JP4061256B2 - 画像歪み補正装置、画像読取装置、画像形成装置及びプログラム - Google Patents
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Description
ところが、原稿としてブック原稿を用いた場合には、図47に示すように、ブック原稿100のページ綴じ部101がコンタクトガラス102から浮き上がってしまう。このようにブック原稿100のページ綴じ部101がコンタクトガラス102から浮き上がってしまった場合には、ページ綴じ部101が焦点面から離れてしまうため、浮き上がった部分のスキャン画像には、画像歪み、影、文字ぼけなどの画像劣化が発生する。劣化したページ綴じ部101の画像は読みにくく、OCRにより文字認識処理を行うときの認識率が著しく低下する。特に、厚手製本ではその割合が高く、また、ブック原稿100のページ綴じ部101を焦点面から離れないように加圧作業した場合には、ブック原稿100自体を破損してしまうこともある。
また、特許文献1には、三角測量方式により書籍の形状を測定し、歪みを補正する方法が提案されている。
さらに、特許文献2には、読み取りスキャン画像のページ外形の形状を用いて書籍表面の3次元形状を推定する方法が提案されている。
しかしながら、前述したShape from Shadingと呼ばれる方法によれば、計算量が多く、歪み補正処理の計算時間が長いので、実用化は困難である。
また、特許文献1に記載されている方法によれば、三角測量方式により書籍の形状を測定するための特別な形状計測装置が必要になるため、装置を小型化する上で適切ではない。
さらに、特許文献2に記載されている方法によれば、少ない計算量で歪み補正ができるが、ページ外形が画像中に完全に収まりきれずに途中で切れているような場合には有効な補正ができない。
そこで、ページ外形が途中で切れているような読み取りスキャン画像であっても、その歪みを少ない計算量で有効に補正することができる画像歪み補正装置を特願2002−247643にて提案した。そこでは、ページ外形だけではなく文字行情報および罫線情報を用いて画像の歪みを補正し、しかも、スキャナ(画像読取手段)の固有パラメータ(レンズの焦点面距離、スキャン光軸の位置(アドレス))を利用していないので、任意のスキャナの出力画像を補正できる。
本発明の目的は、スキャナパラメータが既知の場合と未知の場合とにおいて、それぞれ適切な補正方法を与え、補正精度の向上が図れるような画像歪み補正装置、画像読取装置、画像形成装置及びプログラムを提供することである。
また、本発明の請求項2は、請求項1記載の画像歪み補正装置において、前記副走査方向歪み補正手段は、前記書籍原稿とスキャン面からの距離に基づいて、書籍原稿の断面曲線を折れ線近似し、その累積が補正後の画像の副走査方向の長さとなるように補正前後の対応点を求めることにより補正を行うことを特徴とする。
また、本発明の請求項4の画像読取装置は、主走査方向に対してページ綴じ部がほぼ平行となるように、スキャン面に載置した書籍原稿画像を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段が読み取ったスキャン画像の補正を行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像歪み補正装置とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の請求項5の画像形成装置は、主走査方向に対してページ綴じ部がほぼ平行となるように、スキャン面に載置した書籍原稿画像を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段が読み取ったスキャン画像の補正を行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像歪み補正装置と、該画像歪み補正装置が補正した画像データに基づいた画像を用紙上に印刷する画像印刷装置とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の請求項6は、主走査方向に対してページ綴じ部がほぼ平行となるように、スキャン面に載置した書籍原稿画像を読み取って得られたスキャン画像を副走査方向に伸張して歪み補正をコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータに前記スキャン画像と該スキャン画像を読み取ったスキャナレンズの光軸位置情報から書籍原稿とスキャン面との距離を求める浮き上がり量算出手段と、該浮き上がり量算出手段が算出した距離に基づいて前記スキャン画像の歪みを補正し、前記浮き上がり量算出手段が算出した書籍原稿とスキャン面との距離を記憶して、連続してスキャンされる所定数のページに対して、該記憶された距離を用いて副走査方向の歪みを補正する副走査方向歪み補正手段として機能させるためのプログラム。
また、本発明の請求項7は、請求項6記載のプログラムにおいて、前記副走査方向歪み補正手段は、前記書籍原稿とスキャン面からの距離に基づいて、書籍原稿の断面曲線を折れ線近似し、その累積が補正後の画像の副走査方向の長さとなるように補正前後の対応点を求めることにより補正を行うことを特徴とする。
ここで、図1はスキャナ部1の構成を示す縦断面図である。図1に示すように、スキャナ部1は、原稿を載置するコンタクトガラス2と、原稿の露光用の露光ランプ3および第一反射ミラー4からなる第一走行体5と、第二反射ミラー6および第三反射ミラー7からなる第二走行体8と、原稿の画像を読み取る撮像素子としてのCCD(Charge Coupled Device)9と、このCCD9に結像させるためのレンズユニット10と、原稿を載置する基準になるとともにコンタクトガラス2のズレや外れを防止する原稿スケール11と、この原稿スケール11の下側に設置されたシェーディング補正用の白基準板12と、フレーム14とを備えている。CCD9はセンサボード13上に形成されている。
