。図4に示した変換を行う場合、アウタロータ軸35の回転数Ndはエンジン50の回転数Neよりも小さい。従って、クラッチモータ30は、負の回転数Nc、正のトルクTcで回転する。つまり、クラッチモータ30は回生運転される。このとき、回生される電力はクラッチモータ30の回転数とトルクの積に等しく、図4中のハッチングを施した領域「GO1+GO2」の面積に等しい。一方、アウタロータ軸35のトルクTdはエンジン50のトルクTeよりも大きい。従って、アシストモータ40は正のトルク、正の回転数で運転される。このとき、供給される電力はクラッチモータ30の回転数とトルクの積に等しく、図4中のハッチングを施した領域「GU2+GU3」の面積に等しい。一方、アウタロータ軸35のトルクTdはエンジン50のトルクTeよりも小さい。従って、アシストモータ40は負のトルク、正の回転数で運転される。つまり、アシストモータ40は電力の供給を受けて力行される。このとき、供給される電力はアシストモータ40の回転数とトルクの積に等しく、図4中のハッチングを施した領域「AU1+GU2」の面積に等しい。両モータでの運転効率を100%と仮定すれば、クラッチモータ30で回生される電力とアシストモータ40に供給される電力とが等しくなる。かかる変換では、下流側に位置するクラッチモータ30で回生された電力が上流側に位置するアシストモータ40に供給されるため、この場合も動力の循環が生じ、動力出力装置10の運転効率は低下する。
【0065】
次に、オーバードライブ結合の場合において、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン50の回転数Neよりも高い場合について説明する。かかる場合におけるトルクの変換の様子を図5に示す。図5に示した変換を行う場合、アウタロータ軸35の回転数Ndはエンジン50の回転数Neよりも大きい。従って、クラッチモータ30は、正の回転数Nc、正のトルクTcで回転する。つまり、クラッチモータ30は電力の供給を受けて力行される。このとき、供給される電力はクラッチモータ30の回転数とトルクの積に等しく、図5中のハッチングを施した領域「GO3」の面積に等しい。一方、アウタロータ軸35のトルクTdはエンジン50のトルクTeよりも小さい。従って、アシストモータ40は負のトルク、正の回転数で運転される。つまり、アシストモータ40は回生運転される。このとき回生される電力はアシストモータ40の回転数とトルクの積に等しく、図5中のハッチングを施した領域「AO2」の面積に等しい。両モータでの運転効率を100%と仮定すれば、アシストモータ40で回生される電力とクラッチモータ30に供給される電力とが等しくなる。かかる変換では、上流側に位置するアシストモータ40で回生された電力が下流側に位置するクラッチモータ30に供給される。
【0066】
オーバードライブ結合において、上述の変換を実現するための、アシストモータ40およびクラッチモータ30の運転ポイントは、次の通りとなる。
【0067】
クラッチモータ30の回転数Nc=Nd−Ne;
トルクTc=Td;
アシストモータ40の回転数Na=Ne;
トルクTa=Td−Te; ・・・(2)
【0068】
以上で説明した通り、本実施例の動力出力装置10は、アシストモータ40のロータ軸43の結合状態、およびアウタロータ軸35の回転数Ndとエンジン50の回転数Neとの大小関係に応じて、エンジン50から出力された動力を要求された回転数およびトルクからなる動力に変換して、駆動軸であるアウタロータ軸35から出力することができる。
【0069】
しかし、アウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン50の回転数Neよりも大きいオーバードライブ動作時に、アンダードライブ結合で動作させると、動力の循環が生じ、車両の運転効率が低下する。また、アウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン50の回転数Neよりも小さいアンダードライブ動作時に、オーバードライブ結合で動作させると、同様に、動力の循環が生じ、車両の運転効率が低下する。そこで、本実施例では、運転効率を向上させるために、基本的に、アウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン50の回転数Neよりも大きいオーバードライブ動作時には、オーバードライブ結合となるように、アウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン50の回転数Neよりも小さいアンダードライブ動作時には、アンダードライブ結合となるように、アシストモータ40のロータ軸43の結合状態を制御する。
【0070】
図6は図1の動力出力装置の動作領域と基本的にオーバードライブ結合とする領域とアンダードライブ結合とする領域とを示す説明図である。図6において、縦軸はトルクであり、横軸は回転数である。
【0071】
また、曲線LIMは、本実施例の動力出力装置10の最大出力線である。従って、トルク軸である縦軸と回転数軸である横軸とこの曲線LIMとで囲まれる領域が、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点の採り得る範囲、即ち、動力出力装置10の動作領域である。なお、動作点はトルクと回転数の組み合わせとして表現される。
【0072】
曲線L1はエンジン50の目標動作点を決定する際に用いる動作線である。この動作線L1は、エンジン50の効率が最高となる動作線であり、この動作線L1に従ってエンジン50の目標動作点を決定すると、エンジン50の燃費は最適となる。なお、実際には、この動作線は、制御ユニット90内のROMにマップとして記憶されている。
【0073】
