JP4058382B2 - クローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法 - Google Patents

クローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4058382B2
JP4058382B2 JP2003154866A JP2003154866A JP4058382B2 JP 4058382 B2 JP4058382 B2 JP 4058382B2 JP 2003154866 A JP2003154866 A JP 2003154866A JP 2003154866 A JP2003154866 A JP 2003154866A JP 4058382 B2 JP4058382 B2 JP 4058382B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylinder
cylinder sleeve
block
manufacturing
water jacket
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003154866A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004353617A (ja
Inventor
俊秀 砂田
泰 伊勢田
雅紀 小杉
和心 長尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2003154866A priority Critical patent/JP4058382B2/ja
Priority to US10/543,680 priority patent/US7392771B2/en
Priority to PCT/JP2004/000745 priority patent/WO2004074667A1/ja
Priority to EP04705919A priority patent/EP1630395A4/en
Priority to CN200480002999.8A priority patent/CN1745238B/zh
Publication of JP2004353617A publication Critical patent/JP2004353617A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4058382B2 publication Critical patent/JP4058382B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォータジャケット部のガスケット面側端部が閉塞されたクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の内燃機関を構成するシリンダブロックの1種として、図8に示すように、ウォータジャケット部1のガスケット面2側が閉塞されているクローズドデッキ型シリンダブロック3が挙げられる。クローズドデッキ型シリンダブロック3には、ブロック本体4の肉厚が同一であれば、ウォータジャケット部のガスケット面側が開放されているオープンデッキ型シリンダブロックに比して剛性が高いという利点がある。
【0003】
クローズドデッキ型シリンダブロック3の場合、ウォータジャケット部1は、容易に崩壊させることが可能な中子、いわゆる崩壊性中子を用いて重力鋳造(GDC)や低圧鋳造(LPDC)にて形成される。
【0004】
その一方で、内燃機関においては、ボア穴5の内部でピストン(図示せず)が往復動作する。このため、ボア穴5には、耐摩耗性に優れる素材からなるシリンダスリーブ6、例えば、いわゆるFCスリーブやMMCスリーブ等を挿入し、該シリンダスリーブ6の側周壁部にピストンの側周壁部を摺接させるようにしている。耐摩耗性に優れる他の素材としては、いわゆるハイシリコン系アルミニウムが例示される。
【0005】
このようなクローズドデッキ型シリンダブロック3を製造する場合、まず、鋳造用金型によって形成されるキャビティに崩壊性中子やシリンダスリーブ6等を配置しておき、この状態で溶湯をキャビティに注湯して、該溶湯で崩壊性中子やシリンダスリーブ6等を囲繞する。
【0006】
次に、溶湯を冷却固化することによってブロック本体4を設ける。この冷却固化に伴って、シリンダスリーブ6が鋳込まれる。
【0007】
その後、前記崩壊性中子を崩壊させる。この崩壊によって得られた中空部が、ウォータジャケット部1となる。すなわち、この場合、ウォータジャケット部1は、ブロック本体4に設けられる。
【0008】
ところで、近年では、地球温暖化を防止するために、省エネルギの観点から自動車等の燃費を向上させることが希求されている。その方策として、内燃機関等を軽量化することにより、最終製品である自動車を軽量化することが提案されている。
