JP4053227B2 - ハンドオフ方法およびエージェント装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、モバイルIPネットワークで移動端末装置の収容先が旧外部エージェントから新外部エージェントへ変更される際のハンドオフ方法、およびモバイルIPネットワークで移動端末装置の収容先へ向けて移動端末装置宛のIPパケットを転送するホームエージェントまたはゲートウェイ外部エージェントとして動作するエージェント装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
IP(Internet Protocol)アドレスを有する移動端末装置(以下、MEという)がサブネットを跨って移動した場合に、セッションを中断することなく移動端末装置が通信を保つ方法として、IETF(Internet Engineering Task Force)のMobileIP(以下、モバイルIPという)(Request For Comment 2002)が提唱されている。
【0003】
次にモバイルIPでのパケット伝送について説明する。
例えば移動端末装置がある外部エージェント(FA)のドメインに移動してきた場合、その移動端末装置は、そのドメインでの自己のアドレスを気付アドレスとして取得し、その気付アドレスをその外部エージェントを介してホームエージェント(HA)に通知する。ホームエージェントはその移動端末装置からの気付アドレスを移動端末装置のホームアドレスと関連づけて登録する。
【0004】
一方、移動端末装置の送信相手である相手側端末装置は、移動端末装置へIPパケットを送信する場合、移動端末装置のホームアドレス宛にIPパケットを送信する。そのIPパケットはIPネットワークを介してホームエージェントに到達する。ホームエージェントは、そのIPパケットをカプセル化した後、その移動端末装置についての登録情報に基づいて、その移動端末装置の気付アドレス宛に転送する。外部エージェントは、そのカプセル化されたIPパケットを受信すると、カプセル化を解除して、その気付アドレスを有する移動端末装置に元のIPパケットを供給する。
【0005】
このようにして、移動端末装置がドメインを跨って移動しても、移動端末装置宛のIPパケットがホームエージェントおよび外部エージェントを経由して移動端末装置へ到達する。
【0006】
一方、第三世代の移動体通信ネットワークを推進する3GPP(3rd Generation Partnership Project)や3GPP2などのプロジェクトでは、IPネットワークおよびモバイルIP技術の携帯電話ネットワークへの適用が検討されており、その場合、音声データのIP化とリアルタイム転送が必要になる。
【0007】
また、インターネットを使用する移動端末装置の進歩および普及によって携帯電話ネットワークでは、WWW(World Wide Web)や電子メールなどのインターネット上の他のサービスに伴う非リアルタイムトラフィックが、音声データに多重される。
【0008】
なお、モバイルIPを使用した音声データなどのリアルタイムトラフィックを実現する技術としては、IETFのインターネットドラフト(draft-elmalki-soliman-hmipv4v6-00.txt)が提案されている。この技術は、移動端末装置のハンドオフ時に、ホームエージェントにおける旧外部エージェントの登録を消さずに、新外部エージェントを追加登録し、ホームエージェントが、新旧2つの外部エージェントにその移動端末装置宛のIPパケットをバイキャストすることにより、旧外部エージェントから新外部エージェントへのその移動端末装置宛のIPパケットの転送を抑制して、ハンドオフ時のリアルタイム通信を可能にするものである。
【0009】
図16は上記の従来のハンドオフ方法を説明する図である。図16において、101はルータなどにより構成されるIPネットワークであり、102は移動端末装置(ME)であり、103はホームエージェント(HA)であり、104は移動端末装置102の通信相手である相手側端末装置(CN)であり、105−1は移動端末装置102の移動元の外部エージェント(FA)(旧外部エージェント)であり、105−2は移動端末装置102の移動先の外部エージェント(FA)(新外部エージェント)である。
【0010】
まず、移動元のFA105−1は、移動先のFA105−2へのME102のハンドオフの開始を、モバイルIPのレイヤ2の機能に基づいて検出する。そして図16(a)に示すように、FA105−1は、ハンドオフを検出すると、ME102へエージェント広告するようにFA105−2に要求する。エージェント広告の要求を受信したFA105−2は、FA105−1を介してME102へエージェント広告を送信する。
【0011】
次に図16(b)に示すように、エージェント広告を受信したME102は、FA105−1を介してFA105−2へ、モバイルIPの位置登録メッセージを送信し、FA105−2は、この位置登録メッセージをHA103へ転送する。このとき、ME102は、モバイルIPで規定された同時バインディングを要求して、HA103に対してFA105−1とFA105−2とについて二重に位置登録を実行する。これにより、HA103には、ME102の気付アドレスとしてFA105−1のIPアドレスとFA105−2のIPアドレスが重複して登録される。そしてHA103は、ME102宛のIPパケットをカプセル化して、FA105−1とFA105−2とにバイキャストをする。
【0012】
その後、ハンドオフが完了し、ME102がFA105−2へ完全に移行したタイミングで、図16(c)に示すように、ME102は、同時バインディングの解除要求を含むモバイルIPの位置登録メッセージをFA105−2へ送信し、FA105−2は、同時バインディングの解除要求を含む位置登録メッセージをHA103へ転送する。これにより、HA103には、ME102の気付アドレスとして、FA105−2のIPアドレスのみが登録された状態になる。そして、HA103は、これ以降、ME102宛のIPパケットをカプセル化して、FA105−2のみに転送する。
【0013】
このようにバイキャストにより、ハンドオフ時にも、リアルタイムトラフィックが維持される。
【0014】
一方、ハンドオフ時のパケットロスを抑制する技術しては、インターネットドラフト(draft-mkhalil-mobileip-buffer-00.txt)に記載のものがある。この技術は、移動端末装置は、ハンドオフを検出したタイミングで旧外部エージェントに、自己宛のIPパケットのバッファリングを要求し、IPパケットを一時的に蓄積させる。その後、移動端末装置は、新外部エージェントとのパスを確立して位置登録を完了した後に、蓄積したIPパケットの新外部エージェントへの一括転送を旧外部エージェントに要求して、IPパケットの廃棄を抑制するものである。
【0015】