原稿の走査時には、第一走行体5および第二走行体8はステッピングモータ24(図3参照)によって副走査方向に移動する。すなわち、第一走行体5および第二走行体8がコンタクトガラス2の下を走行して、露光ランプ3で原稿を露光走査し、その反射光を第一反射ミラー4、第二反射ミラー6および第三反射ミラー7で反射して、レンズユニット10を通してCCD9に結像させる。ここに、画像読取手段が実現されている。
このようなスキャナ部1は、このスキャナ部1で読み取られた原稿の画像に基づく画像データに応じ、例えば電子写真方式で用紙上に画像の形成を行う画像印刷装置であるプリンタ部(図示せず)を備えるデジタル複写機16に搭載されている。
なお、デジタル複写機16に備えられるプリンタとしては、電子写真方式のほか、インクジェット方式、昇華型熱転写方式、銀塩写真方式、直接感熱記録方式、溶融型熱転写方式など、種々の印刷方式を適用することができる。その具体的な構成については周知であるため、詳細な説明は省略する。
図3は、スキャナ部1の制御系の電気的な接続を示すブロック図である。図3に示すように、この制御系は、スキャナ部1の全体を制御するメイン制御部19に、CCD9で読み取った画像データに各種の画像処理を施す回路である画像処理部20と、第一走行体5および第二走行体8を制御する回路である走行体制御部21と、デジタル複写機16への各種操作を受け付け、また、各種メッセージを表示する操作パネル22と、CCD9で読み取った画像データや所定のデータ等を記憶するメモリ23とが接続されている。なお、操作パネル22には、コピー開始を宣言するためのコピースタートキー等が設けられている。また、走行体制御部21には、露光ランプ3と、第一走行体5および第二走行体8を駆動するステッピングモータ24と、第一走行体5および第二走行体8がホームポジションにあるか否かを検出するスキャナホームポジションセンサ(HPセンサ)25と、開閉センサ18とが接続されている。
メイン制御部19は、図5に示すように、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)31を備えており、このCPU31には、BIOSなどを記憶した読出し専用メモリであるROM(Read Only Memory)32と、各種データを書換え可能に記憶してCPU31の作業エリアとして機能するRAM(Random Access Memory)33とがバス34で接続されており、マイクロコンピュータを構成している。さらにバス34には、制御プログラムが記憶されたHDD35と、CD(Compact Disc)−ROM37を読み取るCD−ROMドライブ36と、プリンタ部等との通信を司るインタフェース(I/F)38とが接続されている。
なお、記憶媒体としては、CD−ROM37のみならず、DVDなどの各種の光ディスク、各種光磁気ディスク、フレキシブルディスクなどの各種磁気ディスク、半導体メモリ等、各種方式のメディアを用いることができる。また、インターネットなどのネットワークからプログラムをダウンロードし、HDD35にインストールするようにしてもよい。この場合に、送信側のサーバでプログラムを記憶している記憶装置も、この発明の記憶媒体である。なお、プログラムは、所定のOS(Operating System)上で動作するものであってもよいし、その場合に後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、ワープロソフトなど所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであってもよい。
次に、メイン制御部19に設けられたCPU31が制御プログラムに基づいて実行する各種処理の内容について説明する。ここでは、CPU31が実行する処理のうち、本実施の形態のスキャナ部1が備える特長的な機能であるスキャン画像の歪み補正機能を実現する画像歪み補正装置である画像歪み補正部29におけるスキャン画像の歪み補正処理についてのみ説明する。
図6は、スキャン画像の歪み補正処理の流れを概略的に示すフローチャートである。なお、ここでは、図7に示すように、ブック原稿40がそのページ綴じ部41とスキャナ部1の画像読み取りの主走査方向とが平行になるように位置させてコンタクトガラス2に載置されている場合について説明する。
まず、ステップS1において、画像データ処理部28から出力されたコンタクトガラス2に載置されているブック原稿40のスキャン画像を入力する。ここで、図8は入力した画像の一例を示したものである。そして、図9に示すように、入力されたブック原稿40のスキャン画像には、ページ綴じ部41の近傍において歪みが生じている。
次いで、ブック原稿40のスキャン画像(例えば、モノクロ多値画像)の最適2値化処理を実行し(ステップS2)、副走査方向の黒画素(スキャン画像の画素の中でその濃度値が予め定めた濃度値よりも濃い画素)数のヒストグラムを求める(ステップS3)。図10は、図8に示した画像の綴じ部境界線左側の黒画素ヒストグラムである。図10中の横軸は、主走査方向の黒画素(スキャン画像の画素の中でその濃度値が予め定めた濃度値よりも濃い画素)の位置を示し、図10中の縦軸は、その位置毎の黒画素数を示すものである。なお、綴じ部境界線としては、スキャン画像中の画素の中でその濃度値が最も濃い画素が位置する副走査方向の位置が選択される。
なお、スキャン画像がカラー多値画像の場合における2値化処理は、例えばRGB成分の何れか一つの成分に着目し(例えばG成分)、G成分の所定の濃度閾値よりも大きいものを黒画素とし、G成分の所定の濃度閾値よりも小さいものを白画素とすれば良い。また、RGBを色変換して輝度成分と色差成分とに分け、輝度成分で閾値処理を行うようにしても良い。
続くステップS4においては、ページ外形/罫線/文字行の抽出処理を実行する。ここで、図11は、ページ外形/罫線/文字行の抽出処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
まず、ステップS41におけるスキャン画像からのページ外形の抽出処理について説明する。ここで、図12は上端にページ外形が存在するスキャン画像の一例を示す説明図、図13は図12に示したスキャン画像の綴じ部境界線左側の黒画素ヒストグラムである。図13に示すヒストグラムのx軸はスキャン画像の主走査方向(図12の上下方向)を示すものであり、スキャン画像の上端はヒストグラムの左端に対応付けられている。なお、ページ外形が下端に存在するスキャン画像の場合には、スキャン画像の下端がヒストグラムの右端に対応付けられることになる。したがって、図12に示すようにスキャン画像の上端にページ外形が存在する場合、スキャン画像の上部に黒い帯が現れることから、図13に示すヒストグラムの左端には高い縦棒が現れることになる。本実施の形態では、このような特性を利用して、スキャン画像にページ外形が存在するか否かの判断を行う。