【0009】
このような観点から、摩擦撹拌接合(例えば、特許文献1および2参照)が着目されている。摩擦撹拌接合によれば、例えば、アルミニウムからなるブロック本体4と、ハイシリコン系アルミニウムからなるシリンダスリーブ6とを接合する場合等、接合対象が異種金属同士であっても容易に接合させることができるからである。
【0010】
すなわち、例えば、高圧鋳造(HPDC)によって肉厚の薄いブロック本体4を作製し、該ブロック本体4にシリンダスリーブ6を接合することによって、小型かつ軽量なクローズドデッキ型シリンダブロック3を得ることができると考えられる。しかも、HPDCでは崩壊性中子を使用する必要がないので、コストを低減することができるという利点もある。
【0011】
摩擦撹拌接合は、一般的には以下のようにして遂行される。まず、回転動作する摩擦撹拌接合用工具を、ワークに埋没させた後に接合対象である突き合わせ部に移動させ、さらに、該突き合わせ部に沿って変位させる。この変位に伴って、突き合わせ部の肉が摩擦熱にて軟化するとともに、摩擦撹拌接合用工具によって撹拌される。その結果、突き合わせ部が固相接合される。その後、摩擦撹拌接合用工具がワークから離脱される。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−176658号公報(図1)
【特許文献2】
特開2000−42759号公報(図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
シリンダブロックのさらなる小型化・軽量化を図るためには、例えば、ブロック本体とシリンダスリーブとの間に間隙を形成し、該間隙をウォータジャケット部とすることが想起される。この場合、上記のようにブロック本体4に中空部を設け、該中空部をウォータジャケット部1とする場合と異なり、ブロック本体にシリンダスリーブを鋳包む部位が不要となるからである。
【0014】
しかしながら、上記から諒解されるように、摩擦撹拌接合においては、突き合わせ部が接合される。このため、ブロック本体とシリンダスリーブとを接合する場合には、ブロック本体とシリンダスリーブとを密着させて突き合わせ部を設ける必要がある。換言すれば、ブロック本体とシリンダスリーブとを摩擦撹拌接合にて接合しようとする場合、ブロック本体とシリンダスリーブとを密着させる必要があるので、両者間にウォータジャケット部を設けることは困難である。
【0015】
すなわち、クローズドデッキ型シリンダブロックの小型化・軽量化を図るべくブロック本体とシリンダスリーブとの間にウォータジャケット部を設けた場合、摩擦撹拌接合を遂行することが著しく困難となるという不具合を招く。
【0016】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、肉厚が薄くかつ剛性に優れたクローズドデッキ型シリンダブロックを低廉な製造コストで得ることが可能なクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、ブロック本体とシリンダスリーブとの間の間隙にウォータジャケット部が形成され、かつ前記ウォータジャケット部のガスケット面側端部が閉塞されたクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法であって、
直径方向に窪んだ段部と、前記シリンダスリーブの一端面を載置するための載置部を有する穴部が設けられたブロック本体を作製する工程と、
前記穴部に前記シリンダスリーブを挿入し、該シリンダスリーブの一端面を前記載置部に載置するとともに、該シリンダスリーブの外周壁部と前記段部との間に前記ウォータジャケット部を形成する工程と、
互いに略直交し且つ互いに独立して回転自在な第1回転体及び第2回転体を具備する摩擦撹拌接合用工具を、前記シリンダスリーブの軸線方向と前記第1回転体の軸線方向とが平行となるように前記シリンダスリーブに挿入した後、前記第1回転体を前記シリンダスリーブの円周方向に沿って回転動作させながら、回転動作させた前記第2回転体の先端部で前記シリンダスリーブと前記穴部の内周壁部の肉を塑性流動させることで前記シリンダスリーブと前記穴部の内周壁部とを摩擦撹拌接合することによってシリンダブロックを得る工程と、
を有することを特徴とする。
【0018】
すなわち、本発明においては、シリンダスリーブを挿入する穴部に同心円状に拡径された段部を設け、該段部とシリンダスリーブとの間に形成される間隙をウォータジャケット部とするようにしている。このため、従来技術に係るシリンダブロックのようにブロック本体に中空部を設け、該中空部をウォータジャケット部とする必要がないので、ブロック本体にシリンダスリーブを鋳包む部位が不要となる。
【0019】