図17は上記の従来のハンドオフ方法を説明する図である。111−1は移動元の外部エージェント(FA)であり、112−1は移動先の外部エージェント(FA)である。なお、図17におけるその他の構成要素については図16におけるものと同様である。なお、インターネットドラフト(draft-mkhalil-mobileip-buffer-00.txt)に記載のハンドオフ方法では、ハンドオフの検出をMEが行うことになっているが、ここでは、インターネットドラフト(draft-elmalki-soliman-hmipv4v6-00.txt)に記載のハンドオフ方法に合わせて、ハンドオフの検出をFAが実行するものとする。
【0016】
まず、図17(a)に示すように、移動元のFA111−1は、移動先のFA111−2へのME102のハンドオフの開始を、モバイルIPのレイヤ2の機能に基づいて検出する。移動元のFA111−1は、ME102のハンドオフの開始を検出すると、ME102宛のIPパケットを一時的にバッファリングする。
【0017】
その後、ハンドオフが完了し、ME102がFA111−2へ完全に移行したタイミングで、図17(b)に示すように、ME102は、FA111−2へモバイルIPの位置登録メッセージを送信し、FA111−2は、その位置登録メッセージをHA103へ転送する。また、ME102は、この位置登録メッセージに、FA111−1へバッファリングしたパケットの一括転送要求を含めておき、FA111−2は、その転送要求をFA111−1へ送信する。そして、バッファリングされたME102宛のパケットは、FA111−2を介してME102に一括して供給される。
【0018】
このようにバッファリングにより、ハンドオフ時のパケットロスが抑制される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
従来のハンドオフ方法およびエージェント装置は以上のように構成されているので、従来のモバイルIP技術をそのまま、リアルタイムトラフィックと非リアルタイムトラフィックとが混在する携帯電話ネットワークに適用することが困難であるなどの課題があった。
【0020】
すなわち、モバイルIPに基づくバイキャストではハンドオフ時のリアルタイムトラフィックの維持が可能であるが、パケットロスに対しては何ら保証されないため、パケットロスの多い無線環境下で、TCP(Transmission Control Protocol)などパケットロスに弱いプロトコルをIPの上位で動作させる場合には適さない。また、リアルタイムトラフィックをバイキャストするため、インターネットサービスに伴うバースト的なトラフィックが多量に流れる場合には、無線帯域の利用効率が悪化する。
【0021】
一方、このようなバイキャスト機構とはまったく独立に、上述のバッファリング機構を設けることは、リアルタイム性が保証できないため非リアルタイムトラフィックにしか適用できない。
【0022】
また、これらの機構をいずれも使用可能にし、いずれかを選択することも考えられる。しかしながら、その場合、移動端末装置がモバイルIPに基づいて外部エージェントを介してホームエージェントに位置登録を行う際に選択することになるが、そのためには移動端末装置がモバイルIPに基づいて、自己がリアルタイムトラフィックを送受しているのか、非リアルタイムトラフィックを送受しているのかを常に監視する必要がある。さらに、携帯電話機のように音声による通話とインターネットサービスとが同時に発生しうる移動端末装置では、どちらか1つの機構を選択しても、通話とインターネットサービスとを正常に享受することが困難になる。
【0023】
さらに、モバイルIPのハンドオフタイミングの決定は、新外部エージェントの検出を周期的に実行し、新外部エージェントの検出時とするものであるが、これによると、リアルタイムなハンドオフを実現することが困難である。
【0024】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ハンドオフ開始時、ホームエージェントまたはゲートウェイ外部エージェントに対して、旧外部エージェントおよび新外部エージェントについて移動端末装置を二重に位置登録し、ホームエージェントまたはゲートウェイ外部エージェントが、その移動端末装置宛のIPパケットを受け取ると、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか否かを判断し、リアルタイムトラフィックのIPパケットを旧外部エージェントおよび新外部エージェントにバイキャストし、非リアルタイムトラフィックのIPパケットをバッファリングし、ハンドオフ完了時に、新外部エージェントについての位置登録のみとし、非リアルタイムトラフィックのIPパケットがバッファリングされている場合、ホームエージェントまたはゲートウェイ外部エージェントがその非リアルタイムトラフィックのIPパケットを新外部エージェントへ転送するようにして、リアルタイムトラフィックおよび非リアルタイムトラフィックを同時に発生する場合でも良好にハンドオフを実行することができるハンドオフ方法およびエージェント装置を得ることを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るハンドオフ方法は、階層化されたモバイルIPネットワークにおける移動端末装置の旧外部エージェントから新外部エージェントへのハンドオフ方法において、
ハンドオフ開始時に、バイキャスト及びバッファリングを行うゲートウェイ外部エージェントに対してその移動端末装置の位置登録を追加実行して、前記旧外部エージェントおよび前記新外部エージェントにより前記移動端末装置の位置を二重登録するステップと、
前記ゲートウェイ外部エージェントが、前記移動端末装置の二重登録時に、その移動端末装置宛のIPパケットを受け取ると、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか否かを判断し、リアルタイムトラフィックのIPパケットを前記旧外部エージェントおよび前記新外部エージェントにバイキャストし、非リアルタイムトラフィックのIPパケットを前記ゲートウェイ外部エージェントにバッファリングするステップと、
ハンドオフ完了時に、前記ゲートウェイ外部エージェントに対して位置登録の更新を要求して前記新外部エージェントについての位置登録のみとし、非リアルタイムトラフィックのIPパケットがバッファリングされている場合、前記ゲートウェイ外部エージェントがその非リアルタイムトラフィックのIPパケットを前記移動端末装置の収容先の外部エージェントへ転送するステップと
を備え、
モバイルIPネットワークは、モバイルIP手順を実行可能な、Radio Access Network標準に準拠した携帯電話ネットワークであり、
移動端末装置は、携帯電話機であり、
外部エージェントは、ハンドオフとしてSRNC再配置手順で前記携帯電話機の制御権を授受する無線ネットワーク制御器であり、
複数の無線ネットワーク制御器が同一の携帯電話機を収容した後、旧無線ネットワーク制御器が、前記携帯電話機の制御権の所定の授受タイミング後に発生するSRNC再配置手順をハンドオフ手順とみなして、ハンドオフの開始および完了のタイミングを検出するものである。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるハンドオフ方法を説明する図である。図1において、1はルータなどにより構成されるIPネットワークであり、2は移動端末装置(ME)であり、3はホームエージェント(HA)(エージェント装置)であり、4は移動端末装置2の通信相手である相手側端末装置(CN)であり、5−1は移動端末装置2の移動元の外部エージェント(FA)(旧外部エージェント)であり、5−2は移動端末装置2の移動先の外部エージェント(FA)(新外部エージェント)である。
