JP4061211B2 - 電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金及びその製造方法 - Google Patents

電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電解銅箔は、高純度のCuを溶解した硫酸溶液中で、鉛等の不溶性金属を陽極とし、陰極のドラムを回転させつつ、電気化学的にドラム上に銅を連続的に電析させ、剥離してロール状に巻き取るという方法で製造されている。陰極のドラムの材料として、硫酸銅溶液に対する耐食性、軽量、銅箔の剥離性等の観点から主に純チタンが使われている。電解銅箔を製造する際には、陰極のドラムには電子が流れ込み、溶液中のCu2+イオンが還元されてCuが析出するが、このとき溶液中のH+ も還元されて水素を発生する。そのため、陰極のドラムに純チタンを使用した際には水素が純チタンに吸収される。
【0003】
下記非特許文献1によれば、室温における純チタンの水素固溶度は20ppm程度(約0.1at%)であり、これ以上吸収された水素は水素化物となって析出する。一方、下記非特許文献2によれば、純チタンの機械的性質は、水素吸収量が300ppm程度までは引張強度は変化せず、500ppm超では伸びが急激に低下するものの、水素吸収量が20ppmを超え、少々の水素化物が析出しても機械的性質にはあまり影響を与えないとされている。
【0004】
しかし、機械的性質に問題がなくとも、電解銅箔製造用ドラムの表面に水素化物が生じると、水素化物と母材の腐食速度が異なるため表面の凹凸が顕著になる。また、ドラムの表面から水素化物が剥離すると、水素化物の痕がピット状になり、電解銅箔と接触しているドラムの表面の粗度が大きくなる。そのため頻繁にドラム表面の研磨を行い、ドラム表面の粗度の悪化を防ぐ必要があった。
【0005】
このような問題に対して、初期水素含有量が35ppm以下で、かつ結晶粒度が7.0以下であるチタンを用いた電解銅箔製造用チタン製カソードが下記特許文献1に開示されている。これにより、チタン製カソード電極の連続使用時間は3000時間以上になったが、更なる長寿命化が要求されている。
【0006】
また、このようなチタンを製造する方法として、圧延開始温度200〜550℃未満、圧延終了温度200℃以上で、圧下率40%以上の熱間圧延を行い、更に(1)1kPa以下の真空中、(2)露点が−50℃以上の不活性ガス置換の状態、又は(3)酸素濃度2〜5%の状態の何れかの雰囲気において550〜650℃で熱処理した後、50〜200℃の温度領域で矯正変形する方法が示されている。
【0007】
チタン合金中への水素の吸収は高温で顕著であり、通常のチタン厚板製品の熱間圧延、熱処理工程では水素が入りやすいため、特許文献1に記載された方法では、550℃以下の低温圧延によって水素吸収を抑制している。しかしこの方法は、熱間圧延を低温で行うことが必要であるため、圧延荷重が大きく設備的に負担が大きく、また表面に疵が付きやすい。更に真空や不活性ガス、酸素等、雰囲気を制御した熱処理は、設備的な制約がある上、その条件管理も煩雑である。
【0008】
また、銅箔製造用ドラムは表面を研磨して繰返し使用されるため、板厚方向の組織均一性が求められる。しかし低温圧延では、表層付近から板厚中央部まで均一に加工歪みを導入することが困難であり、表層の結晶粒径よりも板厚中央部における結晶粒径が大きくなる傾向がある。そのため、ドラム表面の研磨により次第にドラム表面の結晶粒径が大きくなり、板厚方向の組織均一性が損なわれるという問題があった。
【0009】
【非特許文献1】
下平三郎著、「腐食・防食の材料科学」2版第2刷、
アグネ技術センター、1995年12月15日発行、260頁
【非特許文献2】
(社)チタニウム協会編、「チタンの加工技術」初版第1刷、
日刊工業新聞社、1992年11月27日発行、219頁
【特許文献1】
特開2002−194585号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電解溶液中での水素吸収による水素化物の生成を抑制し、長期使用が可能であり、かつ組織が均一であって、板厚方向の結晶粒径のばらつきも小さく、繰り返し研磨を行うことにより更に長寿命化することができる、メンテナンス性に優れた電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、各種チタン材の水素吸収と水素化物生成に関して鋭意研究を重ねた結果、電解銅箔製造用ドラムの使用条件下で水素を吸収しても、水素化物が生成し難く、長時間の使用が可能な合金成分及び結晶粒径の条件を見出した。