しかも、この場合、シリンダスリーブやブロック本体の切削加工量が著しく低減する。その結果、クローズドデッキ型シリンダブロックの素材コスト、ひいては製造コストを低廉化することができる。
【0020】
しかも、本発明においては、ブロック本体にウォータジャケット部となる中空部を設ける必要がない。このため、肉厚が薄くかつ軽量なクローズドデッキ型シリンダブロックを得ることができる。
【0021】
さらに、ブロック本体とシリンダスリーブとを摩擦撹拌接合で接合するので、両者が互いに異種の金属材からなる場合であっても、強固に接合することができる。その結果、得られたクローズドデッキ型シリンダブロックは、強度かつ剛性に優れたものとなる。
【0022】
いずれにおいても、さらに、穴部に挿入されたシリンダスリーブのガスケット面側端面と、ブロック本体のガスケット面とを摩擦撹拌接合するようにすることが好ましい。これによりブロック本体とシリンダスリーブとの接合強度が向上するので、クローズドデッキ型シリンダブロックの強度および剛性を一層向上させることができる。
【0023】
なお、クローズドデッキ型シリンダブロックが多気筒のものである場合、シリンダスリーブの外周壁部に平坦面を設け、穴部内で隣接するシリンダスリーブ同士を、前記平坦面を介して当接させるようにすることが好ましい。これにより、隣接するシリンダスリーブ同士の間の間隔が小さくなるので、肉厚が一層薄く軽量なクローズドデッキ型シリンダブロックを得ることができる。
【0024】
この場合、シリンダスリーブの直径方向に窪んでウォータジャケット部として機能する凹部を設けるようにしてもよい。これにより、隣接するシリンダスリーブ同士の間の間隔を大きくすることなく、換言すれば、肉厚を大きくすることなくクローズドデッキ型シリンダブロックの冷却効率を向上させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
まず、その概略斜視一部切欠図を図1に示すブロック本体10を作製する。
【0027】
図1から諒解されるように、ブロック本体10には、図2に示すシリンダスリーブ12a〜12dを挿入するための穴部14が設けられており、該穴部14の下方には、連環状段部16が設けられている。また、この穴部14には、直径方向に窪んだ段部18が設けられている。すなわち、穴部14と段部18は、同心円状に設けられている。なお、図1中、参照符号20、22は、それぞれ、ジャーナル部、ガスケット面を示す。
【0028】
このブロック本体10は、例えば、アルミニウムの溶湯を使用してのHPDCによって作製することができる。この際、鋳造用金型のキャビティに崩壊性中子を配置する必要はない。
【0029】
なお、段部18は、HPDCを行う際に穴部14と同時に設けるようにしてもよいし、HPDCで穴部14のみを形成した後、該穴部14の内周壁部の一部を切り欠くことによって設けるようにしてもよい。
【0030】
その一方で、図2に示すシリンダスリーブ12a〜12dを作製する。このうち、シリンダスリーブ12a、12dは、例えば、ハイシリコン系アルミニウムからなるワークに対して押し出し成形や鋳造成形等の公知の成形法を施すことによって円筒体を設け、次に、該円筒体における側周壁部の一部を切り欠いて平坦面24a、24dをそれぞれ設けることによって作製される。
【0031】
そして、平坦面24a、24dに、シリンダスリーブ12a、12dの各直径方向に窪んだ凹部26a、26dが設けられる。
【0032】
残余のシリンダスリーブ12b、12cは、シリンダスリーブ12a、12dにおける平坦面24a、24dと同様の平坦面24b、24cが設けられた後、該平坦面24b、24cから180°周回した位置にさらに平坦面28b、28cが設けられることによって作製される。勿論、これら平坦面24b、24c、28b、28cにも、凹部26b、26c、30b、30cがそれぞれ設けられる。
【0033】
次に、図3に示すように、これらシリンダスリーブ12a〜12dをブロック本体10の穴部14に挿入する。この際、挿入されたシリンダスリーブ12a〜12dの下端部は、連環状段部16の下方に設けられた段部(載置部)に載置される。これによりシリンダスリーブ12a〜12dが下方から堅牢に支持される。
【0034】
穴部14に挿入されたシリンダスリーブ12a〜12dにおける長手方向各端部の外周壁部は、該穴部14の内周壁部に当接する。また、シリンダスリーブ12aの平坦面24aには、シリンダスリーブ12bの平坦面28bが当接する。同様に、シリンダスリーブ12bの平坦面24bにはシリンダスリーブ12cの平坦面28cが、シリンダスリーブ12cの平坦面24cにはシリンダスリーブ12dの平坦面24dがそれぞれ当接する。
【0035】
また、シリンダスリーブ12a、12dにおける中腹部の外周壁部と段部18とが離間するとともに、隣接するシリンダスリーブ12aと12b、12bと12c、12cと12dとの間に凹部26aと30b、26bと30c、26cと26dとが離間することにより、互いに連通する間隙が形成される。この間隙がウォータジャケット部32となる。