より具体的には、図13に示すように、綴じ部境界線からスキャン画像の左端(図12の左端)までの距離AO、ヒストグラム縦棒の高さBOとし、その比率を下記に示す式(1)により算出し、
なお、スキャン画像の上下にページ外形が存在する場合には、ヒストグラムの左右両端に高い縦棒が現れることになるので、このような場合には、ヒストグラムの左右両端の高い縦棒に基づいてスキャン画像にページ外形が存在するか否かの判断がそれぞれ実行される。
ここに、ページ外形判別手段の機能が実行される。
以上の処理により、スキャン画像にページ外形が存在すると判断された場合には、左右ページの上下辺のいずれにページ外形が存在しているのかという情報とともにページ外形を抽出し、RAM33に一時的に記憶する。
なお、このスキャン画像にページ外形が存在するか否かの判断処理は、スキャン画像の綴じ部境界線を境にした左右ページ毎に実行される。
続くステップS42においては、スキャン画像からの罫線の抽出処理を実行する。
ステップS42におけるスキャン画像からの罫線の抽出処理について説明する。
[罫線候補の検出]
ここで、図14は長い罫線が存在するスキャン画像の一例を示す説明図、図15は図14に示したスキャン画像の綴じ部境界線左側の黒画素ヒストグラムである。
図15に示すヒストグラムのx軸はスキャン画像の主走査方向(図14の上下方向)を示すものであり、スキャン画像の上端はヒストグラムの左端に対応付けられている。図14に示すようにスキャン画像に罫線が存在する場合には、図15に示すヒストグラムに幅の狭いピークが現れることになる。本実施の形態では、このような特性を利用して、スキャン画像に罫線が存在するか否かの判断を行う。
より具体的には、まず、図15に示すヒストグラムに現れた幅の狭いピークの高さHを求めるとともに、求められた各ピークの中央位置(高さが半分の位置)における幅Wを求める。そして、ピークの高さHが予め定められた閾値thHよりも高く、かつ、ピークの中央位置の幅Wが予め定められた閾値thWより小さなピークが存在する場合、そのピークを罫線の候補とする。
ここに、罫線候補抽出手段の機能が実行される。
続いて、罫線の候補とされたピークについて、罫線の連続性を利用して、更に罫線か否かの判断をする。図16に示すように、候補罫線上の適当な位置(例えば、ページの中心線の位置)を開始点とし、この開始点から候補罫線を左右方向へ探索し、切断点(罫線がかすれて途切れている部分)の数を累積する。切断点の数が予め定められた閾値より少なければ、この候補を罫線と判断する。このように罫線連続性に基づいて罫線か否かの判断をすることにより、罫線として誤って検出された小さな文字で構成された横書き文字行や点線等を排除することが可能になる。
ここに、罫線判別手段の機能が実行される。
以上のようにして罫線を判別した後、各罫線の座標を検出する。罫線座標の検出は、図17に示すように、罫線の主走査方向(図17のy軸方向)の座標値を罫線部の黒画素ランの中点座標とした場合、図17に示す罫線の左端のx1における主走査方向座標値はy1となる。
[最適罫線の選択]
次に、候補罫線の中から歪み補正に最適な罫線を選択する。図18に示すように複数の罫線が検出される場合、どの罫線を用いて歪み補正するかを選択する必要がある。最適な罫線の選択基準の一例としては、罫線の長さが予め定められた閾値より長く、かつ、綴じ部境界線を挟んだ左右の一定幅領域内(図18の網掛け領域)に罫線の一部がかかっていることを条件とし、その中で上下いずれかのページ外形に最も近い罫線を選択するようにする。図18においては、左右ページから各1本ずつの罫線を選択する場合を示している。ここでは、罫線<1>と罫線<2>とが選択されている。
また、最適な罫線の選択基準の別の例としては、罫線の長さが予め定められた閾値より長く、かつ、綴じ部境界線を挟んだ左右の一定幅領域内(図19の網掛け領域)に罫線の一部がかかっていることを条件とし、各ページの上部では上端のページ外形に、各ページの下部では下端のページ外形に、それぞれ最も近い罫線を選択するようにする。図19においては、左右ページをさらに上下部分に分け、その各4ブロックにおいて1本ずつの罫線を選択する場合を示している。ここでは、左上のブロックでは罫線<1>、右下のブロックでは罫線<2>、左下のブロックでは罫線<3>が選択されている。なお、図19中の右上のブロックには上記2条件(罫線の長さが予め定められた閾値より長く、かつ、綴じ部境界線を挟んだ左右の一定幅領域内に罫線の一部がかかっている)を満足する罫線が存在しないので、選択された罫線はない。
なお、上記2条件(罫線の長さが予め定められた閾値より長く、かつ、綴じ部境界線を挟んだ左右の一定幅領域内に罫線の一部がかかっている)については、その両方ではなくいずれか一方のみを満足するものであっても良い。また、選択基準として上例では「ページ外形に最も近い」を用いているが、これに限るものではなく、「罫線の湾曲が最も大きい」を用いても良い。ここで、「罫線の湾曲」は罫線の左右両端点の主走査方向の座標値の差で表すものとする。
最適な罫線が選択された場合には、罫線の(主走査方向の)座標値を決定する。罫線の(主走査方向の)座標値は、選択された罫線を左右ページのそれぞれ両端に達するまで近似して延長することにより決定される。図20において、罫線が存在しているBC部については、前述した罫線座標検出処理により既に座標値は決まっていることから、それ以外の延長部分について罫線の(主走査方向の)座標値を決定することになる。より詳細には、図20に示すAB部は直線近似で(主走査方向の)座標値を推定し、CD部は多項式近似曲線で(主走査方向の)座標値を推定する。
[不適切な罫線の排除]