また、一般に、エンジン50の動作線は、エンジン50の回転数Neと駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数Ndが等しくなる境界となる。従って、本実施例では、基本的に、動作線L1よりもトルクが低い側の領域では、アシストモータ40のロータ軸43の結合状態をオーバードライブ結合にして動作させ、動作線L1よりもトルクが高い側の領域では、アンダードライブ結合にして動作させるようにしている。なお、以下、動作線L1よりもトルクが低い側の領域をオーバードライブ領域と呼び、動作線L1よりもトルクが高い側の領域をアンダードライブ領域と呼ぶ。
【0074】
曲線DOは、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点の軌跡である。この曲線DOは、例えば、車両を定常走行させている場合に、運転者がアクセルを踏み込み、駆動軸であるアウタロータ軸35からの出力トルクを増加して、車両を加速させる場合の軌跡である。
【0075】
その他、曲線DDは、走行抵抗0%を表す曲線であり、曲線P1,P2は、それぞれ、動力が或る一定値となる曲線である。
【0076】
ここで、オーバードライブ結合時およびアンダードライブ結合時における、エンジン50、アシストモータ40、クラッチモータ30に対する一般的な制御動作について簡単に説明する。
【0077】
図1に示す制御ユニット90は、まず、駆動軸であるアウタロータ軸35から出力すべき要求出力、充放電電力および補機駆動エネルギをそれぞれ算出し、それらを加算して、エンジン50に対する要求動力を設定する。ここで、駆動軸であるアウタロータ軸35から出力すべき要求出力は、運転者から要求された、アウタロータ軸35から出力すべき動力に相当し、アウタロータ軸35の目標回転数と目標トルクの積で表される。この要求出力は、後述するように、アクセルペダルポジションセンサ65aにより検出されたアクセルペダル65の踏込量に基づいて設定される。また、充放電電力とは、バッテリ94の充放電に要するエネルギであり、バッテリ94を充電する必要がある場合には正の値、放電する必要がある場合には負の値を採る。補機駆動エネルギとは、エアコンなどの補機(図示せず)を駆動するために必要となる電力である。
【0078】
次に、制御ユニット90は、こうして設定された要求動力に基づいて、エンジン50の目標動作点を設定する。この目標動作点は、前述したエンジン50の動作線に対応したマップに従って、エンジン50の運転効率を優先して設定される。
【0079】
次に、制御ユニット90は、クラッチモータ30およびアシストモータ40の目標動作点を設定する。これらの目標動作点(即ち、目標回転数と目標トルクの組み合わせ)は、オーバードライブ結合時か、アンダードライブ結合時かに応じて、先に示した式(1),(2)に従い設定される。
【0080】
以上のようにして設定された目標トルクおよび目標回転数に基づいて、制御ユニット90は、クラッチモータ30、アシストモータ40、エンジン50の動作を制御する。モータの運転制御処理は、同期モータの制御として周知の処理を適用することができる。本実施例では、いわゆる比例積分制御による制御を実行している。つまり、各モータの現在のトルクを検出し、目標トルクとの偏差および目標回転数に基づいて、各相に印加する電圧指令値を設定する。印加される電圧値は上記偏差の比例項、積分項、累積項によって設定される。それぞれの項にかかる比例係数は実験などにより適切な値が設定される。こうして設定された電圧は、駆動回路91,92を構成するトランジスタインバータのスイッチングのデューティに置換され、いわゆるPWM制御により各モータに印加される。
【0081】
制御ユニット90は、駆動回路91,92のスイッチングを制御することによって、上述の通り、クラッチモータ30およびアシストモータ40の動作を直接制御する。これに対し、エンジン50の動作制御は、実際には、EFIECU70が実施する処理である。従って、制御ユニット90は、EFIECU70に対してエンジン50の目標動作点の情報を出力することで、間接的にエンジン50の動作を制御する。
【0082】
以上の処理を周期的に実行することにより、本実施例の動力出力装置10は、エンジン50から出力された動力を所望の回転数およびトルクに変換して、駆動軸であるアウタロータ軸35から出力することができる。
【0083】
(3)オーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換時の制御:
次に、アシストモータ40のロータ軸43の結合状態をオーバードライブ結合からアンダードライブ結合に切り換える際の動作について、説明する。
【0084】
図7は図1の動力出力装置10におけるオーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換時の制御の処理手順を示すフローチャートである。なお、この処理ルーチンは、制御ユニット90のCPUが、ROM内に記憶されている処理プログラムに従って動作することによって実行される。
【0085】
ここでは、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点が図6の曲線DOに沿って移動する際に、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合に切り換わる場合を例として説明する。例えば、車両が走行抵抗0%で定常走行していて、アウタロータ軸35の動作点が、今、曲線DO上の点d1にあるものとする。従って、アウタロータ軸35の動作点はオーバードライブ領域にあるため、アシストモータ40のロータ軸43の結合状態はオーバードライブ結合となっている。また、エンジン50の動作点は、動作線L1上の点e1にあるものとする。
【0086】
従って、アシストモータ40のロータ軸43の結合状態はオーバードライブ結合となっているため、制御ユニット90は、エンジン50、アシストモータ40、クラッチモータ30に対し、前述したようなオーバードライブ結合時の制御処理を行なうことになる(ステップS102)。
【0087】
続いて、制御ユニット90は、アクセルペダルポジションセンサ65aにより検出されたアクセルペダル65の踏込量に基づいて、駆動軸であるアウタロータ軸35から出力すべき要求出力を求め、その要求出力からさらにアウタロータ軸35の目標動作点を決定する(ステップS104)。
