JP4052852B2 - 有機led素子の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機LED素子の製造方法及び製造装置に関し、さらに詳しくは
基板と、第1電極と、少なくとも発光材料を含む有機膜と、第2電極とからなり、光源やディスプレイなどに用いられる有機LED素子の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報社会が進展する中、薄型、軽量、低消費電力のディスプレイに対する要望が高まっている。特に、自発光で高輝度、高発光効率の特性を持つ有機LED(有機ELと称することもある)については、薄型、軽量、広視野角で、理想的な平面ディスプレイが実現できる有力な候補として注目を集めている。
【0003】
既に、パッシブ駆動型の有機LEDディスプレイが開発され、商品化されているが、最近、特開平7−122360号公報に示されるような、TFT素子を用いて駆動を行うアクティブ駆動型の有機LEDディスプレイが提案されている。この駆動方法を用いると、パッシブ駆動型に比べ、消費電力を低減できる特徴がある。
また、有機LEDディスプレイの製造方法では、従来、低分子有機LED材料を用いた蒸着法による有機LED膜の形成方法又は高分子有機LED材料を用いたインクジェット法による有機LED膜の形成方法が開発されているが、最近レーザー光などを用いた熱転写法による有機LED膜の形成方法が提案されている。
【0004】
図7に、特開平11−260549号公報に提案されている熱転写法を示した。ストライプ状にパターン化された陽極22を形成した基板21を用意し(図7(a))、別に、フイルム上に光熱変換層(図示せず)及び熱伝播層(図示せず)を形成し(転写用基材30と呼ぶ)、その上に陰極25、発光層24、正孔注入接着層23を重ねて形成した転写ドナーフイルム26を製造する(図7(b))。この転写ドナーフイルムを陽極22に密着させ、転写用基材30のフイルム面から陰極形成するようにレーザー光40を照射し(図7(c))、陰極25、発光層24、正孔注入接着層23を転写形成する(図7(d))。
この方法では、低分子及び高分子材料のどちらでも使用でき、特にレーザー光を用いた場合、数十μmの幅で有機LED膜を形成できるので、従来の膜形成方法に比べ高精細な有機LEDディスプレイを実現することができることで有望視されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来、熱転写用のレーザー光の光源としては、YAGレーザーが用いられており、転写ドナーフイルムに照射されるレーザー光の強度分布は図5に示すように、ガウシアン型(図中曲線101)である。レーザー光の強度が変動した場合、図5に示すように、転写に必要な強度Y tは変化しないので、それに伴ない転写幅が変動してしまう。通常レーザー強度は±5%前後の変動が生じるが、例えば図のように中心の強度が十5%変動した場合(図中曲線102)、転写幅は、2×L1から2×L2と大きくなり、約+4ミクロンの転写幅の変動が生じる。高精細ディスプレイでは、画素間の距離は2ミクロン前後であるため、この変動により隣の画素にまで転写層が形成され、例えば、赤、緑、青色を発光する有機LED膜をこの順に並列に並べて転写形成した場合、隣の色の画素に別の色の有機LED膜の一部が形成され、駆動した場合に画素エッジ付近で2色の混色が生じ、画像品質を損なう問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明では、少なくとも発光材料を含む有機膜をレーザー熱転写により基板上に形成して有機LED素子を得ることよりなる有機LED素子の製造方法において、
レーザー熱転写に際して、レーザー光の走査方向に対して垂直な断面のビーム強度プロファイルにおける、転写幅の両端に対応する位置の強度を、中心部の強度に対する比で0.5から1.1とし、かつビーム強度プロファイルが、その曲線の傾きを、転写幅の両端に対応する位置で0.05μ m -1 以上としてなることを特徴とする有機LED素子の製造方法を提供する。
【0007】
