JP4059693B2 - 内燃機関の頭上カム軸型動弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機関弁を駆動するロッカアームを備えた内燃機関の頭上カム軸型動弁装置に関し、詳細にはロッカアームをカム側または機関弁側に付勢する付勢手段を備えた頭上カム軸型動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、機関弁を駆動するロッカアームを備えた頭上カム軸型動弁装置であって、該ロッカアームをカム側に付勢する付勢部材を備えた内燃機関の頭上カム軸型動弁装置として、実公平6−34563号公報に開示されたものがある。この頭上カム軸型動弁装置は、同一構造の吸気側および排気側動弁装置を備え、その吸気側動弁装置には、シリンダ毎に、シリンダヘッドにボルトで締結されるカムホルダにより回転自在に支持されたカム軸に設けられる2つの低速用カムにより揺動されると共に、1対の吸気弁にそれぞれ連動連結された1対の駆動ロッカアームと、両駆動ロッカアームの間に位置して高速用カムに摺接する自由ロッカアームと、駆動ロッカアームおよび自由ロッカアームの連結および連結解除を切換可能な連結切換機構とが設けられる。そして、自由ロッカアームは、機関の低速運転時に吸気弁とは無関係に空動きするため、自由ロッカアームを高速用カム側に付勢するロストモーション機構(付勢部材に相当)が設けられ、該ロストモーション機構は、シリンダヘッドに形成された凹部を有する保持部に保持される。
【0003】
しかしながら、この従来技術では、シリンダヘッドにロストモーション機構の保持部が形成されるため、吸気弁および排気弁を摺動自在に案内する弁ガイドの固定部や点火栓が収容される収容筒などが形成されるシリンダヘッドの構造がさらに複雑となって、その生産性が低下する難点があり、また保持部のためのスペースを確保する必要から、固定部や収容筒さらに弁ばね等をコンパクトに配置することが困難となって、シリンダヘッドが大型化し、ひいては動弁室、さらには内燃機関が大型化する難点がある。
【0004】
そこで、シリンダヘッドに保持部を形成することなく、シリンダヘッドの構造を簡素化して生産性の向上を図り、さらに固定部、収容筒および弁ばね等のコンパクトな配置を可能とするために、シリンダヘッドに取り付けられる部材を利用して、該部材に保持部を形成した頭上カム軸型動弁装置が、米国特許第5,297,506号明細書に開示されている。この頭上カム軸型動弁装置は、シリンダ毎に、シリンダヘッドにボルトにより締結される軸受ブラケット(ホルダに相当)の1対の軸受キャップとシリンダヘッドとで回転自在に支持されたカム軸と、1対の軸受キャップに保持された1対のロッカ軸に揺動自在に支持されてカム軸のカムによりそれぞれ揺動される吸気弁用および排気弁用の2つの主ロッカアームおよび1つの補助ロッカアームとを備える。さらに、頭上カム軸型動弁装置には、機関の低速運転時には、主ロッカアームとは無関係に空動きする補助ロッカアームをカム側に付勢するための支持要素(付勢部材に相当)が設けられる。支持要素は、スプリングと、該スプリングに付勢されて補助ロッカアームに当接する案内カップとから構成される。そして、軸受ブラケットには、スプリングが収納され、かつ案内キャップが摺動自在に嵌合して案内される凹部を有する保持部が一体に形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、米国特許第5,297,506号明細書に開示された従来技術では、軸受ブラケット一体に形成された保持部は、該軸受ブラケットから、平面視でロッカ軸の軸線方向(カム軸の回転軸線方向でもある。)に直交する方向に突出しているため、このような保持部を有する軸受ブラケットをシリンダヘッドが前記直交方向で小型化された内燃機関に使用することは困難である。
【0006】
また、保持部には、カムにより揺動される補助ロッカアームから荷重がスプリングを介して作用するため、保持部が形成される軸受ブラケットの、該荷重により生じる変形を極力小さくして、一定の方向に安定した付勢力を補助ロッカアームに作用させることが望ましい。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1ないし請求項8記載の発明は、ロッカアームを付勢する付勢部材を保持する保持部が形成されたホルダを、平面視でロッカ軸の軸線方向と直交する方向で小型化し、該直交方向で小型化されたシリンダヘッドへのホルダの適用が容易にして、内燃機関の前記直交方向での小型化が可能な頭上カム軸型動弁装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、シリンダを有する内燃機関のシリンダヘッドに設けられる複数のホルダに支持される軸部材と、ロッカ軸に揺動自在に支持されて機関弁を開弁駆動するロッカアームと、カム軸に設けられて前記ロッカアームの揺動動作を規定するカムと、前記ロッカアームを前記カム側または前記機関弁側に付勢する付勢部材とを備える内燃機関の頭上カム軸型動弁装置において、前記複数のホルダの少なくとも1つは、平面視で前記ロッカ軸の軸線方向と直交する直交方向に離隔する2つの締結部にて、該締結部に形成された挿通孔に挿通される締付け部材により前記シリンダヘッドに締結され、しかも前記付勢部材が収容される保持孔が形成された保持部が前記2つの締結部の少なくとも一方の締結部に一体に形成される保持部付きホルダであり、前記保持孔は前記軸線方向から見て前記挿通孔と重なる内燃機関の頭上カム軸型動弁装置である。
【0009】
この請求項1記載の発明によれば、次の効果が奏される。すなわち、シリンダヘッドに締結されて動弁装置の構成要素である軸部材を支持する保持部付きホルダにおいて、保持部に形成されて付勢部材が収容される保持孔は、保持部付きホルダの前記直交方向に離れて位置する1対の締結部の少なくとも一方に、保持部付きホルダをシリンダヘッドに締結する締付け部材が挿通される挿通孔と前記軸線方向から見て重なるように形成されることにより、保持部付きホルダを前記直交方向で小型化することができるので、前記直交方向で小型化されたシリンダヘッドへの保持部付きホルダの適用が容易となり、その結果、保持部付きホルダを備える頭上カム軸型動弁装置を備える内燃機関を小型化することができる。
【0010】
また、保持部が一体に形成される締結部は、保持部付きホルダが締付け部材によりシリンダヘッドに締結される部分であるため、ロッカアームから付勢部材を介して保持部に作用する荷重により、保持部が形成される締結部に生じる変形は極めて小さく、一定の方向に安定した付勢力をロッカアームに作用させることができるので、該ホルダに保持部を形成したために、保持部を支持するための剛性を高める補強部を形成する必要性、例えばホルダに厚肉部を形成したり、補強リブを形成する必要性は殆どなく、保持部付きホルダを小型軽量化することが可能となり、ひいては内燃機関を小型軽量化することが可能となる。しかも、締結部については、保持部が一体に形成されることで、締付け剛性がさらに高くなり、保持部付きホルダを大きな締付け力で強固にシリンダヘッドに固定することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置において、前記ロッカアームは、前記軸線方向で隣接する2つの前記ホルダの間に配置され、該2つのホルダの少なくとも一方のホルダは前記保持部付きホルダであり、前記一方のホルダにおける前記一方の締結部の締付け部材の中心軸線は、前記平面視で前記一方の締結部の締付け部材の中心軸線と前記2つの締結部の他方の締結部の締付け部材の中心軸線との前記軸線方向での中央点を通り、かつ前記直交方向と平行な基準直線に対して、前記保持部が位置する側とは反対側に位置するものである。
【0012】