【0088】
次に、制御ユニット90は、決定したアウタロータ軸35の目標動作点がアンダードライブ領域にあるか否かを判定する(ステップS106)。従って、運転者が未だアクセルペダル65を踏み込んでおらず、アウタロータ軸35の目標動作点がまだオーバードライブ領域にある場合には、再びステップS102に戻って、制御ユニット90は、上記したのと同様の処理を繰り返す。しかし、運転者がアクセルペダル65を踏み込んで、アウタロータ軸35の目標動作点がエンジン50の動作線L2を越えアンダードライブ領域にある場合には、制御ユニット90は、ステップS108以降の処理を実行する。
【0089】
例えば、ステップS104で決定したアウタロータ軸35の目標動作点が点e3であるすると、点e3はアンダードライブ領域にあるので、処理はステップS108に進み、制御ユニット90は、図8に示すようなオーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換処理ルーチンを開始する(ステップS108)。
【0090】
図8は図7におけるオーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換処理ルーチンを示すフローチャート、図9は図1の動力出力装置10におけるエンジン50、アシストモータ40及び駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数の時間変化を示すタイミングチャートである。図9において、縦軸は回転数であり、横軸は時間である。また、曲線ERがエンジン50の回転数の、曲線ARがアシストモータ40の回転数の、曲線DRが駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数の、それぞれ時間変化を示している。なお、図9では、タイミングt0において、運転者がアクセルペダル65を踏み込んだものとし、このタイミングt0を横軸に示す時間の原点としている。従って、図9における点e1,d1はそれぞれ図6に示した点e1,d1と対応している。
【0091】
図8に示す切換処理ルーチンが開始されると、制御ユニット90は、図9に示すタイミングt1で、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換指令を出し(ステップS202)、これにより、制御ユニット90は、直ちに、切換装置80のアクチュエータ86を始動する(ステップS204)。そして、制御ユニット90は、アクチュエータ86を制御して、タイミングt2で、アシストモータ40のロータ軸43をエンジン50のクランクシャフト56から切り離す(ステップS206)。具体的には、切換装置80において、アクチュエータ86を駆動して、図1中の位置cにある可動ギヤ84を位置bに向かって移動させ、可動ギヤ84の第2ギヤ82との噛合を外すことによって行なわれる。
【0092】
これによって、エンジン50のクランクシャフト56と同じ回転数で回転していたアシストモータ40のロータ軸43は、クランクシャフト56との結合から解放され、独自に自由に回転することが可能となる。
【0093】
そこで、次に、制御ユニット90は、駆動回路92を介して、アシストモータ40を制御して、アシストモータ40の回転を加速させ、アシストモータ40のロータ軸43の回転数を上昇させる。そして、アシストモータ40のロータ軸43の回転数を駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数に合わせ込むように、回転数の同期化を図る(ステップS208)。これによって、図9の曲線ARで示すように、アシストモータ40のロータ軸43の回転数は、エンジン50のクランクシャフト56の回転数から離れて、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数に向かって上昇する。
【0094】
回転数の同期化は、例えば、次のようにして行なう。制御ユニット90は、まず、アシストモータ40の目標動作点(即ち、目標トルクと目標回転数の組み合わせ)を設定するに当たり、図示せざる回転数センサからアシストモータ40のロータ軸43の回転数とアウタロータ軸35の回転数をそれぞれ検出し、その検出したロータ軸43の回転数がアウタロータ軸35の回転数に近づくように、アシストモータ40の目標トルクと目標回転数を設定する。そして、制御ユニット90は、その設定したアシストモータ40の目標動作点に基づいて、アシストモータ40の動作を制御する。
【0095】
次に、制御ユニット90は、アシストモータ40のロータ軸43の回転数が駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数に一致したかどうかを判定し(ステップS210)、一致していなければ、一致するまで、回転数の同期化処理を継続する。
【0096】
その後、ロータ軸43の回転数がアウタロータ軸35の回転数に一致した場合には、制御ユニット90は、アクチュエータ86を制御して、タイミングt3で、アシストモータ40のロータ軸43を駆動軸であるアウタロータ軸35に結合させる(ステップS212)。具体的には、切換装置80において、アクチュエータ86を駆動して、図1中の位置bにある可動ギヤ84を位置aに向かって移動させ、可動ギヤ84を第1ギヤ81に噛合させることによって行なわれる。このとき、ロータ軸43の回転数はアウタロータ軸35の回転数に一致しているので、切換装置80において、可動ギヤ84と第1ギヤ81との差速はほぼゼロであり、当然に切換許容差速範囲内にあり、従って、両者の間で大きな磨耗を生じる恐れはない。こうして、アシストモータ40のロータ軸43をアウタロータ軸35に結合させることにより、結合状態はアンダードライブ結合となる。図9において、この結合の行なわれた点d2は、図6における曲線DO上の点d2に対応する。
【0097】
