JP4057021B2 - 骨組織の状態を判断する方法ならびに画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents
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Description
本発明はまた、磁気共鳴イメージング用の造影剤が、ガドリニウム製剤である、前記の方法に関する。さらに本発明は、骨組織が関節軟骨組織である、前記の方法に関する。また本発明は、骨組織の状態が、変形性関節症である、前記の方法に関する。
造影剤を注入した被検体の骨組織の同一部位を経時的にスキャンしたことにより得た時系列データに基づいて、造影剤の前記部位への移行速度を表すパラメータを算出する手段を備えた、前記画像処理装置に関する。
また、本発明は、造影剤の移行速度を表すパラメータの算出前に、骨組織の同一部位を経時的にスキャンしたことにより得た時系列データの位置のずれを補正する手段を備えた、前記の画像処理装置に関する。
さらに本発明は、算出された移行速度を表すパラメータの値を同一部位の画像に投影した加工画像を、作成し表示する手段を備えた、前記の画像処理装置に関する。
本発明は、さらに、同一被検体の健常な骨組織部位への造影剤の移行速度を表すパラメータの値と、目的とする骨組織部位への造影剤の移行速度を表すパラメータの値とを比較することにより、前記目的部位の骨組織の状態を判定する手段を備えた、前記の画像処理装置にも関する。
本発明はさらに、時系列データが、磁気共鳴イメージング装置によりスキャンされた画像データである、前記の画像処理装置に関する。
また本発明は、造影剤がガドリニウム製剤である、前記の画像処理装置に関する。
さらに本発明は、骨組織が関節軟骨組織である、前記の画像処理装置に関する。
本発明はまた、骨組織の状態が、変形性関節症である、前記の画像処理装置に関する。
造影剤を注入した被検体の骨組織の同一部位を経時的にスキャンしたことにより得た時系列データに基づいて、前記部位における造影剤の移行速度を表すパラメータを算出するステップを含む、前記画像処理方法にも関する。
さらに本発明は、造影剤の移行速度を表すパラメータの算出前に、骨組織の同一部位を経時的にスキャンしたことにより得た時系列データの位置のずれを補正するステップを含む、前記の画像処理方法に関する。
本発明はまた、算出された移行速度を表すパラメータの値を同一部位の画像に投影した加工画像を、作成し表示するステップを含む、前記の画像処理方法にも関する。
またさらに、本発明は、同一被検体の健常な骨組織部位への造影剤の移行速度を表すパラメータの値と、目的とする骨組織部位への造影剤の移行速度を表すパラメータの値とを比較することにより、前記目的部位の骨組織の状態を判定するステップを含む、前記の画像処理方法に関する。
さらに本発明は、時系列データが、磁気共鳴イメージング装置によりスキャンされた画像データである、前記の画像処理方法に関する。
また本発明は、造影剤がガドリニウム製剤である、前記の画像処理方法に関する。
本発明はさらに、骨組織が関節軟骨組織である、前記の画像処理方法に関する。
本発明はまた、骨組織の状態が、変形性関節症である、前記の画像処理方法に関する。
さらに本発明は、前記の画像処理方法を含む画像処理プログラムを記録していることを特徴とする、コンピュータで読み取り可能な画像処理プログラムを記録した記録媒体にも関する。
本発明において、骨組織の状態とは、健常状態、何らかの骨・関節の異常、何らかの骨・関節疾患、何らかの骨・関節疾患の兆候を有する状態、また、罹患している骨・関節疾患の程度、進行(悪化)や改善の程度等の概念を含んでおり、したがって、本発明において、骨組織の状態を判断するとは、骨組織が健常状態にあるか、あるいは何らかの骨・関節疾患であることまたはその可能性があること、またはその骨・関節疾患の程度や進行・改善の程度等を判断することを意味する。本発明の方法は、これらのいずれを判断する場合にも有効であるが、特に変形性関節症、中でも早期の変形性関節症の判断において有効に用いられる。
なお、本明細書でいう早期の変形性関節症とは、軟骨の摩擦と骨増殖を未だ起こしておらずまたは検知することができず、変形性関節症の予防的対策を行うことのできる好条件下にあるという意味で用いているが、軟骨の摩擦、骨増殖を起こした後にあっても本発明を適用することができる。
また、本発明において用いられる造影剤は、特に制限はないが、例えば、MRI装置を用いて本発明を実施する場合には、ガドリニウム製剤が望ましく、更には分子電荷を有しない非イオン性ガドリニウム製剤を用いることがより望ましい。また、MRI画像の撮影に用いられる場合には、造影剤の濃度は、目的とする骨組織への造影剤の移行を観察するのが可能な濃度であればよく、特に限定されないが、0.1〜0.3mmol/kgであることが好ましく、0.2mmol/kgの量であることがさらに好ましい。なおここでの「/kg」は被検体の体重1kgあたりの量であることを示す。