この請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、ロッカアームを挟んで設けられる2つのホルダのうち、一方のホルダである保持部付きホルダについては、保持部が形成された締結部の締付け部材の中心軸線が、基準直線に対して保持部とは反対側に位置するため、その分、保持部と他方のホルダとの軸線方向での間隔を大きくすることができるので、2つのホルダ間の軸線方向での間隔を大きくすることなく、すなわちシリンダヘッドの軸線方向での幅が大きくなることなく、シリンダヘッドの小型軽量化を維持したうえで、ロッカアームを配置するための十分な間隔が確保される。
【0013】
請求項3記載の発明は、シリンダを有する内燃機関のシリンダヘッドに設けられる複数のホルダに支持される軸部材と、ロッカ軸に揺動自在に支持されて吸気弁または排気弁からなる機関弁を開弁駆動すべく該機関弁に連動連結される駆動ロッカアームと、前記ロッカ軸に揺動自在に支持されて前記機関弁に対して自由になり得る自由ロッカアームと、カム軸に設けられて前記駆動ロッカアームおよび前記自由ロッカアームの揺動動作をそれぞれ規定するカムと、前記駆動ロッカアームと前記自由ロッカアームとの連結および連結解除を切換可能な連結切換機構と、前記自由ロッカアームを前記カム側に付勢する付勢部材とを備えた内燃機関の頭上カム軸型動弁装置において、前記複数のホルダの少なくとも1つは、平面視で前記ロッカ軸の軸線方向と直交する直交方向に離隔する2つの締結部にて締付け部材により前記シリンダヘッドに締結され、しかも前記付勢部材を保持する保持部が、前記シリンダヘッドをシリンダブロックに締結するヘッド締付け部材よりも前記シリンダの中心軸線を含みかつ前記直交方向に直交する仮想平面側に配置され、前記軸線方向に突出して一体に形成される保持部付きホルダである内燃機関の頭上カム軸型動弁装置である。
【0014】
この請求項3記載の発明によれば、次の効果が奏される。すなわち、前記直交方向に離隔する2つの締結部にて締付け部材によりシリンダヘッドに締結された保持部付きホルダにおいて、保持部は、ヘッド締付け部材よりも前記仮想平面に近接した部位から前記軸線方向に突出して形成されることにより、保持部が前記直交方向に突出することが回避または極力抑制されるので、前記直交方向で小型化されたシリンダヘッド、したがってヘッド締付け部材の前記直交方向での前記仮想平面までの距離がより短くなるシリンダヘッドへの保持部付きホルダの適用が容易となり、その結果、保持部付きホルダを備える頭上カム軸型動弁装置を備える内燃機関を小型化することができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置において、前記保持部の側壁は、前記締付け部材の締付け方向に沿って延びるものである。
【0016】
この請求項4記載の発明によれば、引用された請求項記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、保持部の側壁が締結部を締付け部材に沿って延びるように形成されるため、保持部と締結部との連結範囲を締付け方向に大きく設定することができるので、請求項1記載の効果をさらに高めることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置において、前記2つの締結部には前記軸部材を挟む位置にそれぞれ前記保持部が形成され、一方の前記保持部は前記軸線方向で前記ホルダの一側に位置し、他方の前記保持部は前記軸線方向で前記ホルダの他側に位置するものである。
【0018】
この請求項5記載の発明によれば、引用された請求項記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、カムにより押圧されるロッカアームから2つの保持部に作用する荷重が、保持部付きホルダの、軸部材を挟んで直交方向で離隔した位置に、しかも軸線方向での両側でそれぞれ作用するため、該ホルダに作用する荷重の作用点が分散されて、該荷重により発生する応力が低減されるので、該ホルダの強度設計が容易になり、しかも該ホルダの耐久性が向上する。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置において、前記締結部と前記保持部との間に凹部が設けられるものである。
【0020】
この請求項6記載の発明によれば、引用された請求項記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、締結部と保持部との間に凹部が形成されるので、保持部付きホルダが軽量化され、ひいては内燃機関が軽量化される。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置において、前記保持部は、前記保持部付きホルダにおいて前記2つの締結部の間にある前記軸線方向での両側面の一方の側面から前記軸線方向に突出しており、前記保持部に形成されて付勢部材が収容される保持孔の一部は、前記軸線方向で前記一方の側面よりも他方の側面寄りに位置するものである。
【0022】
この請求項7記載の発明によれば、引用された請求項記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、保持孔の一部が、保持部付きホルダの一方の側面よりも他方の側面寄りに位置するので、該ホルダの一方の側面から軸線方向に突出する保持部の突出量が抑制されて、該ホルダの、前記軸線方向での幅が小さくなって、該ホルダが軽量化され、さらにシリンダヘッドの軸線方向での幅が小さくなって、シリンダヘッドが小型軽量化されて、ひいては内燃機関が小型軽量化される。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置において、前記シリンダの中心軸線を含みかつ前記直交方向に直交する仮想平面の一方の側において、前記保持部の外側面の、前記仮想平面から前記直交方向で最も離れた部分は、前記保持部付きホルダの側面の、前記仮想平面から前記直交方向で最も離れた部分よりも前記直交方向において前記仮想平面側に位置するものである。
【0024】
この請求項8記載の発明によれば、引用された請求項記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、仮想平面の一方の側において、保持部の外側面の、仮想平面から前記直交方向で最も離れた部分は、保持部付きホルダの側面の、仮想平面から前記直交方向で最も離れた部分よりも前記直交方向において仮想平面側に位置することにより、保持部が前記直交方向でシリンダの中心軸線に一層近接した位置に設けられて、保持部付きホルダを前記直交方向で一層小型化することができるので、前記直交方向で一層小型化されたシリンダヘッドへの保持部付きホルダの適用が容易となり、その結果、保持部付きホルダを備える頭上カム軸型動弁装置を備える内燃機関を一層小型化することができる。
【0025】
なお、この明細書において、「平面視」とは、内燃機関のシリンダの中心軸線方向から見ることを意味する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1ないし図8を参照して説明する。
本発明に係る頭上カム軸型動弁装置が適用される内燃機関は、車両に搭載されるSOHC型の直列4気筒4サイクル内燃機関であり、やはり車両に搭載される車両駆動用電動機と共にハイブリッドエンジンを構成する。
【0027】
図1ないし図3を参照すると、内燃機関は、図示されないピストンが往復動自在に嵌合する4つのシリンダC1〜C4が直列に配列されたシリンダブロック(図示されず)の上面に締結されるシリンダヘッド1を備え、該シリンダヘッド1は、前記各ピストンとの間に燃焼室2を形成する。
【0028】