すなわち、本発明は、レーザー光のビーム強度プロファイルが、その転写幅の両端に対応する位置の強度を、中心部の強度に対する比で、0.5から1.1とし、かつビーム強度プロファイルが、その曲線の傾きを、転写幅の両端に対応する位置で0.05μ m -1 以上としているので、レーザー強度の変動に対する転写幅の変動を抑えることができ、それによって、例えば、赤、緑、青色を発光する有機LED膜をこの順に並列に並べて転写形成した場合、隣の色の画素に別の色の有機LED膜の一部が形成されることを防止でき、画像品質の良い、フルカラーディスプレイを提供することができる。
【0008】
本発明は、別の観点によれば、少なくとも発光材料を含む有機膜をレーザー熱転写により基板上に形成して有機LED素子を得ることよりなる有機LED素子の製造方法において、
レーザー熱転写に際して、レーザー光の走査方向に対して垂直な断面のビーム強度プロファイルにおける、中心部と転写幅の両端に対応する位置との間の強度を、中心部の強度より大きくし、ビーム強度プロファイルの転写幅の両端に対応する位置と中心部との間の強度が、中心部の強度に対する比で1 . 0から1.1であり、かつビーム強度プロファイルが、その曲線の傾きを、転写幅の両端に対応する位置で0.05μ m -1 以上としてなることを特徴とする有機LED素子の製造方法を提供できる。
【0009】
すなわち、本発明は、ビーム強度プロファイルの中心部と転写幅の両端に対応する位置との間では、中心部に対し強度を大きくしているので、中心部の強度と転写幅の両端に対応する位置の強度とを制御することによって、レーザービーム照射範囲の転写層内の温度分布を均一にでき、それによって、転写層内の有機LED層の熱劣化を抑えることができるという利点がある。
ここで、ビーム強度プロファイルの転写幅の両端に対応する位置と中心部との間を、中心部に対し強度比で1. 0から1.1にするのが好ましい。
【0010】
本発明は、さらに別の観点によれば、少なくとも発光材料を含む有機膜をレーザー熱転写部により基板上に形成して有機LED素子を製造する有機LED素子の製造装置において、
レーザー熱転写部が、レーザー光の光源と、ビーム集光レンズと、開口部を設けたスリットと、ビームを基板上に走査するためのビーム走査手段とを備え、かつこのビーム走査手段がガルバノミラーとfθレンズとからなる有機LED素子の製造装置を提供でき、このようなレーザー熱転写部によって、レーザー熱転写に際して、レーザー光の走査方向に対して垂直な断面のビーム強度プロファイルにおける、転写幅の両端に対応する位置の強度を、中心部の強度に対する比で0.5以上とすることができる。
ここで、ビーム集光レンズの集光スポット径を50ミクロン以下とするのが好ましく、25ミクロン以下とするのがより好ましい。
【0011】
また、レーザー熱転写部の光源とビーム集光レンズとの間に、光源からのレーザー光を少なくとも2つのビームに分離するビーム分離手段と、少なくともその1つのビームの光路に設けられた光偏向器と、分離したビームを合成するビーム合成手段とをこの順にさらに備えることにより、レーザー熱転写に際して、レーザー光の走査方向に対して垂直な断面のビーム強度プロファイルにおける、中心部と転写幅の両端に対応する位置との間の強度を、中心部の強度より大きくすることができる。
【0012】
本発明は、さらに別の観点によれば、基板上に、少なくとも発光材料を含む有機膜をレーザー熱転写により形成してなる有機LED素子であって、
レーザー熱転写時のレーザー光の走査方向に対して垂直な断面のビーム強度プロファイルにおける、転写幅の両端に対応する位置の強度を、中心部の強度に対する比で0.5から1.1とし、かつビーム強度プロファイルが、その曲線の傾きを、転写幅の両端に対応する位置で0.05μ m -1 以上としたことを特徴とする有機LED素子を提供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る有機素子の基本構造を図を用いて説明する。
図6(a)は、本発明に係る有機LED素子の基本構造を説明する説明図である。
図6(a)において、有機LED素子Yは、基板21と、第1電極22と、転写層26とからなり、この転写層は、例えばホール注入層と、有機LED膜(発光層)と、第2電極とからなる。そして、第1電極22と第2電極との間に適宜電圧を印加することによって、有機LED膜から所定の色の光を発生させることができる。
【0014】
図6(b)は、一般的な熱転写工程を説明する説明図である。