【0036】
このように、本実施の形態においては、穴部14にシリンダスリーブ12a〜12dを挿入することに伴ってウォータジャケット部32が形成される。
【0037】
次に、ブロック本体10と、穴部14に挿入されたシリンダスリーブ12a〜12dとを摩擦撹拌接合して両部材10、12a〜12dを接合一体化する。すなわち、まず、穴部14の内周壁部と、シリンダスリーブ12a〜12dの外周壁部とを摩擦撹拌接合する。
【0038】
図4に示すように、摩擦撹拌接合用工具40は、第1回転体42と、該第1回転体42の側周壁部に設けられて第1回転体42とは独立して回転可能な第2回転体44と、該第2回転体44に比して小径でかつ先端が円錐状のプローブ46を備える。このように構成された摩擦撹拌接合用工具40をシリンダスリーブ30a内に挿入するとともに、プローブ46を、該シリンダスリーブ12aの内周壁部に当接させる。この際、プローブ46の位置をウォータジャケット部32よりも下方とする。
【0039】
この状態で第2回転体44を回転付勢すると、プローブ46がシリンダスリーブ12aの内周壁部に摺接することに伴って摩擦熱が発生し、該内周壁部におけるプローブ46の当接箇所が軟化する。その結果、該プローブ46の先端部が埋没する。
【0040】
埋没したプローブ46は、最終的に、シリンダスリーブ12aを通過して穴部14の内周壁部に到達し、これに伴ってシリンダスリーブ12aの外周壁部と穴部14の内周壁部とが摩擦熱によって軟化する。
【0041】
次に、第1回転体42を矢印B方向に回転付勢すると、埋没したプローブ46がシリンダスリーブ12aの円周方向に沿って変位する。このようにしてプローブ46が変位することに伴い、軟化した肉が該プローブ46にて撹拌されて塑性流動した後、該プローブ46が離間することに伴って固相接合する。この現象が逐次的に繰り返されることにより、シリンダスリーブ12aの外周壁部と、穴部14の内周壁部とが接合一体化される。同時に、シリンダスリーブ12aの平坦面24aと、シリンダスリーブ12bの平坦面28bとも接合一体化されるに至る。
【0042】
なお、この際、図3に示すように、シリンダスリーブ12a、12bは、連環状段部16の下方に設けられた前記載置部に載置されていることによって堅牢に支持されている。このため、摩擦撹拌接合を容易に遂行することができる。
【0043】
以下、残余のシリンダスリーブ12b〜12dに対して同様の操作を行えば、隣接するシリンダスリーブ12aと12b、12bと12c、12cと12dが互いに接合され、かつブロック本体10における穴部14の内周壁部とシリンダスリーブ12a〜12dの外周壁部とが接合された4気筒のクローズドデッキ型シリンダブロック50が得られる(図3参照)。このクローズドデッキ型シリンダブロック50は、図3から諒解されるように、ウォータジャケット部32におけるガスケット面22側が閉塞されている。
【0044】
さらに、シリンダスリーブ12a〜12dにおけるガスケット面22側の各端面とガスケット面22とを摩擦撹拌接合によって接合一体化するようにしてもよい。この際には、図5に示すように、回転体51と、プローブ52とを有する摩擦撹拌接合用工具54を使用すればよい。
【0045】
この場合、図6に矢印Aとして示すように、プローブ52を、シリンダスリーブ12a〜12dにおけるガスケット面22側端面の外周縁部と、ブロック本体10との突き合わせ部に沿って変位させる。この変位に伴い、前記外周縁部の肉と、ブロック本体10におけるガスケット面22の肉とが摩擦熱によって軟化するとともに、プローブ52によって撹拌される。その結果、これらの肉同士が固相接合される。
【0046】
次に、隣接するシリンダスリーブ12aと12b、12bと12c、12cと12dのガスケット面22側の各端面同士を摩擦撹拌接合する。この際には、図7の矢印B〜Dに沿ってプローブ52を変位させるようにすればよい。
【0047】
このように、ガスケット面22側において、ブロック本体10とシリンダスリーブ12a〜12d、および隣接するシリンダスリーブ同士の肉を接合一体化することにより、シリンダブロック50の剛性を一層向上させることができる。なお、互いに接合された後の各部材10、12a〜12dとの間には、視認可能な程度に明確な境界線は存在しない。
【0048】
このクローズドデッキ型シリンダブロック50を構成するブロック本体10は、HPDCにて鋳造成形されているので、肉厚が薄い。しかも、図3から諒解されるように、ブロック本体10の段部18とシリンダスリーブ12a〜12dとの間の間隙がウォータジャケット部32となるので、一般的なクローズドデッキ型シリンダブロック3(図8参照)のように、ウォータジャケット部1をブロック本体4の中空部として設ける必要はない。したがって、ブロック本体10の肉厚を薄くすることができるので、クローズドデッキ型シリンダブロック50の体積を小さくすることができる。換言すれば、クローズドデッキ型シリンダブロック50を小型化することができるとともに、軽量化することができる。