シリンダヘッド1には、各燃焼室2に吸気口にて開口する1つの吸気ポート3および排気口にて開口する1つの排気ポート4が形成され、さらに吸気ポート3に臨む燃料噴射弁が装着される装着部5と、燃焼室2に臨む2つの点火栓がそれぞれ挿入される孔を有する2つの収容筒6,7とが形成される。そして、前記吸気口を開閉する機関弁である吸気弁8および前記排気口を開閉する機関弁である排気弁9は、シリンダヘッド1に固定された弁ガイド10,11にそれぞれ摺動自在に嵌合され、シリンダヘッド1に載置されるばね受けと弁ステム端部に設けられたばね受けとの間に装着される圧縮コイルばねからなる弁ばね12,13の弾発力により、それぞれ閉弁方向に付勢される。吸気弁8および排気弁9は、1本のカム軸20、該カム軸20に設けられたカム、1本のロッカ軸40および該ロッカ軸40に揺動自在に支持されたロッカアーム42〜45を備える動弁装置により作動され、該動弁装置は、シリンダヘッド1と、シリンダヘッド1の上面に組み付けられるヘッドカバー(図示されず)とにより形成される動弁室に収容される。
【0029】
図2を参照すると、シリンダヘッド1には、前記シリンダブロックに形成されるねじ孔に対応した位置に形成され、シリンダC1〜C4の中心軸線L1(図1,図3参照)の方向A1(以下、単に「中心軸線方向A1」という)と平行な中心軸線L3を持つ挿通孔16を有する10箇所のヘッド締結部としての締結部17が設けられ、シリンダヘッド1は、それら締結部17の挿通孔16に挿通されて、前記ねじ孔に螺合されるヘッド締付け部材であるヘッドボルトB1(図1参照)により前記シリンダブロックに締結される。ここで、ヘッドボルトB1の中心軸線は中心軸線L3と一致する。そして、これら挿通孔16は、カム軸20の回転軸線L2の軸線方向A2(以下、単に「軸線方向A2」という)において、シリンダヘッド1の両端部(図2で左端部および右端部。以下、左右は、図2における左右を意味するものとする。)にそれぞれ位置する2組の1対の挿通孔16と、隣接するシリンダC1,C2;C2,C3;C3,C4の中央に位置する3組の1対の挿通孔16とからなり、各組の1対の挿通孔16は、4つのシリンダC1〜C4の中心軸線L1を含む仮想平面P1に関して、吸気側にある挿通孔16と排気側にある挿通孔16とからなる。右端の締結部17を除く吸気側の締結部17の中心軸線L3は、平面視で軸線方向A2と平行な直線上に位置し、排気側の締結部17の中心軸線L3は、平面視で軸線方向A2と平行な直線上に位置する。
【0030】
ここで、これら挿通孔16の位置を、以下に説明する基準平面H1〜H5との関係について説明する。先ず、この実施例における5つの基準平面H1〜H5は、軸線方向A2と直交する仮想平面であり、隣接する2つの基準平面H1,H2;H2,H3;H3,H4;H4,H5の間にそれぞれ1つのシリンダC1;C2;C3;C4が位置すると共に、軸線方向A2に等間隔に位置する。そして、シリンダC1の左方に位置する1対の挿通孔16の中心軸線L3は、基準平面H1上にあり、隣接するシリンダC1,C2;C2,C3;C3,C4間に位置する3組の1対の挿通孔16の中心軸線L3は、それぞれ基準平面H2〜H4上にある。また、シリンダC4の右方に位置する排気側の挿通孔16の中心軸線L3は、基準平面H5上にあり、他方の挿通孔16は基準平面H5よりもシリンダC4寄りにある。
【0031】
図3を参照すると、シリンダヘッド1には、内燃機関のクランク軸(図示されず)の回転軸線と平行な回転軸線L2を有すると共に、仮想平面P1に直交する直交方向A3で、吸気弁8および排気弁9の間に配置される(図1参照)軸部材であるカム軸20が、一連のギヤ列を介してカムギヤ21に伝達される前記クランク軸の動力により、該クランク軸の1/2の回転数で回転駆動される。そして、カム軸20は、軸線方向A2に間隔をおいてシリンダヘッド1に一体に形成された5つの支持壁1a〜1cと、それら支持壁1a〜1cにそれぞれ締結される5つのカムホルダ22〜24とにより支持されて、シリンダヘッド1に回転自在に支持される。
【0032】
これら支持壁1a〜1cおよびカムホルダ22〜24は、軸線方向A2で、シリンダヘッド1の端部寄りにそれぞれ位置する2組の端部支持壁1a,1cおよび端部カムホルダ22,24と、隣接するシリンダC1,C2;C2,C3;C3,C4の中央に位置する3組の中間支持壁1bおよび中間カムホルダ23とからなる。図1に示されるように、各支持壁1a〜1cおよびカムホルダ22〜24の合わせ面には、両者が締結されることで、カム軸20のジャーナル部が回転自在に支持される軸受孔25を形成する半円柱状の溝25a,25bが形成される。
【0033】
各カムホルダ22〜24には、平面視で軸線方向A2と直交する方向でもある直交方向A3に離隔して、支持壁1a〜1cに形成されるねじ孔26(図1には支持壁1aのねじ孔26が示されている)に対応した位置に形成され、中心軸線方向A1と平行な中心軸線L4を有する挿通孔27(図1にはカムホルダ24の挿通孔27が示されている)を有する1対のホルダ締結部としての締結部28,29;30,31;32,33が設けられ、支持壁1a〜1cとカムホルダ22〜24とは、それら締結部28,29;30,31;32,33の挿通孔27に挿通されて、ねじ孔26に螺合される締付け部材であるボルトB2により締結される。ここで、ボルトB2の中心軸線は中心軸線L4と一致する。
【0034】
図3に示されるように、カム軸20には、シリンダC1〜C4毎に、吸気カム34および排気カム35と、カム軸20に沿って吸気カム34と排気カム35との間に、吸気カム34に隣接する吸気休止カム36および排気カム35に隣接する排気休止カム37とが設けられる。吸気および排気カム34,35は、カム軸20の回転軸線L2を中心とする円弧状のベース円部と、ベース円部から半径方向外方に突出するノーズ部とからなるカムプロフィルを有し、内燃機関の通常運転時に吸気弁8および排気弁9を、所定の開閉時期およびリフト量でそれぞれ開閉作動させ、吸気および排気休止カム36,37は、吸気および排気カム34,35のベース円部と同一半径で、カム軸20の回転軸線を中心とする円形のカムプロフィルを有し、内燃機関の休止運転時に、吸気弁8および排気弁9を閉弁状態に維持する。
【0035】
カム軸20の回転軸線L2と平行な中心軸線L5を有する軸部材であるロッカ軸40は、各カムホルダ22〜24の溝25bの真上に形成された挿通孔41に挿通され、両端部カムホルダ22,24にそれぞれ螺合される2つのボルトB3(図2参照)により、その回転および軸線方向A2の移動が阻止される。
【0036】
図4および図5を参照すると、シリンダC1〜C4毎に、ロッカ軸40の軸線方向、すなわち軸線方向A2で隣接する2つのカムホルダ22,23;23,23;23,24の間において、ロッカ軸40には、相互に隣接する吸気駆動ロッカアーム42および排気駆動ロッカアーム43と、吸気駆動ロッカアーム42の側方で一方のカムホルダ23寄りに位置する吸気自由ロッカアーム44および排気駆動ロッカアーム43の側方で他方のカムホルダ22寄りに位置する排気自由ロッカアーム45とから構成される4つのロッカアームが並列した状態で揺動自在に支持される。なお、図4は、隣接するカムホルダ22,23の間に配置されるロッカアーム42〜45の断面図を示している。
【0037】
吸気駆動ロッカアーム42の一端部には、吸気休止カム36に転がり接触するローラ43aが支持軸43bを介して回転自在に支持され、その他端部には、吸気弁8の弁ステム端部に当接するタペットねじ43cが進退自在に螺合され、その中間部にはロッカ軸40が挿通される支持孔43dが設けられ、これによって、吸気駆動ロッカアーム42は、吸気弁8を開弁駆動すべく吸気弁8に連動連結される。一方、吸気自由ロッカアーム44の一端部には、吸気カム34に転がり接触するローラ44aが、支持軸44bおよび多数のニードル44eを介して回転自在に支持され、その他端部には後述するロストモーション機構80の当接片80aが当接する当接部44f(図5参照)が設けられ、その中間部にはロッカ軸40が挿通される支持孔44dが設けられる。
【0038】