一般に、熱転写工程では、図6(b)に示すように、第1電極22を形成した基板21の第1電極22上に、転写基材の表面に転写層26を設けた転写ドナーフイルム30を密着させ、レーザー光40を照射することで、照射領域の転写層26を、転写ドナーフイルム30から第1電極22上に転写し、図6(a)の有機LED素子Yを得ることができる。
【0015】
ここで、転写基材30は、特開平11−260549号公報に開示されている材料、構成が利用できる。 例えば、べースフイルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、そのフイルムに、レーザー光を熱に変換する光熱変換層としてカーボン粒子を混合した熱硬化型エポキシ樹脂を約5ミクロンの厚みに形成する。光熱変換層の表面に、熱伝播層および剥離層としてポリαメチルスチレン膜を1ミクロンの厚みに形成して転写基材30とする。
【0016】
転写層26としては、有機LED膜が用いられるが、特にこれに限定されるものでなく、第2電極/有機LED膜でも良い。有機LED膜は、発光層単層でも良く、多層構造でも良い。第1電極を陽極、第2電極を陰極とした所謂順積層多層膜構成の場合、第1電極側から、ホール輸送層/発光層、又はホール注入層/ホール輸送層/発光層,または、ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層、又はホール輸送層/発光層/電子輸送層の構成を含むように形成されるが、これに限定されるものではない。また、第1電極を陰極、第2電極を陽極とした所謂逆積層多層膜構成の場合、第1電極側から、発光層/ホール輸送層、又は発光層/ホール輸送層/ホール注入層,または、電子輸送層/発光層/ホール輸送層/ホール注入層、又は電子輸送層/発光層/ホール輸送層の構成を含むように形成されるが、これに限定されるものではない。各層の厚みは通常、1nm〜500nmに形成される。
【0017】
有機LED材料としては、低分子材料と高分子材料のどちらを用いても良く、低分子材料には、特開平3−152897号公報、特開平5−70773号公報、特開平5−198377号公報、特開平5−214332号公報、特開平6−172751号公報に記載されているものなど、一般的に知られている材料を用いることができる。また、高分子材料には、ホール輸送層として例えば、ポリアニリン及び誘導体、ポリチオフェン及び誘導体、ポリピロール及び誘導体、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルホン酸を添加したポリエチレンジオキシチオフェンなどが使用でき、発光材料として例えば、特開平8−188641号公報、特表2000−504774号公報記載のもの、ポリフェニレン及び誘導体、ポリフュニレンビニレン及び誘導体、ポリフルオレン及び誘導体などが使用できる。また、有機LED膜と陰極の間にフッ化物、塩化物、臭化物、酸化物などの絶縁膜を、0.1−10nmの厚みで設けても良い。
【0018】
陰極材料としては、仕事関数の小さい金属が使用でき、Ca,Ba,Al,Mg,Agなど及びMgとAg,AlとLi,LiとF,CaとFの合金、AlSiなどが使用でき、5〜400nmの膜厚に形成される。
陽極材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、IDIXO、金などが使用でき、50〜400nmの膜厚に形成される。
【0019】
以下、図に示す実施の形態によって本発明に係る有機LED素子の製造方法および製造装置を説明する。
実施の形態1
図1は、本発明のレーザープロファイルをもつレーザー光を用いて転写した時の工程図(図1(a))、転写ドナーフイルム上でのビーム強度プロファイルの一例を示す説明図(図1(b))である。
図1(a)の熱転写工程では、1例として、第1電極2を形成した基板1の第1電極2上に、転写基材30に陰極、有機LED層からなる転写層6を設けた転写ドナーフイルムを密着させ、本発明のビームプロファイルをもつレーザー光10を照射することで、照射領域の転写層を、転写ドナーフイルムから第1電極2上に転写する例を示している。
【0020】