更に、組織が均一で板厚方向での結晶粒径のばらつきが小さく、高品質の銅箔が製造できる組織を有することにより、電解銅箔製造用カソード電極ドラムの表面を研磨して繰り返し使用することが可能になり、長寿命化することができた。更に検討を進め、このような電解銅箔製造用カソード電極用チタン合金の製造方法を明らかにした。
【0012】
本発明はこのような知見に基づき完成させたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、Cu:0.1〜2.1%を含有し、残部Ti及び不可避的不純物からなり、少なくとも表層から1/3板厚までの部分における初期水素含有量H[ppm]が120ppm以下であり、表面下0.5〜1.5mmの部位における平均結晶粒径GS[μm]が5〜50μmであり、
H≦3000/GS−30
を満足し、GSと1/3板厚部における平均結晶粒径GS’[μm]の差の絶対値を、GSで除した値の百分率が20%以内であり、かつ表面下0.5〜1.5mmの部位の結晶粒面積の変動係数及び1/3板厚部の結晶粒面積の変動係数が35%以内であることを特徴とする電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金。
【0013】
(2) 質量%で、Cu:0.1〜2.1%、を含有し、更に、
V,Co,Ni,Crの1種又は2種以上を合計で1%以下
含有し、残部Ti及び不可避的不純物からなり、少なくとも表層から1/3板厚までの部分における初期水素含有量H[ppm]が170ppm以下であり、表面下0.5〜1.5mmの部位における平均結晶粒径GS[μm]が5〜50μmであり、
H≦4000/GS−30
を満足し、GSと1/3板厚部における平均結晶粒径GS’[μm]の差の絶対値を、GSで除した値の百分率が20%以内であり、かつ表面下0.5〜1.5mmの部位の結晶粒面積の変動係数及び1/3板厚部の結晶粒面積の変動係数が35%以内であることを特徴とする電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金。
【0014】
(3) 前記(1)又は(2)記載の成分からなるチタン合金を溶解、鋳造し、インゴットを900〜1100℃に加熱し、加工率30%以上の粗熱間加工を行った後、800〜900℃に加熱し、加工率30%以上の熱間圧延を1回以上行い、600〜850℃の熱処理を施すことを特徴とする、前記(1)又は(2)記載の電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金の製造方法。
(4) 熱処理後、加工率30%以上の冷間圧延を行い、その後600〜850℃で熱処理を行うことを特徴とする、前記(3)記載の電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金の製造方法。
なお、初期水素含有量とは、電解銅箔製造用カソード電極用チタン合金の板材等の製造後、電解銅箔製造用カソード電極を開始する前の水素含有量をいう。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者は、Cu,V,Co,Ni,Cr等、種々の添加元素を含有したチタン合金から小片を採取し、水素5%、アルゴン95%の雰囲気中で1から10時間熱処理し、種々の濃度の水素を含有する材料を製造した。これらの試料の表面を研磨し、板面に平行であり、表面下0.5〜1.5mmの部位、即ち表層からの距離が0.5〜1.5mmの範囲である観察面を硝沸酸溶液でエッチングし、金属組織を光学顕微鏡で観察した。水素含有量は、観察部位に隣接する箇所から採取した試料を融解し、発生したガスから水素を分離して標準試料との熱伝導度差から求めた。
【0016】
その結果、Cuを添加するとチタンの水素固溶限界量が増加することを見出した。ここで水素固溶限界量とは、水素がチタンに固溶した際に水素化物を生じない、最大の水素の固溶量である。Cuの添加によりチタンの水素固溶限界量が増加する原因として、β安定化元素のCuを固溶すると結晶粒界近傍に、ややCuを多く含むβ組織に近い組織が生成する。体心立方構造であるβ組織は、六方最密構造であるα組織に比べて原子間の隙間が大きく、侵入型原子である水素を多く固溶できると考えられる。
【0017】
また、結晶粒界は結晶方位の異なる原子配列が交わる箇所であるため、原子間に隙間を生じ易く、侵入型原子の水素原子をより多くトラップできるようになると考えられる。従ってCuを添加し、更に平均結晶粒径を細かくして粒界の数を多くすれば、より多くの水素をトラップすることができ、水素化物の析出を抑制することが可能になる。