【0037】
次に、このモバイルIPネットワークにおける移動端末装置2のハンドオフについて説明する。
まず、移動元のFA5−1は、移動先のFA5−2へのME2のハンドオフの開始を、モバイルIPのレイヤ2の機能に基づいて検出する。そして図1(a)に示すように、FA5−1は、ハンドオフを検出すると、ME2へエージェント広告するようにFA5−2に要求する。エージェント広告の要求を受信したFA5−2は、FA5−1を介してME2へエージェント広告を送信する。
【0038】
エージェント広告を受信したME2は、FA5−1を介してFA5−2へ、モバイルIPの位置登録メッセージを送信し、FA5−2は、この位置登録メッセージをHA3へ転送する。このとき、ME2は、モバイルIPで規定された同時バインディングを要求して、HA3に対してFA5−1とFA5−2とについて二重に位置登録を実行する。これにより、HA3には、ME2の気付アドレスとしてFA5−1のIPアドレスとFA5−2のIPアドレスが重複して登録される。なお、この位置登録のメッセージには、リアルタイムトラフィックのIPパケットは二重登録されたFA5−1,5−2へバイキャストされ、また、非リアルタイムトラフィックのIPパケットはHA3にバッファリングされるようにする制御メッセージが含まれる。
【0039】
そして、HA3は、ME2宛のIPパケットを受信すると、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか否かを動的に判断し、図1(b)に示すように、リアルタイムトラフィックのIPパケットをカプセル化した後、FA5−1およびFA5−2にバイキャストし、図1(c)に示すように、非リアルタイムトラフィックのIPパケットをバッファリングする。
【0040】
その後、ハンドオフが完了し、ME2がFA5−2へ完全に移行したタイミングで、図1(d)に示すように、ME2は、同時バインディングの解除要求およびバッファリングされたIPパケットの一括転送要求を含むモバイルIPの位置登録メッセージをFA5−2へ送信し、FA5−2はその位置登録メッセージをHA3へ転送する。
【0041】
HA3は、これらのメッセージを受信すると、ME2の気付アドレスを更新して、FA5−2のIPアドレスのみが登録された状態にするとともに、バッファリングしたIPパケットをカプセル化して、一括してFA5−2を介してME2に転送する。そして、HA3は、バイキャストを停止し、これ以降、ME2宛のIPパケットをカプセル化して、FA5−2のみに転送する。
【0042】
次にホームエージェント3の動作について説明する。図2は実施の形態1におけるホームエージェントの動作について説明するSDL(Specification and Description Language)図である。
【0043】
HA3は、モバイルIPに基づく位置登録要求を受信すると(ステップST1)、その位置登録要求による新FAを図示せぬ内蔵のテーブルに登録する(ステップST2)。そして、HA3は、その位置登録要求が二重登録の要求であるか否かを判断し(ステップST3)、その位置登録要求が二重登録の要求ではない場合には、旧FAの登録を抹消する(ステップST4)。次に、HA3は、位置登録要求とともにバッファリング要求があったか否かを判断し(ステップST5)、バッファリング要求があった場合には、位置登録要求の送信元のME2宛の非リアルタイムトラフィックのIPパケットのバッファリングを実行するように内部状態を設定する(ステップST6)。また、HA3は、位置登録要求とともにバッファリングされたIPパケットの一括転送要求があったか否かを判断し(ステップST7)、一発転送要求があった場合には、位置登録要求の送信元のME2宛のIPパケットへ、バッファリングされたIPパケットを一括して転送する(ステップST8)。その後、HA3は、モバイルIPに基づく位置登録要求に対する応答を送信する(ステップST9)。
【0044】
一方、HA3は、ME2宛のIPパケットを受信すると(ステップST11)、そのIPパケットの属性を判定し(ステップST12)、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのIPパケットであるか否かを判断する(ステップST13)。HA3は、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものである場合、内蔵のテーブルに登録されたFAに向けてそのIPパケットを転送する(ステップST14)。そして、HA3は、そのIPパケットをまだ送信していないFAが内蔵のテーブルにあるか否か判断し(ステップST15)、そのようなFAがある場合、その残りのFAに対してもそのIPパケットを転送する(ステップST14)。
【0045】
一方、HA3は、そのIPパケットが非リアルタイムトラフィックのIPパケットである場合、内部状態がバッファリングの実行に設定されているか否かを判断し(ステップST16)、バッファリングの実行が設定されている場合には、そのIPパケットをバッファリングし(ステップST17)、バッファリングの実行が設定されていない場合には、そのIPパケットを、登録されているFAに転送する(ステップST18)。
【0046】
以上のように、この実施の形態1によれば、ハンドオフ開始時、ホームエージェント3に対して、旧外部エージェント5−1および新外部エージェント5−2について移動端末装置2を二重に位置登録し、ホームエージェント3が、その移動端末装置2宛のIPパケットを受け取ると、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか否かを判断し、リアルタイムトラフィックのIPパケットを旧外部エージェント5−1および新外部エージェント5−2にバイキャストし、非リアルタイムトラフィックのIPパケットをバッファリングし、ハンドオフ完了時に、新外部エージェント5−2についての位置登録のみとし、非リアルタイムトラフィックのIPパケットがバッファリングされている場合、ホームエージェント3がその非リアルタイムトラフィックのIPパケットを新外部エージェント5−2へ転送するようにしたので、移動端末装置2がIPパケットを監視して、予めトラフィックの属性を想定して位置登録を実行する必要がなく、また、リアルタイムトラフィックおよび非リアルタイムトラフィックを同時に発生する場合でも良好にハンドオフを実行することができるという効果が得られる。
【0047】
また、IPパケットの監視、バイキャストおよびバッファリングをホームエージェント3が実行するため、移動端末装置2や外部エージェント5−1,5−2などの他の機器を安価に構成することができるという効果が得られる。