本発明のビームプロファイルを、図1(b)を用いて説明する。この図は、レーザー光の中心(L=0)での強度を1として規格化したときのビーム強度比プロファイルを示している。後で述べるように、熱転写装置に設けられた、スリットの開口部を通過した後の、スリット両端に対応する位置−L4、L4でのレーザー強度と中心位置での強度との比A1が0.5以上、好ましくは0,6以上になっており、ビームスポット径(レーザー強度が中心の強度の半分になるところ)の両端でのプロファイル曲線の傾きが0.05μm-1以上、好ましくは0.1μ m -1 以上である。経験上、転写層の幅の両端に対応する位置は、このビームスポット径両端の位置とほぼ一致する。
【0021】
本発明の強度プロファイルをもつレーザービームで転写を行った場合、通常起こり得るレーザー強度の±5%の変動に対して、ビームスポット径の両端でのプロファイルの傾きが0.05μm-1の場合、転写幅の変動は、約±2ミクロン以下となり、従来のガウシアン型のプロファイルのレーザービームを用いた場合の変動±4ミクロンに比べて半分以下に抑えられる。また、ビームスポット径の両端でのプロファイルの傾きが0.1μm-1以上の場合、転写幅の変動は約±1ミクロン以下に抑えられ、通常高精細ディスプレイでの画素間隔2ミクロンに十分対応できる。
【0022】
本発明を実現するための、熱転写装置(本発明に係る有機LED素子の製造装置における熱転写部)について、図3(a)を用いて詳細に説明する。
熱転写装置は、光源31、シャッター32、スリットへの集光光学系33、スリット34、コリメータレンズ35、ビーム走査手段としてのビーム走査装置36を少なくとも含む構成であり、その他に光ビーム38の方向を変えるためのミラー37や転写ドナーフイルム又は転写される側の基板の位置決めを行うための光源(図示せず)、光学系(図示せず)などを含んでも良い。
【0023】
光源31としては、通常YAGレーザーが使用されるが、これ以外に炭酸ガスレーザー、He−Neレーザーなどを用いても良い。シャッター32は、ビームを遮断、通過させるためのものであり、電気式でも、手動でもかまわない。スリットは、開口部を光路に合わせるための作動部が設けられており、開口部の形状は四角形、円形、楕円形が採用できるが、特に限定されるものではなく、その開口部の幅が変えられるものであれば良い。ビーム走査装置36は、通常ガルバノミラーとfθレンズを組合せたのもが使用でき、ガルバノミラーを一定の角度に振ることにより、転写ドナーフイルム上で光ビームを走査することができる。
【0024】
光源から出射された光38は、ミラー37で光路を変えて、シャッター部32を通過し、集光光学系33に入る。光ビームはスリット34の開口部に集光され、スリット通過後コリメータレンズ35に入る。その後ビーム38は、図3(b)に示すように、ビーム走査装置内36のガルバノミラー39で反射され下方に向けられ、fθレンズ41を通り、転写ドナーフイルム30の所定の位置に集光される。
【0025】
ビーム強度プロファイルは、スリットを通過する前の時点では、ガウシアン形状であるが、スリットを通過させることで、ガウシアン形状の両端を切り落とした形状になり、最終転写ドナーフイルムに照射されるビームの強度プロファイルは、図1(b)のような形状になる。
ここで、―L4,L4は、スリットの開口部を通過するビーム両端に対応した位置であり、A1は、その位置でのビーム強度と中心位置(L=0)での強度との比である。転写ドナーフイルム上でのL≦―L4、L≧L4でのプロファイルは、A1をピークとするfθレンズの最小集光スポットをもつガウシアン曲線になる(図1(b)中領域P)。
【0026】
ビーム径位置(強度がビームの中心強度の半分になる位置)での傾きを0.05μm-1以上にするためには、A1を0.5以上にして、更に、集光スポット径を50μm以下の、好ましくは25μm以下のfθレンズを使用すれば良い。また、中心のビーム強度とーL4,L4の位置での強度の比を1に近づけるためには、スリットへの集光光学系にビームエクスバンダーを挿入し、スリットへ入る光のビーム径を大きくし、即ち、ビーム強度プロファイルの半値幅を大きくして、その両側をスリットで切り取ることで所望のビームプロファイルを実現できる。
【0027】