【0049】
また、HPDCにおいては、崩壊性中子を使用する必要がない。換言すれば、崩壊性中子を準備する必要もない。このため、崩壊性中子に要するコストが不要となるので、クローズドデッキ型シリンダブロック50の製造コストを低廉化することもできる。
【0050】
そして、本実施の形態によれば、シリンダスリーブ12a〜12dの外周壁部の一部を切断除去するのみであり、ブロック本体10やシリンダスリーブ12a〜12dを大幅に切削除去する必要は特にない。すなわち、廃材の量が著しく少ない。その上、この場合、ブロック本体10を安価なアルミニウムから構成するようにしている。以上の理由から、クローズドデッキ型シリンダブロック50の素材コスト、ひいては製造コストを一層低廉化することができる。
【0051】
しかも、摩擦撹拌接合を採用しているので、クローズドデッキ型シリンダブロック50では、互いに異種の金属であるブロック本体10(アルミニウム)と、シリンダスリーブ12a〜12d(ハイシリコン系アルミニウム)とが堅牢に接合されている。このため、該クローズドデッキ型シリンダブロック50は、高い強度および剛性を示す。
【0052】
さらに、このクローズドデッキ型シリンダブロック50においては、耐摩耗性に優れるハイシリコン系アルミニウムからなるシリンダスリーブ1a〜12dを使用しているので、充分な耐久性が確保される。
【0053】
なお、上記した実施の形態においては、隣接するシリンダスリーブ同士の間にもウォータジャケット部32を設けるようにしているが、必ずしもその必要はなく、ブロック本体10とシリンダスリーブ12a〜12dの各々との間にのみウォータジャケット部32を設けるようにしてもよい。
【0054】
また、シリンダスリーブ12a〜12dを予め溶接等によって接合し、シリンダスリーブ連結体とした後に穴部14に挿入するようにしてもよい。
【0055】
そして、シリンダスリーブ12a〜12dは、ハイシリコン系アルミニウムからなるものに特に限定されるものではない。例えば、その他のアルミニウム合金からなるものであってもよいし、アルミニウムからなるものであってもよい。別の好適な例としては、急冷製造されたアルミニウム粉が焼結されてなるアルミ急冷粉スリーブや、MMCスリーブ等を挙げることができる。
【0056】
一方、ブロック本体10は、アルミニウムからなるものに限定されるものではなく、マグネシウムまたはマグネシウム合金等、他の素材からなるものであってもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法によれば、シリンダスリーブを挿入する穴部に同心円状に拡径された段部を設け、該段部とシリンダスリーブとの間に形成される間隙をウォータジャケット部とするようにしている。このため、廃材の量が著しく少なくなるので、クローズドデッキ型シリンダブロックの素材コスト、ひいては製造コストを低廉化することができるという効果が達成される。
【0058】
しかも、この場合、ブロック本体にウォータジャケット部となる中空部を設ける必要がないので、肉厚が薄くかつ軽量なクローズドデッキ型シリンダブロックを得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クローズドデッキ型シリンダブロックを構成するブロック本体の概略斜視一部切欠図である。
【図2】クローズドデッキ型シリンダブロックを構成するシリンダスリーブの概略全体斜視図である。
【図3】ブロック本体の穴部にシリンダスリーブを挿入した状態を示す要部概略縦断面図である。
【図4】シリンダスリーブに摩擦撹拌接合用工具のプローブを埋没させた状態を示す要部概略縦断面図である。
【図5】ブロック本体のガスケット面と、シリンダスリーブにおけるガスケット面側端部とを摩擦撹拌接合している状態を示す要部概略縦断面図である。
【図6】シリンダスリーブのガスケット面側の端面をブロック本体(ガスケット面)に接合する際の摩擦撹拌接合用工具の変位方向を説明するガスケット面側からの平面説明図である。
【図7】シリンダスリーブのガスケット面側の端面同士を接合する際の摩擦撹拌接合用工具の変位方向を説明するガスケット面側からの平面説明図である。
【図8】一般的なクローズドデッキ型シリンダブロックの要部概略縦断面図である。
【符号の説明】
1、32…ウォータジャケット部 2、22…ガスケット面
3、50…クローズドデッキ型シリンダブロック
4、10…ブロック本体 5…ボア穴
6、12a〜12d…シリンダスリーブ
14…穴部 16…連環状段部
18…段部 24a〜24d、28b、28c…平坦面
26a〜26d、30b、30c…凹部
40、54…摩擦撹拌接合用工具 46、52…プローブ