【0048】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2によるハンドオフ方法は、ゲートウェイ外部エージェントが導入されている階層的なモバイルIPネットワークにおいて、実施の形態1におけるホームエージェントの代わりに、ゲートウェイ外部エージェントがバイキャストおよびバッファリングを実行するようにしたものである。
【0049】
図3は、この実施の形態2によるハンドオフ方法を実行するゲートウェイ外部エージェントが導入されているモバイルIPネットワークの一例を示す図である。図において、21は、外部エージェント5−1,5−2に接続され、実施の形態1のホームエージェント3と同様にバイキャストおよびバッファリングを実行するゲートウェイ外部エージェント(GFA)(エージェント装置)であり、22はホームエージェント(HA)である。なお、図3におけるその他の構成要素については図1におけるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0050】
すなわち、GFA21は、従来のGFAと同様に動作するとともに、上述のHA3と同様に、バイキャストおよびバッファリングを実行するものである。
【0051】
以上のように、この実施の形態2によれば、ハンドオフ開始時、ゲートウェイ外部エージェント21に対して、旧外部エージェント5−1および新外部エージェント5−2について移動端末装置2を二重に位置登録し、ゲートウェイ外部エージェント21が、その移動端末装置2宛のIPパケットを受け取ると、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか否かを判断し、リアルタイムトラフィックのIPパケットを旧外部エージェント5−1および新外部エージェント5−2にバイキャストし、非リアルタイムトラフィックのIPパケットをバッファリングし、ハンドオフ完了時に、新外部エージェント5−2についての位置登録のみとし、非リアルタイムトラフィックのIPパケットがバッファリングされている場合、ゲートウェイ外部エージェント21がその非リアルタイムトラフィックのIPパケットを新外部エージェント5−2へ転送するようにしたので、移動端末装置2がIPパケットを監視して、予めトラフィックの属性を想定して位置登録を実行する必要がなく、また、リアルタイムトラフィックおよび非リアルタイムトラフィックを同時に発生する場合でも良好にハンドオフを実行することができるという効果が得られる。
【0052】
また、IPパケットの監視、バイキャストおよびバッファリングをゲートウェイ外部エージェント21が実行するため、移動端末装置2や外部エージェント5−1,5−2などの他の機器を安価に構成することができるという効果が得られる。
【0053】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3によるハンドオフ方法は、ホームエージェントの代わりに旧外部エージェントがハンドオフ時に、移動端末装置宛の非リアルタイムトラフィックのIPパケットをバッファリングするようにしたものである。
【0054】
図4はこの発明の実施の形態3によるハンドオフ方法を説明する図である。図4において、41は、移動端末装置2の二重登録時に、その移動端末装置2宛のIPパケットを受け取ると、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか否かを判断し、リアルタイムトラフィックのIPパケットを移動元の外部エージェント42−1および移動先の外部エージェント42−2にバイキャストし、非リアルタイムトラフィックのIPパケットを移動元の外部エージェント42−1に転送するホームエージェント(HA)(エージェント装置)であり、42−1は、ホームエージェント41から転送されてきた非リアルタイムトラフィックのIPパケットをバッファリングする移動元の外部エージェント(FA)である。42−2は移動先の外部エージェント(FA)である。なお、図4におけるその他の構成要素については図1におけるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
次に、このモバイルIPネットワークにおける移動端末装置2のハンドオフについて説明する。
まず、移動元のFA42−1は、移動先のFA42−2へのME2のハンドオフの開始を、モバイルIPのレイヤ2の機能に基づいて検出する。そして図4(a)に示すように、FA42−1は、ハンドオフを検出すると、そのME2宛の非リアルタイムトラフィックのIPパケットのバッファリングを開始するとともに、ME2へエージェント広告するようにFA42−2に要求する。エージェント広告の要求を受信したFA42−2は、FA42−1を介してME2へエージェント広告を送信する。
【0056】
エージェント広告を受信したME2は、FA42−1を介してFA42−2へ、モバイルIPの位置登録メッセージを送信し、FA42−2は、この位置登録メッセージをHA41へ転送する。このとき、ME2は、モバイルIPで規定された同時バインディングを要求して、HA41に対してFA42−1とFA42−2とについて二重に位置登録を実行する。これにより、HA41には、ME2の気付アドレスとしてFA42−1のIPアドレスとFA42−2のIPアドレスが重複して登録される。なお、この位置登録のメッセージには、リアルタイムトラフィックのIPパケットは二重登録されたFA42−1,42−2へバイキャストされ、非リアルタイムトラフィックのIPパケットはFA42−1のみに転送されるようにする制御メッセージが含まれる。
【0057】
そして、HA41は、ME2宛のIPパケットを受信すると、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか否かを動的に判断し、図4(b)に示すように、リアルタイムトラフィックのIPパケットをカプセル化した後、FA42−1およびFA42−2にバイキャストし、図4(c)に示すように、非リアルタイムトラフィックのIPパケットを移転元のFA42−1に転送する。そして、移転元のFA42−1は、その非リアルタイムトラフィックのIPパケットをバッファリングする。
【0058】
その後、ハンドオフが完了し、ME2がFA42−2へ完全に移行したタイミングで、図4(d)に示すように、ME2は、同時バインディングの解除要求およびバッファリングされたIPパケットの一括転送要求を含むモバイルIPの位置登録メッセージをFA42−2へ送信し、FA42−2は、その位置登録メッセージをHA41へ転送し、バッファリングされたIPパケットの一括転送要求メッセージをFA42−1へ送信する。
【0059】
HA41は、そのメッセージを受信すると、ME2の気付アドレスを更新して、FA42−2のIPアドレスのみが登録された状態にしてバイキャストを停止し、これ以降、ME2宛のIPパケットをカプセル化して、FA42−2のみに転送する。また、移動元のFA42−1は、一括転送要求メッセージを受信すると、バッファリングしたIPパケットをカプセル化して、一括してFA42−2を介してME2に転送する。
【0060】
次にホームエージェント41の動作について説明する。図5は実施の形態3におけるホームエージェントの動作について説明するSDL図である。
【0061】