【0018】
更にCuを添加したチタン合金の水素化物生成に及ぼす平均結晶粒径の影響について検討を進めた。その結果、水素含有量が150ppm以下で、かつ、平均結晶粒径GS[μm]と表層から1/3板厚までの部分における水素含有量H’[ppm]が
GS×H’≦3000 ・・・(1)
の関係を満たす場合、水素化物を生じないことを見出した。
【0019】
ここで水素化物を生じないとは、光学顕微鏡により約1.4mm×約2mmの範囲のミクロ組織を100〜500倍に拡大して観察した際に水素化物が3個以下であるような場合を意味する。水素化物を生じていないチタン合金のミクロ組織の一例を図1に示す。一方水素化物は、例えば平均結晶粒径60μmで水素を200ppm含む純チタンの組織を光学顕微鏡で観察した図2に見られるように、粒内及び粒界の長さ50μm以下の、黒く短い針状のものである。
【0020】
また水素は、銅箔製造用ドラムの使用中にドラム材料の表面から吸収され、チタンの水素化物を生じて、銅箔製造用ドラム用チタン合金の表面粗度を劣化させる。なお、銅箔製造用ドラムの使用中に吸収された水素は表面から板厚中央に向かって拡散するため、電解総時間を5000時間として、電解中の水素の吸収によって、水素が拡散して水素含有量が高くなる表層からの距離と、その部位での水素含有量について検討を行った。
【0021】
まず、水素含有量が高くなる表層からの距離は、80℃での水素の拡散距離を、チタン中の水素の拡散係数の文献値を用いて拡散方程式により計算した結果、約0.4mmであることがわかった。次に、電解総時間を5000時間とし、表層から0.4mmまでの水素吸収量を測定した。
【0022】
まず、予め水素量を測定した板厚8mmのチタン合金から12mm角の試料を切出し、120g/lの銅を含有した75℃の硫酸銅溶液中に浸けて陰極とし、鉛板を陽極として、電流密度1A/cm2 で総時間5000時間の電解を行った。その試料の表層部の約1mmの部分をファインカッターで切断し、表層から0.4mmまでを残すように機械研磨した。その試料を融解し、発生したガスから水素を分離して標準試料との熱伝導差により、水素含有量を求めた。
【0023】
その結果、電解総時間5000時間以上使用した銅箔製造用ドラムには、最大30ppmの水素が吸収されることがわかった。銅箔製造用ドラムは、5000時間の電解後に表面を研磨して繰り返し使用するものであるが、その研磨代は約0.5mmである。電解中の水素の吸収によって水素含有量が30ppm増加するのは、表層から約0.4mmであるため、水素含有量が増加した部位は研磨によって除去されることになる。
【0024】
次に本発明者は、Cuを添加したチタン合金に、更に他の元素を添加し、水素固溶限界量に及ぼす効果について同様の検討を行った。その結果、Cuに加えて,V,Co,Ni,Crを添加することにより、水素固溶量が増大し、更に水素化物が析出し難くなることを見出した。更に、CuにV,Co,Ni,Crの1種又は2種以上を添加したチタン合金の水素化物生成に及ぼす平均結晶粒径の影響を調査した結果、水素含有量が200ppm以下で、かつ平均結晶粒径GS[μm]と表層から1/3板厚までの部分における水素含有量H’[ppm]が、
GS×H’≦4000 ・・・(3)
の関係を満たす場合、水素化物を生じないことを見出した。
【0025】
また、銅箔製造用ドラム用チタン合金は、約5000時間の操業後に表面を研磨して繰り返し用いる。そのため、表層近傍の組織を均質で微細なものにするだけでなく、板厚方向の平均結晶粒径のばらつきを小さくすることにより、銅箔製造用ドラムの長寿命化が可能になる。例えば銅箔製造用ドラムの表面を研磨し、繰り返し用いる際に板厚1/3まで使用できれば、板厚が8mmの場合、研磨代を0.5mmとして、5回繰り返して使用することができる。この場合、約1250日という長期間の使用が可能になる。
【0026】
本発明のチタン合金は、Cu等の添加により、水素化物が析出する水素量、即ち水素固溶限界量を増加させたものであり、純チタンよりも多くの水素の含有を許容し得るものである。これによりチタン製カソード電極の連続使用時間を飛躍的に高めることができる。また、通常のチタン厚板製品の製造において、熱間圧延工程や熱間鍛造工程の熱間加工工程及び熱処理工程で水素が吸収されるが、これは、チタン合金中への水素の吸収が高温で顕著となるためである。このような問題に対して、本発明のCuを添加したチタン合金では、熱間工程での水素吸収を許容できるため、熱間圧延を550℃以下の低温で行う必要がない等、製造性に優れるという利点がある。