最後に不適切な罫線を排除する。これは、前述したように多項式近似により座標値を推定する際に、多項式近似による推定曲線の形状が不適切である場合には補正の際にかえって歪みが増大する恐れがあるので、このような罫線を排除するものである。不適切な近似曲線形状の例としては、図21に示すように、曲線が書籍の外側へ向かうような曲線<1>や、中心線を超えて大きく内側へ食い込むような曲線<2>である。
なお、推定曲線の形状が不適切であるとして罫線を排除した場合には、再び最適な罫線を選択し、上記の処理を繰り返すことになる。
以上の処理により、スキャン画像に罫線が存在すると判断された場合には、左右各ページのいずれの位置に罫線が存在しているのかという情報とともに罫線を抽出し、RAM33に一時的に記憶する。
続くステップS43においては、スキャン画像からの文字行の抽出処理を実行する。ステップS43におけるスキャン画像からの文字行の抽出処理について説明する。本実施の形態においては、まず、スキャン画像中の文字行が縦書き文字行なのか、横書き文字行なのかの判別を行う。
[文字行の判別]
スキャン画像中の文字行が縦書き文字行なのか、横書き文字行なのかの判別手法について説明する。ここで、図22は図8に示した画像の副走査方向の黒白反転数ヒストグラムである。図22中の横軸は、副走査方向(左右方向)の黒画素(スキャン画像を黒白反転させた画素の中でその濃度値が予め定めた濃度値よりも濃い画素)の主走査方向上での位置を示し、図22中の縦軸は、その位置毎の黒画素数を示すものである。また、図23は図8に示した画像の主走査方向の黒白反転数ヒストグラムである。図23中の横軸は、主走査方向(上下方向)の黒画素(スキャン画像を黒白反転させた画素の中でその濃度値が予め定めた濃度値よりも濃い画素)の副走査方向上での位置を示し、図23中の縦軸は、その位置毎の黒画素数を示すものである。画像中の文字が横書きの図8に示したようなスキャン画像の場合、図22に示すような副走査方向のヒストグラムは激しく変化するが、図23に示すような主走査方向のヒストグラムの変化は少ない。また、特に図示しないが、スキャン画像中の文字行が縦書き文字行である場合には、主走査方向のヒストグラムは激しく変化するが、副走査方向のヒストグラムの変化は少ない。
同様に、下記に示す式(4)により、
上述したようにスキャン画像中の文字行が横書き文字行である場合には、副走査方向のヒストグラムの主走査方向に関する分散σHが、主走査方向のヒストグラムの副走査方向に関する分散σVより大きい。逆に、スキャン画像中の文字行が縦書き文字行である場合には、主走査方向のヒストグラムの副走査方向に関する分散σVが、副走査方向のヒストグラムの主走査方向に関する分散σHより大きい。つまり、分散σHと分散σVとの比較により、スキャン画像中の文字行が縦書き文字行なのか、横書き文字行なのかの判別が可能になっている。
なお、スキャン画像中の文字行が縦書き文字行なのか、横書き文字行なのかの判別に、黒白反転数ヒストグラムを用いたのは、文字行と写真部分との混同を避けるためである。一般に、黒画素ヒストグラムの値が同程度の場合、文字領域のほうが写真領域よりも黒白反転数ヒストグラムの値が大きくなるからである。
ここに、文書判別手段の機能が実行される。
以上のようにして文字行を判別した後、まず、各横書き文字行の座標を検出する。横書き文字行の座標の検出にあたっては、文字認識処理に用いられる文字単位の外接矩形抽出処理を行うとともに、横書き文字行の抽出処理を行う。なお、文字認識処理については周知の技術であるので、その説明は省略する。ここで、スキャン画像の文字外接矩形抽出処理および文字行抽出処理の結果の一例を図24に示す。そして、各文字の外接矩形の中心点の座標をその文字の座標とみなし、横書き文字行の座標を検出する。
[最適横書き文字行の選択]
次に、抽出した横書き文字行の中から歪み補正に最適な横書き文字行を選択する。
複数の横書き文字行が検出される場合、どの横書き文字行を用いて歪み補正するかを選択する必要がある。最適な横書き文字行の選択基準の一例としては、前述した最適な罫線の選択基準と基本的に同様であって、図25に示すように横書き文字行の長さBCが予め定められた閾値より長く、かつ、綴じ部境界線を挟んだ左右の一定幅領域内(図25の網掛け領域)に横書き文字行の一部Cがかかっていることを条件とし、その中で上下いずれかのページ外形に最も近い横書き文字行を選択するようにする。ここで、Bは文字行の一番左の矩形の中心であり、Cは一番右の矩形の中心である。なお、最適な横書き文字行の選択は、左右ページから各1本ずつのページ外形に最も近い横書き文字行を選択するものであっても良いし、左右ページをさらに上下部分に分け、その各4ブロックにおいて1本ずつのページ外形に最も近い横書き文字行を選択するものであっても良い。
なお、上記2条件(横書き文字行の長さが予め定められた閾値より長く、かつ、綴じ部境界線を挟んだ左右の一定幅領域内に横書き文字行の一部がかかっている)については、その両方ではなくいずれか一方のみを満足するものであっても良い。また、選択基準として上例では「ページ外形に最も近い」を用いているが、これに限るものではなく、「横書き文字行の湾曲が最も大きい」を用いても良い。ここで、「横書き文字行の湾曲」は横書き文字行の両端の文字外接矩形の中心座標の主走査方向の座標値の差で表すものとする。
最適な横書き文字行が選択された場合には、横書き文字行の(主走査方向の)座標値を決定する。横書き文字行の(主走査方向の)座標値は、横書き文字行内の各文字外接矩形の中心点を連結し、直線部分と曲線部分とを近似して抽出することにより横書き文字行の(主走査方向の)座標値を決定することになる。より詳細には、図25に示すDは綴じ部境界線であり、BDの間は多項式近似曲線で(主走査方向の)座標値を推定し、一番左端のAとBとの間は近似直線の値で(主走査方向の)座標値を推定する。
[不適切な横書き文字行の排除]
最後に不適切な横書き文字行を排除する。これは、前述したように多項式近似により座標値を推定する際に、多項式近似による推定曲線の形状が不適切である場合には補正の際にかえって歪みが増大する恐れがあるので、このような横書き文字行を排除するものである。不適切な近似曲線形状の例としては、前述した罫線の場合と同様であって、特に図示しないが、曲線が書籍の外側へ向かうような場合や、中心線を超えて大きく内側へ食い込むような場合である。