HA41は、モバイルIPに基づく位置登録要求を受信すると(ステップST21)、その位置登録要求による新FAを図示せぬ内蔵のテーブルに登録する(ステップST22)。そして、HA41は、その位置登録要求が二重登録の要求であるか否かを判断し(ステップST23)、その位置登録要求が二重登録の要求ではない場合には、旧FAの登録を抹消する(ステップST24)。その後、HA41はモバイルIPに基づく位置登録要求に対する応答を送信する(ステップST25)。
【0062】
一方、HA41は、ME2宛のIPパケットを受信すると(ステップST31)、そのIPパケットの属性を判定し(ステップST32)、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのIPパケットであるか否かを判断する(ステップST33)。HA41は、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものである場合、内蔵のテーブルに登録されたFAに向けてそのIPパケットを転送する(ステップST34)。そして、HA41は、そのIPパケットをまだ送信していないFAが内蔵のテーブルにあるか否か判断し(ステップST35)、そのようなFAがある場合、その残りのFAに対してもそのIPパケットを転送する(ステップST34)。
【0063】
一方、HA41は、そのIPパケットが非リアルタイムトラフィックのIPパケットである場合、そのIPパケットを、旧FAに転送する(ステップST36)。
【0064】
以上のように、この実施の形態3によれば、ハンドオフ時の移動端末装置2宛の非リアルタイムトラフィックのパケットを、旧外部エージェント42−1がバッファリングするようにしたので、外部エージェント42−1,42−2が無線インタフェースなど低速リンクで移動端末装置2に接続される場合に使用される既設の大きなバッファを併用することができ、ネットワーク全体でのバッファ容量を減少させ、安価にネットワークを構築することができるという効果が得られる。
【0065】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4によるハンドオフ方法は、HA3,41またはGFA21がME2宛のIPパケットの属性として、IPヘッダのDSフィールド領域に設定されているDSCP値を使用して、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか、非リアルタイムトラフィックのものであるかを判断するようにしたものである。
【0066】
図6は実施の形態4におけるIPパケット属性の判定を説明するフローチャートであり、図7はDSCP値とトラフィック属性との対応関係の一例を示す図である。
【0067】
図6に示すように、IPパケット属性の判定の際、HA3,41またはGFA21は、受信したIPパケットのIPヘッダにおけるDSフィールド領域に設定されているDSCP値を読み出し(ステップST41)、図7に示すような、DSCP値とトラフィック属性との対応関係を保存するテーブルを検索して(ステップST42)、そのDSCP値が登録されているか否かを判断し(ステップST43)、そのDSCP値が登録されている場合には、そのDSCP値に対応するトラフィック属性を読み出し(ステップST44)、そのDSCP値が登録されていない場合には、トラフィック属性を非リアルタイムトラフィックとする(ステップST45)。なお、図7に示す対応関係は予め定められ、HA3,41またはGFA21に保存される。
【0068】
なお、その他の処理については実施の形態1〜3のいずれかによるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0069】
以上のように、この実施の形態4によれば、ホームエージェント3,41またはゲートウェイ外部エージェント21が、IPパケットのヘッダ情報に基づいて、その移動端末装置宛のIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか否かを判断するようにしたので、トラフィックの属性を簡単に判別することができるという効果が得られる。
【0070】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5によるハンドオフ方法は、HA3,41またはGFA21がME2宛のIPパケットの属性として、IPパケットのペイロードに設定される上位レイヤの情報に基づいて、そのME2宛のIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか否かを判断するようにしたものである。
【0071】
ここでは、一例として、上位レイヤの情報としてSIP(Session Initiation Protocol)を使用したVoice over IPのトラフィックの情報を使用する。そして、音声IPトラフィックのみがリアルタイムトラフィックと判断され、その他のトラフィックは非リアルタイムトラフィックと判断される。
【0072】
図8は実施の形態5におけるIPパケット属性の判定を説明するフローチャートであり、図9は登録されたポート番号の一例を示す図である。
【0073】
まず、HA3,41またはGFA21は、IPパケットを受信すると、UDP(User Datagram Protocol)ポート番号を読み取り(ステップST61)、そのUDPポート番号が、SIPメッセージに使用される送信先UDPポート番号5060であるか否かを判断し(ステップST62)、UDPポート番号が5060である場合、Content-TypeがApplication/SDP であるか否かを判断し(ステップST63)、Content-TypeがApplication/SDP である場合、インターネットサービスが使用するRTPポート番号を抽出し、設定データとして登録する(ステップST64)。
【0074】
一方、UDPポート番号が5060ではない場合、HA3,41またはGFA21は、図9に示すような上述の設定データを検索して(ステップST65)、IPパケットのRTPポート番号が登録されているか否かを判断し(ステップST66)、IPパケットのRTPポート番号が登録されている場合、そのIPパケットをリアルタイムトラフィックのものと判断し(ステップST67)、IPパケットのRTPポート番号が登録されていない場合、そのIPパケットを非リアルタイムトラフィックのものと判断する(ステップST68)。なお、この設定データは一定時間通信がない場合タイムアウトで自動的に消去される。
【0075】
なお、その他の処理については実施の形態1または実施の形態2によるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0076】
以上のように、この実施の形態5によれば、ホームエージェント3,41またはゲートウェイ外部エージェント21が、IPパケットのペイロードに設定される上位レイヤの情報に基づいて、その移動端末装置2宛のIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか否かを判断するようにしたので、トラフィックの属性をより的確に判別することができるという効果が得られる。
【0077】
実施の形態6.