【0027】
以下、本発明について詳細に説明する。
Cuは水素限界固溶量を増加させる元素であるが、その含有量が0.1%未満であると効果が小さい。また、Cuを2.1%超添加しても、水素固溶限界量を増加させる効果が飽和し、Cuの偏析が起こり、電解銅箔製造用ドラムとして結晶組織の均質性が損なわれる。従ってCuの添加量を0.1〜2.1%の範囲とした。
【0028】
0.1〜2.1%のCuを含有するチタン合金において、水素含有量が150ppmを超えると水素化物が生じ、また銅箔製造用ドラムを5000時間使用すると30ppmの水素が吸収されることから、少なくとも表層から1/3板厚までの部分における初期水素含有量を120ppm以下とした。
【0029】
少なくとも表層から板厚1/3までの部分における初期水素含有量は、基本的には少ないほど好ましいため、下限は規定しないが、実際には溶解、熱間加工、熱処理の過程でも水素吸収が起こり、使用前の銅箔製造用ドラムとして5ppmを下回ることはない。なお本発明のチタン合金は、純チタンよりも水素固溶限界量が多いため、表層から板厚1/3部における初期水素含有量の下限は、35ppm超でも良い。
なお、水素含有量は表層から1/3板厚までの部分から採取した試料を分析することにより求める。この1/3板厚は、板厚の10%程度の誤差を許容するものである。
【0030】
また、操業中の水素化物の生成を防止するには、表層から板厚1/3部までの部分における初期水素含有量H[ppm]を、式(1)の表層から板厚1/3部までの部分における水素含有量H’[ppm]よりも30ppm少なければ良い。即ち、H=H’−30として、前記式(1)を変形すると
H≦3000/GS−30・・・(2)
となり、これを満足すれば、5000時間操業した後でも水素化物の生成を防止することができる。なお、操業中に水素を吸収し、水素含有量が増加した表層は研磨によって除去され、電解銅箔製造用ドラムは繰り返し使用される。
【0031】
添加元素の残部はチタン及び不可避的不純物である。
本発明のチタン合金において不可避的不純物とは、精錬、溶解、鍛造、熱延、冷延、熱処理、精製等の製造工程で、材料中への混入が避けられない水素以外の不純物元素を指すものであり、0.05%以下の窒素、酸素、炭素、Fe等を指す。
【0032】
Cuに加えて、更にV,Co,Ni,Crの1種又は2種以上を添加しても良い。V,Co,Ni,Crの1種又は2種以上の合計量は、1%を超えて添加しても水素固溶量が増大する効果が飽和するため、1%を上限とすることが好ましい。また、Cuを単独添加した場合に比べて顕著な効果を得るには、V,Co,Ni,Crの1種又は2種以上の合計量の下限を0.2%以上とすることが好ましい。
【0033】
また、Cu及びV,Co,Ni,Crの1種又は2種以上を添加したチタン合金においては、水素含有量が200ppmを超えると水素化物を生じ、また銅箔製造用ドラムを5000時間以上使用すると、30ppm程度の水素が吸収されるため、少なくとも表層から1/3板厚までの初期水素含有量を170ppmとすることにより、操業中の水素化物の生成を防止することができる。
また、前記式(2)と同様に、平均結晶粒径GS[μm]と初期水素含有量H[ppm]の関係が、
H≦4000/GS−30・・・(4)
を満たすことにより、5000時間操業した後の水素化物の生成を抑制できる。
【0034】
平均結晶粒径は、電着した銅箔表面の凹凸を滑らかになるためには微細であるほど良いが、現状の技術では5μmより小さくすることは難しいため、下限を5μmとした。一方、平均結晶粒径が50μmを超えると、電着した銅箔の粗さが顕著となるため、50μm以下とした。
【0035】
また、銅箔製造用ドラムの表面を研磨して繰り返し使用するには、板厚方向の組織を均一にすることが有効である。表面下0.5〜1.5mmの部位における平均結晶粒径GS[μm]と1/3板厚部における平均結晶粒径GS’[μm]の差の絶対値|GS−GS’|をGSで除した値を百分率で20%以内とした。これにより、表層部から板厚1/3部までの組織をほぼ同一とみなすことができ、製造した銅箔の表面の凹凸の変化がほとんどなくなる。なお、この1/3板厚とは、表層からの距離が板厚の1/3であることを意味するものであり、板厚の10%程度の誤差を許容する。
【0036】