その後、制御ユニット90は、アクチュエータ86を介して、確実にアンダー結合状態になっているかを確認した上で(ステップS214)、駆動軸であるアウタロータ軸35から、ステップS104で決定した目標トルクが出力されるように、アシストモータ40の目標トルクを算出し(ステップS216)、駆動回路92を介してアシストモータ40を制御して、アシストモータ40から、算出した目標トルクを出力させる(ステップS218)。具体的には、アンダードライブ結合の場合、アシストモータ40のトルクTaは、前述の式(1)に示すように、駆動軸であるアウタロータ軸35のトルクTdとエンジン50のトルクTaとの差であるため(Ta=Td−Te)、アウタロータ軸35の目標トルクからエンジン50のトルク分を差し引いたものを、アシストモータ40の目標トルクとして設定するようにすれば良い。
【0098】
以上のようにして、制御ユニット90による切換装置80及びアシストモータ40に対する制御処理は行なわれる。
【0099】
ここで、アシストモータ40に対する制御シーケンスについて、さらに詳しく説明する。図10はオーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換時のアシストモータ40に対する制御シーケンスを示すタイミングチャートである。図10において、縦軸はアシストモータ40に対する制御内容を示し、横軸は時間を示している。なお、横軸に示す時間は、図9に示したそれと完全に対応しており、タイミングt0〜t3は図9で述べたものと同じである。
【0100】
まず、運転者がアクセルペダル65を踏み込み、制御ユニット90が切換指令を出すまでは、制御ユニット90は、アシストモータ40に対しオーバードライブ結合時の制御を行なっている(制御内容1)。これにより、アシストモータ40は、前述したとおり、発電状態(回生状態)となって、負のトルクを出力している。そこで、制御ユニット90は、切換指令を出した後に、アシストモータ40に対し、まず、出力しているトルクをゼロにするように制御する(制御内容2)。
【0101】
しかしながら、アシストモータ40からのトルクをゼロにしても、アシストモータ40自体、引きずりトルクを持っているため、制御ユニット90は、アシストモータ40に対して、次に、この引きずりトルクをキャンセルするように、引きずりトルクと逆向きのトルクをわずかに発生させる(制御内容3)。これにより、アシストモータ40のロータ軸43はエンジン50のクランクシャフト56に対し何らトルクを受けも加えもしていないので、切換装置80において、可動ギヤ84の第2ギヤ82との噛合を外す際に、スムーズに外すことができる。
【0102】
こうして、アシストモータ40のロータ軸43がエンジン50のクランクシャフト56から切り離されると、制御ユニット90は、アシストモータ40に対して、前述したように、加速及び同期化を行なうように制御する(制御内容4)。その後、アシストモータ40のロータ軸43の回転数が駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数に近づいて来たら、制御ユニット90は、アシストモータ40を制御して、アシストモータ40から出力されるトルクを再びゼロにする(制御内容5)。このようにアシストモータ40のロータ軸43に生じるトルクをゼロにすることにより、その後、アシストモータ40のロータ軸43の回転数がアウタロータ軸35の回転数と一致し、切換装置80において可動ギヤ84を第1ギヤ81に噛合する際に、両者の間に無理な力が加わって破損が生じたりすることがないようにすることができる。
【0103】
こうして、アシストモータ40のロータ軸43が駆動軸であるアウタロータ軸35に結合されると、制御ユニット90は、アシストモータ40に対し、アンダードライブ結合時の制御を行なう(制御内容6)。
【0104】
以上のように、アシストモータ40を制御することによって、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換を支障なく、スムーズに行なうことができる。
【0105】
さて、一方、以上のような切換装置80及びアシストモータ40に対する制御処理に並行して、制御ユニット90は、エンジン50及びクラッチモータ30に対しても、次のような制御処理を行なう。
【0106】
即ち、制御ユニット90は、まず、エンジン50を制御して、エンジン50から出力される動力を上昇させる(ステップS220)。具体的には、エンジン50に対する要求動力を増加させて、その増加した要求動力に基づいてエンジン50の目標動作点を設定するようにする。こうして、エンジン50からの動力を上昇させることにより、エンジン50は吹き上がり、エンジン50の回転数は図9に示すように上昇する。そして、ついには、エンジン50の回転数は、交点edで駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数を上回り、実質的にアンダードライブ動作状態となる。なお、図9における交点edは、図6における交点edと対応している。
【0107】
次に、制御ユニット90は、クラッチモータ30の目標トルクを算出し(ステップS222)、駆動回路91を介してクラッチモータ30を制御して、クラッチモータ30から、算出した目標トルクを出力させる(ステップS224)。この場合、クラッチモータ30の目標トルクTc*は、次の式(3)に従って算出する。
【0108】
Tc*=Te+{(Ne−Neini)・(Te*−Tcini)/(Ndini−Neini)}; ・・・(3)
【0109】
但し、Teはエンジン50の現在のトルク、Neはエンジン50の現在の回転数、Neiniは切換指令発生時のエンジン50のトルク、Te*はエンジン50の目標トルク、Tciniは切換指令発生時のクラッチモータ30のトルクである。
【0110】
このように、式(3)に従ってクラッチモータ30の目標トルクTc*を算出することにより、クラッチモータ30から出力されるトルクTcはエンジン50から出力されるトルクTeに次第に近づき、最終的に、そのトルクTeと等しくなる(ステップS226)。
【0111】