なお、推定曲線の形状が不適切であるとして横書き文字行を排除した場合には、再び最適な横書き文字行を選択し、上記の処理を繰り返すことになる。
以上の処理により、スキャン画像に横書き文字行が存在すると判断された場合には、左右各ページのいずれの位置に横書き文字行が存在しているのかという情報とともに横書き文字行を抽出し、RAM33に一時的に記憶する。
[縦書き文字行の各文字の座標検出]
続いて、各縦書き文字行の座標を検出する。縦書き文字行の座標の検出にあたっては、文字認識処理に用いられる文字単位の外接矩形抽出処理を行う。なお、文字認識処理については周知の技術であるので、その説明は省略する。そして、各文字の外接矩形の中心点の座標をその文字の座標とみなす。
[横書き文字行の抽出]
次に、各縦書き文字行から横書き文字行を抽出する。横書き文字行の抽出は、各縦書き文字行の一番上の文字を連結した外形、または、各縦書き文字行の一番下の文字を連結した外形を横書き文字行とみなすものである。より詳細には、左右ページから各1本ずつの文字行を選択する場合は、各縦書き文字行の一番上もしくは一番下の各一文字を連結した外形を一つの行とみなして抽出する。また、左右ページをさらに上下部分に分け、その4ブロックにおいて1本ずつの文字行を選択する場合は、左上部、右上部においては各縦書き文字行の一番上の各一文字を連結した外形を一つの行とみなし、左下部、右下部においては各縦書き文字行の一番下の各一文字を連結した外形を一つの行とみなして抽出する。
その際、図26に示すように抽出された外形の長さBCが予め定められた閾値より長く、かつ、綴じ部境界線を挟んだ左右の一定幅領域内(図26の網掛け領域)に抽出された外形の一部Cがかかっていることを条件とし、外形を抽出する。なお、上記2条件(抽出された外形の長さが予め定められた閾値より長く、かつ、綴じ部境界線を挟んだ左右の一定幅領域内に抽出された外形の一部がかかっている)については、その両方ではなくいずれか一方のみを満足するものであっても良い。したがって、上記条件を満足しない場合は、歪み補正用の縦書き文字行の外形は無いということになる。
縦書き文字行に応じて外形が抽出された場合には、なお、縦書き文字行の外形の(主走査方向の)座標値を決定する。縦書き文字行の外形の座標値は、図27に示すように、各縦書き文字行の一番上の各一文字を連結した外形である場合には、連結する各文字の外接矩形の上辺中心点を連結し、直線部分と曲線部分とを近似して抽出することにより縦書き文字行の外形の(主走査方向の)座標値を決定することになる。また、図27に示すように、各縦書き文字行の一番下の各一文字を連結した外形である場合には、連結する各文字の外接矩形の下辺中心点を連結し、直線部分と曲線部分とを近似して抽出することにより縦書き文字行の外形の(主走査方向の)座標値を決定することになる。より詳細には、図26に示すDは綴じ部境界線であり、BDの間は多項式近似曲線で(主走査方向の)座標値を推定し、一番左端のAとBとの間は近似直線の値で(主走査方向の)座標値を推定する。
[不適切な縦書き文字行の外形の排除]
最後に不適切な縦書き文字行の外形を排除する。これは、前述したように多項式近似により座標値を推定する際に、多項式近似による推定曲線の形状が不適切である場合には補正の際にかえって歪みが増大する恐れがあるので、このような縦書き文字行の外形を排除するものである。不適切な近似曲線形状の例としては、前述した罫線や横書き文字行の場合と同様であって、特に図示しないが、曲線が書籍の外側へ向かうような場合や、中心線を超えて大きく内側へ食い込むような場合である。
なお、推定曲線の形状が不適切であるとして縦書き文字行の外形を排除した場合には、歪み補正用の縦書き文字行の外形は無いということになる。
以上の処理により、スキャン画像に縦書き文字行の外形が存在すると判断された場合には、左右各ページのいずれの位置に縦書き文字行の外形が存在しているのかという情報とともに縦書き文字行の外形を抽出し、RAM33に一時的に記憶する。
なお、以下においては、横書き文字行及び縦書き文字行の外形を文字列として扱うものとする。
以上、ステップS41〜S43の処理により、ページ外形/罫線/文字行の抽出処理(ステップS4)が終了する。
ここで、参照線1選択処理(ステップS51)及び参照線2選択処理(ステップS52)においては、参照線1または参照線2として、スキャン画像の上辺(もしくは下辺)の近傍に位置するページ外形/罫線/文字行のいずれかを、左右各ページについて選択することになるが、本実施の形態におけるページ外形、罫線、文字行の選択の優先順位は、
ページ外形>罫線>文字行
としている。このような選択優先順位にしたのは、文字行はページ外形や罫線に比べて抽出精度が低く、また、画像の外側にあるページ外形を利用する方が精度の高い歪み補正率を得ることができるためである。
まず、スキャナパラメータが既知の場合を説明する。この場合、基本的に、主走査方向の1ラインを補正したら、次にそのラインに関して副走査方向の補正を行う、という処理を主走査方向の全ライン、もしくは、参照線1または参照線2が曲線である部分の主走査方向ラインについて行う。
主走査方向の補正は次のように行う。図30には、補正前の参照線1、参照線2をそれぞれ実線で、補正後をそれぞれ点線で表している。補正後の点線は、補正前の参照線1、参照線2の直線部分(平坦部)をそのまま延長したものである。ここで、副走査方向の位置Xにおいて、基準線上の点PがP’に、参照線上の点QがQ’に、それぞれ補正される。さて、位置Xにおける主走査方向上の任意の点YがY’に補正されるとして、次の関係式が成り立つ、
YP/YQ=Y’P’/Y’Q’
よって、各点の主走査方向の位置を、点PならP(y)というように表すと、
(Y(y)−P(y))/(Y(y)−Q(y))=
(Y’(y)−P’(y))/(Y’(y)−Q’(y))
となるので、これを変形して、
Y(y)=
((P(y)−Q(y))/(P’(y)−Q’(y)))Y’(y)+
(P’(y)Q(y)−P(y)Q’(y))/(P’(y)−Q’(y))
となる。