ミクロ組織は、表面下0.5〜1.5mmの部位と1/3板厚部から、板表面と平行な面を観察面として試料を採取し、鏡面研磨後、硝沸酸溶液でエッチングし、光学顕微鏡によって観察すれば良い。なお表面下0.5〜1.5mmの部位とは、表面からの距離が0.5〜1.5mmの部分である。また1/3板厚部とは、表面からの距離が板厚の1/3に相当する部分であり、板厚の10%程度の誤差を許容するものである。平均結晶粒径は、JIS G 0552に準拠して切断法で測定すれば良い。JIS G 0552は、チタン合金の結晶粒度の測定方法の規格ではないが、本発明のチタン合金のミクロ組織は鋼と同様であり、特に問題なく平均結晶粒径を測定することができる。
【0037】
更に、銅箔製造用ドラム用チタン合金の表面下0.5〜1.5mmの部位及び1/3板厚部における結晶粒面積の変動係数が35%以内であれば、ドラムの表面状態が更に均一となり、ドラム材としてより適した材料となる。結晶粒面積の変動係数が35%を超えると、金属表面にマクロ模様と呼ばれる肉眼で観察できる模様が見られるようになる。
【0038】
この結晶粒面積は、平均結晶粒径の測定に用いた光学顕微鏡組織写真(以下、光顕写真という)を画像解析し、個々の結晶粒の面積を計測し、ASTM−E930に記載されている粒度に換算すれば良い。結晶粒面積の粒度への換算は表1によって行うが、粒度に対応する結晶粒面積は上限であり、例えば結晶粒面積が4.03×10-3〜2.02×10-3の範囲である結晶粒の粒度は、5である。
【0039】
結晶粒面積の変動係数は、粒度のばらつきを示す数値であり、個々の結晶粒の粒度を求めた後、平均値と標準偏差を計算し、標準偏差を平均値で割って百分率とした数値である。結晶粒の粒度の平均値及び標準偏差は、光顕写真を画像解析して個々の結晶粒面積を求め、粒度に換算し、結晶数と粒度のヒストグラムを作成することによって計算できる。なお、結晶粒面積の変動係数を求めるには、観察する領域が0.4〜0.9mm×0.5〜1.2mmの範囲であることが好ましい。また結晶粒面積を測定する結晶粒の数は、700〜1500個程度であることが好ましい。
【0040】
なお、電解銅箔製造用ドラム素材の板厚は5〜10mm程度である。また、初期水素量を限定した部位を、少なくとも表層から1/3板厚までの部分とし、平均結晶粒径及び結晶粒面積の変動係数を規定する部位を1/3板厚部としたのは、銅箔製造用ドラムの表面を研磨して、板厚の1/3に相当する部分が表面に露出した場合でも、5000時間の電解後に水素化物及び表面斑を生じないことを必要とするためである。従って、板厚の1/3よりも中央部分については特に規定しないが、本発明の要件を満たすことが好ましい。また、銅箔製造用ドラムとして使用する場合、上下面の何れか片側を使用するため、本発明の要件を満たすのは片側のみで良いが、銅箔製造用ドラムを製造する際に両面のどちらも使用可能とするためには、両面とも要件を満たすことが好ましい。
【0041】
次に、本発明のチタン合金の製造方法について述べる。
本発明のチタン合金は、溶解、鋳造、熱間加工、熱処理により製造するものであり、更に冷間圧延及び熱処理を行っても良い。なお熱間加工は2段階で行うものとするが、熱間圧延、熱間鍛造の何れでも良い。
【0042】
まず、本発明で用いられるインゴットは、VAR(真空アーク溶解)による円柱状インゴット、又はEBR(エレクトロンビーム溶解)によるスラブ状インゴットのいずれでも構わない。
【0043】
粗熱間加工の加熱温度は、900℃より低いと加工温度が低下して加工負荷が増大し、割れ等が生じる。一方、1100℃を超えるとβ相の粒成長が促進されて、結晶粒が粗大化する。従って、粗熱間加工の加熱温度を900〜1100℃の範囲とした。なお、加熱温度の好ましい範囲は950〜1000℃である。
【0044】
粗熱間加工の加工率が30%未満では、インゴットの鋳造組織を十分に破壊できない。従って、粗熱間加熱の加工率を30%以上とする。粗熱間加工の加工率は50〜70%の範囲が好ましい。粗熱間加工は、圧延、鍛造のいずれでも良い。なお粗熱間加工の加工率は、圧延の場合は加工前後の板厚の差を加工前の板厚で除した百分率であり、鍛造の場合は、加工前後の断面積の差を加工前の断面積で除した百分率である。
【0045】
粗熱間加工後、再加熱し、熱間圧延を行う。再加熱温度は、800℃未満では圧延反力が大きくなって設備に負担が掛かり、900℃を超えるとβ相の結晶粒径が粗大化しすぎるため、800〜900℃の範囲とした。熱間圧延の加熱温度の好ましい範囲は830〜870℃である。
【0046】
熱間圧延における加工率は、30%未満では板の板厚方向の加工量にばらつきが生じ、熱処理後の結晶粒径が部分的に異なる場所が出てくる。従って、熱間圧延における加工率を30%以上とした。上限は規定しないが、現状の技術では98%超とすることは困難である。加工率は、熱間圧延前の板厚と熱間圧延後の板厚の差を熱間圧延前の板厚で除した値の百分率である。