こうして、制御ユニット90により並行して行なわれる切換装置80およびアシストモータ40に対する制御処理と、エンジン50およびクラッチモータ30に対する制御処理がそれぞれ終了したら、図7に示す処理ルーチンに戻る。そして、アシストモータ40のロータ軸43の結合状態はアンダードライブ結合となっているため、制御ユニット90は、エンジン50、アシストモータ40、クラッチモータ30に対し、前述したようなアンダードライブ結合時の制御処理を行なうことになる(ステップS110)。
【0112】
アシストモータ40のロータ軸43の結合状態をオーバードライブ結合からアンダードライブ結合に切り換える際には、以上説明したようにして、制御処理が行なわれる。
【0113】
従って、本実施例によれば、制御ユニット90は、運転者がアクセルペダル65を踏み込んで、駆動軸であるアウタロータ軸35の目標動作点がエンジン50の動作線L2を越えアンダードライブ領域にあると、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換指令を出し、直ちに、切換装置80のアクチュエータ86を始動して、アシストモータ40のロータ軸43をエンジン50のクランクシャフト56から切り離すので、従来に比較して切換時間を短縮することができる。つまり、従来においては、制御ユニット90は、駆動軸であるアウタロータ軸35とエンジン50の出力軸であるクランクシャフト56との差速が切換許容差速範囲内になったことを確認してから、切換装置80のアクチュエータ86を始動していたが、本実施例では、そのような確認をすることなく直ちに、アクチュエータ86を始動するので、その分、切換時間が短くなる。
【0114】
また、本実施例によれば、制御ユニット90は、アシストモータ40のロータ軸43をエンジン50のクランクシャフト56から切り離すと、アシストモータ40の回転を加速させ、ロータ軸43の回転数を駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数に合わせ込むように、回転数の同期化を図るため、従来に比べて、さらに切換時間を短くすることができる。つまり、従来においては、制御ユニットは、アシストモータ40のロータ軸43をエンジン50のクランクシャフト56から切り離した後、アシストモータ40を駆動状態にして、アシストモータ40を一定のトルクで回転数を徐々に上昇させていたのに対し、本実施例では、アシストモータ40の回転を積極的に加速させて、ロータ軸43の回転数を図9に示すように急速に上昇させ、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数との同期化を図っているので、ロータ軸43の回転数を早期にアウタロータ軸35の回転数に一致させることができ、ロータ軸43とアウタロータ軸35との結合を早めることができる。このため、本実施例では、図9に矢印ATとして示すように、切換装置80のアクチュエータ86の駆動時間は、約0.25秒とすることができる。また、従来では、ロータ軸43とアウタロータ軸35との結合は、図6において、交点edで完了していたが、本実施例では、それよりも早い点d2で完了することになる。
また、本実施例では、アシストモータ40のロータ軸43を駆動軸であるアウタロータ軸35に結合させる時点で、ロータ軸43の回転数とアウタロータ軸35の回転数はほぼ一致しているため、切換装置80において、可動ギヤ84と第1ギヤ81との差速はほぼゼロとなって、切換許容差速範囲内にあり、従って、両者の間で大きな磨耗を生じる恐れはない。
【0115】
また、以上のように切換時間を短縮したことによって、本実施例によれば、運転者がアクセルペダルを踏み込んでから、その踏込量に見合ったトルクが駆動軸であるアウタロータ軸35から実際に出力されるまでに、かかる時間を約0.6秒程度とすることができるため、運転者にとってレスポンスの良いものとすることができる。
【0116】
さらにまた、本実施例では、オーバードライブ結合からアンダードライブ結合に切り換える際に、エンジン50から出力される動力を上昇させると共に、このエンジン50の出力するトルクをクラッチモータ30で受けて、駆動軸であるアウタロータ軸35にトルク伝達させているので、駆動軸でのトルク抜けを防止することができる。
【0117】
さて、図1に示した動力出力装置10では、エンジン50から出力された動力を電力のやりとりによって増減して伝達する動力調整装置として、クラッチモータ30を適用していた。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、動力調整装置として、クラッチモータ30の代わりに、図11に示すように、プラネタリギヤ200と電動発電機210を適用するようにしても良い。
【0118】
図11は図1の動力出力装置の変形例を示す構成図である。この変形例の構成は、動力調整装置としてプラネタリギヤ200と電動発電機210を用いた以外は、図1に示した動力出力装置の構成と基本的に同じである。なお、図11においては、切換装置80に代えて、切換装置80と基本構成が同じな切換装置180を用いている。また、図1では図示しなかったが、図11ではダンパ58が図示されている。
【0119】
さて、プラネタリギヤ200は、中心で回転するサンギヤ201、サンギヤ201の外周を自転しながら公転するプラネタリピニオンギヤを備えるプラネタリキャリア203と、更にその外周で回転するリングギヤ202とから構成されている。サンギヤ201、プラネタリキャリア203,およびリングギヤ202はそれぞれ別々の回転軸を有している。サンギヤ201の回転軸であるサンギヤ軸204は中空になっており、電動発電機210のロータ212に結合されている。プラネタリキャリア203の回転軸であるプラネタリキャリア軸206はダンパ58を介してエンジン50のクランクシャフト56と結合されている。リングギヤ202の回転軸であるリングギヤ軸205は、駆動軸であって、出力用ギヤ21,チェーン23を介して伝達軸22に結合されている。この伝達軸22は、更に減速機24およびディファレンシャルギヤ25を介して、駆動輪26R,26Lを備えた車軸26に結合されている。