例えば、スリットに入る光のビーム径及びスリット幅を調整してビーム端での強度比(中心強度との比)が0.6のビームプロファイルにした後、集光スポット径25μmのfθレンズを用いることで、転写ドナーフイルム上のビームスポット径の両端でのビームプロファイルの傾きが0.1μm-lのビームプロファイルを実現でき、このようなビームでは、中心強度の±5%の変動に対して転写幅の変動を±1ミクロンに抑えることができる。
【0028】
(実施例1)
第1電極であるITO膜が幅0.050mm、ピッチ0.055mmのストライプ状に形成されたガラス基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄後、乾燥させた。
他方、特開平11−260549号公報に開示しているような転写基材に、転写層として、発光層としてトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(以下Alq3と略す),ホール輸送層として4,4’ビス[N−(1−プチル)−フェニルアミノ]ビフェニル(以下NPBと略す)を順次、蒸着速度0.2nm/s e cで膜厚が各々50nmになるように形成した。ITO膜(陽極)表面に、転写フイルムのホール輸送層が接するように、転写フイルムを配置して密着させ、図3記載の熱転写装置に装着した。スリット幅及び、スリットに集光されるビーム径を調整し、最小集光スポット径25ミクロンのfθレンズを用いて図1(b)記載のプロファイルにおいて、A1=0.6、L3=25ミクロン、A2=0.5、傾き0.1μm-1であって、転写ドナーフイルム表面でのエネルギー密度約0.5J/cm2のレーザー光を照射し、ITOストライプ列に直交する方向に約3000cm/s e cで走査した。次に、レーザー光中心位置を0.1mmだけITOストライプ列に平行に移動させて、同様にレーザー光を走査した。このようにして順次、10本レーザー走査を行った。その後、A1電極(陰極)を幅0.04mmの幅に転写した有機LED膜上に蒸着により形成し、次にガラス板をエポキシ系接着剤で基板に貼り合わせて封止した。
光学顕微鏡にて転写された有機LED膜表面を観察したところ、有機LED膜の膜幅は、50ミクロンであり、その変動は±1ミクロン以下に抑えられていた。
【0029】
(比較例1)
実施例1において、熱転写装置のスリットを除いて、ビームプロファイルをガウシアン型にして照射した以外は、実施例と同様にして、有機LED素子を製造した。
光学顕微鏡にて転写された有機LED膜表面を観察したところ、有機LED膜の膜幅は、50ミクロンであり、その変動は最大±約4ミクロンであった。
【0030】
実施形態2
本発明の他の実施形態のビームプロファイルを図2に示す。このビームプロファイルでは、位置0からL4、位置0から−L4の間の強度が中心の強度に対し、同程度か、1よりも大きくなっており、好ましくは、1から1.1程度である。ビーム径位置(強度がビームの中心強度の半分になる位置)での傾きは、実施形態1と同様、0.05μm-1以上である。
本発明のビームプロファイルをもつレーザーを照射した場合、ビーム両端の強度と中心位置での強度の比を調整することで、有機LED材料の熱伝導率が小さいために生じる転写層内の温度分布をほぼ均一にすることができる。
【0031】
従来のビームプロファイルでは、レーザービームの中心位置での温度がビーム両端位置での温度よりも大きくなるため、用いる有機LED材料によっては、特性の劣化が生じる懸念がある。これは、熱転写方式が第1電極と接する熱転写層の有機材料をある程度溶融した状態にして、第1電極表面に接着させ、レーザーを照射していない部分との転写層/第1電極間の密着性の差を利用するので、用いる有機LED材料の融点又はガラス転移温度の低い材料を選ぶ必要があるため、熱に対して劣化しやすいためである。
【0032】
本発明では、レーザービーム照射範囲の転写層内の温度分布を均一になるよう、ビーム中心位置での強度と両端の強度を制御できるので、転写層内の有機LED層の熱劣化を抑えることができるという利点がある。
本発明のビームプロファイルを実現する熱転写装置は、実施形態1で述べた装置において、光源とビーム集光レンズの間に、光源からのレーザー光を少なくとも2つのビームに分離する手段と、少なくともその1つのビームの光路に設けた光偏向器と、分離したビームを合成する手段を設けている。ここで、光偏向器としては、超音波光偏向器(AOD)などが使用できる。
【0033】