【0047】
加熱、熱間圧延、冷却は、2回以上繰り返すことにより再結晶が繰り返され、板全体を均一な組織にすることができる。加熱、熱間圧延、冷却は2回行うことが好ましく、1回目熱間圧延の加工率を35〜40%、2回目熱間圧延の加工率を88〜93%とすることが好ましい。なお、加熱、熱間圧延、冷却は3回を超えて繰り返しても効果が飽和するため、3回以下とすることが好ましい。
【0048】
熱間圧延に引続いて熱処理を施し、結晶粒径を調整する。熱処理温度は、600℃未満では十分再結晶せず、850℃超では結晶粒径が粗大化しやすい。従って、熱間圧延後の熱処理温度を600〜850℃の範囲とし、結晶粒径を調整する。
【0049】
更に引続いて、冷間圧延及び熱処理を行っても良い。冷間圧延と熱処理を行うことにより、結晶粒径を微細化することができる。
冷間圧延の加工率は、30%未満では加工が不均一になり易く、例えば熱処理を行った際に表層部が細粒になり、板厚中央部では粒結が少し大きめになるなど、結晶粒径が異なる部分が生じる。そのため冷間圧延の圧下率を30%以上とすることが好ましい。冷間圧延率の上限は規定しないが、結晶粒径の微細化のためには極端な強圧下は不要であり、製造コストを考慮した場合、好ましい上限は90%である。なお、冷間圧延の加工率の更に好ましい範囲は40〜50%である。
【0050】
冷延後の熱処理は、600℃未満では再結晶が不十分であり、850℃超では結晶粒径が粗大化しやすい。そのため冷延後の熱処理は、600〜850℃の範囲であることが好ましい。
【0051】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づき更に詳しく説明する。
(実施例1)
表2(表2−1)、表3(表2−2)に示す成分の鋳塊から、同表に示す製造方法によって、厚さ8mmの厚板を作製した。上記の厚板から切出した検査用試験片を研磨し、表面下0.5〜1.5mmの部位と1/3板厚部において、板面に平行な面を観察面として硝弗酸溶液でエッチングし、組織を観察し、光顕写真で撮影して、平均結晶粒径と結晶粒面積の変動係数を測定した。
【0052】
平均結晶粒径は、JIS G 0552に準拠して切断法で測定した。結晶粒面積の変動係数は、平均結晶粒径の測定に用いた光顕写真を画像解析して、個々の結晶粒の面積を計測し、ASTM−E930に記載されている結晶粒面積を粒度に換算し、粒度の平均値と標準偏差を求め、標準偏差を平均値で割って、百分率とした数値である。粒度の平均値及び標準偏差は、個々の結晶粒の粒度及び結晶数を計測して、ヒストグラムを作成することによって計算した。
【0053】
また、同検査用試験片を5%水素、95%アルゴン中において450℃で加熱して水素を吸収させ、表層から1/3板厚部より試料を採取し、水素含有量の分析を行った。更に、厚さ8mm、幅80mm、長さ100mmの検査用試験片を、120g/lの銅を含有した75℃の硫酸銅溶液中に浸漬して陰極とし、鉛板を陽極として、電流密度1A/cm2 総時間5000時間の電解を行った。また、表層から1/3板厚部を試験面とするため、板の片面から研削して厚さを5.3mmに調整した試料を作成し、同様の電解を行った。
【0054】
電解後の表面を目視し、表面斑の有無を確認し、表面を観察面として鏡面研磨し、エッチングを行い、光学顕微鏡試料とした。また、別の部位から12mm角の小片を切出し、表層から1mmまでの部位をファインカッターで切断し、表層から0.4mmを残すように研磨し、水素含有量の分析を行った。水素含有量は、試料を融解し、発生したガスから水素を分離して標準試料との熱伝導差によって求めた。
【0055】
光学顕微鏡観察による水素化物の発生の有無は以下のようにして確認した。
試料表面の任意の4箇所において約1.4mm×約2mmの範囲のミクロ組織を観察した際、水素化物が0〜3個で、かつ8cm×10cmの中に表面斑が0〜1箇所の場合に○、水素化物が4〜10個、又は表面斑が2〜5箇所の場合に△、水素化物が11個以上、又は表面斑が6箇所以上の場合を×とした。表面斑は、未再結晶粒の残存や隣接する結晶粒同士の大きさの著しい違いや成分偏析等により発生するもので、8cm×10cmの試料表面を硝沸酸及び過酸化水素を含む水溶液でエッチングすることにより判別した。
【0056】
電解後の表面の目視、光学顕微鏡による観察、表層から0.4mmの部位の水素含有量の分析は、厚さ8mmままの試料、板厚5.3mmに研削した試料の両方について行った。なお板厚5.3mmに研削した試料の観察面は、研削した側の面とした。
【0057】