同様に、排気駆動ロッカアーム43の一端部には、排気休止カム37に転がり接触するローラ43aが支持軸43bを介して回転自在に支持され、その他端部には、排気弁9の弁ステム端部に当接するタペットねじ43cが進退自在に螺合され、その中間部にはロッカ軸40が挿通される支持孔43dが設けられ、これによって排気駆動ロッカアーム43は、排気弁9を開弁駆動すべく排気弁9に連動連結される。一方、排気自由ロッカアーム45の一端部には排気カム35に摺接するローラ45aが支持軸45bおよび多数のニードル45eを介して回転自在に支持され、その他端部にはロストモーション機構80の当接片80aが当接する当接部45f(図5参照)が設けられ、その中間部にはロッカ軸40が挿通される支持孔45dが設けられる。
【0039】
図4を参照すると、吸気駆動ロッカアーム42と吸気自由ロッカアーム44との間に跨って、吸気駆動ロッカアーム42と吸気自由ロッカアーム44との連結および連結解除を切換可能とする連結切換機構46が設けられ、一方、排気駆動ロッカアーム43と排気自由ロッカアーム45との間に跨って、排気駆動ロッカアーム43と排気自由ロッカアーム45との連結および連結解除を切換可能とする連結切換機構47が設けられる。前記動弁装置の構成要素である各連結切換機構46,47は、吸気および排気駆動ロッカアーム42,43と吸気および排気自由ロッカアーム44,45とをそれぞれ連結可能な連結ピストン46a,47aと、連結ピストン46a,47aと当接して、連結ピストン46a,47aの移動を規制すると共に連結ピストン46a,47aを連結解除状態にする解除ピストン46b,47bと、連結ピストン46a,47aを解除ピストン46b,47bに当接させる戻しばね46c,47cとを備える。
【0040】
吸気および排気駆動ロッカアーム42,43のそれぞれには、連結ピストン46a,47aが摺動自在に嵌合する有底のガイド孔46d,47dが形成され、連結ピストン46a,47aとガイド孔46d,47dとの間に第1油圧室48,49が形成され、さらに第1油圧室48,49に戻しばね46c,47cが収容される。また、自由ロッカアーム44,45には連結ピストン46a,47aおよび解除ピストン46b,47bが摺動自在に嵌合する有底のガイド孔46e,47eが形成され、解除ピストン46b,47bとガイド孔46e,47eとの間に第2油圧室50,51が形成される。
【0041】
また、戻しばね46c,47cは、第1,第2油圧室48,50;49,51に低油圧以下のほぼ等しい圧力が作用するときに、吸気および排気駆動ロッカアーム42,43と吸気および排気自由ロッカアーム44,45とがそれぞれ連結状態となるように連結ピストン46a,47aを付勢する弾発力を有しており、それによって、適正な油圧が得られない場合に、吸気弁8および排気弁9が、それぞれ吸気カム34および排気カム35により開閉されて、内燃機関が通常運転可能となるようされている。
【0042】
一方、円筒状のロッカ軸40の中空部には、該中空部に挿入されたパイプ52により、パイプ52とロッカ軸40との間に形成される第1作動油路53およびパイプ52の中空部により形成される第2作動油路54が区画形成される。そして、第1油圧室48,49は、吸気および排気駆動ロッカアーム42,43に形成された孔からなる連通路55,56を介して第1作動油路53に常時連通し、第2油圧室50,51は、吸気および排気自由ロッカアーム44,45に形成された孔およびパイプ52に形成された孔からなる連通路57,58を介して第2作動油路54に常時連通する。
【0043】
第1,第2作動油路53,54は、図2および図3に示されるように、カムホルダ24に形成された2つの連通路59,60およびシリンダヘッド1に形成された2つの連通路61,62をそれぞれ介して、シリンダヘッド1に取り付けられるスプール弁からなる油圧制御弁63により、図示されないオイルポンプの吐出ポートに連通する高圧油路またはドレン油路に連通される。油圧制御弁63は、車両の運転状態に応じて制御され、車両の発進時等に車両が電動機のみにより駆動される運転時、または車両の減速時等には、第1作動油路53が低油圧で、第2作動油路54が高油圧となるように、そして、それ以外の運転時には、第1作動油路53が高油圧で、第2作動油路54が低油圧となるように、第1,第2作動油路53,54の油圧を制御する。
【0044】
図2を参照すると、各カムホルダ22〜24の1対の締結部28,29;30,31;32,33は、仮想平面P1に対して吸気側および排気側に配置される。そして、そのうち締結部29〜32には円筒状の保持部70,71が一体に形成されて、これらカムホルダ22〜24は保持部付きのカムホルダとなっている。
【0045】
そして、一方の端部カムホルダ22には、排気側の締結部29のみに保持部71が形成され、他方の端部カムホルダ24には、吸気側の締結部32のみに保持部70が形成され、3つの中間カムホルダ23には、ロッカ軸40およびカム軸20を挟む位置に、すなわち直交方向A3でロッカ軸40およびカム軸20が両保持部70,71の間に位置するように、吸気側および排気側の締結部30,31にそれぞれ保持部70,71が形成され、さらに吸気側の保持部70は、各カムホルダ22〜24の一側である左側面23a,24aの側に位置し、排気側の保持部71は、各カムホルダ22〜24の他側である右側面22a,23aの側に位置する。
【0046】
吸気側の締結部28,30,32に形成される保持部70は、シリンダC1〜C4毎に、隣接するカムホルダ22,23;23,23;23,24に関して、軸線方向A2で締結部28,30,32から吸気自由ロッカアーム44側に左方に突出して形成され、該保持部70には、挿通孔27の中心軸線L4と平行な中心軸線L6を有し、吸気自由ロッカアーム44の当接部44fに当接する付勢部材であるロストモーション機構80を収容して保持する有底の保持孔72が形成される。具体的には、図6を併せて参照すると、吸気側の各保持部70は、各カムホルダ23,24において直交方向A3で1対の締結部30,31;32,33の間にあって軸線方向A2での両側面のうち、一方の側面である左側面23a,24aから軸線方向A2に突出しており、保持孔72の締結部30,32寄りの一部72aは、軸線方向A2で、左側面23a,24aよりも、他方の側面である右側面23b,24b寄りに位置する。
【0047】
同様に、各排気側の締結部29,31,33に形成される保持部71は、シリンダC1〜C4毎に、隣接するカムホルダ22,23;23,23;23,24に関して、軸線方向A2で締結部29,31,33から排気自由ロッカアーム45側に突出して形成され、該保持部71には、挿通孔27の中心軸線L4と平行な中心軸線L7を有し、排気自由ロッカアーム45の当接部45fに当接するロストモーション機構80を収容して保持する有底の保持孔73が形成される。そして、排気側の各保持部71は、各カムホルダ22,23において直交方向A3で1対の締結部28,29;30,31の間にあって軸線方向A2での両側面のうち、他方の側面である右側面22b,23bから軸線方向A2に突出しており、保持孔73の締結部29,31寄りの一部73aは、軸線方向A2で、右側面22a,23aよりも左側面22b,23b寄りに位置する。
【0048】
また、吸気側の保持部70の中心軸線L6と吸気側の締結部28,30,32の中心軸線L4とは、平面視で軸線方向A2に平行な直線上にほぼ位置し、同様に排気側の保持部71の中心軸線L7と排気側の締結部29,31,33の中心軸線L4とは、平面視で軸線方向A2に平行な直線上にほぼ位置する。その結果、図5〜図7に示されるように、各カムホルダ22〜24の各保持部70,71の保持孔72,73は、軸線方向A2方向から見て、換言すれば直交方向A3で、挿通孔27と重なる位置に設けられる。そして、この実施例では、挿通孔27の直交方向A3での幅全体が、各保持部70,71、さらには保持孔72,73と重なっている。
【0049】