図4には、その1例を示しており、光源から出た光はビームスプリッター42により2つに分けられ、その各々のビームは、光偏向器に集光させるための集光レンズ系43に入り、その後、光偏向器44に集光され、両方または1方のビームが偏向される。2つのビームはミラーなどを用いて再び1つに集められ、実施形態1記載の熱転写装置のスリットへの集光レンズ系に導かれる。最終、転写ドナーフイルムに照射されるレーザービームプロファイルは、空間的に分離された2つのビームが重なったプロファイルになっており、その2つのビームの中心距離は、偏向器を調整することで制御できる。
【0034】
(実施例2)
第1電極であるITO膜が幅0.050mm、ピッチ0.055mmのストライプ状に形成されたガラス基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄後、乾燥させた。
他方、特開平11−260549号公報に開示しているような転写基材に、転写層として、発光層としてトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(以下Alq3と略す),ホール輸送層として4,4’ビス[N−(1一プチル)一フェニルアミノ]ビフェニル(以下NPBと略す)を順次、蒸着速度0.2nm/s e cで膜厚が各々50nmになるように形成した。ITO膜(陽極)表面に、転写フイルムのホール輸送層が接するように、転写フイルムを配置して密着させ、図4記載の熱転写装置に装着した。光偏向器を調整して2ビーム間の距離を調整し、またスリット幅及び、スリットに集光されるビーム径を調整し、最小集光スポット径25ミクロンのfθレンズを用いて図2記載のプロファイルにおいて、A1=0.6、L3=25ミクロン、A2=0.5、傾き0.1μm-1であって、位置0からL4、位置0から−L4の間の強度が中心の強度に対し、約1.1に調整した。転写ドナーフイルム表面でのエネルギー密度約0.5J/cm2に調整してレーザー光を照射し、ITOストライプ列に直交する方向に約3000cm/s e cで走査した。
【0035】
次に、レーザー光中心位置を0.1mmだけITOストライプ列に平行に移動させて、同様にレーザー光を走査した。このようにして順次、10本レーザー走査を行った。その後、A1電極(陰極)を幅0.04mmの幅に転写した有機LED膜上に蒸着により形成し、次にガラス板をエポキシ系接着剤で基板に貼り合わせて封止した。
光学顕微鏡にて転写された有機LED膜表面を観察したところ、有機LED膜の膜幅は、50ミクロンであり、その変動は±1ミクロン以下に抑えられていた。また、50 c d/m2の輝度で発光させ、定電流駆動で、輝度が半分になるまでの時間を測定したところ約30時間であった。
【0036】
(比較例2)
実施例2において、図2記載のプロファイルにおいて、A1=0.6、L3=25ミクロン、A2=0.5、傾き0.1μm-1であって、位置0からL4、位置0から−L4の間の強度が中心の強度に対し、約1.2に調整した以外は、実施例2と同様にして、有機LED素子を製造した。
光学顕微鏡にて転写された有機LED膜表面を観察したところ、有機LED膜の中央付近で、転写されない箇所が見られた。
【0037】
(比較例3)
実施例1において、熱転写装置のスリットを除いて、ビームプロファイルをガウシアン型にして照射した以外は、実施例1と同様にして、有機LED素子を製造した。
光学顕微鏡にて転写された有機LED膜表面を観察したところ、有機LED膜の膜幅は、50ミクロンであり、その変動は最大±約4ミクロンであった。また、50 c d/m2の輝度で発光させ、定電流駆動で、輝度が半分になるまでの時間を測定したところ約10時間であった。
これは、転写時の熱により、有機LED膜が劣化したと考えられる。
【0038】
以上のごとく、本発明のビームプロファイルをもつレーザー光を用いて、熱転写を行うと、レーザー強度の変動に対する、転写層の幅の変動を抑えることができ、例えば、赤、緑、青色を発光する有機LED膜をこの順に並列に並べて転写形成した場合、隣の色の画素に別の色の有機LED膜の一部が形成され、駆動した場合画素エッジ付近で2色の混色が生じ、画像品質を損なう問題がなくなるので、画像品質の良い、フルカラーディスプレイを提供することができる。