図10は、この発明の実施の形態6によるハンドオフ方法を実行する、モバイルIP手順を実行可能な、3GPPのRadio Access Network標準に準拠した携帯電話ネットワークの一例を示す図である。図10において、81,81−1,81−2は、外部エージェントの機能を有する、ハンドオフとしてSRNC再配置手順で携帯電話機83の制御権を授受する無線ネットワーク制御器(RNC)である。さらに、今の場合、RNC81は、携帯電話機83の通信相手である携帯電話機84を収容するRNCであり、RNC81−1は携帯電話機83の移動元のRNCであり、RNC81−2は携帯電話機83の移動先のRNCである。82は、RNC81と収容した携帯電話機との無線による通信を実行する基地局であり、82−1は、RNC81−1と収容した携帯電話機との無線による通信を実行する基地局であり、82−2は、RNC81−2と収容した携帯電話機との無線による通信を実行する基地局である。83,84は、移動端末装置としての携帯電話機(ME)である。なお、このネットワークにおいて、RNC81−1,81−2はソフトハンドオーバ機能を具備しないものとする。
【0078】
なお、図10におけるその他の構成要素については図1によるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0079】
次に、このモバイルIPネットワークにおけるME83のハンドオフについて説明する。この場合、ME83は、RNC81−1からRNC81−2へ収容先を変更するものとする。このとき、SRNC再配置手順に基づいて、ME83の制御権が、基地局82−1から、RNC81−2に接続された基地局82−2へ受け渡される。図11は、図10の携帯電話ネットワークにおけるME83のハンドオーバについて説明するシーケンス図である。
【0080】
まず、移動元のRNC81−1は、移動先のRNC81−2へのME83のハンドオーバの開始を、モバイルIPのレイヤ2の機能に基づいて検出する。
【0081】
移動元のRNC81−1は、ハンドオーバの開始を検出すると、図11に示すように、SRNC再配置手順を開始する。まず、移動元のRNC81−1は、移動先のRNC81−2に対してリロケーション要求を送信し、移動先のRNC81−2に対して、ME83の受け入れ準備を要求する。そして、受け入れ準備が完了すると、RNC81−2は、RNC81−1に対してリロケーション受付を送信する。
【0082】
次に、RNC81−1は、モバイルIPの手順でME83へエージェント広告するように、RNC81−2に対して要求する。エージェント広告要求を受けたRNC81−2は、RNC81−1を介してME83へエージェント広告を送信する。エージェント広告を受けたME83はRNC81−1を介してRNC81−2へモバイルIPの位置登録メッセージを送信し、RNC81−2は、その位置登録メッセージをHA3へ転送する。このときの位置登録において、ME83は、リアルタイムトラフィックのパケットに対してはRNC81−1およびRNC81−2の同時バインディングを、非リアルタイムトラフィックのパケットに対しては一時的なバッファリングを、HA3に要求する。
【0083】
この後、HA3は、ME83宛のIPパケットを受信すると、そのIPパケットの属性に基づいて、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか、非リアルタイムトラフィックのものであるかを動的に判断する。
【0084】
なお、ハンドオーバの実行に際して、RNC81−1は、無線物理チャネルの再構築をME83に要求し、ME83はこのタイミングで周波数などを切り替える。この後、ME83は、基地局82−2と無線リンクを再設定すると、その基地局82−2を介してRNC81−2にチャネルの再構築完了のメッセージを送信する。
【0085】
RNC81−2は、このメッセージを受信すると、エージェント広告をME83に送信して、ハンドオーバが完全に終了したことを通知する。ハンドオーバ完了後、ME83は、同時バインディングの解除要求およびバッファリングされたパケットの一括転送要求を含むモバイルIPの位置登録メッセージをRNC81−2に送信し、RNC81−2はそのメッセージをHA3に転送する。
【0086】
なお、HA3による同時バインディングおよびバッファリングについては実施の形態1におけるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0087】
以上のように、この実施の形態6によれば、モバイルIPネットワークを、モバイルIP手順を実行可能な、Radio Access Network標準に準拠した携帯電話ネットワークとし、移動端末装置を携帯電話機83とし、外部エージェントを、ハンドオフとしてSRNC再配置手順で携帯電話機83の制御権を授受する無線ネットワーク制御器81−1,81−2とし、無線ネットワーク制御器81−1,81−2がSRNC再配置手順に基づいてハンドオフの開始および完了のタイミングを検出し、携帯電話機83がモバイルIPに基づく通信を実行可能である場合には、モバイルIP手順でハンドオフの開始および完了のタイミングを携帯電話機83に通知するようにしたので、SRNC再配置の手順とモバイルIPのハンドオフの手順が融合され、ファーストハンドオフ(fast handoff)が可能となり携帯電話ネットワークにモバイルIPを適用することができるという効果が得られる。