上式を利用して、補正後にY’(y)の位置に来るべき点の補正前の位置Y(y)を求めることができる。つまり、補正前のY(y)の画素値を補正後のY’(y)に移せばよいわけである。ただし、Y(y)の算出値は一般に小数となるので、その前後の整数位置に対応する画素値の線形補間結果を用いる。即ち、図31において、Y(y)の前後の整数をそれぞれN,N+1、これに対応する画素値をD(N),D(N+1)とすると、Y(y)における画素値D(Y(y))は図に示したような線形関係を満足するように算出する。
以上の処理をスキャン画像の左右ページ毎に独立して実行する。また、ある見開き左右ページにおける参照線1および参照線2についての情報を保持しておき、他の見開き左右ページの補正にこれを利用してもよい。例えば、連続する見開きページをスキャンする際、見開き左右ページを1セットと考えて、参照線1、参照線2の抽出は5セットに1回のみ行うものとし、あるセットで参照線1、参照線2を抽出したら、その後に続く4セットではこれらの情報をそのまま流用するということを行っても良い。これにより、参照線1、参照線2を抽出するための時間が節約できるので、全体の処理速度が向上する。
Ln=平方根{1+(Tn−Tn−1)**2}
により算出し、画像長さLnの累積をページの伸長長さとする。その結果、近似した三角形の斜辺は湾曲したページの形状とほぼ等しくなるので(折れ線近似)、その累積をページの画像長さとすることにより、正確なページ長さを得る。特に、1ライン毎の最小ピッチによる形状近似により、その長さの補正精度は高い。
隣接する主走査方向のライン上の注目画素の画素間隔を基準“1”として演算することにより、読み取りライン間隔が変化、すなわち、平面状としたときの原稿に対してサンプリング画素間隔が逐次替わっていくのに対し、画像伸長処理を適応する。また、幾何学的に主走査方向の画像投影倍長さとページ面のスキャン面からの距離は比例関係にあり、図29に示すように、参照線1もしくは参照線2の主走査方向のアドレスA3と、参照線1もしくは参照線2の直線部分(平坦部)のアドレスKaよりページ面のスキャン面からの距離Tを以下の式
T=焦点面距離*(A3−Ak)/{(Ak−Ka)−(A3−Ak)}
により、求めることができる。このようにして算出される隣接する主走査ラインの深さの差により、1画素毎の微少ピッチの直線で近似してページの補正位置を算出することができる。なお、参照線1/参照線2の求め方や、適切な参照線1/参照線2が存在しない場合の対応は主走査方向の補正の場合と基本的に同様である。
Ln=平方根{1+(Tn−Tn−1)**2}
により、1ライン毎の補正すべき副走査方向の画像長さLnが算出される。したがって、画像長さLnの累積が副走査方向のページ長さになる。
通常、ページ面のスキャン面からの距離が高くなるに連れてその高さの変化量が増す。そこで、本実施の形態においては、その位置のページ面のスキャン面からの距離に応じて画像伸長に制限をかける。例えば、隣り合う境界アドレスの差をその位置の(高さ[mm]/5)[画素]に制限して境界の誤検出による副走査方向補正のエラーを抑制する。
副走査方向の補正では画像長さLnは位置によって異なり、図34に示すように元画像と補正画像の対応する点の位置は一般に異なる。Nに存在した点がN’に、N+1の点がN+1’にそれぞれ補正される場合、求めるべきは整数X’の位置(これも一般にはN+1’と一致するとは限らない)の画素値である。N’とX’間の距離をa、X’とN+1’間の距離をbとそれぞれおくと、元画像におけるX’の対応点Xは、
(X−N)/(N+1−X)=a/b
の関係にある。
上式によりXの位置が分かったら、補正前のXの画素値を補正後のX’に移せばよいわけである。ただし、Xの算出値は一般に小数となるので、その前後の整数位置に対応する画素値の線形補間結果を用いる。即ち、図35において、Xの前後のN、N+1に対応する画素値をD(N)、D(N+1)とすると、Xにおける画素値D(X)は図に示したような線形関係を満足するように算出する。以上の処理を、副走査方向の全ての位置、もしくは、参照線1または参照線2が曲線である部分の副走査方向の位置に対して行う。
以上の処理をスキャン画像の左右ページ毎に独立して実行する。また、ある見開き左右ページにおける書籍原稿のスキャン面からの距離と、参照線1または参照線2についての情報を保持しておき、他の見開き左右ページの補正にこれを利用してもよい。例えば、連続する見開きページをスキャンする際、見開き左右ページを1セットと考えて、書籍原稿のスキャン面からの距離の算出や参照線1、参照線2の抽出は5セットに1回のみ行うものとし、あるセットで距離の算出や参照線1、参照線2の抽出を行ったら、その後に続く4セットではこれらの情報をそのまま流用するということを行っても良い。これにより、書籍原稿のスキャン面からの距離の算出や参照線1、参照線2を抽出するための時間が節約できるので、全体の処理速度が向上する。
ここまでが、スキャナパラメータが既知の場合の、主走査方向歪み補正処理と副走査方向歪み補正処理(ステップS53)の説明である。
主走査方向の補正はスキャナパラメータが既知の場合と基本的に同様であるが、適切なページ外形や罫線、文字行が抽出されなかった場合の処理が若干異なる。図32において、スキャナパラメータが既知の場合はレンズ光軸の軌跡(図32のL)を参照線2とみなしたが、未知の場合(図36)は副走査方向に平行な中心線(図36のC)を参照線2とみなす。この場合も図30におけるQとQ’は一致する。ページ下方にページ外形/罫線/文字行が存在しない場合は、Cを参照線1とみなして同様に行う(PとP’が一致)。ページの上方/下方ともにページ外形/罫線/文字行が存在しない場合は、手がかり無しとして、そのページの補正は行わない。
次に、副走査方向歪み補正処理について説明する。ここで、図37は副走査方向歪み補正処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図37に示すように、ステップS101においては、主走査方向歪み補正されたスキャン画像に基づいて文字認識処理に用いられる方法で文字の外接矩形A(図38参照)を抽出する。ここで、文字認識処理については周知の技術であるので、その説明は省略する。このように文字の外接矩形Aを抽出するのは、この文字の外接矩形Aの形状の変化を基に、副走査方向の歪みを補正するためである。ここでは、図38に示すように、文字外接矩形Aの横辺の長さw、縦辺の長さh、および、文字の中心Bを定義する。ここで、文字の中心Bは、外接矩形Aの対角線の交点である。