更に、本発明のビームプロファイルをもつレーザー光を用いて、熱転写を行うことにより、転写時の熱による有機LED膜の劣化を防ぐことができ、高信頼性のフルカラーディスプレイを提供することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、レーザー光のビーム強度プロファイルが、その転写幅の両端に対応する位置の強度を、中心部の強度に対する比で、0.5以上としているので、レーザー強度の変動に対する転写幅の変動を抑えることができ、それによって、例えば、赤、緑、青色を発光する有機LED膜をこの順に並列に並べて転写形成した場合、隣の色の画素に別の色の有機LED膜の一部が形成されることを防止でき、画像品質の良い、フルカラーディスプレイを提供することができる。
【0040】
さらに、本発明によれば、ビーム強度プロファイルの中心部と転写幅の両端に対応する位置との間では、中心部に対し強度を大きくしているので、中心部の強度と転写幅の両端に対応する位置の強度とを制御することによって、レーザービーム照射範囲の転写層内の温度分布を均一にでき、それによって、転写層内の有機LED層の熱劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に記載の本発明のビームプロファイル及びそれを用いた熱転写の1例を示した図。
【図2】実施形態2に記載の本発明の有機LED素子のビームプロファイルの1例を示した図。
【図3】実施形態1に記載の本発明の熱転写装置の1例を示した図。
【図4】実施形態2に記載の本発明の熱転写装置の1例を示した図。
【図5】従来のビームプロファイルを示した図。
【図6】一般的な熱転写工程の説明図[(a):基本構成、(b):熱転写工程)]。
【図7】従来の熱転写技術の1例を説明する説明図。
【符号の説明】
1、21 基板
2、22 第1電極
23 正孔注入接着層
24 有機LED膜
25 第2電極
30 転写基材
31 光源
32 シャッター
33、43 集光レンズ系、
34 スリット
35 コリメータレンズ
36 ビーム走査装置
37 ミラー
39 ガルバノミラー
41 fθレンズ
42 ビームスプリッター
44 光偏向器
10、40、38 レーザー光

Claims (6)

  1. 少なくとも発光材料を含む有機膜をレーザー熱転写により基板上に形成して有機LED素子を得ることよりなる有機LED素子の製造方法において、
    レーザー熱転写に際して、レーザー光の走査方向に対して垂直な断面のビーム強度プロファイルにおける、転写幅の両端に対応する位置の強度を、中心部の強度に対する比で0.5から1.1とし、かつビーム強度プロファイルが、その曲線の傾きを、転写幅の両端に対応する位置で0.05μm-1以上としてなることを特徴とする有機LED素子の製造方法。
  2. ビーム強度プロファイルが、その曲線の傾きを、転写幅の両端に対応する位置で0.1μm-1以上であることを特徴とする請求項1記載の有機LED素子の製造方法。
  3. ビーム強度プロファイルの転写幅の両端に対応する位置と中心部との間の強度が、中心部の強度に対する比で1. 0から1.1であることを特徴とする請求項1または2記載の有機LED素子の製造方法。
  4. 少なくとも発光材料を含む有機膜をレーザー熱転写部により基板上に形成して有機LED素子を製造する有機LED素子の製造装置において、
    レーザー熱転写部が、レーザー光の光源と、ビーム集光レンズと、開口部を設けたスリットと、ビームを基板上に走査するためのビーム走査手段とを備え、かつこのビーム走査手段が、ガルバノミラーと、集光スポット径を50ミクロン以下とする f θレンズとからなることを特徴とする有機LED素子の製造装置。
  5. 集光スポット径が、25ミクロン以下であることを特徴とする請求項4記載の有機LED素子の製造装置。
  6. 光源とビーム集光レンズとの間に、光源からのレーザー光を少なくとも2つのビームに分離するビーム分離手段と、少なくともその1つのビームの光路に設けられた光偏向器と、分離したビームを合成するビーム合成手段とをこの順にさらに備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の有機LED素子の製造装置。
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