本発明の画像処理装置は、MRI装置から転送される複数のMRI画像を格納する画像サーバに接続されたいわゆるコンピュータとして構成されている。まず、図1に本発明に係る画像処理装置及びそれを含んだMRI画像処理システムの概略図を示す。
MRI時系列データ取得手段302は、複数のMRI画像データの間で同一位置にある画素の信号強度データをMRI時系列データとして取得し、格納する。なお、MRI時系列データは造影剤の移行速度を計算するために必要なデータであるため、少なくとも画素の位置データ、複数の信号強度データ、および、その複数の信号強度データそれぞれに対応する時間データを、必要な画素数分含んで構成されている(図4参照)。ここでMRI時系列データ取得手段302は、ハードディスク等の記録媒体に記録されたプログラム、及び、そのプログラムによって取得される時系列データを記録するハードディスク等の記録媒体が該当する。またここでいう必要な画素数分とは、後に、変形性関節症等の骨・関節疾患であるか否かなどといった骨組織の状態を判断することが可能となる範囲として必要な画素数分をいい、MRI画像を構成する画素数全部でも良いし、一部であっても良い(以下これら画素を、「必要な画素」という)。特に本発明により、変形性関節症の判断を行う場合には、その判断において重要な部分となる関節軟骨組織に該当する部分の一部のデータであることがより望ましい。なお一部の画素数分とする場合は、当該MRI時系列データ取得手段に、予めその範囲の指定について入力を受け付ける機能を含ませることが有用である。
図4(a)で示されるように、それぞれのMRI画像データ6は、画素のx方向、y方向の位置を示す画素の位置データと、その位置に対する信号強度を示す信号強度データmxyとをMRI画像を構成する画素の数だけ有しており、また、MRI画像データ6にはその撮影された時刻に関する時刻データt1が付されている(なお図4(a)では、説明のため位置データ及び信号強度データは一画素分のみ示している)。そしてMRI時系列データ取得手段302は、複数のMRI画像データから位置データが共通する各画素の信号強度データを抽出し、その画像に対応する時刻データを付すことで、時系列データを取得する。図4(b)は取得した時系列データの構造を概念的に模式化したものであり、更にこれに画素の位置データが付されることとなる。かかる処理は必要な画素数分行われる。
本実施形態では、時定数データ取得手段303は、上記で得られたMRI時系列データから、信号強度データの変化率を時定数データとして上述の必要な画素各々に対して求め、格納する。なお、図5に時系列データをグラフ化したものを示す。時系列データに基づいて得られる時定数は、図5の時間に相当する。即ち、信号強度が変化する前の信号強度データと信号強度が平衡状態となった場合における信号強度データとの差を100%の信号強度変化とした場合に、例えば1−(1/e)の信号強度変化(約63%)を示す時間を時定数とし、それに対応したデータを時定数データとする。またここで時定数データ取得手段303は、ハードディスク等の記録媒体に記録されたプログラム、さらには取得した時定数データを格納するハードディスク等の記録媒体によって構成されることが望ましい。
また、本発明の上記画像処理方法を含むプログラムを、コンピュータに実行させるための画像処理プログラムとして、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておき、適宜コンピュータを用いて前記のプログラムを実行させることにより、本発明の画像処理方法および本発明の判断方法を実施することも可能である。
以上の通り、本発明によれば、変形性関節症等の骨・関節疾患を早期の段階で診断することができる画像処理装置、画像処理方法を提供することができる。
(実施例1)
本実施例では膝蓋大腿関節の変形性関節症の危険因子である右膝習慣性膝蓋骨脱臼を有する患者を被検体とし、本発明の上記画像処理装置を用いて効果を検証した。
まず既存の骨の形態的変化を伴う変形性関節症の有無を診断するため、右膝蓋大体関節についてX線検査を行った。この結果、同部位に明らかな変形性関節症は観察されなかった。図7にそのX線検査結果を示す。
したがって、本発明により、早期の段階で変形性関節症を診断することができた。
本実施例は、以下に説明する点を除きほぼ実施例1と同様に測定を行った。
本実施例では、危険因子として左膝反復性膝蓋骨脱臼を有する患者を被検体(体重50kg)とした。