さらに、これら各保持部70,71は、図5に示されるように、直交方向A3で吸気弁8と排気弁9との間で、かつ中心軸線方向A1でカム軸20とロッカ軸40との間に形成されるスペースに配置される。また、図6,図7を併せて参照すると、カムホルダ22〜24の、中心軸線方向A1での中間位置に設けられた保持部70,71の底壁70c,71cは、保持孔72,73の一部72a,73aに対応する部分を除いて、軸線方向A2に大きく突出してオーバーハングした状態になっている。これにより、保持部70,71は、その真下で、底壁70c,71cとシリンダヘッド1との間に広い空間が形成される形状とされているので、保持部70,71が設けられたことによるカムホルダ22〜24の重量の増加が抑制される。
【0050】
前記動弁装置の構成要素である各ロストモーション機構80は、図5に示されるように、吸気および排気自由ロッカアーム44,45の当接部44f,45fに当接する当接片80aと、一端が当接片80aを保持し、他端が保持部70,71の底壁70c,71cに当接する弾発手段である圧縮コイルばねからなるばね80bとを備える。そして、ロストモーション機構80のばね80bの弾発力により吸気および排気自由ロッカアーム44,45のローラ44a,45aが吸気カム34および排気カム35に接触するように付勢される。
【0051】
図2および図6を参照すると、各カムホルダ22〜24において、保持部70,71が形成された締結部29〜32の中心軸線L4は、平面視で、吸気側の締結部28,30,32の中心軸線L4と排気側の締結部29,31,33の中心軸線L4との軸線方向A2での中央点を通り、かつ直交方向A3と平行な基準直線S1〜S5(基準直線S1〜S5は、この実施例では基準平面H1〜H5上にある)に対して、締結部30,32において保持部70が位置する側とは反対側に、また締結部39,31において保持部71が位置する側とは反対側に、それぞれ所定距離eだけオフセットして位置する。そのため、吸気側の、保持部70が形成された締結部30,32は、対応する基準直線S2〜S5(または基準平面H2〜H5)に対して、右方にオフセットし、排気側の、保持部71が形成された締結部29,30は、対応する基準直線S1〜S4(または基準平面H1〜H5)に対して左方にオフセットするので、各シリンダC1〜C4においては、隣接する2つの基準平面H1,H2;H2,H3;H3,H4;H4,H5間の設定距離に対して、オフセットされた分、両保持部70,71の軸線方向A2での間隔を大きくすることができる。
【0052】
また、挿通孔27の中心軸線L4と平行な中心軸線L6,L7を有する円筒状の各保持部70,71は、ボルトB2の締付け方向、すなわちボルトB2の中心軸線の方向または中心軸線方向A1に沿ってほぼ平行に延びる側壁70a,71aを有する。これにより、各保持部70,71は、中心軸線方向A1での全長に渡って締結部30,32,29,31とそれぞれ連結され、さらに保持部70,71の外側面70b,71bは中心軸線方向A1とほぼ平行である。
【0053】
しかも、各保持部70,71は、各締結部29〜32から直交方向A3で突出することが殆どない。具体的には、各カムホルダ22〜24において、吸気側の保持部70は、平面視で、第1直線N1と締結部30,32の直交方向A3での側面Fとの交点を通る直線であって、しかも仮想平面P1に平行な吸気側直線N3から直交方向A3に僅かに突出する程度であり、排気側の保持部71は、平面視で、第2直線N2と締結部29,31の直交方向A3での側面Fとの交点F1を通る直線であって、しかも仮想平面P1に平行な排気側直線N4から直交方向A3で突出することがない。ここで、第1直線N1は、平面視で、吸気側の締結部30,32の中心軸線L4を通り直交方向A3と平行な直線であり、第2直線N2は、平面視で、排気側の締結部29,31の中心軸線L4を通り直交方向A3と平行な直線である。
【0054】
それゆえ、仮想平面P1に対して一方の側である排気側において、保持部71の外側面71bの、仮想平面P1から直交方向A3で最も離れた部分71b1は、各カムホルダ22,23の直交方向A3での側面Fの、仮想平面P1から直交方向A3で最も離れた部分F1よりも直交方向A3において仮想平面P1側に配置される。
もちろん、吸気側の保持部70も、排気側の保持部71と同様に、吸気側直線N3から直交方向A3で突出することがないように形成することもできる。さらに、保持部70,71の、仮想平面P1から直交方向A3で最も離れた部分70b1,71b1が、各カムホルダ22,23の側面Fの部分F1と、仮想平面P1から直交方向A3で同じ距離に位置するように、保持部70,71がカムホルダ22〜24に形成されてもよい。
【0055】
また、各カムホルダ22〜24は、直交方向A3で締結部17およびヘッドボルトB1よりも仮想平面P1に近接して位置する。具体的には、各カムホルダ22〜24は、平面視で、吸気側のヘッドボルトB1と排気側のヘッドボルトB1との間、そして吸気側の締結部17と排気側の締結部17との間で、直交方向A3で挟まれた位置にある。そして、平面視で、吸気側の締結部17は、吸気側直線N3に対して直交方向A3での僅かな隙間をおいて、同様に、排気側の締結部17は、排気側直線N4に対して直交方向A3での僅かな隙間をおいて、それぞれ仮想平面P1とは反対側に位置する。
【0056】
一方、各保持部70,71は、平面視で、締結部17およびヘッドボルトB1と重なることがないように配置される。しかも、前述のように、保持部70は、吸気側直線N3に対して締結部17側に直交方向A3で、最大限で僅かに突出するか、または全く突出することがないので、また、保持部71は、排気側直線N4に対して締結部17側に直交方向A3で全く突出することがないので、各保持部70,71は、締結部17およびヘッドボルトB1よりも仮想平面P1側に配置される。
【0057】
そして、締結部29〜32および保持部70,71の直交方向A3での側面において、カムホルダ22〜24の直交方向A3での端部に設けられる締結部29〜32および保持部70,71には、締結部29〜32と保持部70,71との間であって、締結部29〜32および保持部70,71の直交方向A3での側面により凹部74,75がそれぞれ形成され、該凹部74,75は、カムホルダ22〜24の直交方向A3での中央部分に向かって湾曲すると共に、両中心軸線L4,L6または両中心軸線L4,L7に沿って延びる。
【0058】
さらに、各保持部70,71には、その側壁70a,71aから底壁71cに渡って、図5、図7および図8に示されるように、吸気カム34または排気カム35の回転を許容するための切欠部76,77、および弁ばね12,13との干渉を回避するための切欠部78,79が形成される。
【0059】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
車両の発進時等で車両が電動機のみにより駆動される運転時、または車両の減速時等には、油圧制御弁63により、第1作動油路53は連通路59,61を介して前記ドレン油路に連通されて、第1作動油路53の作動油が低油圧となる一方、第2作動油路54は連通路60,62を介して前記高圧油路に連通されて、第2作動油路54の作動油が高油圧となる。その結果、第1油圧室48,49は低油圧となり、第2油圧室50,51は高油圧となって、図4に示される状態から、吸気および排気自由ロッカアーム44,45が、排気カム34,35のベース円部にそれぞれ接触しているときに、第1,第2油圧室48,50;49,51の油圧の差圧により解除ピストン46b,47bが連結ピストン46a,47aを押圧し、連結ピストン46a,47aと解除ピストン46b,47bとの当接面を吸気および排気駆動ロッカアーム42,43と吸気および排気自由ロッカアーム44,45との間にそれぞれ位置させて、吸気および排気駆動ロッカアーム42,43と吸気および排気自由ロッカアーム44,45とが連結解除状態になる。これによって、吸気および排気駆動ロッカアーム42,43の揺動動作が、吸気および排気休止カム36,37のカムプロフィルによりそれぞれ規定されて、各シリンダC1〜C4の吸気弁8および排気弁9は閉弁状態となり、内燃機関は休止運転状態になる。
【0060】
この休止運転状態で、前記クランク軸およびカム軸20は、電動機、車輪からの動力または慣性等により回転させられている。このとき、吸気および排気カム34,35のカムプロフィルによりそれぞれ規定される揺動動作を行う吸気および排気自由ロッカアーム44,45は、吸気弁8および排気弁9に対して自由な状態になっているが、ロストモーション機構80により吸気カム34および排気カム35側にそれぞれ弾発付勢されて、それらカム34,35にそれぞれ接触するので、吸気および排気自由ロッカアーム44,45の暴れや両カム34,35との衝突に起因する異音の発生が防止される。
【0061】
そして、車両が内燃機関による駆動を要する通常運転状態になると、油圧制御弁63により、第1作動油路53は連通路59,61を介して前記高圧油路に連通されて、第1作動油路53の作動油が高油圧となる一方、第2作動油路54は、連通路60,62を介して前記ドレン油路に連通されて、第2作動油路54の作動油が低油圧となる。その結果、第1油圧室48,49は高油圧となり、第2油圧室50,51は低油圧となって、吸気および排気自由ロッカアーム44,45が、吸気および排気カム34,35のベース円部にそれぞれ接触しているときに、第1,第2油圧室48,50;49,51の油圧の差圧により連結ピストン46a,47aが解除ピストン46b,47bを押圧し、図4に示されるように、連結ピストン46a,47aと解除ピストン46b,47bとの当接面をガイド孔46e,47e内に位置させて、吸気および排気駆動ロッカアーム42,43と吸気および排気自由ロッカアーム44,45とが連結状態になる。これによって、吸気および排気駆動ロッカアーム42,43の揺動動作が吸気および排気カム34,35のカムプロフィルにより規定されて、吸気弁8および排気弁9は、所定の開閉時期およびリフト量で開閉される。
【0062】
そして、ロストモーション機構80を保持する保持部70,71は、シリンダヘッド1に平面視で直交方向A3に離隔して設けられた1対の締結部28,29;30,31;32,33にて締結されて前記動弁装置の構成要素であるカム軸20およびロッカ軸40を支持するカムホルダ22〜24において、保持部70,71の保持孔72,73は、カムホルダ22〜24の直交方向A3に離れて位置する1対の締結部28,29;30,31;32,33の少なくとも一方29〜32に、カムホルダ22〜24をシリンダヘッド1に締結するボルトB2が挿通される挿通孔27と軸線方向A2から見て重なるように形成されることにより、カムホルダ22〜24を直交方向A3で小型化することができるので、直交方向A3で小型化されたシリンダヘッド1へのカムホルダ22〜24の適用が容易となり、その結果、カムホルダ22〜24を備える前記動弁装置を備える内燃機関を小型化することができる。
【0063】
また、保持部70,71がカムホルダ22〜24の締結部29〜32に一体に形成されることにより、カムホルダ22〜24には保持部70,71を形成するための補強部は不要であることから、その分だけカムホルダ22〜24を軽量化でき、ひいては内燃機関を軽量化できる。しかも、保持部70,71が一体に形成される締結部29〜32は、カムホルダ22〜24がボルトB2によりシリンダヘッド1に締結される部分であるため、吸気および排気カム34,35により押圧される吸気および排気自由ロッカアーム44,45からロストモーション機構80を介して保持部70,71に作用する荷重により、保持部70,71が形成される締結部29〜32に生じる変形は極めて小さく、一定の方向に安定した弾発力を吸気および排気自由ロッカアーム44,45に作用させることができる。特に、保持部70の中心軸線L6と締結部30,32の中心軸線L4とは、平面視で軸線方向A2に平行な直線上にほぼ位置し、保持部71の中心軸線L7と締結部29,31の中心軸線L4とは、平面視で軸線方向A2に平行な直線上にほぼ位置することにより、ボルトB2により締め付けられる締結部29〜32の剛性を効果的に活用することができるので、保持孔72,73に収容されたロストモーション機構80を安定して保持することができる。このように、カムホルダ22〜24に保持部70,71を形成したために、保持部70,71を支持するための剛性を高める補強部を形成する必要性、例えば該カムホルダ22〜24に厚肉部を形成したり、補強リブを形成する必要性は殆どなく、この点でも、カムホルダ22〜24が小型軽量化され、ひいては内燃機関が小型軽量化される。しかも、締結部29〜32については、保持部70,71が一体に形成されることで、締付け剛性がさらに高くなり、カムホルダ22〜24を大きな締付け力で強固にシリンダヘッド1に固定することができる。
【0064】
吸気および排気駆動ロッカアーム42,43と吸気および排気自由ロッカアーム44,45からなる4つのロッカアームを挟んで設けられて、軸線方向A2に隣接する2つのカムホルダ22,23;23,23;23,24において、保持部70,71が形成された締結部29〜32のボルトB2の中心軸線、すなわち中心軸線L4が、基準直線S1〜S5に対して、保持部70,71とは反対側に位置するため、その分、保持部70,71と対向するカムホルダ22〜24との軸線方向A2での間隔を大きくすることができ、さらには両保持部70,71の軸線方向A2での間隔を大きくできるので、隣接するカムホルダ22,23;23,23;23,24間の軸線方向A2での間隔を大きくすることなく、すなわちシリンダヘッド1の軸線方向A2での幅が大きくなることなく、シリンダヘッド1の小型軽量化を維持したうえで、4つのロッカアーム42〜45を配置するための十分な間隔が確保される。
【0065】
直交方向A3に離隔する1対の締結部28,29;30,31;32,33にてボルトB2によりシリンダヘッド1に締結されたカムホルダ22〜24において、保持部70,71は、締結部17およびヘッドボルトB1よりも仮想平面P1側に配置されて、締結部17およびヘッドボルトB1よりも仮想平面P1に近接した部位から軸線方向A2に突出して形成されることにより、保持部70,71が直交方向A3に突出することが回避または極力抑制されるので、直交方向A3で小型化されたシリンダヘッド1、したがってヘッドボルトB1の直交方向A3での仮想平面P1までの距離がより短くなるシリンダヘッド1へのカムホルダ22〜24の適用が容易となり、その結果、カムホルダ22〜24を備える前記動弁装置を備える内燃機関を小型化することができる。このとき、各保持部70,71は、中心軸線方向A1から見て、締結部17およびヘッドボルトB1と重なることがないように配置されることにより、各保持部70,71が、ヘッドボルトB1の挿通孔16への挿入および抜き取りの邪魔することがないので、ヘッドボルトB1の着脱性がよい。
【0066】
仮想平面P1の一方の側である排気側において、保持部71の外側面71bの、仮想平面P1から直交方向A3で最も離れた部分71b1は、カムホルダ22〜24の側面Fの、仮想平面P1から直交方向A3で最も離れた部分F1よりも直交方向A3において仮想平面P1側に位置することにより、保持部71が直交方向A3で中心軸線L1、すなわち仮想平面P1に一層近接した位置に設けられて、カムホルダ22〜24を直交方向A3で一層小型化することができるので、直交方向A3で一層小型化されたシリンダヘッド1へのカムホルダ22〜24の適用が容易となり、その結果、カムホルダ22〜24を備える前記動弁装置を備える内燃機関を一層小型化することができる。
【0067】
吸気および排気自由ロッカアーム44,45は、それぞれ軸線方向A2でカムホルダ22〜24の近くに配置されることから、吸気および排気自由ロッカアーム44,45を弾発付勢するロストモーション機構80が保持される保持部70,71の、カムホルダ22〜24からの軸線方向A2での突出量は小さくてすむので、この点でも、カムホルダ22〜24が小型軽量化され、ひいては内燃機関が小型軽量化される。