Cuを0.1%以上添加し、初期水素含有量が本発明の範囲であるNo.3〜9、及びNo.11〜13は、硫酸銅溶液で5000時間電解した後でも水素化物の生成はほとんど見られず、表面斑もほとんどなく良好な表面状態であった。
【0058】
一方、比較例のNo.1及びNo.2は、Cuの添加量が本発明の範囲よりも少ないため、初期水素含有量が3000/GS−30より少ないものの、硫酸銅溶液中における5000時間の電解後、水素化物を生成して表面状態が劣化し、銅箔の製造に適さない状態であった。またNo.10は、初期水素量が120ppmを超えたため、硫酸銅溶液中での5000時間電解後水素化物が顕著に生成し、表面状態が劣化した。No.14は、Cuの添加量が本発明の範囲を超えたため材料中に偏析が起こり、表面斑が顕著に発生し、初期水素含有量も3000/GS−30より多いため水素化物が発生し、表面状態が劣化した。
【0059】
(実施例2)
表4(表3−1)、表5(表3−2)に示す成分の鋳塊から、同表に示す製造方法によって、厚さ8mmの厚板を作製した。上記の厚板から切出した検査用試験片の表面下0.5〜1.5mmと1/3板厚部の板面に平行な面の組織を実施例1と同様にして観察し、平均結晶粒径と結晶粒面積の変動係数を測定した。
また実施例1と同様に、検査用試験片を加熱して水素を吸収させ、水素含有量の分析を行った。更に実施例1と同様にして電解を行い、表面の水素化物の有無と表面から0.4mmまでの水素含有量を評価した。
【0060】
No.15〜18及びNo.20〜27に示した、Cuの他にV,Co,Ni,Crの内の1種を添加した本発明のチタン合金は、いずれも硫酸銅溶液中で5000時間電解を行った後でも水素化物の生成は無く、表面斑もほとんどなく良好な表面状態であった。特にNo.23〜27では、電解後の水素含有量が190ppm前後と高くなっても、水素化物が現れず、表面斑もなく、良好な表面状態であった。
No.29〜34に示した、1.0%Cuに、V,Co,Ni,Crの内2種類を添加した本発明のチタン合金も、硫酸銅溶液中で5000時間電解した後でも水素化物の生成は無く、表面斑もほとんどなく良好な表面状態であった。
【0061】
一方、比較例のNo.19はV添加量が本発明の範囲よりも多く、No.28はCr添加量が本発明の範囲よりも多く、No.35はVとCoの合計含有量が本発明の範囲よりも多いため、表面下0.5〜1.5mmにおける平均結晶粒径と1/3板厚部の平均結晶粒径の差が前者の20%を超えた。また、1/3板厚部の結晶粒面積の変動係数が35%を超えたため、1/3板厚部は電解後に表面斑を生じて、表面状態が劣化した。
【0062】
(実施例3)
表2(表2−1),表3(表2−2)のNo.6及びNo.9、表4(表3−1),表5(表3−2)のNo.20、No.24及びNo.29と同じ成分を有する板厚8mmのチタン合金板をそれぞれ、No.6’、No.9’、No.20’、No.20”、No.24’、No.29’とし、表6(表4−1),表7(表4−2)に示した方法で製造し、実施例1と同様の方法で平均結晶粒径、結晶粒面積の変動係数を測定し、水素を吸収させ、水素含有量を測定し、硫酸銅溶液中で5000時間の電解を行い、表面状態を評価し、結果を表6,表7に示した。比較のため、表2,表3のNo.6及びNo.9、表4,表5のNo.20、No.24及びNo.29の結果も表6,表7に示した。
【0063】
比較例のNo.6’は、粗熱間圧延の加熱温度が1150℃と高い場合であり、初期水素含有量が本発明の範囲よりも多く、電解後、表層及び1/3板厚部に水素化物を生じ、表面状態が劣化した。また、最終試料の平均結晶粒径と結晶粒面積の変動係数に悪影響が現れ、表面下0.5〜1.5mmの部位の平均結晶粒径と1/3板厚部の平均結晶粒径差が大きくなり、かつ1/3板厚部の結晶粒面積の変動係数も大きい。そのため、板厚1/3部は電解後に表面斑も生じた。
また、表6,7には示していないが、表2,3のNo.6の成分を有するチタン合金の製造において、粗熱間圧延の加熱温度を900℃と低くした場合、十分な加工が行えず材料に疵が入り、試料の製作ができなかった。
【0064】
No.9’は、1回目の熱間圧延の加熱温度が950℃と高い場合であり、初期水素含有量が本発明の範囲よりも多く、電解後、表層及び1/3板厚部に水素化物を生じ、表面状態が劣化した。また、最終試料の結晶粒面積の変動係数に悪影響が現れ、表面下0.5〜1.5mmの部位及び1/3板厚部の結晶粒面積の変動係数が大きくなって、電解後に表面斑が顕著となり、表面状態が劣化した。
【0065】