まず既存の骨の形態的変化を伴う変形性関節症の有無を診断するため、左膝蓋大腿関節についてX線検査を行った。この結果、同部位に明らかな変形性関節症は観察されなかった。図10にそのX線検査結果を示す。
また、疾患部の時定数は健常部の約75%であり、早期の変形性関節症であることが分かった。
これにより、早期の段階で変形性関節症を診断することができた。
2…画像サーバ
3…コンピュータ
4…モニタ
5…プリンタ
6…MRI画像データ
301…MRI画像データ記録手段
302…MRI時系列データ取得手段
303…時定数データ取得手段
304…加工MRI画像データ取得手段
305…判定手段
306…表示制御手段
307…位置補正手段
Claims (18)
- 造影剤を注入した被検体の骨組織の同一部位を経時的にスキャンしたことにより得た時系列データに基づいて、造影剤の前記部位への移行速度を表すパラメータを算出する手段を備えた、造影剤の骨組織への移行速度に基づいて変形性関節症を判断するための画像処理装置。
- 造影剤の移行速度を表すパラメータの算出前に、骨組織の同一部位を経時的にスキャンしたことにより得た時系列データの位置のずれを補正する手段を備えた、請求項1に記載の画像処理装置。
- 算出された移行速度を表すパラメータの値を同一部位の画像に投影した加工画像を、作成し表示する手段を備えた、請求項1または2に記載の画像処理装置。
- さらに、同一被検体の健常な骨組織部位への造影剤の移行速度を表すパラメータの値と、目的とする骨組織部位への造影剤の移行速度を表すパラメータの値とを比較することにより、前記目的部位の変形性関節症を判定する手段を備えた、請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
- 移行速度を表すパラメータが、造影剤の骨組織への移行が検出され始めてから、同一部位において造影剤の移行が一定の程度まで達するのに要した時間を表す時定数である、請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。
- 時系列データが、磁気共鳴イメージング装置によりスキャンされた画像データである、請求項1〜5のいずれかに記載の画像処理装置。
- 造影剤がガドリニウム製剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理装置。
- 骨組織が関節軟骨組織である、請求項1〜7のいずれかに記載の画像処理装置。
- 造影剤を注入した被検体の骨組織の同一部位を経時的にスキャンしたことにより得た時系列データに基づいて、前記部位における造影剤の移行速度を表すパラメータを算出するステップを含み、かつ、包含されるすべてのステップが画像処理装置によって実行されるものである、造影剤の骨組織への移行速度に基づいて変形性関節症を判断するための画像処理方法。
- 造影剤の移行速度を表すパラメータの算出前に、骨組織の同一部位を経時的にスキャンしたことにより得た時系列データの位置のずれを補正するステップを含む、請求項9に記載の画像処理方法。
- 算出された移行速度を表すパラメータの値を同一部位の画像に投影した加工画像を、作成し表示するステップを含む、請求項9または10に記載の画像処理方法。
- さらに、同一被検体の健常な骨組織部位への造影剤の移行速度を表すパラメータの値と、目的とする骨組織部位への造影剤の移行速度を表すパラメータの値とを比較することにより、前記目的部位の変形性関節症を判定するステップを含む、請求項9〜11のいずれかに記載の画像処理方法。
- 移行速度を表すパラメータが、造影剤の骨組織への移行が検出され始めてから、同一部位において造影剤の移行が一定の程度まで達するのに要した時間を表す時定数である、請求項9〜12のいずれかに記載の画像処理方法。
- 時系列データが、磁気共鳴イメージング装置によりスキャンされた画像データである、請求項9〜13のいずれかに記載の画像処理方法。
- 造影剤がガドリニウム製剤である、請求項9〜14のいずれかに記載の画像処理方法。
- 骨組織が関節軟骨組織である、請求項9〜15のいずれかに記載の画像処理方法。
- 請求項9〜16のいずれかに記載の画像処理方法を実行させる画像処理プログラムを記録していることを特徴とする、コンピュータで読み取り可能な記録媒体。
- 造影剤の骨組織への移行速度に基づいて骨組織の状態を判断するために、コンピュータを、請求項1〜8のいずれかに記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
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