【0088】
また、上述の実施の形態と同様に、ホームエージェント3がリアルタイムトラフィックおよび非リアルタイムトラフィックを動的に判断して、それに対応した処理を実行するため、携帯電話機において、通話などのリアルタイムトラフィックと、インターネットサービスによる非リアルタイムトラフィックとを同時にかつ良好に享受することができるという効果が得られる。
【0089】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7によるハンドオフ方法は、実施の形態6によるハンドオフ方法において、RNC81−1,81−2がモバイルIPメッセージをSRNC再配置手順のメッセージにピギーバックする(すなわち、畳み込む)ようにしたものである。図12はこの実施の形態7によるハンドオフ方法を説明するシーケンス図である。
【0090】
図10に示すネットワークにおいて、まず、移動元のRNC81−1は、移動先のRNC81−2へのME83のハンドオーバの開始を、モバイルIPのレイヤ2の機能に基づいて検出する。
【0091】
移動元のRNC81−1は、ハンドオーバの開始を検出すると、図12に示すように、SRNC再配置手順を開始する。まず、移動元のRNC81−1は、移動先のRNC81−2に対してリロケーション要求を送信する。このとき、このリロケーション要求に、モバイルIPのエージェント広告要求がピギーバックされる。
【0092】
そして、受け入れ準備が完了すると、RNC81−2は、RNC81−1に対してリロケーション受付を送信する。このとき、このリロケーション受付に、モバイルIPのエージェント広告がピギーバックされる。RNC81−1は、ピギーバックされたエージェント広告を受け取ると、ME83に転送する。
【0093】
なお、以降の処理については実施の形態6によるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0094】
以上のように、この実施の形態7によれば、無線ネットワーク制御器81−1,81−2が、モバイルIPメッセージをSRNC再配置手順による制御メッセージに含めてピギーバックするようにしたので、メッセージの送信回数を減少させ制御メッセージによるネットワークの帯域消費量を減少させることができるという効果が得られる。
【0095】
実施の形態8.
この発明の実施の形態8によるハンドオフ方法は、実施の形態7によるハンドオフ方法において、RNC81−1,81−2がME83の代理でモバイルIP手順を終端するようにしたものである。図13はこの実施の形態8によるハンドオフ方法を説明するシーケンス図である。
【0096】
図10に示すネットワークにおいて、まず、移動元のRNC81−1は、移動先のRNC81−2へのME83のハンドオーバの開始を、モバイルIPのレイヤ2の機能に基づいて検出する。
【0097】
移動元のRNC81−1は、ハンドオーバの開始を検出すると、図13に示すように、SRNC再配置手順を開始する。まず、移動元のRNC81−1は、移動先のRNC81−2に対してリロケーション要求を送信する。このとき、このリロケーション要求に、モバイルIPのエージェント広告要求がピギーバックされる。
【0098】
受け入れ準備が完了すると、RNC81−2は、RNC81−1に対してリロケーション完了のメッセージを送信する。このとき、RNC81−2は、ME83に対してモバイルIPのエージェント広告を送信する代わりに、ME83の代理でHA3に位置登録を行う。このときの位置登録において、ME83は、リアルタイムトラフィックのパケットに対してはRNC81−1およびRNC81−2の同時バインディングを、非リアルタイムトラフィックのパケットに対しては一時的なバッファリングを、HA3に要求する。
【0099】
なお、ハンドオーバの実行に際して、RNC81−1は、無線物理チャネルの再構築をME83に要求し、ME83はこのタイミングで周波数などを切り替える。この後、ME83は、基地局82−2と無線リンクを再設定すると、その基地局82−2を介してRNC81−2にチャネルの再構築完了のメッセージを送信する。
【0100】
RNC81−2は、このメッセージを受信すると、エージェント広告をME83に送信する代わりに、ME83の代理で、同時バインディングの解除要求およびバッファリングされたパケットの一括転送要求を含むモバイルIPの位置登録メッセージをRNC81−2に送信し、RNC81−2はそのメッセージをHA3に転送する。
【0101】
以上のように、この実施の形態8によれば、無線ネットワーク制御器81−1,81−2は、SRNC再配置手順に基づいてハンドオフの開始および完了のタイミングを検出し、携帯電話機83がモバイルIPに基づく通信を実行可能ではない場合には、SRNC再配置手順でハンドオフの開始および完了のタイミングを携帯電話機に通知するとともに、その携帯電話機83についての位置登録またその変更を自律的に、すなわち移動端末装置83を代理して実行するようにしたので、携帯電話機83がモバイルIPに基づく通信を実行可能であるか否かに拘わらず、リアルタイムトラフィックと非リアルタイムトラフィックとが混在する場合でも良好なハンドオフを実行することができるという効果が得られる。
【0102】
実施の形態9.