【0068】
保持部70,71の側壁70a,71aは、ボルトB2の締付け方向に沿って延びるように形成されるため、保持部70,71の中心軸線方向A1の全長に渡って締結部28と結合されるので、その連結範囲を締付け方向に大きく設定することができ、保持部70,71に作用する荷重によるカムホルダ22〜24の変形量が一層小さくなり、その分保持部70,71周辺の締結部29〜32の剛性を高める必要がないので、カムホルダ22〜24が小型軽量化され、ひいては内燃機関が小型軽量化される。しかも、締結部29〜32については、保持部70,71が形成されることでさらに締付け剛性が高くなる。
【0069】
中間カムホルダ23には、カム軸20およびロッカ軸40を挟む位置で吸気側の締結部30 および排気側の締結部 31にそれぞれ保持部70,71が形成され、吸気および排気カム34,35により押圧される吸気および排気自由ロッカアーム44,45から各保持部70,71に作用する荷重が、カムホルダ23の、カム軸20およびロッカ軸40を挟んで直交方向A3で離隔した位置に、しかも軸線方向A2での両側でそれぞれ作用するため、カムホルダ23に作用する荷重の作用点が分散されて、該荷重により発生する応力が低減されるので、カムホルダ23の強度設計が容易になり、しかもカムホルダ23の耐久性が向上する。
【0070】
締結部30,32と保持部70との間および締結部29,31と保持部71との間に凹部74,75がそれぞれ形成され、さらに保持部70,71には、吸気カム34および排気カム35との干渉を回避するための切欠部76,77、および弁ばね12,13との干渉を回避するための切欠部78,79が形成されているので、カムホルダ22〜24が軽量化され、ひいては内燃機関が軽量化される。
【0071】
各カムホルダ23,24の左側に形成される吸気側の保持部70の保持孔72の一部72aが、カムホルダ23,24の左側面23a,24aよりも右側面23b,24b寄りに位置し、各カムホルダ22,23の右側に形成される排気側の保持部71の保持孔73の一部73aが、カムホルダ22,23の右側面22b,23bよりも左側面22a,23a寄りに位置するので、各カムホルダ23,24の左側面23a,24aから軸線方向A2に左方に突出する保持部70および各カムホルダ22,23の右側面22b,23bから軸線方向A2に右方に突出する保持部70の突出量が抑制されて、カムホルダ22〜24の、軸線方向A2での幅が小さくなって、カムホルダ22〜24が軽量化され、さらにシリンダヘッド1の軸線方向での幅が小さくなって、シリンダヘッド1が小型軽量化されて、ひいては内燃機関が小型軽量化される。
【0072】
保持部70,71に、吸気カム34および排気カム35の回転を許容する切欠部76,77、および弁ばね12,13との干渉を回避するための切欠部78,79がそれぞれ形成されることで、保持部70,71を吸気カム34および排気カム35、さらには弁ばね12,13に、極力近接して配置させることができ、これによって、隣接するカムホルダ22,23;23,23;23,24間の軸線方向A2での間隔が極めて小さくなり、シリンダヘッド1の軸線方向A2での幅が小さくなって、シリンダヘッド1が小型軽量化される。
【0073】
吸気側のロッカアーム42,44および排気側のロッカアーム43,45が共通の1本のロッカ軸40に揺動自在に支持されることにより、ロッカ軸40から直交方向A3に、ロストモーション機構80および保持部70,71を配置することができる広いスペースが確保されるので、ロストモーション機構80および保持部70,71の直交方向A3での配置の自由度が大きくなる。そして、ロッカ軸40がカム軸20の真上に位置することにより、この直交方向A3に形成されるスペースを利用して、ロストモーション機構80および保持部70,71を、直交方向A3でカム軸20に近接した位置に設けることができるので、カムホルダ22〜24を直交方向A3で小型化できる。
【0074】
しかも、保持部70,71は、直交方向A3で吸気弁8と排気弁9との間で、かつ中心軸線方向A1でカム軸20とロッカ軸40との間に形成されるスペースを活用して配置されると共に、切欠部76,77および切欠部78,79が保持部70,71に形成されることで、保持部70,71がカムホルダ22〜24に形成されることによるシリンダヘッド1の直交方向A3での幅が増加することが抑制されて、直交方向A3でのシリンダヘッド1、さらには前記動弁室の幅を小さくするために、1本のカム軸20および1本のロッカ軸40を備える前記動弁装置を備えた内燃機関をコンパクトに維持できる。さらに、各保持部70,71は締結部29〜33から、直交方向A3で殆ど突出することがないか、全く突出しないので、この点でも、前記スペースに保持部70,71がコンパクトに配置される。
【0075】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
凹部74,75は、カムホルダ22〜24の直交方向A3での前記中央部分に向かって湾曲すると共に、中心軸線L4〜L7に沿って延びているため、締結部29〜32および保持部70,71の直交方向A3での外方に、該凹部74,75により前記中央部分に向かってスペースが形成される。そこで、該スペースを利用することにより、例えば、図9に示されるように、ヘッド締結部である締結部17′およびカムホルダ23を直交方向A3で相互に近接させて、締結部17′の一部を、締結部31および保持部71の直交方向A3で外側面71bに接する仮想平面P2よりも仮想平面P1に近い位置に配置することが可能となり、他のヘッド締結部およびカムホルダも同様の配置とすることによって、直交方向A3での該カムホルダ22〜24の所要の幅を確保したうえで、シリンダヘッド1を直交方向A3で小型化することができる。
【0076】
前記実施例では、内燃機関は、ハイブリッドエンジン用のものであったが、内燃機関のみを駆動源とする車両に使用することもできる。そして、その場合には、多気筒内燃機関の一部のシリンダが休止状態にされ、カムホルダは、休止されるシリンダを挟んで隣接するカムホルダのみが、保持部70,71を有する保持部付きカムホルダとされ、残りのカムホルダは保持部70,71が形成されないものとされ、しかも休止されないシリンダに対応するロッカアームは、連結切換機構を備えていないものとされて、吸気駆動ロッカアームおよび排気駆動ロッカアームは、吸気カムおよび排気カムによりそれぞれ開弁駆動される。
【0077】
前記実施例では、吸気および排気駆動ロッカアーム42,43は吸気および排気休止カム36,37と接触するようにされたが、吸気および排気駆動ロッカアームが、所定の開閉時期およびリフト量で吸気弁または排気弁を開弁させるカムプロフィルを有する低速用カムに接触し、吸気および排気自由ロッカアームが、該低速用カムよりも早い時期に開弁すると同時に遅い時期に閉弁する開閉時期で、低速用カムよりも大きなリフト量で吸気弁または排気弁を開弁させるカムプロフィルを有する高速用カムに接触するようにしてもよい。
【0078】
前記動弁装置は、1本のロッカ軸40を備えるものであったが、吸気ロッカアームが支持される吸気ロッカ軸および排気ロッカアームが支持される排気ロッカ軸の2本のロッカ軸を備えるSOHC型の動弁装置であってもよく、さらに吸気カム軸および排気カム軸の2本のカム軸を備えるDOHC型の動弁装置であってもよい。さらに、保持部70,71が形成されるホルダは、カム軸およびロッカ軸のうちのいずれか一方を支持するホルダであってもよい。また、カムホルダは3つ以上の締結部にて締結されてもよく、その場合には、そのうちの2つの締結部が、前述の1対の締結部に対応するものであればよい。
【0079】