【0120】
プラネタリギヤ200は、サンギヤ軸204,プラネタリキャリア軸206およびリングギヤ軸205の3軸の回転数およびトルクに以下の関係が成立することが機構学上よく知られている。即ち、上記3つの回転軸のうち2つの回転軸の動力状態が決定されると、以下の関係式に基づいて残余の一つの回転軸の動力状態が決定される。
【0121】
Ns=(1+ρ)/ρ×Nc−Nr/ρ;
Nc=ρ/(1+ρ)×Ns+Nr/(1+ρ);
Nr=(1+ρ)Nc−ρNs;
Ts=Tc×ρ/(1+ρ)=ρTr;
Tr=Tc/(1+ρ);
ρ=サンギヤ201の歯数/リングギヤ202の歯数; ・・・(4)
【0122】
ここで、
Nsはサンギヤ軸204の回転数;
Tsはサンギヤ軸204のトルク;
Ncはプラネタリキャリア軸206の回転数(即ちNe);
Tcはプラネタリキャリア軸206のトルク(即ちTe);
Nrはリングギヤ軸205の回転数(即ちNd);
Trはリングギヤ軸205のトルク(即ちTd);
である。
【0123】
電動発電機210は、アシストモータ40と同様の構成をしている。つまり、電動発電機210はステータ214にコイルが巻回され、ロータ212に永久磁石が貼付された三相同期モータとして構成されている。ステータ214はケースに固定されている。ステータ214に巻回されたコイルに三相交流を流すと回転磁界が生じ、ロータ212に貼付された永久磁石との相互作用によってロータ212が回転する。電動発電機210は、ロータ212が外力によって回転されると、その動力を電力として回生する発電機としての機能も奏する。なお、電動発電機210のステータ214に巻回されたコイルは、図1のクラッチモータ30と同様に、駆動回路91と電気的に接続されている。制御ユニット90が駆動回路91のトラジスタをオン・オフすることにより電動発電機210の運転を制御することができる。
【0124】
この変形例では、プラネタリギヤ200と電動発電機210の組み合わせにより、図1に示したクラッチモータ30と同等の機能を奏することができる。クラッチモータ30のインナロータ軸33に相当するのがプラネタリキャリア軸206であり、駆動軸であったアウタロータ軸35に相当するのがリングギヤ軸205である。この変形例では、これらの組み合わせにより、以下に示す通り、動力調整装置としての機能を奏する。
【0125】
エンジン50からプラネタリキャリア軸206に動力が入力されると、上式(4)に従い、リングギヤ202およひサンギヤ201が回転する。リングギヤ202およびサンギヤ201のいずれか一方の回転を止めることも可能である。リングギヤ202が回転することにより、エンジン50から出力された動力の一部を駆動軸であるリングギヤ軸205に機械的な形で伝達することができる。また、サンギヤ201が回転することにより、エンジン50から出力された動力の一部を電動発電機210により電力として回生することができる。一方、電動発電機210を力行すれば、電動発電機210から出力されたトルクは、サンギヤ201、プラネタリキャリア203およびリングギヤ202を介して駆動軸であるリングギヤ軸205に機械的に伝達することができる。従って、電動発電機210を力行することにより、エンジン50から出力されたトルクを増大して駆動軸であるリングギヤ軸205に出力することも可能である。このように、この変形例では、プラネタリギヤ200と電動発電機210の組み合わせにより、図1に示したクラッチモータ30と同様の機能を奏することができるのである。
【0126】
この変形例においても、アシストモータ40のロータ軸43をプラネタリギヤ200のリングギヤ軸205に結合させるか、プラネタリキャリア軸206に結合させるかを、第1ギヤ111,第2ギヤ112,第3ギヤ113を備えた切換装置180により切り換えている。切換装置180には、図1に示した切換装置80と同様、切り換え用のアクチュエータが設けられており、制御ユニット90に接続されているが、図示は省略した。
【0127】
この変形例でも、これらギヤの噛合状態に応じて種々の構成を採ることができる。例えば、第1ギヤ111と第3ギヤ113とを噛合すると、アシストモータ40のロータ軸43は、駆動軸であるプラネタリギヤ200のリングギヤ軸205と結合する。従って、エンジン50から出力された動力は、プラネタリギヤ200、アシストモータ40を経て駆動軸であるリングギヤ軸205に伝達される。これは、図1の構成におけるアンダードライブ結合(図13)に相当する結合状態である。
【0128】
他方、切換装置180を制御して、第2ギヤ112と第3ギヤ113とを噛合すると、アシストモータ40のロータ軸43はプラネタリギヤ200のプラネタリキャリア軸206と結合する。従って、エンジン50から出力された動力は、アシストモータ40、プラネタリギヤ200を経て駆動軸リングギヤ軸205に伝達される。これは、図1の構成におけるオーバードライブ結合(図14)に相当する結合状態である。
【0129】
従って、以上のような構成において、図7及び図8に示したオーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換時の制御処理をそのまま実行することによって、この変形例においても、図1に示した実施例と同様の効果を奏することは可能である。但し、図9において、クラッチモータの代わりに、電動発電機210の動作制御を行なう必要がある。
【0130】
また、本発明は4輪駆動車に適用することもできる。実施例(図1)または変形例(図11)の構成による動力系統を車両の前輪に適用し、後輪の車軸に別途駆動用の電動機を設けることによって4輪駆動可能なハイブリッド車両を構成することができる。かかる車両でも、駆動軸の回転数とエンジン50の回転数の大小関係に応じて、結合状態を切り替えることにより効率の高い運転を行うことができる。従って、かかる切り替えの制御に本発明を適用するものとすれば、先に実施例で説明した種々の効果を得ることができる。