Claims (4)

  1. ブロック本体とシリンダスリーブとの間の間隙にウォータジャケット部が形成され、かつ前記ウォータジャケット部のガスケット面側端部が閉塞されたクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法であって、
    直径方向に窪んだ段部と、前記シリンダスリーブの一端面を載置するための載置部を有する穴部が設けられたブロック本体を作製する工程と、
    前記穴部に前記シリンダスリーブを挿入し、該シリンダスリーブの一端面を前記載置部に載置するとともに、該シリンダスリーブの外周壁部と前記段部との間に前記ウォータジャケット部を形成する工程と、
    互いに略直交し且つ互いに独立して回転自在な第1回転体及び第2回転体を具備する摩擦撹拌接合用工具を、前記シリンダスリーブの軸線方向と前記第1回転体の軸線方向とが平行となるように前記シリンダスリーブに挿入した後、前記第1回転体を前記シリンダスリーブの円周方向に沿って回転動作させながら、回転動作させた前記第2回転体の先端部で前記シリンダスリーブと前記穴部の内周壁部の肉を塑性流動させることで前記シリンダスリーブと前記穴部の内周壁部とを摩擦撹拌接合することによってシリンダブロックを得る工程と、
    を有することを特徴とするクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法において、さらに、前記穴部に挿入された前記シリンダスリーブのガスケット面側端面と、前記ブロック本体のガスケット面とを摩擦撹拌接合する工程を有することを特徴とするクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法。
  3. 請求項1または2記載の製造方法において、前記シリンダスリーブの外周壁部に平坦面を設け、前記穴部内で隣接する前記シリンダスリーブ同士を、前記平坦面を介して当接させることを特徴とするクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法。
  4. 請求項3記載の製造方法において、前記平坦面に、前記シリンダスリーブの直径方向に窪んでウォータジャケット部として機能する凹部を設けることを特徴とするクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法。
JP2003154866A 2003-01-28 2003-05-30 クローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法 Expired - Fee Related JP4058382B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003154866A JP4058382B2 (ja) 2003-05-30 2003-05-30 クローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法
US10/543,680 US7392771B2 (en) 2003-01-28 2004-01-28 Cylinder block and cylinder sleeve, method of producing cylinder block and cylinder sleeve by friction stir welding, and friction stir welding method
PCT/JP2004/000745 WO2004074667A1 (ja) 2003-01-28 2004-01-28 シリンダブロック及びシリンダスリーブ、摩擦撹拌接合によるシリンダブロック及びシリンダスリーブの製造方法、摩擦撹拌接合方法
EP04705919A EP1630395A4 (en) 2003-01-28 2004-01-28 CYLINDER BLOCK AND CYLINDER SHIRT, PROCESS FOR PRODUCING THE SAME BY FRICTION-MIXING WELDING AND FRICTION-MIXING WELDING PROCESS
CN200480002999.8A CN1745238B (zh) 2003-01-28 2004-01-28 通过搅拌摩擦焊制造气缸体和气缸套的方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003154866A JP4058382B2 (ja) 2003-05-30 2003-05-30 クローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004353617A JP2004353617A (ja) 2004-12-16
JP4058382B2 true JP4058382B2 (ja) 2008-03-05