前記実施例では、保持部70の中心軸線L6と吸気側の締結部28,30,32の中心軸線L4とは、平面視で軸線方向A2に平行な直線上にほぼ位置し、また保持部71の中心軸線L7と排気側の締結部29,31,33の中心軸線L4とは、平面視で軸線方向A2に平行な直線上にほぼ位置するものであったが、吸気および排気自由ロッカアーム44,45の当接部44f,45fの位置に応じて、中心軸線L6は、吸気側の締結部28,30,32の中心軸線L4よりもロッカ軸40の中心軸線L5に近い位置または遠い位置にあってもよく、同様に中心軸線L7は、排気側の締結部29,31,33の中心軸線L4よりもロッカ軸40の中心軸線L5に近い位置または遠い位置にあってもよい。
【0080】
前記実施例では、付勢部材は、吸気および排気自由ロッカアーム44,45を吸気および排気カム34,35側に付勢するロストモーション機構80であったが、駆動ロッカアームと吸気弁または排気弁との間のタペットクリアランスがゼロとなるように、ばねの弾発力を利用した付勢部材が、該駆動ロッカアームを吸気弁側または排気弁側に弾発付勢するようにすることもできる。そして、この場合にも、該駆動ロッカアームから付勢部材を介して付勢部材を保持する保持部に作用する荷重は、ロストモーション機構のそれに比べて小さいものの、前記実施例と同様の効果が奏される。
【0081】
前記実施例では、吸気および排気駆動ロッカアーム42,43および吸気および排気自由ロッカアーム44,45は、それらに設けられたローラ42a〜45aが、対応するカム34〜37に接触するローラ式のものであったが、駆動ロッカアームおよび自由ロッカアームの少なくともいずれか一方は、ローラの代わりにスリッパが対応するカムに接触するスリッパ式のものであってもよい。さらに、前記実施例では、内燃機関は、シリンダ毎に1つの吸気弁8および1つの排気弁9を有するものであったが、1つのシリンダに複数の吸気弁または複数の排気弁を有する内燃機関であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る頭上カム軸型動弁装置の縦断面図であり、図2のI−I線断面図である。
【図2】シリンダヘッドの平面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図5の、吸気ロッカアームおよび排気ロッカアームのそれぞれについてのIV−IV線断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図2の部分拡大図である。
【図7】カムホルダの側面図である。
【図8】図7のカムホルダの下面図である。
【図9】ヘッド締結部とカムホルダとの配置を変更した実施例の部分平面図である。
【符号の説明】
1…シリンダヘッド、2…燃焼室、3…吸気ポート、4…排気ポート、5…装着部、6,7…収容筒、8…吸気弁、9…排気弁、10,11…弁ガイド、12,13…弁ばね、
16…挿通孔、17,17′…締結部、
20…カム軸、21…カムギヤ、22〜24…カムホルダ、25…軸受孔、26…ねじ孔、27…挿通孔、28〜33…締結部、34〜37…カム、40…ロッカ軸、41…挿通孔、42,43…駆動ロッカアーム、44,45…自由ロッカアーム、46,47…連結切換機構、48〜51…油圧室、52…パイプ、53,54…作動油路、55〜62…連通路、63…油圧制御弁、
70,71…保持部、72,73…保持孔、74,75…凹部、76〜79…切欠部、80…ロストモーション機構、
C1〜C4…シリンダ、L1,L3〜L7…中心軸線、L2…回転軸線、A1…中心軸線方向、A2…軸線方向、B1〜B3…ボルト、P1,P2…仮想平面、H1〜H5…基準平面、S1〜S5…基準直線、N1〜N4…直線、e…所定距離、F…側面。
Claims (8)
- シリンダを有する内燃機関のシリンダヘッドに設けられる複数のホルダに支持される軸部材と、ロッカ軸に揺動自在に支持されて機関弁を開弁駆動するロッカアームと、カム軸に設けられて前記ロッカアームの揺動動作を規定するカムと、前記ロッカアームを前記カム側または前記機関弁側に付勢する付勢部材とを備える内燃機関の頭上カム軸型動弁装置において、
前記複数のホルダの少なくとも1つは、平面視で前記ロッカ軸の軸線方向と直交する直交方向に離隔する2つの締結部にて、該締結部に形成された挿通孔に挿通される締付け部材により前記シリンダヘッドに締結され、しかも前記付勢部材が収容される保持孔が形成された保持部が前記2つの締結部の少なくとも一方の締結部に一体に形成される保持部付きホルダであり、前記保持孔は前記軸線方向から見て前記挿通孔と重なることを特徴とする内燃機関の頭上カム軸型動弁装置。 - 前記ロッカアームは、前記軸線方向で隣接する2つの前記ホルダの間に配置され、該2つのホルダの少なくとも一方のホルダは前記保持部付きホルダであり、前記一方のホルダにおける前記一方の締結部の締付け部材の中心軸線は、前記平面視で前記一方の締結部の締付け部材の中心軸線と前記2つの締結部の他方の締結部の締付け部材の中心軸線との前記軸線方向での中央点を通り、かつ前記直交方向と平行な基準直線に対して、前記保持部が位置する側とは反対側に位置することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置。
- シリンダを有する内燃機関のシリンダヘッドに設けられる複数のホルダに支持される軸部材と、ロッカ軸に揺動自在に支持されて吸気弁または排気弁からなる機関弁を開弁駆動すべく該機関弁に連動連結される駆動ロッカアームと、前記ロッカ軸に揺動自在に支持されて前記機関弁に対して自由になり得る自由ロッカアームと、カム軸に設けられて前記駆動ロッカアームおよび前記自由ロッカアームの揺動動作をそれぞれ規定するカムと、前記駆動ロッカアームと前記自由ロッカアームとの連結および連結解除を切換可能な連結切換機構と、前記自由ロッカアームを前記カム側に付勢する付勢部材とを備えた内燃機関の頭上カム軸型動弁装置において、
前記複数のホルダの少なくとも1つは、平面視で前記ロッカ軸の軸線方向と直交する直交方向に離隔する2つの締結部にて締付け部材により前記シリンダヘッドに締結され、しかも前記付勢部材を保持する保持部が、前記シリンダヘッドをシリンダブロックに締結するヘッド締付け部材よりも前記シリンダの中心軸線を含みかつ前記直交方向に直交する仮想平面側に配置され、前記軸線方向に突出して一体に形成される保持部付きホルダであることを特徴とする内燃機関の頭上カム軸型動弁装置。 - 前記保持部の側壁は、前記締付け部材の締付け方向に沿って延びることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置。
- 前記2つの締結部には前記軸部材を挟む位置にそれぞれ前記保持部が形成され、一方の前記保持部は前記軸線方向で前記ホルダの一側に位置し、他方の前記保持部は前記軸線方向で前記ホルダの他側に位置することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置。
- 前記締結部と前記保持部との間に凹部が設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置。
- 前記保持部は、前記保持部付きホルダにおいて前記2つの締結部の間にある前記軸線方向での両側面の一方の側面から前記軸線方向に突出しており、前記保持部に形成されて付勢部材が収容される保持孔の一部は、前記軸線方向で前記一方の側面よりも他方の側面寄りに位置することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置。
- 前記シリンダの中心軸線を含みかつ前記直交方向に直交する仮想平面の一方の側において、前記保持部の外側面の、前記仮想平面から前記直交方向で最も離れた部分は、前記保持部付きホルダの側面の、前記仮想平面から前記直交方向で最も離れた部分よりも前記直交方向において前記仮想平面側に位置することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の内燃機関の頭上カム軸型動弁装置。
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