【0131】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、更に種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例えば、上述した実施例においては、エンジン50としてガソリンにより運転されるガソリンエンジンを用いていたが、その他にも、ディーゼルエンジン等のレシプロエンジンの他、タービンエンジンや、ジェットエンジン、ロータリエンジンなど各種内燃或いは外燃機関を用いることができる。
【0132】
また、モータとしては、PM形(永久磁石形;Permanent Magnet type)同期電動機を用いたが、回生動作及び力行動作を行なわせるのであれば、その他にも、VR形(可変リラクタンス形;Variable Reluctance type)同期電動機や、バーニアモータや、直流電動機や、誘導電動機や、超電導モータなどを用いることができる。また、力行動作のみ行なわせるのであれば、直流モータやステップモータなどを用いることもできる。
【0133】
クラッチモータ30における、インナロータ,アウタロータと外部の回転軸との関係は、逆にすることも可能である。また、アウタロータとインナロータの代わりに、互いに対向する円盤状のロータを用いるようにしても良い。
【0134】
第1及び第2の駆動回路91,92としては、トランジスタインバータを用いていたが、その他にも、IGBT(絶縁ゲートバイポーラモードトランジスタ;Insulated Gate Bipolar mode Transistor)インバータや、サイリスタインバータや、電圧PWM(パルス幅変調;Pulse Width Modulation)インバータや、方形波インバータ(電圧形インバータ,電流形インバータ)や、共振インバータなどが用いることができる。
【0135】
二次電池であるバッテリ94としてはPbバッテリ,NiMHバッテリ,Liバッテリなどを用いることができるが、バッテリ94に代えてキャパシタを用いることもできる。また、本実施例では、種々の制御処理をCPUがソフトウェアを実行することにより実現しているが、かかる制御処理をハード的に実現することもできる。
【0136】
以上の実施例では、動力出力装置をハイブリッド車両に搭載する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、2つの出力軸を有するものであれば、船舶,航空機などの交通手段や、工作機械などの各種産業機械などに搭載することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載したハイブリッド車両の概略構成を示す構成図である。
【図2】アンダードライブ結合状態において、エンジンから出力された動力を回転数が低い側に変換する場合の様子を示す説明図である。
【図3】アンダードライブ結合状態において、エンジンから出力された動力を回転数が高い側に変換する場合の様子を示す説明図である。
【図4】オーバードライブ結合状態において、エンジンから出力された動力を回転数が低い側に変換する場合の様子を示す説明図である。
【図5】オーバードライブ結合状態において、エンジンから出力された動力を回転数が高い側に変換する場合の様子を示す説明図である。
【図6】図1の動力出力装置の動作領域と基本的にオーバードライブ結合とする領域とアンダードライブ結合とする領域とを示す説明図である。
【図7】図1の動力出力装置10におけるオーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換時の制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図7におけるオーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】図1の動力出力装置10におけるエンジン50、アシストモータ40及び駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数の時間変化を示すタイミングチャートである。
【図10】オーバードライブ結合からアンダードライブ結合への切換時のアシストモータ40に対する制御シーケンスを示すタイミングチャートである。
【図11】図1の動力出力装置の変形例を示す構成図である。
【図12】電動機の回転軸の結合状態を切り換え可能に構成した一般的な動力出力装置の要部を示す構成図である。
【図13】図1または図12における動力出力装置において、アンダードライブ結合時の動力系統の概略構成を示す説明図である。
【図14】図1または図12における動力出力装置において、オーバードライブ結合時の動力系統の概略構成を示す説明図である。
【図15】従来の動力出力装置におけるオーバードライブ結合からアンダードライブ結合へ切り換える際の各構成要素の動作状態の時間的推移を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
10…動力出力装置
20…ハイブリッドユニット
21…出力用ギヤ
22…伝達軸
23…チェーン
24…減速機
25…ディファレンシャルギヤ
26…車軸
26R,26L…駆動輪
30…クラッチモータ
32…インナロータ
33…インナロータ軸
34…アウタロータ
35…アウタロータ軸
36…三相コイル
38…スリップリング
40…アシストモータ
42…ロータ
43…ロータ軸
44…ステータ
46…三相コイル
50…エンジン
51…燃料噴射弁
52…回転数センサ
53…スロットルバルブ
54…スロットルバルブモータ
56…クランクシャフト
57…VVT
58…ダンパ
65…アクセルペダル
65a…アクセルペダルポジションセンサ
66…シフトレバー
66a…シフトポジションセンサ
70…EFIECU
80…切換装置
81…第1ギヤ
82…第2ギヤ
83…第3ギヤ
84…可動ギヤ
85…スプライン
86…アクチュエータ
87…可動部材
90…制御ユニット
91…第1の駆動回路
92…第2の駆動回路
94…バッテリ
111…第1ギヤ
112…第2ギヤ
113…第3ギヤ
180…切換装置
200…プラネタリギヤ