続いて、図39に示すように、スキャン画像をブック原稿40のページ綴じ部41に平行な方向の複数の短冊状の領域Cに分割した後(ステップS102)、各短冊領域Cについて、そこに含まれる文字外接矩形Aに関する特徴量を求める(ステップS103)。ここで、ある短冊領域Cに含まれる文字外接矩形Aとは、その中心が当該短冊領域Cに含まれるような外接矩形Aのことである。例えば、図39の短冊領域C1に含まれる外接矩形Aは、図中の網掛けを施した矩形である。
(文字の横辺の長さ)/(文字の縦辺の長さ)=w/h
を基に求められる。すなわち、各短冊領域Cについて、そこに含まれる全ての文字外接矩形Aのw/hの値の平均値をその短冊領域Cの特徴量とするのである。
しかしながら、単に、w/hの平均値を算出すると不適切な場合がある。文字の中には、句読点や数式中の記号のようにそのサイズが元々小さく、w/hの値が不安定なものがある。また、矩形抽出の際に隣接する文字同士がくっついて抽出されてしまい、wが極端に大きい文字外接矩形Aが生じる場合もある。特徴量を求める場合は、このような特殊な文字や極端にwが大きいものを予め排除しておく必要がある。そこで、続くステップS104においては、予め閾値を定めておいて、hの値がその閾値より小さな文字外接矩形Aを予め排除するとともに、w/hの比率に関する閾値を予め定めておき、w/hの値が其の閾値よりも大きい文字外接矩形Aも予め排除する。例えば、図40中に示した網掛けを施した文字外接矩形Aが予め排除されることになる。
続くステップS105においては、前述したように極端な文字外接矩形Aを排除した後に、各短冊領域C内の文字外接矩形Aのw/hの平均値を求める。図41に各短冊領域C内の外接矩形Aのw/hの平均値の一例を示す。なお、図41中の短冊領域C2は、ページ綴じ部を含む短冊領域である。
続いて、ページ綴じ部を含む短冊領域C2に文字外接矩形Aが存在するか否かを判断する(ステップS106)。これは、図40に示すように、一般にはページ綴じ部付近には文字外接矩形Aが存在しない場合が多いからである。ページ綴じ部を含む短冊領域C2に文字外接矩形Aが存在する場合は(ステップS106のY)、その文字外接矩形Aを利用して特徴量は算出されているのでそのままステップS108に進む。
一方、ページ綴じ部を含む短冊領域C2に文字外接矩形Aが存在しない場合は(ステップS106のN)、ステップS107に進み、ページ綴じ部を含む短冊領域C2の特徴量を求める。なお、ページ綴じ部を含む短冊領域C2の識別は、例えば、スキャン画像(例えば、モノクロ多値画像)の地肌濃度変化を各短冊領域Cごとに求め、短冊領域C内の最も濃度の薄い濃度値を求めることにより実現される。
なお、スキャン画像がカラー多値画像の場合におけるページ綴じ部を含む短冊領域C2の識別は、例えばRGB成分の何れか一つの成分(例えばG成分)に着目し、そのG成分の地肌濃度を使用して識別するようにすれば良い。また、RGBを色変換して輝度成分と色差成分とに分け、輝度成分を使用してページ綴じ部を含む短冊領域C2を識別するようにしても良い。
ページ綴じ部を含む短冊領域C2の特徴量は、次のようにして定められる。ここでは、統計的特徴量の算出対象となり得る文字外接矩形Aが存在し、かつ、ページ綴じ部を含む短冊領域C2の最近傍である短冊領域Cの特徴量に対して予め定めた定数値を乗じることにより算出された値が、ページ綴じ部を含む短冊領域C2における特徴量とみなされるものである。つまり、図41に示した例では、ページ綴じ部を含む短冊領域C2の左右何れの短冊領域C3,C4にも文字外接矩形Aが存在するので、どちらか適当な方の特徴量を選択し(ここでは右側の○印の方)、それに予め定めた定数値(ここでは0.5)を乗じて、これをページ綴じ部を含む短冊領域C2の特徴量としている。
続くステップS108においては、各短冊領域Cの特徴量に対する適切なフィルタリング処理、例えば、短冊領域Cの位置の変化方向(即ち副走査方向)に関する移動平均を求める処理を施すなどして、短冊領域Cの位置の変化に対する(副走査方向の)特徴量の変化がなだらかになるようにする。ただし、ここでもページ綴じ部付近は特別な処理が必要となる。なぜなら、副走査方向に関して長さが全て等しいウィンドウを用いてフィルタリングを行うと、ページ綴じ部付近の特徴量の変化の鋭さが失われてしまうからである。
そこで、本実施の形態においては、フィルタリング処理の際には、フィルタのウィンドウがページ綴じ部を含む短冊領域C2の両側の短冊領域C3,C4に跨がらないように、ページ綴じ部付近でウィンドウ長を調整する。ここで、図44はページ綴じ部付近でウィンドウ長を調整してフィルタリング処理を施した結果を示すグラフである。図44に示すように、ページ綴じ部付近でウィンドウ長を調整した場合には、ページ綴じ部付近の特徴量(w/h)の変化を適切に表現できるので、良好な画像補正が実現できる。
続くステップS109においては、各短冊領域Cの推定歪み量を算出する。各短冊領域Cの推定歪み量の算出手法は、以下に示す通りである。
まず、短冊領域の歪み量を算出するための基準となる短冊領域(基準短冊領域)を定める。ここでは、歪みが最も小さいと考えられる短冊領域C、例えば、特徴量(w/h)が最大である短冊領域Cを基準短冊領域とする。この処理は左右ページで共通に行っても良いが、左右独立に基準短冊領域を定めても構わない。図44においては、左右独立に基準短冊領域を定めた例を示しており、○印を施した短冊領域Cが基準短冊領域であり、左側の基準特徴量を“Lw0/Lh0”、右側の基準特徴量を“Rw0/Rh0”、でそれぞれ示している。
(各短冊領域の特徴量)/(基準特徴量)=(w/h)/(w0/h0)
の値を、各短冊領域の推定歪み量として算出する。
なお、ページ綴じ部から外れたページ外側付近の短冊領域Cを基準短冊領域とすると、ページ綴じ部付近とはフォントや活字のサイズの違いが大きくて、適切な推定歪み量が算出できない場合も考えられる。そのような画像を対象とする場合は、基準短冊領域の探索範囲を予めページ綴じ部付近に限定しておくのが有効である。これを実現するためには、参照線1または参照線2が曲線である部分の副走査方向の位置に対してのみ行うようにすれば良い。