No.20’は、熱間圧延後の熱処理温度を550℃で行ったもので、表面下0.5〜1.5mmの部位の平均結晶粒径と1/3板厚部の平均結晶粒径差が大きくなり、かつ表面下0.5〜1.5mmの部位及び1/3板厚部の結晶粒面積の変動係数が大きくなって、電解後に表面斑が顕著となり、表面状態が劣化した。一方、No.20と同一成分の材料を、熱間圧延後の熱処理温度を900℃の高温で行ったNo.20”では、表面下0.5〜1.5mmの部位及び1/3板厚部の平均結晶粒径が大きいため、初期水素含有量が94ppmではあるものの、水素化物を生じた。また、表面下0.5〜1.5mm部及び1/3板厚部の結晶粒面積の変動係数が本発明の範囲よりも大きく、顕著な表面斑も発生し、表面状態が劣化した。
【0066】
No.24’は、冷間圧延後の熱処理を590℃で行った場合であるが、結晶粒面積の変動係数がやや大きくなり、No.24よりも電解後の表面状態がやや劣っている。またNo.29’は、冷間圧延後の熱処理を900℃で行ったものであるが、結晶粒径がやや粗大化し、No.29よりも電解後の表面状態がやや劣っている。
【0067】
【表1】
Figure 0004061211
【0068】
【表2】
Figure 0004061211
【0069】
【表3】
Figure 0004061211
【0070】
【表4】
Figure 0004061211
【0071】
【表5】
Figure 0004061211
【0072】
【表6】
Figure 0004061211
【0073】
【表7】
Figure 0004061211
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、電解溶液中での若干の水素吸収があっても、水素化物が生成し難く、かつ板厚方向にも組織が均一で結晶粒径のばらつきが小さく、電解銅箔製造用ドラムとしての長期使用が可能であり、かつ繰り返し研磨を行うことにより更に長寿命化することができる、メンテナンス性に優れた電解銅箔製造用カソード電極用チタン合金を容易な製造方法によって提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素化物を生じていないチタン合金のミクロ組織の一例である。
【図2】水素化物を生じたチタン合金のミクロ組織の一例である。

Claims (4)

  1. 質量%で、Cu:0.1〜2.1%を含有し、残部Ti及び不可避的不純物からなり、少なくとも表層から1/3板厚までの部分における初期水素含有量H[ppm]が120ppm以下であり、表面下0.5〜1.5mmの部位における平均結晶粒径GS[μm]が5〜50μmであり、H≦3000/GS−30を満足し、GSと1/3板厚部における平均結晶粒径GS’[μm]の差の絶対値を、GSで除した値の百分率が20%以内であり、かつ表面下0.5〜1.5mmの部位の結晶粒面積の変動係数及び1/3板厚部の結晶粒面積の変動係数が35%以内であることを特徴とする電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金。
  2. 質量%で、Cu:0.1〜2.1%を含有し、更に、V,Co,Ni,Crの1種又は2種以上を合計で1%以下含有し、残部Ti及び不可避的不純物からなり、少なくとも表層から1/3板厚までの部分における初期水素含有量H[ppm]が170ppm以下であり、表面下0.5〜1.5mmの部位における平均結晶粒径GS[μm]が5〜50μmであり、H≦4000/GS−30を満足し、GSと1/3板厚部における平均結晶粒径GS’[μm]の差の絶対値を、GSで除した値の百分率が20%以内であり、かつ表面下0.5〜1.5mmの部位の結晶粒面積の変動係数及び1/3板厚部の結晶粒面積の変動係数が35%以内であることを特徴とする電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金。
  3. 請求項1又は2記載の成分からなるチタン合金を溶解、鋳造し、インゴットを900〜1100℃に加熱し、加工率30%以上の粗熱間加工を行った後、800〜900℃に加熱し、加工率30%以上の熱間圧延を1回以上行い、600〜850℃の熱処理を施すことを特徴とする請求項1又は2記載の電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金の製造方法。
  4. 熱処理後、加工率30%以上の冷間圧延を行い、その後600〜850℃で熱処理を行うことを特徴とする、請求項3記載の電解銅箔製造用カソード電極に用いるチタン合金の製造方法。
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