この発明の実施の形態9によるハンドオフ方法は、モバイルIP手順を実行可能な、3GPPのRadio Access Network標準に準拠した携帯電話ネットワークで、ソフトハンドオーバを実行しつつ、上述のバイキャストおよびバッファリングを実行するようにしたものである。図14はこの発明の実施の形態9によるハンドオフ方法を実行する、モバイルIP手順を実行可能な、3GPPのRadio Access Network標準に準拠した携帯電話ネットワークの一例を示す図である。図において、91−1,91−2は、ソフトハンドオーバを実行する無線ネットワーク制御器(RNC)である。なお、図14におけるその他の構成要素については図10におけるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0103】
次に、このモバイルIPネットワークにおけるME83のハンドオフについて説明する。この場合、ME83は、RNC81−1からRNC81−2へ収容先を変更するものとする。このとき、SRNC再配置手順に基づいて、ME83の制御権が、基地局82−1から、RNC81−2に接続された基地局82−2へ受け渡される。図15は、図14の携帯電話ネットワークにおけるME83のハンドオーバについて説明するシーケンス図である。
【0104】
なお、エージェント広告後の位置登録(図中・)までは、実施の形態6によるものと同様である。
【0105】
そして、ソフトハンドオーバ時のSRNC再配置では、移動元のRNC91−1がリロケーション受付を受信すると、SRNC再配置の代行要求を移動先のRNC91−2に送信する。RNC91−2は、この代行要求を受け取ると、ME83の制御を開始する。
【0106】
RNC91−2は、このタイミングでエージェント広告をME83に送信し、SRNC再配置が完全に終了したことを通知する。ME83は、この通知を受けると、同時バインディングの解除要求およびバッファリングされたパケットの一括転送要求を含むモバイルIPの位置登録メッセージをRNC91−2に送信し、RNC91−2はその位置登録メッセージをHA3へ転送する。
【0107】
なお、HA3による同時バインディングおよびバッファリングについては実施の形態1におけるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0108】
以上のように、この実施の形態9によれば、複数の無線ネットワーク制御器91−1,91−2が同一の携帯電話機を収容した後、旧無線ネットワーク制御器91−1が、携帯電話機83の制御権の所定の授受タイミング後に発生するSRNC再配置手順をハンドオフ手順とみなして、ハンドオフの開始および完了のタイミングを検出するようにしたので、ソフトハンドオーバを実行しつつ、リアルタイムトラフィックと非リアルタイムトラフィックとが混在する場合でも良好なハンドオフを実行することができるという効果が得られる。
【0109】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、複数の無線ネットワーク制御器が同一の携帯電話機を収容した後、旧無線ネットワーク制御器が、携帯電話機の制御権の所定の授受タイミング後に発生するSRNC再配置手順をハンドオフ手順とみなして、ハンドオフの開始および完了のタイミングを検出するようにしたので、ソフトハンドオーバを実行しつつ、リアルタイムトラフィックと非リアルタイムトラフィックとが混在する場合でも良好なハンドオフを実行することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるハンドオフ方法を説明する図である。
【図2】 実施の形態1におけるホームエージェントの動作について説明するSDL図である。
【図3】 この実施の形態2によるハンドオフ方法を実行するゲートウェイ外部エージェントが導入されているモバイルIPネットワークの一例を示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態3によるハンドオフ方法を説明する図である。
【図5】 実施の形態3におけるホームエージェントの動作について説明するSDL図である。
【図6】 実施の形態4におけるIPパケット属性の判定を説明するフローチャートである。
【図7】 DSCP値とトラフィック属性との対応関係の一例を示す図である。
【図8】 実施の形態5におけるIPパケット属性の判定を説明するフローチャートである。
【図9】 登録されたポート番号の一例を示す図である。
【図10】 この発明の実施の形態6によるハンドオフ方法を実行する、モバイルIP手順を実行可能な、3GPPのRadio Access Network標準に準拠した携帯電話ネットワークの一例を示す図である。
【図11】 図10の携帯電話ネットワークにおけるMEのハンドオーバについて説明するシーケンス図である。
【図12】 この実施の形態7によるハンドオフ方法を説明するシーケンス図である。
【図13】 この実施の形態8によるハンドオフ方法を説明するシーケンス図である。
【図14】この発明の実施の形態9によるハンドオフ方法を実行する、モバイルIP手順を実行可能な、3GPPのRadio Access Network標準に準拠した携帯電話ネットワークの一例を示す図である。
【図15】 図14の携帯電話ネットワークにおけるMEのハンドオーバについて説明するシーケンス図である。
【図16】 従来のハンドオフ方法を説明する図である(1)。
【図17】 従来のハンドオフ方法を説明する図である(2)。
【符号の説明】
2 移動端末装置、3,41 ホームエージェント(エージェント装置)、5−1,5−2,42−1,42−2 外部エージェント、21 ゲートウェイ外部エージェント(エージェント装置)、81−1,81−2,91−1,91−2 無線ネットワーク制御器、83 携帯電話機。
Claims (1)
- 階層化されたモバイルIPネットワークにおける移動端末装置の旧外部エージェントから新外部エージェントへのハンドオフ方法において、
ハンドオフ開始時に、バイキャスト及びバッファリングを行うゲートウェイ外部エージェントに対してその移動端末装置の位置登録を追加実行して、前記旧外部エージェントおよび前記新外部エージェントにより前記移動端末装置の位置を二重登録するステップと、
前記ゲートウェイ外部エージェントが、前記移動端末装置の二重登録時に、その移動端末装置宛のIPパケットを受け取ると、そのIPパケットがリアルタイムトラフィックのものであるか否かを判断し、リアルタイムトラフィックのIPパケットを前記旧外部エージェントおよび前記新外部エージェントにバイキャストし、非リアルタイムトラフィックのIPパケットを前記ゲートウェイ外部エージェントにバッファリングするステップと、
ハンドオフ完了時に、前記ゲートウェイ外部エージェントに対して位置登録の更新を要求して前記新外部エージェントについての位置登録のみとし、非リアルタイムトラフィックのIPパケットがバッファリングされている場合、前記ゲートウェイ外部エージェントがその非リアルタイムトラフィックのIPパケットを前記移動端末装置の収容先の外部エージェントへ転送するステップと
を備え、
モバイルIPネットワークは、モバイルIP手順を実行可能な、Radio Access Network標準に準拠した携帯電話ネットワークであり、
移動端末装置は、携帯電話機であり、
外部エージェントは、ハンドオフとしてSRNC再配置手順で前記携帯電話機の制御権を授受する無線ネットワーク制御器であり、
複数の無線ネットワーク制御器が同一の携帯電話機を収容した後、旧無線ネットワーク制御器が、前記携帯電話機の制御権の所定の授受タイミング後に発生するSRNC再配置手順をハンドオフ手順とみなして、ハンドオフの開始および完了のタイミングを検出する
ことを特徴とするハンドオフ方法。
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