最後に、スキャン画像に対して、短冊領域Cの短辺方向(副走査方向)の拡大処理を行い、ページ綴じ部付近の歪みを補正する(ステップS110)。その場合の拡大率(副走査方向の歪み補正率(伸張率))は、ステップS109において算出した推定歪み量の逆数、すなわち、
(基準特徴量)/(各短冊領域の特徴量)=(w0/h0)/(w/h)
とする。ここで、上記の基準短冊領域を左右共通に定めた場合には、この拡大率も左右共通の基準特徴量によって算出し、独立に定めた場合には、左右それぞれの基準特徴量で独立に算出するようにする。図45は、図44に示した特徴量に基づいて算出した補正拡大率を示したものである。
ここに、副走査方向歪み補正率算出手段の機能および副走査方向歪み補正手段の機能が実行される。
なお、ここでも、ページ綴じ部付近から離れた短冊領域Cはもともと画像の歪みが無い領域である可能性が高いので、拡大処理の対象としない方が良い場合がある。拡大処理を行ったために、かえって不自然な歪みが生じてしまう可能性があるからである。これを防ぐために、参照線1または参照線2が曲線である部分の副走査方向の位置に対してのみ拡大すれば良い。即ち、参照線1または参照線2が直線の部部では、推定歪み量を“1”とする。
また、短冊領域C内において共通の補正拡大率を適用した場合、隣接する短冊領域Cの境界部での補正拡大率が不連続となるため、補正画像が不自然となる。そこで、隣接する短冊領域Cの境界部での補正拡大率が連続的に変化するように、補正拡大率を予め補正しておく。これは、例えば図45に示す短冊領域Cの中央部分の補正拡大率を推定歪み量の逆数を示す点としてプロットし、これらの点を線分で結んで直線補完することで、他の部分の補正拡大率とすることで実現できる。以上の処理により、スキャン画像の副走査方向の補正拡大率が確定する。
以上、ステップS101〜S110の処理により副走査方向歪み補正処理(ステップS55)が終了し、図6に示すスキャン画像の歪み補正処理が終了する。ここで、図46は歪みを補正した画像を示す平面図である。以上の処理によれば、図8に示したようなページ綴じ部の近傍において生じていたスキャン画像の歪みが、図46に示すように補正されることになる。
以上のように、スキャナパラメータが未知の場合は、まず主走査方向の補正が全ライン分終了した後に、文字外接矩形を用いて副走査方向の補正を行うのが基本である。
Claims (8)
- 主走査方向に対してページ綴じ部がほぼ平行となるように、スキャン面に載置した書籍原稿画像を読み取って得られたスキャン画像を主走査方向および副走査方向に伸張して歪み補正を行う画像歪み補正装置において、前記スキャン画像と該スキャン画像を読み取ったスキャナレンズの光軸位置情報から書籍原稿とスキャン面との距離を求める浮き上がり量算出手段と、該浮き上がり量算出手段が算出した距離に基づいて前記スキャン画像の歪みを補正する副走査方向歪み補正手段とを備え、
前記副走査方向歪み補正手段は、前記浮き上がり量算出手段が算出した書籍原稿とスキャン面との距離を記憶して、連続してスキャンされる所定数のページに対して、該記憶された距離を用いて副走査方向の歪み補正を行なうことを特徴とする画像歪み補正装置。 - 前記副走査方向歪み補正手段は、前記書籍原稿とスキャン面からの距離に基づいて、書籍原稿の断面曲線を折れ線近似し、その累積が補正後の画像の副走査方向の長さとなるように補正前後の対応点を求めることにより補正を行うことを特徴とする請求項1記載の画像歪み補正装置。
- 前記副走査方向歪み補正手段は、前記スキャン画像の左右各ページ毎に補正を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像歪み補正装置。
- 主走査方向に対してページ綴じ部がほぼ平行となるように、スキャン面に載置した書籍原稿画像を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段が読み取ったスキャン画像の補正を行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像歪み補正装置とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
- 主走査方向に対してページ綴じ部がほぼ平行となるように、スキャン面に載置した書籍原稿画像を読み取る画像読取手段と、該画像読取手段が読み取ったスキャン画像の補正を行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像歪み補正装置と、該画像歪み補正装置が補正した画像データに基づいた画像を用紙上に印刷する画像印刷装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 主走査方向に対してページ綴じ部がほぼ平行となるように、スキャン面に載置した書籍原稿画像を読み取って得られたスキャン画像を副走査方向に伸張して歪み補正をコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータに前記スキャン画像と該スキャン画像を読み取ったスキャナレンズの光軸位置情報から書籍原稿とスキャン面との距離を求める浮き上がり量算出手段と、該浮き上がり量算出手段が算出した距離に基づいて前記スキャン画像の歪みを補正し、前記浮き上がり量算出手段が算出した書籍原稿とスキャン面との距離を記憶して、連続してスキャンされる所定数のページに対して、該記憶された距離を用いて副走査方向の歪みを補正する副走査方向歪み補正手段として機能させるためのプログラム。
- 前記副走査方向歪み補正手段は、前記書籍原稿とスキャン面からの距離に基づいて、書籍原稿の断面曲線を折れ線近似し、その累積が補正後の画像の副走査方向の長さとなるように補正前後の対応点を求めることにより補正を行うことを特徴とする請求項6記載のプログラム。
- 前記副走査方向歪み補正手段は、前記スキャン画像の左右各ページ毎に補正を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載のプログラム。
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