Family

ID=34049404

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003154866A Expired - Fee Related JP4058382B2 (ja) 2003-01-28 2003-05-30 クローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4058382B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018009545A (ja) * 2016-07-15 2018-01-18 日野自動車株式会社 オイルパン

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004353617A (ja) 2004-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9216474B2 (en) Two-piece friction-welded piston
JP2007270812A (ja) 内燃機関用ピストン
JP6454782B2 (ja) 内燃機関の製造方法、内燃機関および連結シリンダ
JP6452052B2 (ja) 完全なスカートを伴う二重溶接された鋼ピストン
US7392771B2 (en) Cylinder block and cylinder sleeve, method of producing cylinder block and cylinder sleeve by friction stir welding, and friction stir welding method
KR20140108586A (ko) 방열용 피스톤 핀
EP1322852A1 (en) Piston for internal combustion engine
JP4113437B2 (ja) シリンダスリーブ
JP4058382B2 (ja) クローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法
JP3737999B2 (ja) クローズドデッキ型シリンダブロックおよびその製造方法
JP4074523B2 (ja) クローズドデッキ型シリンダブロック用シリンダスリーブおよびクローズドデッキ型シリンダブロックの製造方法
JP3796473B2 (ja) クローズドデッキ型シリンダブロックおよびその製造方法
EP1769865B1 (en) Iron species preform
KR101449304B1 (ko) 자동차 엔진용 피스톤의 제조 방법
JP4262524B2 (ja) クローズドデッキ型シリンダブロック用シリンダスリーブの製造方法
EP1457658B1 (en) Bearing member manufacturing method
JP4427368B2 (ja) 摩擦撹拌接合方法及びその装置
US8590502B2 (en) Method for the production of a cylinder crankcase having multiple cylinder liners and short cylinder liner with a material strip affixed thereto
JP2004261813A (ja) 摩擦撹拌接合方法
JP2011226601A (ja) クランクシャフト及びその製造方法
JP2004261814A (ja) 摩擦撹拌接合方法
JP2004116483A (ja) 多気筒クローズドデッキ型シリンダブロックおよびその製造方法
JP2004351505A (ja) シリンダブロックの製造方法
JP2004116480A (ja) クローズドデッキ型シリンダブロック
JP2004261815A (ja) 摩擦撹拌接合方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051205

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070417

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070614

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070710

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070910

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20071031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101221

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101221

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111221

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111221

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121221

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees