JP4060587B2 - カプサイシノイド様物質含有製剤 - Google Patents

カプサイシノイド様物質含有製剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の生理作用を有するカプサイシノイド様物質含有製剤、その製法ならびに該製剤を含有する飲食品又は医薬品に関し、さらに詳しくは、カプサイシノイド様物質、油脂類および乳化剤を含有する乳化製剤であって、該製剤のpHが2.0〜6.5の範囲内にあることを特徴とするカプサイシノイド様物質含有乳化製剤及びその製法、該乳化製剤を乾燥してなるカプサイシノイド様物質含有粉末製剤及びその製法ならびに該製剤を含有する飲食品又は医薬品物に関する。
【0002】
【従来の技術】
トウガラシ(Capsicum annuum L.)は、食品、香辛料、医薬品等の製造原料として世界中で広く利用されている植物である。トウガラシの果実から単離・構造決定された辛味成分は、現在までにカプサイシン、ジヒドロカプサイシンなど14種類に達しており、それらは「カプサイシノイド」と総称されている。カプサイシンは様々な生理活性を有しており、例えば、食欲増進や、唾液・胃酸分泌、消化管蠕動、エネルギー代謝の亢進作用など(河田照雄,岩井和夫;香辛料成分の体熱産生亢進作用とその発現機構,岩井和夫,中谷延二編「香辛料成分の食品機能」,光生館,1989年,97−129頁)のほかに、新しいタイプの鎮痛薬としての可能性が報告されている。しかしながら、カプサイシンはその強烈な辛味があり、トウガラシ摂取の魅力のひとつとなっているが、この強辛味と発痛作用のためにその使用量等が制限され、食品添加物又は医薬としての用途はかなり限られている。
【0003】
一方、辛味の少ないトウガラシとして、タイ国で入手した辛味品種の変異株から、京都大学の実験園場で選抜固定されたトウガラシの無辛味固定品種である「CH−19甘」には、カプサイシノイドはほとんど含まれておらず、「カプサイシノイド様物質」が多量含有されていることが報告されている(園芸学会雑誌,58,3,601−607,1989)。また、そのカプサイシノイド様物質はカプシエイト及びジヒドロカプシエイトであり、これらのカプサイシノイド様物質には免疫の賦活化作用およびエネルギー代謝の活性化作用があることも報告されている(J.Agricultural and Food Chemistry,46,5,1695-1697,1998、特開平11−246478号公報)。
【0004】
また、本発明者らは、前述のカプサイシノイド様物質を工業的に抽出する方法として、トウガラシを超臨界又はその近傍の状態にある二酸化炭素を抽剤として用いて抽出処理するカプサイシノイド様物質の抽出方法を提案している(特願2001−25258号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、カプサイシノイド様物質の保存安定性に優れ、各種の飲食品、医薬品などに利用することができ、これらの飲食品、医薬品などに長期間安定にカプサイシノイド様物質が有する各種の生理作用を付与することのできるカプサイシノイド様物質含有乳化製剤及び粉末製剤ならびにその製法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、カプサイシノイド様物質を各種の飲食品、医薬品などに利用するための製剤化について鋭意研究を行った結果、今回、カプサイシノイド様物質、油脂類及び乳化剤を含有する乳化製剤のpHを2.0〜6.5の範囲内に調整すると、カプサイシノイド様物質の保存安定性に優れた乳化製剤が得られること、そして当該乳化製剤及びそれを乾燥した粉末製剤又は両者の混合物が、各種の飲食品、医薬品などに長期間安定にカプサイシノイド様物質の有する各種の生理作用を付与することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして、本発明によれば、カプサイシノイド様物質、油脂類および乳化剤を含有する乳化製剤であって、該製剤のpHが2.0〜6.5の範囲内にあることを特徴とするカプサイシノイド様物質含有乳化製剤が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、上記乳化製剤を乾燥してなるカプサイシノイド様物質含有粉末製剤が提供される。
【0009】
さらに、本発明によれば、上記乳化製剤又は粉末製剤を含有する飲食品又は医薬品が提供される。
【0010】
さらにまた、本発明によれば、カプサイシノイド様物質、油脂類および乳化剤を含有する混合物のpHを、乳化時又は乳化後に、2.0〜6.5の範囲内に調整することを特徴とするカプサイシノイド様物質含有乳化製剤及び当該乳化製剤を乾燥してなるカプサイシノイド様物質含有粉末製剤の製法が提供される。
【0011】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のカプサイシノイド様物質含有乳化製剤は、カプサイシノイド様物質、油脂類及び乳化剤を含有する乳化製剤であって、該製剤のpHが2.0〜6.5の範囲内にあることを特徴とするものである。
【0013】
本発明において使用しうるカプサイシノイド様物質は、特に制限されるものでなく、前記したトウガラシの無辛味固定品種である「CH−19甘」から抽出した抽出物或いは化学的又は生化学的に製造したもののいずれも使用することができる。
【0014】
抽出物は、例えば、特開平11−246478号公報に示されている酢酸エチルによる抽出方法や、特願2001−25258号の明細書に記載されている超臨界又はその近傍にある二酸化炭素による抽出法などにより抽出されたものが挙げられる。
【0015】
また、化学的又は生化学的に製造する方法、例えば、特開平11−246478号公報に示されているように、対応する脂肪酸とバニリルアルコールを出発物質として当業者に周知のエステル化反応を利用して化学的に合成する方法や、特許公報第3092006号に記載されているように、対応する脂肪酸エステル、トリアシルグリセリド及び脂肪酸のうち少なくとも1種と、バニリルアルコールを基質として用いて、リパーゼ等のエステラーゼによる逆反応を利用して生化学的に合成する方法によりカプサイシノイド様物質を製造する方法などが挙げられる。
【0016】
本発明の乳化製剤におけるカプサイシノイド様物質の配合量は、厳密に制限されるものではなく、配合目的や配合すべき飲食品又は医薬品の種類・形態・目的等によって異なり一概には決められないが、一般には、本発明のカプサイシノイド様物質、油脂類及び乳化剤の合計量を基準にして、約0.1〜約2.5重量%、特に約0.3〜約2.0重量%の範囲内が適当である。
【0017】
また、本発明の乳化製剤に使用しうる油脂類としては、特に制限されず、広範囲の油脂類を使用することができ、例えば、大豆油、菜種油、ヤシ油、コメ油、コーン油、パーム油、紅花油、オリーブ油などの植物油脂類;炭素数6〜10の飽和脂肪酸(例えば、カプリル酸、カプリン酸など)を主要な構成成分とした脂肪酸とグリセリンから構成される中鎖飽和脂肪酸トリグリセライド類;牛脂、豚脂、鶏脂、魚油などの動物油脂類などを例示することができる。これらの油脂類は、一般に、カプサイシノイド様物質、油脂類及び乳化剤の合計重量を基準にして、約2〜約40重量%、特に約10〜約20重量%の範囲内が好適である。
【0018】
さらに、本発明の乳化製剤に使用しうる乳化剤も特に制限されるものではなく、従来から飲食品等に用いられている各種の乳化剤が使用可能であり、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、化工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン等を挙げることができる。
【0019】
これら乳化剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、用いる乳化剤の種類等に応じて広い範囲にわたり変えることができるが、通常、カプサイシノイド様物質、油脂類及び乳化剤の合計重量に対し約2〜約30重量%、特に約3〜約25重量%の範囲内で使用することができる。
【0020】
本発明のカプサイシノイド様物質含有乳化製剤は、例えば、以上に述べたカプサイシノイド様物質、油脂類及び乳化剤を混合して乳化する際又は乳化後に、該製剤のpHを2.0〜6.5、特に2.5〜5.5の範囲内に調整することを特徴とするものである。かかるpH調整に用いうる酸性物質としては特に制限はなく広範囲の酸性物質を使用することができ、例えば、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、DL−リンゴ酸、安息香酸、グルコン酸、グルコノデルタラクトンなどの有機酸及びその塩類;炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウムなどの塩類;リン酸などの無機酸及びその塩類;ビタミンC及びその塩類などを挙げることができ、これらの酸性物質はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの酸性物質を本発明の乳化製剤に配合して、該製剤のpHを2.0〜6.5、好ましくはpH2.5〜5.5の範囲内に調整することにより、カプサイシノイド様物質の安定性を長期間保持することができる。該製剤のpHが2未満では該製剤の乳化安定性が維持できず、また、該製剤のpHが6.5を超える範囲ではカプサイシノイド様物質の安定性が悪くなり適当でない。
【0021】
本発明によれば、以上に述べたカプサイシノイド様物質、油脂類及び乳化剤を乳化混合し且つ酸性物質を配合してpH調整されたカプサイシノイド様物質含有乳化製剤とされる。この乳化製剤には、乳化に際して、必要に応じて、砂糖、水飴等の糖類;グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール等の多価アルコール類;クエン酸、リンゴ酸等の有機酸類;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の塩類;シュークロースアセテートイソブチレート(SAIB);中鎖脂肪酸トリグリセリド;ロジン、ダンマル、エレミ等の樹脂類;抽出トコフェノール、ローズマリー抽出物等の酸化防止剤;β−カロチン、パプリカ色素等の色素類等を適宜配合することもできる。これらの使用量は使用目的等に応じて適宜に選択することができる。また、本発明の乳化製剤には、乳化剤等を溶解するため水を加えることもできる。
【0022】
本発明のカプサイシノイド様物質含有乳化製剤の製造法の好ましい一実施態様を示せば、例えば、まず水に前記した如き乳化剤を加熱溶解させ、それに前記した如きカプサイシノイド様物質と油脂類との混合物を添加し、次いで乳化製剤のpHが2.0〜6.5の範囲となるように前記した酸性物質で調整し、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー等を用いて混合処理を行ことにより、カプサイシノイド様物質の保存安定性に優れた乳化製剤を得ることができる。
【0023】
また、本発明のカプサイシノイド様物質含有粉末製剤は、前記した乳化製剤を乾燥することにより得ることができる。乾燥する際に、適当な粉末化基材を配合することもできる。かかる粉末化基材は、特に制限されるものではなく、従来から飲食品等に用いられている各種の粉末化基材が使用可能であり、例えば、リン酸架橋エーテル化デンプン、オクテニルコハク酸エステル化デンプン、α化デンプン、デキストリン、粉末水飴、酸化デンプン等の各種澱粉誘導体;砂糖、トレハロース、グルコース、ラクトース、ソルビトール、水飴等の糖類;アラビアガム、大豆多糖類、ゼラチン等の粉末状タンパク質、ポリグリセリン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、レシチン等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で使用でき又は2種以上併用することもできる。
【0024】
これら粉末化基材の使用量は厳密に制限されるものではなく、用いる粉末化基材の種類等に応じて広い範囲にわたり変えることができるが、通常、粉末製剤に対し約5〜約90重量%の範囲内で配合するのが好適である。
【0025】
本発明のカプサイシノイド様物質含有粉末製剤の製造法の好ましい一実施態様を示せば、例えば、まず水に上記した如き粉末化基材を加熱溶解させ、それに前記した如きカプサイシノイド様物質含有乳化製剤を添加混合し、得られる混合物を真空乾燥、噴霧乾燥等の乾燥手段で乾燥することにより、カプサイシノイド様物質の保存安定性に優れた粉末製剤を得ることができる。
【0026】
かくして得られるカプサイシノイド様物質含有乳化製剤及び粉末製剤は、例えば、飲料、粉末飲料、チョコレート、キャンディ、チューインガム、錠菓、ベーカリー類、スナック類、水産加工食品、畜肉加工食品、レトルト食品、冷凍食品、インスタントラーメン、健康食品などの飲食品類に適当量を配合することにより、長期間安定にカプサイシノイド様物質の生理作用が付与された飲食品類を提供することができる。これら飲食品類に配合されるカプサイシノイド様物質含有乳化製剤又は粉末製剤の使用量は、使用目的、飲食品の種類・形態などにより異なるが、一般的には、飲食品に対して約0.01〜約5重量%、好ましくは約0.05〜約1重量%の範囲内で使用することができる。
【0027】
更に、本発明のカプサイシノイド様物質含有乳化製剤及び粉末製剤は、例えば、肥満抑制、体脂肪蓄積抑制、アドレナリン分泌促進などの各用途を有する医薬品に適当量配合することにより、長期間安定にカプサイシノイド様物質の生理作用が付与された医薬品を提供することができる。これら医薬品に配合されるカプサイシノイド様物質含有乳化製剤又は粉末製剤の使用量は、使用目的、患者の年齢・体重、要求される効果、医薬品の種類・形態などにより異なるが、一般的には、医薬品に対して約0.01〜約5重量%、好ましくは約0.05〜約1重量%の範囲内とすることができる。
【0028】
次に実施例、参考例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0029】
【実施例】
参考例1
内容積500リットルの抽出槽にトウガラシの無辛味固定品種「CH−19甘」の凍結乾燥品粉砕物100Kg、ODO(日清製油株式会社製、中鎖脂肪酸トリグリセライドの商品名)1Kg及びシリカゲル5Kgを仕込み、超臨界二酸化炭素(抽出槽:圧力10MPa、温度40℃;二酸化炭素供給量5Kg/h)を供給しながら5時間抽出を行った。次いで抽出ガスを分離槽に導き、分離槽内の温度40℃、圧力4MPaの条件で分離し、抽出物950gを得た(カプサイシノイド様物質含量:15.1%)。
【0030】
実施例1
デカグリン1−O(日光ケミカルズ株式会社製、グリセリン脂肪酸エステルの商品名)60g、グリセリン550g及び水30gを混合し、90℃〜95℃で加熱溶解した後、30℃まで冷却した。このものに、あらかじめ参考例1で得られた抽出物155g及びシュークロースアセテートイソブチレート(SAIB)145gを85℃〜90℃で加熱溶解したものを添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)で乳化し、乳化物を得た。この乳化物に、あらかじめビタミンC10gを殺菌水50gに溶解したものを添加し、さらにTKホモミキサーで乳化することにより本発明のカプサイシノイド様物質含有乳化製剤(本発明品1)を得た。得られた乳化製剤のpHは3.6であった。
【0031】
比較例1
実施例1において、ビタミンCを添加しない以外は実施例1と同様に処理してカプサイシノイド様物質含有乳化製剤(比較品1)を得た。得られた乳化製剤のpHは9.0であった。
(乳化製剤の安定性試験1)
実施例1及び比較例1で得られた本発明品1及び比較品1の各乳化製剤を、ペースト瓶に入れ、4℃、20℃及び37℃に保存して、2週間後及び4週間後の各乳化製剤中のカプサイシノイド様物質含量の経時的な変化を観察した。その結果を表1に示す。なお、カプサイシノイド様物質含量は、各乳化製剤を酢酸エチル:メタノール=6:4の溶剤に溶解し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。
【0032】
表1の結果から、本発明品1は比較品1に比べて、カプサイシノイド様物質の安定性に優れていることがわかる。
【0033】
【表1】
Figure 0004060587
【0034】
※表中の数値は、試験開始時のカプサイシノイド様物質の含量を100%とし、カプサイシノイド様物質の残存率で示した。
(乳化製剤の安定性試験2)
実施例1及び比較例1で得られた本発明品1及び比較品1の各乳化製剤を、ショ糖添加0.2%クエン酸溶液にて120倍に希釈し、10分間加熱殺菌後、4℃、20℃及び37℃に保存して、2週間後及び4週間後の各乳化製剤中のカプサイシノイド様物質含量の経時的な変化を観察した。その結果を表2に示す。なお、カプサイシノイド様物質含量は、各乳化製剤を酢酸エチル:メタノール=6:4の溶剤に溶解し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。
【0035】
表2の結果から、本発明品1は比較品1に比べて、乳化製剤をショ糖0.2%クエン酸溶液で希釈した場合にも、カプサイシノイド様物質の安定性に優れていることがわかる。
【0036】
【表2】
Figure 0004060587
【0037】
※表中の数値は、試験開始時のカプサイシノイド様物質の含量を100%とし、カプサイシノイド様物質の残存率で示した。
【0038】
実施例2〜4、比較例2及び3
デカグリン1−O(日光ケミカルズ株式会社製、グリセリン脂肪酸エステルの商品名)60g、グリセリン550g及び水50gを混合し、90℃〜95℃で加熱溶解した後、30℃まで冷却した。このものに、あらかじめ参考例1で得られた抽出物155g、ODO50g及びSAIB95gを85℃〜90℃で加熱溶解したものを添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)で乳化し、乳化物を得た。この乳化物に1%クエン酸水溶液を使用してpH9.0(pH未調整:比較例2)、pH2.5(実施例2)、pH3.0(実施例3)、pH4.0(実施例4)及びpH7.0(比較例3)の各乳化製剤を調製した。
(乳化製剤の安定性試験3)
実施例2〜4、比較例2及び3で得られた本発明品2〜4、比較品2及び3の各乳化製剤を、ペースト瓶に入れ、37℃に保存して、2週間後及び4週間後の各乳化製剤中のカプサイシノイド様物質含量の経時的な変化を観察した。その結果を表3に示す。なお、カプサイシノイド様物質含量は、実施例1と同様にHPLCにより測定した。
【0039】
表3の結果から、本発明品2〜4は比較品2及び3に比べて、カプサイシノイド様物質の安定性に優れていることがわかる。
【0040】
【表3】
Figure 0004060587
【0041】
※表中の数値は、試験開始時のカプサイシノイド様物質の含量を100%とし、
カプサイシノイド様物質の残存率で示した。
【0042】
実施例5
参考例1で得られた抽出物155g及びSAIB145gを85℃〜90℃で加熱溶解した後、あらかじめ水1500gとアラビアガム600gとを85〜90℃で15分間加熱殺菌した粉末化基材水溶液に混合し、さらに5%クエン酸水溶液100gを添加して、TKホモミキサーで乳化した(乳化液のpHは4.3であった)。この乳化液をニロ社のモービルマイナー型スプレードライヤーを使用して、入口温度140℃、出口温度75℃にて噴霧乾燥し、カプサイシノイド様物質含有粉末製剤(本発明品5)を得た。
【0043】
比較例4
実施例5において、5%クエン酸水溶液を添加しない以外は実施例5と同様に処理してカプサイシノイド様物質含有粉末製剤(比較品4)を得た。
(粉末製剤の安定性試験4)
実施例5及び比較例4で得られた本発明品5及び比較品4の各粉末製剤を、低密度ポリエチレン袋に入れ、37℃に保存して、2週間後及び4週間後の各粉末製剤中のカプサイシノイド様物質含量の経時的な変化を観察した。その結果を表4に示す。なお、カプサイシノイド様物質含量は、実施例1と同様にHPLCにより測定した。
【0044】
表4の結果から、本発明品5は比較品4に比べて、カプサイシノイド様物質の安定性に優れていることがわかる。
【0045】
【表4】
Figure 0004060587
【0046】
※表中の数値は、試験開始時のカプサイシノイド様物質の含量を100%とし、カプサイシノイド様物質の残存率で示した。
【0047】
実施例6
【0048】
【表5】
Figure 0004060587
【0049】
表5に記載した配合にて飲料を調製し、缶充填後に加熱殺菌した。
(飲料中の安定性試験5)
実施例6の飲料の製造工程でのカプサイシノイド様物質含量の変化を求めた。その結果を表6に示す。カプサイシノイド様物質の含量は、飲料を酢酸エチル:メタノール=6:4の溶剤にて希釈し、HPLCにより測定した。
【0050】
【表6】
Figure 0004060587
【0051】
(飲料中の安定性試験6)
実施例6で得られた缶飲料を4℃及び室温に保存して、2ヶ月後のカプサイシノイド様物質の含量を測定し経時的な変化を観察した。その結果を表7に示す。カプサイシノイド様物質の含量は、飲料を酢酸エチル:メタノール=6:4の溶剤にて希釈し、HPLCにより測定した。
【0052】
【表7】
Figure 0004060587
【0053】
実施例7
【0054】
【表8】
Figure 0004060587
【0055】
表8に記載した配合にてゼリー飲料を調製し、取出口付パウチにホットパック充填した。
(ゼリー飲料中の安定性試験7)
実施例7のゼリー飲料の製造工程でのカプサイシノイド様物質含量の変化を求めた。その結果を表9に示す。カプサイシノイド様物質の含量は、ゼリー飲料を酢酸エチル:メタノール=6:4の溶剤にて抽出し、HPLCにより測定した。
【0056】
【表9】
Figure 0004060587
【0057】
(ゼリー飲料中の安定性試験8)
実施例7で得られた取出口付パウチ入りのゼリー飲料を4℃に保存して、2ヶ月後のカプサイシノイド様物質の含量を測定し経時的な変化を観察した。その結果を表10に示す。カプサイシノイド様物質の含量は、ゼリー飲料を酢酸エチル:メタノール=6:4の溶剤にて抽出し、HPLCにより測定した。
【0058】
【表10】
Figure 0004060587
【0059】
実施例8
砂糖57重量部と水飴43重量部を煮詰めたハードキャンディ生地に実施例1の乳化製剤を1.3%配合で練り込み、カプサイシノイド様物質乳化製剤キャンディを調製した。
(キャンディ中の安定性試験9)
実施例8のキャンディの製造工程でのカプサイシノイド様物質含量の変化を求めた。その結果を表11に示す。カプサイシノイド様物質の含量は、キャンディを1%クエン酸溶液に溶解し、酢酸エチル:メタノール=6:4の溶剤にて抽出した後、HPLCにより測定した。
【0060】
【表11】
Figure 0004060587
【0061】
実施例9
チョコレート
【0062】
【表12】
Figure 0004060587
【0063】
実施例5の粉末製剤を使用し、表12に記載した配合にて常法にてチョコレートを調製した。
【0064】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明のカプサイシノイド様物質含有乳化製剤及び粉末製剤は、各種の生理作用を有するカプサイシノイド様物質の保存安定性に優れ、各種の飲食品、医薬品などに利用することができ、これらの飲食品、医薬品などに、長期間安定にカプサイシノイド様物質の生理作用を付与することができ、飲食品、医薬品等、広い分野への用途が開けるなど極めて有用である。

Claims (7)

  1. カプサイシノイド様物質、油脂類および乳化剤を含有する乳化製剤であって、該製剤のpHが2.0〜6.5の範囲内にあることを特徴とするカプサイシノイド様物質含有乳化製剤。
  2. 請求項1記載の乳化製剤を乾燥してなるカプサイシノイド様物質含有粉末製剤。
  3. カプサイシノイド様物質が、トウガラシを超臨界又はその近傍の状態にある二酸化炭素を抽剤として用いて抽出処理して得られたものであることを特徴とする請求項1記載の乳化製剤又は請求項2記載の粉末製剤。
  4. 請求項1又は2記載の製剤を含有する飲食品。
  5. 請求項1又は2記載の製剤を含有する医薬品。
  6. カプサイシノイド様物質、油脂類および乳化剤を含有する混合物のpHを、乳化時又は乳化後に、2.0〜6.5の範囲内に調整することを特徴とするカプサイシノイド様物質含有乳化製剤の製法。
  7. カプサイシノイド様物質、油脂類および乳化剤を含有する混合物のpHを、乳化時又は乳化後に、2.0〜6.5の範囲内に調整して得られた乳化物を乾燥することを特徴とするカプサイシノイド様物質含有粉末製剤の製法。
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