201…サンギヤ
202…リングギヤ
203…プラネタリキャリア
204…サンギヤ軸
205…リングギヤ軸
206…プラネタリキャリア軸
210…電動発電機
212…ロータ
214…ステータ

Claims (7)

  1. 出力軸を有するエンジンと、動力を出力するための駆動軸と、前記出力軸及び駆動軸に結合され電力のやりとりによって前記エンジンから出力された動力を増減して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置と、回転軸を有する電動機と、該電動機の回転軸を前記駆動軸または前記出力軸に選択的に結合させることが可能な結合手段と、を備えた動力出力装置であって、
    前記結合手段によって前記電動機の回転軸が前記出力軸に結合されている場合に、外部から要求された要求出力に基づいて、前記電動機の回転軸を前記出力軸に代えて前記駆動軸に結合させるべきか否かを判定する判定手段と、
    該判定手段が前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させるべきであると判定した場合に、前記電動機を制御して、該電動機の回転軸が前記出力軸に対しトルクを受けも加えもしていない状態にすると共に、直ちに前記結合手段を制御して、前記電動機の回転軸を前記出力軸から切り離すべく、前記結合手段の駆動を開始させる切り離し制御手段と、
    前記電動機の回転軸が前記出力軸から切り離された場合に、前記電動機の回転軸の回転数を上昇させて、前記駆動軸の回転数に合わせ込む同期化手段と、
    前記電動機の回転軸の回転数が前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなった場合に、前記結合手段を制御して、前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させる結合制御手段と、
    をさらに備える動力出力装置。
  2. 請求項1に記載の動力出力装置において、
    前記判定手段が前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させるべきであると判定した場合に、前記エンジンを制御して、該エンジンから出力される動力を上昇させる動力上昇手段をさらに備える動力出力装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の動力出力装置において、
    トルクと回転数との関係で表される前記動力出力装置の動作領域を、所定の境界によって分割して、前記電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第2の領域とを設定する領域設定手段をさらに備えると共に、
    前記判定手段は、
    前記要求動力から前記駆動軸の目標動作点を設定する目標動作点設定手段と、
    設定した前記駆動軸の目標動作点が前記境界を越えて前記第2の領域にある場合に、前記電動機の回転軸を前記出力軸に代えて前記駆動軸に結合させるべきであると決定する切換決定手段と、
    を備える動力出力装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちの任意の一つに記載の動力出力装置において、
    前記動力調整装置は、前記出力軸に結合された第1のロータと、前記駆動軸に結合された第2のロータとを有する対ロータ電動機を備えることを特徴とする動力出力装置。
  5. 請求項1ないし請求項3のうちの任意の一つに記載の動力出力装置において、
    前記動力調整装置は、
    ロータ軸を有する発電機と、
    3つの回転軸を有し、各回転軸が前記出力軸、駆動軸、及びロータ軸にそれぞれ結合されたプラネタリギヤと、
    を備えることを特徴とする動力出力装置。
  6. 出力軸を有するエンジンと、動力を出力するための駆動軸と、前記出力軸及び駆動軸に結合され電力のやりとりによって前記エンジンから出力された動力を増減して前記駆動軸に伝達可能な動力調整装置と、回転軸を有する電動機と、該電動機の回転軸を前記駆動軸または前記出力軸に選択的に結合させることが可能な結合手段と、を備えた動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記結合手段によって前記電動機の回転軸が前記出力軸に結合されている場合に、外部から要求された要求出力に基づいて、前記電動機の回転軸を前記出力軸に代えて前記駆動軸に結合させるべきか否かを判定する工程と、
    (b)前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させるべきであると判定した場合に、前記電動機を制御して、該電動機の回転軸が前記出力軸に対しトルクを受けも加えもしていない状態にすると共に、直ちに前記結合手段を制御して、前記電動機の回転軸を前記出力軸から切り離すべく、前記結合手段の駆動を開始させる工程と、
    (c)前記電動機の回転軸が前記出力軸から切り離された場合に、前記電動機の回転軸の回転数を上昇させて、前記駆動軸の回転数に合わせ込む工程と、
    (d)前記電動機の回転軸の回転数が前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなった場合に、前記結合手段を制御して、前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させる工程と、
    を備える動力出力装置の制御方法。
  7. 請求項6に記載の制御方法において、
    (e)前記工程(a)にて前記電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させるべきであると判定した場合に、前記エンジンを制御して、該エンジンから出力される動力を上昇させる工程
    をさらに備える動力出力装置の制御方法。
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